JP2005237614A - 胃瘻造設用カテーテル・キット - Google Patents

胃瘻造設用カテーテル・キット Download PDF

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Abstract

【課題】生体の胃瘻を造設するために用いられるカテーテル・キットであって、生体のうちの胃瘻造設部位の細菌感染を軽減しつつプッシュ法またはプル法を改善された使い勝手のもとに実施することが可能なものを提供する。
【解決手段】栄養を体外から胃18内に導入するチューブ12と、そのチューブをそれの外側から被覆する筒状のシース14とが、生体の口腔54を経て胃18内に一緒に挿入される。シースが挿入限度位置に達した後にチューブを単独で前進させようとすると、シースの先端部46がチューブの先端部28によって破断され、その後はチューブが単独で前進して胃瘻造設部位に接近する。したがって、シースが挿入限度位置に達するまでは、そのシースにより、チューブに生体の細菌が付着することが防止され、よって、そのチューブが胃瘻造設部位に到達して接触しても、胃瘻造設部位が細菌によって感染せずに済む。
【選択図】図7

Description

本発明は、生体の胃瘻を造設するために用いられるカテーテル・キットに関するものであり、特に、生体のうちの胃瘻造設部位の細菌感染を軽減しつつプッシュ法またはプル法を実施することを可能にする技術の改良に関するものである。
栄養剤の一種に経腸栄養剤が既に存在する。この経腸栄養剤は、一般に、食物の嚥下が困難であるかまたは不可能である患者に投与される。このような投与を実現する一手法として、患者の胃瘻に設置されたチューブを経て経腸栄養剤を体外から胃内に注入する手法が存在する。これは胃瘻栄養管理といわれる。
この胃瘻栄養管理を施行するためには、患者の腹壁および胃壁に胃瘻を造設することが必要である。この胃瘻は、開腹手術によって造設することは可能であるが、近年、手術時間の短縮および術後患者の早期回復という利点を有する経皮内視鏡的胃瘻造設術Percutaneous Endoscopic Gastrostomy(以下、「PEG」と略称する。)の実施が広く普及しつつある。
PEGは2つに大別される。それは、経口的にチューブを体内に挿入して設置する「プル法」または「プッシュ法」と、経皮的にチューブを体内に挿入して設置する「イントロデューサ法」とである。
「プル法」または「プッシュ法」においては、いずれも、まず、胃瘻造設に先立って患者の腹壁および胃壁に形成された貫通孔を経てガイド・ワイヤが体外から胃内に挿入される。その挿入されたガイド・ワイヤは、口腔から挿入された内視鏡によって把持されて口腔から体外へ部分的に引き出される。そのようにして貫通孔と口腔とに及ぶように生体に設置されたガイド・ワイヤを利用しつつ、チューブが体外から口腔を経て胃内に挿入され、それにより、チューブが胃内に設置される。
ひとたび設置されたチューブが勝手に患者の胃から抜去されないように、チューブのうち胃内に留置されている部分に、そのチューブを胃内に固定する胃内固定具が装着される。
このように、「プル法」と「プッシュ法」とは、チューブの挿入原理に関して基本的に共通するため、利点および欠点のいずれに関してもほとんど共通する。ただし、「プル法」は、ガイド・ワイヤによってチューブに軸方向引張力を作用させることにより、チューブを口腔を経て胃内に引き込む方法であり、これに対し、「プッシュ法」は、ガイド・ワイヤによって案内しつつ、チューブに軸方向圧縮力を作用させることにより、チューブを口腔を経て胃内に押し込む方法である。このように、「プル法」と「プッシュ法」とは、チューブを挿入するためにそのチューブに作用させる力の種類(向き)に関しては互いに異なっている。
これに対し、「イントロデューサ法」においては、患者の腹壁および胃壁に形成された貫通孔を経てチューブが体外から胃内に直接に挿入されて設置される。したがって、この「イントロデューサ法」によれば、チューブを体内に挿入する際にチューブが口腔を通過せずに済む。
この「イントロデューサ法」においては、ひとたび設置されたチューブが勝手に患者の貫通孔から離脱してしまうことを防止するために、チューブのうち胃内に留置されている部分に貫通孔より大きい胃内固定具が装着される。しかし、それらチューブおよび胃内固定具は、チューブ挿入過程においては、狭い貫通孔を通過しなければならない。
そのため、この「イントロデューサ法」においては、胃内固定具が、チューブ挿入過程においては収縮し、留置状態においては拡大するように自らの形状が変化するように構成される。このような胃内固定具の一例は、流体の出し入れによって収縮状態と拡大状態とに変化するバルーンである。
この「イントロデューサ法」は、患者に形成された狭い貫通孔を胃内固定具およびチューブが通過しなければならないためにそれら胃内固定具およびチューブの径方向寸法を増加させることが技術的に困難であるなどの理由により、PEGの一般的な方法として未だ定着していない。
したがって、PEGの一般的な方法は、「プル法」または「プッシュ法」であるが、それら「プル法」または「プッシュ法」を実施する場合には、「イントロデューサ法」を実施する場合とは異なり、チューブが細菌叢の培地である口腔,咽頭および食道をそれらの順に通過しなければならない。
そのため、「プル法」または「プッシュ法」を実施する場合には、「イントロデューサ法」を実施する場合とは異なり、チューブがそれら口腔,咽頭および食道を通過する際にチューブが細菌で汚染される可能性がある。その結果、患者のうち胃瘻造設部位すなわち創部にまで細菌がチューブによって伝搬されて感染してしまう可能性もある。
創部の感染を防止しつつ「プル法」を実施することを可能にするカテーテル・キットの一従来例が特許文献1に記載されている。この従来例は、創部感染を防止するためにPEGチューブがシースによって被覆される構成を有するカテーテル・キットである。
具体的には、その従来例においては、患者の腹壁および胃壁に形成された貫通孔と口腔とに及ぶように生体に設置されたガイド・ワイヤが、そのうち体外に露出させられた部分において、PEGチューブの連結ワイヤと連結される。そのPEGチューブは汚染防止用のシースによって被覆されている。
そのシースは、可撓性を有して長さ方向に延びるとともに、それの両端において開口させられている。シースの両開口端の一方はチューブの出口端として使用されるようになっている。シースのうち出口端を形成する周縁部は外側に折り返され、その折り返された周縁部はそれの先端部において部分的にシースに接着されている。それにより、シースの周方向に延びる筒状の空間がシースの出口端に形成されている。
その空間に閉鎖用糸が挿通されている。一方、シースの外側にはそれの長さ方向に沿って延びるカバーが装着されている。このカバーは、シースとの間に、そのシースの長さ方向に延びる空間を形成している。その空間内に締め付け用チューブが相対移動可能に挿入されている。この締め付け用チューブは、シースに沿って、それの出口端の近傍位置から、それから遠ざかる向きに延びている。
上記閉鎖用糸は、連続した糸として構成されており、その中間位置にループ部を有している。閉鎖用糸は、そのループ部においてシースに巻き付けられている。閉鎖用糸のうち、そのループ部から延びる2つの部分は、束を成して上記締め付け用チューブの両端部のうちシースの出口端に近い端部から進入してそれを通過し、やがて反対側の端部から部分的に露出させられている。
この従来例においては、閉鎖用糸のうち締め付け用チューブから露出させられた露出部をその締め付け用チューブから遠ざかる向きに引張ると同時に、その締め付け用チューブをシースの出口端に近づく向きに押し込めば、閉鎖用糸のループ部が引き締められる結果、シースの出口端が縮径されて閉塞される。逆に、閉鎖用糸のうち上記露出部が締め付け用チューブに近づく向きに引き込まれるのを許容すると同時に、その締め付け用チューブをシースの出口端から遠ざかる向きに引張れば、閉鎖用糸のループ部が緩められる結果、シースの出口端が拡径されて開口させられる。
このように、この従来例においては、閉鎖用糸および締め付け用チューブの操作により、シースの出口端の開口および閉塞が選択的に行われるのである。そして、この従来例においては、PEGチューブがシースと共に体内に挿入される過程においては、閉鎖用糸および締め付け用チューブの操作によってシースの出口端が閉塞されるとともに、その閉塞されたシース内にPEGチューブが封入される。これにより、この従来例によれば、PEGチューブの挿入過程において、PEGチューブに細菌が付着せずに済む。
この従来例においては、PEGチューブが胃内に設置された後には、閉鎖用糸および締め付け用チューブの操作によってシースの出口端が開口可能な状態となり、PEGチューブがシースの出口端から露出させられ、やがてPEGチューブの先端が患者の貫通孔に挿入される。その後、シースは、PEGチューブの外周面を軸方向に次第に露出させつつ口腔を経て体外に抜去される。
特開2001−224694号公報
上述の従来例によれば、シースによって被覆されたPEGチューブが口腔を経て胃内に設置された状態において、これからPEGチューブを生体の貫通孔に挿入しようとする段階になると、その挿入に先立ち、シースからPEGチューブを分離すべく、特別の分離操作が行われる。
具体的には、前述のように、閉鎖用糸のうち締め付け用チューブから露出させられているが締め付け用チューブに近づく向きに引き込まれるのを許容すると同時に、その締め付け用チューブをシースの出口端から遠ざかる向きに引張ることが行われる。これにより、閉鎖用糸のループ部が緩められ、その結果、シースの出口端が拡径されて開口させられる。
この開口状態において、PEGチューブが、シースの出口端から突出する向きに、ガイド・ワイヤによって牽引される。この牽引により、PEGチューブがシースから露出させられ、やがて生体の貫通孔に挿入される。
このように、この従来例においては、PEGチューブをシースから分離した後に貫通孔に挿入するために、PEGチューブの挿入操作とは別の、PEGチューブの分離操作が必要である。そのため、この従来例には、カテーテル・キットの使い勝手を改善する余地がある。
以上説明した事情を背景に、本発明は、生体の胃瘻を造設するために用いられるカテーテル・キットであって、生体のうちの胃瘻造設部位の細菌感染を軽減しつつプッシュ法またはプル法を改善された使い勝手のもとに実施することが可能なものを提供することを課題としてなされたものである。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 栄養を体外から胃内に導入するために使用される胃瘻を生体に造設するための胃瘻造設用カテーテル・キットであって、
前記栄養を体外から胃内に導入する栄養通路が内部に形成されたチューブであって、前記生体の口腔を経て胃内に挿入された後、前記胃瘻の造設に先立って前記生体のうちその胃瘻造設予定部位に前記生体の腹壁と胃壁とを一緒に貫通する状態で形成された貫通孔に挿入されて設置されるものと、
そのチューブをそれの外側から被覆する筒状のシースであって、前記チューブと共に前記生体の口腔を経て体内に挿入され、かつ、体内への挿入限度位置を規定するシース・ストッパを有するものと
を含み、かつ、
前記シースが前記挿入限度位置に達した後に前記チューブが単独で前記貫通孔に接近させられることに伴ってそのチューブの前記シースに対する軸方向相対変位が発生し、その軸方向相対変位により、前記シースのうち前記チューブの胃側端部に対向する部分を破断する破断部が前記チューブの胃側端部に形成された胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットにおいては、チューブが、そのチューブをそれの外側から被覆する筒状のシースと共に、生体の口腔を経て体内に挿入される。
したがって、このカテーテル・キットによれば、チューブが口腔を経て体内に挿入される過程において、シースにより、チューブが細菌付着から保護される。よって、このカテーテル・キットによれば、生体に形成された貫通孔にそのチューブが到達して接触しても、その貫通孔が細菌で感染せずに済み、その結果、創部感染が軽減される。
すなわち、このカテーテル・キットによれば、PEGのうち「プル法」または「プッシュ法」によって生体に胃瘻を造設することが可能となる。一方、それら「プル法」または「プッシュ法」を実施する場合には、本来、チューブが細菌叢の培地である口腔,咽頭および食道を通過して体内に挿入されるため、チューブが細菌に汚染される可能性がある。しかし、本項に係るカテーテル・キットによれば、生体の口腔から食道を経て胃内に挿入されるチューブが、細菌叢の培地を通過するにもかかわらず、その通過中はチューブがシースによって被覆されているため、チューブは細菌に触れることなく細菌叢の培地を通過することが可能となる。
さらに、このカテーテル・キットにおいては、シースの体内への挿入限度位置を規定するシース・ストッパがシースに設けられており、そのシースが挿入限度位置に達した後にはチューブが単独で貫通孔に接近させられることになる。この接近に伴い、チューブのシースに対する軸方向相対変位が発生する。このカテーテル・キットにおいては、その軸方向相対変位により、シースのうちチューブの胃側端部に対向する部分が、そのチューブの胃側端部に形成された破断部によって破断される。
したがって、このカテーテル・キットによれば、チューブをシースから分離すべく、そのシースのうちチューブの胃側端部に対向する部分を破断するために、特別な操作を行うことが不要となる。すなわち、チューブが生体の貫通孔に接近する向きに移動させられれば、それに付随して、すなわち、自動的にシースが破断されるのである。よって、このカテーテル・キットによれば、チューブをシースから分離する作業が簡単になり、使い勝手が向上する。
さらに、このカテーテル・キットにおいて、チューブが単独で貫通孔に接近することを可能にする動作であるシースの開口(開封)が、シースの破断という現象によって達成され、かつ、シースが挿入限度位置に達するまでの期間においては、シースが破断されておらず、連続体を成している。
したがって、このカテーテル・キットによれば、細菌がシースの外側からそのシース(特に、そのシースのうち被破断予定部位)を通過してその内部に侵入してチューブに付着してしまうことをより確実に防止し得る。このように、シースのより信頼できるシール機能により、チューブが細菌付着から保護される。したがって、このカテーテル・キットによれば、チューブの挿入過程において、チューブへの細菌付着を防止することが容易となる。
本項において「生体」は、人間を含むように定義することが可能であるのはもちろんであるが、人間以外の動物を含むように定義することも可能である。
さらに、本項において「軸方向相対変位」により「シースを破断する」原理としては、例えば、その軸方向相対変位に伴ってチューブからシースに力(例えば、軸力または半径方向力)を作用させ、その力によってシースを破断する原理がある。
さらに、本項において「シースを破断する」方式としては、例えば、チューブによってシースを突き破る方式や、チューブによってシースを押し破る方式や、チューブによってシースを押し広げて破る方式や、シースに予め形成された割線(例えば、シーム、シースのうち周辺より応力が収集し易い線状の領域であってそれに沿ってチューブが破断し易いもの)に沿ってシースを引き裂く方式がある。
さらに、本項において「シースを破断する」態様として、例えば、シースをそれの長さ方向に沿って全体的に複数の部分に分離する態様や、シースをそれの長さ方向に沿って部分的に複数の部分に分離する態様がある。
(2) 前記チューブが、前記貫通孔に挿入されたガイド・ワイヤを利用することにより、前記生体の口腔を経て胃内に挿入されるものであり、
前記シースが、前記ガイド・ワイヤを利用しつつ、前記チューブと共に前記生体の口腔を経て体内に挿入されるものである(1)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットにおいては、前述のプル法またはプッシュ法が、生体に形成された貫通孔に挿入されたガイド・ワイヤを利用して実施され、それにより、チューブがシースと共に、生体の口腔を経て胃内に挿入される。したがって、このカテーテル・キットによれば、それらチューブおよびシースの挿入操作をガイド・ワイヤの支援を受けつつ行うことが可能となる。
(3) 前記シースが、前記軸方向相対変位により、前記シースの長さ方向における少なくとも一部において前記シースの側方に引き裂かれるピールアウェイ型である(1)または(2)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットにおいては、シースがピールアウェイ型とされており、シースが、チューブに対する軸方向相対変位により、シースの長さ方向における少なくとも一部においてシースの側方に引き裂かれる。
一方、シースのうち引き裂かれた部分は、引き裂かれる前の状態と比較し、シースの径方向における寸法が容易に変化する。なぜなら、例えば、シースのうち長さ方向におけるある部分が側方に引き裂かれて複数の小部分に分断されると、それら複数の小部分は、分断前に比較して、各小部分が小型化(断片化)されて個々の剛性が低下して容易に変形可能となり、その結果、それら小部分が相互の位置関係をシースの径方向に変化させることが容易となるからである。
このカテーテル・キットは、チューブがシースの径方向寸法より大きい径方向寸法を有する拡大部分(剛体または弾性体であり、後述の拡大部分または胃内固定具がその一例である。)を有しており、その拡大部分もシース内を通過しなければならない場合に有用である。
すなわち、このカテーテル・キットによれば、シースの、引き裂かれる前の径方向寸法が、チューブのうちの拡大部分の径方向寸法より小さくても、その拡大部分の進行につれてシースが引き裂かれる。その結果、シースの径寸法が拡大し、よって、そのシース内を拡大部分を含むチューブを通過することが可能となる。
ところで、シースの長さ方向の全体にわたり、その径方向寸法を、そのシースを通過すべき拡大部分の径方向寸法(拡大部分が弾性変形可能である場合には、弾性変形後の径方向寸法)より大きくなるように予めシースを構成すれば、シースの引き裂きなしでもそのシース内を拡大部分が通過することが可能である。しかし、この場合には、シースの全体が最初から太くなる。一方、シースが太いほど、そのシースが生体のうちの狭い管状器官を通過する際に生体に強いる苦痛や不快感が増す。
これに対し、本項に係るカテーテル・キットによれば、シース内を拡大部分が通過するにつれてシースが局部的に拡大する。シースのうち拡大部分によって拡大される被拡大部分の位置が拡大部分の進行につれてシースの長さ方向に移動するのであり、さらに、その拡大部分の通過が終了すれば、被拡大部分はもとの径方向寸法に復元することが許容される。
したがって、このカテーテル・キットによれば、チューブをシースによって被覆してチューブの細菌付着を抑制する機能を果しつつ、生体に強いる苦痛または不快感が緩和される状態でチューブのうちの拡大部分をシース内を通過させることが可能となる。
さらに、このカテーテル・キットによれば、シースがチューブから抜去する際に、シースが全く分離しない場合に比較し、シースをそれの径方向に関して小型化することが容易となる。よって、このカテーテル・キットによれば、シースを口腔を経て体外に抜去する際に、シースと生体との接触力が軽減され、シースを抜去するためにそのシースに作用させることが必要な力も軽減される。その結果、このカテーテル・キットによれば、シースを生体から抜去する際に、生体に与える苦痛ないしは違和感が緩和される。
なお付言するに、本項における「シースの引き裂き」は、例えば、シースのうち、前記破断部によって破断されるべき部分を除く部分において行われる。また、その「シースの引き裂き」は、例えば、前記破断部による破断終了後に行われる。
(4) 前記チューブが、それの胃側端部より口側端部寄りの位置において、他の部分より大きい拡大部分を有し、前記軸方向相対変位に伴ってその拡大部分が前記シース内をそれの口側端部から胃側端部に向かって移動することによってそのシースが引き裂かれる(3)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットにおいては、チューブにおいて他の部分より大きい拡大部分がシース内を通過させられることにより、そのシースを側方に引き裂くための径方向圧縮力がシースに作用させられる。
したがって、このカテーテル・キットによれば、シースを引き裂くために特別の操作を行うことが不可欠ではなくなる。すなわち、チューブとシースとの間における軸方向相対変位により、自動的にシースが引き裂かされるようにすることが可能なのである。
(5) 前記拡大部分が、前記破断部によって前記シースが破断された後に、当該拡大部分が前記シースに当接するように前記チューブに対して位置決めされている(4)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットによれば、チューブのうちの破断部によってシースが破断されないうちに拡大部分がシースに当接してそれ以上前進できなくなり、その結果、シースの破断が完了しないという不都合を回避することが容易となる。
(6) 前記拡大部分が、前記チューブを胃内に固定するための胃内固定具である(5)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットによれば、チューブのうちの同じ部分が、シースを引き裂く機能と、チューブが勝手に生体から抜去されてしまうことを防止する機能との双方を果すことが可能となる。
(7) 前記シースが、体内への挿入に先立ち、前記チューブを被覆している状態にある(1)ないし(6)項のいずれかに記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットによれば、体内への挿入後にチューブがシースによって被覆される場合に比較し、チューブへの細菌付着を軽減することが容易となる。
(8) 前記破断部が、前記チューブの胃側端部から口側端部に向かうにつれて直径が増加するテーパ状を成している(1)ないし(7)項のいずれかに記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットによれば、チューブのうちの破断部に力が集中し易くなり、その破断部によってシースに局部的に大きな力を発生させることが容易となる。よって、このカテーテル・キットによれば、チューブを体内において生体の貫通孔に接近させる過程において、シースの破断に必要なチューブの操作力の増加量を減少させることが容易となる。
(9) 前記破断部が、その破断部が胃内から前記貫通孔に挿入される過程においては、その貫通孔を大径化するダイレータとして機能する(8)項に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
このカテーテル・キットによれば、チューブのうちの同じ部分が、シースを破断する機能と、生体の貫通孔を大径化して胃瘻を造設する機能との双方を果すことが可能となる。
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット10(以下、単に「カテーテル・キット」という。)が組立て後の状態で示されており、図2には、組立て前の状態で示されている。このカテーテル・キット10は、生体としての患者に胃瘻をプル法で造設する用途に使用される。
このカテーテル・キット10は、図2に示すチューブ12およびシース14と、図5に示すガイド・ワイヤ16とを含むように構成されている。
図2に示すように、チューブ12は、それが患者の胃18内(図5参照)に埋設された埋設状態で栄養を体外から胃18内に導入するために用いられる。そのため、チューブ12は、図2に示すように、その内部に栄養通路20を有している。本実施形態においては、チューブ12は、医療業界において一般的に使用されているチューブ12として構成されており、その外径は、約4mmないし約9.33mm(約12Frないし約28Fr)である。チューブ12は、シリコン,ウレタン等、弾性変形可能な材料によって構成されており、それにより、可撓性を与えられている。
図2に示すように、チューブ12は、同一の円形断面で延びる中空の本体部22を備えている。本体部22の両端部の一方は、チューブ12が体内に挿入された状態において胃18側に位置する胃側端部24であり、他方は、口側に位置する口側端部26である。
本体部22の胃側端部24には、その胃側端部24から遠ざかるにつれて直径が減少するテーパ状の先端部28が一体的に接続されている。この先端部28は、本体部22と同じ材料によって構成されているが、形状、肉厚、曲げモーメントの発生し易さ等の相違により、先端部28の方が本体部22より剛性が高い。
一方、本体部22の口側端部26には、中空の胃内固定具30が一体的に接続されている。この胃内固定具30の一例は、本体部22との接続側とは反対側において開放されたマッシュルーム型の胃内固定具である。胃内固定具30は、少なくとも径方向において弾性変形が可能であるように設計されている。
図12には、胃内固定具30が使用状態で示されている。胃内固定具30は、チューブ12のうち、そのチューブ12が胃18内に埋設された埋設状態において胃18内に位置するように使用される。胃内固定具30の外径は、チューブ12の外径より大きいものとされている。胃内固定具30は、チューブ12が患者から勝手に離脱しないようにチューブ12を胃18内に固定する機能を果たす。
図1に示すように、このチューブ12は、後に詳述するシース14内に挿入されて使用される。そのシース14を突き破って引き裂くために、チューブ12の先端部28がシース14に押し付けられる。この突き破り機能を果たすために、チューブ12の先端部28が上述のように先細のテーパ状を成すようにされているのである。この突き破り機能を強化するために、例えば、チューブ12の先端部28の剛性がチューブ12の他の部分より増加するようにチューブ12を構成することが可能である。
患者に胃瘻を造設するのに先立ち、患者のうちその胃瘻造設予定部位に患者の腹壁と胃壁とを一緒に貫通する狭い貫通孔が形成される。一方、チューブは、患者の口腔を経て胃内に挿入され、その後、貫通孔に接近させられてその貫通孔内に挿入される。その挿入状態においては、チューブによって貫通孔を大径化することが胃瘻造設に適当である。そのため、本実施形態においては、チューブ12の先端部28が上述のように先細のテーパ状を成しており、その結果、その先端部28がダイレータとしても機能するようになっている。
図2に示すように、チューブ12の先端部28の先端からは、ループ状を成す連結ワイヤ34が延び出させられている。この連結ワイヤ34は、ガイド・ワイヤ16によってチューブ12を牽引して体内に挿入するためにガイド・ワイヤ16と連結される(ガイド・ワイヤ16によって捕捉される)部材の一例であり、チューブ12に分離不能に装着されている。
なお付言するに、チューブ12が貫通孔内に挿入されて設置された状態においては、先端部28が体外に位置させられ、通常、その先端部28は不要部としてチューブ12から切除される。図12には、胃18内に設置されたチューブ12が、その設置後に先端部28が切除された状態で示されている。したがって、チューブ12の先端部28は、栄養を体外から胃18内に導入するために栄養通路20を構成することが不可欠ではない。
よって、チューブ12の先端部28は、本体部22および胃内固定具30とは異なり、チューブ12内の空間を外気から遮断する密閉構造を採用することが可能である。チューブ12が体内に挿入される過程においてチューブ12が生体の細菌で汚染される可能性を極力排除することが必要である場合には、そのような密閉構造を採用することが望ましい。
図2に示すように、シース14は、チューブ12と同様に、同一の円形断面で延びる中空の本体部40を備えている。本体部40の両端部の一方は、シース14が体内に挿入された状態において胃18側に位置する胃側端部42であり、他方は、口側に位置する口側端部44である。
シース14は、剛性を有し、肉厚が0.1mm程度である材料により、ストロー状を成すように構成されている。そのような材料は、例えば、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)のような合成樹脂である。シース14の内径は、チューブ12の外径より大きく、かつ、胃内固定具30をチューブ12の軸方向に投影した場合の外形寸法より小さい。したがって、シース14内に胃内固定具30が挿入されれば、胃内固定具30がシース14によって圧迫される結果、シース14から胃内固定具30にそれの中心に向かう圧縮力が作用し、その反力としてシース14にそれを拡径する向きの周方向力が作用させられる。その周方向力により、図10に示すように、シース14が引き裂かれることになる。
図1に示すように、シース14のうちの本体部40の胃側端部42には、その胃側端部42から遠ざかるにつれて直径が減少する中空テーパ状の先端部46が一体的に接続されている。本実施形態においては、シース14内にチューブ12が挿入された状態において、シース14の先端部46の内面にチューブ12の先端部28の外面が嵌り合うように設計されている。
図1に示すように、本体部40の口側端部44には、本体部40より大径で円板状を成すシース・ストッパ50が一体的に接続されている。このシース14は、それの内腔52にチューブ12が挿入される挿入状態で使用される。その挿入状態においては、シース14によってチューブ12が、そのチューブ12の先端部28から本体部22の略中間部までの部分においてチューブ12の外側から被覆される。
図2に示すように、シース14の先端部46の先端には、シース14の内腔52に連通した開口が同軸的に形成されている。この開口により、シース14内にチューブ12に挿入された挿入状態において、そのチューブ12の先端部28から延びる連結ワイヤ34が通過して露出することが許容される。図1には、その挿入状態において、連結ワイヤ34が開口を経てシース14の外側に突出する様子が示されている。
図2に示すように、シース・ストッパ50は、本体部40からそれの半径方向に張り出す形態で本体部40に一体的に形成されている。シース・ストッパ50は、シース14によって覆われたチューブ12が患者の口腔54(図5参照)を経て胃18内に挿入される際に、患者の口元56(図5参照)に当接して、シース14がさらに同じ向きに進行することが阻止される挿入限度を規定する機能を果たす。この機能を果たすため、本実施形態においては、シース・ストッパ50の直径が、患者の口元56に挿入されて設置されるマウス・ピース(図示しない)の直径より大きいものとされている。
本実施形態においては、シース14は、患者の口腔54から胃18内の入口付近までの長さにわたって挿入される。人の歯(切歯)から胃の入口(噴門部)までの長さは、一般に、約45cmであるため、シース14の長さも約45cmに設定されている。
図3の(a)に示すように、シース14には、それの外周面に2本の割線58が形成されている。それら2本の割線58は、シース14の長さ方向において、シース14の先端部46の先端からシース・ストッパ50まで延びている。それら2本の割線58は、シース14の中心線を隔てて互いに対向する姿勢でシース14に配置されている。図3の(a)においては、1本の割線58のみが実線で示され、他方の割線58は隠れて見えない。ただし、シース14に形成する割線58の数が1本または2本より多い本数である態様で本発明を実施することが可能である。
各割線58は、シース14がそれの肉厚方向に局部的に凹まされて筋状を成すように形成されている。そのため、シース14の長さ方向における各部位に、引張り応力が周方向に作用すると、割線58に局部的に応力が集中し、図3の(b)に示すように、この割線58に沿ってシース14が引き裂かれることとなる。すなわち、このシース14はピールアウェイ型なのである。
図5に示すように、ガイド・ワイヤ16は、患者の腹壁70と胃壁72とを共に貫通するように患者に形成された貫通孔74に挿通されて使用される。その挿通されたガイド・ワイヤ16は、胃18内において、口腔54を経て挿入された内視鏡76によって把持され、その後、内視鏡76と共に、食道78および口腔54を順に経て体外に引き出される。ガイド・ワイヤ16の長さは、口腔54から食道78および胃18を順に経て貫通孔74に至るまでの長さより長くなるように設定されている。
図6に示すように、ガイド・ワイヤ16は、患者に設置された状態において口腔54から露出させられた端部90において、チューブ12の先端から延びる連結ワイヤ34に結紮される。ガイド・ワイヤ16は、腹壁70から露出させられた端部92において患者から離れる向きに牽引されることにより、チューブ12を口腔54から食道78を経て胃18内にへ導く機能を果たす。
以上、このカテーテル・キット10の構成を詳細に説明したが、次に、その使用方法、すなわち、このカテーテル・キット10を使用して胃瘻を造設する胃瘻造設方法を詳細に説明する。
図4には、この胃瘻造設方法がフローチャートで表わされている。この方法においては、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、作業者が、仰臥位に寝かされた患者の口腔54から内視鏡76を胃18内に挿入する。その後、作業者は、空気を内視鏡76のファイバの内腔を経て患者の胃18内に送り込む。この送気により、患者の胃18が膨らみ、腹壁70と胃壁72とが互いに密着する。
さらに、作業者は、その挿入された内視鏡76による胃18内の観察と、作業者の触診とにより、腹部100の皮膚のうち、チューブ12を挿入すべきチューブ挿入部位102の位置を決定する。このチューブ挿入部位102は、患者の皮膚が局部的に切開される部分であり、最終的に胃瘻が造設される部位でもある。
次に、S2において、作業者は、患者の皮膚のうち、その位置決めされたチューブ挿入部位102およびその周辺を消毒する。続いて、S3において、作業者は、そのチューブ挿入部位102に対して局部的な麻酔を行う。
その後、S4において、作業者は、図示しない、穿刺針とその穿刺針が挿通された外筒104とを患者にチューブ12挿入部位において穿刺する。この際、作業者は、それら穿刺針および外筒104を腹壁70および胃壁72を共に貫通するように患者に穿刺する。それにより、それら腹壁70と胃壁72とを共に貫通する貫通孔74が形成される。続いて、作業者は、外筒104をチューブ12挿入部位に残したまま、穿刺針のみを貫通孔74から抜去する。
続いて、S5において、作業者は、患者に留置された外筒104の内腔を経てガイド・ワイヤ16を胃18内に挿入する。その後、S6において、作業者は、その挿入されたガイド・ワイヤ16を、S1において口腔54を経て胃18内に挿入された内視鏡76によって捕捉して把持する。
図5には、ガイド・ワイヤ16が内視鏡76によって把持されている様子が示されている。作業者は、この把持状態で内視鏡76を口腔54を経て体外に抜去する。それにより、ガイド・ワイヤ16が、貫通孔74を経て体内にさらに長く挿入され、最終的には、図6に示すように、ガイド・ワイヤ16の先端部(すなわち、内視鏡76によって把持された部分)が口腔54を経て体外に露出させられる。
続いて、図4のS7において、作業者は、図6に示すように、予めシース14によって被覆されたチューブ12の先端から延びる連結ワイヤ34と、口腔54から露出させられたガイド・ワイヤ16の先端部90とを結紮する。連結ワイヤ34は、シース14内に位置するチューブ12の先端からシース14を貫通して露出させられているため、その連結ワイヤ34が牽引されれば、シース14がチューブ12と一体的に牽引されることになる。
その後、図4のS8において、作業者は、ガイド・ワイヤ16のうち腹壁70側から体外に露出させられている部分106を患者から離れる向きに牽引する。その結果、チューブ12とシース14とが一体となって口腔54から咽頭110および食道78を経て胃18内へ牽引されて挿入される。このとき、チューブ12は、細菌叢の培地である口腔54,咽頭110および食道78をそれらの順に通過するが、その外側においてシース14によって被覆されているため、チューブ12は、それら口腔54,咽頭110および食道78の各内壁に直接に接触せずに済む。
図7に示すように、シース14の長さは、前述のように、人の歯から胃18の入口までの長さとほぼ同じであるため、嵌り合うシース14の先端部46とチューブ12の先端部28とが一緒に胃18内に挿入されて前進すると、まず、シース14の後端部に設けられているシース・ストッパ50が患者の口元56(例えば、マウス・ピース)に当接する。この当接後は、シース14がそれ以上前進することがシース・ストッパ50によって機械的に阻止される。
続いて、図4のS9において、作業者は、ガイド・ワイヤ16のうち腹壁70から体外に露出させられた部分106を患者から離れる向きにさらに牽引する。上述のように、シース14はシース・ストッパ50によりさらなる前進が阻止されているため、ガイド・ワイヤ16が牽引されると、チューブ12のシース14に対する軸方向相対変位が発生する。すなわち、シース14を置き去りにしてチューブ12が単独で胃18側に向かって前進させられるのである。
ガイド・ワイヤ16の牽引により、チューブ12の先端部28がシース14の先端部46に強く押し付けられ、その結果、図8に示すように、シース14の先端部46がチューブ12の先端部28によって突き破られ、シース14の先端部46はそれの各割線58に沿って引き裂かれる。このように、本実施形態においては、チューブ12を被覆しているシース14の先端が、ガイド・ワイヤ16の牽引によるチューブ12の進行によって破断される。ガイド・ワイヤ16がさらに牽引されると、チューブ12の先端部28が、シース14の、引き裂かれた先端部46から露出させられる。
図8に示すように、シース・ストッパ50が患者の口元56に当接する状態においては、シース14の先端部46が、細菌叢の培地より下流側、例えば、胃18内に位置するようになっている。したがって、この状態においてシース14の先端部46が突き破られてチューブ12がシース14から露出させられることになっても、そのチューブ12に細菌が付着する可能性はほとんどない。
その後、図4のS10において、作業者は、ガイド・ワイヤ16を患者から離れる向きにさらに牽引する。その結果、図8に示すように、チューブ12の先端部28が、ガイド・ワイヤ16に誘導されることにより、貫通孔74に向かって前進してやがてその貫通孔74内に挿入される。その挿入後、ガイド・ワイヤ16が同じ向きにさらに牽引されれば、チューブ12の先端部28はその貫通孔74を押し広げながら体外に向かって前進させられる。
続いて、図4のS11において、作業者は、貫通孔74から露出させられたチューブ12の先端部28を患者から離れる向きに牽引する。やがて、シース14の内腔52内にチューブ12の本体部22全体が挿入され、続いて、チューブ12の後端部に設けられた胃内固定具30が、シース14の後端部に設けられたシース・ストッパ50に当設する。
この状態においては、作業者がチューブ12を患者から離れる向きに牽引すると、チューブ12の進行に伴って胃内固定具30もシース14の内腔52内に挿入しようとする。その結果、胃内固定具30が縮径するように弾性変形させられる一方で、その胃内固定具30とシース14との接触により、シース14に周方向引張力が作用させられる。その作用により、シース14に形成されている各割線58に応力が集中し、その結果、各割線58に沿ってシース14が引き裂かれる。その引き裂きは、シース14を全体的に示す図9およびシース14を部分的にかつ拡大して示す図10に示すように、チューブ12の進行につれて、シース・ストッパ50からシース14の先端部46に向かって進行する。
図9に示すように、胃内固定具30によるシース14の引き裂きは、患者の口腔54,咽頭110および食道78といういわゆる細菌叢の培地において行われることになる。そのため、胃内固定具30の表面がシース14から露出させられて食道78等の内壁面に接触する可能性がある。しかし、胃内固定具30より小径であるチューブ12の本体部22は、シース14の引き裂きにもかかわらず、食道78等の内壁面に接触せずに済む。また、細菌が伝搬されて感染する心配があるのは貫通孔74、すなわち、胃瘻造設予定部位であり、この部位にチューブ12は接触するが、胃内固定具30は接触しない。
したがって、本実施形態によれば、胃内固定具30がシース14内を通過する際にシース14が引き裂かれても、それが原因で細菌が胃瘻造設予定部位に伝搬されずに済む。
本実施形態においては、シース・ストッパ50によるシース14の破断が、胃内固定具30のシース14内への挿入によって行われ、作業者の手を直接に必要とはしない。ただし、シース・ストッパ50の方がシース14の他の部分より引き裂き難いという事情を考慮することが必要である場合には、胃内固定具30のシース14内への挿入をよりスムーズにするために、作業者がシース・ストッパ50を、そのシース・ストッパ50が割線58によって仕切られる2部分をそれぞれ両手で掴んで引き離すことにより、シース・ストッパ50の引き裂きが人力によって促進される態様で本発明を実施することが可能である。
本実施形態においては、シース14の割線58がそのシース14の中心線を隔てた両側にそれぞれ1本ずつ設けられているが、シース14の実際の破断は、片側の割線58のみに沿って行われても、両側の割線58に沿って行われてもよい。破断が片側であった場合でも、胃内固定具30のシース14内の通過面積は増大するため、胃内固定具30はシース14の内腔52を進行することができる。
その後、図4のS12において、作業者は、チューブ12を腹壁70側からさらに引き抜く。それに伴い、胃内固定具30がシース14の内腔52を胃18に向かって前進し、図11に示すように、やがてシース14の先端部46を通過する。その結果、チューブ12がシース14から分離される。
図11に示すように、胃内固定具30がシース14の先端部46を通過すると、胃内固定具30によって生成された、シース・ストッパ50を始点とする引き裂きと、それに先行して、チューブ12の先端部28によって生成された、シース14の先端部46を始点とする引き裂きとが、各割線58の連続性により、2本の割線58の双方に沿って、互いに連続させられる可能性がある。互いに連続させられた場合には、胃内固定具30がシース14を完全に通過すると、シース14が完全に2つの部分に分割されることになる。
続いて、図4のS13において、作業者は、図12に示すように、胃内固定具30が胃壁72に当接するまでチューブ12を引き出して胃内固定具30を胃内に固定する。
その後、図4のS14において、作業者は、図12に示すように、患者の口腔54から胃18の入口にかけて挿入されているシース14を口腔54を経て体外へ抜去する。その抜去に先立ち、シース14は図12に示すように完全に、または部分的に分割されているため、作業者は、シース14の患者からの抜去を、小さな力で簡単に、かつ、患者への負担を軽減しつつ、行うことが可能となる。
以上で、図4に示す胃瘻造設方法の実施が終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、チューブ12の先端部28が前記(1),(4)または(8)項における「チューブの胃側端部」の一例を構成し、チューブ12の胃内固定具30が前記(4)または(8)項における「チューブの口側端部」の一例を構成しているのである。さらに、シース14の先端部46が前記(4)項における「シースの胃側端部」の一例を構成し、シース・ストッパ50が同項における「シースの口側端部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、チューブ12の先端部28が前記(1)項における「破断部」の一例を構成し、シース14の先端部46が同項における「シースのうちチューブの胃側端部に対向する部分」の一例を構成しているのである。さらに、チューブ12が前記(1)または(2)項における「チューブ」の一例を構成し、シース14が前記(1)ないし(3)項のいずれかにおける「シース」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、胃内固定具30が前記(4)または(5)項における「拡大部分」の一例を構成し、胃内固定具30が前記(6)項における「胃内固定具」の一例を構成し、シース14が前記(7)項における「シース」の一例を構成し、チューブ12の先端部28が前記(8)または(9)項における「破断部」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態によれば、シース14の先端部46が先細のテーパ状を成して尖っている。したがって、チューブ12の先端部28を被覆するシース14を口腔54を経て体内の狭い管状器官内に挿入しようとする過程において、シース14の先端面がその進行方向に対して直角である場合より、シース14が管状器官から受ける抵抗が、低減する。これは、先端部46の斜面の効果によるものであり、その結果、シース14の挿入のための作業が容易となる。
さらに付言するに、本実施形態においては、チューブ12の先端部28が、シース14の先端部46と同様に、先細のテーパ状を成して尖っているため、狭い貫通孔74への進入が容易になるとともに、その進入後には、チューブ12が貫通孔74を押し広げつつさらに深く貫通孔74内に挿入される。したがって、本実施形態によれば、チューブ12の先端部28が尖っていることが、シース14の先端部46を容易に突き破るためと、狭い貫通孔74に容易に進入してその貫通孔74を拡大するためとの双方に効果的に利用される。
さらに付言するに、本実施形態によれば、チューブ12の胃内固定具30が、本来の機能、すなわち、胃18内への設置後にチューブ12が勝手に患者から離脱しないようにする機能に加えて、シース14を引き裂いて破断させる機能を果たす。
ところで、前述の特許文献1に記載の従来例においては、シースによって被覆されたPEGチューブが口腔を経て体内に挿入された後、シースの出口端を開口してPEGチューブをシースから退出させるべき開口タイミング(または開口を行うべき位置)を決定する作業工程が必要である。その開口タイミングは、例えば、シースによって被覆されたPEGチューブの胃側端部が、患者に形成された貫通孔を貫通している穿刺針の胃側端部に接触するタイミングである。
この開口タイミングは、例えば、内視鏡を用いてPEGチューブと穿刺針との位置関係を目視することによって決定することが可能である。しかし、この場合には、患者への内視鏡の挿入が、先にPEGチューブが体内に設置されている状態において行われることとなる。そのため、患者の咽頭および食道という細い管状器官内に、シースによって被覆されたPEGチューブと内視鏡のファイバとが一緒に存在させられることとなる。
その結果、内視鏡を用いて開口タイミングを決定する場合には、患者に多大な苦痛を強いる可能性や、強い咽頭反射を惹起する可能性、内視鏡のファイバがきつくシースに接触するためにシースが破損してシーリング機能を損なう可能性などがある。
これに対し、本実施形態においては、チューブ12の先端部28によってシース14を引き裂くタミングがシース14の寸法によって予め定められており、そのタイミング(位置)を作業者が自ら決定することは不要である。
したがって、本実施形態によれば、シース14を引き裂いてそのシース14からチューブ12を露出させるタイミングを決定する作業工程が省略でき、このことによっても、カテーテル・キット10の使い勝手が向上する。
次に、本実施形態の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素があるため、共通する要素については同一の符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
第1実施形態においては、図9に示すように、胃内固定具30がシース14内に挿入されると、シース・ストッパ50が確実に引き裂かれるようにシース14の形状が決定されている。これに対し、本実施形態においては、シース・ストッパが引き裂かれることは阻止しないが、積極的に引き裂かれるようにはなっていない。
具体的には、図13に示すように、本実施形態における胃瘻造設用カテーテル・キット130においては、シース・ストッパ132が、シース134の本体部136に近づくにつれて直径が連続的に減少するように設計されている。さらに、本実施形態においては、そのシース・ストッパ132に胃内固定具30が最初に接触したときに、その接触位置におけるシース・ストッパ132の内径が、そのときにおける胃内固定具30の外径より大きくなり、両者間に隙間が残るように、それらシース・ストッパ132と胃内固定具30との寸法関係が設定されている。
したがって、本実施形態においては、シース・ストッパ132に胃内固定具30が最初に接触した時点においては、第1実施形態におけるとは異なり、胃内固定具30との接触により、シース・ストッパ132にそれを拡径させる向きの周方向引張応力は発生しない。
図14の(a)に示すように、本実施形態においては、弾性変形可能な胃内固定具30がそれより剛性があるシース134内に深く挿入させられるにつれて、シース・ストッパ132の外径が減少し、それにつれて、シース・ストッパ132が胃内固定具30をそれに中心に向かって圧縮する力が増加する。それに伴い、シース・ストッパ132にそれを拡径させる向きの周方向引張応力が増加し、シース134に形成された各割線138に応力が集中する。その応力が限度を超えると、図14の(b)に示すように、シース134が各割線138に沿って側方に引き裂かれることとなる。
シース134の周方向引張応力は、シース・ストッパ132において小さく、それから本体部136に近づくにつれて増加する。そのため、本実施形態においては、図14の(b)に示すように、シース134のうち、シース・ストッパ132の全部または一部を除く部分においてのみ引き裂きが発生することになる。
本実施形態においては、典型的には、シース134が、シース・ストッパ132を除く部分において各割線138に沿って引き裂かれることになるため、図15に示すように、シース134は、典型的には、引き裂かれないシース・ストッパ132に、引き裂かれて分断された2つの部分が結合された状態で口腔54を経て体外へ抜去されることになる。
シース・ストッパ132は、一連の作業の全体を通じて体外に位置するように使用されるため、シース・ストッパ132が引き裂かれないことを理由に直ちに、シース134を体外へ抜去する作業性が悪化したり、その抜去中に患者に強いる苦痛または不快感が増加することにはならない。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素があるため、共通する要素については同一の符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
第1実施形態および第2実施形態においては、胃瘻造設用カテーテル・キットが、生体としての患者に「プル法」で胃瘻を造設する用途に使用されている。これに対し、本実施形態においては、胃瘻造設用カテーテル・キットが、「プッシュ法」で胃瘻を造設する用途に使用される。
前述のように、「プル法」は、チューブを牽引するためにガイド・ワイヤをプル・ワイヤとして利用し、そのガイド・ワイヤを体内から引き出すことによってチューブを口腔を経て体内に挿入する方法である。一方、「プッシュ法」は、チューブの進路を案内するためにガイド・ワイヤを利用し、チューブを口腔を経て体内に押し込む(押し入れる)方法である。
図16には、本実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット150のシース14とチューブ152とが、組立て前の状態で示されている。図16に示すように、シース14は、第1実施形態と同様に構成されている。これに対し、チューブ152は、先端部154と胃内固定具156とを備え、かつ、それら先端部154と胃内固定具156とが本体部によって互いに接続される点で第1実施形態と共通するが、先端部154の剛性および本体部160の構成が第1実施形態とは異なっている。
具体的には、本実施形態においては、先端部154が、PE(ポリエチレン)またはPP(ポリプロピレン)のような剛性を有する材料によって構成されている。先端部154の形状保持性が第1実施形態における先端部28より向上させられているのである。
さらに、本実施形態においては、本体部160が、剛性を有する第1部分162と、弾性を有する第2部分164とによって構成されている。第1部分162は、先端部154と同様に、剛性を有する材料によって構成されている。これに対し、第2部分164は、第1実施形態における胃内固定具30と同様に、シリコンまたはウレタンのような弾性変形可能な材料によって構成されている。第2部分164は、胃内固定具156と同様な材料により、弾性変形可能に構成されている。その結果、第2部分164は、第1部分162より可撓性が向上させられている。
本実施形態においては、チューブ152の牽引、すなわち、チューブ152の軸方向引張りによってチューブ152が口腔54を経て体内に挿入されるのではなく、チューブ152の押込み、すなわち、チューブ152の軸方向圧縮によってチューブ152が口腔54を経て体内に挿入される。その結果、本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、チューブ152の先端に連結ワイヤ34が装着されていないが、その代わりに、前述のように、チューブ152の形状保持性すなわち自立性が向上させられている。
具体的には、本実施形態においては、チューブ152のうち、挿入時に先頭側に位置する先端部154および第1部分162において、末尾側に位置する第2部分164および胃内固定具156におけるより、自立性が向上させられている。特に第1部分162の剛性を利用することにより、チューブ152が口腔54を経て体内に押し込まれる。第1部分162は、口腔54から食道78および胃18を経て貫通孔74に至るまでの長さ以上の長さを有している。これに対し、第2部分164は、チューブ152のうち、そのチューブ152が胃18内に設置された後に体内に留置される部分である。
以上のように構成されたチューブ152と共に、第1実施形態と共通するシース14が、チューブ152の先端部154と第1部分162の略前半部とを被覆するように使用される。それらチューブ152とシース14とに共通にガイド・ワイヤ170が挿通されるため、チューブ152の先端部154の先端には、その内腔である栄養通路166と連通した開口が形成されている。シース14にも同様に、開口が形成されている。
図17には、本実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット150を用いてプッシュ法で患者に胃瘻を造設する胃瘻造設方法がフローチャートで表されている。以下、この胃瘻造設方法を具体的に説明するが、第1実施形態と共通する工程については詳細な説明を省略する。
この胃瘻造設方法においては、S51ないしS56が順に、第1実施形態におけるS1ないしS6と同様にして実行される。その実行により、貫通孔74を経て胃18内へ挿入されたガイド・ワイヤ170は、第1実施形態と同様にして、口腔54を経て胃18内に挿入された内視鏡76により、食道78を経て口腔54外へ引き出される。
その後、S57において、作業者は、そのガイド・ワイヤ170のうち口腔54から露出させられた部分を、シース14によって予め被覆されたチューブ152の内腔内に、そのチューブ152の長さ方向全体を貫通するように挿通する。さらに、作業者は、ガイド・ワイヤ170の一端を、チューブ152の胃内固定具156から引き出す。
続いて、S58において、作業者は、患者を貫通しているガイド・ワイヤ170のうち、少なくとも、貫通孔74からの露出部176と、チューブ152の胃内固定具156からの露出部178との間の部分にテンションを与える。さらに、作業者は、そのテンション付与状態で、チューブ152とシース14との組立体を、それを貫通するガイド・ワイヤ170によって進路を誘導されつつ、口腔54を経て胃18に向かって挿入する。前述のように、チューブ152の先端部154および第1部分162には剛性があるため、作業者がそれらの部分を把持して患者の口腔54内へ押し込めば、チューブ152の先端部154がガイド・ワイヤ170に沿って胃に向かって前進することになる。
図18に示すように、チューブ152とシース14との組立体の先端が胃18内の入口付近に到達すると、シース14の本体部40の口側端部44に設けられたシース・ストッパ50が患者の口元56に当接する。その当接後は、シース14の更なる前進が阻止される。
その後、図17のS59において、作業者は、ガイド・ワイヤ170にテンションを付与しつつ、チューブ152のみを口腔54を経て体内に押し込む。その押込みにより、シース14を置き去りにしたままチューブ152が単独で前進しようとし、やがて、チューブ152の先端部154がシース14の先端部46を突き破ってシース14を引き裂く。シース14が引き裂かれると、チューブ152の先端部154がシース14から露出して単独で前進し、貫通孔74に接近する。
続いて、S60において、作業者は、チューブ152をさらに深く押し込む。その結果、チューブ152の先端部154は、ガイド・ワイヤ170に導かれながら、貫通孔74に到達する。その貫通孔74には予め外筒104が挿入されており、その外筒104はチューブ152の先端部154によって体外へ押し出される。やがてチューブ152の先端部154も体外へ押し出される。
その後、S61において、作業者は、ガイド・ワイヤ170のテンションを解放し、貫通孔74を経て体外へ押し出されたチューブ152の先端部154を引き出す。その引出しにより、チューブ152のうちの先端部154と第1部分162とが引き抜かれ、その後、第2部分164が胃18内に進入する。それとほぼ同期して、チューブ152に設けられている胃内固定具156がシース・ストッパ50に当接する。
作業者が、チューブ152をさらに引き出すと、胃内固定具156がシース・ストッパ50に当接し、シース14の内腔52内に挿入しようとする。その当接により、シース・ストッパ50が、第1実施形態におけると同じ原理に従い、引き裂かれる。
続いて、S62において、作業者は、チューブ152をさらに引き出す。その結果、胃内固定具156はシース14の内腔52内を胃に向かって前進し、それと並行して、シース14の引き裂きもシース14に沿って進行する。胃内固定具156がシース14の先端部46を通過して胃に到達すると、チューブ152のシース14からの分離が完了する。
その後、S63において、作業者は、胃内固定具156が胃壁72に当接するまでチューブ152を引き出し、胃内固定具156を患者の胃壁72に固定する。チューブ152のうち貫通孔74を経て体外に引き出された部分(主に第1部分162)は体内に存在する部分(主に第2部分164)から切除される。これにより、チューブ152が胃18内に設置されることになる。
続いて、S64において、作業者は、既に引き裂かれているシース14を体外へ抜去する。
以上で、この胃瘻造設方法の実施が終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、チューブ152の先端部154が前記(1),(4)または(8)項における「チューブの胃側端部」の一例を構成し、チューブ152の胃内固定具156が前記(4)または(8)項における「チューブの口側端部」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態においては、第1実施形態と共通するシース14が用いられているが、第2実施形態と共通するシース134を用いてもよい。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[課題を解決するための手段]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
本発明の第1実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット10の要部を組立て前の状態で示す斜視図である。 図1に示す胃瘻造設用カテーテル・キット10の要部を組立て前の状態で示す斜視図である。 図1に示す胃瘻造設用カテーテル・キット10のうちのシース14を引き裂き前の状態と引き裂き後の状態とで示す斜視図である。 図1に示す胃瘻造設用カテーテル・キット10を使用した胃瘻造設方法を経時的に表わすフローチャートである。 図4におけるS6の実施内容を説明するための側面断面図である。 図4におけるS7の実施内容を説明するための側面断面図である。 図4におけるS8の実施内容を説明するための側面断面図である。 図4におけるS9の実施内容を説明するための側面断面図である。 図4におけるS11の実施内容を説明するための側面断面図である。 図4における胃瘻造設方法の実施中にチューブ12によってシース14が局部的に引き裂かれて肥大化する様子を説明するための斜視図である。 図4におけるS12の実施内容を説明するための斜視図である。 図4におけるS13およびS14の実施内容を説明するための正面断面図である。 本発明の第2実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット130のうちのシース134を示す斜視図である。 図13に示すシース134内にチューブ12が挿入される様子を経時的に説明するための斜視図である。 図13に示す胃瘻造設用カテーテル・キット130使用してチューブ12の胃18内への設置とシース134の体外への抜去とが実施される様子を説明するための側面断面図である。 本発明の第3実施形態に従う胃瘻造設用カテーテル・キット150の要部を組立て前の状態で示す斜視図である。 図16に示す胃瘻造設用カテーテル・キット150を使用した胃瘻造設方法を経時的に表わすフローチャートである。 図17に示す胃瘻造設方法の実施中にチューブ152とそれを被覆するシース14とが一緒に口腔54を経て胃18内に挿入される様子を説明するための側面断面図である。
符号の説明
12,152 チューブ
14,134 シース
16,170 ガイド・ワイヤ
18 胃
28 チューブの先端部
30,156 胃内固定具
46 シースの先端部
50,132 シース・ストッパ
54 口腔
70 腹壁
72 胃壁
74 貫通孔

Claims (9)

  1. 栄養を体外から胃内に導入するために使用される胃瘻を生体に造設するための胃瘻造設用カテーテル・キットであって、
    前記栄養を体外から胃内に導入する栄養通路が内部に形成されたチューブであって、前記生体の口腔を経て胃内に挿入された後、前記胃瘻の造設に先立って前記生体のうちその胃瘻造設予定部位に前記生体の腹壁と胃壁とを一緒に貫通する状態で形成された貫通孔に挿入されて設置されるものと、
    そのチューブをそれの外側から被覆する筒状のシースであって、前記チューブと共に前記生体の口腔を経て体内に挿入され、かつ、体内への挿入限度位置を規定するシース・ストッパを有するものと
    を含み、かつ、
    前記シースが前記挿入限度位置に達した後に前記チューブが単独で前記貫通孔に接近させられることに伴ってそのチューブの前記シースに対する軸方向相対変位が発生し、その軸方向相対変位により、前記シースのうち前記チューブの胃側端部に対向する部分を破断する破断部が前記チューブの胃側端部に形成された胃瘻造設用カテーテル・キット。
  2. 前記チューブが、前記貫通孔に挿入されたガイド・ワイヤを利用することにより、前記生体の口腔を経て胃内に挿入されるものであり、
    前記シースが、前記ガイド・ワイヤを利用しつつ、前記チューブと共に前記生体の口腔を経て体内に挿入されるものである請求項1に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  3. 前記シースが、前記軸方向相対変位により、前記シースの長さ方向における少なくとも一部において前記シースの側方に引き裂かれるピールアウェイ型である請求項1または2に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  4. 前記チューブが、それの胃側端部より口側端部寄りの位置において、他の部分より大きい拡大部分を有し、前記軸方向相対変位に伴ってその拡大部分が前記シース内をそれの口側端部から胃側端部に向かって移動することによってそのシースが引き裂かれる請求項3に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  5. 前記拡大部分が、前記破断部によって前記シースが破断された後に、当該拡大部分が前記シースに当接するように前記チューブに対して位置決めされている請求項4に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  6. 前記拡大部分が、前記チューブを胃内に固定するための胃内固定具である請求項5に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  7. 前記シースが、体内への挿入に先立ち、前記チューブを被覆している状態にある請求項1ないし6のいずれかに記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  8. 前記破断部が、前記チューブの胃側端部から口側端部に向かうにつれて直径が増加するテーパ状を成している請求項1ないし7のいずれかに記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
  9. 前記破断部が、その破断部が胃内から前記貫通孔に挿入される過程においては、その貫通孔を大径化するダイレータとして機能する請求項8に記載の胃瘻造設用カテーテル・キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009517189A (ja) * 2005-11-30 2009-04-30 ウィルソン−クック・メディカル・インコーポレーテッド ショートワイヤpeg及びpeg−jチューブ

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