JP2005235566A - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実現色が異なる複数種類の色変換層を有しながらも自発光素子の寿命の相互の相違を抑制し、ひいては装置全体の寿命を向上させ、かつ表示品質を向上させる。
【解決手段】 電気光学装置1の電気光学パネルの画素領域には、複数の画素回路が設けられている。画素回路の各々は、発光色が同じOLED素子17を包含し、各自が包含するOLED素子17を駆動する。OLED素子17には実現色が異なる複数種類のカラーフィルタ18R、18G、18Bがそれぞれ重ねられている。一つの種類のカラーフィルタに重ねられたOLED素子17の発光面積は、他の種類のカラーフィルタに重ねられたOLED素子17の発光面積と異なる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自発光素子を備えた電気光学装置及びこれを用いた電子機器に関する。
近年、液晶表示装置に替わる画像表示装置として、有機発光ダイオード素子(以下、OLED素子と称する。)を備えた装置が注目されている。OLED(Organic Light Emitting Diode)素子は、光の透過量を変化させる液晶素子とは異なり、それ自体が発光する電流駆動型の自発光素子である。
OLED素子を用いたアクディブマトリクス駆動の電気光学装置では、各OLED素子に対して、発光階調を調整するための画素回路が設けられる。各画素回路における発光階調の設定は、発光階調に応じた電圧または電流を画素回路に与え、与えられた電圧または電流に応じて画素回路がOLED素子に流れる駆動電流を調整することによって実行される。
OLED素子にはそれ自体で発光色を持つものもあるが、光の三原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)を発光する素子は高価であり、さらに発光特性や寿命の優れたこれらの素子を準備することは困難である。そこで、同一色(例えば白色)のOLED素子のみを画素領域に設け、色変換層(例えばカラーフィルタ)を用いて発光色を別の実現色に変換する画像表示装置が使用されている(例えば、特許文献1)。白色を発光する画素を得る方法は、例えば特許文献2および特許文献3に記載されている。
特許第3452262号公報 特許第2661804号公報 特許第3366401号公報
しかし、この種の画像表示装置では、種類によって色変換層の変換効率(色変換層に入射される光の輝度に対する色変換層から出射する光の輝度の比)が異なるのと、波長ごとの相対輝度が異なるために、同じ駆動電流をOLED素子に与えたとしても、色変換層で変換後の光の光度は色変換層の種類すなわち実現色によって異なる。従って、同じ駆動電流の下で、B変換層で変換後のBの光の光度が高いのにR変換層で変換後のRの光の光度が低いというような事態が起こりうる。この場合には、所望の色彩の画像を実現することが困難である。
実現色のバランスをとるためには、変換効率の低い色変換層に重なったOLED素子に流れる電流を大きくすることにより、そのOLED素子の光度を高めることが考えられる。しかし、OLED素子に流れる電流密度が高まると、そのOLED素子の寿命は指数関数的に短くなる。従って、重なった色変換素子によって、OLED素子の寿命が顕著にばらついてしまい好ましくない。ある実現色に関するOLED素子の寿命が尽きれば、他の実現色に関するOLED素子がまだ使用可能であっても装置全体としては使用に耐えない。
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、実現色が異なる複数種類の色変換層を有しながらも自発光素子の寿命の相互の相違を抑制し、ひいては装置全体の寿命を向上させ、かつ表示品質を向上させることが可能な電気光学装置及び電子機器を提供する。
本発明に係る電気光学装置は、発光色が同じ自発光素子を各々が包含し、各自が包含する自発光素子を駆動する複数の画素回路と、前記複数の自発光素子にそれぞれ重ねられており、前記自発光素子の各々から発せられた光の色を別の実現色に変換し、変換後の実現色が互いに異なる複数種類の色変換層とを備え、一つの種類の前記色変換層に重ねられた自発光素子の発光面積が、他の種類の前記色変換層に重ねられた自発光素子の発光面積と異なることを特徴とする。
本発明によれば、発光色が同じ自発光素子に複数種類の色変換層を適用してカラー表示が可能となる。また、色変換層の種類に応じて自発光素子の発光面積を異ならせるので、それらの光度を発光面積に応じて調整することが可能となる。例えばOLED素子を自発光素子として使用する場合には、自発光素子の発光面積に関わらず、発光の輝度(単位:カンデラ/平方メートル)はOLED素子を流れる電流密度に比例する。電流密度一定とした場合に発光面積を大きくすれば、電流密度と面積の積である電流は増え、輝度と面積の積である光度(単位:カンデラ)は増加する。従って、OLED素子の発光スペクトル特性及び色変換層の変換効率を考慮して発光面積を設定すれば、色変換層で変換後の光の光度を補償することが可能である。このようにして実現色のバランスをとることで表示品質を向上させることが可能である。一方、自発光素子を流れる電流密度は、実現色に応じて変化させる必要はないので、自発光素子の寿命の相互の相違を抑制することができる。この結果、著しく寿命の劣る自発光素子がなくなり、装置全体の寿命を向上させることができる。
この構造において、対応する画素回路から前記自発光素子の各々が与えられる最大の電流密度は、重ねられた色変換層の種類に関わらずほぼ等しいことが好ましい。この場合には、色変換層の種類に関わらず自発光素子の寿命を相互にほぼ均一化することができ、装置全体の寿命の延長に貢献する。ここで、「最大の電流密度がほぼ等しい」とは、自発光素子の寿命時間の観点から許容される範囲であれば等しいという意味であり、例えば、異なる実現色の間で自発光素子の寿命時間が10%以内のばらつきとなるように最大の電流密度が設定されていればよい。
また、すべての自発光素子を等しい電流密度で発光させた時に、前記色変換層の各々で変換された光を混合した光が白色を呈示するように、前記自発光素子の発光面積の比が設定されていることが好ましい。実現色のバランスをとって表示品質を向上させることがより確実になる。
また、前記色変換層の実現色は赤色、緑色および青色であり、赤色、緑色および青色に対応する前記自発光素子のスペクトル強度を赤スペクトル強度、緑スペクトル強度および青スペクトル強度とし、赤色、緑色および青色に対応する色変換層の変換効率を赤変換効率、緑変換効率および青変換効率とし、赤色、緑色および青色に対応する前記自発光素子の発光面積を赤発光面積、緑発光面積および青発光面積としたとき、赤スペクトル強度、赤変換効率、および赤発光面積の積で定まる赤色の光と、緑スペクトル強度、緑変換効率、および緑発光面積の積で定まる緑色の光と、青スペクトル強度、青変換効率、および青発光面積の積で定まる青色の光とを混合した光が、白色を呈示するように、赤発光面積、緑発光面積および青発光面積の比が設定されていることが好ましい。この場合には、赤色、緑色および青色の光を混合した光が白色を提示するように、スペクトル強度、変換効率および発光面積の関係を設定するので、ホワイトバランスが向上し、表示品質をさらに向上させることが可能である。
本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備えたことを特徴とする。
<実施形態>
図1は、本発明の実施の形態に係る電気光学装置の断面図である。図1に示すように、電気光学装置1は、絶縁性基板10と、その上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)層12と、その上に形成された平坦化絶縁膜14と、その上に形成された有機発光ダイオード(OLED)層16とを備える。さらに電気光学装置1は、OLED層16の上に配置された色変換層としてのカラーフィルタ18R、18G、18Bと、その上に配置された透明絶縁性基板20を備える。
TFT層12は、ゲート電極22と、ゲート絶縁膜24と、能動層26と、層間絶縁膜28と、ソース電極30と、ドレイン電極32を備える。能動層26はソース領域34及びドレイン領域36を備え、ソース領域34及びドレイン領域36はそれぞれソース電極30及びドレイン電極32に接続されている。TFT層12のうち、一つの能動層26並びにその付近のゲート電極22、ソース電極30及びソース領域34は、一つのTFT素子13を構成する。これらのTFT素子13はマトリクス状に配列されている。
OLED層16は、積層された反射型アノード40、ホール輸送層42、発光層44、電子輸送層46、透明カソード48及び保護封止層50を備える。反射型アノード40は、平坦化絶縁膜14を通って各TFT素子13のドレイン電極32に接続されており、各TFT素子13から給電を受ける。OLED層16では、アノード40とカソード48からそれぞれ注入された正孔と電子の再結合エネルギーが発光層44で光エネルギーに変換されることにより発光する。この光が透明なカソード48を通って図中矢印で示すように上方に出射する。また、OLED層16は絶縁バンク54を有する。絶縁バンク54は、平坦化絶縁膜14上に格子状に形成されており、反射型アノード40、ホール輸送層42、発光層44及び電子輸送層46を細分し、これによりマトリクス状に配列された複数の画素が得られる。但し、透明カソード48はこれらの画素に共通である。
図中の符号17は、絶縁バンク54で囲まれた各画素に対応するOLED素子を示す。上述より明らかなように、これらのOLED素子(自発光素子)17は同材質であるため同じ発光色(好ましくは白色)を有するが、後述するように、重ねられたカラーフィルタ18R、18G、18Bによって外部から視認される実現色が異なる。OLED素子17の各々は、その下のTFT素子13によって給電される。
OLED層16の保護封止層50の上には複数のカラーフィルタ(色変換層)18R、18G、18Bが固着されている。カラーフィルタ18R、18G、18Bは、それぞれOLED素子17に重ねられており、OLED素子の各々から発せられた光の色を別の実現色に変換することが可能である。具体的には、カラーフィルタ18Rは白色光を赤色光に変換し、カラーフィルタ18Gは白色光を緑色光に変換し、カラーフィルタ18Bは白色光を青色光に変換する。これらのカラーフィルタ18R、18G、18Bは、カラーフィルタ相互の間の光の色の混合を防止するために光を遮断するブラックマトリクス54で包囲されて互いに遮蔽されていると好ましい。
但し、本発明に係る色変換層は、カラーフィルタに限定されず、光を受けて別の色の光を発するフォトルミネセンス材であってもよい。また、OLED素子の発光色は好ましくは白色であるが、他の色でもよい。さらに、色変換層の種類すなわち実現色もR、G、Bに限定されず他の色でもよいし、色変換層の種類すなわち実現色の数も3に限定されず、2以上であればよい。
例示した電気光学装置は、自発光素子としてOLED素子を用いるが、本発明の範囲をOLED素子に限定する意図ではなく、無機発光ダイオードまたはその他の適切な自発光素子を使用してもよい。また例示した電気光学装置の構造の細部は本発明の理解を容易にするために具体的に説明したものであり、本発明をこれらに限定する意図でなく、他の構造であってもよい。
図2は、本発明の実施形態に係る電気光学装置の概略構成を示すブロック図である。電気光学装置1は、電気光学パネルAAと外部回路を備える。電気光学パネルAAには、画素領域A、走査線駆動回路100及びデータ線駆動回路200が形成される。このうち、画素領域Aには、X方向と平行にm本の走査線101が形成される。また、X方向と直交するY方向と平行にn本のデータ線103が形成される。
走査線101とデータ線103との各交差に対応して画素回路400が各々設けられている。画素回路400の各々はOLED素子17のいずれか一つとTFT素子13(図1参照)を含んでおり、電源電圧を受けて各自が包含するOLED素子を駆動する。図に示す「R」、「G」、及び「B」の符号は、OLED素子に重なったカラーフィルタ18R、18G、18B(図1参照)の変換色を示している。但し、カラーフィルタ18R、18G、18Bの図示はこの図では省略する。上述の通り、OLED素子17は同じ発光色を有するが、重ねられたカラーフィルタ18R、18G、18Bによって外部から視認される実現色が異なる。
この実施の形態では、電源電圧Vddを各画素回路400に共通に供給する電源配線Lが設けられている。電源回路600は、電源電圧Vddを生成し、電源電圧Vddは、電源配線Lを介して、RGB各色に対応する画素回路400に印加される。
走査線駆動回路100は、複数の走査線101を順次選択するための走査信号Y1、Y2、Y3、…、Ymを生成して、各画素回路400に各々供給する。走査信号Y1は、1垂直走査期間(1F)の最初のタイミングから、1水平走査期間(1H)に相当する幅のパルスであって、1行目の走査線101に供給される。以降、このパルスを順次シフトして、2、3、…、m行目の走査線101の各々に走査信号Y2、Y3、…、Ymとして供給する。一般的にi(iは、1≦i≦mを満たす整数)行目の走査線101に供給される走査信号YiがHレベルになると、当該走査線101が選択されたことを示す。
データ線駆動回路200は、選択された走査線101に位置する画素回路400の各々に対し供給階調信号X1、X2、X3、…、Xnを供給する。この例において、供給階調信号X1〜Xnは階調輝度を指示する電圧信号(データ電圧)として各画素回路400に与えられる。タイミング発生回路700は、各種の制御信号を生成してこれらを走査線駆動回路100及びデータ線駆動回路200へ出力する。また、画像処理回路800はガンマ補正等の画像処理を施した階調データDを生成し、データ線駆動回路200へ出力する。なお、この例では、電源回路600、タイミング発生回路700、及び画像処理回路800を、電気光学パネルAAの外部に設けたが、これらの構成要素の一部又は全部を電気光学パネルAAに取り込んでもよく。更に、電気光学パネルAAに設けられた構成要素の一部を外部回路として設けてもよい。
図3は、一つの画素回路400の詳細を示す回路図である。他の画素回路も同様の構成を有する。同図に示すように、画素回路400には電源電圧Vddが供給される。画素回路400は、2個のTFT素子13及び402と、容量素子410と、OLED素子17とを備える。このうち、pチャネル型のTFT素子13のソース電極30は電源配線Lに接続される一方、そのドレイン電極32はOLED素子17のアノード40に接続される。また、TFT素子13のソース電極30とゲート電極22との間には、容量素子410が設けられている。TFT素子402のゲート電極は走査線101に接続され、そのソース電極は、データ線103に接続され、そのドレイン電極はTFT素子13のゲート電極22と接続される。
このような構成において、走査信号YiがHレベルになると、nチャネル型TFT素子402がオン状態となるので、接続点Zの電圧がデータ電圧Vdataと等しくなる。このとき、容量素子410にはVdd−Vdataに相当する電荷が蓄積される。次に、走査信号YiがLレベルになると、TFT素子402はオフ状態となる。TFT素子13のゲート電極22における入力インピーダンスは極めて高いので、容量素子410における電荷の蓄積状態は変化しない。TFT素子13のゲート・ソース間電圧は、データ電圧Vdataが画素回路400に印加されたときの電圧値すなわち印加された電源電圧とデータ電圧の差(Vdd−Vdata)に保持される。OLED素子17に流れる電流Ioledは、TFT素子13のゲート・ソース間電圧(Vdd−Vdata)によって定まるので、電源電圧Vddが一定であればデータ電圧Vdataに応じた電流IoledがOLED素子17に流れることになる。そして、OLED素子17はそこに流れる電流に応じた光度の光を発光する。より厳密にはOLED素子17に流れる電流密度にOLED素子17の発光の輝度は比例するので、流れる電流が大きいほどOLED素子17の光度は高い。
図4は、白色光を発するOLED素子17の一例の発光スペクトラムを示すグラフである。同図中、縦軸の相対輝度は、OLED素子17の最大輝度(波長約570nm)での輝度を100%として表している。
また、図5は、カラーフィルタ18R、18G、18Bの例の透過特性を示すグラフである。同図に示すようにカラーフィルタ18R、18G、18Bの透過率は互いに異なり、カラーフィルタ18Rの透過率が最小である一方、カラーフィルタ18Bの透過率が最大である。図4および図5を参照すると、同じ条件(発光面積も等しいと仮定する)ですべてのOLED素子17に電流を与えた場合には、カラーフィルタ18R、18G、18Bを透過して外部から視認される光の光度はB色が最大でR色が最小であることが理解できよう。
しかし、これでは、電気光学装置1による実現色の相互の光度がアンバランスであり、視認者に違和感を与える。そこで、本実施形態においては、色変換層の種類に応じて、OLED素子17の発光面積を変えることによって、実現色が異なる複数種類の色変換層を使用しながらも、色変換層の変換効率特性(カラーフィルタの場合には透過率特性)に起因する色ムラを低減して表示品質を向上させている。
上述したように、電流密度と発光面積を等しくした場合には、R色、G色、及びB色の順に光度が大きくなる。本実施形態では、ホワイトバランスが取れるようにOLED素子17の発光面積を設定している。この例では、図1および図2に示すように、透過率の低いカラーフィルタ18Rに重なったOLED素子17の発光面積が最大であり、透過率の高いカラーフィルタ18Bに重なったOLED素子17の発光面積が最小である。OLED素子17を自発光素子として使用する場合には、画素の面積に関わらず、発光の輝度はOLED素子17を流れる電流密度に比例する。この場合にOLED素子17の発光面積を大きくすれば、電流密度と面積の積である電流は増え、輝度と面積の積である光度は増加する。従って、カラーフィルタ18Rに重なったOLED素子17の発光の光度を高めれば、カラーフィルタで透過後の光の光度を補償することが可能である。このようにして実現色のバランスをとることが可能である。つまり、色変換層の変換効率特性すなわちカラーフィルタの透過特性に起因する色ムラを低減して表示品質を向上させることができる。
一方、OLED素子17を流れる電流密度は、OLED素子17に重なったカラーフィルタの種類や実現色に対応するOLED素子のスペクトラム強度に応じて変化させる必要はないので、OLED素子17の寿命の相互の相違を抑制することができる。この結果、著しく寿命の劣るOLED素子17がなくなり、装置全体の寿命を向上させることができる。
カラーフィルタの種類に関わらずOLED素子17の寿命を相互にほぼ均一化するためには、対応する画素回路400からOLED素子17の各々が与えられる最大の電流密度(最大光度を得るための電流の密度)は、重ねられたカラーフィルタの種類に関わらず一定であると好ましい。このためには、発光面積の相違(つまりカラーフィルタの種類)に応じて、OLED素子17に流れる電流Ioledを変えると好ましい。つまり、透過率の高いカラーフィルタ18Bに重なった発光面積が最小のOLED素子17へ与える最大電流Ioledは小さくて済むが、透過率の低いカラーフィルタ18Rに重なった発光面積が最大のOLED素子17へ与える最大電流Ioledは大きくするのが好ましい。
カラーフィルタの実現色に応じて各OLED素子17に与える最大電流Ioledを最適にする方策としては、データ電圧Vdataをカラーフィルタの種類に応じて変更することが考えられる。上記の通り、OLED素子17に流れる電流Ioledは、TFT素子13のゲート・ソース間電圧(Vdd−Vdata)によって定まるからである。本実施の形態のように電源電圧Vddが一定であればデータ電圧Vdataに応じた電流IoledがOLED素子17に流れることになる。具体的には、各OLED素子17を最大光度で発光させるときには、透過率の高いカラーフィルタ18Bに重なった発光面積が最小のOLED素子17を包含する画素回路400には、データ線駆動回路200から高いデータ電圧Vdataを印加する。一方、透過率の低いカラーフィルタ18Rに重なった発光面積が最大のOLED素子17を包含する画素回路400には、データ線駆動回路200から低いデータ電圧Vdataを印加する。
カラーフィルタの実現色に応じて各OLED素子17に与える最大電流Ioledを最適にする他の方策としては、図示しないが、カラーフィルタの種類に応じて電源配線Lを独立して設けることが考えられる。例えば3種のカラーフィルタ18R、18G、18Bを使用するこの実施の形態では、3つの電源配線Lを設け、電源電圧Vddをカラーフィルタの種類に応じて変更すればよい。具体的には、各OLED素子17を最大光度で発光させるときには、透過率の高いカラーフィルタ18Bに重なった発光面積が最小のOLED素子17を包含する画素回路400には、電源回路600から低い電源電圧Vddを印加して、TFT素子13のゲート・ソース間電圧(Vdd−Vdata)を小さくして、OLED素子17へ与える最大電流Ioledを小さくする。一方、透過率の低いカラーフィルタ18Rに重なった発光面積が最大のOLED素子17を包含する画素回路400には、電源回路600から高い電源電圧Vddを印加して、OLED素子17へ与える最大電流Ioledを大きくする。
OLED素子17の発光面積の比は、画素領域A内のすべてのOLED素子17をほぼ等しい電流密度で発光させた時に、カラーフィルタの各々で変換された光を混合した光が目的とするスペクトルを呈示するように、設定されていると好ましい。カラーフィルタの種類すなわち実現色はR、G、Bの3色に限られないが、本実施形態のようにR、G、Bである場合には、すべてのOLED素子17をほぼ同一の電流密度で発光させた時に、カラーフィルタ18R、18G、18Bの各々で変換された光を混合した光が白色を呈示するように、発光面積の比が設定されていると好ましい。
ここで、OLED素子17のR色、G色、およびB色に対応するスペクトラム強度をXr、Xg、およびXbとし、カラーフィルタ18R、18Gおよび18Bの変換効率をYr、Yg、Ybとし、OLED素子17のR色、G色、およびB色に対応する発光面積をSr、SgおよびSbとする。この場合、赤色のカラーフィルタ18Rから出射される光の光度はXr×Yr×Srで与えられ、緑色のカラーフィルタ18Gから出射される光の光度はXg×Yg×Sgで与えられ、青色のカラーフィルタ18Bから出射される光の光度はXb×Yb×Sbで与えられる。そして、これらの光を混合した光が白色を提示するように発光面積Sr、SgおよびSbを定めればよい。
この場合には、すべてのOLED素子17をほぼ同一の電流密度で発光させた時の色変換層の相互の実現色(例えばR、G、B)の比が最適となり、表示品質を向上させることが可能である。
<2.変形例>
(1)上述した実施形態においては、同一色の画素回路400がY方向に配列されたストライプ配列を例示したが、各色の画素回路400の配列の態様はこれに限られない。例えば、同一色の画素回路400が隣接しないように各色の画素回路400が千鳥状に配列されたデルタ配列も採用され得る。
(2)上記実施形態においては電圧プログラミング方式の画素回路400を例示したが、電流プログラミング方式の画素回路400にも本発明は適用される。この電流プログラミング方式の画素回路400においては、データ線103に流れる電流に応じた電圧が容量素子410に保持される一方、この電圧に応じた電流がOLED素子17に流れて当該OLED素子17が発光する。これを利用して、発光面積の相違(つまりカラーフィルタの種類)に応じて、OLED素子17に流れる電流Ioledを変えることが可能である。
<3.電子機器>
次に、上述した実施形態及び変形例に係る電気光学装置1を適用した各種の電子機器について説明する。
図6に、電気光学装置1を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。この電気光学装置1はOLED素子17を用いるので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
図7に、電気光学装置1を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
図8に、電気光学装置1を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置1を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1に表示される。
なお、電気光学装置1が適用される電子機器としては、図6〜図8に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した電気光学装置1が適用可能である。
本発明の実施形態に係る電気光学装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。 同装置における画素回路の構成を示す回路図である。 白色光を発する自発光素子であるOLED素子の一例の発光スペクトラムを示すグラフである。 同装置における色変換層である3色のカラーフィルタの例の透過特性を示すグラフである。 同電気光学装置を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 同電気光学装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。 同電気光学装置を適用した携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…電気光学装置、12…薄膜トランジスタ(TFT)層、13…TFT素子、17…OLED素子(自発光素子)、18R,18G,18B…カラーフィルタ(色変換層)、400…画素回路、600…電源回路、AA…電気光学パネル、A…画素領域、L…電源配線。

Claims (5)

  1. 発光色が同じ自発光素子を各々が包含し、各自が包含する自発光素子を駆動する複数の画素回路と、
    前記複数の自発光素子にそれぞれ重ねられており、前記自発光素子の各々から発せられた光の色を別の実現色に変換し、変換後の実現色が互いに異なる複数種類の色変換層とを備え、
    一つの種類の前記色変換層に重ねられた自発光素子の発光面積が、他の種類の前記色変換層に重ねられた自発光素子の発光面積と異なることを特徴とする電気光学装置。
  2. 対応する画素回路から前記自発光素子の各々が与えられる最大の電流密度は、重ねられた色変換層の種類に関わらずほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. すべての自発光素子を等しい電流密度で発光させた時に、前記色変換層の各々で変換された光を混合した光が白色を呈示するように、前記自発光素子の発光面積の比が設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
  4. 前記色変換層の実現色は赤色、緑色および青色であり、赤色、緑色および青色に対応する前記自発光素子のスペクトル強度を赤スペクトル強度、緑スペクトル強度および青スペクトル強度とし、赤色、緑色および青色に対応する色変換層の変換効率を赤変換効率、緑変換効率および青変換効率とし、赤色、緑色および青色に対応する前記自発光素子の発光面積を赤発光面積、緑発光面積および青発光面積としたとき、
    赤スペクトル強度、赤変換効率、および赤発光面積の積で定まる赤色の光と、緑スペクトル強度、緑変換効率、および緑発光面積の積で定まる緑色の光と、青スペクトル強度、青変換効率、および青発光面積の積で定まる青色の光とを混合した光が、白色を呈示するように、赤発光面積、緑発光面積および青発光面積の比が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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