JP2005234201A - スキンケア性眼鏡部品 - Google Patents
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Abstract
長時間皮膚に接触させて用いても炎症を起こすことなく健やかな皮膚を保つことができ、かつ、長期間にわたってその効果を持続することができる、スキンケア性眼鏡部品を提供する。
【解決手段】
加水分解セリシンを含有する熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品、および、熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品用基材の表面に、加水分解セリシンを含有する樹脂被膜が形成されてなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品。
【選択図】 図1
Description
(1)加水分解セリシンを含有する熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品である。
(2)熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品用基材の表面に、加水分解セリシンを含有する樹脂被膜が形成されてなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品である。
一般に眼鏡フレーム1は、図1に示すように、パット2やモダン3などの部品を備えている。本発明において眼鏡部品とは、パット2やモダン3など、眼鏡フレーム1あるいは眼鏡の一部を構成する部品を意味し、特に、皮膚に接触して用いられる部品を意味するものである。また、本発明において眼鏡部品用基材とは、眼鏡部品の形状に成形され、かつ、表面仕上げを行うことによって(具体的には、その表面に加水分解セリシンを含有する樹脂被膜を形成させることによって)、眼鏡部品となり得るものを意味する。
セリシンのアミノ酸組成は、皮膚角質層の水分調整に関わる天然保湿因子(NMF:natural moisturizing factor)のアミノ酸組成に類似しており、特に親水性に富むセリンを多く含んでいる。保湿剤として使用されているフィブロインやコラーゲンなどの天然蛋白質に比べてもセリンを多く含むセリシンは、親水性が高く、保湿剤として優位であり、皮膚に対する作用効果は特に顕著なものとなる。また、放湿性に優れるため、べたつきを生じることもない。さらに、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎などの症状を改善する効果も報告されている。
オキシアミノ酸であるセリンは安定性が十分でなく、例えば高温高圧下で長時間処理した場合など、他のアミノ酸(例えば非極性、すなわち疎水性アミノ酸であるアラニン)に容易に変化してしまう。加水分解セリシンの取得に際しては、加水分解などの諸条件を、適正に制御しなければならない。
上述のように、セリシンのアミノ酸組成は、天然保湿因子のアミノ酸組成に類似しているため、オリゴペプチドと比較して大きな分子量をもつ加水分解物であっても、皮膚に吸着され易く、滲出が妨げられることはない。かつ、持続性に優れたものである。
加水分解セリシンを含有する熱可塑性樹脂の調製は、例えば、ペレット状の熱可塑性樹脂と加水分解セリシンの粉体を、単軸または二軸押出機などを用いて溶融混練することにより行われ、ペレットなどの形状で得ることができる。このとき、溶融混練温度は130〜200℃であることが好ましく、より好ましくは170〜200℃である。溶融混練温度が130℃未満であると、熱可塑性樹脂の溶融が不十分となり、加水分解セリシンを均一に混練することができない。溶融混練温度が200℃を越えると、加水分解セリシンが黄変し、透明度のある成形品を得ることができない。
生糸からなる絹織物を、50倍量の0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液中、95℃で2時間処理し、加水分解セリシンを抽出した。得られた抽出液(加水分解セリシン濃度約1重量%)を、分画分子量100000のポリスルホン系限外濾過膜を用いて脱塩、濃縮精製し、分子量100000以上の加水分解セリシンを除去した。次いで、分画分子量20000のポリスルホン系限外濾過膜を用いて濃縮精製した。この濃縮液(加水分解セリシン濃度約10重量%)をスプレードライヤー((株)大川原製作所製)を用いて噴霧乾燥し、平均分子量40000(分子量分布5000〜50000)、平均粒径10μm(粒径分布5〜20μm)の加水分解セリシン粉体を得た。得られた加水分解セリシンのセリン含有量は33モル%であった。
生糸からなる絹織物を、50倍量の1.0重量%炭酸ナトリウム水溶液中、95℃で12時間処理し、加水分解セリシンを抽出した。得られた抽出液(加水分解セリシン濃度約1重量%)を、分画分子量10000のポリスルホン系限外濾過膜を用いて脱塩、濃縮精製し、分子量10000以上の加水分解セリシンを除去した。次いで、分画分子量1000のポリスルホン系限外濾過膜を用いて濃縮精製した。この濃縮液(加水分解セリシン濃度約10重量%)をスプレードライヤー((株)大川原製作所製)を用いて噴霧乾燥し、平均分子量2000(分子量分布300〜3000)、平均粒径3μm(粒径分布1〜10μm)の加水分解セリシン粉体を得た。得られた加水分解セリシンのセリン含有量は20モル%であった。
処方1に示す原料を、単軸押出機を用いて180℃で溶融混練した後、冷却し、ペレット状の加水分解セリシン含有セルロースプロピオネート樹脂を調製した。
加水分解セリシン含有セルロースプロピオネート樹脂を80℃で4時間乾燥後(水分率0.2%)、180℃で射出成形し、ガラ掛けを行うことにより、眼鏡部品パットを得た。
同様に、加水分解セリシン含有セルロースプロピオネート樹脂を80℃で4時間乾燥後(水分率0.2%)、乾燥前の加水分解セリシン含有セルロースプロピオネート樹脂100重量部に対し、0.06重量部のMNC−27450(顔料、三協化学工業(株)製)を混合し、180℃で射出成形した後、ガラ掛けを行うことにより、眼鏡部品モダンを得た。
テナイト・プロピオネート 100重量部
(セルロースプロピオネート樹脂、固形分100重量%(ただし、微量の水分を含む)、イーストマン・ケミカル社製)
加水分解セリシン(平均分子量40000) 1重量部
加水分解セリシンを用いなかった(すなわち、加水分解セリシンをセルロースプロピオネート樹脂に溶融混練する工程を省略した)以外は、実施例1と同様にして、眼鏡部品パットおよびモダンを得た。
処方1に示す原料にかわって処方2に示す原料を用いた以外は、実施例1と同様にして、眼鏡部品パットおよびモダンを得た。
テナイト・プロピオネート 100重量部
(セルロースプロピオネート樹脂、固形分100重量%(ただし、微量の水分を含む)、イーストマン・ケミカル社製)
加水分解セリシン(平均分子量2000) 1重量部
比較例1で得られた眼鏡部品パットおよびモダンを眼鏡部品用基材として用いた。該眼鏡部品用基材に、処方3に示す処理液を吹付けにより付与し、70℃で1時間乾燥して(樹脂被膜の厚み20μm)、眼鏡部品パットおよびモダンを得た。
ハイロックDXクリヤー 80重量部
(二液型アクリルウレタン樹脂塗料主剤、固形分45重量%、ロックペイント(株)製)
ハイロックDX硬化剤 20重量部
(イソシアネート系化合物、固形分45重量%、ロックペイント(株)製)
ハイロックシンナー 20重量部
(キシレン、エチルベンゼン他、ロックペイント(株)製)
加水分解セリシン(平均分子量40000) 3重量部
モニター20人に、実施例1、2および比較例1、2で得られた眼鏡部品を取り付けた眼鏡を、それぞれ1週間ずつ装着してもらい、下記の3項目について評価した。
(a)炎症;痒みや赤みなどの異常が発生した人数をカウントした。
(b)パット跡軽減;比較例1を基準に、パット跡が軽減した人数をカウントした。
(c)保湿効果;しっとりと感じた人数をカウントした。
結果を表1に示す。
実施例1、2および比較例1、2で得られた眼鏡部品について、JIS B 7285の8.5 耐汗性試験に従い、評価した。
結果、拡大鏡を用いずに観察したとき、いずれも(a)しみ、または変色、(b)腐食、表面劣化、樹脂被膜の剥離(実施例2のみ)、などの異常は認められなかった。
実施例1、2および比較例1、2で得られた眼鏡部品について、JIS B 7285の8.6 耐光性試験に従い、評価した。
結果、いずれも、(a)変色、(b)光沢面における輝きの消失、などの異常は認められなかった。
実施例1および比較例2で得られた眼鏡部品パッドについて評価した。
25〜35℃の蒸留水に試料を浸漬し(浴比50:1)、6時間放置することを100回繰り返した。この蒸留水の蛋白質(加水分解セリシン)濃度をFolin−lowry法により定量した。また、蒸留水は1回毎に交換した。
結果を図2に示す。
2 パット
3 モダン
Claims (2)
- 加水分解セリシンを含有する熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品。
- 熱可塑性樹脂を成形してなる眼鏡部品用基材の表面に、加水分解セリシンを含有する樹脂被膜が形成されてなる眼鏡部品であって、加水分解セリシンが、構成アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有し、平均分子量が5000〜50000で、平均粒径が20μm以下の粉体であることを特徴とする、スキンケア性眼鏡部品。
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2004
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