JP2005209336A - ディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体およびディスクドライブ用アクチュエータ - Google Patents

Abstract

【課題】アクチュエータに加わる垂直および水平方向の衝撃によるフレクシャーの変形とヘッドの損傷とを防止できるフレクシャーリミッタを有するサスペンション組立体と，これを用いたディスクドライブ用アクチュエータとを提供する。
【解決手段】サスペンション組立体１４０は，ロードビーム１４１と，フレクシャー１４５と，フレクシャーリミッタ１４７とを含んでなる。ロードビーム１４１は，スライダー１４６をディスク１２０側に付勢するように支持し，スイングアーム１３２の端部と結合され，両側端部に側壁１４２を有する。フレクシャー１４５は，スライダー１４６を支持し，ロードビーム１４１のディスク対向面側に固定され，先端部はロードビーム１４１の先端部側へ延びている。フレクシャーリミッタ１４７は，フレクシャー１４５の先端部からロードビーム１４１側にベンディング形成され，フレクシャー１４５の垂直および水平方向の揺動を制限する。
【選択図】 図３

Description

本発明は，ディスクドライブに係り，より詳細には，読み取り／書き込みヘッドを搭載したスライダーを支持するサスペンション組立体と，読み取り／書き込みヘッドをディスク上の所定の位置に移動させるためのアクチュエータとに関する。

コンピュータの情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ：以下，ＨＤＤとする）は，読み取り／書き込みヘッドを用いてディスクに／からデータを記録／再生する装置である。

このようなＨＤＤには，読み取り／書き込みヘッドをディスク上の所定の位置に移動させるためのアクチュエータが備えられている。このアクチュエータは，スイングアームと，スイングアームの一端部に設置されて，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの表面側に付勢されるように支持するサスペンション組立体と，スイングアームを回転させるためのボイスコイルモータ（Ｖｏｉｃｅ Ｃｏｉｌ Ｍｏｔｏｒ：以下，ＶＣＭとする）とを備えている。

ＨＤＤの電源を入れ，ディスクが回転し始めると，ＶＣＭはスイングアームを回転させて，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの記録面上に移動させる。そして，スライダーに搭載された読み取り／書き込みヘッドは，ディスクの記録面に対してデータを再生または記録する。

一方，ＨＤＤが作動しないとき，すなわち，ディスクの回転が停止したときには，ＶＣＭは，読み取り／書き込みヘッドがディスクの記録面にぶつからないように，読み取り／書き込みヘッドをディスクの記録面から逸脱した位置に移動させてパーキングさせる。このようなヘッドパーキングシステムは，ＣＳＳ（Ｃｏｎｔａｃｔ Ｓｔａｒｔ Ｓｔｏｐ）方式とランプローディング方式とに大別される。ＣＳＳ方式は，ディスクの内周側にデータが記録されないパーキングゾーンを設け，そのパーキングゾーンに読み取り／書き込みヘッドを接触させてパーキングさせるものである。これに対し，ランプローディング方式は，ディスクの外側にランプを設けてそのランプ上に読み取り／書き込みヘッドをパーキングさせる。

図１には，従来のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体の一例として，特許文献１に開示されたサスペンション組立体が図示されている。

図１を参照すれば，ディスク２１の両側には二つのサスペンション組立体が配置されている。サスペンション組立体のロードビーム２８にはフレクシャー（Ｆｌｅｘｕｒｅ）２９の一端部が付着され，フレクシャー２９にはスライダー３０が接着剤により接着される。ロードビーム２８の先端部にはエンドタブ２８ａが延長して形成されており，そのエンドタブ２８ａはランプ２４の表面に接触されて支持される。そして，フレクシャー２９の先端部には第１リミッタ３７が設けられており，それに対応してランプ２４には突出部２７が設けられている。また，フレクシャー２９の先端部と後端部との間には第２リミッタ２９ａが設けられており，第２リミッタ２９ａはロードビーム２８に形成された孔３１を通じて延長している。

そのような構成を有する従来のサスペンション組立体に垂直方向の衝撃が加わると，第１リミッタ３７がランプ２４の突出部２７に接触し，第２リミッタ２９ａがロードビーム２８に係合する。これにより，フレクシャー２９の上下揺動が制限されるため，対向するスライダー３０間の衝突を防止できる。

ところが，上述した従来のサスペンション組立体においては，第１リミッタ３７がスライダー３０に非常に近く位置しているため，サスペンション組立体に比較的強い衝撃が加えられると，第１リミッタ３７が突出部２７に強く衝突してしまう。そして，この衝撃がスライダー３０に直接的に伝達され，スライダー３０がフレクシャー２９から分離してしまうという問題点が発生することがある。

一方，ディスクドライブには，アクチュエータの時計回り方向および逆時計回り方向の回転を制限するためのクラッシュストップが設けられている。ディスクドライブの作動時にアクチュエータに対して外部から水平方向の強い衝撃が加えられるか，またはディスクドライブの信頼性テスト時にアクチュエータがクラッシュストップと衝突して，アクチュエータに対して水平方向の衝撃が加えられると，フレクシャー２９は水平方向に揺動，または歪みを生じる。これにより，スライダー３０がディスク２１の表面に衝突し，ヘッドおよびディスク２１が損傷してしまう。また，フレクシャー２９の塑性変形が誘発されて，ヘッドの性能が低下することがある。

ところが，上述した従来のサスペンション組立体において，第１リミッタ３７と第２リミッタ２９ａとは垂直方向の衝撃のみに対して対応できるものであり，水平方向の衝撃とこれによるフレクシャー２９の歪み変形とに対しては効果的に対応できないという問題点があった。

また，図２には，従来のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体についての他の例として，特許文献２に開示されたサスペンション組立体が示されている。

図２を参照すれば，ロードビーム５１の先端部の両側にはフレクシャー５２の上下揺動を制限するリミッタ７０が設けられている。ところが，このようなサスペンション組立体のリミッタ７０も，フレクシャー５２の水平方向の揺動は制限できないという問題点があった。

一方，特許文献３には，ロードビームに複数のスロットを形成し，そのスロットにフレクシャーからベンディング形成されたタブを挿入した構造のサスペンション組立体が開示されている。しかし，このような構造では，タブによってフレクシャーのスライダー付着面積が狭くなるため，外部からの衝撃によってスライダーがフレクシャーから容易に分離される可能性が高い。また，タブをスロットに挿入した後にベンディングさせねばならないため，その組立てが難しいという短所があった。

米国特許第６０６７２０９号明細書 米国特許第６３８８８４３号明細書 米国特許第６４４５５４６号明細書

本発明は，このような問題に鑑みてなされたもので，その目的は，アクチュエータに加えられる垂直および水平方向の衝撃によるフレクシャーの変形とヘッドの損傷とを防止可能な，新規かつ改良されたフレクシャーリミッタを有するサスペンション組立体と，これを用いたディスクドライブ用アクチュエータとを提供することにある。

上記課題を解決するために，本発明のある観点によれば，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの表面側に付勢するように支持するディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体は，ロードビームと，フレクシャーと，フレクシャーリミッタとを含んでなることを特徴とする。ロードビームは，アクチュエータのスイングアームの端部と結合され，その両側端部に沿ってベンディング形成された側壁を有する。また，フレクシャーは，スライダーを支持するものであって，その後端部はロードビームのディスクの対向面に固定され，その先端部はロードビームの先端部側へ延びている。そして，フレクシャーリミッタは，ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面するようにフレクシャーの先端部からロードビーム側にベンディング形成されて，フレクシャーの垂直および水平方向の揺動範囲を制限するものである。

ここで，フレクシャーリミッタは，フレクシャーの先端部の略両側端にそれぞれ形成されることが望ましい。

また，フレクシャーリミッタは，フレクシャーの先端部から垂直方向にベンディングされた（曲げられた）垂直部と，垂直部の端部から水平方向にベンディングされて（曲げられて）ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面する水平部とを有する。このとき，フレクシャーリミッタの水平部とロードビームとの間には，垂直方向に第１間隔が形成され，フレクシャーリミッタの水平部と側壁との間には，水平方向に第２間隔が形成される。この第１間隔および第２間隔は，スライダーの円滑なローリングとピッチングとを確保できる最小の距離と，フレクシャーの変形と隣接したスライダーの相互衝突とを防止できる最大の距離との範囲内において決定される。

さらに，ロードビームには，フレクシャーに所定の弾性力を提供するために，例えば，ディンプルをフレクシャー側に突設することもできる。また，ロードビームは，フレクシャーの一側端部の上方への動きを制限し，フレクシャーリミッタは，フレクシャーの他側端部の下方への動きを制限する役割を果たしている。

フレクシャーリミッタは，例えば２つ設置することができ，このとき，フレクシャーの歪み角度の大きさが，スライダーの円滑なローリングを確保できる角度より大きく，フレクシャーの変形が発生する角度より小さくするため，フレクシャーの幅方向に離れていることが望ましい。さらに，フレクシャーに水平方向の衝撃による歪みが発生した場合，フレクシャーの歪み角度の大きさが所定の角度以下に制限されるように，２つのフレクシャーリミッタは，フレクシャーの幅方向に十分離れていることが望ましい。

上記課題を解決するために，本発明の別の観点によれば，ディスクドライブのベース部材に回転自在に設置されたスイングアームと，データの再生および記録のための読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの表面側に付勢するように支持するサスペンション組立体と，スイングアームを回転させてヘッドをディスク上の所定の位置に移動させるためのＶＣＭと，を有するディスクドライブ用アクチュエータにおいて，サスペンション組立体は，アクチュエータのスイングアームの端部と結合され，その両側端部に沿ってベンディング形成された側壁を有するロードビームと，スライダーを支持するものであって，その後端部はロードビームのディスクの対向面に固定され，その先端部はロードビームの先端部側へ延長したフレクシャーと，ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面するようにフレクシャーの先端部からロードビーム側にベンディング形成されて，フレクシャーの垂直および水平方向の揺動範囲を制限するフレクシャーリミッタと，を備えるディスクドライブ用アクチュエータが提供される。

ここで，ロードビーム，フレクシャー，およびフレクシャーリミッタは，上記記載と同様の特徴と有することもできる。

以上説明したように，本発明によれば，サスペンション組立体のフレクシャーの先端部に設けられたフレクシャーリミッタは，アクチュエータに加えられる衝撃によるフレクシャーの垂直方向および水平方向の揺動だけでなく，フレクシャーの歪みも一定の限度以下に制限できる。したがって，アクチュエータに加えられる衝撃によるフレクシャーの変形およびヘッドの損傷を防止するため，ディスクドライブの作動についての信頼性を向上することができる。

以下に添付図面を参照しながら，本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお，本明細書および図面において，実質的に同一の機能構成を有する構成要素については，同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

図３は，本実施形態に係るアクチュエータのサスペンション組立体が採用されたＨＤＤの構造を概略的に示した平面図である。

図３を参照すれば，ＨＤＤは，ベース部材１１０上に設置されたスピンドルモータ１１２と，スピンドルモータ１１２に固定して設置された１つまたはそれ以上のディスク１２０と，データの再生および記録のための読み取り／書き込みヘッド（図示せず）をディスク１２０上の所定の位置に移動させるためのアクチュエータ１３０と，を備える。

アクチュエータ１３０は，ベース部材１１０に設置されたピボット軸受１３１に回転自在に結合されたスイングアーム１３２と，スイングアーム１３２の一側端部に設置されて，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダー１４６をディスク１２０の表面側に付勢されるように支持するサスペンション組立体１４０と，スイングアーム１３２を回転させるためのＶＣＭと，を有する。

ＶＣＭは，スイングアーム１３２の他側端部と結合されるＶＣＭコイル１３７と，ＶＣＭコイル１３７に対面するように配置されたマグネット１３８と，を備える。このような構成を有するＶＣＭは，サーボ制御システムにより制御され，ＶＣＭコイル１３７に入力される電流とマグネット１３８により形成された磁場との相互作用によって，フレミングの左手の法則による方向にスイングアーム１３２を回転させる。

具体的に，ＨＤＤの電源が入り，ディスク１２０が矢印Ｄ方向に回転し始めると，ＶＣＭはスイングアーム１３２を逆時計回り方向（矢印Ａ方向）に回転させて，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダー１４６をディスク１２０の記録面上に移動させる。スライダー１４６は，回転するディスク１２０により発生する揚力によって，ディスク１２０の表面から所定の高さだけ浮上する。この状態で，スライダー１４６に搭載された読み取り／書き込みヘッドは，ディスク１２０の記録面に対してデータを再生または記録する。

一方，ＨＤＤの電源を切り，ディスク１２０の回転が停止すると，ＶＣＭは，読み取り／書き込みヘッドがディスク１２０の記録面にぶつからないようにスイングアーム１３２を時計回り方向（矢印Ｂ方向）に回転させる。そして，読み取り／書き込みヘッドをディスク１２０の記録面から逸脱した位置に移動させてパーキングさせる。そのため，ディスク１２０の外側には，ランプ１５０が設置され，サスペンション組立体１４０にはランプ１５０により支持されるエンドタブ１４４が設けられる。エンドタブ１４４は，ディスク１２０からランプ１５０に移動して，ランプ１５０により支持される。

上述したように，読み取り／書き込みヘッドがランプ１５０にパーキングされた状態で，ディスクドライブに加わる外部衝撃または振動が加わると，アクチュエータ１３０が任意に回転してしまうことがある。そうすると，読み取り／書き込みヘッドがランプ１５０を逸脱してしまい，ディスク１２０の記録面に移動してしまう。その際，読み取り／書き込みヘッドがディスク１２０の記録面に接触し，読み取り／書き込みヘッドとディスク１２０の記録面とが損傷することがある。したがって，ディスク１２０の回転が停止して読み取り／書き込みヘッドがランプ１５０にパーキングされた状態では，アクチュエータ１３０が任意に回転しないように一定の位置にロック（固定）する必要があり，そのためにアクチュエータラッチ１６０が設けられる。

そして，アクチュエータラッチ１６０は，ＶＣＭによるアクチュエータ１３０が時計回り方向に回転する際，エンドタブ１４４がランプ１５０を逸脱しないようにするクラッシュストップとしても機能する。一方，ディスクドライブには，ＶＣＭによるアクチュエータ１３０が逆時計回り方向に回転する際，サスペンション組立体１４０のスピンドルモータ１１２との衝突を防ぐために，アクチュエータ１３０の逆時計回り方向の回転を制限する別途のクラッシュストップ１６２が設けられる。

図４は，図３に示された実施形態に係るディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体を示した斜視図である。そして，図５は，図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体の側面図である。また，図６は，図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体の正面図である。さらに，図７は，図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体においてフレクシャーの歪みに対するリミッタの作用を説明するための図面である。

まず，図４〜図６を参照すれば，本実施形態に係るサスペンション組立体１４０は，アクチュエータ１３０に設けられて，読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダー１４６をディスク１２０の表面側に付勢されるように支持する役割をする。

サスペンション組立体１４０は，ロードビーム１４１と，フレクシャー１４５と，フレクシャー１４５の先端部（すなわち，図５の紙面上の水平方向においてランプ１５０側）の垂直および水平方向の揺動範囲を制限するフレクシャーリミッタ１４７と，を備える。

ロードビーム１４１は，アクチュエータ１３０のスイングアーム１３２の端部と結合される。このようなロードビーム１４１は，通常薄い厚さ，例えば，約０．０５ｍｍ程度の厚さを有するステンレス鋼板のような金属板をプレス加工して製造される。そして，ロードビーム１４１の剛性を高めるために，ロードビーム１４１の両側端部に沿って側壁１４２が形成される。側壁１４２は，ロードビーム１４１の両側端部を上方へベンディングすることで形成される。また，ロードビーム１４１には，読み取り／書き込みヘッドをランプ１５０にパーキングさせるためのエンドタブ１４４が設けられる。そのようなエンドタブ１４４は，ロードビーム１４１の先端部から所定の長さだけ延長して形成される。

フレクシャー１４５は，ヘッドが搭載されたスライダー１４６を支持するものであって，ロードビーム１４１の底面，すなわち，ディスク１２０に対向する面に付着される。フレクシャー１４５の後端部は，ロードビーム１４１のディスクの対向面に溶接などによって固定され，その先端部は，ロードビーム１４１の先端部方向に延長して，ある程度自由に可動できる。このようなフレクシャー１４５は，ロードビーム１４１と同様に，薄いステンレス鋼板で製造される。ただし，フレクシャー１４５は後述のように，フレクシャー１４５に付着されたスライダー１４６のローリングとピッチングとが自由に行われるように，ロードビーム１４１の厚さより薄い厚さ，例えば，約０．０２ｍｍ程度の厚さを有する。

ロードビーム１４１には，フレクシャー１４５側に突出したディンプル１４３が形成される。このディンプル１４３により，フレクシャー１４５に所定の弾性力が付与される。このような構造により，フレクシャー１４５は自由に可動することができ，これにより，フレクシャー１４５に付着されたスライダー１４６のローリングおよびピッチングが円滑に行われるようになる。

そして，本実施形態に係るサスペンション組立体１４０には，上述したように，フレクシャー１４５の先端部の垂直および水平方向の揺動範囲を制限するフレクシャーリミッタ１４７が設けられる。フレクシャーリミッタ１４７は，ロードビーム１４１のディスクとの対向面の反対面に対面するように，フレクシャー１４５の先端部からロードビーム１４１側にベンディング形成される。具体的には，フレクシャーリミッタ１４７は，フレクシャー１４５の先端部の略両側端（両側端部付近）にそれぞれ形成することができる。そして，フレクシャーリミッタ１４７は，フレクシャー１４５の先端部から垂直方向にベンディングされた垂直部１４７ａと，垂直部１４７ａの端部から水平方向にベンディングされた水平部１４７ｂとを有する。このようなフレクシャーリミッタ１４７において，水平部１４７ｂがロードビーム１４１のディスクとの対向面の反対面に対面する。

そして，フレクシャーリミッタ１４７の水平部１４７ｂとロードビーム１４１との間には，図５に示すように，垂直方向に所定の第１間隔Ｇ_１が形成される。さらに，水平部１４７ｂとロードビーム１４１の側壁１４２との間には，図６に示すように，水平方向に所定の第２間隔Ｇ_２が形成される。このとき，第１間隔Ｇ_１と第２間隔Ｇ_２とは，スライダー１４６の円滑なローリングおよびピッチングを確保できる最小の距離と，フレクシャー１４５の変形と隣接したスライダー１４６の相互衝突とを防止できる最大の距離の範囲内において決定される。

上述の構造のような本実施形態に係るサスペンション組立体１４０に垂直方向の衝撃が加わると，フレクシャー１４５の先端部は，フレクシャーリミッタ１４７と共に垂直方向に揺れる。このとき，フレクシャー１４５の上方向への動きはロードビーム１４１によって制限され，下方向への動きはフレクシャーリミッタ１４７の水平部１４７ｂがロードビーム１４１に係合することで制限される。したがって，非常に大きい外部衝撃が加えられても，フレクシャー１４５の垂直方向の揺動範囲はフレクシャーリミッタ１４７により制限される。このため，フレクシャー１４５の激しい揺動により対向するスライダー１４６が衝突し合って，スライダー１４６に搭載された読み取り／書き込みヘッドが損傷するという従来の問題点を解消することができる。そして，本実施形態に係るサスペンション組立体１４０においては，フレクシャーリミッタ１４７がフレクシャー１４５の先端部に形成されるため，フレクシャーリミッタ１４７とスライダー１４６との間の距離は比較的遠い。したがって，フレクシャーリミッタ１４７からスライダー１４６につながる衝撃伝達経路が従来に比べて長くなり，外部からの衝撃によってスライダー１４６がフレクシャー１４５から分離するという問題を抑制できる。

そして，ディスクドライブの作動時に，外部から水平方向の衝撃がアクチュエータ１３０に加えられたり，またはディスクドライブの信頼性テスト時に，アクチュエータ１３０がクラッシュストップ１６２と衝突することによりアクチュエータ１３０に水平方向の衝撃が加えられる場合には，フレクシャー１４５の先端部は，フレクシャーリミッタ１４７と共に水平方向に揺れる。このとき，フレクシャー１４５の左右方向への動きは，フレクシャーリミッタ１４７の水平部１４７ｂがロードビーム１４１の側壁１４２に係合することで制限される。

また，上述したように，アクチュエータ１３０に水平方向の衝撃が加えられる場合には，フレクシャー１４５に歪みが発生することがある。特に，水平方向の衝撃が非常に強く，フレクシャー１４５の歪み量がフレクシャー１４５の弾性の限度を超える場合には，フレクシャー１４５に塑性変形が発生する。このような場合には，スライダー１４６に搭載された読み取り／書き込みヘッドの読み取り／書き込み性能が低下する。

このような問題点を防止するため，本実施形態に係るサスペンション組立体１４０においては，上述したように，２つのフレクシャーリミッタ１４７が，フレクシャー１４５の先端部の略両側端に形成される。このように，２つのフレクシャーリミッタ１４７がフレクシャー１４５の幅方向に遠く離れていれば，図７に示されたように，水平方向の衝撃によりフレクシャー１４５に歪みが発生しても，その歪み角度θが所定の角度（許容角度）以下に制限される。このため，フレクシャー１４５の塑性変形を防止できるようになる。すなわち，フレクシャー１４５の一側端部の上方への動きはロードビーム１４１により制限され，その他側端部の下方への動きはフレクシャーリミッタ１４７により制限される。このとき，フレクシャー１４５の歪み角度θの大きさは，スライダー１４６の円滑なローリングを確保できる角度よりは大きく，フレクシャー１４５の塑性変形が発生する角度よりは小さい角度に決定される。

以上，添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが，本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば，特許請求の範囲に記載された範疇内において，各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり，それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

本発明は，ディスクドライブに適用でき，特に，アクチュエータに加えられる垂直および水平方向の衝撃によるフレクシャーの変形とヘッドの損傷とを防止できるフレクシャーリミッタを有するサスペンション組立体と，それを採用したディスクドライブ用アクチュエータとに適用できる。

従来のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体の一例を示した側面図である。 従来のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体について他の例を示した側面図である。 本実施形態に係るアクチュエータのサスペンション組立体を採用したＨＤＤの構造を概略的に示した平面図である。 図３に示された本実施形態に係るディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体を示した斜視図である。 図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体の側面図である。 図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体の正面図である。 図４に示された本実施形態に係るサスペンション組立体において，フレクシャーの歪みについてのリミッタの作用を説明するための図面である。

符号の説明

１１０ ベース部材
１１２ スピンドルモータ
１２０ ディスク
１３０ アクチュエータ
１３１ ピボット軸受
１３２ スイングアーム
１３７ ＶＣＭコイル
１３８ マグネット
１４０ サスペンション組立体
１４１ ロードビーム
１４２ 側面
１４３ ディンプル
１４４ エンドタブ
１４５ フレクシャー
１４６ スライダー
１４７ フレクシャーリミッタ
１５０ ランプ
１６０ アクチュエータラッチ
１６２ クラッシュストップ

Claims (20)

1. 読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの表面側に付勢するように支持するディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体において：
   前記アクチュエータのスイングアームの端部と結合され，その両側端部に沿ってベンディング形成された側壁を有するロードビームと；
   前記スライダーを支持するものであって，その後端部は前記ロードビームのディスクの対向面に固定され，その先端部は前記ロードビームの先端部側へ延長したフレクシャーと；
   前記ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面するように，前記フレクシャーの先端部から前記ロードビーム側にベンディング形成されて，前記フレクシャーの垂直および水平方向の揺動範囲を制限するフレクシャーリミッタと；
   を備えることを特徴とする，ディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
2. 前記フレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの先端部の略両側端にそれぞれ形成されることを特徴とする，請求項１に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
3. 前記フレクシャーリミッタは，
   前記フレクシャーの先端部から垂直方向にベンディングされた垂直部と，
   前記垂直部の端部から水平方向にベンディングされて，前記ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面する水平部と，
   を有することを特徴とする，請求項１に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
4. 前記フレクシャーリミッタの水平部と前記ロードビームとの間には，垂直方向に第１間隔が形成され，
   前記フレクシャーリミッタの水平部と前記側壁との間には，水平方向に第２間隔が形成されることを特徴とする，請求項３に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
5. 前記第１間隔と前記第２間隔とは，前記スライダーの円滑なローリングとピッチングとを確保できる最小の距離と，前記フレクシャーの変形と隣接したスライダーの相互衝突とを防止できる最大の距離との範囲内において決定されることを特徴とする，請求項４に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
6. 前記ロードビームには，前記フレクシャーに所定の弾性力を提供するためのディンプルが，前記フレクシャー側に突設されることを特徴とする，請求項１に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
7. 前記フレクシャーリミッタを２つ備え，２つのフレクシャーリミッタはそれぞれ，前記フレクシャーの先端部の略両側端に形成されることを特徴とする，請求項１に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
8. 前記ロードビームは，前記フレクシャーの一側端部の上方への動きを制限し，前記フレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの他側端部の下方への動きを制限することを特徴とする，請求項７に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
9. 前記２つのフレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの歪み角度の大きさが前記スライダーの円滑なローリングを確保できる角度より大きく，前記フレクシャーの変形が発生する角度より小さくするために，前記フレクシャーの幅方向に離れていることを特徴とする，請求項７に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
10. 前記フレクシャーに水平方向の衝撃による歪みが発生した場合，前記フレクシャーの歪み角度の大きさが所定の角度以下に制限されるように，前記２つのフレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの幅方向に十分に離れていることを特徴とする，請求項７に記載のディスクドライブ用アクチュエータのサスペンション組立体。
11. ディスクドライブのベース部材に回転自在に設置されたスイングアームと，データの再生および記録のための読み取り／書き込みヘッドが搭載されたスライダーをディスクの表面側に付勢されるように支持するサスペンション組立体と，前記スイングアームを回転させて前記読み取り／書き込みヘッドをディスク上の所定位置に移動させるためのボイスコイルモータと，を有するディスクドライブ用アクチュエータにおいて：
    前記サスペンション組立体は，
    前記アクチュエータのスイングアームの端部と結合され，その両側端部に沿ってベンディング形成された側壁を有するロードビームと；
    前記スライダーを支持するものであって，その後端部は前記ロードビームのディスクの対向面に固定され，その先端部は前記ロードビームの先端部側へ延長したフレクシャーと；
    前記ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面するように，前記フレクシャーの先端部から前記ロードビーム側にベンディング形成されて，前記フレクシャーの垂直および水平方向の揺動範囲を制限するフレクシャーリミッタと，
    を備えることを特徴とする，ディスクドライブ用アクチュエータ。
12. 前記フレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの先端部の略両側端にそれぞれ形成されることを特徴とする，請求項１１に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
13. 前記フレクシャーリミッタは，
    前記フレクシャーの先端部から垂直方向にベンディングされた垂直部と，
    前記垂直部の端部から水平方向にベンディングされて前記ロードビームのディスクとの対向面の反対面に対面する水平部と，
    を有することを特徴とする，請求項１１に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
14. 前記フレクシャーリミッタの水平部と前記ロードビームとの間には，垂直方向に第１間隔が形成され，
    前記フレクシャーリミッタの水平部と前記側壁との間には，水平方向に第２間隔が形成されることを特徴とする，請求項１３に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
15. 前記第１間隔と前記第２間隔とは，前記スライダーの円滑なローリングとピッチングとを確保できる最小の距離と，前記フレクシャーの変形と隣接したスライダーの相互衝突とを防止できる最大の距離との範囲内において決定されることを特徴とする，請求項１４に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
16. 前記ロードビームには，前記フレクシャーに所定の弾性力を提供するためのディンプルが，前記フレクシャー側に突設されることを特徴とする，請求項１１に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
17. 前記フレクシャーリミッタを２つ備え，２つのフレクシャーリミッタはそれぞれ，前記フレクシャーの先端部の略両側端に形成されることを特徴とする，請求項１１に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
18. 前記２つのフレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの歪み角度の大きさが前記スライダーの円滑なローリングを確保できる角度より大きく，前記フレクシャーの変形が発生する角度より小さくするために，前記フレクシャーの幅方向に離れていることを特徴とする，請求項１７に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
19. 前記フレクシャーに水平方向の衝撃による歪みが発生した場合，前記フレクシャーの歪み角度の大きさが所定の角度以下に制限されるように，前記２つのフレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの幅方向に十分に離れていることを特徴とする，請求項１７に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。
20. 前記ロードビームは，前記フレクシャーの一側端部の上方への動きを制限し，前記フレクシャーリミッタは，前記フレクシャーの他側端部の下方への動きを制限することを特徴とする，請求項１７に記載のディスクドライブ用アクチュエータ。

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