JP2005228539A - イオン発生用噴霧装置 - Google Patents

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正浩 古野
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Abstract


【課題】
例えば質量分析装置のイオン源部に好適で、構成が簡単で容易かつ精密に製作でき、その小形軽量化と寿命の向上を図れるとともに、液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制して、極微量かつ極低速の液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善し、検出感度を向上し得る、イオン発生用噴霧装置を提供すること。
【解決手段】
液体試料の吐出側端部に高電圧を印加可能な噴霧器21を配置する。
噴霧器21の噴口23から前記液体試料を噴霧し、霧化液滴をイオン化させるイオン発生用噴霧装置であること。
前記噴霧器21を薄板状に形成する。
前記噴口23部と前期液体試料の吐出側端部とを密接して配置する。
前記液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制する。
【選択図】図2


Description

本発明は、例えば質量分析装置のイオン源部に好適で、構成が簡単で容易かつ精密に製作でき、その小形軽量化と寿命の向上を図れるとともに、液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制して、極微量かつ極低速の液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善し、検出感度を向上し得るようにした、イオン発生用噴霧装置に関する。
質量分析装置(MS)は、医学や薬学、環境等の分野で微量成分の分析に広く利用されている。前記質量分析装置は、目的の試料をイオン化するイオン源部と、この生成イオンを質量と電荷の比で分離する分析計部とを備え、液体試料の供給源としての高速液体クロマトグラフ(LC)や、キャピラリ−電気泳動装置(CE)に接続されて、LC−MS装置やCE−MS装置として使用されている。
前記LCやCEをMSに接続する場合、LCやCEで分離した微量成分を含む液体試料をMSに導入する手段として、液体試料を噴霧状にする噴霧手段を要し、この噴霧手段の一つに、ESI(エレクトロン・スプレ−・イオン化)方式が用いられている。
前記ESI方式は、細いノズルの先端に高電圧を印加することで、液体試料を帯電液滴として噴霧し、この液滴内でのイオンのク−ロン反発によって、液滴の分裂を進行させ、イオン化させている。
前記ESI方式の噴霧手段として、100〜1500μL/min流量用のキャピラリ−チュ−ブの先端部をテ−パ状に形成し、その先端に約7μm径の噴口部を設け、該噴口部からMS分析計部に向けて、液体試料を噴霧するようにしたESIニ−ドルがある(例えば、特許文献1)。
しかし、前記ESIニ−ドルは、溶融石英ないしガラス製のため破損し易く、しかもそのニ−ドルに高電圧を印加するため、繰り返し使用によって先端部が割れたり変形し易く、所期の機能が短期に低下して、寿命が短いという問題があった。
また、前記ニ−ドルは非常に小さな部品のため、加工精度を保つことが難しく、各部品毎に肉厚や孔径等にバラツキが生じて品質が一定せず、分析の再現性に悪影響を与える等の問題があった。
また、ESI方式の他の噴霧手段として、LCに接続した配管の先端部にシリコン基板製の吐出用部材を配置し、該吐出用部材にシリコン酸化膜製の内径が50μm以下の複数のノズルを突設したものがある(例えば、特許文献2)。
しかし、前記ノズルは、構造が複雑で破損し易い上に、LPCVD法等各種の加工工程と設備を要して手間が掛かり、高価になるとともに、前記配管は外径が0.125mm、試料流量が100μL/min以上の大径かつ大流量で、高流速用であるから、イオン効率が悪く、前述の極微量かつ極低速の成分分析には対応できない。
このような問題を解決するものとして、約1μL/min流量用のために、ステンレス鋼管製の短管を用い、その先端部を引き伸ばして先細に成形し、その先端部の孔を20μmに形成したノズル構造のものがある。
しかし、前記ノズル構造は耐久性や寿命は向上するが、内径が0.2mm程度の分離カラムを対象に成形しているため、前記の引き伸ばし成形ではノズル径とその真円精度に限界があり、安定かつ一様な液体試料の噴霧状態が得られなかった。
そして、前記したニ−ドルやノズルは、何れも分離カラムの後に取り付ける方式であるため、分離という面から考えると、前記ニ−ドルまたはノズルの容量分がすべてデッドボリュ−ムとなり、せっかく小口径の高精度分離カラムで分離した成分が、ニ−ドルまたはノズルのために広がりをもってしまい、クロマトグラム上ではブロ−ドなピ−クとして検出される、という問題は解決されないままであった。
一般に微量分析に適する超小径カラム(内径0.1mm以下)で分析を行なう場合、カラム性能を引き出すためには、溶離液を低流速、例えば約0.4μL/minで流さなければならない。
現在、最も汎用されているノズルを使用すると、このノズルのデッドボリュ−ムは約0.4μLであるので、単純に考えて溶出に約1minの遅れ時間が生じることになる。
したがって、この例でも分かるようにデッドボリュ−ムを抑制することは、微量分析において避けて通ることのできない課題となっていた。
米国特許明細書第5788166号 特開2002−214198号公報
本発明はこのような問題を解決し、例えば質量分析装置のイオン源部に好適で、構成が簡単で容易かつ精密に製作でき、その小形軽量化と寿命の向上を図れるとともに、液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制して、極微量かつ極低速の液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善し、検出感度を向上し得るようにした、イオン発生用噴霧装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、液体試料の吐出側端部に高電圧を印加可能な噴霧器を配置し、該噴霧器の噴口から前記液体試料を噴霧し、霧化液滴をイオン化させるイオン発生用噴霧装置において、前記噴霧器を薄板状に形成し、かつその噴口と前記液体試料の吐出側端部とを密接して配置し、前記液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制して、噴霧器の製作の容易化と精密化、および小形軽量化を図るとともに、噴霧時における液体試料の噴霧状態を安定化し、液滴粒径を微細化してイオン効率を高め、極微量かつ極低速の液体試料の成分分析に応じられるようにし、近時の質量分析装置のイオン源部に好適にしている。
請求項2の発明は、前記吐出側端部に前記噴霧器を着脱可能に挟持し、噴霧器の取り付けおよび取り外しの容易化を図り、噴霧器のメンテナンスを至便にしている。
請求項3の発明は、前記噴霧器の一側に噴口に連通する拡径部を形成し、該拡径部を液体試料の吐出側端部に向けて配置し、液体試料を円滑かつ能率良く噴口に導くとともに、前記噴口部の極短小化を可能にしている。
請求項4の発明は、前記液体試料の供給源に連通する導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に密接して配置し、それらの間のデッドボリュ−ムをなくし、液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善して、例えば検出感度を向上するようにしている。
請求項5の発明は、前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器の内部に配置し、液体試料の移動流路を短縮し移動時間を短縮して、能率良く分析し得るようにしている。
請求項6の発明は、前記導管を前記噴霧器の内部に挿入可能に配置し、導管の配管および取り外しを簡便に行なえるようにしている。
請求項7の発明は、前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に接合し、噴霧器の小形化と安価な接合を図るとともに、それらの一体化によって、それらの間のデッドボリュ−ムをなくし、かつ夾雑物の混入を防止して、分析感度の向上を図るとともに、前記導管と噴霧器の組み付けおよび取り外しを容易に行なえるようにしている。
請求項8の発明は、前記薄板状の噴霧器の周縁を筒状に形成し、該周壁内に前記導管の吐出側端部を接合し、前記噴霧器と導管とを確実かつ強固に接合するとともに、導管の吐出側端部を防護するようにしている。
請求項9の発明は、前記導管の吐出側端部を挿入可能な鞘管を設け、該鞘管の端部に前記薄板状の噴霧器を接合し、前記鞘管を介しその広い接合面に噴霧器を接合して、それらを強固に接合するとともに、その接合作業の容易化を図るようにしている。
請求項10の発明は、前記噴霧器の噴口の開口部周辺を略尖端形状に形成し、噴霧器の高電圧印加時における噴口部周辺の電界強度を高めて、前記霧化液滴のイオン化効率を向上するようにしている。
請求項1の発明は、噴霧器を薄板状に形成し、かつその噴口と前記液体試料の吐出側端部とを密接して配置し、前記液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制したから、噴霧器の製作の容易化と精密化、および小形軽量化を図れるとともに、噴霧時における液体試料の噴霧状態を安定化し、液滴粒径を微細化してイオン効率を高め、極微量かつ極低速の液体試料の成分分析に応じられ、近時の質量分析装置のイオン源部に好適な効果がある。
請求項2の発明は、前記吐出側端部に前記噴霧器を着脱可能に挟持したから、噴霧器の取り付けおよび取り外しの容易化を図れ、噴霧器のメンテナンスに至便な効果がある。
請求項3の発明は、前記噴霧器の一側に噴口に連通する拡径部を形成し、該拡径部を液体試料の吐出側端部に向けて配置したから、液体試料を円滑かつ能率良く噴口に導くことができるとともに、噴口部の極短小化を実現することができる。
請求項4の発明は、前記液体試料の供給源に連通する導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に密接して配置したから、それらの間のデッドボリュ−ムをなくし、液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善して、例えば検出感度を向上することができる。
請求項5の発明は、前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器の内部に配置したから、液体試料の移動流路を短縮し移動時間を短縮して、能率良く分析することができる。
請求項6の発明は、前記導管を前記噴霧器の内部に挿入可能に配置したから、導管の配管および取り外しを簡便に行なうことができる。
請求項7の発明は、前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に接合したから、噴霧器の小形化と安価な接合を図れるとともに、それらの一体化によって、それらの間のデッドボリュ−ムをなくし、かつ夾雑物の混入を防止して、分析感度の向上を図れるとともに、前記導管と噴霧器の組み付けおよび取り外しを容易に行なえる効果がある。
請求項8の発明は、前記薄板状の噴霧器の周縁を筒状に形成し、該周壁内に前記導管の吐出側端部を接合したから、前記噴霧器と導管を確実に接合できるとともに、導管の吐出側端部を防護することができる。
請求項9の発明は、前記導管の吐出側端部を挿入可能な鞘管を設け、該鞘管の端部に前記薄板状の噴霧器を接合したから、前記鞘管を介し広い接合面に噴霧器を接合して、接合作業の容易化と接合力の強化を図ることができる。
請求項10の発明は、前記噴霧器の噴口の開口部周辺を略尖端形状に形成したから、噴霧器の高電圧印加時における噴口部周辺の電界強度を高められ、前記霧化液滴のイオン化効率を向上することができる。
以下、本発明を質量分析装置のイオン源部に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図3において1は質量分析装置で、その質量分析部(図示略)と隣接して、霧化部2が設けられている。この場合、霧化部2は周囲を区画した室状のものや、周囲を開放して構成したものであってもよい。
前記霧化部2にノズルホルダ−3が設けられ、該ホルダ−3の所定位置に通孔4が設けられ、該通孔4の内側に本発明装置が出入り可能に取付けられ、使用時は電極部(図示略)を介して水平に支持されている。この場合、ノズルホルダ−3は柱状または板状の何れであっても良く、実施形態では板状のものを用いている。
図中、5は前記通孔4の開口部周辺に配置したカラムジョイント5で、該カラムジョイント5に貫通孔6が形成され、該貫通孔6に、例えばテフロン(登録商標)チュ−ブ製のスリ−ブ7が挿入され、該スリ−ブ7に液体試料の導管である、ヒュ−ズドシリカ製のキャピラリ−カラム8が挿入されている。
前記キャピラリ−カラム8の一端はカラムジョイント5を貫通して挿入され、その先端部が後述する噴霧器に押し当てられ、この他端が液体試料の供給源に接続されている。 前記キャピラリ−カラム8は、典型的には高速液体クロマトグラフ(HPLC)(図示略)中に接続されて、成分の分離を可能にしており、実施形態の場合、その外径は0.375mmで、内部に内径が約0.1mmの微細孔9が形成され、少なくともその一端から他端まで連続孔を持つ一体型多孔質体、いわゆるモノリス構造体が固定相10として内部に形成されていて、0.5μL/minの液体試料ないし溶出試料を移動可能にしている。
この場合、前記キャピラリ−カラム8には、固定相となる粒状充填剤が微細孔9に充填されているもの、微細孔9の内壁に薄膜の固定相10が被覆されているもの、更には固定相10を有しないもの等にも適用可能である。
そして、前記キャピラリ−カラム8と、質量分析装置1の対向電極(図示略)との間に高電圧が印加され、霧化部2内に高電界を形成して、噴霧した液体試料の液滴を荷電可能にしている。
前記カラムジョイント5の螺軸11にコネクタ12がねじ込まれ、該コネクタ12は、前記螺軸11を螺合可能なネジ孔13と、該孔13に連通する凹孔14と、軸筒部15とを備え、前記凹孔14の奥部に前記スリ−ブ7の一端が押し付けられている。
前記軸筒部15の先端部に円筒状の凸部16が設けられ、該凸部16に前記凹孔14に連通する透孔17が開口されている。
前記透孔17は前記キャピラリ−カラム8と略同径の約0.4mmに形成され、該透孔17にキャピラリ−カラム8が挿入され、その先端部を後述の噴霧器に押し当てている。
前記軸筒部15に袋ナット18が螺着され、該袋ナット18の内側に軸筒部15をねじ込み可能なネジ孔19が設けられ、該孔19の底部に前記凸部16を挿入可能な凹孔20が形成されていて、前記凹孔20と凸部16との間に、導電性部材からなる薄板状の噴霧器21が挟持されている。
図中、22は袋ナット18の先端面に開口したテ−パ孔で、噴霧部2側に漸次拡径して形成され、該テ−パ孔22に前記ネジ孔19が連通している。
前記噴霧器21は、厚さ150μmの極薄のステンレス鋼板を、例えば精密プレス加工によって円板状に成形し、該噴霧器21の表面中央に、例えばレ−ザ−加工または微細放電加工等によって、内径が約10μmの微細な噴口23を形成し、これを霧化部2に向けて配置し、該噴霧器21の背面に図3のように前記キャピラリ−カラム8の先端部を押し付けている。
図中、24は噴霧器21の裏側に形成したテ−パ孔状の拡径部で、その一端が前記噴口23に連通しており、その他端の大径側が前記微細孔9に連通していて、キャピラリ−カラム8からの溶出試料を捕集可能にしている。
そして、前記拡径部24によって、噴口23の流路の長さを噴霧器21の厚さの約半分に形成し、噴口部の短小化を図っている。25はキャピラリ−カラム8の固定用のフェラルである。
このように構成した本発明のイオン発生用噴霧装置は、例えば市販のキャピラリ−カラム8とカラムジョイント5、およびコネクタ12と袋ナット18とを使用し、このうちコネクタ12と袋ナット18の所定部に、凹孔14および透孔17、凸部16、テ−パ孔22を形成する。
また、本発明の噴霧装置は噴霧器21を要し、これは極薄のステンレス鋼板を例えば精密プレス加工によって円板状に成形し、該噴霧器21の一側面中央にレ−ザ−加工または放電加工等によって、内径が約10μmの微細な噴口23を形成し、その他側面にテ−パ状の拡径部24を形成する。
したがって、従来の引き伸ばし成形法に比べ、噴口23の真円度が向上し、噴口23および拡径部24を精密かつ容易に製作できるため、製品の性能を確実に引き出すことが可能であり、また歩留まりの低減や品質管理に寄与するところが大きい。加えてこの拡径部24によって、噴口23の流路長さを噴霧器21の厚さの約半分に形成し、噴口部の短小化を実現する。
この場合、前記噴霧器21はステンレス鋼板で形成することが望ましいが、例えばチタンや溶融石英、ガラスで形成してもよく、そのように構成しても従来のニ−ドルやノズルのような長さを要しないから、比較的破損や変形の惧れがなく使用可能である。
こうして加工した袋ナット18の凹孔20に、噴口23を外側に向けて噴霧器21を収容し、袋ナット18のネジ孔19にコネクタ12の軸筒部15をねじ込み、その先端の凸部16を噴霧器21の背面に押し付け、該ディスク21を凹孔20と凸部16の間に挟圧保持する。
このように噴霧器21は、袋ナット18とコネクタ12との間に挟持して簡単に取り付けられ、また適宜取り外せるから、メンテナンスに至便であるとともに、使用時における外力や衝撃から免れ、破損や変形を未然に防止する。
こうして組み付けた袋ナット18とコネクタ12とのアセンブリをノズルホルダ−3の所定位置に位置付け、そのネジ孔13にカラムジョイント5の螺軸11をねじ込む。
この後、前記カラムジョイント5の貫通孔6に、予めキャピラリ−カラム8を収容したスリ−ブ7を挿入し、該スリ−ブ7の先端部を凹孔14の奥部に押し当てるとともに、キャピラリ−カラム8の先端部を噴霧器21の背面に押し当てる。
そして、前記スリ−ブ7ないしキャピラリ−カラム8の先端部側にデッドボリュ−ムができないように、前記状態をフェラル25を介して固定したところで、前記キャピラリ−カラム8の他端をLCの所定位置に接続する。
このようにして取り付けたイオン発生用噴霧装置は、その使用に際して通孔4の内側に電極部(図示略)を介して水平に支持し、キャピラリ−カラム8と、質量分析装置1の対向電極(図示略)との間に高電圧を印加し、霧化部2の所定域を高電界に形成する。
この状況の下で液体試料をLCに導入し、同時に送液ポンプを介して溶離液を圧送する このようにすると、液体試料が溶離液と一緒にキャピラリ−カラム8を移動し、その移動の間に液体試料の所定成分が分離し、その溶出試料が溶離液と一緒に下流側へ移動する
前記溶出試料の流量は約0.4μL/minの極微量で、これがキャピラリ−カラム8内を極低流速で移動し、キャピラリ−カラム8の先端部から吐出して拡径部24に捕集され、噴口23から押し出されて噴霧される。
この場合、拡径部24は先細のテ−パ形状に形成されているから、前記溶出試料の移動速度が増速され、かつこれがセンタリングされて移動方向の指向性が形成され、その全量が霧化部2へ効率良くかつ整然と噴霧される。
しかも、噴口23部は極短小、つまり極微細口径かつ極短流路に形成されているから、噴霧状態が安定かつ能率良く行なわれ、霧化液滴の粒径を微細化してイオン効率を高める 更に、キャピラリ−カラム8の吐出端部が噴霧器21の背面に密着し、その間のデッドボリュ−ムの形成を阻止し、溶出試料の遅れ時間の発生を未然に防止する。
したがって、極微量かつ極低速の液体試料の成分分析に対応でき、近時の質量分析装置のイオン源部に好適である。
噴霧後、前記溶出試料は霧化部2内の高電界中を移動して帯電液滴を形成し、これが液滴内でのク−ロン反発力により、液滴の分裂が進行してイオン化される。
前記イオンは、この後質量分析計に導かれて質量毎に分離され、これが検出器に検出されて、スペクトルの形に変換されて表示される。
この場合、噴口23は従来のものに比べて小径であるから、帯電液滴の粒径を小さくかつ均一化し、従来の粒径のばらつきを抑制して、特に極低速の場合にイオン化効率が向上し、検出感度の低下を防止する。
また、前記噴霧器21は、その外周を袋ナット18とコネクタ12とで挟持し、その端面に高電圧を印加しているから、従来のようにノズルチップに高電圧を印加し、その先端部が割れたり変形することがなく、その耐久性を向上できるとともに、その交換時には袋ナット18を取り外すことで容易に対応できるから、メンテナンスに至便である。
図4乃至図10は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
これらの実施形態は、スリ−ブ7若しくはキャピラリ−カラム8の先端部に噴霧器21を直接接合し、キャピラリ−カラム8の吐出側端部と、噴霧器21との間のデッドボリュ−ムをなくして、前記カラム8による分離ピ−クのブロ−ド化を防止し、分離精度ないし質量分析感度を向上するようにしている。
このうち、図4および図5は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は前記スリ−プ7を省略し、部品点数の低減を図るとともに、キャピラリ−カラム8の先端部側周面にステンレス鋼管製の鞘管27を取り付け、該鞘管27の先端に噴霧器21を接合し、鞘管27から突出したキャピラリ−カラム8の先端部を、噴霧器21の背部の内側に形成した凹孔28に押し当てて配置している。
前記鞘管27の材質はステンレス鋼、PEEK、チタン、シリカ、テフロン(登録商標)等が好ましいが、噴霧器21と良好に接合するものであればこれに限定されない。
前記噴霧器21は、前述の噴霧器21よりも肉厚、実施形態では約2mmのステンレス鋼板で円板状に形成され、その一側面に前述と同径の噴口23を形成し、他側面にキャピラリ−カラム8を挿入可能な凹孔28を形成していて、その開口側端面を前記鞘管27に押し当て、これらをレ−ザ−溶接等で接合している。
前記鞘管27は、噴霧器21と同径の厚肉の管体に形成され、その内部に凹孔28と同径の貫通孔29を形成し、該孔29に前記キャピラリ−カラム8を挿入している。
この実施形態は、噴霧器21と鞘管27とを大径かつ肉厚に形成し、それらの接合面を広域に確保して、確実かつ強固な接合と製作の容易化を実現するとともに、それらを一体的に構成することで、その取り扱いを容易にしている。
そして、噴霧器21に形成した凹孔28にキャピラリ−カラム8を挿入し、前記カラム8の吐出側端部を噴口23に密接することで、それらの間のデッドボリュ−ムをなくし、溶出試料ピ−クのブロ−ド化を防止して、分析感度を向上させている。
そこで、前記実施形態を質量分析装置1の霧化部2に適用する場合は、噴霧器21と一体的な鞘管27をノズルホルダ−3の通孔4に差し込み、該鞘管27の貫通孔29にキャピラリ−カラム8を挿入し、前記鞘管27の外端部を適宜なクランパ−30で着脱可能に取り付ける。
この取り付け状況は図5のようで、その構成部材は噴霧器21と鞘管27とクランパ−30とで足り、従来の装置に比べ部品点数が非常に少ないから、簡易かつ迅速に取り付けられる。
しかも、キャピラリ−カラム8と鞘管27とは、クランパ−30によって簡単に着脱でき、ノズルホルダ−3に簡便に取り付けられる。
図6は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は第2の実施形態の応用形態で、コネクタ12内に通孔31を形成し、該通孔31に噴霧器21と鞘管27を組み込み、その貫通孔29にキャピラリ−カラム8を挿入し、該カラム8の先端部を前記凹孔28の奥部に押し当て、それらの間のデッドボリュ−ムをなくすとともに、前記先端部を噴口23の背後に位置付けて防護している。
図7は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態は前記第2の実施形態の別の応用形態で、噴霧器21の先端部を略円錐台形状に形成し、噴口23部周辺の面積を可及的に小さく形成し、当該部を略尖端形状に形成して、高電圧印加時における電界強度を高め、イオン化効率を増大させるようにしている。
図8は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は第2の実施形態の応用形態で、肉厚のステンレス鋼板を精密加工して噴口23を備えた噴霧器21を作製し、該噴霧器21の他側面にテ−パ孔32を形成し、該テ−パ孔32の大径側周面に鞘管27の端部を接合する。
そして、前記テ−パ孔32に、キャピラリ−カラム8を収納したスリ−ブ7の先端部を押し当て、キャピラリ−カラム8からの溶出試料の液垂れを防止し、該試料の利用効率を向上するようにしている。
図9は本発明の第6の実施形態を示し、この実施形態は前記第2の実施形態の更に別の応用形態で、薄厚のステンレス鋼板を精密プレス加工して、噴霧器21の周縁に筒状の周壁34を形成し、その外観を有底円筒状若しくはキャップ状に形成している。
そして、前記筒状の周壁34の内部に、キャピラリ−カラム8を収納した鞘管27を嵌合し、かつその先端部を噴霧器21内の凹孔28に押し当て、前記嵌合部に銀ロウまたは接着剤を介在して、キャピラリ−カラム8の吐出側端部を噴霧器21に密着配置している
この実施形態は肉厚のステンレス鋼板の代わりに、薄厚のステンレス鋼板を有底円筒状若しくはキャップ状に成形し、その周壁34にキャピラリ−カラム8を収納した鞘管27を接合して、第2の実施形態に比べ凹孔28を浅底に形成し、噴霧器21の短小化を図るとともに、噴霧器21と鞘管27との接合面積を増加して、接合強度を増強するようにしている。
図10は本発明の第7の実施形態を示し、この実施形態は第6の実施形態の応用形態で、凹孔28を省略し、キャピラリ−カラム8の吐出側端部に対する接合面を平坦面に形成し、噴霧器21の構成を簡潔にするとともに、キャピラリ−カラム8の組み付けの容易化を図るようにしている。
このように本発明のイオン発生用噴霧装置は、構成が簡単で容易かつ精密に製作でき、その小形軽量化と寿命の向上を図れるとともに、液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制して、極微量かつ極低速の液体試料の分離ピ−クのブロ−ド化を改善し、検出感度を向上して、例えば質量分析装置のイオン源部に好適である。
本発明を質量分析装置に適用した実施形態を示す正面図で、その取り付けた状態を示している。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図2の要部を拡大して示す断面図で、噴霧器の取り付け状況を示している。 本発明の第2の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。 前記第2の実施形態を質量分析装置に取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す断面図で、前記第2の実施形態の応用形態で、質量分析装置に対する別の取り付け状況を示している。
本発明の第4の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の第5の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の第6の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の第7の実施形態の要部を拡大して示す断面図である。
符号の説明
8 導管(キャピラリ−カラム)
21 噴霧器
23 噴口
24 拡径部
27 鞘管
34 周壁

Claims (10)

  1. 液体試料の吐出側端部に高電圧を印加可能な噴霧器を配置し、該噴霧器の噴口から前記液体試料を噴霧し、霧化液滴をイオン化させるイオン発生用噴霧装置において、前記噴霧器を薄板状に形成し、かつその噴口と前記液体試料の吐出側端部とを密接して配置し、前記液体試料の吐出側端部と噴霧器との間のデッドボリュ−ムを抑制したことを特徴とするイオン発生用噴霧装置。
  2. 前記液体試料の吐出側端部に前記噴霧器を着脱可能に挟持した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。
  3. 前記噴霧器の一側に噴口に連通する拡径部を形成し、該拡径部を液体試料の吐出側端部に向けて配置した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。
  4. 前記液体試料の供給源に連通する導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に密接して配置した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。
  5. 前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器の内部に配置した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。
  6. 前記導管を前記噴霧器の内部に挿入可能に配置した請求項4または請求項5記載のイオン発生用噴霧装置。
  7. 前記導管の吐出側端部を、前記薄板状の噴霧器に接合した請求項4または請求項5記載のイオン発生用噴霧装置。
  8. 前記薄板状の噴霧器の周縁を筒状に形成し、該周壁内に前記導管の吐出側端部を接合した請求項7記載のイオン発生用噴霧装置。
  9. 前記導管の吐出側端部を挿入可能な鞘管を設け、該鞘管の端部に前記薄板状の噴霧器を接合した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。
  10. 前記噴霧器の噴口の開口部周辺を略尖端形状に形成した請求項1記載のイオン発生用噴霧装置。



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