JP2005213974A - 目皿付き排水構造 - Google Patents

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克久 福本
Tomohiro Yamamori
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Abstract

【課題】浴室の洗い場領域3において、目皿20の寸法を変更することなく床の仕上材21の厚み変更に迅速に対処できるようにする。
【解決手段】防水パン10の洗い場3に形成した排水用凹部18を目皿20で被う目皿付き排水構造であり、目皿20を着脱自在に支持する目皿支持具19を、排水用凹部18へ高さ位置調整可能に挿入して固定し、洗い場3の目皿支持具19を除く部分に仕上材21を敷設したこと。排水用凹部18は、その底部に排水口18cを開設し、目皿支持具19は、目皿20が着脱する上面側を開口して、その内側を側板19a及び底板19bで囲んだ箱状に形成し、底板19bから垂設した排水管19cを排水口19cへ接合した。
【効果】仕上材21の厚み変更に対して、目皿20の寸法を変更することなく迅速に対処でき、排水用凹部18が露出しないために見栄えがよく、また、排水用凹部18の内面を排水で汚さないために清掃性の向上が図れる。
【選択図】図3


Description

本発明は、防水パンの洗い場に備えた目皿付き排水構造に関するものである。
従来、防水パンの洗い場に備えた目皿付き排水構造には、仕上材を敷設する洗い場の縁に沿って設けた排水用凹部と、該排水用凹部の開口縁に形成した載置用段部に載置した目皿を備えたものがある。(特許文献1)
特開平11−336151号公報
しかし、前記特許文献1に記載の目皿付き排水構造は、防水パンに形成した目皿載置用段部の高さ位置が、目皿の表面及び仕上材の表面が面一となるように決まっており、目皿として標準のものを用いるよにしている。
そのため、厚みの異なる仕上材を敷設する仕様変更があるときには、標準の目皿の表面と仕上材の表面との段違いが躓きの原因となって危険であるため、別途、高さの異なる標準外の目皿を準備する必要がある。
しかし、厚みの異なる仕様変更毎に標準外の目皿を製作するのでは、仕様変更に迅速に対処できない。
本発明は、上記問題を解決するたに、目皿の寸法を変更することなく仕上材の厚み変更に迅速に対処できる目皿付き排水構造を提供するものである。
目皿の寸法を変更することなく仕上材の厚み変更に迅速に対処できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、防水パンの洗い場に形成した排水用凹部を目皿で被う目皿付き排水構造において、前記目皿を着脱自在に支持する目皿支持具を、前記排水用凹部へ高さ位置調整可能に挿入して固定し、前記洗い場の目皿支持具を除く部分に仕上材を敷設したことを特徴とする目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、調整した高さ位置に目皿支持具を固定して、仕上材及び目皿の両表面を面一にできるので、仕上材の厚み変更に対して目皿の寸法を変更することなく対処できる。
見栄え及び清掃性の向上を図るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記排水用凹部は、その底部に排水口を開設し、前記目皿支持具は、前記目皿が着脱する上面側を開口して、その内側を側板及び底板で囲んだ箱状に形成し、該底板から垂設した排水管を前記排水用凹部の排水口へ接合した請求項1記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、防水パンに形成した排水用凹部を箱状の目皿支持具で覆うため、目皿を離脱しても排水用凹部が露出することはなく、また、目皿を通過した排水が目皿支持具の内側面に案内されて排水管から排水用凹部の排水口へ排出されるため、排水用凹部の内面に排水を接触させることもない。
防水パンの洗い場の内隅部の両辺のいずれか一辺に洗い場の出入口を設ける仕様に簡単に対処できるようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記排水用凹部は、前記洗い場の内隅部に、該内隅部の両辺に沿って延びる平面L字状に形成し、前記目皿支持具が挿入されていない部分を仕上材で覆った請求項1又は2記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、洗い場の出入口の位置に応じて、目皿支持具を設ける位置を選択できる。
防水パンの洗い場の両隅部に繋がる三辺のいずれか一辺に洗い場の出入口を設ける仕様に簡単に対処できるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、前記排水用凹部は、前記洗い場の一辺と該一辺の両側に繋がる両辺に、これら三辺に沿って延びる平面コ字状に形成し、前記目皿支持具が挿入されていない部分を仕上材で覆った請求項1又は2記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、洗い場の出入口の位置に応じて、目皿支持具を設ける位置を選択できる。
防水パンの洗い場の両隅部に繋がる三辺のいずれか一辺に洗い場の出入口を設ける仕様に簡単に対処できると共に、排水用凹部に形成する排水口用の開口部の個数を少なくするために請求項5記載の本発明が採用した手段は、前記排水用凹部は、前記洗い場の一辺と該一辺の両側に繋がる両辺に、これら三辺に沿って延びる平面コ字状に形成し、該一辺に形成した底面について、該一辺の二等分位置を最も高くすると共に、該両辺に繋がる隅部へ向かって排水勾配を形成し、該両辺に形成した各底面について、該一辺に繋がる隅部へ向かって排水勾配を形成し、前記一辺と前記両辺に繋がる各隅部の底面に開口部を形成し、いずれか一方の開口部を前記排水口とし、前記目皿支持具が挿入されていない部分に前記仕上材を敷設した請求項2記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、洗い場の出入口の位置に応じて、目皿支持具を設ける位置を選択できると共に、排水用凹部の底面に形成する排水口用の開口部の個数を二個とすることができる。
目皿支持具の高さ位置調整を簡単にできるようにするために請求項6記載の本発明が採用した手段は、前記排水用凹部及び前記目皿支持具の対峙する面部の間に接着剤層を設け、両者を該接着剤層で接合した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、接着剤が硬化する前に、目皿支持具を押し込んで接着剤層の厚みを調整することで、目皿支持具の高さ位置を調整できる。
目皿支持具の高さ位置調整を簡単にできるようにするために請求項7記載の本発明が採用した手段は、前記目皿支持具に設けたネジに、上下方向へ螺進自在な支持脚を螺合し、該支持脚の下端を前記排水用凹部に当接した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、支持脚を螺進して雌ネジから支持脚下端までの高寸法を調節することで、目皿支持具の高さ位置を調整できる。
目皿支持具の高さ位置調整を簡単にできるようにするために請求項8記載の本発明が採用した手段は、前記目皿支持具は、前記排水用凹部に固定した下部に、前記目皿を支持する上部を上下移動可能に連結した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、下部に対する上部の連結位置を調節することで目皿支持具の高さ位置を調整できる。
目皿支持具の高さ位置調整を簡単にできるようにするために請求項9記載の本発明が採用した手段は、前記目皿支持具は、前記排水用凹部に固定する下部と前記目皿を支持する上部とを、蛇腹部で上下伸縮可能に連結した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造である。
本発明にあっては、蛇腹部で伸縮調節することで、目皿支持具の高さ位置を調整できる。
請求項1記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、仕上材の厚み変更に対して、目皿の寸法を変更することなく迅速に対処できる。
請求項2記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、目皿を離脱しても排水用凹部が露出しないために見栄えがよく、また、排水用凹部の内面が排水で汚れないために清掃性の向上が図れる。
請求項3記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、洗い場の出入口の位置に応じて、目皿支持具を設ける位置を選択できるので、防水パンの洗い場の内隅部に繋がる両辺のいずれか一辺に洗い場の出入口を設ける仕様に簡単に対処できる。
請求項4及び請求項5記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、洗い場の出入口の位置に応じて、目皿支持具を設ける位置を選択できるので、両隅部に繋がる三辺のいずれか一辺に洗い場の出入口を設ける仕様に簡単に対処できる。
請求項5記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、平面コ字状の排水用凹部に形成するときに、排水用凹部の底面に形成する排水口用の開口部の個数を最小限とすることができる。
請求項6記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、接着剤が硬化する前に、目皿支持具の高さ位置の調整が簡単にできる。
請求項7記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、螺進して支持脚の下端位置を調節することで、目皿支持具の高さ位置の調整が簡単にできる。
請求項8記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、下部に対する上部の連結位置を調節することで、目皿支持具の高さ位置の調整が簡単にできる。
請求項9記載の本発明に係る目皿付き排水構造は、蛇腹部を伸縮調節することで、目皿支持具の高さ位置の調整が簡単にできる。
本発明に係る目皿付き排水構造(以下、「本発明排水構造」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1乃至図7は本発明排水構造の実施の形態を示すものであり、図1は洗い場3に本発明排水構造13を採用した浴室1及びその周辺を断面して示す平面図、図2(A)は図1のII−II線で断面して中間省略した正面図、同図(B)は要部の拡大図、図3(A)は図1のIII−III線で断面して中間省略した左側面図、同図(B)は目皿支持具19及び目皿20を示す断面した左側面図、図4は図1のIV−IV線で断面して中間省略した左側面図、図5は防水パン10の上面を仕上げ施工する前の状態を示す平面図、図6は防水パン10に目皿支持具19を配設する施工手順を示す断面した正面図、図7は本発明排水構造13を異なる位置(洗い場3の手前左寄り)に設けた別態様を示す平面図である。
本実施の形態に係る浴室1は、図1に示す如く、後側の浴槽設置領域2と手前側の洗い場領域3が設けられ、左側の隣室4及び手前側のデッキ5が隣接している。浴室1と左側の隣室4の間は、浴槽設置領域2側に設けた仕切壁6及び洗い場領域3側に設けた揺動式扉7(図2参照)で仕切られ、浴室1と手前側のデッキ5の間は、引き戸8で仕切られている。浴室1は、図5に示す如く、浴槽設置領域2の床面を形成する浴槽設置用防水パン9と、洗い場領域3の床面を形成する洗い場形成用防水パン10を備え、図1に示す如く、浴槽設置用防水パン9に浴槽11を載設すると共に、洗い場形成用防水パン10に後述する本発明排水構造13を施してある。
前記仕切壁6は、図1に示す如く、土台14又は隣室4の床面4aに据え置いた架台6aと、架台6aに据え置いて天井15(図2参照)に連結するガラス板や合成樹脂板等からなる仕切板6bとで構成してある。前記防水パン9,10は、FRP(繊維強化プラスチック)製やステンレススチール製からなり、両者が一体又は別体に形成されている。両防水パン9,10の間には、図4に示す如く、エプロン設置用の凹溝16が設けられ、凹溝16を利用してエプロン31を立設してある。図5に示す如く、防水パン9は浴槽排水用の排水口部34が設けられ、防水パン10は洗い場主排水用の排水口部33が設けられている。
前記洗い場領域3と隣室4の境界及びその近辺には、図2に示す如く、出入口17に配設した揺動式扉7と、洗い場領域3に施した本発明排水構造13を備え、閉じている揺動式扉7に飛散した洗い湯等の排水を、本発明排水構造13で受け止めて隣室4へ流出しないようにしてある。本発明排水構造13は、洗い場形成用防水パン10に形成した排水用凹部18へ高さ位置調整可能に挿入固定された目皿支持具19と、目皿支持具19に着脱自在に支持された目皿20と、洗い場領域3の目皿支持具19を除く部分に施された仕上材21を備えている。排水用凹部18及び目皿支持具19は、出入口17の前後方向に沿って延設してある(図1及び図3参照)。
前記洗い場形成用防水パン10の排水用凹部18は、図5に示す如く、前記隣室4及びデッキ5に隣接する前記洗い場3の内隅部Cに、該内隅部Cの両辺Ca,Cbに沿って延びる平面L字状に形成され、両辺Ca,Cbのいずれか一方に出入口17を設ける仕様(図1の場合はCaであり、図7場合はCb)に簡単に対処できるようにしてある。排水用凹部18は、側板18aと底板18bで囲まれて上端開口となっており、底板18bのL字状中央部18b−1から両端部18b−2,18b−3へ向かって排水勾配を形成し、両端部18b−2,18b−3の各々に排水口18cを開設してある。排水口18cは、図2に示す如く、底板18bの底面に当接した配管具22と、凹部内側から配管具22に螺着した連結具23とからなり、底板18bの開口周縁を配管具22及び連結具23の両フランジでパッキン24(同図(B)参照)を介して水密に挟持してある。平面L字状に形成された排水用凹部18は、前記目皿支持具19が挿入されていない部分について、図4に示す如く、目皿支持具19を除く部分に施された前記仕上材21を延長して仕上材21で覆う。この場合、使用者に踏まれる等して荷重を受けた仕上材21が撓まないようにするためには、排水用凹部18を充填材32で埋めるか、図示は省略したが、排水用凹部18を蓋材で覆蓋し、充填材32又は蓋材で仕上材21を支持するとよい。目皿支持具19が挿入されていない部分は、排水用凹部18に充填材32を埋めたとき、水が溜まらないので衛生上好ましい。なお、排水用凹部18は、平面L字状に形成する以外に、図示は省略したが、前記両辺Ca,Cbのいずれか一方の辺に沿って延びるI字状に形成し、一方の辺に限定して出入口17を設ける仕様に対処させることも勿論可能である。
前記目皿支持具19は、図3に示す如く、四周の側板19a及び底板19bで囲まれて、目皿20が着脱する上面側を開口した箱状となっており、底板19bの一方から他方へ排水勾配(矢符G)を形成し、底板19bの低い部分から垂設した排水管19cを、前記排水用凹部18の排水口18cへ挿入して接合してある。目皿支持具19は、上端側の開口周縁に段部19dを形成し、段部19dに目皿20を着脱自在に載置できるようにしある。目皿支持具19は、防水パン10の排水用凹部18へ挿入して固定されると、排水用凹部18を覆うことになり、目皿20を離脱しても排水用凹部18を露出させることもなく見栄えを良くし、また、目皿20を通過した排水を案内して排水管19cから排水用凹部18の排水口18cを介して配管具22へ排出するため、排水用凹部18の内面に汚れの原因となる排水を接触させることもなく衛生的で清掃をし易くする。
前記洗い場形成用防水パン10の上面に施される前記仕上材21は、図2及び図4に示す如く、防水パン10の上面に移動不能に載設した耐水性のある無機質の仕上板接着用下地板26と、該下地板26に接着した複数枚の非透水性で無機質の仕上板27とからなる。仕上板接着用下地板26は、仕上板27を接着する接着剤の接着力を強くするために、接着面が粗面となっているものを選択する。
前記耐水性のある無機質の下地板26としては、例えば、セメント状心板の平面的に広がる両表面側に補強ガラス繊維のメッシュシートを埋め込んで、両表面側を補強したセメントボード(特許第2673927号公報参照)が用いられる。このセメントボードからなる下地板26は、可撓性を有し、折り曲げて弾性変形したとき、板内に透水の原因となる大きな亀裂が生じることはなく、透水の原因とならない微細なクラック(マイクロクラック)が発生するだけである。このセメントボードからなる可撓性の下地板26は、防水パン10の排水勾配方向の異なる二面10a,10b(図5参照)が交わるフラットでない境界部(谷部又は山部)10cを含むようにして、二面10a,10bに跨がって載設するとき、境界部10cで折り曲げ変形させて境界部10cに沿わせることができる。なお、可撓性の下地板26は、折り曲げ箇所の引っ張り側となるガラスマットに切れ目を入れ変形し易くすることもある。前記セメントボードからなる下地板26は、適度の保水性を有しているため、接合面積の大きな防水パン10との接合に、湿気硬化型の接着剤(例えば、硬化後に適度の柔らかさがある変成シリコン系)を用いることが可能となる。
前記下地板26は、前記耐水性のある無機質のセメントボード以外に、塑性変形可能な板材(例えば、アルミニューム板,合成樹脂板又はステンレススチール板等)を用いることも可能である。塑性変形可能な下地板26は、図5に示す防水パン10のフラットでない境界部(谷部又は山部)10cを含むように二面10a,10bに跨がって載設するとき、境界部10cで折り曲げ変形させて境界部10cに沿わせることができる。下地板26は、仕上板27を接着する接着剤の接着力を強くするために、ブラスト加工する等して接着面が粗面となっているものを用いるとよい。
前記仕上板27は、磁器質タイル、せっき質タイル又は非透水性の石板等の非透水性で無機質の板材から選択される。前記下地板26と仕上板27の接合は、セメントモルタル、エポキシ系接着剤等の接着剤28が用いられる。隣接する仕上板27,27の間には、目地間隙を形成して、目地材(図示略)を充填することもある。
前記防水パン10に載設した下地板26の固定は、下地板26の施工方法によって異なるが、両者の間を変成シリコン系又はエポキシ系等の接着剤29で全面又は部分的に接合する場合と、防水パン10の上面と下地板26の下面に形成した凹凸部(図示略)を嵌合させると共に必要に応じて嵌合部等を変成シリコン系又はエポキシ系等の接着剤で接合する場合とがある。なお、保水性の有る前記セメントボードからなる下地板26を選択したときには、下地板26に保水させ、防水パン10と下地板26の間に配した湿気硬化型の接着剤29を確実に硬化させて、防水パン10と下地板26の間の大きな接合面積の領域を確実に接合できる。
本発明排水構造13を採用する前記洗い場領域3の床施工法としては、図6に示すように防水パン10に目皿支持具19を配置した後に仕上材21を敷設する場合と、逆に、図示は省略したが防水パン10の上面に仕上材21を敷設した後に目皿支持具19を配置する場合とがある。いずれの場合にも、洗い場3へ出入する使用者が躓かないように、目皿支持具19に載置した目皿20の表面と、目皿支持具19の周辺に位置する仕上材21の表面とが面一となるように、接着剤層28,29含む仕上材21の施工厚みに応じて、目皿支持具19の高さ調整を現場で行う必要がある。そこで、本発明排水構造13は、目皿支持具19の高さ調整として、図6に示す如く、前記防水パン10の排水用凹部18及び目皿支持具19の対峙する面部の間に接着剤層30を設け、接着剤層30が硬化する前に、目皿支持具19を押し込んで接着剤層30の厚みを調節しつつ、該接着剤層30を介して両者18,19を接合できるようになっている。高さ調整した目皿支持具19の上端側と敷設した仕上材21の間の隙間には、目地材36が充填される。
上述の如く、本発明排水構造13を採用した場合には、調整した高さ位置に目皿支持具19を固定して、仕上材21及び目皿20の両表面を躓かない程度に面一にできるので、仕上材21の厚みの仕様変更に対して目皿20の寸法を変更することなく対処できる。
なお、前記仕上材21の敷設は、防水パン10の上面に下地板26を載設して下地板26を固定した後に、下地板26の上面に複数枚の仕上板27を配列しつつ接着する場合と、下地板26に複数枚の仕上板27を接着して仕上げ床パネルを工場等で予め製造しておき、施工現場で防水パン10の上面に仕上げ床パネルを載設して固定する場合を選択できる。施工面積が広いために複数枚の下地板26を繋ぎ合わせるときには、隣接する下地板26,26に跨がってテープ状のメッシュ材(例えば、ガラスメッシュ)を接着剤で貼着すると共に、メッシュ材に接着剤を塗り込んで平坦に仕上げてメッシュ材の目を埋めて両板の間の隙間を覆い隠す。
図8は本発明排水構造に用いる洗い場形成用防水パンの別態様を示すものであり、(A)は上面に仕上げを施す前の状態を示す平面図、(B)は(A)のb−b線で断面して中間省略した正面図を下半側に示すと共に、上半側に断面して中間省略した目皿支持具の正面図を示している。
本実施の形態に係る洗い場形成用防水パン40は、浴槽設置領域2に隣接しない両隅部C,Cに繋がる三辺Ca,Cb,Ccのいずれか一辺に、洗い場領域3の出入口17(図1及び図5参照)を設ける仕様に対処できるようにするために,排水用凹部48をこれら三辺Ca,Cb,Ccに沿って延びる平面コ字状に形成してある。防水パン40は、平面コ字状の排水用凹部48に前述の目皿支持具19を挿入固定できる領域として、排水用凹部48の辺Caに沿う領域48f、辺Cbに沿う領域48g−1,48g−2及び辺Ccに沿う領域48hの四つの領域の中から選択できる。なお、辺Cbに沿う領域の長さが目皿支持具19の1個分の寸法しかないときには、三つ領域の中から選択できる。平面コ字状の排水用凹部48で目皿支持具19を挿入固定しない領域については、図示は省略したが、前述と同様に、充填材32を埋めるか、または、蓋材で覆蓋して、仕上材21で覆う。
前記排水用凹部48は、前記排水用凹部18(図3参照)と同様に、側板48aと底板48bで囲まれて上端開口となっている。排水用凹部48は、排水口48c用の開口部48dの個数を少なくするために、前記一辺Cbに形成した底面(底板48bの上面)の部分が、前記一辺Cbの二等分位置(前記領域40b−1,40b−2の境界部分)を最も高くすると共に各隅部Cへ向かって排水勾配(矢符E)を形成し、前記両辺Ca,Ccに形成した各底面(底板48bの上面)の部分が、各隅部Cへ向かって排水勾配(矢符F)を形成し、各隅部Cの底面に開口部48dを形成し、いずれか一方の開口部48dを排水口としてある。防水パン40は、排水用凹部48の底面に形成する排水口用の開口部48dの個数を二個とすることができる。なお、防水パン40は、排水用凹部48の排水口用となる開口部48dの底面側に前述の配管具22が取着され、排水口用とならない開口部48dの底面側に開口部48dを塞ぐキャップ42が取着される。
図9は本発明排水構造に用いる目皿支持具の別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。
本実施の形態に係る目皿支持具59は、排水用凹部18へ挿入固定するときの高さ位置調整が簡単となるように、高さ調整具55を備えている。高さ調整具55は、目皿支持具59の側板59a又は底板59bに設けたネジ51に、上下方向へ螺進自在なボルト等からなる支持脚52を螺合し、支持脚52の下端を排水用凹部18に当接させるようにしてある。ネジ51は、側板59a又は底板59bに取着したブラケット53に形成してある。調整後の支持脚52は、ロックナット54で固定される。目皿支持具59は、支持脚52を螺進してネジ51から支持脚下端52aまでの高寸法を調節することで、仕上材21の上面と目皿20の上面を面一にするための調整ができる。
図10及び図11は本発明排水構造に用いる目皿支持具の別態様を示すものであり、図10(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、同図(B)は中間省略した左側面図、図11(A)は目皿支持具の連結機構の態様が異なる本発明排水構造の要部を断面した正面図、同図(B)は中間省略した左側面図である。
本実施の形態に係る目皿支持具69は、図10及び図11に示す如く、排水用凹部18へ挿入固定するときの高さ位置調整が簡単となるように、前述の排水用凹部18に接着剤67等で固定した下部69dに、目皿20を支持する上部69eを上下移動可能に連結機構65で連結してある。目皿支持具69は、下部69dに対する上部69eの連結位置を連結具65で調節して上部69eの高さ位置を調整することで、仕上材21の上面と目皿20の上面を躓かない程度に面一にできる。
前記連結機構65は、図10に示す如く、下部69dに上下方向に長い長孔61を設けると共に、上部69eを貫通するボルト62を備え、長孔61へ挿通したボルト62にナット63を緊締して、上下部材69e,69dを強固に連結するように構成してある。ナット63は、ボルト62の挿通方向を選択することで、目皿支持具69の外側又は内側からボルト62に螺着できる。連結機構65は、長孔61の上下寸法だけ、高さ調整ができることになる。連結機構65は、図示は省略したが、上部69eに上下方向に長い長孔61を設けると共に、下部69eを貫通するボルト62を備えて構成することも勿論可能である。
前記連結機構65の別態様としては、図11に示す如く、下部69dに複数個の雌ネジ64を適宜上下間隔をあけて設けると共に、上部69eを貫通するボルト62を備え、適宜の雌ネジ64にボルト62を緊締して、上下部材69e,69dを強固に連結するように構成してある。連結機構65は、雌ネジ64の上下間隔ごとに高さ調整ができることになる。連結機構65は、図示は省略したが、上部69dに複数個の雌ネジ64を適宜上下間隔をあけて設けると共に、下部69eを貫通するボルト62を備えて構成することも勿論可能である
図12は本発明排水構造に用いる目皿支持具の更に別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。
本実施の形態に係る目皿支持具79は、排水用凹部18へ挿入固定するときの高さ位置調整が簡単となるように、排水用凹部18に接着剤77等で固定した下部79dと目皿20を支持する上部79eとを、蛇腹部79fで上下伸縮可能に連結し、蛇腹部79fで伸縮調節して上部79eの高さ位置を調整することで、仕上材21の上面と目皿20の上面を面一にするための調整ができる。
前記図1乃至図12に示す排水用凹部18及び目皿支持具19(59.69.79)は、出入口19に沿うように平面形状が長方形に形成されているが、これに限定するものではなく、平面形状を正方形に形成して、洗い場領域3の主排水用の排水口部33(図5参照)に本発明排水構造を適用することも勿論可能である。
本発明排水構造の実施の形態を示すものであり、洗い場領域に本発明排水構造を採用した浴室及びその周辺を断面して示す平面図である。 (A)は図1のII−II線で断面して中間省略した正面図、同図(B)は要部の拡大図である。 図1のIII−III線で断面して中間省略した左側面図、同図(B)は目皿支持具及び目皿を示す断面した左側面図である。 図1のIV−IV線で断面して中間省略した左側面図である。 同実施の形態において、防水パンの上面を仕上げ施工する前の状態を示す平面図である。 同実施の形態において、防水パンに目皿支持具を配設する施工手順を示す断面した正面図である。 同実施の形態において、本発明排水構造を洗い場の手前左寄りに設けた別態様を示す平面図である。 本発明排水構造に用いる洗い場形成用防水パンの別態様を示すものであり、(A)は上面に仕上げを施す前の状態を示す平面図、(B)は(A)のb−b線で断面して中間省略した正面図を下半側に示すと共に、上半側に断面して中間省略した目皿支持具の正面図を示すものである。 本発明排水構造に用いる目皿支持具の別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。 本発明排水構造に用いる目皿支持具の別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。 本発明排水構造に用いる目皿支持具の別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。 本発明排水構造に用いる目皿支持具の更に別態様を示すものであり、(A)は本発明排水構造の要部を断面した正面図、(B)は中間省略した左側面図である。
符号の説明
3…洗い場領域、10…防水パン、18…排水用凹部、18c…排水口、19…目皿支持具、19a…側板、19b…底板、19c…排水口、20…目皿

Claims (9)

  1. 防水パンの洗い場に形成した排水用凹部を目皿で被う目皿付き排水構造において、前記目皿を着脱自在に支持する目皿支持具を、前記排水用凹部へ高さ位置調整可能に挿入して固定し、前記洗い場の目皿支持具を除く部分に仕上材を敷設したことを特徴とする目皿付き排水構造。
  2. 前記排水用凹部は、その底面に排水口を開設し、前記目皿支持具は、その内側を側板及び底板で囲んで、前記目皿が着脱する上面側を開口した箱状に形成し、該底板から垂設した排水管を前記排水口へ接合した請求項1記載の目皿付き排水構造。
  3. 前記排水用凹部は、前記洗い場の内隅部に、該内隅部の両辺に沿って延びる平面L字状に形成し、前記目皿支持具が挿入されていない部分を仕上材で覆った請求項1又は2記載の目皿付き排水構造。
  4. 前記排水用凹部は、前記洗い場の一辺と該一辺の両側に繋がる両辺に、これら三辺に沿って延びる平面コ字状に形成し、前記目皿支持具が挿入されていない部分を仕上材で覆った請求項1又は2記載の目皿付き排水構造。
  5. 前記排水用凹部は、前記洗い場の一辺と該一辺の両側に繋がる両辺に、これら三辺に沿って延びる平面コ字状に形成し、該一辺に形成した底面について、該一辺の二等分位置を最も高くすると共に、該両辺に繋がる隅部へ向かって排水勾配を形成し、該両辺に形成した各底面について、該一辺に繋がる隅部へ向かって排水勾配を形成し、前記一辺と前記両辺に繋がる各隅部の底面に開口部を形成し、いずれか一方の開口部を前記排水口とし、前記目皿支持具が挿入されていない部分に前記仕上材を敷設した請求項2記載の目皿付き排水構造。
  6. 前記排水用凹部及び前記目皿支持具の対峙する面部の間に接着剤層を設け、両者を該接着剤層で接合した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造。
  7. 前記目皿支持具に設けたネジに、上下方向へ螺進自在な支持脚を螺合し、該支持脚の下端を前記排水用凹部に当接した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造。
  8. 前記目皿支持具は、前記排水用凹部に固定した下部に、前記目皿を支持する上部を上下移動可能に連結した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造。
  9. 前記目皿支持具は、前記排水用凹部に固定した下部と前記目皿を支持する上部とを、蛇腹部で上下伸縮可能に連結した請求項1乃至請求項5のずれかに記載の目皿付き排水構造。
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