図1、図2は本願の実施例にかかる施錠装置としての補助錠1及び補助錠1のデッドボルトユニット2を示している。この補助錠1は、窓枠等の開口部に、回転窓或いは回転扉等のヒンジにより回動するタイプの回転扉3(回転部材、以下、この発明では回転窓を含めて回転扉という。)に用いられるものであり、主錠は別に設けられる。尚、補助錠1は施錠装置本体8と拘束部材6とで構成されている。
図24乃至図28はこの補助錠1を回転扉3に設置する形態を示している。図24は、右側の窓枠4(第1取付部位)に補助錠1を取り付け、左側の窓框5(第2取付部位)側に拘束部材6を取り付けた状態を示している。また、図25は、左側の窓枠4(第1取付部位)に補助錠1を取り付け、右側の窓框5(第2取付部位)側に拘束部材6を取り付けた状態を示している。更に、図26は下側の窓枠4(第1取付部位)に補助錠1を取り付け、上側の窓框5(第2取付部位)側に拘束部材6を取り付けた状態を示しており、図27は上側の窓枠4(第1取付部位)に補助錠1を取り付け、下側の窓框5(第2取付部位)側に拘束部材6を取り付けた状態を示している。図28は右側の窓框5(第1取付部位)に補助錠1を取り付け、左側の窓枠4(第2取付部位)側に拘束部材6を取り付けた状態を示している。尚、6Aはデッドボルト7が拘束される拘束部材6の拘束部である。この拘束部は貫通孔又は凹部或いは段差部でも良い。
図24乃至図27に示すように、従来の補助錠を設置する場合には右用或いは左用の違いが生じるが、この実施の形態の補助錠1を用いれば、1種類の補助錠1のみでこれらの上下左右の違いのある配置形態に適用できる。
また、図28に示すように、窓枠4に拘束部材6を取り付け、窓框5側に補助錠1を取り付けるパターンであっても、窓枠の上下左右の違いにより、一方の側面からのみデッドボルト7(図10参照)が出入する場合には、右用或いは左用の違いが生じるが、この実施の形態の補助錠1を用いれば、1種類の補助錠1のみでこれらの上下左右の違いのある配置形態に適用できる。
尚、この補助錠1は回転扉3に用いているが、スライド式の引き戸に用いても良く、補助錠でなく主錠に適用しても良いのは勿論である。
以下、補助錠1の構成を説明する。図1(a)(b)(c)及び図2(a)(b)(c)はこの実施の形態にかかる補助錠1を示す。この補助錠1は施錠装置本体8とデッドボルトユニット2とで構成される。
施錠装置本体8は、例えば窓枠3に固定される筐体9を備えている(筐体9を窓框5に固定する場合もある)。また、デッドボルトユニット2を窓枠3に固定してデッドボルトユニット2に筐体9を保持させても良い。
筐体9の内部には、デッドボルト7をスライドさせるための動力源となる乾電池12、基板13A、アンテナ、通信回路及び監視制御用回路(図示省略)が備えられている。
施錠装置本体8の筐体9の上面部には、解錠ボタン10が設けられており、解錠ボタン10の内側には警告ランプが設けられている。補助錠1は家庭内に設置される図示しない集中監視装置と電波を通して通信可能とされている。補助錠1は、集中監視装置からの施錠命令信号により、図10に示すデッドボルト7を拘束部材6の拘束部6A(拘束部材の嵌合部であり、ここでは貫通孔とされる。図21乃至図28参照)に挿入され、解錠命令信号によりデッドボルト7を拘束部材6の拘束部6Aから引き抜くようになっている。
また、補助錠1は集中監視装置からの警戒命令信号により、施錠中の解錠やガラス破壊がなされたことを検出して警戒音を発生したり、集中監視装置から居住者に通信できるようになっている。
補助錠1の筐体9の上部に設けられた解錠ボタン10は、警戒中に解錠する必要があるときに、解錠ボタン10を押して、解錠ボタン10を押した補助錠1が解錠したことを、集中監視装置に送信する。解錠したときには、再度施錠を促すように、警戒ランプを点灯させても良いし、所定時間経過後に自動的に施錠するようにしても良い。
補助錠1の筐体9は、窓枠4或いは窓框5に固定するデッドボルトユニット2に、ネジ11Aにより固定される。即ち、建物の一部として固定されている窓枠4に、デッドボルトユニット2を後述するネジによって固定した後に、デッドボルトユニット2に筐体9の本体カバー9Aを被せてネジ11Aによって筐体9を固定する。
筐体9の本体カバー9Aは、図2(b)の太線で示すように、デッドボルトユニット2の上部及び側面をカバーできるように形成されており、カバー9Aの上部にはデッドボルトユニット2の収納室9Dが形成されている。カバー9Aはデッドボルトユニット2のデッドボルト7を出入可能な開口部9Bを備えている。この開口部9Bは左右いずれにも形成されているが、使用しない方の開口部9Bは図1(b)に示すように硬質カバーラベル11Bによって封鎖されている。
筐体9の本体カバー9Aには、デッドボルトユニット2の下方には乾電池12を収納するバッテリー室12Aが形成され、バッテリー室12Aはカバー板12Bを開けて乾電池12を着脱交換できるようになっている。バッテリー室12Aの隣には、制御室13が設けられており、この制御室内に、補助錠1側の監視制御及び集中監視装置との通信のための基板13Aとアンテナ、通信回路及び監視制御用回路(図示省略)とが組み込まれている。
また、制御室13の上部には警告灯切換スイッチ14Aと設定切換スイッチ14Bが設置されている。警告灯切換スイッチ14Aは解錠ボタン10に設けられた警告ランプの点灯条件を切り換えるためのものであり、設定切換スイッチ14Bは監視条件や警告条件或いは解錠条件を切り換えるためのものである。本体カバー9Aの底部には水切りスリット9Cが開口されている。
図3乃至図23は補助錠1のデッドボルトユニット2の構成並びに動作状態を示す。
図3はデッドボルトユニット2の表側のベースプレート30(図7(a)(b)参照)を取り外したものを示している。図3に示すデッドボルトユニット2では、窓枠4に固定する裏側のベースプレート20(図7(a)(b)参照)を備えており、このベースプレート20の上下端部近傍には、図6に示すように、窓枠4に取り付けるための幅方向に延びる長穴21が開口されている。
ベースプレート20,30は、本発明の一対の取付基板の実施例であり、表裏面が平らな金属板で形成され、両者共に同じ輪郭形状とされ、幅方向の中心線を中心として左右対称形状に形成されている。左右対称形状とすることによって、デッドボルトユニット2を表裏交換して取り付け可能とするためであり、デッドボルトユニット2の左右どちらからでもデッドボルト7を出入できるようにするためである。
ベースプレート20の上端部側の左右対称の位置には、図6に示すように、デッドボルトホルダーロア22(図8参照)を取り付けるネジ23Aを通すためのテーパー付き取付穴23が一対形成されており、更に、ベースプレート20の中間部上側にデッドボルトホルダーロア22を取り付けるネジ24Aを通すためのテーパー付き取付穴24が形成されている。ベースプレート20の下端部にはコネクタホルダー25を取り付けるネジ26Aを通すためのテーパー付き取付穴26が形成されている。
27は、後述するウォームセクタースタッド28(図5参照)を取り付ける取付用ネジ穴であり、28は駆動系取付基板29(図11(a)(b)参照)を固定するためのネジを通す穴であり、29Aはホームポジションスイッチ40(図3参照)を取り付けるネジを通すための穴である。
ホームポジションスイッチ40は、後述する揺動部材60の押圧部60D(図13参照)に押されてONとなり、そのON/OFF信号を補助錠1の前記監視制御用回路に送信する。ホームポジションスイッチ40が押圧部60Dに押されているときに、デッドボルト7はデッドボルトホルダーDHの中の突出前の待機位置に位置している。
同様に、図7に示すように、デッドボルトユニット2の表側に取り付けられるベースプレート30の上下端部近傍には、窓枠4に取り付けるための幅方向に延びる長穴31が開口されている。ベースプレート30の上端部側の左右対称の位置には、図9に示すデッドボルトホルダーアッパー32を取り付けるネジ33Aを通すためのテーパー付き取付穴33が一対形成されており、更に、ベースプレート30の中間部上側にデッドボルトホルダーアッパー32を取り付けるネジ34Aを通すためのテーパー付き取付穴34が形成されている。ベースプレート30の下端部にはコネクタホルダー25を取り付けるネジ26Aを通すためのテーパー付き取付穴35が形成されている。
デッドボルトユニット2において、ベースプレート20の上に、ネジ23A、24Aによりデッドボルトホルダーロア22及びデッドボルトホルダーアッパー32が固定されている。デッドボルトホルダーロア22及びデッドボルトホルダーアッパー32は共に結合されてデッドボルトホルダーDH(保持部材)を構成する。
デッドボルトホルダーロア22は、図8(a)の平面図に示すように、ベースプレート20の長穴21と同形同大で同じ位置に設けられる長穴22Aと、ネジ23Aを通す一対のネジ穴22Bと、ネジ24Aを通すネジ穴22Cとが開口されている。また、デッドボルトホルダーロア22の上面であってデッドボルトホルダーアッパー32と接触する面には、図8(b)、(c)、(d)に示すように、デッドボルト7の接触突起部50A(図16参照)を通過させる溝22Eと、デッドボルト7を往復動作させる揺動部材60(図3参照)の上端部を通過させるための凹部22F(揺動開口部)と、段部22Gとが形成されている。段部22Gのベースプレート20側には、取付基板29の上端部を挿入する段部22Hが形成されている。更に、デッドボルトホルダーロア22の窓枠4側の面には、デッドボルトユニット2を裏返して左右逆に窓枠4に取り付ける際に、カバー9A(図2参照)のネジ11Aを螺着させるネジ穴22Iが形成されている。
ネジ24Aを通す穴22Cの形成された部位は図8(a)下方に突出しており、この突出部分22Pの右側の空間は、揺動部材60を駆動するウォームセクターギア43を配設するための空間を形成し、デッドボルトホルダー22,32並びにデッドボルトユニット2のコンパクト化を極力図るために形成されたものである。この突出部分22Pの下側の凹部22Qは、図3に示すホームポジションスイッチ40の端子を配設するためのものである。更に、デッドボルトホルダーロア22の上部両角部の切り欠き22Dには、筐体9のカバー9Aの上部内側両角部が嵌合する。
デッドボルトホルダーアッパー32は、図9(a)の平面図に示すように、ベースプレート20の長穴21と同形同大で同じ位置に設けられる長穴32Aと、ネジ33Aがねじ込まれる一対のネジ穴と、ネジ34Aがねじ込まれる穴とが開口されている。デッドボルトホルダーアッパー32のデッドボルトホルダーロア22側の面には、図4,図5に示すように、ネジ23Aがねじ込まれる一対のネジ穴32Bと、ネジ24Aがねじ込まれる穴32Cとが開口されている。デッドボルトホルダーアッパー32の窓枠4側の反対面には、カバー9Aのネジ11Aを螺着させるネジ穴32Iが形成されている。
また、デッドボルトホルダーアッパー32の下面であってデッドボルトホルダーロア22と接触する面には、デッドボルト7をスライド可能に保持収納する第1溝32E(デッドボルト7の保持穴、図9(d)参照)と、デッドボルト7の接触突起部50A(図16参照)を通過させる第2溝32Fとが形成されている。デッドボルト7の保持穴は、デッドボルトホルダーアッパー32とデッドボルトホルダーロア22とを重ね合わせたときに、第1溝32Eの内壁面とデッドボルトホルダーロア22の上面とで、形成される。
第2溝32Fの拘束部材6(図21参照)から遠い部分は、デッドボルト7のストッパー部51(図16参照)を往復動作させるために更に深い溝とされている。第2溝32Fの奥部は、デッドボルト7の突出時のストッパーとなる壁32Gとされている。この壁32Gは、デッドボルト7がデッドボルトユニット2から突出してゆくときに、ストッパー部51が壁32Gに当たって、センサ本体SBをそれ以上突出させないように、センサ本体SBの突出限界を定めている。また、デッドボルトホルダーアッパー32の駆動機構側の壁面には、揺動部材としての揺動部材60の揺動を許容する開口部32Hが形成されている。
更に、デッドボルトホルダーアッパー32のネジ34Aを通す穴32Cの形成された部位は図9(a)下方に突出しており、この突出部分32Pの右側の空間は、揺動部材60を駆動するウォームセクターギア43を配設するための空間を形成し、デッドボルトホルダー22,32並びにデッドボルトユニット2のコンパクト化を極力図るために形成されたものである。デッドボルトホルダーアッパー32の上部両角部の切り欠き32Dには、筐体9のカバー9Aの上部内側両角部が嵌合する。
ベースプレート20に固定的に取り付けられる駆動系取付基板29には、図11に示すように、駆動源となるモーター41を取り付ける起立板部29Aと、ウォームギア42を取り付ける起立板部29Bと揺動部材60の揺動を規制するストッパー部29Cとが上部に起立して設けられている。取付基板29の中央部近傍には、スタッド取付穴29Dが開口されており、このスタッド取付穴29Dにウォームセクタースタッド28が固定されて立てられる。
起立板部29A、29B間には、ウォームギア42が回転自在に取り付けられる。また、起立板部29A側には中間の2段ギアG2を回転可能に保持するピン29Eが取り付けられている。モーター41の出力軸の軸受部は起立板部29Aに取り付けられており、起立板部29Aにモーター41が保持されている。モーター41の出力軸は起立板部29Aを貫通しており、モーター41の出力軸にはギアG1が固定されている。ウォームギア42の片方の軸は起立板部29Aを回転可能に貫通しており、ギアG3を固定的に備えている。ギアG1、G2、G3とウォームギア42並びにウォームセクターギア43は、駆動源であるモーター41の減速機構を構成している。
ウォームセクターギア43は、プラスチックで形成されるものであり、中心部にウォームセクタースタッド28が貫通し、ウォームセクターギア43はスタッド28の周りを回転可能とされている。ウォームセクターギア43は、図12に示すように、取付基板29から遠い位置にギア部分43Aを備え取付基板29に近い部分に筒部43Bを備えている。この筒部43B内部には、デッドボルト7をデッドボルトホルダーDH内に戻す方向に、揺動部材60の連結ピン60Aを付勢するための弦巻バネ(図示省略)が配設される。この弦巻バネの一端部は筒部43Bのスリット43Cに掛け止められ、弦巻バネの他端部は揺動部材60の掛け止め穴60Bに掛け止められる。
ウォームセクターギア43の下部には揺動部材60の装着穴60C(図13(a)参照)に挿通される小径の筒部43Dが設けられている。揺動部材60はウォームセクターギア43の回転を弦巻バネを介して受け、ウォームセクターギア43の回転と共に回転する。揺動部材60がストッパー29Cやデッドボルト7の突出限界まで移動したときに、ウォームセクターギア43がモーター41の慣性で回りすぎてもこの弦巻バネが撓んで両者の回転量の違いを吸収する。これによって、窓枠4と窓框5との距離が設置条件によって変化しても、デッドボルト7を拘束部材6との拘束部6Aに適正に挿入できる。ウォームセクターギア43の筒部43Bのスリット43Cの反対側には弦巻バネの他端部の回動を許容する溝43Eが形成されている。
揺動部材60は、図13に示すように、ウォームセクターギア43に回転可能に装着される装着穴60Cを備えており、装着穴60Cの下方部位にホームポジションスイッチ40に接触して押圧する押圧部60Dを備えている。押圧部60Dは取付基板20側に突出している。この押圧部60Dの反対側の位置には、デッドボルト7と結合する連結ピン60Aが取り付けられている。
ギアG1、G2、G3と、ウォームギア42と、ウォームセクターギア43と、揺動部材60とは、デッドボルト7の駆動機構を構成している。
コネクタホルダー25は、プラスチックで形成され、図14(a)(b)(c)に示すように、ベースプレート20の長穴21に取付用のネジを通すための凹部25Aと、コネクタ80(図3,図4参照)を収納する収納室25Bと、位置決め突起25Cとが形成されている。収納室25Bにはコネクタ80が固定され、コネクタ80のリード線は図示しない貫通孔を介してホームポジションスイッチ40側に延びている。このコネクタ80は、制御装置本体である筐体9側の通信回路及び制御回路並びにバッテリー12の電源回路に接続されている。
次に、デッドボルト7について説明する。デッドボルト7は、図10に示すように、コの字形断面の閂部100と、閂部100の内部に収納されるセンサ部130とで構成される。
センサ部130は、センサ本体SBと、インナーケース部110と、カバー部120とで構成されている。インナーケース部110には、固定側の端子113、114、115が取り付けられている。センサ本体SBには、可動側の接触子133が取り付けられている。
閂部100は、図19(b)(c)に示すように、コの字形をした鋼板製の部材で形成され、金属からなる拘束部材6の拘束部6Aに充分挿入されて閂部100の直角方向に強い力が作用しても十分に耐えることができるようになっている。閂部100の一方の端部には溝101が形成されている。この溝101はセンサ部130の下部に形成された接触突起部50Bの動きを許容するものである。
閂部100の他方の端部には揺動部材60の連結ピン60Aが挿入される長穴102が形成されている。長穴102は、揺動部材60が揺動するときに連結ピン60Aの円弧状の軌跡を吸収して閂部100を軸方向に直線運動させるためのものである。閂部100の長穴102側の側壁部には、センサ部130のリード線を通す切り欠き部103が形成されている。閂部100の底部内側にはインナーケース部110(図22(b)参照)を固定するための固定穴104が一対形成されている。
図15乃至図18に示すように、インナーケース部110は、プラスチックからなるものであり、閂部100より一回り小さなコの字形の断面形状を有している。インナーケース部110の上面部は開放されており、カバー部120が覆っている。インナーケース部110の両側壁部には係止突起111が一対形成されており、この一対の係止突起111にカバー部120の爪部121が掛け止められている。インナーケース部110の底部表面には、閂部100の底部の固定穴104に固定される位置決め突起112が一対形成されている。
インナーケース部110の底部内側には、図20及び図21に示すように、インナーケース部110の軸方向に延びる3本の端子113、114、115が取り付けられている。この3本の端子の内の中央部の端子114(図21参照)は給電用の端子である。端子114の端子の図21の上側の端子113は、デッドボルト7が拘束部材6の拘束部6Aの縁に当たっていることを検出する端子である。また、端子114の図21の下側の端子115は、デッドボルト7が拘束部材6の拘束部6Aに適正に挿入されたことを検出する端子である。
端子113は端子114より短く、端子115は端子113より短く形成されている。また、端子113,114,115のストッパー壁116側の部位は硬質ラベル117等で覆われている。硬質ラベル117で端子113、114,115を覆う理由は、センサ部130のセンサ本体SBが突出限界まで突出したことを電気的に検出するためであり、詳しい説明は後述する。
図16〜図18に拡大して図示されるセンサ本体SBは、インナーケース部110に保持される棒状の形態を有しており、一方の端部が拘束部材6に挿入される検出部131とされ、他方の端部がセンサ本体SBの突出限界を定めるストッパー部51とされている。センサ本体SBの検出部131は、本体部132より幅広でインナーケース部110の幅と同一幅とされ、閂部100のコの字形の内側空間にぴったりと納められる幅を有している。
センサ本体SBのカバー部120と対面する上面部132Aは、インナーケース部110の上端部と等しい高さとされている。センサ本体SBの下面部132Bはインナーケース部110の溝の底部110Aより若干高い位置になるように設定されている。
センサ本体SBの上面部132Aには、インナーケース部110内をスライドするときのカバー部120との摩擦抵抗を少なくするための凸部134が複数個それぞれ形成されている(図18参照)。同様に、センサ本体SBの本体部132の側面部であってインナーケース部110の側壁部110A、110Bに対面する部位には、センサ本体SBがインナーケース部110内をスライドするときの摩擦抵抗を少なくするための凸部135が複数個それぞれ形成されている(図18参照)。
検出部131の上下には接触突起部50A、50Bが形成されており、接触突起部50Aより接触突起部50Bが長く形成されている。これは、閂部100の中にインナーケース部110更にはセンサ本体SBを収納した場合に、閂部100とインナーケース部110の肉厚を含めてデッドボルト7の肉厚中心TC(図19(a)参照)から接触突起部50Aの端面或いは突起部50Bの端面との距離を等しくするためであり、デッドボルトユニット2を表裏交換して窓枠5に取り付けても、拘束部材6の拘束部6Aの縁部に適正に接触させるためである。
従って、接触突起部50Bが下面部132Bから突出する突出量は接触突起部50Aが上面部132Aから突出する突出量がより、閂部100とインナーケース部110の肉厚を含めた分だけ長くなっている。
また、拘束部材6側の拘束部6Aは、既に説明したように、凹部や段差部で構成されていても良い。拘束部6Aの大きさは、デッドボルト7を拘束するためにはデッドボルト7の断面形状と同じ大きさのものには限らない。例えば、デッドボルト7の断面形状より拘束部6Aの大きさが大きい場合であっても、スライド式の戸(或いは窓)若しくはヒンジ式の戸(或いは窓)を適正に閉めたときに、拘束部6Aの縁部からデッドボルト7を引き離し不能に干渉させる構造であれば、良い。接触突起部50Aと接触突起部50Bとが両面に形成されていることによって、スライド式の戸(或いは窓)若しくはヒンジ式の戸(或いは窓)を閉鎖状態から開放状態に移動する方向が、施錠装置の設置箇所によって様々に異なっていても、一つの施錠装置によって対応することが自由なものとなる。
センサ本体SBの中間部からストッパー部51までの間には、矩形に形成された開口部136が設けられており、開口部136内にコイルスプリング137(図19(a)参照)が配設される。コイルスプリング137の一端部には、開口部136の前側壁部に突設された矩形の突起部138が挿入されてコイルスプリング137が保持され、コイルスプリング137の他端部は、インナーケース部110のストッパー壁116に当接している。コイルスプリング137はセンサ部130をインナーケース部110から突出させる方向にセンサ本体SBを付勢している。ストッパー部51を支える一対の軸部51Aは、ストッパー壁116の上部両脇の溝116Aの保持されており、溝116Aの中を自在に摺動可能とされている。
センサ本体SBの下面部132Bには、図20に示すように、フォーク状の形状を有する金属製接触部133が設けられており、この金属製接触部133は、3本の等しい長さの接触子133A、133B、133Cを備えている。金属製接触部133は、センサ本体SBの突起部139にカシメられて固定されている。センサ本体SBの下面部132Bの前端部には、コイルスプリング137の弾性付勢力に抗してセンサ本体SBを支持するストッパー部140が形成されており、ストッパー部140は、コイルスプリング137の弾性付勢力によって、インナーケース部110の前壁部117に突き当てられている。センサ本体SBは、このストッパー部140と前壁部117とが突き当たり、また、ストッパー部51と壁32Gとが突き当たっているところまで、インナーケース部110内を摺動可能とされている。
検出部131の前端面と、接触突起部50A、50Bと、ストッパー部51は、閂部100とセンサ部130が拘束部材6の拘束部6Aの縁部に当接したとき、閂部100とセンサ部130が拘束部材6の拘束部6Aの内部に適正に挿入されたとき、閂部100とセンサ部130が拘束部材6に当たらないで空振りしたときのそれぞれの閂部100とセンサ部130の移動量を定めるものであり、これらの3つの状態を、端子113、114,115と、接触子133A、133B、133Cの接触状態の組合せによって判断するために機能するものである。
次に、この補助錠1におけるデッドボルト7が拘束部材6の拘束部6Aに施錠される状態について説明する。
図19(a)は、デッドボルト7が拘束部材6に向かって移動していないとき、即ち、デッドボルト7の施錠動作が行われていない初期状態或いは非動作状態におけるセンサ本体SBと閂部100との位置関係を示す。図20(b)は、デッドボルト7の施錠動作が行われていない初期状態或いは非動作状態における端子113、114,115と、接触子133A、133B、133Cの接触状態を示す。
デッドボルト7の施錠動作が開始すると、デッドボルト7がデッドボルトユニット2から拘束部材6に向かって突出し始める。この時、閂部100の進出方向前端部100Fと接触突起部50A、50Bの先端面50Fは面一になっている。
図21(a)に示すように、デッドボルト7が適正に拘束部材6の拘束部6Aに適正に挿入されると、接触突起部50A、50Bが拘束部6Aの縁部に当たった後、センサ部130が図21(a)の左から右側にスライドして、インナーケース部110の奥側に向かってスライドする。この時のスライド量S1(図21(a)参照)は、デッドボルトユニット2の端面から拘束部材6の拘束部6Aの縁部までの距離の如何に関わらず一定である。
即ち、デッドボルトユニット2の端面から拘束部材6の拘束部6Aの縁部までの距離は、窓枠4(固定側)と窓框5(可動側)との設置状況や補助錠1と拘束部材6との取付位置の状況によって一定しない。従って、デッドボルト7の突出量は突出限界以内において適正に施錠するためには、デッドボルト7のスライド量に許容量を設ける必要がある。また、閂部100が拘束部材6の拘束部6Aに入る進入量も所定の強度を確保する必要がある。この所定の進入量は、閂部100の先端部100Fと拘束部材6の拘束部6Aの縁部との距離となる。
この実施の形態では、この閂部100の先端部100Fと接触突起部50A、50Bの前端面50Fとの離間距離S1によって定められる。
この離間距離S1だけスライドしたときに、端子115と接触子133Cとが導通するように、端子115の長さが決められている。そして、図21(b)(c)に示すように、接触子133Bと端子114は導通しており、端子114からは給電されているので、接触子133Aと端子113とが接触して導通し、更に、接触子133Cと端子115が導通する。従って、端子113の出力C1が「H」(ON)になると共に、端子115の出力C2が「H」になる。これによって、出力C1とC2をアンド回路により論理積を取ると、アンド回路の出力は「H」(ON)となり、「適正施錠」と判断することができる。
次に、図22(a)に示すように、デッドボルト7の先端部が拘束部材6の拘束部6Aの縁部に当たっているときは、センサ本体SBの前端面130Fと閂部100の前端面100Fとが面一となる。
この時、図22(b)に示すように、接触子133Bと端子114は導通し、端子113と接触子133Aが導通するものの、端子115と接触子133Cは導通しないので、端子113の出力C1が「H」になり、端子115の出力C2は「L」のままである(図21(c)参照)。従って、端子113の出力C1が「H」(ON)になる一方、端子115の出力C2が「L」(OFF)になる。
これによって、出力C1とC2をアンド回路により論理積を取ると、アンド回路の出力は「L」(OFF)となり、「施錠失敗」と判断することができる。即ち、端子115と接触子133Cとは導通しないこととなり、デッドボルト7の先端部が拘束部材6の拘束部6Aの縁部に当たっていることを検出できる。
更に、図23(a)に示すように、デッドボルト7の先端部が窓ガラスや窓框5に当たったり、何にも当たらない「空振り状態」のときは、ストッパー部51が壁32Gに当たってセンサ本体SBが突出限界まで突出すると共に、閂部100は、揺動部材60の揺動限界まで突出する。この閂部100の突出量はセンサ本体SBの突出量より大きいため、閂部100が突出限界まで突出し、センサ本体SBが突出限界まで突出すると、閂部100の先端からセンサ本体SBの先端が閂部100の奥に沈み込む。この沈み込む量は、接触子133Aが端子113に導通する距離である。従って、「空振り状態」のときは、接触子133Bが端子114と接触し、接触子133Aが端子113と接触するので、端子113の出力がON(H)となり、端子115の出力はOFF(L)のままである。従って、デッドボルト7が空振りしたことが検出できる。
なお、デッドボルト7の空振りを検知するためには、これに限らない。例えば、センサ本体SBの突出量と閂部100の突出量とを同じに設定して、ホームポジションスイッチ40がONしてから所定時間経過してから、揺動部材60が揺動限界まで揺動してモーター41が回転停止し、モーター41の電流が増大したことを検出して「空振り」と判断しても良い。
更に、閂部100の突出限界に対してセンサ本体SBの突出限界の差が大きい場合には、図23(c)に示すように、端子113、114、115のストッパー51側の部位を絶縁ラベル等で覆って、端子113と接触子133Aの組と、端子114と接触子133Bの組と、端子115と接触子133Cの組が、それぞれ所定の位置のみで、導通するように構成しても良い。これによれば、「空振り」の時には、揺動部材60の揺動開始から所定時間経過後にもかかわらず、給電用の端子114も給電ができず他の端子113,115も導通しないので、デッドボルト7の先端部が空振り状態であるとを検出できる。
以上説明したように、この実施の形態にかかる施錠装置は、窓框5又は窓枠4の何れかに拘束部材6を固定し、窓框5又は窓枠4の何れかにデッドボルト7を備えた施錠装置本体8を固定するものであり、デッドボルト7を拘束部材6に干渉させて施錠する補助錠1で構成され、デッドボルトユニット2は、デッドボルト7を軸方向にスライド可能に保持するデッドボルトホルダーDH(保持部材)と、デッドボルト7を駆動する駆動機構(ギアG1、G2、G3とウォームギア42並びにはウォームセクターギア43並びに揺動部材60)とを一対のベースプレート20、30(取付板部)間に配備したものである。デッドボルトユニット2の一対のベースプレート20、30のいずれも、施錠装置本体8に対して取付可能とされている。
また、デッドボルトホルダーDHをプラスチックにて成型し、デッドボルトホルダーDHの側面から内部にデッドボルト7を保持し、揺動部材60にデッドボルト7を連結しており、デッドボルトユニット2を表裏交換して施錠装置本体8に装着したときでも、左右いずれからのデッドボルト7を出入できるようにしている。
更に、デッドボルト7は、デッドボルト7の先端部が拘束部材6の拘束部6A(嵌合部)の縁部に当接したことと、デッドボルト7が拘束部材6の拘束部6Aに適正に嵌合したことと、デッドボルト7が拘束部6Aに嵌合せず且つ拘束部6Aの縁部にも当接していないことを検出するために、センサ部130を備えている。
すなわち、デッドボルト7は、その内部に、スイッチ(端子113〜115と接触子133A〜133Cからなる)を設け、デッドボルト7の拘束部材6側に向けられる軸方向の端部に、デッドボルト7と拘束部材6との接触状態によってデッドボルト7の突出量を変化させる検出部(接触突起部50A、50B並びにデッドボルト7の前端部130Fと閂部100の前端部100F)を設け、該検出部とスイッチによって前記第1センサ乃至第3センサを構成している。
更に、デッドボルトユニット2は、窓框5又は窓枠4の何れか一方に拘束部材6を固定し、窓框5又は窓枠4の何れか他方にデッドボルト7を備えたデッドボルトユニット2を固定し、デッドボルト7を拘束部材6に干渉させて施錠するための補助錠1に用いるものであって、デッドボルト7を軸方向にスライド可能に保持するデッドボルトホルダーDHと、デッドボルト7を駆動する駆動機構とが、一対の取付基板20,30間に配備して構成されると共に、デッドボルトユニット2により突出変位する閂部100とセンサ部130がデッドボルトユニット2の上下面間の肉厚中心に対して振り分け対称に配置されているため、一対の取付基板20,30のいずれも、施錠装置本体8に対して表裏交換可能に取付けることができる。
上記実施の形態の補助錠1によれば、引き違い式の引き戸(窓或いは扉を含む)や、ヒンジを中心に回動するヒンジ戸(窓或いは扉を含む)に補助錠1を取り付ける場合に、デッドボルトユニット2の表裏を交換して固定することにより、窓枠4或いは窓框5の左右・上下の位置のどこの位置でも、一つのデッドボルトユニット2で対応でき、右用のデッドボルトユニットや左用のデッドボルトユニットを作成する必要がなく、低コストであり、取付の手間もかからないという優れた利点がある。
尚、上記のデッドボルト7の駆動源には、モーター41を用いたが、直線方向に往復するソレノイドを用いても良い。ソレノイドを用いる場合には直線運動を揺動部材60の揺動運動に代えるためのリンク機構を設けても良い。また、デッドボルト7の往復する方向をZ軸方向とした場合に、拘束部材6がX軸方向或いはY軸方向に移動する開口部又はドアや窓に適用しても良い。