JP2005219033A - 脱硫方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から排出されるガスの中の硫黄分を、水素を副生しながら脱硫する方法であって、前記硫黄酸化物を含むガスと臭素と水を反応させることにより硫酸および臭化水素を生成する工程と、臭化鉄と水を反応させることにより四酸化三鉄および水素を生成する工程と、前記四酸化三鉄と前記2工程で生成される臭化水素を反応させることにより臭素および臭化水素を生成する工程とを有し、該生成した臭素を、前記硫酸および臭化水素を生成する工程に用い、該生成した臭化鉄を前記臭化水素および水素を生成する工程に用いることを特徴とする水素および硫酸の製造方法および製造装置。
【選択図】図1
Description
例えば、特開平8-71365号公報には、沃素を水に溶解して得られた吸収液に硫黄酸化物を含むガスを接触させて、ガス中に含まれる硫黄分を、水素を副生しながら硫酸として固定する脱硫方法が開示されている。
しかし、沃素を用いた硫黄酸化物の脱硫反応は進みにくく、大量の沃素が必要なうえ、沃素の生産量は少ないため必要沃素量を準備することが困難であるという問題点と、沃素が原子量の大きな物質であるためこの循環に大きな動力が必要であるという問題点があった。
また、臭素を用いて水素を製造するプロセスとしては、特開昭60−141601号公報に、水素製造方法が開示されている。
しかし、この文献に開示されているのは、臭化カルシウムと水とを反応させて酸化カルシウムと臭化水素を得る工程と、酸化カルシウムと臭素とを反応させて臭化カルシウムと酸素を得る工程と、酸化鉄と臭化水素を反応させて臭化鉄と水と臭素を得る工程と、臭化鉄と水を反応させて酸化鉄と臭化水素と水素を得る工程からなる水を熱化学的に水素および酸素に分解するプロセスであり、本発明が課題とする硫黄酸化物を含むガスの中の硫黄分を、水素を副生しながら硫酸として固定する脱硫方法については検討されていなかった。
(1)石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から排出されるガスの中の硫黄分を、水素を副生しながら硫酸として固定する脱硫方法であって、
前記SO2を含むガスに臭素と水を反応させることにより硫酸および臭化水素を生成する工程と、
臭化鉄と水を反応させることにより四酸化三鉄および臭化水素および水素を生成する工程と、
前記四酸化三鉄と前記2工程で生成された臭化水素を反応させることにより臭素および臭化鉄を生成する工程とを有し、該生成した臭素を、前記硫酸および臭化水素を生成する工程に用い、該生成した臭化鉄を前記臭化水素および水素を生成する工程に
用いることを特徴とする水素副生脱硫方法。
(2)前記硫酸および臭化水素を生成する工程が下記反応式(A)であり、
前記臭化水素および水素を生成する工程が下記反応式(B)であり、
前記臭素および臭化鉄を生成する工程が下記反応式(C)であることを特徴とする(1)に記載の水素副生脱硫方法。
ここに、SO2+Br2+4H2O→H2SO4+2HBr+2H2O ・・・(A)
3FeBr2+ 2HBr + 4H2O → Fe3O4+ 8HBr + H2・・・(B)
Fe3O4 + 8HBr → Br2 + 3FeBr2 + 4H2O・・・(C)
(4)前記生成される臭化水素および水蒸気の混合気体と、臭素を熱交換させ、前記臭化水素および水素を生成する工程に必要な熱の一部を供給すると共に、前記生成される臭素を冷却することを特徴とする(1)乃至(3)に記載の水素副生脱硫方法。
(5)(1)及至(4)に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、複数の鉄化合物充填層を設け、前記水素を生成する工程と、前記臭素を生成する工程とを切替えて実施することを特徴とする水素副生脱硫装置。
(6)(1)及至(4)に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、硫酸および臭化水素を生成する工程に用いるSOx吸収塔の中間に仕切りを設けて二重構造とすることを特徴とする水素副生脱硫装置。
(7)(1)及至(4)に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、硫酸および臭化水素を生成する工程に用いるSOx吸収塔より抜ける清浄排ガスを臭素の沸点である59℃以下に冷却する冷却装置を設けて少量含まれる臭素を分離回収することを特徴とする水素副生脱硫装置。
図1乃至図6は、本発明における臭素を用いた水素および硫酸の製造方法の実施形態を示す図である。
図1は、本発明における水素副生脱硫方法のプロセスフロー図であり、石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から排出されるガスの中の硫黄分を、臭素を用いて水素を副生しながら硫酸として固定する脱硫方法を示す。
ここに、金属製錬炉とは銅、亜鉛、鉛などの金属の硫化鉱を製錬する炉をいい、硫黄炉とは硫酸を製造する設備の一部で元素硫黄を燃焼させSO2を製造する炉をいう。
まず、SO2を含むガスと臭素と水を反応させることにより下記反応式(A)によって硫酸および臭化水素を生成する(S−1)。
SO2+Br2+4H2O→H2SO4+2HBr+2H2O ・・・(A)
この反応に必要な臭素は、後述する臭化水素から生成した臭素を用いる。
3FeBr2+ 2HBr + 4H2O → Fe3O4+ 8HBr + H2・・・(B)
次に、反応式(B)により生成した四酸化三鉄Fe3O4および臭化水素を反応させることにより反応式(C)により臭素および臭化鉄を生成する(S−3)。
Fe3O4 + 8HBr → Br2 + 3FeBr2 + 4H2O・・・(C)
この反応式(C)により生成した臭素を、前記反応式(A)の硫酸および臭化水素を生成する工程に用い、該生成した臭化鉄を前記反応式(B)の臭化水素および水素を生成する工程に用いる。
以上のプロセスフローによって、石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から排出されるガスの中の硫黄分を、水素を副生しながら硫酸として固定することができる。
図2および図3において、1は熱交換器、2はガス前処理設備、3はSOX吸収塔、4はHBr蒸発塔、5および5´は鉄化合物充填層、6は水素分離塔を示す。
まず、石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から発生するSO2を含むガスを、熱交換器1に通すことによって排熱回収を行い、この排熱を鉄化合物充填層5´における水素発生工程およびHBr蒸発塔4における硫酸と臭化水素の分離工程に使用することによって、必要な熱エネルギーを節約することができる。
熱交換されたSO2を含むガスは、ガス前処理設備2によって、ガス中に含まれるダストや重金属等が除去された後に、SOX吸収塔において前述の反応式(A)によって硫酸および臭化水素が生成される。
この際、ガス中に少量含まれるSO3からも硫酸が生成され、残されたN2、O2、CO2は清浄ガスなので大気中に放散することができる。
生成された硫酸および臭化水素は、HBr蒸発塔4によって臭化水素が気化されるので残った硫酸を回収することができる。
鉄化合物充填層5´において、反応式(B)が進むと、臭化鉄FeBr2が四酸化三鉄Fe3O4に変化するので、FeBr2が少なくなったら、切替弁によって臭化水素の流れを切替えて、他方の鉄化合物充填層5に臭化水素を供給することにより水素を生成し、鉄化合物充填層5´では臭素を生成する。以上より継続して水素および臭素を生成させることができる。
この場合、鉄化合物充填層5´において水素を発生させるので、HBr蒸発塔4から供給される臭化水素は切替弁によって鉄化合物充填層5´に供給される。
また、鉄化合物充填層5´において水素を発生させる前述の反応式(B)を進めるために大きな熱エネルギーが必要なので、熱交換器1から回収された排熱は、切替弁によって鉄化合物充填層5´に先に供給される。
なお、本実施形態においては鉄化合物充填層を2基設置して交互に切替え運転を行うが、水素と臭素の発生バランスによっては、鉄化合物充填層を3基以上設置し、切替弁を用いることによって、水素発生と臭素発生に使用する鉄化合物充填層を適宜選択することができる。
図4乃至図6において、1、1´は熱交換器、2はガス前処理設備、3はSOX吸収塔、4はHBr蒸発塔、5および5´は鉄化合物充填層、6は水素分離塔を示す。
まず、金属製錬炉から発生するSO2を含むガスを、熱交換器1に通すことによって排熱回収を行い、この排熱を鉄化合物充填層5´における水素および臭化水素発生工程およびHBr蒸発塔4における硫酸と臭化水素の分離工程に使用することによって、必要な熱エネルギーを節約することができる。熱交換器1´では臭化水素および水蒸気の混合気体と、臭素を熱交換させ、臭化水素および水素を発生する工程に必要な熱の一部を供給すると共に、生成された臭素を冷却することにより熱エネルギーを節約することができる。
熱交換されたSO2を含むガスの処理フローは、図2および図3と同様であるので省略する。
この場合、鉄化合物充填層5´において水素を発生させるので、HBr蒸発塔4から供給される臭化水素は切替弁によって鉄化合物充填層5´に供給される。
また、鉄化合物充填層5´において臭化水素および水素を発生させる前述の反応式(B)を進めるために大きな熱エネルギーが必要なので、熱交換器1から回収された排熱は、切替弁によって鉄化合物充填層5´に先に供給される。
図6において、3はSOX吸収塔、4はHBr蒸発塔、7は仕切り、8は臭素除去塔を示す。
図12に示すように、硫酸を生成する工程に用いるSOX吸収塔3の中間に仕切り7を設けて二重構造とし、この仕切りの内側にSO2を含むガスを下部から供給し液体の臭素を上部から供給することによって、硫酸を生成する前述の反応式(A)の反応時間を十分確保することができ、仕切り7により生成された硫酸および臭化水素と分離されているため、生成物への臭素の混入を少なくすることができる。
2 ガス前処理設備
3 SOX吸収塔
4 HBr蒸発塔
5,5´ 鉄化合物充填層
6 水素分離塔
7 仕切り
8 臭素除去塔
Claims (7)
- 石炭・石油焚きボイラー、金属製錬炉、硫黄炉等の硫黄酸化物を含むガスを発生する炉から排出されるガスの中の硫黄分を、水素を副生しながら硫酸として固定する脱硫方法であって、
前記ガス中のSO2と臭素と水を反応させることにより硫酸および臭化水素を生成する工程と、
臭化鉄と水を反応させることにより四酸化三鉄および臭化水素および水素を生成する工程と、
前記四酸化三鉄と前記2工程で生成された臭化水素を反応させることにより臭素および臭化鉄を生成する工程とを有し、該生成した臭素を、前記硫酸および臭化水素を生成する工程に用い、該生成した臭化鉄を前記臭化水素および水素を生成する工程に用いることを特徴とする水素副生脱硫方法。 - 前記硫酸および臭化水素を生成する工程が下記反応式(A)であり、
前記臭化水素および水素を生成する工程が下記反応式(B)であり、
前記臭素および臭化鉄を生成する工程が下記反応式(C)であることを特徴とする請求項1に記載の水素副生脱硫方法。
ここに、SO2+Br2+4H2O→H2SO4+2HBr+2H2O ・・・(A)
3FeBr2+ 2HBr + 4H2O → Fe3O4+ 8HBr + H2・・・(B)
Fe3O4 + 8HBr → Br2 + 3FeBr2 + 4H2O・・・(C) - 前記硫黄酸化物を発生する炉にて発生するガスの熱を回収して前記臭化水素および水素を生成する工程、前記硫酸と臭化水素を分離する工程の1以上の工程に利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素副生脱硫方法。
- 前記生成される臭化水素および水蒸気の混合気体と、臭素を熱交換させ、前記臭化水素および水素を生成する工程に必要な熱の一部を供給すると共に、前記生成される臭素を冷却することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の水素副生脱硫方法。
- 請求項1及至請求項4に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、複数の鉄化合物充填層を設け、前記水素を生成する工程と、前記臭素を生成する工程とを切替えて実施することを特徴とする水素副生脱硫装置。
- 請求項1及至請求項4に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、硫酸および臭化水素を生成する工程に用いるSOx吸収塔の中間に仕切りを設けて二重構造とすることを特徴とする水素副生脱硫装置。
- 請求項1及至請求項4に記載の水素副生脱硫方法に使用する脱硫装置であって、硫酸および臭化水素を生成する工程に用いるSOx吸収塔より抜ける清浄排ガスを臭素の沸点である59℃以下に冷却する冷却装置を設けて少量含まれる臭素を分離回収することを特徴とする水素副生脱硫装置。
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JP2007000760A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Nippon Steel Corp | 水素副生脱硫方法 |
US7794685B2 (en) | 2007-01-19 | 2010-09-14 | Outotec Oyj | Method for producing hydrogen and sulphuric acid |
CN110921634A (zh) * | 2019-12-24 | 2020-03-27 | 天津长芦汉沽盐场有限责任公司 | 一种空气吹溴生产中二氧化硫制备工序硫磺给料装置 |
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