JP2005208386A - 液晶装置、及び投射型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高コントラストの表示が可能な液晶装置を提供する。
【解決手段】 本発明の液晶装置は、一対の基板10,20間に液晶層を挟持してなる液晶装置であって、前記基板10の外面側に、一軸性の負の屈折率異方性を有する第1光学補償板70及び第2光学補償板80が配設されており、前記基板間に挟持された液晶層が、68°を超えて90°未満のツイスト角を有するツイステッドネマチック液晶からなることを特徴としている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液晶装置、及び投射型表示装置に関するものである。
液晶装置は、一対の基板により液晶層を挟持して構成されている。その一対の基板の内側には、液晶層に対して電界を印加する電極が形成されている。その電極の内側には、電界無印加時における液晶分子の配向状態を規制する配向膜が形成されている。そして、電圧無印加時と電圧印加時との液晶分子の配列変化に基づいて、液晶装置に画像表示が行われるようになっている。液晶装置は、視角が狭いという問題がある。これは、視角が大きくなるにつれて液晶層の位相差(リタデーション)が大きくなり、黒表示における光透過率が大きくなってコントラスト比が低下することが原因である。そこで、液晶層の位相差を補償する光学補償板が開発されている。
図11は、従来技術に係る液晶装置の分解斜視図および光学補償の説明図である。図11に示す第1光学補償板70および第2光学補償板80は、負の屈折率異方性を示すディスコティック液晶をハイブリッド配向させたものである(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。ここで、ハイブリッド配向とは、液晶分子の光軸の傾斜角度が光学補償板の厚さ方向に連続的に変化する配向状態である。第1光学補償板70は、液晶セル60を構成する一対の基板のうち光入射側の基板の外側に配置されている。また第2光学補償板80は、一対の基板のうち光出射側の基板の外側に配置されている。上記各光学補償板70,80は、その配向方向71,81が、対応する基板の配向方向67,68と概略一致するように配置されている。また、第1光学補償板70における液晶分子75aの光軸75bと第1光学補償板70の法線とのなす角度が大きい方の面(すなわち、液晶分子75aが垂直配向している方の面)70bを、液晶セル60に対向させた配置となっている。液晶セル60前面側の第2光学補償板80についても、第1光学補償板70と同様に配置されている。
特開平9−230335号公報 森裕行、「液晶ディスプレイ入門講座第11回:ディスコティック光学補償膜によるTFT−LCDの視野角拡大技術」、液晶、日本液晶学会、2002年1月25日、第6巻、第1号、p84−92
上記文献に記載の液晶装置によれば、図11(a)に示すように、第1光学補償板70及び第2光学補償板80によって液晶セル60に封入された液晶のリタデーションを補償し、特に斜視時の色付きや光漏れを防止して視野角を拡大することが可能である。しかし、種々の画像表示手段、光変調手段に用いられる液晶装置では、さらなる表示品質の向上が望まれている。特に、投射型表示装置の光変調手段に採用される液晶装置では、入射角が12°程度であり、その範囲内でのコントラスト比の向上が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、コントラスト比の向上を実現した液晶装置の提供を目的としている。また、表示品質に優れた投射型表示装置の提供を目的としている。
本発明は、上記課題を解決するために、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置であって、いずれかの前記基板の外面側に、負の一軸性の屈折率異方性を有する光学補償板が配設されており、前記液晶層が、68°を超えて90°未満のツイスト角を有するツイステッドネマチック液晶からなることを特徴とする液晶装置を提供する。
この構成によれば、液晶層で生じる位相差を前記複数の光学補償板によって効果的に補償することができるようになり、図11に示した従来構成の液晶装置に比して高いコントラスト比を得られるようになる。上記負の一軸性の屈折率異方性を有する光学補償板は、微視的に単一の光軸を有する屈折率特性を備えるとともに、係る光軸方向の屈折率が他の方向の屈折率より小さい光学特性を有するものであり、典型的には、ダイレクタ方向に正の一軸性を有するネマチック液晶の光学特性を表すラグビーボール型の屈折率楕円体に対し、円盤型の屈折率楕円体で表される光学特性を備えたものである。
特に本発明では、90°未満のツイスト角を有する液晶セルにおける位相差を複数の光学補償板によって補償する構成としたことでコントラスト比の向上を実現している。また本発明に係る液晶装置では、正面方向でのコントラスト比が高まるため、投射型表示装置の光変調手段として用いて好適な液晶表示装置を提供することができる。
尚、本発明者は上記液晶層のツイスト角の範囲が適切であることを実際の液晶装置にて検証しており、その詳細は後段の(発明を実施するための最良の形態)に記載している。前記ツイスト角が68°以下の場合には、前記従来構成の液晶装置と同等以下のコントラスト比となり好ましくない。
本発明の液晶装置では、前記液晶のツイスト角が、70°以上86°以下であることが好ましい。前記ツイスト角を係る範囲とするならば、従来に比してコントラスト比が顕著に改善された液晶装置を提供することができる。さらに好ましくは、前記液晶のツイスト角は、72.5°以上80.5°以下である。このような範囲とするならば、極めて高いコントラスト比を得ることができる。
本発明の液晶装置では、前記光学補償板が、厚さ方向で光軸の傾斜角度に分布を有する液晶性高分子からなる光学異方性層を備えていることが好ましい。このような構成の光学補償板を用いるならば、電圧印加時の液晶層における液晶分子の配向状態と光学的にほぼ等価な光学異方性を有する光学補償板とすることができ、液晶層にて生じる位相差を効果的に補償することができる。
本発明の液晶装置では、前記光学異方性層が、ハイブリッド配向されたディスコティック液晶からなることが好ましい。このような構成とすることで、低コストに高性能の光学補償板を得ることができ、もって液晶装置の低コスト化に寄与する。
次に、本発明の投射型表示装置は、先に記載の本発明の液晶装置を備えたことを特徴としている。この構成によれば、特に15°程度以下の視角範囲で高いコントラスト比が得られる本発明の液晶装置を光変調手段として備えたことで、投射画像のコントラスト比が高く高画質の表示が可能な投射型表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。なお本明細書では、液晶装置の各構成部材における液晶層側を内側と呼び、その反対側を外側と呼ぶことにする。
(第1実施形態)
最初に、本発明の第1の実施形態に係る液晶装置につき、図1ないし図5を用いて説明する。第1実施形態に係る液晶装置は、一対の基板により液晶層が挟持された液晶セルと、その液晶セルの外側にそれぞれ配置された光学補償板と、その光学補償板の外側にそれぞれ配置された偏光板とを有するものである。なお本実施形態では、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTという)素子を用いたアクティブマトリクス方式の透過型液晶セルを例にして説明する。
<回路構成>
図1は、液晶セルの回路構成図である。透過型液晶セルの画像表示領域を構成すべくマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9が形成されている。また、その画素電極9の側方には、当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースには、データ線6aが電気的に接続されている。各データ線6aには画像信号S1、S2、…、Snが供給される。尚、画像信号S1、S2、…、Snは、各データ線6aに対してこの順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給してもよい。
TFT素子30のゲートに走査線3aが電気的に接続されている。走査線3aには、所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。走査信号G1、G2、…、Gmは、各走査線3aに対してこの順に線順次で印加する。また、TFT素子30のドレインには、画素電極9が電気的に接続されている。そして、走査線3aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオン状態にすると、データ線6aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、各画素の液晶に所定のタイミングで書き込まれる。
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極9と容量線3bとの間に蓄積容量29が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光が変調されて階調表示が可能となる。
<平面構造>
図2は、液晶セルに設けられた複数のドットの平面構成図である。本実施形態の液晶セルでは、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。また、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9の形成された領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが電気的に接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が電気的に接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。なお走査線3aは、チャネル領域1a’との対向部分においてゲート電極として機能する。
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aとの交点からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とによって構成されている。また、図2中に右上がりの斜線で示した領域には、第1遮光膜11aが形成されている。そして、容量線3bの突出部と第1遮光膜11aとがコンタクトホール13を介して電気的に接続され、後述する蓄積容量が形成されている。
<断面構造>
図3は、液晶セルの断面構造の説明図であり、図2のA−A’線における側面断面図である。図3に示すように、本実施形態の液晶セル60は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置された対向基板20と、これらの間に挟持された液晶層50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体10A、およびその内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、配向膜16などを主体として構成されている。一方の対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、およびその内側に形成された共通電極21や配向膜22などを主体として構成されている。
TFTアレイ基板10の表面には、後述する第1遮光膜11aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。なお、このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成されて、その一部がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2および走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、データ線6aが高濃度ソース領域1dと電気的に接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4およびデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、画素電極9が高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されている。さらに、画素電極9を覆うように、ポリイミド等からなる配向膜16が形成されている。配向膜16の表面にはラビング等が施され、電界無印加時における液晶分子の配向方向を規制する。
尚、本実施形態では、半導体層1aを延設して平面略L形の第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線3bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、上述した蓄積容量29が構成されている。
TFT素子30の形成領域に対応するTFTアレイ基板10の表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、液晶セルに入射した光が、半導体層1aのチャネル領域1a'、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを防止するものである。第1遮光膜11aは、第1層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホール13を介して、前段あるいは後段の容量線3bと電気的に接続されている。これにより、第1遮光膜11aは第3蓄積容量電極として機能し、第1層間絶縁膜12を誘電体膜として、第1蓄積容量電極1fとの間に新たな蓄積容量が形成されている。
一方、データ線6a、走査線3aおよびTFT素子30の形成領域に対応する対向基板20の表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、液晶セルに入射した光が、半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを防止するものである。また、対向基板20および第2遮光膜23の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には、ポリイミド等からなる配向膜22が形成されている。配向膜22の表面にはラビング等が施され、電界無印加時における液晶分子の配向方向を規制するようになっている。
そして、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が挟持されている。この液晶層50は、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶によって構成されている。すなわち、液晶層50を構成する液晶分子は、電界無印加時に水平配向し、電界印加時に垂直配向するようになっている。尚、TFTアレイ基板10における配向膜16の配向方向と、対向基板20における配向膜22の配向方向とは、図4(b)中の矢印で示すように、約75°捩れた状態で配置されている。これにより、本実施形態の液晶セル60は、ツイステッドネマチックモードで動作するようになっている。
<偏光板>
図4(b)は、第1実施形態の液晶装置を分解して示す説明図である。本実施形態の液晶装置100は、上述した液晶セル60と、液晶セル60の背面側(図示下面側)に配置された光学補償板70,80と、液晶セル60及び光学補償板70,80を挟んで外側に配置された偏光板62,64とによって構成されている。
液晶セル60の光入射側には偏光板62が配置され、光出射側には偏光板64が配置されている。偏光板は、その透過軸方向の直線偏光のみを透過する機能を有する。そして、光出射側の偏光板64は、その透過軸が、液晶セル60の光出射側の基板における配向膜の配向方向68とほぼ直交するように配置されている。また、光入射側の偏光板62は、その透過軸が、光出射側の偏光板64の透過軸と直交するように配置されている。尚、偏光板62の透過軸は、液晶セル60の光入射側の基板における配向膜の配向方向67と、約75°ずれた状態で配置されている。
そして、液晶装置100に対して偏光板62の下方から光が入射すると、偏光板62の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板62を透過する。電界無印加時の液晶セル60では、液晶分子がらせん状に水平配向している。そのため、液晶セル60に入射した直線偏光は、所定の旋光作用を受けつつ液晶層50を透過し、液晶セル60から出射される。この出射された直線偏光のうち偏光板64の透過軸と平行な偏光成分が偏光板64を透過する。従って、電界無印加時の液晶セル60では白表示が行われる(ノーマリーホワイトモード)。一方、電界印加時の液晶セル60では、図4(a)に示すように液晶分子が略垂直配向している。そのため、液晶セル60に入射した直線偏光は、入射時の偏光状態をほぼ維持したまま液晶セル60から出力される。そして、偏光板64の透過軸と直交する方向の直線偏光であるこの光は、偏光板64により吸収される。従って、電界印加時の液晶セル60では黒表示が行われる。
<光学補償板>
本実施形態では、液晶セル60における光入射側の基板の外側に、第1光学補償板70と第2光学補償板80とが液晶セル側から順に配置されている。
図5は、第1光学補償板70の概略側断面図である。第1光学補償板70は、三酢酸セルロース(TAC)等の支持体72上に配向膜(不図示)を設け、その配向膜上にトリフェニレン誘導体等のディスコティック液晶層(光学異方性層)74を塗設したものである。ディスコティック化合物は、液晶相を呈したときに、光学的に負の一軸性を示す。そこで、支持体72上に塗設されたディスコティック液晶層74を加熱し、ディスコティックネマチック(ND)相を形成させた後に、配向状態を固定化する。このND相の形成時に、ディスコティック液晶層74は、支持体72付近で液晶分子76aの光軸76bが垂直になるホメオトロピック配向をとり、支持体72と反対側の空気界面付近で液晶分子75aの光軸75bが配向膜による配向規制方向に沿って水平になるホモジニアス配向をとる。したがって、ディスコティック液晶層74は、厚み方向で液晶分子の配向角度が連続的に変化するハイブリッド配向となっている。尚、図示略の配向膜の表面にはラビング等が施され、液晶分子の配向方向を規制するようになっている。このような第1光学補償板70として、具体的には富士フィルム社製のWVフィルムを採用することが可能である。
本実施形態の場合、第1光学補償板70は支持基板78に装着されている。支持基板78は、サファイヤや無アルカリガラス等の熱伝導率の大きい透光性材料で構成されている。そして支持基板78に装着された第1光学補償板70は、図4に示した液晶セル60の表面から所定距離をおいて、液晶装置100に配設されている。これにより、液晶セル60からの熱影響による第1光学補償板70の劣化を抑制できるようになっている。
また、第2光学補償板80については図示は省略するが、上述した第1光学補償板70と同様に構成することができ、第1光学補償板70と同様の支持基板上に支持体を介して装着されたものを用いることもできる。光学補償板70,80がそれぞれ支持基板上に支持されている場合には、互いの支持基板同士を向かい合わせた状態で液晶セル60の背面側に配置される。さらに、場合によっては、支持基板78に装着した第2光学補償板80の上に第1補償板70を重ねて装着して用いることもできる。
図4(b)に戻り、第1光学補償板70は、その配向膜の配向方向71が、液晶セル60の光出射側の基板における配向膜の配向方向68に対して約80°ずれた状態で配置されている。また第2光学補償板80は、その配向膜の配向方向81が、先の配向方向68に対して約36°ずれた状態となるように配置されている。従って、第2光学補償板80における配向膜の配向方向81と、液晶セル60の光入射側の基板における配向膜の配向方向67とは、約69°ずれた状態になっている。
図4(a)は、光学補償板の作用説明図である。液晶セル60に封入されたネマチック液晶は、光学的に正の一軸性を示すものである。すなわち、略棒状の液晶分子の光軸(ダイレクタ)66方向の屈折率が他の方向の屈折率より大きく、屈折率楕円体ではラグビーボール型となる。ラグビーボール型の屈折率楕円体は、斜め方向から観察すると楕円になり、その長軸と短軸との差が位相差となる。この斜め方向から観察した場合の位相差が、黒表示における光漏れの原因となり、液晶セルの視角を低下させることになる。
これに対して、第1光学補償板70及び第2光学補償板80を構成するディスコティック液晶は、光学的に負の一軸性を示すものである。すなわち、図4(a)に示す第1光学補償板70では、光軸76b方向の屈折率が他の方向の屈折率より小さく、屈折率楕円体では円盤型となる。そして、本実施形態の液晶装置100では、これらの第1光学補償板70、第2光学補償板80における配向膜の配向方向71,81と、液晶セル60の光入射側の基板における配向膜の配向方向とが、図4(b)に示すような関係となるように配置されたことにより、光学補償板70,80における円盤型の屈折率楕円体によって、75°ツイストの液晶層50を備えた液晶セル60におけるラグビーボール型の屈折率楕円体の位相差を打ち消すように作用する。このように本実施形態では、光学補償作用を奏する光学補償板70,80を、液晶セル60における配向膜の配向方向67,68と平行とせず、所定角度ずらして配置することにより、90°ツイストの液晶セルを備えた従来の液晶装置よりも効果的に液晶セル60での位相差を補償できるようになっている。
図6、図7は、10°コーンの光源を用いた場合の液晶装置の等コントラスト比曲線であり、図6(a)は図4に示した本実施形態の液晶装置の場合であり、図7は図11に示した従来の液晶装置の場合である。等コントラスト比曲線は、液晶装置を正面から所定角度の範囲内で見た場合に、コントラスト比が等しくなる点を結んだものである。図6(a)及び図7において、相対的に濃く表示された領域他の領域より高いコントラスト比を示しており、高コントラスト側から順に、格子模様が付された領域(図示中央部)、実線の斜線模様が付された領域、破線の斜線模様が付された領域(図示周辺部)、無地の領域、である。図6に示す本実施形態の液晶装置の場合には、図7に示す従来の液晶装置の場合に比べて、液晶装置の正面付近での高コントラスト領域(格子模様が付された領域)がやや広くなっている。投射型表示装置では、光変調手段である液晶セルへの光源光の入射角度は約15°以内であり、その範囲内で平均された光が投影光として利用される。そして、図6、図7における投影光のコントラスト比、すなわち入射角15°以下の領域の平均コントラスト比を求めると、従来の液晶装置の場合(図7)が約900であるのに対して、本実施形態の液晶装置の場合(図6)には約1600になることが確認された。従って本実施形態の構成を採用するならば、液晶装置のコントラスト比を向上させることができ、特に投射型表示装置の光変調手段に用いて好適な液晶装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図8(a)は、本実施形態の液晶装置200の作用説明図、図8(b)は液晶装置を分解して示す斜視構成図である。尚、図8に示す構成要素のうち、図1ないし図7と同一の構成要素には同一の符号を付すとともに詳細な説明は省略する。図8(b)に示すように、本実施形態の液晶装置200では、第1光学補償板70と第2光学補償板80とが、液晶セル60の光出射側(図示上面側)に配設されている。そして本実施形態に係る液晶セル60は、80°ツイストのツイステッドネマチック液晶からなる液晶層を備えたものとなっている。
液晶セル60の光入射側には偏光板62が配置され、光出射側には偏光板64が配置されている。偏光板は、その透過軸方向の直線偏光のみを透過する機能を有する。光出射側の偏光板64は、その透過軸が、液晶セル60の光出射側の基板における配向膜の配向方向68とほぼ直交するように配置されている。また、光入射側の偏光板62は、その透過軸が、光出射側の偏光板64の透過軸と直交するように配置されている。尚、偏光板62の透過軸は、液晶セル60の光入射側の基板における配向膜の配向方向67と、約80°ずれた状態で配置されている。
また、第1光学補償板70の配向方向71は、液晶セル60の光出射側の基板における配向膜の配向方向68と約176°ずれて配置されており、第2光学補償板80の配向方向81は、前記配向方向68に対して約43°ずれて配置されている。
そして、この液晶装置200に対して偏光板62の下方から光が入射すると、偏光板62の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板62を透過する。電界無印加時の液晶セル60では、液晶分子がらせん状に水平配向している。そのため、液晶セル60に入射した直線偏光は、所定の旋光作用を受けつつ液晶層を透過し、液晶セル60から出射される。そして、この直線偏光のうち偏光板64の透過軸と平行な偏光成分が偏光板64を透過する。従って、電界無印加時の液晶セル60では白表示が行われる(ノーマリーホワイトモード)。一方、電界印加時の液晶セル60では、図8(a)に示すように液晶分子が略垂直配向している。そのため、液晶セル60に入射した直線偏光は、入射時の偏光状態をほぼ維持したまま液晶セル60から出力される。そして、偏光板64の透過軸と直交する方向の直線偏光であるこの光は、偏光板64により吸収される。従って、電界印加時の液晶セル60では黒表示が行われる。
上記構成及び動作態様を備えた本実施形態の液晶装置200について、先の第1実施形態の液晶装置100と同様にコントラスト比の測定を行ったところ、入射角15°以下の範囲における平均コントラストは約1500であり、第1実施形態と同様、従来の液晶装置に比してコントラスト比に優れた表示が得られることが確認された。
本実施形態の液晶装置200では、光学補償板70,80が液晶セル60の光出射側に配置されているので、液晶セル60より耐熱性に劣る光学補償板70,80が光源の光により加熱されて劣化するのを効果的に防止することができ、液晶装置の信頼性向上に寄与する。特に本実施形態の液晶装置200は、光強度が大きい投射型表示装置の光変調手段として好適なものである。
(液晶層のツイスト角)
以上の第1、第2実施形態で述べたように、本発明に係る液晶装置では、90°未満のツイスト角を有するツイステッドネマチック液晶からなる液晶層を備えた液晶セル60と、第1光学補償板70、第2光学補償板80とを備えた構成によって、従来の液晶装置に比して高いコントラスト比を得られるようにしている。そこで本発明者は、液晶セル60のツイスト角と、液晶装置のコントラスト比との関係を検証した。具体的には、先の第1実施形態の液晶装置100と同様の構成の液晶装置について、ツイスト角の異なる複数の液晶セル60を用いて、図7に示したのと同様に60°以下の視角範囲におけるコントラスト比の分布を測定し、得られたコントラスト比の分布に基づき15°以下の視角範囲における平均コントラスト比を求めた。測定結果を図9に示す。図9において、横軸は液晶セルの液晶層のツイスト角、縦軸は前記平均コントラスト比である。尚、それぞれの条件において、第1光学補償板70、第2光学補償板80の配向方向を調整することにより正面方向のコントラスト比が最大になるようにした。
図9に示すように、液晶セル60のツイスト角の変化に伴って液晶装置の平均コントラスト比が変化しており、ツイスト角が概ね68°を超えて90°未満の範囲において、従来のツイスト角が90°である液晶セルを備えた液晶装置よりも高いコントラスト比が得られている。また、ツイスト角が70°以上86°以下の範囲において1200以上の良好なコントラスト比が得られており、さらにツイスト角が72.5°以上80.5°以下の範囲において1500以上の極めて高いコントラスト比が得られている。このように、本発明の如く90°未満のツイスト角を有するツイステッドネマチックモードの液晶セルを備えた構成とすることで、ディスコティック液晶をハイブリッド配向させてなる光学補償板70,80を備えた液晶装置におけるコントラスト比を、90°ツイストの液晶セルを用いるより高めることができる。
(投射型表示装置)
次に、本発明の電子機器の具体例である投射型表示装置につき、図10を用いて説明する。図10は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、上述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を、光変調手段として備えたものである。
図10において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライドランプ等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
各光変調手段により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
このように、投射型表示装置の光変調手段822,823,824として、上述した各実施形態に係る液晶装置を使用すれば、光源光が斜め方向から入射した場合の位相差を補償することができる。なお、光源810におけるランプ811からの光は、リフレクタ812により略平行光に変換されるので、光変調手段822,823,824に対する入射光の入射角度は、最大でも12°程度となる。そして、上述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置では、15°コーンにおける平均コントラスト比を向上させることができるので、スクリーン827上に投写された画像のコントラスト比を向上させることができる。
また、本発明の電子機器の他の具体例としては、その表示部に上述した各実施形態に係る液晶装置を備えた携帯電話機を例示することができる。またさらに、ICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等を例示することができる。
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を採用してもよい。また、実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を反射型や半透過型の液晶装置に適用することも可能である。さらに、電子機器として3板式の投射型表示装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に適用することも可能である。
図1は、第1実施形態に係る液晶装置の回路構成図。 図2は、同、平面構成図。 図3は、図2のA−A’線に沿う断面構成図。 図4は、第1実施形態に係る液晶装置を分解して示す説明図。 図5は、光学補償板の側断面構成図。 図6は、75°ツイストでの等コントラスト曲線。 図7は、90°ツイストでの等コントラスト曲線。 図8は、第2実施形態に係る液晶装置を分解して示す説明図。 図9は、コントラストとツイスト角との関係を示すグラフ。 図10は、投射型表示装置の要部を示す構成図。 図11は、従来の液晶装置を分解して示す説明図。
符号の説明
60 液晶セル、70 第1光学補償板、75a,76a 液晶分子、75b,76b 光軸、80 第2光学補償板、100,200 液晶装置

Claims (5)

  1. 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置であって、
    いずれかの前記基板の外面側に、負の一軸性の屈折率異方性材料で構成される光学補償板を複数配設してなり、
    前記液晶層が、68°を超えて90°未満のツイスト角を有するツイステッドネマチック液晶からなることを特徴とする液晶装置。
  2. 前記液晶のツイスト角が、70°以上86°以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 前記光学補償板が、厚さ方向で光軸の傾斜角度に分布を有する液晶性高分子からなる光学異方性層を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
  4. 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向されたディスコティック液晶からなることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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