JP2005245543A - 階段室用排煙装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 避難路としての階段室において、特別な装置を用いず簡便に煙の動きを制御することを目的とする。
【解決手段】 階段室の傾斜天井面ごとに連続する送風機が気流を発生させるので、通路としての階段を上下2層化し、階段の上層に形成される気流によって、階段室に流入する火災による煙等は建物上部側に効率よく送られて、階段の下層には煙が充満することなく、避難路としての利用を可能とする。そして、排煙機によって、建物上部側に送られてきた煙を階段室から外気へ排出するものであり、階段室内への煙の対流による充満を防止し、積極的に煙を排出できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、雑居ビル等の避難路としての避難階段を有効に利用するための排煙装置に関する。
従来、一般の建築物において大きな建物には自動火災報知設備と同時に防排煙設備が設置されている。しかし、所定の規模以下の小さな建物、いわゆる雑居ビルにおいては避難階段等の避難路が確保されるだけで、その他設備が設けられていない場合が多い。このような設備の整わない雑居ビルにおいて、集客力のある店舗が火災に巻き込まれることで大災害となるケースが発生している。このような場合の死因は、火災により発生する煙や有毒ガスによる中毒死がほとんどである。
このような火災に伴う煙等に対して、階段室への煙の侵入を防止するため、ビルの上層階と下層階の階段室を給気加圧する階段室加圧送風機を設けて、階段室の圧力を略均等に加圧することが示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−80092号公報
このような、加圧によって煙の流入を防止するためには、圧力の低下に対して速やかに補償する制御が必要となり、階段室の高さ方向に均一に加圧するのは困難である。加圧によって防排煙の制御をするためには、一般的に加圧のため密閉度の高い附室の設置やコンプレッサなど、専用の設備が必要となったり、コンプレッサの起動から高圧を発生させるのに、時間が必要となっていた。
したがって、この発明では、避難路としての階段室において、特別な装置を用いず簡便に煙の動きを制御することを目的としている。
この発明の請求項1に係る排煙装置は、階段室において、フロア間の階段の下面となる傾斜天井面ごとの送風機と、火災発生または煙検出に基づいて前記各送風機の起動を制御する起動装置と、からなることを特徴とするものである。
また、この発明の請求項2乃至5に係る排煙装置は、階段室の頂部に排煙機のような開口手段を、階段室の下部に給気手段を、あるいは、階段室を各フロアから区画する各フロアごとの遮断装置を備えているものである。
さらに、この発明の請求項6に係る排煙装置は、起動装置は、開口手段、給気手段および各遮断装置のいぜれかまたは組合せを、各送風機の起動に合わせて連動制御するものであり、また、この発明の請求項7に係る排煙装置は、開口手段または給気手段は、外部装置から起動制御されるものである。
請求項1に係る排煙装置では、階段室の傾斜天井面ごとに連続する送風機が気流を発生させるので、通路としての階段を上下2層化し、階段の上層に形成される気流によって、階段室に流入する火災による煙等は建物上部側に効率よく送られて、階段の下層には煙が充満することなく、避難路としての利用を可能とする。
請求項2または3に係る排煙装置では、開口手段としての排煙機によって、建物上部側に送られてきた煙を階段室から外気へ排出するものであり、階段室内への煙の対流による充満を防止し、単なる開口部であっても効果があるが、排煙機であれば積極的に煙を排出できる。
請求項4に係る排煙装置では、給気手段によって、発生する気流が上部へ移動することを容易にする。
請求項5に係る排煙装置では、防火戸のような各フロアの遮断装置によって、煙を他のフロアに拡散させず、発生する気流全体を確実に上部へ移動させる。
請求項6に係る排煙装置では、起動装置が各機器をタイミングよく起動させるように連動制御することにより、煙の排出を容易にする。
請求項7に係る排煙装置では、外部装置によって排煙機あるいは給気手段を起動できることで、避難して外部からタイミングを見計らって排煙機や給気手段を起動することができる。
実施形態1
図1はこの発明の第1の実施形態にかかる階段室用排煙装置の概略的なシステム構成図である。
建築物1の階段室2内は、各フロアに連続する床面に、各フロアごとに図1において略「>」形状に2つ組み合わされた階段部21と、その略「>」形状の突部に連続する踊場部22とで形成されている。図面に対して奥行き方向について、当然踊場部22の奥行きに対して階段部21の奥行きは半分であり、例えば略「>」形状をとる2つの階段部21の上側は、踊場部22の奥行きに対して奥側半分の長さで連結されており、同時に、その下側は、踊場部22の奥行きに対して手前側半分の長さで連結されている。また、各階段部21の踊場部22の逆側は当然建築物1の各フロアに連結されている。さらに、この建築物1では、階段室2の最頂部はいわゆるペントハウス天井27に形成されている。
なお、この建築物1は図示の通り4階建てで避難階は1階であり、建築物1に必要な避難路として、非常階段が階段室2内に形成されている。
そして、建築物1の各フロアに階段室2を区画するための遮断装置としての防火戸23と、各フロア間の階段部21の階段面裏側となる傾斜天井面のそれぞれに送風機24と、
階段室2において所定の高さあるいは階数ごとに設けられている煙感知器25と、階段室2のペントハウス天井27に排煙機26とが設けられている。
防火戸23は、建築物1の各フロアで火災が発生したときに、煙が階段室2内に流入するのを防止するとともに、階段室2に充満する煙を各フロアに流出させないための遮断装置であり、防火シャッタ等を代替してもよく、建築物1の防排煙設備として設けられるものでよい。
送風機24は、階段部21の傾斜天井面に沿って下側から上側へ向かう気流を発生させる装置であり、加圧ボンベからの吹出しのような内蔵された気体の放出よりも、その場の空気を押し流すファン等の装置が好ましい。
煙感知器25は、図1では建築物1の2階ごとに設置されて、自動火災報知設備の火災受信機(図示せず)に接続され、この火災受信機を起動装置として利用することができる。
排煙機26は、階段室2のペントハウス天井27に到達する煙を、建築物1から外部、すなわち外気へ排出する装置であって、防火戸23と同様、建築物1の防排煙設備として設けられるものでよい。
また、これらの各防火戸23、各送風機24および排煙機26は、煙感知器25と同様に図示しない起動装置としての火災受信機に接続されている。そして、火災の発生あるいは煙の存在を検出して必要な機器を起動制御するものであり、この実施形態では、階段室2に煙感知器25が設けられており、図示しない火災受信機は煙感知器25からの信号に基づいて起動制御をかけることができる。
つぎに、この実施形態における動作について説明する。
図1に示されるように、2階から3階にかけての踊場部22から火災が発生すると、火災による熱気流に乗って煙は上階方向へ進み、階段室2内4階部分の煙感知器25から信号が発せられ、この信号を図示しない火災受信機が受信し、火災警報動作を行うとともに、防排煙設備等の連動制御を行う。
このとき、図示しない火災受信機は、階段室2の各防火戸23を起動して閉止するとともに、各送風機24を起動して、階段室2内に気流を発生させる。すなわち、火災が発生した踊場部22からの煙は、送風機24を起動せず、そのままで継続すれば、階段室の3階部分、さらに4階部分と、充満しながら拡がっていき、そのため、建築物1の3階および4階からの避難者がこの階段室2を通ることができない。しかし、各送風機24を起動して積極的に気流を形成すると、暖かい煙の気流は階段部21の傾斜天井面に沿って上側へ流れていくとともに、煙を含んでいない通常の空気が階段部21の階段面に沿って下側へ流れる。このように、煙は2層化した流れの上側を通過していき、どうしてもこの階段室2を通過したい避難者は、2層化した流れの下側において例えば階段面に沿って這うように降りていくことができる。
そして、上側へ移動していく煙は、上記の各送風機24と同時に起動された排煙機26によって外気へ放出される。これによって、階段室2に煙が充満することがなく、避難路として利用することができる。なお、階段室2の最上部において、排煙機26で積極的に煙を外気に排出することが好ましいが、屋上への出入口等を兼ねて開口部が形成されているだけでもよく、煙の乗った気流は積極的に上昇して外気へ排出されるし、その同じ開口部から、外気が吸引される。この開口部において排出と流入が呼吸のように定常的に行われることにより、階段室2内においても、気流が2層化されて煙は上側しか流れないことになる。
このように、実施形態1においては、階段室2の傾斜天井面ごとに連続する送風機25が気流を発生させるので、通路としての階段を空間的に上下2層化し、階段の上層に形成される気流によって、階段室2に流入する火災による煙等は建築物1上部側に効率よく送られて、階段の下層には煙が充満することなく、避難路としての利用を可能とする。
また、開口手段としての排煙機26によって、建築物1上部側に送られてきた煙を階段室2から外気へ排出するものであり、階段室2内への煙の対流による充満を防止する。この開口手段としては、単なる開口部であっても呼吸のような効果がある。また、給気手段を設けることによって、発生する気流により煙を上部へ移動することを容易にする。そして、防火戸23のような各フロアの遮断装置によって、煙を他のフロアに拡散させず、発生する気流全体を確実に上部へ移動させる。
さらに、図示しない火災受信機が、起動装置として、各機器をタイミングよく起動させるように連動制御することにより、煙の排出を容易にする。また、起動装置とは別に、外部装置によって排煙機26あるいは給気手段を起動できることで、避難して建築物1の外部からタイミングを見計らって起動することができ、さらに、外部装置によって、不要となったときには停止制御することも容易に行える。
この発明の実施形態1を示す概略的なシステム構成図である。
符号の説明
2 階段室、21 階段部、23 遮断装置(防火戸)、24 送風機、25 煙感知器、26 排煙機。

Claims (7)

  1. 階段室において、フロア間の階段の下面となる傾斜天井面ごとの送風機と、火災発生または煙検出に基づいて前記各送風機の起動を制御する起動装置と、からなることを特徴とする階段室用排煙装置。
  2. 階段室の頂部に外気への開口手段を備えている請求項1の階段室用排煙装置。
  3. 開口手段が排煙機である請求項2の階段室用排煙装置。
  4. 階段室の下部に給気手段を備えている請求項1の階段室用排煙装置。
  5. 階段室を各フロアから区画する各フロアごとの遮断装置を備えている請求項1の階段室用排煙装置。
  6. 起動装置は、開口手段、給気手段および各遮断装置のいぜれかまたは組合せを、各送風機の起動に合わせて連動制御するものである請求項1乃至5の階段室用排煙装置。
  7. 開口手段または給気手段は、外部装置から起動制御されるものである請求項1乃至4の階段室用排煙装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101202311B1 (ko) 2010-06-25 2012-11-16 김동기 연기 차단부가 설치된 피난계단실 구조
EP3542870A3 (en) * 2018-03-22 2019-11-20 Abrahamssons Hantverk-&Fastighetsservice AB A ventilation system for a building having a smoke evacuation functionality and a method for operating said system
CN117706996A (zh) * 2023-12-13 2024-03-15 广州珠江外资建筑设计院有限公司 一种建筑加压楼梯间防烟监控系统及方法

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