JP2005237322A - 茸栽培設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】 通年に亘って茸を栽培することができる茸栽培設備を提供する。
【解決手段】 ハウス本体1と、このハウス本体1の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱板で構成した茸栽培室2と、茸栽培室2内に設置され、茸栽培用の栽培箱7を載置するための栽培棚4と、この栽培棚4の支柱天端を格子状に骨組したフレーム5と、このフレーム5と栽培棚4を被覆するカバー6と、茸栽培室2内に噴霧する噴霧ノズル8と、茸栽培室2内の雰囲気を攪拌する送風機9とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 ハウス本体1と、このハウス本体1の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱板で構成した茸栽培室2と、茸栽培室2内に設置され、茸栽培用の栽培箱7を載置するための栽培棚4と、この栽培棚4の支柱天端を格子状に骨組したフレーム5と、このフレーム5と栽培棚4を被覆するカバー6と、茸栽培室2内に噴霧する噴霧ノズル8と、茸栽培室2内の雰囲気を攪拌する送風機9とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、茸の栽培に好適な環境を確保する茸栽培設備に関する。
例えば、アガリクス・ブラゼイ・ムリル茸(以下、アガリクス茸と記載する)の場合、茸菌の培養、養生に好適な栽培室内の温度が25±3℃程度、湿度は85%以上とされている。このように、茸の発芽、成長には所定の条件が満たされねばならず、アガリクス茸等を自然環境下で通年栽培することは困難である。そこで従来から、この種の茸栽培方法の一例として、ビニルハウスやプレハブ構造ハウス等を茸栽培室として利用し、空調設備や噴霧設備等を用いて茸栽培室内の温度や湿度を維持管理、調整することにより、茸の発芽、成長に適した環境を人為的に作り出すことが行われてきた(例えば、特許文献1等参照)。
特開平8−228608号公報
しかしながら、空調設備等を用いて栽培室の室内環境を茸栽培に適正な状態に保つにしても、地域によっては、例えば冷暖房にかかる空調負荷が大きくなる。この問題は、特に夏季や冬季において顕著となる。茸の発芽、成長に適した環境作りにかかるコストが嵩むと、場合によっては生産費が著しく高騰する。このことから、気象条件の厳しい時期における茸栽培は現実的には難しい場合があり、地域によって茸の通年栽培が困難であるのが現状で、一時的に栽培を中断せざるを得ない場合もある。
本発明の目的は、上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、通年に亘って茸を栽培することができる茸栽培設備を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、ハウス本体と、このハウス本体の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱板で構成した茸栽培室と、前記茸栽培室内に設置され、茸栽培用の栽培箱を載置するための栽培棚と、この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組したフレームと、このフレームと栽培棚を被覆するカバーと、前記茸栽培室内に噴霧する噴霧手段と、前記茸栽培室内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、ハウス本体と、このハウス本体の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱板で構築した茸栽培室と、前記茸栽培室内に設置された栽培棚と、この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組みしたフレームと、このフレームと栽培棚を被覆するように設けられ、少なくとも前記栽培棚の長手方向に沿う側面を覆う部分に所定間隔で切り込みを設けたカバーと、前記栽培棚に載置され、砂糖きびの絞りカスを主成分とした菌床材を収容した栽培箱と、前記茸栽培室内に噴霧する噴霧手段と、前記茸栽培室内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と、前記茸栽培室内の温度を調節する空調設備とを備えたことを特徴とする。
第3の発明は、コンテナと、このコンテナの外壁面および屋根面に間隙を設けて貼設された遮光材と、前記コンテナ内に設置され、茸栽培用の栽培箱を載置するための栽培棚と、この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組したフレームと、このフレームと栽培棚を被覆するカバーと、前記コンテナ内に噴霧する噴霧手段と、前記コンテナ内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段とを備えたことを特徴とする。
第4の発明は、コンテナと、このコンテナの外壁面および屋根面に間隙を設けて貼設された遮光材と、前記コンテナ内に設置された栽培棚と、この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組みしたフレームと、このフレームと栽培棚を被覆するように設けられ、少なくとも前記栽培棚の長手方向に沿う側面を覆う部分に所定間隔で切り込みを設けたカバーと、前記栽培棚に載置され、砂糖きびの絞りカスを主成分とした菌床材を収容した栽培箱と、前記コンテナ内に噴霧する噴霧手段と、前記コンテナ内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と、前記コンテナ内の温度を調節する空調設備とを備えたことを特徴とする。
請求項1又は2に記載の発明によれば、ハウス本体の内部空間を間仕切りして茸栽培室を構成し、温度調節の対象空間を縮小するとともに、この茸栽培室を遮熱材で構成することにより、空調効率を飛躍的に向上させ、茸栽培室内の温度を効率的に適正範囲内に調整することができる。また、栽培棚をカバーで覆うことにより、菌床材に直接噴霧水がかからないので、菌床材の含水率の維持管理を容易に行うことができる。よって、季節の変化に影響されずに通年に亘って茸を栽培することができる。
また、請求項3又は4に記載の発明によっても、コンテナを茸栽培室として利用することにより、同様の効果が得られる。
また、請求項3又は4に記載の発明によっても、コンテナを茸栽培室として利用することにより、同様の効果が得られる。
以下、本発明の茸栽培設備の第1実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の茸栽培設備の全体構成を概略して表す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の茸栽培設備は、ハウス本体1と、このハウス本体1内に設けた茸栽培室2と、この茸栽培室2を構成する遮熱材3と、茸栽培室2内に設置した少なくとも1つの栽培棚4と、この栽培棚4の支柱天端を格子状に骨組みしたフレーム5と、このフレーム5と栽培棚4を被覆するように設けたカバー6と、栽培棚4に載置した少なくとも1つ以上の栽培箱7と、茸栽培室2内に噴霧する噴霧手段としての噴霧ノズル8と、茸栽培室2内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段として設けた送風機9と、茸栽培室2内の温度を調節する空調設備(冷暖房設備)10とを備えている。
図1は、本実施形態の茸栽培設備の全体構成を概略して表す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の茸栽培設備は、ハウス本体1と、このハウス本体1内に設けた茸栽培室2と、この茸栽培室2を構成する遮熱材3と、茸栽培室2内に設置した少なくとも1つの栽培棚4と、この栽培棚4の支柱天端を格子状に骨組みしたフレーム5と、このフレーム5と栽培棚4を被覆するように設けたカバー6と、栽培棚4に載置した少なくとも1つ以上の栽培箱7と、茸栽培室2内に噴霧する噴霧手段としての噴霧ノズル8と、茸栽培室2内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段として設けた送風機9と、茸栽培室2内の温度を調節する空調設備(冷暖房設備)10とを備えている。
前述したハウス本体1は、例えばビニルハウスやトタンハウス、或いはプレハブ構造ハウス等といった一般に用いられるものであり、その構造や形状は特に限定されない。本実施形態のハウス本体1は、基礎11に固定されている。
一方、茸栽培室2は、ハウス本体1の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して構成したものであり、その大きさや形状は、上述した空調設備10の空調負荷を最小限に止めるため、例えば図1に示したように、必要な作業スペースが確保される範囲で、栽培棚4や、内部の温度環境や湿度環境を整える空調設備、噴霧ノズル8及び送風機9を収容するのに必要最小限の空間容積が確保される程度に構成することが望ましい。なお、空調設備10は、茸栽培室2内の温度を見ながら手動運転するようにしても良いが、好ましくは、茸栽培室2内の温度が自動的に設定の温度範囲に制御されるように、茸栽培室2内の検出温度に応じてその運転を制御可能な制御装置を内蔵している、若しくは別途備えているものが良い。
図2は茸栽培室2の詳細構成を表した部分断面図で、この図において図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図2に示すように、茸栽培室2は、例えばパイプや棒材、或いは板材等で適宜構成した本体フレーム12を基礎13により支持したものであり、本体フレーム12は上記遮熱材3により覆われている。遮熱材3は、例えば押え板14で押えられた状態で、図示しないボルトやナット、ワッシャ等によって本体フレーム12に固定されている。但し、この遮熱材3の固定方法はこれに限られず、例えばロープによって縛り付ける等、他の固定方法を採用しても構わない。また、本実施形態では、遮熱材3を本体フレーム12の外側に図示してあるが内側に設けても構わない。遮熱材3の材質については、断熱性に優れたものであれば構わないが、一例としては、例えば発砲ウレタンや発泡スチロール等、多数の空気泡を有するものが挙げられる。なお、本実施形態においては、茸栽培室2を不織布15によってさらに覆ってある。遮熱板と遮熱板の接続部が空気の抜け道になっていなければ省略しても良い。
図2に示すように、茸栽培室2は、例えばパイプや棒材、或いは板材等で適宜構成した本体フレーム12を基礎13により支持したものであり、本体フレーム12は上記遮熱材3により覆われている。遮熱材3は、例えば押え板14で押えられた状態で、図示しないボルトやナット、ワッシャ等によって本体フレーム12に固定されている。但し、この遮熱材3の固定方法はこれに限られず、例えばロープによって縛り付ける等、他の固定方法を採用しても構わない。また、本実施形態では、遮熱材3を本体フレーム12の外側に図示してあるが内側に設けても構わない。遮熱材3の材質については、断熱性に優れたものであれば構わないが、一例としては、例えば発砲ウレタンや発泡スチロール等、多数の空気泡を有するものが挙げられる。なお、本実施形態においては、茸栽培室2を不織布15によってさらに覆ってある。遮熱板と遮熱板の接続部が空気の抜け道になっていなければ省略しても良い。
図3は図1と同一方向から見た栽培棚4の正面図、図4はその側部から見た側面図で、これら図3及び図4において、図1又は図2と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図3及び図4において、栽培棚4は、3段の棚板部16を有し、1段の棚板部16に5×2列で計10個の栽培箱7を置いた状態を図示したが、棚の段数や棚板部16の大きさや形状等について特に限定はない。栽培棚4の大きさや形状は、飽くまで茸栽培室2の空間容積や作業性等を考慮して決定すれば良く、その他、材質等に関しても何等限定はない。
図3及び図4において、栽培棚4は、3段の棚板部16を有し、1段の棚板部16に5×2列で計10個の栽培箱7を置いた状態を図示したが、棚の段数や棚板部16の大きさや形状等について特に限定はない。栽培棚4の大きさや形状は、飽くまで茸栽培室2の空間容積や作業性等を考慮して決定すれば良く、その他、材質等に関しても何等限定はない。
この栽培棚4の支柱天端を格子状に骨組みしたフレーム5は、例えばパイプや棒材、或いは板材等によって適宜枠組みすれば良い。フレーム5と栽培棚4を被覆するカバー6は、栽培箱7の積み下ろしの作業性を考慮して、少なくとも長手方向に沿う面(図3では紙面直交方向の面、図4では左右方向の面)は支柱に固定されず解放された状態とする。本例では、栽培棚4の各段の奥行き方向(図4中の左右方向)に栽培箱7を2列ずつ積載してあるので、長手方向に沿う面の双方を解放した構成とするのが好ましいが、1列ずつ栽培箱7を積載する場合は1面のみを広く解放すれば足りる。
なお、前述したように栽培棚4はカバー6によって覆われるので、その上面のフレーム5の構成については、被せたカバー6上に水が溜まり難いように工夫することが好ましい。例えば、フレーム5の上面部分を棒材(パイプも含む)によって骨組みする場合には、図3及び図4に示したように、棒材17を所定間隔に列設し格子状に骨組みする。この場合、棒材17の本数や間隔については、フレーム5の上面部の面積やカバー6の撓み易さ(材質や厚みによる)を考慮して決定する。また、場合によっては、棒材17を傾斜させても良いし栽培棚4の上面を板状に構成しても良い。
図5はカバー6で被覆された状態の栽培棚4の全体を表した斜視図である。
この図5に示すように、カバー6には、容易に開閉できるように、栽培棚4の長手方向に沿う側面を覆う部分、すなわち図中の手前側の面に所定間隔で切り込み(スリット)18が設けられており、これら切りこみ18によって、当該部分は概略暖簾状に形成されている。勿論、栽培箱が2列の場合は栽培棚4の長手方向に沿う反対側の側面を覆う部分も同様とする。他の側面、すなわち栽培棚4の短手方向に沿う側面を覆う部分は栽培棚4の支柱あるいはフレーム5に固定する。切り込み18は、図示したように縦に入れても良いし、栽培棚4の棚板部16の位置に合わせて各段をそれぞれ開閉できるように適宜設けても良い。また、カバー6は、材質について特別な限定はなく、例えばビニルシートや不織布等を用いれば足りる。
この図5に示すように、カバー6には、容易に開閉できるように、栽培棚4の長手方向に沿う側面を覆う部分、すなわち図中の手前側の面に所定間隔で切り込み(スリット)18が設けられており、これら切りこみ18によって、当該部分は概略暖簾状に形成されている。勿論、栽培箱が2列の場合は栽培棚4の長手方向に沿う反対側の側面を覆う部分も同様とする。他の側面、すなわち栽培棚4の短手方向に沿う側面を覆う部分は栽培棚4の支柱あるいはフレーム5に固定する。切り込み18は、図示したように縦に入れても良いし、栽培棚4の棚板部16の位置に合わせて各段をそれぞれ開閉できるように適宜設けても良い。また、カバー6は、材質について特別な限定はなく、例えばビニルシートや不織布等を用いれば足りる。
図6は、前述した栽培箱7の構成を表す縦断面図である。
図6に示すように、栽培箱7には、茸の種菌を植え付けた菌床材19が収容される。材質、形状については特に限定はない。紙箱やビニール袋でも良い。図6は、周囲の温度、湿度を適当な範囲に保って所定の培養期間を経て茸菌が十分に繁殖した菌床材19を詰めた後、覆土20により菌床材19の表面を被覆した状態の栽培箱7を図示している。この状態の栽培箱7をさらに栽培棚4に置き、茸栽培室2の温度、湿度を維持管理、調整することにより、図7に示したように、茸21が発芽、成長し、所定期間後に収穫可能な状態となる。この方法によれば、例えばアガリスク茸の場合、菌床材19に覆土した後、温度25±3℃、湿度85%以上の環境下で養生すると、通常、数週間程度で発芽し、さらに数日程度の間に成長し収穫可能となる。なお、菌床材19としては、例えば稲藁等、この種のものとして一般的なものを用いても良いが、栄養価の高いより良質な茸を栽培する上では、例えば、砂糖きびの絞りカスを主成分としたバガス菌床材を用いると一層好ましい。
図6に示すように、栽培箱7には、茸の種菌を植え付けた菌床材19が収容される。材質、形状については特に限定はない。紙箱やビニール袋でも良い。図6は、周囲の温度、湿度を適当な範囲に保って所定の培養期間を経て茸菌が十分に繁殖した菌床材19を詰めた後、覆土20により菌床材19の表面を被覆した状態の栽培箱7を図示している。この状態の栽培箱7をさらに栽培棚4に置き、茸栽培室2の温度、湿度を維持管理、調整することにより、図7に示したように、茸21が発芽、成長し、所定期間後に収穫可能な状態となる。この方法によれば、例えばアガリスク茸の場合、菌床材19に覆土した後、温度25±3℃、湿度85%以上の環境下で養生すると、通常、数週間程度で発芽し、さらに数日程度の間に成長し収穫可能となる。なお、菌床材19としては、例えば稲藁等、この種のものとして一般的なものを用いても良いが、栄養価の高いより良質な茸を栽培する上では、例えば、砂糖きびの絞りカスを主成分としたバガス菌床材を用いると一層好ましい。
図8は茸栽培室2の概略図で、この図において、栽培棚4や空調設備10等は図示省略してある。また、図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態において、噴霧ノズル8は、茸栽培室2の上部に横向きに噴霧するように設置されている。噴霧ノズル8は給水管内の水圧で微細な霧状が噴出する機能を有するものを設置する。例えば、単に水道に接続された給水管に所定間隔で設け、給水管のバルブを必要に応じて開閉することにより茸栽培室2内に適宜噴霧される構成とすれば足りる。噴霧するタイミングは、茸栽培室2内の湿度を見ながら人手で行うようにしても良いし、例えば、噴霧ノズル8に制御弁等を介して給水されるようにし、茸栽培室2内の検出湿度が設定値を下回った場合に、制御装置等によって制御弁を解放するようにすることも考えられる。また、タイマーの計測時間を基に定期的に噴霧されるようにしても良い。
図8に示すように、本実施形態において、噴霧ノズル8は、茸栽培室2の上部に横向きに噴霧するように設置されている。噴霧ノズル8は給水管内の水圧で微細な霧状が噴出する機能を有するものを設置する。例えば、単に水道に接続された給水管に所定間隔で設け、給水管のバルブを必要に応じて開閉することにより茸栽培室2内に適宜噴霧される構成とすれば足りる。噴霧するタイミングは、茸栽培室2内の湿度を見ながら人手で行うようにしても良いし、例えば、噴霧ノズル8に制御弁等を介して給水されるようにし、茸栽培室2内の検出湿度が設定値を下回った場合に、制御装置等によって制御弁を解放するようにすることも考えられる。また、タイマーの計測時間を基に定期的に噴霧されるようにしても良い。
また、本実施例の送風機9は、茸栽培室2床面の中心付近に、互いに外向きに送風するように一対が設置してあり(又は複数対が列設されており)、図8に示すように、茸栽培室2に互いに反対向きの空気旋回流を形成し、茸栽培室2内の雰囲気を攪拌し温度、湿度を均一化するようになっている。但し、この送風機9の設置場所及び設置数に特別な限定はなく、茸栽培室2内の空気を攪拌してその滞留を防止できればどのような態様でも構わない。例えば、茸栽培室2の床面のフレーム5付近に内向きに送風するように1台(又は1列)の送風機9を設け、茸栽培室2に1つの大きな空気旋回流を形成するようにしても良い。また、空気攪拌手段としては、図示したような送風機9に限らず、ファンを用いても良い。また、栽培室の天井部に送風機を設置しても良い。同天井部に送風管を設置して送風しても良い。空気攪拌手段の運転は、常時駆動でも良いし、定期的に駆動、停止を繰り返すように制御しても良い。勿論、手動により適宜駆動するようにしても良い。
以上の茸栽培設備を用いて茸(ここではアガリクス茸を例とする)を栽培する場合、例えば、栽培箱7に茸の種菌を植え付けたバガス菌床材を詰め、茸栽培室2の温度、湿度を測定しつつ適当な範囲に保って所定の培養期間を経ると茸菌がバガス菌床材に十分に繁殖する。その後、バガス菌床材に覆土して栽培棚4に栽培箱7を積載した状態で、噴霧ノズル8、送風機9、空調設備10を必要に応じて運転し、茸栽培室2の環境を温度25±3℃、湿度85%以上に維持してやると、数週間程度で発芽し、さらに数日程度の間に発芽した茸が成長し収穫可能となる。
なお、栽培する茸や使用する菌床材によって一概には言えないが、例えばバガス菌床材を用いてアガリクス茸を栽培する場合、雰囲気の温度、湿度の好適条件は概ね前述した通りであるが、菌床材自体の含水比は65〜75%程度が最適とされている。従って、茸栽培室2内は高湿度を維持しておく必要があるが、茸栽培室2の湿度維持のための噴霧水を直接受けて菌床材の含水比が適正範囲を逸脱しないようにしなければならない。そこで、噴霧水が栽培箱7に直接入らないように、噴霧時にはカバー6を下ろして栽培棚4の全体を覆い、それ以外の時には、カバー6を開放した状態にしておく。
ここで、従来の茸栽培に使用されていた、例えばビニルハウスやパネル構造ハウス等は、場合によって真夏期間等には、ハウス本体の天井部付近の温度が60℃以上、栽培室内の温度が40℃にも達することがある。茸菌の培養や茸の育成に適する温度は、一般にそれよりも低く、このような高温環境は茸栽培に不適切な環境であった。一方で、例えば真冬期間においては、ハウス本体内は晴れた日で、汗ばむ程度に温度は上昇するが、夜間は放熱によって、栽培室の温度は適正な温度範囲を著しく下回り、茸栽培に不適切な低温環境となる場合がある。こうした外気温による影響は、例えば熱帯地域や寒冷地域等、地域によってはより顕著な問題である。従って、一般に茸栽培をする場合、茸栽培室に冷暖房設備を完備する必要があるが、気象条件の厳しい地域や季節によっては、冷暖房設備を常時運転しなければならず、栽培コストの高騰を招く場合がある。
それに対し、本実施形態においては、まずハウス本体1の内部空間を間仕切りして茸栽培室2を形成し、温度調節の対象空間を必要最小限な範囲に縮小することにより、空調設備10の負荷低減を図る構成としている。しかしながら、上述したように、例えば真夏期間には、ハウス本体1の天井部付近の温度は60℃以上にも昇るので、単にハウス本体1の内部を間仕切りして茸栽培室2を形成するのみでは、顕著な効果が得られるとは限らない。そこで、本実施形態においては、茸栽培室2を、例えば発泡スチロールや発砲ウレタン等の空気泡を有する遮熱材3で構成することにより、外気温はもとより、ハウス本体1内の温度の影響を抑制し、茸栽培室2内の温度の遺漏を抑制することで室内環境を変化し難くすることができる。これにより、空調効率を飛躍的に向上させ、室温を効率的に適正範囲内に調整することができる。また、栽培棚4をカバー6で被覆することができるので、菌床材19に噴霧水が直接入ることを防止することができ、菌床材19の含水比管理が容易となり、適当な栽培の温度、湿度環境ができる。このように、茸栽培室2内の温度や湿度、菌床材19の含水率を適正かつ容易に維持管理することができるので、通年に亘って茸を栽培する環境ができる。
また、前述したように、菌床材19の適正な含水率を維持管理するために、茸栽培室2内への散水の時、栽培時に、栽培棚4のカバー6を開閉する必要があり、仮にカバー6を1枚で形成した場合には、カバー6自体をその都度付け外ししなければならず、その作業は極めて煩わしいものとなる。それに対し、本実施形態においては、カバー6に切り込み18を設けているので、菌床材19の湿度調整を容易化することができる。さらに、噴霧水がカバー6の上部に溜まると、溜り水が栽培箱を直撃する恐れがあり、このカバー6を支持するフレーム5の上部を、例えば格子状に骨組みする等してカバー6の上部に噴霧水が溜まりにくくする手段を講じる。
また、従来、一般に茸の菌床材の主材には稲藁等が使用されていた。茸はその成長過程で菌床材や覆土の栄養分(ミネラル等)を吸収するので、良質な茸を栽培するためには、菌床材や覆土は、良質で、なおかつ、例えばひ素、カドミュウム、錫、鉛等の重金属が含まれていないものを使用しなければならない。そこで、茸の菌床材として、農薬・消毒が無い、かつ栄養分が豊富な砂糖きびの絞りカス(バガス)を主成分としたバガス菌床材を使用することにより、安全で安心な、栄養価の高いより高品質な茸を栽培することができる。
本実施形態においては、上述したように噴霧時に栽培棚4をカバー6で覆い、含水率の維持管理で必要なカバー6の開閉を容易化したことで、バガス菌床材の含水率の適正範囲に調整する労力を軽減することができ、かつ、生産性を向上させ、生産コストを削減することができる。
続いて、本発明の茸栽培設備の第2実施形態について図面を用いて説明する。
図9は本実施形態の茸栽培設備の全体構成を概略して表す縦断面図、図10は栽培棚4を省略したその概略図で、これら図9及び図10において、先の各図と同様の部分、同様の機能を果たす部分には同符号を付し説明を省略する。
図9及び図10に示すように、本実施形態が先に説明した第1実施形態と相違する点は、コンテナ30を茸栽培室として利用した点であり、ハウス本体1は省略可能である。コンテナ30は、適当な空間容積のものを選択すれば良い。また、本実施形態では、コンテナ30の外壁面および屋根面に間隙を設けて遮光材3が貼設された状態を図示したが、遮光材は板材や空気泡を有する遮熱材でも良い。遮光材は外壁面・天井面に直接貼設せず、適当な間隙をつくることにより、日光で熱せられた遮光材の温度を直接コンテナに伝導させない。保冷コンテナは、外壁・天井が遮熱構造となっているので、遮光材を設置しなくても良い。
図9は本実施形態の茸栽培設備の全体構成を概略して表す縦断面図、図10は栽培棚4を省略したその概略図で、これら図9及び図10において、先の各図と同様の部分、同様の機能を果たす部分には同符号を付し説明を省略する。
図9及び図10に示すように、本実施形態が先に説明した第1実施形態と相違する点は、コンテナ30を茸栽培室として利用した点であり、ハウス本体1は省略可能である。コンテナ30は、適当な空間容積のものを選択すれば良い。また、本実施形態では、コンテナ30の外壁面および屋根面に間隙を設けて遮光材3が貼設された状態を図示したが、遮光材は板材や空気泡を有する遮熱材でも良い。遮光材は外壁面・天井面に直接貼設せず、適当な間隙をつくることにより、日光で熱せられた遮光材の温度を直接コンテナに伝導させない。保冷コンテナは、外壁・天井が遮熱構造となっているので、遮光材を設置しなくても良い。
本実施形態において、空気攪拌手段として、コンテナ30の長手方向に直交する側面の底面付近に外部から貫通させて送風機9を設け、図10に示したようにコンテナ30内に1つの大きな空気旋回流を形成するようにしてあるが、これに限られず、送風機9の設置数、設置場所については、第1実施形態と同様、コンテナ30内の空気が攪拌されるように適宜配慮すれば足りる。勿論、空気攪拌手段は、図示した送風機9に限らず、ファン等としても良い。また、噴霧ノズル8は、コンテナ30の長手方向に直交する側面の天井付近に外部から貫通させて給水管を設け、この給水管8に所定間隔で複数(図10では3つ)設けたものを図示したが、これも第1実施形態と同様、図示した態様に限られず、コンテナ30内になるべく均一に噴霧できるよう適宜構成すれば良い。その他の構成及び設備の使用方法については、第1実施形態と同様である。
本実施の形態においても、適当な大きさのコンテナ30を茸栽培室とし、コンテナ30の外壁面および屋根面に間隙を設けて遮光板3を貼設することによりコンテナが直射日光で熱せられるのを防止し、空調効率を向上させ、コンテナ30内の温度環境は季節に関わらず適正範囲に維持することができるので、通年に亘って茸栽培を行うことができる。また、上記同様、栽培棚4のカバー6を容易に開閉できるため、菌床材の含水率の維持管理が容易であり、茸を効率的に栽培することができる。その他についても、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、加えて、コンテナ30は茸栽培において温度・湿度の維持管理が容易で台風にも強い栽培ができる。
1 ハウス本体
2 茸栽培室
3 遮熱材
4 栽培棚
5 フレーム
6 カバー
7 栽培箱
8 噴霧ノズル(噴霧手段)
9 送風機(空気攪拌手段)
10 空調設備
18 切り込み
19 菌床材
30 コンテナ
2 茸栽培室
3 遮熱材
4 栽培棚
5 フレーム
6 カバー
7 栽培箱
8 噴霧ノズル(噴霧手段)
9 送風機(空気攪拌手段)
10 空調設備
18 切り込み
19 菌床材
30 コンテナ
Claims (4)
- ハウス本体と、
このハウス本体の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱材で構成した茸栽培室と、
前記茸栽培室内に設置され、茸栽培用の栽培箱を載置するための栽培棚と、
この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組みしたフレームと、
このフレームと栽培棚を被覆するカバーと、
前記茸栽培室内に噴霧する噴霧手段と、
前記茸栽培室内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と
を備えたことを特徴とする茸栽培設備。 - ハウス本体と、
このハウス本体の内部空間のうち茸栽培に要する空間を区画して遮熱材で構成した茸栽培室と、
前記茸栽培室内に設置された栽培棚と、
この栽培棚の支柱天端を格子状に骨組みしたフレームと、
このフレームと栽培棚を被覆するように設けられ、少なくとも前記栽培棚の長手方向に沿う側面を覆う部分に所定間隔で切り込みを設けたカバーと、
前記栽培棚に載置され、砂糖きびの絞りカスを主成分とした菌床材を収容した栽培箱と、
前記茸栽培室内に噴霧する噴霧手段と、
前記茸栽培室内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と、
前記茸栽培室内の温度を調節する空調設備と
を備えたことを特徴とする茸栽培設備。 - コンテナと、
このコンテナの外壁面および屋根面に間隙を設けて貼設された遮光材と、
前記コンテナ内に設置され、茸栽培用の栽培箱を載置するための栽培棚と、
この栽培棚を取り囲むようにして設けたフレームと、
このフレームを被覆するカバーと、
前記コンテナ内に噴霧する噴霧手段と、
前記コンテナ内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と
を備えたことを特徴とする茸栽培設備。 - コンテナと、
このコンテナの外壁面および屋根面に間隙を設けて貼設された遮光材と、
前記コンテナ内に設置された栽培棚と、
この栽培棚を取り囲むようにして設けられ、上面部が格子状に骨組みされたフレームと、
このフレームを被覆するように設けられ、少なくとも前記栽培棚の長手方向に沿う側面を覆う部分に所定間隔で切り込みを設けたカバーと、
前記栽培棚に載置され、砂糖きびの絞りカスを主成分とした菌床材を収容した栽培箱と、
前記コンテナ内に噴霧する噴霧手段と、
前記コンテナ内の雰囲気を攪拌する空気攪拌手段と、
前記コンテナ内の温度を調節する空調設備と
を備えたことを特徴とする茸栽培設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004053566A JP2005237322A (ja) | 2004-02-27 | 2004-02-27 | 茸栽培設備 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004053566A JP2005237322A (ja) | 2004-02-27 | 2004-02-27 | 茸栽培設備 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005237322A true JP2005237322A (ja) | 2005-09-08 |
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ID=35019705
Family Applications (1)
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JP2004053566A Pending JP2005237322A (ja) | 2004-02-27 | 2004-02-27 | 茸栽培設備 |
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JP (1) | JP2005237322A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN115053710A (zh) * | 2022-02-22 | 2022-09-16 | 中国科学院地理科学与资源研究所 | 土壤增温装置与方法 |
JP7470463B1 (ja) | 2023-03-30 | 2024-04-18 | 株式会社大野きのこファーム | コンテナユニット及びコンテナユニットを用いた菌床給水システム |
-
2004
- 2004-02-27 JP JP2004053566A patent/JP2005237322A/ja active Pending
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