JP2005239896A - インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温かつ高速で高画質の画像を定着可能であるとともに、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性に優れたインク組成物およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】 分散媒および少なくとも色材を含む荷電粒子を含有するインク組成物において、前記荷電粒子が特定構造の繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とするインク組成物、及び、該インク組成物を、静電界を利用したインクジェット記録方式でインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はインク組成物およびインクジェット記録方法に関するものであり、詳しくは、被記録媒体に対し、低温かつ高速で高画質の画像を定着可能であるとともに、耐オフセット性や耐ブロッキング性に優れたインク組成物およびインクジェット記録方法に関するものである。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型および溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電および露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり高価な装置となる。熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高くかつ廃材が出る。一方インクジェット方式は、安価な装置で、かつ必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット記録方式には、例えば、発熱体の熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方式や、圧電素子によって発生される機械的な圧力パルスによりインク滴を飛翔させる方式、また、静電界を利用して荷電粒子を含有するインク滴を飛翔させる方式(特許文献1、2参照)がある。蒸気や機械的圧力でインク滴を飛翔させる方式は、インク滴の飛翔方向を制御できず、インクノズルの歪みや空気の対流により、被印刷媒体上の望ましい位置へ、インク滴を正確に着弾させることが困難である。
一方、静電界を利用する方式は、インク滴の飛翔方向を静電界により制御するため、望ましい位置へインク滴を正確に着弾させることが可能であり、高画質の画像形成物(印刷物)を作成でき優れている。
静電界を利用するインクジェット記録に用いられるインク組成物としては、分散媒および、色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物が用いられる(特許文献3、4参照)。色材を含有するインク組成物は、色材を変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアン、墨の4色のインクを作成することができ、さらに金や銀の特色インクを作成することができる。したがって、カラーの画像形成物(印刷物)を作成することができるため有用である。しかし高速かつ高画質を維持し、カラーの画像形成物(印刷物)を安定に出力させるためには、紙に定着させる手段が必要となる。しかし、インクジェットシステムでは定着時に画像部および紙中に溶媒が存在する状態で、低温かつ高速、さらには画質を悪化させない定着を実現しなければならず、現状ではすべて満足する定着は困難であった。特に、低温かつ高速で高画質の画像を定着可能であるとともに、耐オフセット性(ヒートローラによる定着時、荷電粒子が熱ローラに付着し取り去られる現象)や耐ブロッキング性(定着後被記録媒体を重ねたときに裏面へ転写しないこと)の良好なインク組成物およびインクジェット記録方法の出現が待たれていた。
特許第3315334号公報 米国特許第6158844号明細書 特開平8−291267号公報 米国特許第5952048号明細書
本発明の目的は、低温かつ高速で高画質の画像を定着可能であるとともに、耐オフセット性や耐ブロッキング性に優れたインク組成物およびインクジェット記録方法の提供にある。
本発明は、以下の構成よりなる。
1. 分散媒および、色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物において、該荷電粒子が下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とするインク組成物。
Figure 2005239896
一般式(A)中、
1、a2は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
Xは単結合又はC、H、N、O、S、Pから選ばれる2種以上の原子からなる総原子数50個以下の2価の連結基を表す。
1は炭素数4以上の脂肪族炭化水素基を表す。
2. 上記1.の一般式(A)で表される繰り返し単位を有する重合体の、50℃での動的弾性率が106Pa以上、かつ100℃での動的弾性率が103Pa以上105Pa以下であることを特徴とするインク組成物。
3. 静電界を利用したインクジェット記録方式でインク組成物をインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法において、使用するインク組成物が、分散媒および少なくとも色材を含む荷電粒子を含有し、かつ該荷電粒子が、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
Figure 2005239896
一般式(A)中、
1、a2は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
Xは単結合又はC、H、N、O、S、Pから選ばれる2種以上の原子からなる総原子数50個以下の2価の連結基を表す。
1は炭素数4以上の脂肪族炭化水素基を表す。
本発明のインク組成物は、被覆剤重合体が、一般式(A)で表される繰り返し単位を有することにより、定着性に有利な動的粘弾性挙動を示すことができる。この重合体を用いることにより、シャープな温度応答性を示し、シャープメルト化が可能である。さらに、50℃での動的弾性率を106Pa以上にすることで、定着後の冷却により速やかに固化することができる。したがって本発明によれば、低温かつ高速で高画質の画像を定着させることができるとともに、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性等に優れたインク組成物およびインクジェット記録方法が提供される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[被覆剤]
本発明のインク組成物において、顔料等の色材は、分散媒に直接、分散(粒子化)するよりも、被覆剤により被覆された状態で分散(粒子化)することが好ましい。被覆剤で被覆することにより、色材が持つ荷電を遮蔽し望ましい荷電特性を付与することができる。また、本発明においては、被記録媒体へインクジェット記録した後、ヒートローラ等の加熱手段により定着するが、この際被覆剤が熱により溶融し、効率よく定着できる。
本発明は、被覆剤成分として下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とする。
Figure 2005239896
一般式(A)中、
1、a2は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
Xは単結合又はC、H、N、O、S、Pから選ばれる2種以上の原子からなる総原子数50個以下の2価の連結基を表す。
1は炭素数4以上の脂肪族炭化水素基を表す。
一般式(A)のa1、a2は好ましくは、水素原子、置換基を有していても良い炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、特に好ましい構造としては、a1が水素原子、a2が水素原子又はメチル基が挙げられる。
1で表される脂肪族炭化水素基は、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数6〜30の置換されてもよい炭化水素基である。
脂肪族炭化水素基としては、例えば置換されていてもよいアルキル基が挙げられ、具体的にはブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
これら一般式(A)で表される繰り返し単位に相当する単量体は、市販されているものを用いたり、公知の方法で製造することができる。
本発明の被覆剤は、一般式(A)で表される繰り返し単位に相当する単量体と、他の重合性モノマーを共重合させたものであることが好ましい。重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、沈殿重合などの公知の方法により得ることができる。また、ポリマー構造としては、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマーなどの構造があげられ、これらは特に限定されない。
一般式(A)で表される繰り返し単位に相当する単量体以外の共重合成分として好ましいモノマー成分としては、特に限定されないが、好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、および、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類などを挙げることができる。 一般式(A)で表される繰り返し単位に相当する単量体以外の共重合成分として好ましいモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、((メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、o−アミノスルホニルフェニル(メタ)アクリレート、m−アミノスルホニルフェニル(メタ)アクリレート、p−アミノスルホニルフェニル(メタ)アクリレートなどの(置換)(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロへキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN−エチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(o−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド若しくはメタクリルアミド;エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレンオキシド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、4級アンモニウム塩基を含有するモノマー類などをあげることができる。
さらに好ましくは、4級アンモニウム塩基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類または、(メタ)アクリルアミド類などを共重合することが好ましい。
また、本発明の重合体の一般式(A)で表される繰り返し単位以外の共重合成分として、共重合性の観点からスチレン系モノマー以外のモノマー、たとえば、例えば、(メタ)アクリル系、(メタ)アクリルアミド系モノマーが好ましい。
重合体中の一般式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、一般式(A)で表される繰り返し単位を添加する効果を十分出しつつ、Tg(ガラス転移温度)や分散媒への溶解性の制御の観点から、1から99質量%が好ましく、より好ましくは2〜80質量%、さらに好ましくは5〜70質量%である。
本発明の一般式(A)を含有する重合体は、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量(Mw)が2,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは3,000〜500,000、さらに好ましくは5000〜200,000の範囲がである。
多分散度(重量平均分子量/数平均分子量;Mw/Mn)は好ましくは1.0〜7.0であり、より好ましくは1.0〜5.0、さらに好ましくは1.0〜4.0の範囲である。
さらに定着の容易さの観点からガラス転移点または融点が40〜120℃の範囲内にある重合体であることが好ましい。
本発明の一般式(A)で表される繰り返し単位を含有する重合体の物性として、50℃での動的弾性率が106Pa以上、かつ100℃での動的弾性率が103Pa以上105Pa以下であることが特に好ましい。
ここで、重合体物性としての動的弾性率は、重合体の変形しやすさや流動性を示し、その挙動はレオロジ−と呼ばれる学問体系に属している。そして、動的弾性率は、インク粒子の熱的流動性、すなわちフロー性、上に重ねられた記録紙への画像の裏移りのしにくさ、すなわち耐ブロッキング性、そしてインク画像の熱定着時におけるヒートローラへ画像の一部が転移するオフセット等と深く関係すると考えられる。
本発明の被覆剤重合体は、動的弾性率が50℃で106Pa以上、かつ100℃で103Pa以上105Pa以下であることが、望ましい定着性を得る上で好ましい。より好ましくは100℃での動的弾性率が5×103Pa以上105Pa以下である。
すなわち、動的弾性率が50℃で106Pa以上であることにより、定着されたインク画像の耐ブロッキング性が良好となり、100℃で103Pa以上105Pa以下であることにより、インク粒子のフロ−性が良好となり、さらにオフセット性が改善される。
本発明の一般式(A)の繰り返し単位を重合体中に含有することが上記の望ましい動的粘弾性挙動を示すのに有効である。
動的弾性率の測定は、当業界でよく知られ、再現性よく測定可能であるが、例えばレオメ−タ−と称する測定装置を用い、熱溶融させた重合体をロ−タ−(ギャップ1mm)で挟み、ある一定の周波数で振動を与え、その周波数のズレから求めることができる。
さらに具体的には、例えば試料の微粉砕物3gをUBM社製レオメ−タ−「Rheosol−G1000型」の試料チャンバ−内にセットし、所定の測定方法に則りまず200℃でこれを溶融させたのち、温度を降下させながらロ−タ−を周波数1Hzで振動させ自動的に「温度ー動的弾性率曲線」を記録し、動的弾性率を測定することができる。この動的弾性率曲線の好ましい挙動として、40℃〜100℃の範囲において2箇所の変曲点を有していることが好ましい。
被覆剤成分として、本発明の重合体以外にも他の成分を含有していてもよい。被覆剤成分中の本発明重合体以外の成分の含有量は、被覆剤全量に対して0〜99質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜70質量%である。
他の成分としては特に限定されないが、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン/(メタ)アクリル系ポリマーや、結晶性ポリエステル、結晶性ポリエチレンなどの融点を有する高分子化合物、結晶性化合物などの融点を有する低分子成分であることが特に好ましい。融点(Tm)は30〜120℃の範囲が好ましく、より好ましくは、30〜110℃の範囲、さらに好ましくは、40〜100℃の範囲である。この融点(Tm)の温度範囲において、画像の定着性が一層高まる。
ここで本発明において、融点(Tm)は、DSC測定での吸熱ピ−クの頂点温度を意味する。
インク組成物全体に対する被覆剤の含有量は、0.1〜40質量%の範囲内であることが好ましい。0.1質量%以上において、被覆剤の量が充足し、充分な定着性が得られるとともに、40質量%以下において、色材と被覆剤を含有する粒子を良好に形成することができる。
[分散媒]
分散媒は、高い電気抵抗率、具体的には1010Ωcm以上を有する誘電性の液体であることが好ましい。仮に電気抵抗率の低い分散媒を使用すると、隣接する記録電極間で電気的導通を生じさせるため、本形態には不向きである。また、誘電性液体の比誘電率は5以下が好ましく、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、誘電性液体中の荷電粒子に有効に電界が作用されるため好ましい。
本発明に用いる分散媒としては、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水素のハロゲン置換体、シリコーンオイル等がある。例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン.イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、KF−96L(信越シリコーン社の商品名)等を単独または混合して用いることができる。インク組成物全体に対する分散媒の含有量は、20〜99質量%の範囲内であることが好ましい。20質量%以上において、良好に色材を含有する粒子を分散媒に分散することができ、また、99質量%以下において、色材の含有量を充足することができる。
[色材]
本発明に用いる色材としては、公知の染料および顔料を使用することができ、用途や目的に応じて選択することができる。例えば、記録された画像記録物(印刷物)の色調の観点からは、顔料を用いることが好ましい(例えば、技術情報協会発行 「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」 2001年12月25日 第1刷参照。以下「非特許文献1」とも称する)。色材を変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアン、墨(ブラック)の4色のインクを作成することができる。特に、オフセット印刷用インクやプルーフに用いられる顔料を使用するとオフセット印刷物と同様な色調が得られるので好ましい。
イエローインク用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、 C.I.ピグメントイエロー74等のモノアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー12、 C.I.ピグメントイエロー17等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180等の非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18等の塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー等のアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT等のイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153等のニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117等の金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー139等のイソインドリノン顔料などが挙げられる。
マゼンタインク用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド3等のモノアゾ系顔料、 C.I.ピグメントレッド38等のジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントレッド53:1等やC.I.ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194等のペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149等のペリレン顔料、 C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180等のイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83等のアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアンインク用の顔料としては、例えば、C.Iピグメントブルー25等のジスアゾ系顔料、 C.I.ピグメントブルー15等のフタロシアニン顔料、 C.I.ピグメントブルー24等の酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1等の塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18等のアルカリブルー顔料等が挙げられる。
墨インク用の顔料としては、例えば、アニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、およびファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類等が挙げられる。
更にマイクロリス−A,−K,−Tなどのマイクロリス顔料に代表される加工顔料も好適に使用できる。その具体例としてはマイクロリスイエロー4G−A,マイクロリスレッドBP−K,マイクロリスブルー4G−T,マイクロリスブラックC−Tなどが挙げられる。
また、白インク用の顔料として炭酸カルシウムや酸化チタン顔料を、銀インク用としてアルミニウム粉を、金インク用として銅合金を用いる等、必要に応じて各種の顔料を使用することができる。
顔料は、基本的には一色につき一種類の顔料を使うことが、インク製造の簡便性の点で好ましいが、色相調整として例えば、墨インク用に、カーボンブラックにフタロシアニンを混合するなど、場合によっては2種以上併用することも好ましい。また、ロジン処理等、公知の方法により顔料を表面処理した後使用してもよい(前述の非特許文献1)。
インク組成物全体に対する顔料の含有量は、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。0.1質量%以上において、顔料量が充足し、印刷物において充分良好な発色が得られ、また、50質量%以下において、色材を含有する粒子を分散媒に良好に分散させることができる。さらに好ましくは、1〜30質量%である。
[分散剤]
本発明では、例えば色材および被覆剤の混合物を分散媒中に分散(粒子化)するが、粒子直径を制御し、かつ粒子の沈降を抑制するために分散剤を使用することがさらに好ましい。
好適な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステルや、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルに代表される界面活性剤が挙げられる。また、例えば、スチレンとマレイン酸のコポリマー、およびそのアミン変性物、スチレンと(メタ)アクリル化合物のコポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリエチレンと(メタ)アクリル化合物のコポリマー、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のポリウレタン系ポリマー)、EFKA−401、402(EFKA社製のアクリル系ポリマー)、ソルスパース17000,24000(ゼネカ社製のポリエステル系ポリマー)等が挙げられる。本発明においては、インク組成物の長期間保存安定性の観点から、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜7.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、グラフトポリマーまたはブロックポリマーを用いることが最も好ましい。
本発明において特に好適に用いられる分散剤としてのポリマーは、下記一般式(1)および(2)で示される構成単位の少なくともいずれか一方からなる重合体成分と、下記一般式(3)で示される構成単位を少なくともグラフト鎖として含有する重合体成分とを少なくとも含有するグラフトポリマーである。
Figure 2005239896
式中、X51は、酸素原子または−N(R53)−を示す。R51は、水素原子またはメチル基を示し、R52は、炭素数1から10個の炭化水素基を示し、R53は、水素原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。R61は、水素原子、炭素数1から20の炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、または、炭素数1から20個のアルコキシ基を示す。X71は、酸素原子または−N(R73)−を示す。R71は、水素原子またはメチル基を示し、R72は、炭素数4から30個の炭化水素基を示し、R73は、水素原子または炭素数1から30の炭化水素基を示す。尚、R52、R72の炭化水素基中にエーテル結合、アミノ基、ヒドロキシ基、または、ハロゲン置換基を含んでいてもよい。
上記グラフトポリマーは、一般式(3)に対応するラジカル重合性モノマーを、好ましくは連鎖移動剤の存在下重合し、得られたポリマーの末端に重合性官能基を導入し、さらに、一般式(1)または(2)に対応するラジカル重合性モノマーと共重合することにより得ることができる。
一般式(1)に対応するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの(メタ)アクリル酸エステル類、および、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
一般式(2)に対応するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等が上げられる。
また、一般式(2)に対応するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、等が挙げられる。
これらのグラフトポリマーの具体例としては、下記の構造式で示されるポリマーが挙げられる。
Figure 2005239896
Figure 2005239896
一般式(1)および(2)で示される構成単位のいずれか1つを少なくとも含有する重合体成分と、一般式(3)で示される構成単位を少なくともグラフト鎖として含有する重合成分とを含有するグラフトポリマーは、一般式(1)および/または(2)、並びに一般式(3)で示される構成単位のみを有していてもよいし、他の構成成分を含有していてもよい。グラフト鎖を含有する重合体成分と、其れ以外の重合体成分との好ましい組成比は、10:90〜90:10である。この範囲において、良好な粒子形成性が得られ、所望の粒子直径を得やすく、好ましい。これらのポリマーは、分散剤として単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
インク組成物全体に対する分散剤の含有量は、0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内において、良好な粒子形成性が得られ、所望の粒子直径を得ることができる。
[荷電調整剤]
本発明においては、色材および被覆剤の混合物を、分散剤を用いて分散媒中に分散(粒子化)することが好ましく、粒子の荷電量を制御するために荷電調整剤を併用することがさらに好ましい。
好適な荷電調整剤としては、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であってもよい。インク組成物全体に対する荷電調整剤の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内であることが好ましい。なお、本発明のインク組成物の電気伝導度は、10nS/m〜300nS/m、荷電粒子の電気伝導度は、インク組成物の電気伝導度の50%以上であるのが好ましい。これらの条件は、荷電調整剤の含有量の増減によって、容易に調整できる。
[その他の成分]
本発明においては、さらに、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
[粒子の作成]
以上の成分を用い、色材および被覆剤を分散(粒子化)することにより、本発明の粒子を含有するインク組成物を作成することができる。分散(粒子化)する方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
(1)色材および被覆剤をあらかじめ混合した後、分散剤と分散媒を用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
(2)色材、被覆剤、分散剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
(3)色材、被覆剤、分散剤、荷電調整剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)する。
混合や分散する際に用いられる装置としては、例えば、ニーダー、ディゾルバー、ミキサー、高速ディスパーザー、サンドミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ビーズミル(前述の非特許文献1)等が挙げられる。
本発明における粒子の体積平均直径は、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700(堀場製作所(株)製)等の装置を用い、遠心沈降法により測定できる。平均直径は、算出方法によって、体積平均、数平均等があるが、本発明では、粒子の体積平均直径が、0.7〜3.0μm、より好ましくは0.9〜2.5μmの範囲内である。体積平均直径を0.7μm以上とすることで、粒子の濃縮が十分になり、結果として、被記録媒体に記録された際インクのにじみが発生しにくい。体積平均直径を3.0μm以下とすることで、ヘッド吐出口の詰まりが生じにくくなる。粒度分布は、狭く均一なほうが好ましい。
本発明のインク組成物の粘度(20℃)は、0.5〜5mPa・sの範囲内が好ましい。この範囲内であると、ヘッドのインク吐出口からの液だれや、インク滴が吐出されないという不具合を生じにくい。好ましくは、0.8〜4mPa・sの範囲内である。また、インク組成物の表面張力は、10〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。この範囲ないであると、ヘッドのインク吐出口からの液だれや、インク滴が吐出されないという不具合を生じにくい。さらに好ましくは、15〜50mN/mの範囲内である。
[インクジェット記録装置]
本発明では、以上記述したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録する。本発明においては、静電界を利用したインクジェット記録方式を用いることが好ましい。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
インクを飛翔させる方式として、例えば、注射針のようなニードル状の先端からインクを飛翔させる方式があり、本発明のインク組成物を用いて記録することができる。ただし、荷電粒子を濃縮・吐出した後の荷電粒子の補給が難しく安定に長期間の記録を行うことが難しい。荷電粒子を強制的に供給するため、インクを循環させる場合には、注射針先端からインクを溢れさせる方法になるため、吐出位置である注射針先端のメニスカス形状が安定せず、安定な記録を行うことが困難であり、短期間の記録に適している。
一方、吐出開口部からインク組成物を溢れさせることなく、インク組成物を循環させる方法が好ましく用いられる。例えば、吐出開口を有するインク室内にインクが循環されており、吐出開口周縁に形成された制御電極に電圧を印加することによって、吐出開口中に存在しており先端が被記録媒体側に向いたインクガイドの先端から、濃縮されたインク滴が飛翔する方法では、インクの循環による荷電粒子の補給と、吐出位置のメニスカス安定性を両立することができるため、長期間安定に記録を行うことができる。さらに本方式ではインクが外気と接する部分が吐出開口部だけと非常に少ないため、溶媒の蒸発を抑え、インク物性が安定化するため、本発明において好適に使用することができる。
本発明のインク組成物を適用するに適したインクジェット記録装置の構成例を以下に示す。
まずは、図1に示す記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Yおよび2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、さらに吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピュータ、RIP等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10および力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12およびガイド13、剥離後の記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14およびガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、記録媒体位置検出手段16を有し、さらにインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17および溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
フィードローラ12は公知のローラが使用でき、記録媒体に対するフィード能力が高まるように配置される。また記録媒体P上には垢・紙粉等が付着していることがあるため、それらの除去を行うことが望ましい。フィードローラによって供給された記録媒体Pは、ガイド13を経て、搬送ベルト7に搬送される。搬送ベルト7の裏面(好ましくは金属裏面)はローラ6Aを介して設置されている。搬送された記録媒体は、静電吸着手段9により搬送ベルト上に静電吸着される。図1では、負の高圧電源に接続されたスコロトロン帯電器により静電吸着がなされる。静電吸着手段9により、記録媒体9が搬送ベルト7上に浮き無く静電吸着されると共に、記録媒体表面を均一帯電する。ここでは静電吸着手段を記録媒体の帯電手段としても利用しているが、別途設けてもよい。帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト7によって吐出ヘッド部まで搬送され、帯電電位をバイアスとして記録信号電圧を重畳することにより静電インクジェット画像形成がなされる。画像形成された記録媒体Pは、除電手段10により除電され、力学的手段11により搬送ベルト7により剥離されて定着部へ搬送される。剥離された記録媒体Pは、画像定着手段14に送られ、定着がなされる。定着された記録媒体Pは、ガイド15を通って図示されない排紙ストッカーに排紙される。また、該装置は、インク組成物から発生する溶媒蒸気の回収手段を有する。回収手段は溶媒蒸気吸収材18からなり、排気ファン17により機内の溶媒蒸気を含む気体が吸着材に導入され、蒸気が吸着回収された後、機外に排気される。該装置は、上記例に限定されず、ローラ、帯電器等の構成デバイスの数、形状、相対配置、帯電極性等は任意に選べる。また上記システムでは4色描画について記述しているが、淡色インクや特色インクと組み合わせて、より多色のシステムとしてもよい。
上記インクジェット印刷方法に使用されるインクジェット記録装置は、吐出ヘッド2、インク循環系3からなり、インク循環系3は、さらにインクタンク、インク循環装置、インク濃度制御装置、インク温度管理装置等を有し、インクタンク内には撹拌装置を含んでいてもよい。
吐出ヘッド2としては、シングルチャンネルヘッド、マルチチャンネルヘッド、またはフルラインヘッドを使うことができ、搬送ベルト7の回転により主走査を行う。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に記録媒体または記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、記録媒体または対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても記録媒体または対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
上記インクジェット装置に好適に使用される吐出ヘッドを図2および図3に示す。図2および図3に示すように、インクジェットヘッド70は、一方向のインク流Qが形成されるインク流路72の上壁を構成する電気絶縁性の基板74と、インクを記録媒体Pへ向けて吐出する複数の吐出部76とを有する。吐出部76には、いずれもインク流路72から飛翔するインク滴Gを記録媒体Pへ向けて案内するインクガイド部78が設けられ、基板74には、インクガイド部78がそれぞれ挿通する開口75が形成されており、インクガイド部78と開口75の内壁面との間にはインクメニスカス42が形成されている。インクガイド部78と記録媒体Pとのギャップdは200μm〜1000μm程度であることが好ましい。また、インクガイド部78は、下端側で支持棒部40に固定されている。
基板74は、2つの吐出電極を所定間隔で離して電気的に絶縁している絶縁層44と、絶縁層44の上側に形成された第1吐出電極46と、第1吐出電極46を覆う絶縁層48と、絶縁層48の上側に形成されたガード電極50と、ガード電極50を覆う絶縁層52とを有する。また、基板74は、絶縁層44の下側に形成された第2吐出電極56と、第2吐出電極56を覆う絶縁層58とを有する。ガード電極50は、第1吐出電極46や第2吐出電極56に印加された電圧によって隣接する吐出部に電界上の影響が生じることを防止するために設けられる。
更に、インクジェットヘッド70には、インク流路72の底面を構成すると共に、第1吐出電極46および第2吐出電極56に印加されたパルス状の吐出電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路72内の正に帯電したインク粒子(荷電粒子)Rを上方へ向けて(すなわち記録媒体側に向けて)泳動させる浮遊導電板62が電気的浮遊状態で設けられている。また、浮遊導電板62の表面には、電気絶縁性である被覆膜64が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が好ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜はインクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより、浮遊導電板62がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板62は下方から絶縁部材66で覆われており、このような構成により、浮遊導電板62は完全に電気的絶縁状態にされている。
浮遊導電板62は、ヘッド1ユニットにつき1個以上である(例えば、C、M、Y、Kの4つのヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個ずつ有し、CとMのヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない)。
図3に示すように、インクジェットヘッド70からインクを飛翔させて記録媒体Pに記録するには、インク流路72内のインクを循環させることによりインク流Qを発生させた状態にし、ガード電極50に所定の電圧(例えば+100V)を印加する。更に、インクガイド部78に案内されて開口75から飛翔したインク滴G中の正の荷電粒子Rが記録媒体Pにまで引きつけられるような飛翔電界が、第1吐出電極46および第2吐出電極56と、記録媒体Pとの間に形成されるように、第1吐出電極46、第2吐出電極56および記録媒体Pに正電圧を印加する(ギャップdが500μmである場合に、1kV〜3.0kV程度の電位差を形成することを目安とする)。
この状態で、画像信号に応じて第1吐出電極46および第2吐出電極56にパルス電圧を印加すると、荷電粒子濃度が高められたインク滴Gが開口75から吐出する(例えば、初期の荷電粒子濃度が3〜15%である場合、インク滴Gの荷電粒子濃度が30%以上になる)。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
このように、パルス状の正電圧を印加すると、開口75からインク滴Gがインクガイド部78に案内されて飛翔し、記録媒体Pに付着すると共に、浮遊導電板62には、第1吐出電極46および第2吐出電極56に印加された正電圧により正の誘導電圧が発生する。第1吐出電極46および第2吐出電極56に印加される電圧がパルス状であっても、この誘導電圧はほぼ定常的な電圧である。従って、浮遊導電板62およびガード電極50と、記録媒体Pとの間に形成される電界によって、インク流路72内で正に帯電している荷電粒子Rは上方へ移動する力を受け、基板74の近傍で荷電粒子Rの濃度が高くなる。図3に示すように、使用する吐出部(すなわちインク滴を吐出させるチャンネル)の個数が多い場合、吐出に必要な荷電粒子数が多くなるが、使用する第1吐出電極46および第2吐出電極56の枚数が多くなるため、浮遊導電板62に誘起される誘導電圧は高くなり、記録媒体側へ移動する荷電粒子Rの個数も増大する。
上記では、着色粒子が正荷電に帯電している例について説明したが、着色粒子は負荷電に帯電されていてもよい。その場合には、上記の帯電極性は、すべて逆極性となる。
なお、本発明においては、被記録媒体へのインク吐出後、適切な加熱手段によりインクを定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラ、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置、およびドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連続し、一体となっていることが好ましい。定着時の被記録媒体の温度は、定着の容易さから、40℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、定着の時間は、1マイクロ秒〜20秒の範囲内であることが好ましい。
[インク組成物の補充]
静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク組成物中の荷電粒子が濃縮されて吐出する。従って、長時間インク組成物の吐出を行うと、インク組成物中の荷電粒子が減量し、インク組成物の電気伝導度が低下する。また、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合が変化する。さらに、吐出の際、直径の小さな荷電粒子よりも大きな荷電粒子が優先して吐出する傾向にあるため、荷電粒子の平均直径が小さくなる。また、インク組成物中の固形物の含有量が変化するため、粘度も変化する。
これらの物性値の変化により、結果として、吐出不良を起こしたり、記録された画像の光学濃度の低下やインクのにじみが発生する。このため、当初インクタンクへ仕込んだインク組成物よりも、高濃度(固形分濃度の高い)のインク組成物を補充することにより、荷電粒子の減量を防止し、インク組成物の電気伝導度や、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度の割合を一定の範囲に留めることができる。また、平均粒子直径や粘度を維持することができる。さらに、インク組成物の物性値を一定の範囲内に保つことにより、インク吐出が長時間安定して均一に行われる。この際の補充は、例えば、使用しているインク液の電気伝導度や光学濃度等の物性値を検出し、不足量を算出して、機械的または人力で成されることが好ましい。また、画像データを基に使用するインク組成物の量を算出し、機械的または人力で成されてもよい。
[被記録媒体]
本発明においては、用途に応じて様々な被記録媒体を用いることができる。例えば、紙、プラスチックフィルム、金属、および、プラスチックまたは金属がラミネートまたは蒸着された紙、金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等を用いれば、インクジェット記録することにより、直接印刷物を得ることができる。また、アルミニウムなどの金属を粗面化した支持体等を用いれば、オフセット印刷版を得ることができる。さらに、プラスチック支持体等を用いれば、フレキソ印刷版や液晶画面用のカラーフィルターを得ることができる。被記録媒体の形状は、シート状のように平面的であっても、円筒形状のように立体的であってもよい。また、シリコンウエハーや配線基板を被記録媒体として用いれば、半導体やプリント配線基板の製造に適用できる。
以上記述した、インク組成物、インクジェット記録装置、インク組成物の補充を組み合わせることにより、インクにじみがなく、かつ画像濃度の高い高画質の画像記録物を、長時間に渡って安定して得ることができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1 [被覆剤(AP−1)の合成]
1−メトキシ2−プロパノ−ル(MFG)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、メチルメタクリレ−ト75g(0.749mol)、ステアリルメタクリレ−ト20g(0.059mol)、モノマー(M−1)5g(0.0146mol)、ジメチル2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)(和光純薬工業(株)製、V−601)9.47g(41.13mmol)、MFG186.4gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥して下記構造の重合体(AP−1)を93g得た。重量平均分子量は、16,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.0であった。
Figure 2005239896
合成例2 [被覆剤(AP−2)の合成]
1−メトキシ2−プロパノ−ル(MFG)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、エチルメタクリレ−ト80g(0.701mol)、ドデシルメタクリレ−ト15g(0.059mol)、モノマー(M−1)5g(0.0146mol)、ジメチル2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)(V−601)8.92g(38.73mmol)、MFG186.4gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥して下記構造の重合体(AP−2)を90g得た。重量平均分子量は、19,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.4であった。
Figure 2005239896
合成例3[被覆剤(AP−3)]
ジメチルアセトアミド(DMAc)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、下記モノマー(M−2)20g(0.0884mol)、ブチルメタクリレート60g(0.422mol)ステアリルメタクリレート20g(0.088mol)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)2.75g(11.96mmol)、DMAc186.4gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥して下記構造のポリマー(AP−3)を88g得た。重量平均分子量は、36,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.9であった。
Figure 2005239896
合成例4 [被覆剤(AP−4)の合成]
1−メトキシ2−プロパノール(MFG)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、エチルメタクリレート85g(0.745mol)、ステアリルメタクリレート10g(0.0295mol)、モノマー(M−1)5g(0.0146mol)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)3.63g(15.78mmol)、MFG184.4g、水2gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥して下記ポリマー(AP−4)を93g得た。重量平均分子量は、33,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.0であった。
Figure 2005239896
合成例5 [被覆剤(AP−5)の合成]
1−メトキシ2−プロパノール(MFG)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、メチルメタクリレート38g(0.379mol)、ブチルメタクリレート47g(0.330mol)、ステアリルメタクリレート10g(0.0295mol)、モノマー(M−1)5g(0.0146mol)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)3.468g(15.06mmol)、MFG184.4g、水2グラムの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥してポリマー(AP−5)を93g得た。重量平均分子量は、28,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.88であった。
Figure 2005239896
合成例6 [被覆剤(AP−6)の合成]
トルエン46.6gを入れた500ml三口フラスコに、メチルメタクリレート70g(0.699mol)、MM−8[東亜合成(株)製(メタノール再沈後使用)Mw12,000]30g(2.5mmol)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)3.23g(14.03mmol)、トルエン186.4gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液をメタノールで再沈、真空乾燥してポリマー(AP−6)を80g得た。重量平均分子量は、29,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.2であった。
Figure 2005239896
合成例7 [被覆剤(AP−7)の合成]
1−メトキシ2−プロパノール(MFG)46.6gを入れた500ml三口フラスコに、スチレン75g(0.725mol)、ステアリルメタクリレート20g(0.059mol)、モノマー(M−1)5g(0.0146mol)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)3.65g(15.87mmol)、MFG186.4gの混合溶媒を窒素雰囲気下、80℃で2.5時間かけて滴下し、さらに2.5時間反応後、90℃に昇温し2時間反応した。この反応液を水で再沈、真空乾燥してポリマー(AP−7)を93g得た。重量平均分子量は、36,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.0であった。
Figure 2005239896
[実施例1]
<使用した材料>
本実施例1においては、下記の材料を使用した。
・シアン顔料(色材) フタロシアニン顔料 C.I.Pigment Blue(15:3)(東洋インキ製造(株)製、LIONOL BLUE FG−7350)
・被覆剤 [被覆剤重合体AP−1、上記合成例1参照]
・分散剤 [BZ−2]
・荷電調整剤 [CT−1]
・分散媒 アイソパーG(エクソン社(株)製)
分散剤[BZ−2]、荷電調整剤[CT−1]の構造を以下に示す。
Figure 2005239896
分散剤[BZ−2]は、メタクリル酸ステアリルを、2−メルカプトエタノール存在下ラジカル重合させ、さらに、メタクリル酸無水物と反応させることにより末端にメタクリロイル基を有するメタクリル酸ステアリルの重合体(重量平均分子量は7,600であった)を得た後、これをスチレンとラジカル重合させることにより得た。重量平均分子量は、110,000であった。
荷電調整剤[CT−1]は、1−オクタデセンと無水マレイン酸のコポリマーに、1−ヘキサデシルアミンを反応させることにより得た。重量平均分子量は、17,000であった。
<インク組成物(EC−1)の作成>
シアン顔料10g、被覆剤重合体[AP−1]20gを、入江商会(株)製卓上型ニ−ダ−PBV−0.1に入れ、ヒ−タ−温度を100℃に設定し2時間加熱混合した。得られた混合物30gをトリオサイエンス(株)製トリオブレンダ−にて粗粉砕し、さらに協立理工(株)製SK−M10型サンプルミルにて微粉砕した。得られた微粉砕物30gを、分散剤[BZ−2]7.5g、アイソパ−G75g、および直径約3.0mmのガラスビ−ズと共に、東洋精機製作所(株)製ペイントシェ−カ−にて予備分散した。ガラスビ−ズを除去した後、直径約0.6mmのジルコニアセラミックビ−ズと共に、シンマルエンタ−プライゼズ(株)製TypeKDLダイノミルにて、内温を25℃に保ちながら5時間、引き続き45℃で5時間、2、000rpmの回転数で分散(粒子化)した。得られた分散液からジルコニアセラミックビ−ズを除去し、アイソパ−G316gと荷電調整剤[CT−1]0.6gを加え、インク組成物[EC−1]を得た。
<インクジェット記録>
図1〜3に示すインクジェット記録装置に、実施例1のインク組成物[EC−1]をインクタンクに充填した。ここでは吐出ヘッドとして図2に示すタイプの150dpi(チャンネル密度50dpiの3列千鳥配置)、833チャンネルヘッドを使用し、また定着手段として1kWのヒータを内蔵したシリコンゴム性ヒートローラを使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈澱・凝集防止用の攪拌手段としても使用した。またインク流路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)あるいは濃縮インク(上記インク組成物の固形分濃度を2倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。被記録媒体としてオフセット印刷用微コート紙を使用した。エアーポンプ吸引により被記録媒体表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを画像形成位置まで被記録媒体に近づけ、記録すべき画像データを画像データ演算制御部に伝送し、搬送ベルトの回転により被記録媒体を搬送させながら吐出ヘッドを逐次移動しながらインク組成物を吐出して2400dpiの描画解像力で画像を形成した。搬送ベルトとして、金属ベルトとポリイミドフィルムを張り合わせたものを使用し、このベルトの片端付近に搬送方向に沿ってライン状のマーカーを配置し、これを搬送ベルト位置検知手段で光学的に読みとり、位置制御手段を駆動して画像形成を行った。この際、光学的ギャップ検出装置による出力により吐出ヘッドと記録媒体の距離は0.5mmに保った。また吐出の際には被記録媒体の表面電位を−1.5kVとしておき、吐出をおこなう際には+500Vのパルス電圧を印加し(パルス巾50μsec)、15kHzの駆動周波数で画像形成を行った。
得られたグレースケール画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみがなく極めて鮮明な画像であった。画像形成不良等は全く見られず、また外気温の変化、記録時間の増加によってもドット径変化等による画像劣化は全く見られず、良好な画像形成が可能であった。
<定着評価>
画像記録後すぐに、ヒートローラを用いて定着し、定着時のコート紙の温度を60〜100℃まで5℃刻みで変化させ定着をおこない、被覆剤がフローする温度(フロー開始温度)とヒートローラへのオフセットが発生しない上限温度(耐上限オフセット温度)を定着性の評価基準とした。
すなわち、フロー開始温度が低温で達成され、高温までオフセットが発生しないインクが望ましい。なお、ここでいう「フロー」とは、被覆剤が溶融し、流動した後に、被膜化した状態を表す。
結果を表1に示す。
フロー開始温度:定着後の画像表面のSEM写真観察で目視評価した。
耐上限オフセット温度:ヒートローラへのオフセット発生は、オフセットした画像をヒートローラから紙へ再転写させ、紙上で目視評価した。
印刷画像のブロッキング性については、定着性を十分満足する温度で、定着した画像上に印刷用紙と同じ紙を重ね、約50g/cm2の質量をかけ、50℃で24時間放置し、重ねた紙への画像部の転写程度を目視評価した。
なお、溶媒が被記録媒体(コート紙)に残存した状態においても上記と同様にしてフロー開始温度および耐上限オフセット温度を測定し、定着性評価を行った。
<動的弾性率の測定>
試料の微粉砕物3gをUBM社製レオメ−タ−「Rheosol−G1000型」の試料チャンバ−内にセットし、所定の測定方法に則りまず200℃でこれを溶融させたのち、温度を降下させながらロ−タ−を周波数1Hzで振動させ自動的に「温度−動的弾性率曲線」を記録し、100℃、50℃における動的弾性率を読み取った。
さらに少なくとも40〜100℃の温度範囲内において「温度−動的弾性率曲線」に2箇所の変曲点を有することを確認した。
[実施例2〜7]
使用素材として、被覆剤[AP−1]を[AP−2]〜[AP−7]に変えた以外は、実施例1とまったく同素材にて、同様な方法にてインク[EC−2]〜[EC−7]を作成し、インクジェット描画、定着評価を実施した。
[実施例8]
使用素材として、実施例1の被覆剤[AP−1]の代わりに、[AP−2]18g、ビフェニル(和光純薬(株)製、Tm70℃)2gを使用した以外は、実施例1とまったく同素材にて、同様な方法にてインク[EC−8]を作成し、インクジェット描画、定着評価を実施した。
[実施例9]
使用素材として、実施例1の被覆剤[AP−1]の代わりに、[AP−5]18g、バイロン220(東洋紡製、Tm80℃)2gを使用した以外は、実施例1とまったく同素材にて、同様な方法にてインク[EC−9]を作成し、インクジェット描画、定着評価を実施した。
[比較例1]
実施例1の被覆剤[AP−1]を比較重合体、ポリメチルメタクリレート(Mw15,000、Aldrich製)[BP−1]に変えた以外は実施例1と同様にして、インク組成物[RC−1]を作成し、インクジェット描画、定着評価を実施した。
[比較例2]
実施例1の被覆剤[AP−1]を比較共重合体ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート(モル比75/25)[アルドリッチ社製][BP−2]に変えた以外は実施例1と同様にして、インク組成物[RC−2]を作成、インクジェット描画、定着評価を実施した。
実施例1〜9、比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
Figure 2005239896
(定着性評価)
○:フロー開始温度70℃以下、かつ耐オフセット上限温度80℃以上
△:フロー開始温度75℃以上80℃未満、かつ耐オフセット上限温度80℃以上
×:フロー開始温度80℃以上、又は耐オフセット上限温度80℃未満
(耐ブロッキング性評価)
○:転写物なし
△:転写物若干あり
×:転写物かなりあり
表1から明らかなように、特定構造を有する重合体を被覆剤に用いた本発明はシャープメルト化が可能であり、かつ比較重合体を用いた比較例と比較して耐ブロッキング性、オフセット性も良好である。
本発明に用いるインクジェット印刷装置の一例を模式的に示す全体構成図である。 本発明のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの構成を示す斜視図である(判りやすくするために、各吐出部でのガード電極のエッジは描いていない)。 図2に示す、インクジェットヘッドの吐出部の使用数が多いときの荷電粒子の分布状態を示す側面断面図である(図2の矢視X−Xに相当)。
符号の説明
G 飛翔したインク滴
P 被記録媒体
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2、2Y、2M、2C、2K 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A、6B、6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部

Claims (3)

  1. 分散媒および、色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物において、該荷電粒子が下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とするインク組成物。
    Figure 2005239896
    一般式(1)中、
    1、a2は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
    Xは単結合又はC、H、N、O、S、Pから選ばれる2種以上の原子からなる総原子数50個以下の2価の連結基を表す。
    1は炭素数4以上の脂肪族炭化水素基を表す。
  2. 請求項1記載の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の、50℃での動的弾性率が106Pa以上、かつ100℃での動的弾性率が103Pa以上105Pa以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 静電界を利用したインクジェット記録方式でインク組成物をインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法において、使用するインク組成物が、分散媒および少なくとも色材を含む荷電粒子を含有し、かつ該荷電粒子が、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する重合体を少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
    Figure 2005239896
    一般式(A)中、
    1、a2は互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
    Xは単結合又はC、H、N、O、S、Pから選ばれる2種以上の原子からなる総原子数50個以下の2価の連結基を表す。
    1は炭素数4以上の脂肪族炭化水素基を表す。
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JP2014224252A (ja) * 2013-04-26 2014-12-04 キヤノン株式会社 樹脂組成物の製造方法及び樹脂組成物

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