JP2005212074A - 珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じてヘテロ接合された形態で、青色エレクトロルミネッセンス等の光学デバイス材料などとして有用な複合ナノワイヤーとその製造方法を提供する。
【解決手段】 一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の混合物を、不活性気流中、1200〜1400℃で50〜90分間加熱し、引き続き温度を上げて1400〜1700℃で1〜2時間加熱することで、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じてヘテロ接合され、断面略円形ないしは略楕円形の一体のナノワイヤーが形成されていることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーとする。
【選択図】図2

Description

この出願の発明は、珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーとその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じてヘテロ接合された形態で、青色エレクトロルミネッセンス等の光学デバイス材料などとして有用な珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーとその製造方法に関するものである。
異種の半導体材料からなる一次元ナノ構造物において、ナノエレクトロニクスおよびナノホトニクス等の分野における将来的な応用のためには、異種の半導体材料同士がヘテロ接合あるいは超格子を形成していることが重要であると考えられてきており、すでにいくつかの、ヘテロ接合を有する一次元ナノ構造物が製造されてきている。たとえば、長さ方向で組成が変調されたガリウム砒素−ガリウムリンナノワイヤーや珪素−珪素ゲルマニウムナノワイヤーが製造され、ナノサイズのバーコードや発光ダイオード等への応用が期待されている(たとえば、非特許文献1,2参照)。また、半径方向で組成が異なる珪素−ゲルマニウムナノワイヤー等が製造され、ナノサイズの導波管などとしての応用が期待されている(たとえば、非特許文献3参照)。
M. S. Gudiksen et al., "Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics," Nature 2002, Vol.415, pp.617-620 Y. Wu et al., "Block-by-Block Growth of Single-crystalline Si/SiGe Superlattice Nanowires," Nano Lett. 2002, Vol.2, No.2, pp.83-86 L. J. Lauhon et al., "Epitaxial core?shell and core?multishell nanowire heterostructures," Nature 2002, Vol.420, pp.57-61
しかしながら、長さ方向でヘテロ接合あるいは超格子を有するナノ構造物については、ニ酸化チタン−酸化錫二層ナノテープといった二次元構造物については報告されているものの、一次元構造物については未だ報告されていない。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、長さ方向でヘテロ接合を有し、青色エレクトロルミネッセンス等の光学デバイス材料などとして有用な珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーとその製造方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じて接合され、断面略円形ないしは略楕円形の一体のナノワイヤーが形成されていることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを提供する。
この出願の発明は、第2には、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーがヘテロ接合されていることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを提供し、第3には、1本の珪素ナノワイヤーと1本の硫化亜鉛ナノワイヤーが接合されていることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーや、第4には、2本の硫化亜鉛ナノワイヤーの間に1本の珪素ナノワイヤーがサンドイッチ状に挟まれた形態で接合されていることを特徴とする珪
素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを提供する。
そして、第5には、それらの珪素ナノワイヤーおよび硫化亜鉛ナノワイヤーが、何れも単結晶であることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを、第6には、直径が60〜120ナノメートル、長さが数〜数十マイクロメートルであることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを提供する。
また、この出願の発明は、第7には、以上の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法であって、一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の混合物を、不活性気流中、1200〜1400℃で加熱し、引き続き温度を上げて1400〜1700℃で加熱することを特徴とする複合ナノワイヤーの製造方法を提供する。
さらにこの出願の発明は、第8には、一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の配合は、重量比で、1:1〜1:2とすることを特徴とする製造方法を、第9には、1300℃で加熱し、引き続き温度を上げて1500℃で加熱することを特徴とする製造方法を、第10には、加熱には、縦型高周波誘導加熱炉を用いることを特徴とする製造方法や、第11には、炉内の誘導加熱シリンダが、炭素繊維からなる断熱層で覆われていることを特徴とする製造方法なども提供する。
上記のとおりのこの出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーによって、珪素および硫化亜鉛という異種の半導体材料同士が長さ方向でヘテロ接合あるいは超格子を形成している一次元ナノ構造物が初めて実現される。また、この出願の発明の方法によって、この珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを簡易なプロセスで容易に製造することができる。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じて接合された形態を有し、断面略円形ないしは略楕円形の一体のナノワイヤーが形成されていることを特徴としている。長さ方向で接合された1次元ナノ構造物は今まで知られておらず、この出願の発明で初めて見出されるものである。
この珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーにおける珪素ナノワイヤーの部分は、主としてダイヤモンド構造型立方晶系Si単結晶により構成されており、一般的な珪素ナノワイヤーについてみられる表面酸化に起因するアモルファス被覆層は全くといってよいほど見られない。また、硫化亜鉛ナノワイヤーの部分は、主として閃亜鉛鉱構造立方晶系ZnS単結晶により構成されている。また断面(横断面)形状は略円形ないしは略楕円形であって、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーの接合部は直線的あるいは曲線的の場合がある。
これら珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーは全長を通じて接合されており、その接合面では、珪素と硫化亜鉛とで格子の一致がない場合もあるが、多くの場合において、格子は整合しており、格子ミスマッチによる不整転移やストレスがほとんど存在しない。すなわち、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーがヘテロ接合されている。その界面は、シリコン硫化物等に由来するアモルファス層等がほとんど存在せず、原子規模で均整がとれて一様であり、エピタキシー規則構造となっている。このような接合は、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの全長において維持されている。すなわち、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複
合ナノワイヤーは、ナノメートルオーダーであるが、極めて広いヘテロ接合界面を有していることになる。
そして、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーにおいて、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーの接合形態としては、1本の珪素ナノワイヤーと1本の硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じて接合されて2軸構造となったものや、2本の硫化亜鉛ナノワイヤーの間に1本の珪素ナノワイヤーがサンドイッチ状に挟まれた形態で全長を通じて接合されて3軸構造となったものを考慮することができる。3軸構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーについては、自ずと超格子構造が形成されることになり、半導体材料としての有用性がより高められることになる。
また、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは、2軸構造および3軸構造のいずれの場合も、断面形状は略円形ないしは略楕円形の一体のナノワイヤーであって、全体としてほぼまっすぐなものや、湾曲したものなどを考慮することができる。その直径はおよそ60〜120ナノメートルの範囲で、長さは数〜数十マイクロメートルの範囲のものとなっている。珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーにおける珪素ナノワイヤーの部分と硫化亜鉛ナノワイヤーの部分の直径は、均等であるものもあるが、多少ばらつきがあるものも考慮することができる。たとえば、具体的には、珪素ナノワイヤーの部分の直径が30〜40ナノメートルで、硫化亜鉛ナノワイヤーの部分の直径が40〜60ナノメートルのように、それぞれの部分の直径が多少異なるものもある。
珪素は半導体産業の中心的な材料であり、また硫化亜鉛はバンドギャップ(約3.68eV)の広いII-VI半導体として有名で、青色発光(EL)ダイオード素子の最も有望な
材料と見なされている。このような珪素および硫化亜鉛からなるこの出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは、青色エレクトロルミネッセンス特性を有し、光学デバイス材料としてはもちろん、他の様々な分野においての利用が期待される。
以上のようなこの出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは、たとえば以下のこの出願の発明の製造方法により、容易に製造することができる。
すなわち、この出願が提供する珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法は、一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の混合物を、不活性気流中、1200〜1400℃で加熱し、引き続き温度を上げて1400〜1700℃で加熱することを特徴としている。
出発材料の一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末は、純度や粒径等に厳密な制限はなく、たとえば、シグマアルドリッチ社製の一酸化珪素粉末(SiO、325メッシュ)および硫化亜鉛粉末(ZnS、純度99.99%)等を使用することが、おおよその目安として例示される。
一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の配合は、重量比で、1:1〜1:2程度の範囲とするのが好ましい。これよりも硫化亜鉛が多いと、得られる珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーに硫化亜鉛のナノ構造物が混入することがあるために好ましくない。またこれよりも硫化亜鉛が少ないと、珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの収量が低下してしまうために好ましくない。
不活性ガスとしては、窒素や、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の希ガスなどを用いることができる。不活性ガスはキャリアガスとしての役割をもち、その流量は、50〜150sccmの範囲とするのが好適である。流量が50sccmよりも少ない場合には、珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの収量が低下してしまうために好ましくない。また、流量の上限は150sccm程度で十分であり、それよりも多いといたずらに不活性ガスを消費
することになるので好ましくない。
加熱については、1200〜1400℃と1400〜1700℃の二段階で加熱するようにしている。
まず第一段階目では、1200〜1400℃で加熱することで、珪素ナノワイヤーを成長させるようにしている。珪素ナノワイヤーはキャリアガス下流ゾーンに生成されることになる。一段階目の加熱温度は、1200〜1400℃程度の範囲が好ましい。1200℃よりも低いと珪素ナノワイヤーが成長しにくいために好ましくない。また出発材料は1400℃で十分に蒸発および反応するため、これ以上温度をあげる必要は無い。より好ましくは1250〜1350℃、さらに限定的には1300℃近傍とするのが好ましい。一段階目の加熱時間は、もちろん出発材料の量や製造装置等の条件にも依存するが、50〜90分間程度の範囲とすることが例示され、50分間よりも短いと出発材料の蒸発および反応が十分に行なわれず、収量が低下してしまうことが多いために好ましくない。また、90分間よりも長いと成長した珪素ナノワイヤーの表面が酸化を受けることがあるので好ましくない。
次に第二段階目では、第一段階に引き続き温度を上げて、1400〜1700℃で加熱することで、先に成長した珪素ナノワイヤーの片面あるいは両面に硫化亜鉛ナノワイヤーをエピタキシャル成長させ、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが接合した珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを製造するようにしている。二段目の加熱温度は、1400〜1700℃程度の範囲が好ましい。1400℃よりも低いと珪素ナノワイヤー上に硫化亜鉛ナノワイヤーが成長しにくいために好ましくない。また硫化亜鉛ナノワイヤーは1700℃で十分に成長するため、これ以上いたずらに温度を上げる必要は無い。より限定的には1500〜1600℃程度の範囲とするのが好ましい。二段目の加熱時間は、もちろん出発材料の量や製造装置等の条件にも依存するが、1〜2時間程度の範囲が好ましく、1時間よりも短いと珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの収量が低下してしまうために好ましくなく、また、2時間よりも長いと珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー以外の他の構造物が混入してしまうため好ましくない。これにより、黄色繊維状の堆積物として、この出願の発明の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーを得ることができる。このように、この出願の発明の方法は、触媒なしの2段階の熱反応と物理的堆積を組み合わせた単純なプロセスで構成されている。
なお、この出願の発明の方法によると、珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは2軸構造のものと3軸構造のものが混ざった状態で生成されるが、発明者らの観察によると、2軸構造のものの方が3軸構造のものがより多く製造されている。また、複合されていない単独の珪素ナノワイヤーおよび硫化亜鉛複合ナノワイヤーの生成比率は非常に少ないことが確認されている。
以上のとおりの珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造には、加熱の際の温度制御が容易な点や、装置の構成の点等から、縦型高周波誘導加熱炉を用いることが好ましい例として上げられる。縦型高周波誘導加熱炉としては、たとえば、具体的には、透明溶融石英管の内部に誘導加熱シリンダが配置され、シリンダの上部と底部にキャリアガスのための入口パイプと出口パイプがそれぞれ備えられているもの等を用いることが好適である。この場合、透明溶融石英管と誘導加熱シリンダの間が堆積ゾーンとなる。さらに、誘導加熱シリンダが炭素繊維からなる断熱層で覆われている場合には、この断熱層の表面が好適な堆積ゾーンとなり、珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーは炭素繊維の表面に淡い茶色の生成物として得ることができる。
以下に実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。も
ちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
シグマアルドリッチ社製の硫化亜鉛粉末(純度99.99%)1.5gとシグマアルドリッチ社製の一酸化珪素粉末(325メッシュ)1.0gの混合物を、グラファイト製のるつぼに入れた。このるつぼを、炭素繊維で覆われたグラファイト誘導加熱円筒管を有する縦型高周波誘導加熱炉内の中央部に取り付けた。この加熱炉は、透明溶融石英管(長さ50cm、外径12cm、壁厚0.25cm)の内部に高純度グラファイトからなる誘導
加熱円筒管(長さ25cm、外径4.5cm、内径3.5cm)、さらにその中にグラフ
ァイト製の支持台が設置された構成のものであり、誘導加熱円筒管は炭素繊維からなる断熱層で覆われ、また誘導加熱円筒管の上部と底部にはグラファイト製の入口パイプと出口パイプがそれぞれ備えられている。
加熱炉を1〜2Torrの減圧にした後、アルゴンガス(純度99.99%)を流量80sccmで流しながら、るつぼ内の混合物を急速に加熱し、1300℃にて1時間保持した。引き続き、1600℃にまで温度を上げて1.5時間加熱した後、加熱炉を室温に冷却した。なお、加熱温度は精度が±10℃の光高温計を用いて厳密に管理した。炉内を観察したところ、断熱材である炭素繊維の表面に、黄色繊維状の生成物が数mg堆積しているのが確認された。
(A)
図1に、得られた生成物の粉末X線回折(XRD)のパターンを示した。このXRDパターンからは、ダイヤモンド構造型の立方晶珪素(Si,JCPDSファイル:27−1402)および閃亜鉛鉱構造の立方晶硫化亜鉛(ZnS,JCPDSファイル: 05−
0566)のピークが得られ、他の結晶系からのピークが検出されなかったことから、生成物が立方晶の珪素と硫化亜鉛を含む複合材料であることがわかった。
(B)
走査型電子顕微鏡(SEM)での観察から、得られた生成物は、ワイヤー状のナノ構造物が大量に集まっているものであることがわかった。これらナノワイヤーは、それぞれ任意の方向を向いており、ほとんどのものは比較的直線的であるが、いくらかものものは曲がっていた。
(C)
図2に、得られたナノワイヤーの低倍率の透過型電子顕微鏡(TEM)像を例示した。スケールバーは100nmを示している。このナノワイヤーは、コントラストが長さ方向で明瞭に変化しており、より斜めに写っているナノワイヤーは上側(明)と下側(暗)からなる二軸構造、そして比較的縦に写っているナノワイヤーは左側(暗)、真中(明)、右側(暗)からなる三層サンドウィッチ状の三軸構造であることが分かった。すなわち、従来のコア−シェル構造とは全く異なった構造のナノワイヤーであることが確認された。また、これら二軸構造および三軸構造のナノワイヤーの横断面を観察したところ、断面形状は全体として略楕円形であって、断面のコントラストが(明)−(暗)および(暗)−(明)−(暗)と、直線的ではないものの明瞭に分かれているのが確認された。このような断面はそれぞれのナノワイヤーの全長を通じて維持されていることも確認された。これらのナノワイヤーの直径は60〜120ナノメートルで、そのうち、明領域の直径は30〜40ナノメートル、暗領域の直径は40〜60ナノメートルであった。また、長さは数〜数十マイクロメートルであった。
(D)
図3に、二軸構造ナノワイヤーのライン走査による元素マッピングを例示した。走査ラ
インは、二軸構造ナノワイヤーの横断面をTEM像のコントラストの明るい部分から暗い部分に横切るかたちとした。図は、向かって左側が明るい部分であって珪素のみからなり、右側が暗い部分であってほぼ化学量論硫化亜鉛から成ることが分かった。なお、酸素(O)については、サンプル処理中に空気にさらされたことによる、不可避的な表面吸着に由来するものであると考えられる。以上のことから、この二軸構造ナノワイヤーは、断面略半円形の珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じて接合された形態で、コア−シェル構造とは全く異なる二軸構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーであることが分かった。
図4に、三軸構造ナノワイヤーのライン走査による元素マッピングを例示した。走査ラインは、三軸構造ナノワイヤーの横断面をTEM像のコントラストの(暗)−(明)−(暗)の部分を横切るかたちとした。その結果、三軸構造ナノワイヤーは、硫化亜鉛−珪素−硫化亜鉛からなる三層構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーであることが確認された。このナノワイヤーもコア−シェル構造とは全く異なった構造のナノワイヤーであることが分かった。
(E)
図5(a)〜(c)に、得られた珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの高倍率の透過型電
子顕微鏡(HRTEM)像を例示した。スケールバーはいずれも2nmを示している。(a)(b)はそれぞれ、二軸構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーにおける珪素ナノワイヤー部分および硫化亜鉛ナノワイヤー部分のHRTEM像であり、これらは試料を動かすことなく同じ電子線方位で撮影したものである。(a)(b)のいずれもほぼ同じ像であり、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが同じ成長配向性を有し、また、転位や面欠陥が無いことが観察された。面間隔dは共に約0.31nmで、それぞれダイヤモン
ド構造型立方晶系Siおよび閃亜鉛鉱構造立方晶系ZnSの{111}格子平面に相当する値であった。二軸構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーにおける珪素ナノワイヤー部分と硫化亜鉛ナノワイヤー部分が全く同じ単結晶構造であることは注目すべき点である。また、一般に、珪素ナノワイヤーについてはその表面に酸化に起因するアモルファス被覆層が観察されるのであるが、この珪素ナノワイヤーにはアモルファス被覆層が全く観察されなかった。
図5cのHRTEM像は、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーの間の界面領域を観察したものである。界面は、原子規模で均整がとれて一様であり、シリコン硫化物等に由来するアモルファス層は形成されていなかった。このHRTEM観察では、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーの優れたエピタキシャル関係がはっきりと確認でき、また、界面では、約0.40%の格子ミスマッチによる不整転移やストレスは一切観察されなかった。さらに広域のHRTEM観察により、以上のような界面の均質性および優れたエピタキシャル関係は、ニ軸構造の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの全長さを通じて維持されていることがわかった。(c)の左上部に挿入されたEDパターンは、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーの界面領域で得られたもので、Si[110]晶帯軸あるいはZnS[110]晶帯軸に相当し、
Figure 2005212074
の優れたエピタキシャル関係が築かれていることがわかる。
(F)
図6に、22K,80K,160K,222K,299Kで測定した三軸構造ナノワイヤーのカソードルミネッセンス(CL)の測定結果を例示した。CLスペクトルは基本的
に2つのピークから構成され、680nm(−1.82eV)の強いピークと、476nm(−2.60eV)の弱い幅広のピークを持つ発光をすることが分かった。強いピークは珪素部分からの可視の放射で、バルクSiナノワイヤーの最高値に匹敵するものであり、弱いピークは硫化亜鉛内の欠陥と関係する可視の(青)放射で、バルクZnSナノワイヤーに特有のものである。また、これらのピーク強度は測定温度の上昇と共に弱く、幅広になることが分かった。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じてヘテロ接合された形態で、青色エレクトロルミネッセンス等の光学デバイス材料などとして有用な複合ナノワイヤーとその製造方法が提供される。
この発明の実施例において得られた生成物の粉末X線回折(XRD)パターンを例示した図である。 この発明の複合ナノワイヤーの低倍率透過型電子顕微鏡(TEM)像を例示した図である。 この発明の実施例における二軸構造ナノワイヤーのライン走査による元素マッピングを示した図である。 この発明の実施例における三軸構造ナノワイヤーのライン走査による元素マッピングを示した図である。 (a)〜(c)は、この発明の実施例において得られた複合ナノワイヤーの高倍率の透過型電子顕微鏡(HRTEM)像を示した図である。 この発明の実施例における三軸構造ナノワイヤーのカソードルミネッセンス(CL)の測定結果を示した図である。

Claims (11)

  1. 珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーが全長を通じて接合され、断面略円形ないしは略楕円形の一体のナノワイヤーが形成されていることを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  2. 珪素ナノワイヤーと硫化亜鉛ナノワイヤーがヘテロ接合されていることを特徴とする請求項1記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  3. 1本の珪素ナノワイヤーと1本の硫化亜鉛ナノワイヤーが接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  4. 2本の硫化亜鉛ナノワイヤーの間に1本の珪素ナノワイヤーがサンドイッチ状に挟まれた形態で接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  5. 珪素ナノワイヤーおよび硫化亜鉛ナノワイヤーが、何れも単結晶であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  6. 直径が60〜120ナノメートル、長さが数〜数十マイクロメートルであることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤー。
  7. 一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の混合物を、不活性気流中、1200〜1400℃で加熱し、引き続き温度を上げて1400〜1700℃で加熱することを特徴とする珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法。
  8. 一酸化珪素粉末と硫化亜鉛粉末の配合は、重量比で、1:1〜1:2とすることを特徴とする請求項7記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法。
  9. 1300℃で加熱し、引き続き温度を上げて1500℃で加熱することを特徴とする請求項7または8記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法。
  10. 加熱には、縦型高周波誘導加熱炉を用いることを特徴とする請求項7ないし9いずれかに記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法。
  11. 炉内の誘導加熱シリンダが、炭素繊維からなる断熱層で覆われていることを特徴とする請求項7ないし10いずれかに記載の珪素−硫化亜鉛複合ナノワイヤーの製造方法。
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JP2006089326A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 National Institute For Materials Science 炭化珪素膜で被覆された硫化亜鉛ナノケーブルおよびその製造方法

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JP4701451B2 (ja) * 2004-09-24 2011-06-15 独立行政法人物質・材料研究機構 炭化珪素膜で被覆された硫化亜鉛ナノケーブルおよびその製造方法

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