JP2005220671A - 段差を有するコンクリート床の構築方法及びその構造並びにその構築方法に用いられる段差を有するコンクリート板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上段のコンクリート床の基礎となる上段用プレキャストコンクリート板1と下段のコンクリート床の基礎となる下段用プレキャストコンクリート板2とを重ね合わせ、その重ね合わせ部分5に垂直方向に穿設するスリット6を形成し、スリット6に補強材10と接合材11を挿入して上段用プレキャストコンクリート板1と下段用プレキャストコンクリート板2を接合し、接合されたプレキャストコンクリート板1,2上面にコンクリート15を打設した。
【選択図】図6
Description
また、予め工場等で2枚の中空PC板を接合補強用の接合補強体で接合し、接合された段差付きPC板を現場に運搬し、そのPC板上に鉄筋が配筋され、コンクリートが打設されて段差を有するコンクリート床が構築されたもの等が提案されている(特許文献3)。
また、コンクリート養生後には、設置した型枠や支保工を取り除くことになるが、その際に新たに産業廃棄物を発生させてしまう問題がある。
さらに、型枠や支保工が設置されていると、床下に設ける下水管等の配管やダクトを設置する作業が不可能となり、これらの作業の同時進行することができない。
また、従来のいずれの場合も、2枚のPC板を接合方向に一定間隔を置いて又は単に突き合せて敷設し、2枚のPC板を繋ぐためにその間に新たなコンクリート接合部を架設し接合しなければならず、構造的にも接合強度が大きくなり難い。そこで、段差付きPC板の接合強度を一定の強度に保持する理由から、接合部には比較的多くの鉄筋が用いられ、鉄筋の配筋も複雑になっている。
つまり、重ね合わせ部の穿設部に挿入された補強材と接合材により、上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が、接合されているので、型枠や支保工を設置しないで上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が接合可能となって、段差を有するコンクリート板が予め工場等で比較的簡単に生産可能となる。
また、工事現場で型枠や支保工を施さないので、新たな産業廃棄物を生じさせることがない。しかも、上段用コンクリート板と下段用コンクリート板を接合する新たなコンクリート接合部を造るコンクリートの打設を行う必要がないので、養生時間が殆ど必要なくなって作業時間が削減され、工期の短縮が図れる。
さらに、請求項1の発明によれば、上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が重なり合った所を単に繋ぎ止める程度の簡単な接合であるから、作業効率が高められ、また重なり合った所を補強材と接合材を用いて接合するので、一定の接合強度が得られる共に十分な接合強度が確保され、軽量でしかも簡単な構造で強靱な接合構造となる。
また、上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の接合が、少ない簡単な部品(ワッシャを有するボルトナット)で接合するので、簡単な接合構造になって、工期の短縮と工事費用の低減になる。
即ち、重ね合わせ部分に形成された穿設部に補強材と接合材を単に挿入するだけで、上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が接合される。したがって、現場での型枠や支保工がなく、予め工場等で上段用コンクリート板と下段用コンクリート板との接合が可能となって、作業能率が向上すると共に、下水管等の配管やダクト等の設置作業が接合作業と同時進行が可能となって、工期の短縮化が図れる。
また、図2に示すような、他方の下段のコンクリート床の基礎となるプレキャストコンクリート板2を用意する。他方のコンクリート板の基礎となるプレキャストコンクリート板2は、プレキャストコンクリート板1と同様に長さ方向(接合方向)に形成された複数条の中空穴3と埋設された複数本の補強鋼線(プレストレスPC鋼線)4を有するプレキャストコンクリート板(PC板)である。
プレキャストコンクリート板1に穿設するスリット6aの溝幅は、例えば40mmにし、プレキャストコンクリート板2に穿設するスリット6bの溝幅を、例えば30mmにする。下段のスリット6bの溝幅よりも、上段のスリット6aの溝幅を大きくしたのは、接合用の接合材(モルタル11)が下段のスリット6bに侵入し易くするためである。
その次に、図5乃至図7に示すように、プレキャストコンクリート板1及びプレキャストコンクリート板2の各スリット6が形成されている内側の部分に、中空穴3を封鎖するように接合用のモルタル(接合材)11の流失を防止するモルタル流失防止材7を設ける。このモルタル流失防止材7は、プレキャストコンクリート板1とプレキャストコンクリート板2を重ねる前の独立している状態の時に設ける方がよい。
補強材10は、鉄筋を折曲させて垂直方向に平面になった略コ字状の折曲鋼材8aとその内側に溶接等で設けた逆方向コ字状の折曲鋼材8bとからなる折曲鋼材8と、その折曲鋼材8を支持する接合方向Aに対して直角方向Bに配設された棒状鋼材9で構成されている。補強材10の折曲鋼材8が各スリット6内に挿入されて、その折曲鋼材8は棒状鋼材9で支持される。棒状鋼材9による支持は、折曲鋼材8aの一方の先端部を延設させて折曲された脚部8cを引っ掛けて、折曲鋼材8をプレキャストコンクリート板1上から支持することによって行われる。
そして、棒状鋼材9で支持された折曲鋼材8が挿入された各スリット6内にモルタル11が充填されて、折曲鋼材8と棒状鋼材9からなる補強材10と充填されたモルタル(接合材)11によりプレキャストコンクリート板1とプレキャストコンクリート板2が強固に一体的に接合される。
この実施例は、プレキャストコンクリート板(上段用コンクリート板)16とプレキャストコンクリート板(下段用コンクリート板)17との重ね合わせ部分18に、接合方向Aに対して直角方向Bに沿って等間隔に上段用プレキャストコンクリート板16及び下段用プレキャストコンクリート板17を垂直方向に貫通する円形の穿設孔(穿設部)19を穿設する。
この穿設孔19に、上下端にねじ部が設けられたボルト20と接合用のモルタル24を挿入し、モルタル24の固化とボルト20の両ねじ部に取り付けたワッシャ21と締付用ナット22の締付けによって、上段用プレキャストコンクリート板16と下段用プレキャストコンクリート板17が接合される。なお、モルタル(接合材)24を穿設孔19に充填する際、中空穴3の奥の部分への流失を防止するため、穿設孔19の内側の部分にモルタル流失防止材7を設けた後にモルタル24の充填作業を行う。
その後、現場にて、接合された上段用プレキャストコンクリート板16と下段用プレキャストコンクリート板17を、図示しない両端の梁上に架設して、その上に鉄筋を配筋し、さらにコンクリートを打設することにより段差を有するコンクリート床が構築される。
上述の実施例では、上段のコンクリート床の基礎となる上段用コンクリート板と下段のコンクリート床の基礎となる下段用コンクリート板が、長さ方向(接合方向)に複数条の中空穴3と埋設鋼線(プレストレス鋼線)4を有するプレストレスコンクリート板で構成されているが、中空穴3が形成されない中実の長さ方向に複数本のプレストレスPC鋼材を一体化し形成したプレキャストコンクリート板、あるいはその他のコンクリート板で構成することができる。
5,18 重ね合わせ部分
6 スリット(穿設部)
7 モルタル流失防止材
8,12 折曲鋼材
9,13 棒状鋼材
10,23 補強材
11 ,24 モルタル(結合材)
19 穿設孔(穿設部)
20 ボルト
21 ワッシャ
22 締付用ナット
Claims (9)
- 上段のコンクリート床の基礎となる上段用コンクリート板と下段のコンクリート床の基礎となる下段用コンクリート板の相互に対応する端部を重ね合わせ、該重ね合わせ部分に前記上段用コンクリート板の上面から下段用コンクリート板の途中に至るまで貫通する穿設部を形成し、該穿設部に接合補強用の補強材と接合用の接合材を挿入して前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板を接合し、該接合された上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の上面にコンクリートを打設することを特徴とする段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板は、プレキャストコンクリート板からなることを特徴とする請求項1記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記プレキャストコンクリート板は、接合方向に沿って穿設された軽量化するための複数条の中空穴と補強するための埋設された補強鋼線を有することを特徴とする請求項2記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記穿設部は、前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の重ね合わせ部分に接合方向に対して直角方向に沿って等間隔に穿設されたスリットからなり、該各スリットに挿入される補強材が、前記スリット内に挿入された折曲鋼材と該折曲鋼材を上段用コンクリート板上で支持した接合方向に対して直角方向に配設された棒状鋼材からなり、前記接合材がモルタルからなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記穿設部は、前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の重ね合わせ部分に接合方向に対して直角方向に沿って等間隔に穿設された穿設孔からなり、該各穿設孔に挿入される補強材が、ねじ部が上下端に設けられたボルトと該ボルトの各ねじ部に取り付けられたワッシャ及び締付用ナットからなり、前記接合材が、モルタルからなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記スリットは、プレキャストコンクリート板の中空穴を有する部分にそれぞれ形成し、該各スリット内側の部分に前記該中空穴を封鎖する状態にモルタル流失防止材を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 前記穿設孔は、プレキャストコンクリート板の中空穴を有する部分にそれぞれ形成し、各穿設孔内側の部分に前記中空穴を封鎖する状態にモルタル流失防止材を設けたことを特徴とする請求項3又は5記載の段差を有するコンクリート床の構築方法。
- 上段のコンクリート床の基礎となる上段用コンクリート板と、下段のコンクリート床の基礎となる下段用コンクリート板と、前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の相互に対向する端部が重なる重ね合わせ部分と、該重ね合わせ部分に穿設された前記上段用コンクリート板の上面から下段用コンクリート板の途中に至るまで貫通する穿設部と、該穿設部に挿入されて前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が接合される接合補強用の補強材及び接合用の接合材と、該接合された上段用コンクリート板と下段用コンクリート板の上面に打設されたコンクリートとを備えたことを特徴とする段差を有するコンクリート床の構造。
- 上段のコンクリート床の基礎となる上段用コンクリート板と下段のコンクリート床の基礎となる下段用コンクリート板の重ね合わせ部分に、前記上段用コンクリート板の上面から下段用コンクリート板の途中に至るまで貫通する穿設部が形成されて、該穿設部に接合補強用の補強材と接合用の接合材が挿入されて前記上段用コンクリート板と下段用コンクリート板が接合されてなることを特徴とする段差を有するコンクリート床の構築方法に用いられる段差を有するコンクリート板。
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