JP2005208559A - 感光性シート、感光性積層体、画像パターン形成方法、および配線パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体、第一感光層、そして第二感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含む感光性シートにおいて、第二感光層の光感度が第一感光層の光感度よりも高くなるように感度を調節する。感光性積層体は、基体上に、上記第二感光層、上記第一感光層の順序で積層する。
【選択図】 図1
Description
スルーホールを有するプリント配線板は、例えば、次の工程で製造する。
(2)スルーホール内側壁部に金属めっき層を形成する。
(3)基板表面に感光性シートの感光層を重ね合わせて密着させる。
(4)配線パターン形成領域とスルーホール開口部を含む領域のそれぞれに、光を所定のパターン状に照射して感光層を硬化させる。
(5)感光性シートの透明支持体を剥がし取る。
(6)配線パターン形成領域上の硬化領域およびスルーホール開口部領域上の硬化領域(テント膜と呼ばれている)以外の未硬化領域を現像液に溶解して除去する。
(7)露出した金属めっき層をエッチング処理する。
(8)硬化領域を除去することにより、基板表面に配線パターンを形成する。
多層構成のプリント配線板においては、スルーホールに代えて(または加えて)ビアホールと呼ばれる層間接続用のホールが設けられる場合がある。ビアホールについても、配線パターン形成時には、テント膜によりビアホールの金属めっき層を保護することが必要である。
感光層の構成成分の改良としては、カルボン酸基を有するバインダー成分、特定のビニルウレタン化合物と特定のアクリレート化合物とを含むモノマー成分、及び光重合開始剤からなる感光層を有する感光性シートが提案(例えば、特許文献1参照)されている。
また、印刷版の技術分野では、基材上に、光重合速度が互いに異なる少なくとも二層の光重合性層(厚みは25μm〜2.5mm)を有し、基材に近い側の重合速度が速い印刷レリーフ製造用の感光板が開示(例えば、特許文献5参照)されている。これにより、印刷面の基部が頂部よりも広くなるようなレリーフ像が形成された例が報告されている。
また本発明の課題は、感光性シートまたは感光性積層体を用いて、画像内に厚みが異なる所望のパターンを工業的に有利に形成することでもある。
さらに本発明の課題は、プリント配線板の製造に有効で、解像度が高く、破れにくいテント膜を形成することができる感光性シートを提供することである。
さらにまた本発明の課題は、感光性シートを用いて、スルーホールやビアホールのようなホールを有するプリント配線板を工業的に有利に製造することでもある。
(1)第一感光層の光感度に対する第二感光層の光感度の比(第二感光層の光感度/第一感光層の光感度)が2〜200の範囲にある。
0.005<A/B<0.5
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Bは第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である]。
1<C/A<10
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Cは第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量である]。
(5)第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い。
(6)第二感光層に含有されている重合性化合物の量が第一感光層に含有されている重合性化合物の量よりも多い。
(7)第一感光層が1〜100μmの範囲の厚みを有し、第二感光層が0.1〜15μmの範囲の厚みを有し、第一感光層の厚みが第二感光層の厚みよりも大きい。
(9)長尺体である。
(10)ロール状に巻かれている。
(11)第二感光層の側に、さらに保護フィルムを有し、第一感光層と支持体の接着力と第二感光層と保護フィルムの間の接着力とが、下記式を満足する:
Su>Pr
[式中、Suは第一感光層と支持体の接着力であり;そして、Prは第二感光層と保護フィルムの接着力である]。
(12)プリント配線板製造用である。
(1)第一感光層の光感度に対する第二感光層の光感度の比(第二感光層の光感度/第一感光層の光感度)が2〜200の範囲にある。
0.005<A/B<0.5
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Bは第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である]。
1<C/A<10
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Cは第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量である]。
(5)第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い。
(6)第二感光層に含有されている重合性化合物の量が第一感光層に含有されている重合性化合物の量よりも多い。
(7)第一感光層が1〜100μmの範囲の厚みを有し、第二感光層が0.1〜15μmの範囲の厚みを有し、第一感光層の厚みが第二感光層の厚みよりも大きい。
(9)第一感光層の側に、さらに支持体を有する。
(1)基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い感光性積層体を、第一感光層の側から光を所定の画像パターンに対応させて照射し、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化領域を除去する工程からなる、基板上に第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域と除去された領域とから構成される画像パターンを形成する方法にある。
(1)工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う。
(2)工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する。
(1)基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含む感光性積層体を、第一感光層の側から互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を所定の画像パターンに対応させて照射し、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を受けた領域の第二感光層を硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域、第二感光層が硬化された領域、そして第一感光層と第二感光層とが共に除去された領域から構成される画像パターンを形成する方法にある。
(1)工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う。
(2)工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する。
(3)第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い。
(1)プリント配線板形成用基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い感光性積層体を、第一感光層の側から光を所定の配線パターンに対応させて照射し、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、プリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域とプリント配線板形成用基板表面が露出している領域とから構成される配線パターンを形成する方法にある。
(1)工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う。
(2)工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する。
(1)ホールを有するプリント配線板形成用基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含む感光性積層体を、第一感光層の側から互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を照射し、ホールとその近傍の領域には、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を与えて第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして配線形成領域には、光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を与えて第二感光層を硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、ホールを有するプリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層が共に硬化された領域、第二感光層が硬化された領域、そしてプリント配線板形成用基板表面が露出している領域とから構成される配線パターンを形成する方法にある。
(1)工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う。
(2)工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する。
(3)第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い。
図1において、感光性シート10は、支持体11、第一感光層12、第二感光層14がこの順で積層されている。第一感光層12及び第二感光層14は、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなる。感光性樹脂組成物は、光の照射により硬化する。本発明は、第二感光層14が第一感光層12よりも相対的に光感度が高い点に主な特徴がある。ここで、光感度は、それぞれの感光層が硬化するのに必要な光エネルギー量の逆数である。光感度が高いと、少ない光エネルギー量で感光層が硬化する。第二感光層の光感度が第一感光層の光感度よりも高いとは、第二感光層14の硬化が、第一感光層12よりも少ない光の照射量で完了することを意味する。第二感光層14の硬化は、第一感光層12よりも少ない光の照射量で開始することが好ましい。
図2において、感光性シート10は、支持体11、第一感光層12、第二感光層14、保護フィルム15がこの順で積層されている。
第二感光層の厚みは、0.1〜15μmが好ましく、1〜12μmがさらに好ましく、3〜10μmが最も好ましい。
第一感光層は、第二感光層よりも厚いことが好ましい。
図1に示す感光性シート(あるいは図2に示す感光性シートから保護フィルムを剥離した感光性シート)を、基板上に転写して積層体を形成する。
積層体が透明支持体を有する状態で、基板とは反対の側から、感光層に光を照射できる。また、積層体から支持体を剥離して、基板とは反対の側から、感光層に光を照射できる。図3は、光の照射量と、現像処理により形成する硬化層の厚さとの関係を示すグラフ(感度曲線)である。図3の横軸は、光の照射量であり、縦軸は、光の照射により硬化させ、現像処理を行った後に得られた硬化層の厚さである。縦軸のDは第二感光層から形成される硬化層の厚さ、Eは第一感光層から形成される硬化層の厚さと第二感光層から形成される硬化層の厚さとを合計した厚さを表わす。
図3に示すように、第二感光層の硬化は、第一感光層よりも先に、少ない光エネルギー量で始まることが好ましい。第二感光層の全体が硬化した後、光エネルギー量を増加すると、第一感光層の硬化が始まることが好ましい。そして、さらに光エネルギー量を多くすると、第一感光層の全体が硬化する。
第二感光層の光感度が第一感光層の光感度よりも高いとは、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aが第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bよりも小さい(A<B)ことを意味する。そして、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは、第二感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Sよりも大きい(S<C)ことが好ましい。
第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aは、0.1〜20mJ/cm2の範囲が好ましく、0.2〜15mJ/cm2の範囲がさらに好ましく、0.4〜10mJ/cm2の範囲が最も好ましい。
第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cとの比(C/A)は、1〜10の範囲が好ましく、1.1〜9の範囲がさらに好ましく、1.3〜8の範囲が最も好ましい。
第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aと第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bとの比(A/B)は、0.005〜0.5の範囲であることが好ましく、0.01〜0.4の範囲であることがさらに好ましく、0.02〜0.35の範囲であることが最も好ましい。
図4は、感光層を三層有する感光性シートの模式断面図である。
図4に示す感光性シート50では、支持体51の上に、第一感光層52、第二感光層54、そして第三感光層55が順次積層されている。
図5は、感光層が三層と保護フィルムとを有する感光性シートの模式断面図である。
図5に示す感光性シート50では、支持体51の上に、第一感光層52、第二感光層54、第三感光層55、そして保護フィルム56が順次積層されている。
図4または図5に示す三層の感光層構成を有する感光性シートを用い、パターン形成に用いる光エネルギー量を必要な領域に応じて、第三感光層のみを硬化させる光エネルギー量X、第三の感光層と第二の感光層とを硬化させる光エネルギー量Y、第三の感光層、第二の感光層、及び第一の感光層の全てを硬化させる光エネルギー量Zと光照射量を変化させる。これにより、図6に示すように、基板57の上に、第三の感光層55のみが硬化した厚みを有する領域、第三の感光層55と第二の感光層54とが硬化した厚みを有する領域、第三の感光層55、第二の感光層54及び第一の感光層52の全てが硬化した厚みを有する領域という三段階の異なる厚みを有するパターンを一種類の感光性シートで形成することができる。
各感光層に用いるバインダーは、アルカリ水溶液に対して可溶または膨潤性を有することが好ましい。アルカリ水溶液に対して可溶または膨潤性を有するバインダーは、一般に酸基(例、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基)を有するポリマーである。カルボン酸基を有するポリマーが特に好ましい。酸基は、プロトンが解離していても、塩の状態になっていてもよい。
ポリマーの主鎖は、ビニル系ポリマー、ポリウレタン、ポリアミド(ポリアミック酸を含む)、エポキシ樹脂(変性エポキシ樹脂を含む)が好ましい。塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成の容易さ、膜物性の調整の容易さを考慮すると、カルボン酸基を有するビニル系ポリマーが好ましい。ビニル系ポリマーと他のポリマー(例、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチン)を併用してもよい。
共重合の適性、コストおよび溶解性の観点から、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
ビニルエステルの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエートを含む。
フマル酸ジエステルの例は、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルを含む。
イタコン酸ジエステルの例は、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルを含む。
ビニルエーテルの例は、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルを含む。
N−ビニルアミドの例は、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドを含む。
ビニル基を有するリン酸エステルの例は、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチル)エステルを含む。
CH2=CR−COO−CH2CH2−NCO
CH2=CR−CO−NCO
CH2=CR−p−Ph−C(CH3)2−NCO
式中、Rは水素原子またはメチルである。p−Phは1,4−フェニレンである。
CH2=CR−CO(−O−CH2CH2−)nOH
CH2=CR−CO(−O−CH2CH(CH3)−)nOH
CH2=CR−p−Ph−OH
CH2=CR−CO−NH−p−Ph−OH
CH2=CR−CO−O−CH2−CHOH−CH3
式中、Rは水素原子またはメチルである。p−Phは1,4−フェニレンである。nは1以上の整数である。
ビニル基を有しないアミンの例は、アルキルアミン(例、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン)、環状アルキルアミン(例、シクロペンチルアミン、シクロへキシルアミン)、アラルキルアミン(例、ベンジルアミン、フェネチルアミン)、アリールアミン(例、アニリン、トルイルアミン、キシリルアミン、ナフチルアミン)、N−メチル−N−ベンジルアミン、置換アルキルアミン(例、トリフルオロエチルアミン、ヘキサフルオロイソプロピルアミン、メトキシプロピルアミン)、置換アリールアミン(例、メトキシアニリン)を含む。
ラジカル重合開始剤の例は、アゾ化合物(例、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2,4’−ジメチルバレロニトリル)、過酸化物(例、ベンゾイルパーオキシド)、過硫酸塩(例、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)を含む。
ポリマーの質量平均分子量は、2000〜300000が好ましく、4000〜150000がさらに好ましい。
バインダーとして二種以上のポリマーを併用してもよい。二種以上のポリマーとは、重合成分が異なるポリマーの併用に加えて、異なる質量平均分子量のポリマー併用や、異なる分散度のポリマー併用も含む。
感光層中のバインダーの含有量は、いずれの感光層においても、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましく、30〜80質量%が最も好ましい。
感度調整のために、第二感光層に含有されているバインダーの含有率を、第一感光層に含有されているバインダーの含有率より低く(代わりに、重合性化合物の含有率を高く)することもできる。
重合性化合物は、低分子化合物(モノマー)に加えて、高分子化合物(オリゴマー、ポリマー)も含む。
重合性化合物の重合性官能基は、開環重合性基または付加重合性基が好ましく、付加重合性基がさらに好ましい。付加重合性基は、エチレン性不飽和基であることが特に好ましい。
重合性化合物は、複数の重合性官能基を有することが好ましい。
重合性化合物は、重合性ウレタン化合物、重合性芳香族化合物および重合性脂肪族化合物に分類できる。
重合性ウレタン化合物は、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平5−50737号、同7−7208号、特開2001−154346号、同2001−356476号の各公報に記載がある。
ウレタン結合は、一般に、イソシアナートとアルコールまたはフェノールとの反応により形成する。アルコールまたはフェノールが、重合性基を有することが好ましい。
重合性芳香族化合物は、単官能重合性芳香族化合物と多官能重合性芳香族化合物とに分類できる。
単官能芳香族重合性化合物よりも、多官能芳香族重合性化合物の方が好ましい。
多官能芳香族重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸と多価フェノールまたは多価アルコールとのエステル(エチレン性不飽和基を有するカルボン酸と多価フェノールとのエステル、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸と多価芳香族アルコールとのエステル、エチレン性不飽和基を有する芳香族カルボン酸と多価アルコールとのエステル)、エチレン性不飽和基を有するカルボン酸と多価アミンとのアミド(エチレン性不飽和基を有するカルボン酸と多価芳香族アミンとのアミド、エチレン性不飽和基を有する芳香族カルボン酸と多価アミンとのアミド)であることがさらに好ましい。
単官能脂肪族重合性化合物よりも、多官能脂肪族重合性化合物の方が好ましい。
多官能の脂肪族重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有する脂肪族カルボン酸(不飽和脂肪酸)と多価脂肪族アルコールとのエステル、エチレン性不飽和基を有する脂肪族カルボン酸(不飽和脂肪酸)と多価脂肪族アミンとのアミドであることがさらに好ましい。
多価脂肪族アルコールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコール、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパントリ(ヒドロキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ぺンタンジオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ジメチロールジシクロペンタン、トリシクロデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパン、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパン、ポリブチレングリコール、グリセリンを含む。
ポリ(2〜18)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの例は、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む。
他のエステルの例は、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートを含む。
(メタ)アクリル酸と多価脂肪族アルコールとのエステルは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖とプロピレングリコール鎖とを含むアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
多価脂肪族アルコールは、脂肪族ヘテロ環化合物のアルコールを含む。(メタ)アクリル酸と脂肪族ヘテロ環化合物のアルコールとのエステルの例は、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートを含む。
クロトン酸と多価脂肪族アルコールとのエステルの例は、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートを含む。
マレイン酸と多価脂肪族アルコールとのエステル)の例は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートを含む。
アリルアルコールのエステルの例は、ジアリルアジペート、ジアリルマロネート、トリアリルイソシアヌレートを含む。
ビニルアルコールのエステルの例は、ジビニルサクシネート、ジビニルアジペート、ジビニルブタン−1,4−ジスルホネートを含む。
二種類以上の重合性化合物を併用してもよい。二種類以上の重合性化合物を併用する場合、多官能重合性化合物の割合は、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が最も好ましい。
感度調整のために、第二感光層の重合性化合物含有率の方を高くすることもできる。
光重合開始剤は、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有することが好ましい。光重合開始剤は、300〜800nmの波長領域に50以上の分子吸光係数を有する成分を含むことが好ましい。波長領域は330〜500nmであることが好ましい。光重合開始剤は、光励起された増感剤と作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。重合性化合物にカチオン重合を開始させる開始剤を光重合開始剤として用いることもできる。
感度、保存性および密着性(感光層とプリント配線板形成用基板との間)の観点で、ハロゲン置換炭化水素基を有するトリアジン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、ケトン化合物が特に好ましい。
ハロゲン置換炭化水素基は、ハロゲン置換脂肪族基であることが好ましく、ハロゲン置換アルキル基であることがより好ましく、炭素原子数が1乃至6のハロゲン置換アルキル基であることがさらに好ましく、ハロゲン置換メチル基であることが最も好ましい。
ハロゲン置換炭化水素基のハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子または臭素原子がさらに好ましく、塩素原子が最も好ましい。
また、少なくとも二つのハロゲン置換炭化水素基を有するトリアジン化合物が好ましく、二つのハロゲン置換炭化水素基を有する1,3,5−トリアジン化合物がさらに好ましく、2位、4位および6位がいずれも置換され、少なくも二つの置換基がハロゲン置換炭化水素基である1,3,5−トリアジン化合物が最も好ましい。
ハロゲン置換炭化水素基については、ハロゲン置換炭化水素基を有するトリアジン化合物と同様である。
ハロゲン置換炭化水素基を有する1,3,4−オキサジアゾール化合物が好ましく、2位および5位がいずれも置換され、少なくも一つの置換基がハロゲン置換炭化水素基である1,3,4−オキサジアゾール化合物がさらに好ましい。
その他のハロゲン置換炭化水素基を有する1,3,4−オキサジアゾール化合物の例は、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールを含む。
化合物 R1 R2 R3
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(1) メトキシ アリル ジメチルアミノ
(2) メチルチオ アリル モルホリノ
(3) メチルチオ ベンジル モルホリノ
(4) メチルチオ ブチル モルホリノ
(5) モルホリノ アリル モルホリノ
(6) メトキシ ドデシル モルホリノ
(7) メチルチオ 2−(2−メトキシエトキシ)エチル モルホリノ
(8) メチルチオ 4−メトキシカルボニルベンジル モルホリノ
(9) メチルチオ メトキシカルボニルメチル モルホリノ
(10) メチルチオ エトキシカルボニルメチル モルホリノ
(11) メチルチオ ブトキシカルボニルメチル モルホリノ
(12) メチルチオ 2−エトキシカルボニルエチル モルホリノ
(13) メチルチオ 3−メトキシアリル モルホリノ
(14) メチルチオ ベンジルオキシカルボニルメチル モルホリノ
(17) メチルチオ ベンゾイル モルホリノ
(18) メチルチオ 4−トルエンスルホニル モルホリノ
(19) メチルチオ N−フェニルカルバモイル モルホリノ
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化合物 R1 R2
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(20) メチル ベンゾイル
(21) メチル アセチル
(22) メチル プロピオニル
(23) エチル アセチル
(24) フェニル アセチル
(25) フェニル ベンゾイル
(26) メチル 4−トルエンスルホニル
(27) フェニル エトキシカルボニル
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化合物 R1
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(29) プロピル
(30) オクチル
(31) カンファー
(32) p−トリル
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化合物 R1
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(33) プロピル
(34) p−トリル
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ヘキサアリールビイミダゾールは、2,2’−ビス置換−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが特に好ましい。上記2,2’−ビス置換における置換基の例は、2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、2−ニトロフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニルを含む。
その他のヘキサアリールビイミダゾールの例は、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾールを含む。
ポリハロゲン化合物の例は、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンを含む。
メタロセン類の例は、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェイト(1−)を含む。
各感光層の感度差を光重合開始剤の量で調整する場合には、第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合性開始剤の量よりも多くすればよい。第二感光層の光重合開始剤含有量は、第一感光層の光重合開始剤の含有量に対して1.5〜100倍の量とすることが好ましく、1.8倍〜50倍の量がさらに好ましく、2〜20倍の量が最も好ましい。
各感光層の露光における感度や感光波長を調整する目的で、増感剤を添加することができる。露光の活性エネルギー線として、可視光線、紫外光、あるいは可視光レーザを用いる場合、増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、他の物質(例、ラジカル発生剤、酸発生剤)と相互作用(例、エネルギー移動、電子移動)し、ラジカルや酸を発生することができる。
感光性シートの製造から使用までの間に重合性化合物が重合することを防止するため、重合禁止剤を感光層に添加してもよい。
重合禁止剤の例は、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、アリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、フェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とアルミニウムとのキレートを含む。
重合禁止剤は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。重合禁止剤の添加量は、感光層の重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がさらに好ましく、0.01〜1質量%が最も好ましい。
可塑剤は、感光層の物性(可撓性)を制御するために添加できる。
可塑剤の例は、フタル酸エステル(例、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート)、他の脂肪族二塩基酸エステル(例、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル)、グリコールエステル(例、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコールフタレート、トリエチレングリコールジカプレート)、グリコール酸エステル(例、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート)、リン酸エステル(例、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート)、アミド(例、4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−ブチルアセトアミド)、脂肪族一塩基酸エステル(例、グリセリントリアセテート、ラウリン酸ブチル)、脂肪族三塩基酸エステル(例、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル)、グリコール(例、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)を含む。
可塑剤は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。可塑剤の添加量は、感光層の全成分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がさらに好ましく、1〜30質量%が最も好ましい。
発色剤を、露光後の感光層に可視像を与えるために(焼き出し剤として)感光層に添加できる。
発色剤の例は、アミノトリアリールメタン化合物、アミノキサンチン化合物、アミノチオキサンテン化合物、アミノ−9,10−ジヒドロアクリジン化合物、アミノフェノキサジン化合物、アミノフェノチアジン化合物、アミノジヒドロフェナジン化合物、アミノフェニルメタン化合物、ジフェニルアミン化合物、アミノヒドロケイ皮酸エステル、ヒドラジン化合物、アミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン化合物、フェネチルアニリン化合物、アシル置換かつアミノ置換ロイコ色素、酸化しうる水素をもっていないが、発色化合物に酸化しうるロイコ化合物、ロイコインジゴイド色素、発色形に酸化しうる有機アミンを含む。トリアリールメタン化合物(例、ロイコクリスタルバイオレット)が特に好ましい。
アミノキサンチン化合物の例は、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フェニルキサンチン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(2−クロロフェニル)キサンチンを含む。
アミノ−9,10−ジヒドロアクリジン化合物の例は、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−メチルアクリジンを含む。
アミノフェノキサジン化合物の例は、3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジンを含む。
アミノフェノチアジン化合物の例は、3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアゾンを含む。
アミノジヒドロフェナジン化合物の例は、3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジンを含む。
アミノフェニルメタン化合物の例は、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタンを含む。
ジフェニルアミン化合物の例は、4−アミノ−4’−ジメチルアミノジフェニルアミンを含む。
ヒドラジン化合物の例は、1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジンを含む。
アミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン化合物の例は、1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノンを含む。
フェネチルアニリン化合物の例は、N,N−ジエチル−4−フェネチルアニリンを含む。
アシル置換かつアミノ置換ロイコ色素の例は、10−アセチル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンを含む。
酸化しうる水素をもっていないが、発色化合物に酸化しうるロイコ化合物の例は、トリス(4−ジエチルアミノ−2−トリル)エトキシカルボニルメンタンを含む。
発色形に酸化しうる有機アミンは、米国特許第3042515号、同第3042517号の各明細書に記載がある。
有機ハロゲン化合物の例は、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化アルコール、ハロゲン化ケトン、ハロゲン化エーテル、ハロゲン化エステル、ハロゲン化アミド、ハロゲン化スルホン、ハロゲン化ホスフェート、ハロゲン化複素環化合物を含む。同一炭素原子に二個以上のハロゲン原子が結合することが好ましく、三個以上のハロゲン原子が結合することがさらに好ましい。
ハロゲン化アルコールの例は、2,2,2−トリクロロエタノール、トリブロモエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,1,1−トリクロロ−2−プロパノール、ジ(ヨードヘキサメチレン)アミノイソプロパノール、トリブロモ−t−ブチルアルコール、2,2,3−トリクロロブタン−1,4−ジオールを含む。
ハロゲン化エーテルの例は、2−ブロモエチルメチルエーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、ジ(2−ブロモエチル)エーテル、1,2−ジクロロエチルエチルエーテルを含む。
ハロゲン化エステルの例は、酢酸ブロモエチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸トリクロロエチル、2,3−ジブロモプロピルアクリレートのホモポリマー及び共重合体、ジブロモプロピオン酸トリクロロエチル、α,β−ジクロロアクリル酸エチルを含む。
ハロゲン化スルホンの例は、トリブロモメチルフェニルスルホン、4−ニトロフェニルトリブロモメチルスルホン、4−クロロフェニルトリブロモメチルスルホンを含む。
ハロゲン化ホスフェートの例は、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートを含む。
ハロゲン化複素環化合物の例は、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニルトリアゾールを含む。
二種類以上の有機ハロゲン化合物を併用してもよい。
有機ハロゲン化合物は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。有機ハロゲン化合物の量は、感光層の全成分に対し0.001〜5質量が好ましく、0.005〜1質量%がさらに好ましい。
感光層に染料を添加することができる。染料は感光層を特定の波長の光から遮断して、取り扱い性を改善し、保存安定性を付与する機能を有する。
染料の例は、ブリリアントグリーン(例えばその硫酸塩)、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニル−イエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチロカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチル−レッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603(オリエント化学工業(株)製)、ローダミンB、ローダミン6G、ビクトリアピュアブルーBOHを含む。カチオン染料が好ましい。
染料は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。染料の添加量は、感光層の全成分に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましく、0.1〜2質量%が最も好ましい。
各層間の密着性、あるいは感光性シートと基板との密着性を向上させるために、各層に密着促進剤を添加することができる。
密着促進剤は、特開平5−11439号、同5−341532号、同6−43638号の各公報に記載がある。
密着促進剤は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。密着促進剤の添加量は、感光層の全成分に対して0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
感光性シートを製造する時に発生する面状ムラを改善させるために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤やノニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびフッ素含有界面活性剤を含む。フッ素原子を40質量%以上含み炭素原子数3〜20で非結合末端から数えて少なくとも3個の炭素原子に結合していた水素原子がフッ素置換されているフルオロ脂肪族基を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合させて得られるポリマーも、フッ素含有高分子界面活性剤として、好ましく用いられる。
界面活性剤は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。界面活性剤の添加量は、感光層塗布液の固形分に対して0.001〜10質量%が好ましい。
感光層は、必要に応じてその他の助剤(例、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤)を添加できる。
各成分は、第一感光層および第二感光層のいずれにも添加できる。
感光層に、有機硫黄化合物、過酸化物、レドックス化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、光還元性色素、あるいは有機ハロゲン化合物を添加することもできる。
有機硫黄化合物の例は、ジ−ブチルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、チオフェノール、エチルトリクロロメタンスルフェネートおよび2−メルカプトベンズイミダゾールを含む。
過酸化物の例は、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイルおよびメチルエチルケトンパーオキサイドを含む。
レドックス化合物は、過酸化物と還元剤の組み合わせからなり、組み合わせの例は、第一鉄イオンと過硫酸イオン、第二鉄イオンと過酸化物を含む。
アゾ化合物およびジアゾ化合物の例は、ジアゾニウム化合物(例、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4−アミノジフェニルアミン)を含む。
光還元性色素の例は、ローズベンガル、エリスロシン、エオシン、アクリフラビン、リポフラビン、チオニンを含む。
感光性シートの製造では、感光層の成分を、溶媒(水または有機溶媒)に溶解、乳化または分散させて、第一感光層形成用と第二感光層形成用の塗布液(感光性樹脂組成物溶液)を調製する。
二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液には、前述した界面活性剤を添加することができる。
乾燥温度は60〜110℃が好ましく、乾燥時間は30秒間〜15分間が好ましい。
感光層を三層以上とすることで、感光層の厚みの総和を10μm〜1mmの範囲にすることもできる。
支持体は、感光層を剥離可能であることが好ましい。支持体は、光の透過性が良好であることが好ましい。また、支持体の表面は、平滑性であることが好ましい。
支持体は、ポリマーフイルムからなることが好ましい。ポリマーの例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系ポリマー(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)、ポリ(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレンを含む。また、これらの共重合体(例、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)を用いてもよい。二種類以上のポリマーを併用してもよい。
ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
感光性シートは長尺体であることが好ましい。そのためには、長尺状の支持体を用いることが好ましい。長尺支持体の長さは、10〜20000mが好ましい。
保護フィルムの例としては、支持体に使用されるポリマーフイルムに加えて、紙あるいはポリマーフイルム(例、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)をラミネートした紙を用いることができる。ポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルムが好ましい。
保護フィルムの厚さは、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがさらに好ましく、10〜30μmが最も好ましい。
支持体/保護フィルムの組み合わせの例は、ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム/セロファンフィルム、ポリイミドフィルム/ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンテレフタレートフィルムを含む。
支持体および保護フィルムの少なくとも一方を表面処理することにより、前記のような接着力の関係を満たすことができる。
支持体の表面処理は感光層との接着力を高めるために施すことができる。表面処理の例は、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理を含む。下塗り層の塗設も、表面処理の一種として扱うこともできる。
感光性シートを重ねて支持体と保護フィルムとが接触する場合は、両者の静摩擦係数が重要である。支持体と保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がさらに好ましい。
ロール状の感光性シートをシート状にスリットしてもよい。
感光性シートを保管する際、端面保護の(エッジフュージョンを防止する)観点から、端面にはセパレーター(特に、防湿性または乾燥剤入りセパレーター)を設置することが好ましい。感光性シートの梱包でも、透湿性の低い材料を用いることが好ましい。
感光性シートに、他の任意の層(例、クッション層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層)を設けてもよい。
感光性シートを転写する基板は、公知のプリント配線板製造用の基板(例、銅張積層板)、ガラス板(例、ソーダガラス板)、合成樹脂性のフィルム、紙あるいは金属板が用いられる。基板の表面は、用途に応じて、平滑性の高い表面から凸凹のある表面まである。
具体的には、基板上に、前述した感光性シートを積層(任意に、支持体を剥離)すればよい。
従って、プリント配線板形成用基板が特に好ましい基板である。
感光性シートは、(1)基板上に、その第二感光層が基板側となる位置関係にて積層して積層体を得る工程、(2)積層体の第一感光層の側から所定の画像パターンの光照射を行い、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程、(3)積層体から支持体を除去する工程、そして、(4)積層体を現像して、積層体中の未硬化部分を除去する工程を含む、基板上に第一感光層と第二感光層とが共に硬化することにより形成された硬化樹脂が存在する領域と硬化樹脂が存在しない領域とから構成される画像パターンを形成する方法により、所望のパターンを形成することができる。
光照射は、レーザ光の走査で行うことが好ましい。レーザの波長は200〜1500nmが好ましく、300〜800nmがより好ましく、370〜650nmがさらに好ましく、400〜450nmが最も好ましい。
感光性シートは、プリント配線板の製造、特にスルーホールやビアホールのようなホールを有するプリント配線板の製造に好適に用いることができる。
ホールの近傍の領域とは、具体的には、ホールを被覆する硬化樹脂(テント膜)が基板に付着するために必要な領域(ランドとよばれる)を意味する。
現像液の例は、アルカリ水溶液、水系現像液および有機溶媒を含む。弱アルカリ水溶液が好ましい。弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂を含む。弱アルカリ水溶液のpHは、8〜12が好ましく、9〜11がさらに好ましい。具体的には0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液や炭酸カリウム水溶液を用いることができる。現像液の温度は、25〜40℃が好ましい。
現像液には界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン)や現像を促進させるため有機溶媒(例、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、アミド、ラクトン)を併用してもよい。現像液は、水またはアルカリ水溶液と有機溶媒を混合した水系現像液を使用してもよく、有機溶媒単独でもよい。
感光性シートは、上記のエッチングプロセスのみでなく、めっきプロセスに使用してもよい。めっき法の例は、銅めっき(例、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき)、はんだめっき(例、ハイスローはんだめっき)、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、ニッケルめっき(例、スルファミン酸ニッケルめっき)、金めっき(例、ハード金めっき、ソフト金めっき)を含む。
20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記の組成からなる第一感光層塗布液を塗布し、乾燥して、25μm厚の第一感光層を形成した。
第一感光層塗布液
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メチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:70℃) 15質量部
ドデカプロピレングリコールジアクリレート 6.5質量部
テトラエチレングリコールジメタクリレート 1.5質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.04質量部
ベンゾフェノン 1.0質量部
4−トルエンスルホンアミド 0.5質量部
マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部 1,2,4−トリアゾール 0.01質量部 ロイコクリスタルバイオレット 0.2質量部
トリブロモメチルフェニルスルホン 0.1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
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第二感光層塗布液
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メチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:70℃) 15質量部
ドデカプロピレングリコールジアクリレート 6.5質量部
テトラエチレングリコールジメタクリレート 1.5質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.4質量部
ベンゾフェノン 3.0質量部
4−トルエンスルホンアミド 0.5質量部
マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部
1,2,4−トリアゾール 0.01質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.2質量部
トリブロモメチルフェニルスルホン 0.1質量部
メチルエチルケトン 10質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 20質量部
────────────────────────────────────────
いずれの層も層厚ムラが±5%以内であった。こうして得た感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は25秒、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aは、4mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは40mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは14mJ/cm2(光エネルギー量Cと光エネルギー量Aとの比C/Aは3.5、光エネルギー量Aと光エネルギー量Bとの比A/Bは0.1)であった。また、第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度は10であった。
実施例1における第二感光性樹脂組成物溶液の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.4質量部、ベンゾフェノン3.0質量部をN−メチルアクリドン0.16質量部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール1.04質量部に変更する以外は実施例1と同様にして感光性シートを得た。
いずれの層も層厚ムラが±5%以内であった。こうして得た感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は25秒、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aは、2mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは40mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは14mJ/cm2(光エネルギー量Cと光エネルギー量Aとの比C/Aは7、光エネルギー量Aと光エネルギー量Bとの比A/Bは0.05)であった。また、第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度は20であった。
実施例1における第二感光層塗布液液のメチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体15質量部を13質量部に、ドデカプロピレングリコールジアクリレート6.5質量部を8.1質量部に、テトラエチレングリコールジメタクリレート1.5質量部を1.9質量部に変更する以外は実施例1と同様にして感光性シートを得た。
いずれの層も層厚ムラが±5%以内であった。こうして得た感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は25秒、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aは、2mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは40mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは14mJ/cm2(光エネルギー量Cと光エネルギー量Aとの比C/Aは7、光エネルギー量Aと光エネルギー量Bとの比A/Bは0.05)であった。また、第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度は20であった。
実施例3における第二感光層塗布液の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.4質量部、ベンゾフェノン3.0質量部をN−メチルアクリドン0.16質量部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール1.04質量部に変更し、第一感光層塗布液を下記に変更する以外は実施例1と同様にして感光性シートを得た。いずれの層も層厚ムラが±5%以内であった。こうして得た感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は25秒、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Aは、1mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは10mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは3mJ/cm2(光エネルギー量Cと光エネルギー量Aとの比C/Aは3、光エネルギー量Aと光エネルギー量Bとの比A/Bは0.1)であった。また、第一感光層の光感度を1とした場合、第二感光層の光感度は10であった。
第一感光層塗布液
────────────────────────────────────────
メチルメタクリレート/2−エチルへキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8質量平均分子量:90000、Tg:70℃) 24質量部
ヘキサメチレンジイソシアナートとオクタエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレートの1/2モル比付加物 12質量部
N−メチルアクリドン 0.2質量部
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール 0.8質量部
2−メルカプトベンズイミダゾール 0.2質量部
4−トルエンスルホンアミド 0.8質量部
マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.03質量部
1,2,4−トリアゾール 0.03質量部
ロイコクリスタルバイオレット 0.32質量部
トリブロモメチルフェニルスルホン 0.25質量部
メチルエチルケトン 55質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 8質量部
────────────────────────────────────────
実施例1における第一感光層の膜厚を30μmに変更し、第二感光層を塗布しない以外は実施例1と同様にして感光性シートを作成した。こうして得た感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は25秒、感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは40mJ/cm2であり、第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量Cは14mJ/cm2であった。
実施例1における第一感光層を塗布せず、層厚5μmの第二感光層のみからなる感光性シートを作成した。
得られた感光性シートの感度を後述の方法により測定したところ、最短現像時間は10秒以下、第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量Bは4mJ/cm2であった。
(1)最短現像時間の測定方法
表面を研磨、水洗、乾燥した銅張積層板(スルーホールなし)の表面に、感光性シートの保護フィルムを剥がしながら、感光性シートの第二感光層が基板に接するように感光性シートをラミネーター(MODEL8B−720−PH、大成ラミネーター(株)製)を用いて圧着して、銅張積層板、第二感光層、第一感光層、そしてポリエチレンテレフタレートフィルムがこの順で積層された積層体を作成する。圧着条件は圧着ロール温度105℃、圧着ロール圧力3kg/cm2、そして圧着速度1m/分とした。積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーする。炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とする。
最短現像時間の測定と同様にして基板上に感光性シートを積層する。感光性シートの感光層に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から405nmのレーザ光源を有する露光装置を用いて、0.1mJ/cm2から2.5倍間隔で100mJ/cm2まで光エネルギー量の異なる光を照射して、感光層を硬化させる。室温にて10分間静置した後、積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし取る。銅張積層板上の樹脂組成物層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて上記(1)で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の樹脂組成物を溶解除去して、残った硬化層の厚みを測定する。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得る。こうして得た感度曲線から硬化層の厚さが5μmとなった時の光エネルギー量(光エネルギー量A)、硬化層の厚さが30μmとなった時の光エネルギー量(光エネルギー量B)、及び硬化層の厚さが5μmを超えた時の光エネルギー量(光エネルギー量C)を読み取る。
上記(1)の最短現像時間の評価方法と同じ条件で、銅張積層板、第二感光層、第一感光層、そしてポリエチレンテレフタレートフィルムがこの順で積層された積層体を作成して、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置する。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、405nmのレーザ光源を有する露光装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅10μm〜50μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行う。この際の露光量は、各感光性シートの第二感光層が硬化する光エネルギー量である。室温にて10分間静置した後、積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし取る。銅張積層板上の樹脂組成物層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の樹脂組成物を溶解除去する。この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレのような異常のない最小のライン幅を測定し、これを解像度とする。解像度は数値が小さいほど良好である。
内壁に銅めっき層が形成された、直径3mmのスルーホールを有し、表面が研磨、水洗、乾燥された銅張積層板の上に、保護フィルムを剥離した感光性シートの第二感光層を重ね、ラミネートし、前述と同様にして銅張積層板、第二感光層、第一感光層、そしてポリエチレンテレフタレートフィルムがこの順で積層された積層体を作成して、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置する。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルムの上から、405nmのレーザ光源を有する露光装置を用いて、銅張積層板の配線パターン形成領域に、各感光性シートの第二感光層が硬化する光エネルギー量の光を所定のパターン状に照射し、一方、銅張積層板のスルーホールの開口部及びその周囲領域に、各感光性シートの第一感光層が硬化する光エネルギー量の光を照射して、感光層を露光した。露光後、積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし取り、次いで前述の評価法と同様に炭酸ナトリウム水溶液を感光層表面にスプレーして、第一感光層及び第二感光層の未硬化領域を溶解除去して、硬化層レリーフを得た。得られた硬化層パターンを顕微鏡で観察し、配線パターン形成領域上の硬化層、及びスルーホール開口部上の硬化層に剥がれやテント膜の破れ(テント性)の欠陥の有無を観察した。
────────────────────────────────────────
解像度 硬化層の剥がれ テント破れ スルーホール内の
銅めっきの異常
────────────────────────────────────────
実施例1 20μm 無し 無し 無し
実施例2 20μm 無し 無し 無し
実施例3 20μm 無し 無し 無し
実施例4 20μm 無し 無し 無し
────────────────────────────────────────
比較例1 40μm 無し 無し 無し
比較例2 20μm 無し 全てで破れ発生 有(銅は残存せず)
────────────────────────────────────────
11 支持体
12 第一感光層
14 第二感光層
15 保護フィルム
16 配線パターン形成用の硬化層
17 スルーホールの金属層保護用硬化層
18 剥離片
21 プリント配線板形成用基板
22 スルーホール
23 金属めっき層
24 配線パターン
31 加圧ローラ
50 感光性シート
51 支持体
52 第一感光層
54 第二感光層
55 第三感光層
56 保護フィルム
57 基板
Claims (29)
- 支持体、第一感光層、そして第二感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第二感光層の光感度が第一感光層の光感度よりも高い感光性シート。
- 第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量と第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量とが下記式を満足する請求項1に記載の感光性シート:
0.005<A/B<0.5
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Bは第一感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である]。 - 第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量と第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量とが下記式を満足する請求項1に記載の感光性シート:
1<C/A<10
[式中、Aは第二感光層の硬化反応を完了させるために必要な光エネルギー量である;そして、Cは第一感光層の硬化反応を開始させるために必要な光エネルギー量である]。 - 第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、さらに増感剤を含み、第二感光層に含まれている増感剤の量が第一感光層に含まれている増感剤の量よりも多い請求項1に記載の感光性シート。
- 第二感光層に含有されている光重合開始剤の量が第一感光層に含有されている光重合開始剤の量よりも多い請求項1に記載の感光性シート。
- 第二感光層に含有されている重合性化合物の量が第一感光層に含有されている重合性化合物の量よりも多い請求項1に記載の感光性シート。
- 第一感光層が1〜100μmの範囲の厚みを有し、第二感光層が0.1〜15μmの範囲の厚みを有し、第一感光層の厚みが第二感光層の厚みよりも大きい請求項1に記載の感光性シート。
- 支持体が、透明なポリマーフイルムからなる請求項1に記載の感光性シート。
- 長尺体である請求項1に記載の感光性シート。
- ロール状に巻かれている請求項9に記載の感光性シート。
- 第二感光層の側に、さらに保護フィルムを有し、第一感光層と支持体の接着力と第二感光層と保護フィルムの間の接着力とが、下記式を満足する請求項1に記載の感光性シート:
Su>Pr
[式中、Suは第一感光層と支持体の接着力であり;そして、Prは第二感光層と保護フィルムの接着力である]。 - プリント配線板製造用である請求項1に記載の感光性シート。
- 基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い感光性積層体。
- 基板がプリント配線板形成用基板である請求項13に記載の感光性積層体。
- 第一感光層の側に、さらに支持体を有する請求項13に記載の感光性積層体。
- (1)基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い感光性積層体を、第一感光層の側から光を所定の画像パターンに対応させて照射し、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化領域を除去する工程からなる、基板上に第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域と除去された領域とから構成される画像パターンを形成する方法。 - 工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う請求項16に記載の方法。
- 工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する請求項16に記載の方法。
- (1)基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含む感光性積層体を、第一感光層の側から互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を所定の画像パターンに対応させて照射し、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を受けた領域の第二感光層を硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域、第二感光層が硬化された領域、そして第一感光層と第二感光層とが共に除去された領域から構成される画像パターンを形成する方法。 - 工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う請求項19に記載の方法。
- 工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する請求項19に記載の方法。
- 第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い請求項19に記載の方法。
- (1)プリント配線板形成用基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含み、第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い感光性積層体を、第一感光層の側から光を所定の配線パターンに対応させて照射し、その光照射を受けた領域の第一感光層と第二感光層とを共に硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、プリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層とが共に硬化された領域とプリント配線板形成用基板表面が露出している領域とから構成される配線パターンを形成する方法。 - 工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う請求項23に記載の方法。
- 工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する請求項23に記載の方法。
- (1)ホールを有するプリント配線板形成用基板、第二感光層、そして第一感光層をこの順で有し、第一感光層および第二感光層が、それぞれ独立に、バインダー、重合性化合物および光重合開始剤を含む感光性積層体を、第一感光層の側から互いに相違する少なくとも二レベルの照射エネルギー量の光を照射し、ホールとその近傍の領域には、光照射エネルギー量が相対的に大きい光照射を与えて第一感光層と第二感光層とを共に硬化させ、そして配線形成領域には、光照射エネルギー量が相対的に小さい光照射を与えて第二感光層を硬化させる工程;そして、
(2)積層体を現像して、第一感光層と第二感光層の未硬化部分を除去する工程を含む、ホールを有するプリント配線板形成用基板上に、第一感光層と第二感光層が共に硬化された領域、第二感光層が硬化された領域、そしてプリント配線板形成用基板表面が露出している領域から構成される配線パターンを形成する方法。 - 工程(1)における光照射をレーザ光の走査により行う請求項26に記載の方法。
- 工程(1)における積層体が第一感光層の側にさらに透明支持体を有し、工程(1)と工程(2)との間で、積層体から透明支持体を除去する工程を実施する請求項26に記載の方法。
- 第一感光層の光感度が第二感光層の光感度よりも低い請求項26に記載の方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090811 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091208 |