JP2005239790A - 有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及び有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コポリマーからなる寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子を得る。
【解決手段】 可視光域の蛍光を有するコポリマーであって、共役構造を有するベースユニットと、キャリア輸送性を有するキャリア輸送性ユニットと、発光性を有する発光ユニットとを含み、キャリア輸送性ユニット及び発光ユニットのうちの一方が、ベースユニットに比べ電子供与性の高い構造を有しており、他方が、ベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有しているコポリマーからなることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】 可視光域の蛍光を有するコポリマーであって、共役構造を有するベースユニットと、キャリア輸送性を有するキャリア輸送性ユニットと、発光性を有する発光ユニットとを含み、キャリア輸送性ユニット及び発光ユニットのうちの一方が、ベースユニットに比べ電子供与性の高い構造を有しており、他方が、ベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有しているコポリマーからなることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子に関するものである。
有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)は、無機エレクトロルミネッセント素子に比べて、大面積化が容易であり、また発光材料の選択により所望の発色が得られ、低電圧で駆動可能であるため、近年盛んに応用研究がなされている。有機EL素子においては、一対の電極間に発光層及びキャリア輸送層などの有機材料からなる層が形成される。
従来有機材料層の形成方法としては、真空蒸着法等の方法が用いられている。しかしながら、溶液を塗布することにより塗膜として有機材料層を形成することができれば、素子の製造工程を簡略化することができる。このような塗膜形成方法により有機材料層を形成するためには、膜形成能を有するポリマーを用いる必要があり、発光性またはキャリア輸送性を有するポリマーを用いることにより、発光層またはキャリア輸送層を形成することができる。
また、発光層またはキャリア輸送層を形成するポリマーとして、コポリマーを用いることにより、種々の機能を有するユニットを導入し、機能化させることができる。特許文献1においては、ポリマー分子の凝集を抑制し、ポリマー中に含まれる発光性を有するユニットの発光波長よりも長波長側にシフトする問題を解決するため、発色団セグメントを有するポリマーに、スペーサーセグメントを導入することが提案されている。このようなスペーサーセグメントとしては、ベンゼン環や芳香族縮合環などの構造が示されている。
従来、コポリマーに導入するユニットとそれによりもたらされる機能について詳細には検討されていない。
特表平9−503239号公報
本発明の目的は、コポリマーからなる寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子を提供することにある。
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料は、可視光域の蛍光を有するコポリマーであって、共役構造を有するベースユニットと、キャリア輸送性を有するキャリア輸送性ユニットと、発光性を有する発光ユニットとを含み、キャリア輸送性ユニット及び発光ユニットのうちの一方が、ベースユニットに比べ電子供与性の高い構造を有しており、他方がベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有しているコポリマーからなることを特徴としている。
本発明のコポリマーは、ベースユニットと、キャリア輸送性ユニットと、発光ユニットとを含み、キャリア輸送性ユニット及び発光ユニットのうちの一方が、ベースユニットに比べ電子供与性の高い構造を有しており、他方が、ベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有している。電子供与性の高い構造を有するユニットを含ませることにより、コポリマーのHOMO(最高被占分子軌道)を高くすることができる。また、電子受容性の高い構造を有するユニットを含ませることにより、LUMO(最低空分子軌道)を下げることができる。このため、電子供与性の高い構造を有するユニットと電子受容性の高い構造を有するユニットの両方を含む本発明のコポリマーは、ベースユニット単独のポリマーに比べ、HOMOが高く、かつLUMOが低いコポリマーとすることができる。このようなコポリマーとすることにより、ホール及び電子の両方に対して安定なコポリマーとすることができ、ホール及び電子の両電荷が注入された場合にも、安定に電荷を保持することができる。このため、本発明のコポリマーを用いることにより、寿命特性に優れた有機EL素子とすることができる。
本発明のコポリマーにおけるベースユニットは、共役構造を有するものであれば特に限定されるものではない。共役構造としては、例えばフルオレン構造が挙げられる。フルオレン構造としては、例えば、以下に示すようなフルオレン構造が挙げられる。
(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であり、O、S、N、F、P、Si、またはアリール基が含まれていてもよいアルキル基である。)
(ここで、Arは、以下に示すアリール基である。)
(ここで、CnH2n+1は、炭素数1〜20のアルキル基であり、O、S、N、F、P、Si、またはアリール基が含まれていてもよいアルキル基である。)
(ここで、Eは、アルキル基、アリール基、フェニルアミン基、オキサジアゾール基、またはチオフェン基であり、アルキル基は、上記のような炭素数1〜20のアルキル基Rであり、アリール基は、上記のようなArである。)
上記において、アリール基の炭素数を1〜20としているのは、炭素数が1より小さいとポリマーが溶剤に溶解しにくくなるからであり、炭素数が20を超えるとポリマーのキャリア輸送性または発光性が低下するからである。
上記において、アリール基の炭素数を1〜20としているのは、炭素数が1より小さいとポリマーが溶剤に溶解しにくくなるからであり、炭素数が20を超えるとポリマーのキャリア輸送性または発光性が低下するからである。
本発明のコポリマーにおけるキャリア輸送性ユニットの構造としては、例えば、フェニルアミン誘導体、ナフチルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体、アルキルカルバゾール、フェニルカルバゾール、その他のカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、アルキルジオキシチオフェン誘導体、フェニルチオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、ジチエノチオフェン誘導体、ビチオフェン誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、チアジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロレン誘導体、スチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、フェニレンビニレン誘導体、シアノビニルフェニレン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、ベンゼン誘導体、アゾベンゼン誘導体、ビフェニル誘導体、フルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、ペリレン誘導体、シロキサン誘導体、フェニルシラン誘導体などの構造が挙げられる。
本発明のコポリマーにおける発光ユニットの構造としては、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、フェニルアミン誘導体、ナフチルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体、アルキルカルバゾール、フェニルカルバゾール、その他のカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、アルキルジオキシチオフェン誘導体、フェニルチオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、ジチエノチオフェン誘導体、ビチオフェン誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、チアジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントレン誘導体、フェナントロレン誘導体、スチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、フェニレンビニレン誘導体、シアノビニルフェニレン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゼン誘導体、アゾベンゼン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クマリン誘導体、クロメン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポルフィリン金属錯体、フェニルピリジン金属錯体、シロキサン誘導体、フェニルシラン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、キナクリドン誘導体、ベンゾフラン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、アクリジン誘導体、チオニン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサジン誘導体、アセナフテン誘導体、チアナフテン誘導体などの構造が挙げられる。
本発明のコポリマーにおいて、キャリア輸送性ユニットの含有割合は、モル比で発光ユニットの含有割合以上であることが好ましい。
コポリマーにおけるキャリア輸送性ユニットの含有割合は、コポリマー全体に対して5〜45モル%であることが好ましい。また、コポリマーにおける発光ユニットの含有割合は、コポリマー全体に対して1〜25モル%であることが好ましい。
本発明におけるコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜10,000,000の範囲内であり、さらに好ましくは1,000〜5,000,000であり、特に好ましくは5,000〜2,000,000である。分子量が低くなりすぎると、膜形成能などのポリマーとしての特性が失われ、分子量が高すぎると、溶剤に溶解しにくくなる。
本発明の有機EL素子は、一対の電極の間に配置される発光層を備え、本発明の有機材料を該発光層中に含むことを特徴としている。
本発明の有機材料は、有機エレクトロルミネッセント素子に用いて優れた寿命特性を与えるものである。従って、本発明の有機材料を発光層に用いることにより、寿命特性に優れた有機EL素子とすることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるせのではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
(実施例1)
<ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル)−コ−(トリフェニルアミン−4,4’−ジイル)]共重合体の合成>
<ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル)−コ−(トリフェニルアミン−4,4’−ジイル)]共重合体の合成>
PF8−BT(5%)[ポリマー1]:x=0.95、y=0.05、z=0
PF8−BT(5%)−TPA(5%)[ポリマー2]:x=0.90、y=0.05、z=0.05
PF8−BT(5%)−TPA(10%)[ポリマー3]:x=0.85、y=0.05、z=0.10
PF8−BT(10%)[ポリマー4]:x=0.90、y=0.10、z=0
PF8−BT(10%)−TPA(10%)[ポリマー5]:x=0.80、y=0.10、z=0.10
PF8−BT(10%)−TPA(15%)[ポリマー6]:x=0.75、y=0.10、z=0.15
PF8−BT(50%)[ポリマー7]:x=0.50、y=0.50、z=0
PF8[ポリマー8]:x=1.00、y=0、z=0
PF8−TPA(50%)[ポリマー9]:x=0.50、y=0、z=0.50
乾燥した反応器に、撹拌器をセットし、真空/窒素ラインに接続し、ゴム栓をした後、4,7−ジブロモベンゾチアジアゾール[(294×y)mg、ymmol]、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン[{548×(x−0.5)}mg、(x−0.5)mmol]、4,4’−ジブロモトリフェニルアミン[(403×z)mg、zmmol]、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.5mmol)、スズキカップリング触媒、トルエン(5ml)、塩基性溶液(8ml)を反応器に加えた。反応器内を脱ガス−窒素置換(3回)した後、撹拌しながら反応液を摂氏90度まで加熱した。そのまま反応液を、窒素雰囲気下、摂氏90度で保持し、撹拌しながら約3時間反応させた。次に、フェニルボロン酸(61mg)を加え、窒素雰囲気下、90度で撹拌しながら、さらに2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(約0.12ml)を加え、反応液を窒素雰囲気下、90度に保持して撹拌しながら、さらに2時間反応させた。
PF8−BT(5%)−TPA(5%)[ポリマー2]:x=0.90、y=0.05、z=0.05
PF8−BT(5%)−TPA(10%)[ポリマー3]:x=0.85、y=0.05、z=0.10
PF8−BT(10%)[ポリマー4]:x=0.90、y=0.10、z=0
PF8−BT(10%)−TPA(10%)[ポリマー5]:x=0.80、y=0.10、z=0.10
PF8−BT(10%)−TPA(15%)[ポリマー6]:x=0.75、y=0.10、z=0.15
PF8−BT(50%)[ポリマー7]:x=0.50、y=0.50、z=0
PF8[ポリマー8]:x=1.00、y=0、z=0
PF8−TPA(50%)[ポリマー9]:x=0.50、y=0、z=0.50
乾燥した反応器に、撹拌器をセットし、真空/窒素ラインに接続し、ゴム栓をした後、4,7−ジブロモベンゾチアジアゾール[(294×y)mg、ymmol]、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン[{548×(x−0.5)}mg、(x−0.5)mmol]、4,4’−ジブロモトリフェニルアミン[(403×z)mg、zmmol]、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.5mmol)、スズキカップリング触媒、トルエン(5ml)、塩基性溶液(8ml)を反応器に加えた。反応器内を脱ガス−窒素置換(3回)した後、撹拌しながら反応液を摂氏90度まで加熱した。そのまま反応液を、窒素雰囲気下、摂氏90度で保持し、撹拌しながら約3時間反応させた。次に、フェニルボロン酸(61mg)を加え、窒素雰囲気下、90度で撹拌しながら、さらに2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(約0.12ml)を加え、反応液を窒素雰囲気下、90度に保持して撹拌しながら、さらに2時間反応させた。
次に、反応液混合物を、300mlのメタノール中に滴下して、ポリマーを沈殿・析出させ、得られたポリマーをメタノールで3回洗浄し、真空中で乾燥させた。その後、ポリマーを約20mlのトルエンに溶かし、トルエンを溶出液として、シリカゲルを充填したカラム内を通した。カラムを通過したポリマー溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒の一部を蒸発させて取り除いた後、濃縮されたポリマー溶液を300mlのメタノール中に滴下して、再度、ポリマーを沈殿・析出させた。得られた生成物を、メタノールで3回洗浄した後、真空中で乾燥させ、最終生成物として、黄色のファイバー状ポリマーが得られた。収率は、約85−90%であった。これらのポリマーの数平均分子量(Mn)は、2〜8×104、重量平均分子量(Mw)は、5〜30×104、Mw/Mn=2.5〜5.5であった。
(実施例2)
<材料の光学的特性及び電子的特性の評価>
合成されたポリマーから各10mgを計り取り、1mlのトルエンに溶解させて、ポリマー溶液を調製した。溶けにくい場合には、摂氏40度から50度に加熱し、完全に溶解させた。溶液温度を室温(摂氏23度)に戻した後、フッ素樹脂フィルター(0.45μm)を用いてゴミ・塵埃等の粒子を除去し、ポリマー溶液を清浄なガラスサンプル管に移した。スピンコーターを準備し、33mm角の無蛍光ガラス基板(1mm厚)をスピンコーター上にセットした後、ガラス基板上に先ほど準備したポリマー溶液をガラスピペットまたはプラスチックシリンジを利用して滴下し、ガラス基板を2000rpmで回転させて、ポリマー膜を均一に成膜した。膜厚は600から900オングストロームの範囲であった。
<材料の光学的特性及び電子的特性の評価>
合成されたポリマーから各10mgを計り取り、1mlのトルエンに溶解させて、ポリマー溶液を調製した。溶けにくい場合には、摂氏40度から50度に加熱し、完全に溶解させた。溶液温度を室温(摂氏23度)に戻した後、フッ素樹脂フィルター(0.45μm)を用いてゴミ・塵埃等の粒子を除去し、ポリマー溶液を清浄なガラスサンプル管に移した。スピンコーターを準備し、33mm角の無蛍光ガラス基板(1mm厚)をスピンコーター上にセットした後、ガラス基板上に先ほど準備したポリマー溶液をガラスピペットまたはプラスチックシリンジを利用して滴下し、ガラス基板を2000rpmで回転させて、ポリマー膜を均一に成膜した。膜厚は600から900オングストロームの範囲であった。
次に、光吸収スペクトルを、島津製作所製MultiSpec−1500を用いて測定し、光吸収ピーク波長と光吸収端波長について記録した。蛍光スペクトルについては、日立製蛍光光度計F−4500を用いて測定し、蛍光ピーク波長について記録した。HOMOレベルについては、理研計器製の光電子分光測定装置AC−1を利用して測定した。LUMOレベルについては、HOMOレベルの値と、光吸収端波長から算出したバンドギャップの値から算出した。
各ポリマー膜の光学的特性及び電子的特性の結果を表1に示す。また、図1に各ポリマー膜のHOMOレベル及びLUMOレベルを示す。
表1及び図1から明らかなように、キャリア輸送性ユニットであるTPAを導入することにより、ベースユニット単独のポリマーであるPF8に比べ、HOMOレベルが上昇し、ポリマーの電子供与性が高められていることがわかる。また、TPAの含有量が高くなるにつれてHOMOレベルも高くなっている。
発光ユニットであるBTを導入することにより、ベースユニットの単独ポリマーであるPF8に比べ、LUMOレベルが低下し、電子受容性が高くなっていることがわかる。また、BTの含有量が増えるにつれてLUMOレベルが低下している。
本実施例においては、上述のように、キャリア輸送性ユニットが、ベースユニットに比べて電子受容性の高い構造を有するユニットであり、発光ユニットが、ベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有するユニットである。電子供与性の高い構造を有するか否か及び電子受容性の高い構造を有するか否かは、上記のように、ベースユニット単独のポリマーのHOMOレベル及びLUMOレベルと、これらの構造を導入したコポリマーのHOMOレベル及びLUMOレベルとを比較検討することにより決定することができる。
本発明に従い、電子供与性の高い構造を有するユニットと、電子受容性の高い構造を有するユニットとを導入することにより、得られるコポリマーのHOMOを高くして電子供与性を高めることができるとともに、LUMOのレベルを低くし、電子受容性を高めることができる。
図2は、HOMO及びLUMOと発光メカニズムとの関係を説明するための模式図である。Alからなる陰極から、Ca層を通り、発光層に電子が注入されるが、この時LUMOのレベルが低いと、電子受容性が高められ、より容易に発光層内に電子が注入される。また、ITOからなる陽極から電子注入層であるPEDOT:PSS層及びホール輸送層を通り発光層にホールが注入されるが、この時HOMOのレベルが高いと、より容易にホールが発光層内に注入される。本発明のコポリマーは、LUMOレベルが低く、かつHOMOレベルが高いものであるので、発光層内に、ホールに対して安定な分子を含むホール受容部位(電子供与部位)及び電子に対して安定な分子を含む電子受容部位を形成することができ、ホール及び電子の両方の電荷がそれぞれ発光層に注入された場合においても、発光層が安定に電荷を保持することができる。従って、発光層の電子的安定性が確保され、有機EL素子の連続駆動における安定性が保持できるようになる。
(実施例3)
<PF8−BT−TPA共重合体を用いた発光素子の評価>
PF8−BT−TPA共重合体を発光材料に用いて、下記に示す素子構造の発光素子を作製した。電子ブロック層として、PF8−TPA(50%)20mgと架橋剤(1,4−ブタンジオールジメタクリレート)12mgと光開始剤(ベンゾインエチルエーテル)0.6mgとを混合し、光架橋させたものを用いた。具体的には、以下のようにして発光素子を作製した。
<PF8−BT−TPA共重合体を用いた発光素子の評価>
PF8−BT−TPA共重合体を発光材料に用いて、下記に示す素子構造の発光素子を作製した。電子ブロック層として、PF8−TPA(50%)20mgと架橋剤(1,4−ブタンジオールジメタクリレート)12mgと光開始剤(ベンゾインエチルエーテル)0.6mgとを混合し、光架橋させたものを用いた。具体的には、以下のようにして発光素子を作製した。
発光素子用のITO(インジウムスズ酸化物)をパターン化したガラス基板を、イオン交換水、2−プロパノール、及びアセトンで洗浄した後、UV−オゾンストリッパーを用いて、表面の全ての有機分子を除去し、表面の水分親和性を高めた。次に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルフォネート)(以下、PEDOT:PSSという)(バイエルン社製)の水溶液を、このITO基板の上にスピンコートし、ホール注入層(HIL)を形成した。PEDOT:PSS(PEDOT薄膜:HIL)の厚みは500Åに制御した。このPEDOT薄膜を200℃で、10〜30分間空気中で加熱し、次に80〜200℃で約30分間真空中で加熱した。その後、上記の架橋可能なポリマー溶液を、PEDOT薄膜の上にスピンコートし、UV光照射により架橋させて、電子ブロック層(EBL)を形成した。このEBL層は、200Åの厚みとなるように形成した。
次に、EBL層の上に600Åの厚みで、ポリマー1〜7からなる発光層(EML)をスピンコートにより形成した。次に、カルシウムからなる電子注入層(EIL)及びアルミニウム(電極)を真空中で堆積させて陰極を形成した。Caの厚みは60Åとし、Alの厚みは2000Åとした。最後に、乾燥した窒素でパージしたグローボックス中で、基板をガラスキャップで覆い素子を得た。
PEDOT:PSSの構造を以下に示す。
作製した各発光素子について以下のようにして特性を評価した。輝度−電流−電圧(L−I−V)特性は、トプコン製輝度計BM−5A、大塚電子製分光器MCPD−7000、Keithley製2400型電源・電流計を用いて測定した。素子の輝度半減寿命についてはメトロテック製定電流電源を用い、連続駆動試験を室温、乾燥窒素雰囲気下、定電流、初期輝度500cd/m2という条件で行い、輝度および、駆動電圧の変化について記録した。測定結果を表2に示す。なお、表2には、コポリマー中のF8(ベースユニット)含有率、BT(発光ユニット)含有率、及びTPA(キャリア輸送性ユニット)含有率を併せて示している。
また、図3に、緑色発光層4(比較例)及び緑色発光素子5(実施例)の寿命試験結果を示す。
素子構造
緑色発光素子1:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー1/Ca/Al]
緑色発光素子2:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー2/Ca/Al]
緑色発光素子3:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー3/Ca/Al]
緑色発光素子4:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー4/Ca/Al]
緑色発光素子5:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー5/Ca/Al]
緑色発光素子6:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー6/Ca/Al]
緑色発光素子7:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー7/Ca/Al]
緑色発光素子1:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー1/Ca/Al]
緑色発光素子2:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー2/Ca/Al]
緑色発光素子3:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー3/Ca/Al]
緑色発光素子4:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー4/Ca/Al]
緑色発光素子5:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー5/Ca/Al]
緑色発光素子6:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー6/Ca/Al]
緑色発光素子7:[ITO/PEDOT:PSS/EBL/ポリマー7/Ca/Al]
表2及び図3に示す結果から明らかなように、本発明に従うコポリマーを発光材料として用いた有機EL素子は、輝度半減寿命が著しく向上しており、寿命特性に優れていることがわかる。これは、上述のように、本発明におけるコポリマーが、低いLUMOレベル、及び高いHOMOレベルを有し、ホール及び電子の両方の電荷が発光層に注入された場合においても、発光層に安定に電荷を保持することができるためであると考えられる。
Claims (4)
- 可視光域の蛍光を有するコポリマーであって、共役構造を有するベースユニットと、キャリア輸送性を有するキャリア輸送性ユニットと、発光性を有する発光ユニットとを含み、前記キャリア輸送性ユニット及び前記発光ユニットのうちの一方が、前記ベースユニットに比べ電子供与性の高い構造を有しており、他方が、前記ベースユニットに比べ電子受容性の高い構造を有しているコポリマーからなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
- 前記ベースユニットがフルオレン構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
- 前記コポリマーにおける前記キャリア輸送性ユニットの含有割合が、モル比で前記発光ユニットの含有割合以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
- 一対の電極の間に配置される発光層を備える有機エレクトロルミネッセント素子において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機材料を前記発光層中に含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004048589A JP2005239790A (ja) | 2004-02-24 | 2004-02-24 | 有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及び有機エレクトロルミネッセント素子 |
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JP2004048589A JP2005239790A (ja) | 2004-02-24 | 2004-02-24 | 有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及び有機エレクトロルミネッセント素子 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006233187A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-09-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子 |
WO2010016613A1 (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-11 | 住友化学株式会社 | 光電変換素子 |
WO2010050466A1 (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-06 | 日産化学工業株式会社 | 光電変換装置用波長変換膜形成組成物及び光電変換装置用波長変換膜並びに光電変換装置 |
KR20160113219A (ko) | 2014-03-07 | 2016-09-28 | 코니카 미놀타 가부시키가이샤 | 유기 일렉트로루미네센스 소자, 표시 장치, 조명 장치 및 발광성 조성물 |
-
2004
- 2004-02-24 JP JP2004048589A patent/JP2005239790A/ja active Pending
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JP2006233187A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-09-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子 |
WO2010016613A1 (ja) * | 2008-08-06 | 2010-02-11 | 住友化学株式会社 | 光電変換素子 |
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