JP2005239629A - インスリン受容体のリン酸化阻害剤 - Google Patents

インスリン受容体のリン酸化阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有するペプチドを同定し、該ペプチドを利用したインスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤を提供すること。
【解決手段】 下記の(a)又は(b)の何れかのペプチド又はその薬理学的に許容される塩を含む、インスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤。
(a)Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド;又は、
(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されているアミノ酸配列を有し、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又は脱リン酸化促進活性を有するペプチド。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有するペプチドを含むインスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤に関する。
インスリン受容体は、タンパク質チロシンキナーゼ活性を有するα2β2ヘテロ4量体糖タンパク質である。αサブユニットにインスリンが結合すると、チロシン特異的ホスホトランスフェラーゼ活性が活性化され、これにより、βサブユニットの細胞質ドメイン中の特異的チロシン残基が自己リン酸化される。基質のリン酸化の活性化の主な原因となる自己リン酸化の領域は、βサブユニットの活性化ループ上の1158番目のチロシン、
1162番目のチロシン及び1163番目のチロシンの3個のチロシン残基から構成される(非特許文献1〜3)。図1に、活性化ループのアミノ酸配列と、ラット脳のIIA型ナトリウムチャンネルのIII−IVリンカーのアミノ酸配列との比較を示す。意外なことに、III−IVリンカーの1487番目のアスパラギン酸と1496番目のリジンの間のアミノ酸配列は、インスリン受容体活性化ループの1156番目のアスパラギン酸と1165番目のリジンの間の配列と類似している。ヒト骨格筋(hSkM1)ナトリウムチャンネルでは、1483番目のフェニルアラニンと1486番目のグルタミンが各々ロイシンとリジンに置換されている。リジン及びアルギニンは共に塩基性アミノ酸なので、リジン残基はインスリン受容体の1155番目のアルギニンと合致する。
合成ペプチドであるKIFMK(アセチル−KIFMK−アミド)は、欠損した不活性化ゲートを有する変異体ナトリウムチャンネルに対する急速な不活性化を回復させることが知られている(非特許文献4)。非特許文献5には、N末端及びC末端のリジン残基並びに正確なIle−Phe−Met配列が急速な不活性化を回復するのに重要な決定因子であることが示されている。KIFMKはIII−IVリンカーの1487番目のアスパラギン酸と1496番目のリジンの間に結合すると考えられている(非特許文献6)。これらの知見から、KIFMKはインスリン受容体活性化ループの1156番目のアスパラギン酸と1165番目のリジンの間に結合することが推察される。しかしながら、アミノ酸配列KIFMKから成るペプチドがインスリンシグナル伝達に及ぼす影響については不明であった。
CHERQUI,G. et al., (1990) J.Biol.Chem., 265, 21254-21261 MURAKAMI,M.S. & ROSEN,O.M.(1991) J.Biol.Chem.,266, 22653-22660 ZHANG,B. et al., (1991) J.Biol.Chem., 266, 990-996 EAHOLTZ,G. et al., (1994) Neuron,12,1041-1048 EAHOLTZ,G. et al., (1999) J.Gen.Physiol. 113, 279-293 KUYODA, Y. et al., (1999) Biophys. J., 77, 1363-1373
インスリン受容体は、生体内においてインスリンの結合を引き金として自身のチロシン残基をリン酸化する(自己リン酸化)と同時に、基質となる種々の蛋白質のチロシン残基をリン酸化することによって、細胞内の情報伝達を担う。酵素ホスファターゼは、これらのリン酸化されたチロシン残基を脱リン酸化することにより情報伝達をコントロールしている。本発明は、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有するペプチドを同定し、該ペプチドを利用したインスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、各種オリゴペプチドを用いて、インスリン受容体βサブユニットのチロシンリン酸化をインビトロで調べた。その結果、Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドが、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有することを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、下記の(a)又は(b)の何れかのペプチド又はその薬理学的に許容される塩を含む、インスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤が提供される。
(a)Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド;又は、
(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されているアミノ酸配列を有し、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又は脱リン酸化促進活性を有するペプチド。
好ましくは、インスリンによるインスリン受容体のチロシンのリン酸化を阻害するインスリン受容体のリン酸化阻害剤が提供される。
本発明の別の側面によれば、下記の(a)又は(b)の何れかのペプチド又はその薬理学的に許容される塩を用いることを特徴とする、インスリン受容体のリン酸化を阻害する方法又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化を促進する方法が提供される。
(a)Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド;又は、
(b)上記(a)に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されているアミノ酸配列を有し、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又は脱リン酸化促進活性を有するペプチド。
本発明により、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有するペプチドを含むインスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤を提供することが可能になった。本発明の薬剤を用いることにより癌などの疾患の治療剤を提供することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明で用いるペプチドは、Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。
本発明で用いるペプチドは、インスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤として使用することができる。特に好ましくは、Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)及びLys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)をインスリン受容体のリン酸化阻害剤として使用することができ、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)及びAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドをリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤として使用することができる。
本発明で用いるペプチドは、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有することができる限り、上記アミノ酸配列中に1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されていてもよい。置換、欠失、挿入および/または付加されるアミノ酸の個数は特に限定されないが、一般的には1〜5個であり、好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1又は2個である。なお、アミノ酸置換の例としては、保存的置換が好ましく、具体的には以下の括弧内のアミノ酸による置換が挙げられる。(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)。
本発明で用いるペプチドは修飾されていてもよい。ここで修飾とは、ペプチドを構成するアミノ酸自体の構造の修飾、ペプチド中の隣接する、または隣接しないアミノ酸残基間での架橋、ペプチド結合の修飾、ペプチド基本骨格の修飾、側鎖官能基の導入、環状化、スペーサー(spacer)の導入等が挙げられる。修飾の具体例としては、例えば、アルキル化、エステル化、ハロゲン化、又はアミノ化などの官能基導入、酸化、還元、付加、又は脱離などによる官能基変換、糖化合物(単糖、二糖、オリゴ糖、若しくは多糖)又は脂質化合物などの導入、リン酸化、あるいはビオチン化などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
上記したようなアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列を有するペプチド、又は修飾ペプチドが、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有するかどうかは、本明細書の実施例に詳細かつ具体的に記載した試験方法によって、又は上記試験方法に適宜の改変や修飾を加えることにより、当業者が容易に確認可能である。
本発明で用いるペプチドの塩としては、薬理学上許容される酸付加塩および塩基付加塩であればいずれであってもよい。酸(無機酸および有機酸)付加塩としては、例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸又は硝酸などの無機酸との塩、あるいは酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの有機酸との塩が挙げられる。塩基(無機塩基および有機塩基)付加塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム又は水酸化マグネシウムなどの無機塩基との塩、あるいはカフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン又はリジンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
塩は、塩酸などの適切な酸、あるいは水酸化ナトリウムなどの適切な塩基を用いて調製することができる。例えば、水中、又はメタノール、エタノール若しくはジオキサンなどの不活性な水混和性有機溶媒を含む液体中で、標準的なプロトコルを用いて処理することにより調製することができる。なお、処理温度は通常0〜100℃であるが、室温が好ましい。
本発明で用いるペプチド又はその塩の化学合成を行う場合は、ペプチドの合成の常法手段によって合成できる。例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC 法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法等が挙げられる。また、その合成は、固相合成法及び液相合成法のいずれをも適用することができる。すなわち、ペプチド又はその塩を構成し得るアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的とするペプチド又はその塩が合成される。縮合方法や保護基の脱離としては、公知のいずれの手法を用いてもよい[例えばBodanszky, M and M.A. Ondetti, PeptideSynthesis, Interscience Publishers, New York (1966)、Schroeder and Luebke, The Peptide, Academic Press, New York (1965)、泉屋信夫他, ペプチド合成の基礎と実験, 丸善(1975)等を参照]。
反応後は、通常の精製法、例えば溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶などを組み合わせてペプチド又はその塩を精製することができる。また、ペプチド又はその塩は、C末端が通常カルボキシル(-COOH)基又はカルボキシレート(-COO-)であるが、C末端がアミド(-CONH2)又はエステル(-COOR)であってもよい。ここで、エステルにおけるRとしては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基などが挙げられる。さらに、本発明で用いるペプチド又はその塩には、N末端のアミノ基が保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合した糖ペプチドなどの複合ペプチド等も含まれる。
本発明で用いるペプチドの別の製造方法としては、当該ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子を利用して、遺伝子工学的手法により微生物細胞、植物細胞、動物細胞などの宿主において組み換えタンパク質(ペプチド)として生産する方法が挙げられる。
例えば、所望のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドを常法により合成し、PCR 法等によりアセンブリした後、これを適当な発現ベクターに導入する。次いで、発現ベクターで適当な宿主細胞を形質転換する。得られた形質転換細胞を適当な条件で培養することにより、培養液中あるいは宿主細胞中にペプチドが産生される。産生されるペプチドの単離、精製を容易にし、あるいは安定性を増大させるためにペプチドをコードする塩基配列に、FLAGペプチドやヒト免疫グロブリン定常領域をコードする塩基配列を付加して、これを発現させてもよい。本発明で用いるペプチドの製造のために任意の発現系、真核細胞例えば、動物細胞、例えば樹立された哺乳類細胞系、真菌細胞、および酵母細胞、並びに原核細胞例えば、細菌細胞例えば、大腸菌細胞等を使用することができる。好ましくは、本発明で用いるペプチドは哺乳類細胞、例えば、COS 細胞、CHO 細胞中で発現される。これらの場合、哺乳類細胞での発現のために有用な常用のプロモーターを用いることができる。例えば、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター(human cytomegalovirus immediate early promoter)を使用することができる。その他に本発明のために使用することができる哺乳類細胞における遺伝子発現のプロモーターとしてはレトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV40)などのウィルスプロモーターやヒトポリペプチドエロンゲーションファクタ-1α(HEF-1 α)などの哺乳動物細胞由来のプロモーターを用いればよい。
ペプチドは通常の方法に従い精製することができ、例えば、ゲル濾過、逆相HPLC、イオン交換カラム精製など通常のタンパク質又はペプチド精製に用いられる手段を用いて精製することが可能である。
本発明で用いるペプチドは、インスリン受容体のリン酸化阻害活性、又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進活性を有し、ヒトをはじめとする哺乳動物に投与することができ、例えば、各種の癌等の治療又は予防に有効である。
本発明で用いるペプチドは、そのままで又は医薬製造分野で通常使用される各種の固体担体、液体担体、乳化分散剤等に含有させた形で使用することができる。具体的には、本発明で用いるペプチドを医薬組成物形態で使用する場合には、その製剤形態は、使用目的や使用対象に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等の形態で用いることができる。
また、錠剤形成に際して使用する担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭化カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水又はアルコール類を含ませたデンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油糖の崩壊制御剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用することができる。さらに錠剤は必要に応じて通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖皮錠、ゼラチン被包錠、腸溶皮膜フィルムコーティング錠又は二重錠、多層錠とすることができる。
またペプチドを注射剤として調製する場合には、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であることが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤として水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができ、また必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の安定剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム等の懸濁化剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖、グリセリン等の等張化剤、パラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、クロロブタノール等の保存剤のほか、溶液補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を配合して使用することもできる。
上記各形態の医薬組成物の中には、さらに必要に応じて慣用されている着色剤、香料、風味剤、甘味剤等を配合することができ、また他の医薬品有効成分を含有させても構わない。
ペプチドを医薬組成物として用いる場合、該ペプチドを一般的には0.001〜90重量%、好ましくは0.001〜80重量%の割合で包含させて使用する。
本発明の医薬組成物はヒトを含む哺乳動物に投与することができる。投与経路は経口投与でも非経口投与でもよい。本発明の医薬組成物の投与量は患者の年齢、性別、体重、症状、及び投与経路などの条件に応じて適宜増減されるべきであるが、一般的には、有効成分量として成人一日あたり1μg/kgから1,000mg/kg程度の範囲であり、好ましくは10μg/kgから100mg/kg程度の範囲である。上記投与量は一日一回投与しても一日に数回に分けて投与してもよい。また投与期間及び投与間隔も特に限定されず、毎日投与してもよいしあるいは数日間隔で投与してもよい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(A)方法
(1)材料
抗ホスホチロシン抗体(4G10)はUpstate Biotechnology社(Lake Placid, NY, USA)から入手した。小麦胚凝集素のアフィニティクロマトグラフィーにより精製したラット肝臓由来のインスリン受容体、インスリン及びATPは、Sigma Chemical Co. (St Louise, MO, USA)から購入した。
(2)ペプチドの合成及び精製
ペプチドは、Applied Biosystems 433Aペプチド合成機でFmoc法により固相法で自動合成し、N末端はアセチル化し(Ac−で示す)、C末端はアミド化した(NH2で示す)。TFAで切断後、ペプチドは、90%溶剤A/10%溶剤Bから60%溶剤A/40%溶剤Bの勾配(ここで、溶剤Aは0.1%トリフルオロ酢酸水溶液であり、溶剤Bは0.1%TFAのアセトニトリル溶液である)を用いて30分間、逆相C18HPLCカラムで精製した。ペプチドは、Perkin-Elmer SCIEX API III質量スペクトロメーターでイオンスプレー質量スペクトル分析により測定した。
KIFMK, Ac-KIFMK-NH2: m/z calcd 706.42 (monoisotope), 706.95(av.) found 707.0 (MH+);
KIYEK, Ac-KIYEK-NH2: m/z calcd 720.42 (monoisotope), 720.87(av.) found 721.0 (MH+);
KIQMK, Ac-KIQMK-NH2: m/z calcd 687.41 (monoisotope), 687.91(av.) found 688.0 (MH+);
DIYET, Ac-DIYET-NH2: m/z calcd 680.30 (monoisotope), 680.71(av.) found 680.5 (MH+);
LPFFD, Ac-LPFFD-NH2: m/z calcd 678.34 (monoisotope), 678.79(av.) found 680.0 (MH+);
(3)ペプチドの存在下でのインスリン受容体のインビトロリン酸化
精製したインスリン受容体(1μgタンパク質)を、100nMのインスリンと一緒に37℃で10分間、50μlのインキュベーション緩衝液(50mM HEPES, pH7.4, 125mM NaCl, 1mM EDTA, 10mM MgCl2, 5mM MnCl2, 5mMジチオスレイトール、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、及び0.2mMのATP)中においてリン酸化した。ペプチド(LPFFD、KIQMK、DIYET、KIFMK、及びKIYEK;それぞれ0.04、0.4または4mM)もインキュベーション前に添加した。インキュベーション後、Laemmli試料緩衝液を追加し、5分間煮沸することによって、SDS-PAGE用の試料を調製し、抗ホスホチロシン抗体を用いてウエスタンブロット分析を行った。
(4)インスリン受容体のリン酸化チロシン残基に及ぼすペプチドの影響についてのインビトロ解析
精製したインスリン受容体(タンパク質1μg)をインキュベーション緩衝液中で37℃で0、10、20又は30分間インキュベートした。インスリン(100nM)を全試料に0分の時点で添加した。0又は10分のインキュベーション用に計画した試料中に、インスリン刺激の0または10分後にLaemmli試料緩衝液を添加することによって、反応を停止させた。
20分間又は30分間のインキュベーション用の試料には、4mMの合成ペプチド(LPFFD、KIQMK、DIYET、KIFMK、KIYEK)をインスリン刺激の11分後に添加し、Laemmli試料緩衝液をインスリン刺激の20分後又は30分後に添加し、反応を停止した。全ての試料を5分間煮沸し、抗ホスホチロシン抗体を用いてウエスタンブロット分析を行った。
(5)統計分析
データはSPSS(SPSS社、Chicago, IL, USA)を用いてTurkey post hoc分析により分散の一方向分析により解析した。統計的有意差は、p<0.05レベルで確立した。全ての値は平均±SDで示す。
(B)結果
(1)インビトロにおける各種ペプチドによるインスリン受容体のインスリン刺激チロシンリン酸化の阻害
10分間ペプチドなしでのインスリン受容体のインスリンに刺激された応答をコントロールとし、これを100%とした。KIFMKおよびKIYEKは共に4mMで、インスリン受容体のインスリンで刺激された自己リン酸化の完全な抑制を誘導した(図2)。0.4mMのKIFMKおよびKIYEKは自己リン酸化の有意な抑制を示したが、同濃度のKIQMKおよびDIYETはいずれも自己リン酸化の抑制を誘導しなかった(図2)。しかしながら、4mMのKIQMKおよびDIYETはリン酸化の有意な抑制を示した。コントロールペプチドLPFFDは、インスリンで刺激された自己リン酸化に影響しなかった。これらの結果は、KIFMKおよびKIYEKは、KIQMK又はDIYETの場合より10倍低い濃度で、インスリン受容体のインスリンで刺激された自己リン酸化を抑制することを示している。
(2)インビトロにおける各種ペプチドによるインスリン受容体のチロシン残基の脱リン酸化
インスリン受容体のチロシンリン酸化の最大レベルはインスリン刺激の10分後に到達し、そのレベルはインキュベーション緩衝液中で少なくとも30分間維持された。従って、10分後におけるインスリン受容体のインスリンで刺激された応答を100%とみなした。KIYEK(4mM)又はDIYET(4mM)をインスリン刺激の11分後に添加した場合、最大レベルのチロシンリン酸化は低下した(図3)。対照的に、KIQMKおよびKIFMKは、チロシンのリン酸化レベルを低下させる効果が低かった。KIYEK及びDIYETの2種のペプチドは、10分後に観察した際、インスリン受容体のリン酸化の増大をほぼ完全に元の状態まで戻した。予想通り、LPFFDは、インスリンで刺激した自己リン酸化に影響しなかった。これらの結果は、インスリン受容体の活性化ループ上に存在するIYE配列を含有するKIYEK及びDIYET(図1)は、自己リン酸化したインスリン受容体に対する脱リン酸化作用を有することを示す。一方、ナトリウムチャンネルのIII−IVリンカー中のIFM配列を含有するKIFMK(図1)は、自己リン酸化を効率的に抑制するが、自己リン酸化したインスリン受容体を脱リン酸化する作用は弱い。KIYEK及びKIFMKにおける脱リン酸化作用の相違は、脱リン酸化の分子機構に起因する可能性がある。DIYETもリン酸化残基を脱リン酸化できたので、IYE(Ile-Tyr-Glu)配列が脱リン酸化に重要であると考えられる。
本発明のインスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤は、医薬並びに実験試薬として有用である。
図1は、ラット脳IIA型ナトリウムチャンネルのIII-IVリンカー(K1480-M1501)、並びにヒトインスリン受容体の活性化ループ(G1149-L1170)のアミノ酸配列を示す。ヒト骨格筋(hSkM1)ナトリウムチャンネルでは、F1438及びQ1486がそれぞれLeu及びLys(hSkM1ではK1308)に置換されている。III-IVリンカー及びインスリン受容体の活性化ループのアミノ酸の類似性を矢印で示す。 図2は、ペプチド(LPFFD、KIQMK、DIYET、KIFMK、KIYEK)の存在下又は非存在下における精製インスリン受容体のインビトロリン酸化を示す。精製インスリン受容体は緩衝液中で100nMのインスリンと共に(又はなしで)、かつ上記ペプチドと共に(又はなしで)、37℃で10分間インキュベートした。上段のパネルに示した各ペプチドの4個の結果は、典型的なイムノブロットを示す。*P<0.05**P<0.01(ペプチドなしでのインスリン刺激したチロシンリン酸化に対して)各レーンにつきn=4 図3は、インスリン受容体のインビトロでインスリンで刺激されたチロシンリン酸化に対する合成ペプチドの異なる時点での効果を示す。精製インスリン受容体は、100nMのインスリンを含む緩衝液中で37℃で0、10、20又は30分間インキュベートした。各ペプチドは、20又は30分間のインキュベーションの試料中にインスリン刺激の11分後に添加した。上段のパネルに示した結果は、典型的なイムノブロットを示す。**P<0.01(10分間のインキュベーション時におけるインスリンで刺激されたチロシンリン酸化に対して)各レーンにつきn=4

Claims (3)

  1. 下記の(a)又は(b)の何れかのペプチド又はその薬理学的に許容される塩を含む、インスリン受容体のリン酸化阻害剤又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化促進剤。
    (a)Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド;又は、
    (b)上記(a)に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されているアミノ酸配列を有し、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又は脱リン酸化促進活性を有するペプチド。
  2. インスリンによるインスリン受容体のチロシンのリン酸化を阻害する、請求項1に記載のインスリン受容体のリン酸化阻害剤。
  3. 下記の(a)又は(b)の何れかのペプチド又はその薬理学的に許容される塩を用いることを特徴とする、インスリン受容体のリン酸化を阻害する方法又はリン酸化インスリン受容体の脱リン酸化を促進する方法。
    (a)Lys-Ile-Phe-Met-Lys(配列番号1)、Lys-Ile-Tyr-Glu-Lys(配列番号2)、Lys-Ile-Gln-Met-Lys(配列番号3)又はAsp-Ile-Tyr-Glu-Thr(配列番号4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド;又は、
    (b)上記(a)に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/又は付加されているアミノ酸配列を有し、インスリン受容体のリン酸化阻害活性又は脱リン酸化促進活性を有するペプチド。
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