JP2005207890A - 赤外線検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器を提供し、併せて、各種ガスの濃度検出が可能で、小型で安価なガス検出器を提供する。
【解決手段】赤外線を回折する回折格子20,21,22と、赤外線を感知する赤外線検出素子3とを、同一パッケージ4内に備え、回折格子20,21,22により回折された特定波長の赤外線を、赤外線検出素子3により検出する赤外線検出器100〜104とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パッケージ化された小型の赤外線検出器に関するもので、特にガス検出器として用いられて好適な赤外線検出器に関する。
近年、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、水分、一酸化窒素、二酸化窒素、ハイドロカーボン等の各種のガス濃度検出に関するニーズが高まっている。これらのガス濃度の検出には、検出精度と長期信頼性が高く、応答性の速い赤外線検知式ガス検出器が利用されている。赤外線検知式ガス検出器は、各々のガスが特定波長の赤外線を吸収する特徴を利用している。このため、赤外線検知式ガス検出器を用いて上記の各種ガス濃度を検出するためには、被測定ガスの種類に応じた赤外線の波長選択が必要である。
各種ガスの濃度を検出することのできる赤外線検知式ガス検出器が、例えば、特公平7−60119号公報(特許文献1)、特開平6−241993号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1に開示されている赤外線検知式ガス検出器は、被測定ガスの種類毎に赤外線波長選択フィルタと赤外線検出素子を設けることで、各種ガスの濃度検出が可能となっている。また、特許文献2に開示されている赤外線検知式ガス検出器では、赤外線波長選択フィルタとして、シリコン(Si)表面を微細加工して形成されたファブリペロー干渉計が設けられている。これにより、多数の赤外線波長選択が可能となり、各種ガスの濃度検出が可能となっている。
特公平7−60119号公報 特開平6−241993号公報
上記の特許文献1,2に開示されている赤外線検知式ガス検出器は、いずれも被測定ガスの種類に応じた赤外線の波長選択が可能で、各種ガスの濃度検出が可能となっている。しかしながら、特許文献1に開示されている赤外線検知式ガス検出器では、被測定ガス種の数だけ赤外線波長選択フィルタと赤外線検出素子を設けるため、検出器自体が大型化し、製造コストが増大してしまう。一方、特許文献2に開示されている赤外線検知式ガス検出器では、一つのファブリペロー干渉計と一つの赤外線検出素子で、各種ガスの濃度検出が可能である。しかしながら、Si表面に形成されるファブリペロー干渉計の構造自体が複雑であるため、製造工程が複雑化し、やはり製造コストが増大してしまう。
そこで本発明は、多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器を提供し、併せて、各種ガスの濃度検出が可能で、小型で安価なガス検出器を提供することを目的としている。
請求項1に記載の赤外線検出器は、赤外線を回折する回折格子と、赤外線を感知する赤外線検出素子とを、同一パッケージ内に備え、前記回折格子により回折された特定波長の赤外線を、前記赤外線検出素子により検出することを特徴としている。
これによれば、当該赤外線検出器は回折格子を備えているため、赤外線の波長により回折角度が異なる点、および格子間隔によって回折波長が異なる点を利用して、一つの回折格子で、赤外線の波長選択が可能である。回折格子は簡単な加工技術を用いて小型に形成することができ、赤外線検出素子と共に同一パッケージ内に収容することができる。従って、当該赤外線検出器を、多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器とすることができる。
請求項2に記載の赤外線検出器は、前記パッケージ内に、赤外線を放射する光源が備えられ、前記光源から放射された赤外線が、前記回折格子により回折され、当該回折された特定波長の赤外線が、前記赤外線検出素子により検出されることを特徴としている。
これによれば、当該赤外線検出器は、赤外線検出素子と回折格子に加えて光源が同一パッケージ内に備えられているため、小型のガス検出器や水溶液中の微量成分検出器等に用いることができる。
従って、請求項3に記載のように、上記赤外線検出器は、ガス検出器として用いられる赤外線検出器に好適である。前記光源から赤外線検出素子に到る赤外線の光路内に被測定ガスが流入され、前記被測定ガスによる特定波長の赤外線の吸収度合いを、前記回折格子と赤外線検出素子により検出することで、各種ガスの濃度検出が可能で、小型で安価なガス検出器とすることができる。
請求項4に記載の発明は、前記回折格子が、シリコン(Si)からなることを特徴としている。これによれば、回折格子の形成に、半導体製造における一般的な微細加工技術を用いることができ、安価な赤外線検出器とすることができる。
前記回折格子は、例えば請求項5に記載のように、平面形状が櫛形状に形成された2個の対を成す櫛形状格子からなり、前記2個の櫛形状格子における互いの櫛歯部が、噛み合って対向するように配置されてなり、当該互いに噛み合って配置された櫛歯部により、赤外線を回折するように構成することができる。この場合には、例えば請求項6に記載のように、前記回折格子における格子間隔を圧電体により可変制御することで、格子間隔によって回折波長が異なる点を利用し、赤外線の波長選択が可能となる。また、請求項7に記載のように、前記回折格子における格子間隔を静電気力により可変制御することで、赤外線の波長選択を行ってもよい。
請求項8に記載の発明は、前記回折格子が、回転可能もしくは位置移動可能に設置されてなることを特徴としている。格子間隔が可変でない回折格子であっても、上記のように回転可能もしくは位置移動可能に設置することで、赤外線の波長により回折角度が異なる点を利用し、赤外線の波長選択が可能となる。また、請求項9に記載ように、前記赤外線検知素子を、位置移動可能に設置することによっても、赤外線の波長により回折角度が異なる点を利用して、赤外線の波長選択が可能となる。
さらに、請求項10に記載ように、前記パッケージ内に、赤外線の光路を変更する光路変更手段が備えられ、前記光路変更手段が、回転可能に設置されてなるように構成してもよい。この場合にも、赤外線の波長により回折角度が異なる点を利用し、赤外線の波長選択が可能となる。尚、請求項11に記載ように、前記光路変更手段は、前記回折格子に入射する赤外線の光路に設置してもよいし、請求項12に記載ように、前記回折格子と前記赤外線検知素子の間における赤外線の光路に設置してもよい。また、請求項13に記載ように、前記光路変更手段には、例えば反射ミラーを用いることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の赤外線検出器の基本的な構成を説明するための図で、赤外線検出器100の模式的な断面図である。
図1(a)に示す赤外線検出器100は、図中の太い矢印で示した赤外線を放射する光源1と、赤外線を回折する回折格子20と、赤外線を感知する赤外線検出素子3とが、同一パッケージ4内に備えられている。赤外線検出器100では、光源1から放射された赤外線が、回折格子20により回折され、回折された特定波長の赤外線が、赤外線検出素子3により検出される。
図1(b)は、図1(a)の回折格子20における赤外線の回折原理を説明するための図である。
回折格子20へ入射する赤外線の平面波の波長をλ、回折格子20の格子間隔をP、入射赤外線に対する回折された赤外線の回折角度θとの間には、
(数式1) P sinθ = n λ
の関係が成り立つ。数式1において、nは、回折次数を表わす整数値である。回折された赤外線は、回折次数が高くなるほど強度が弱くなるため、赤外線の検出にあたっては、1次(n=±1)の赤外線を検出するのが好ましい。尚、n=0は透過光である。
数式1からわかるように、回折角度θが一定の場合には、格子間隔Pが異なると、異なる波長λの赤外線が回折される。また、格子間隔Pが一定の場合には、赤外線の波長λにより、回折角度θが異なる。言い替えれば、回折格子20を備える図1(a)の赤外線検出器100では、回折格子20の格子間隔Pもしくは回折角度θを変更することで、赤外線の波長選択が可能である。
図1(a)に示す赤外線検出器100は、ガス検出器として用いられる赤外線検出器である。赤外線検出器100では、赤外線検出素子3と回折格子20に加えて、赤外線の光源1が同一パッケージ4内に備えられている。パッケージ4内に被測定ガスを流入すると、光源1から赤外線検出素子3に到る赤外線の光路内にある被測定ガスによって、特定波長の赤外線が吸収される。この被測定ガスによる特定波長の赤外線の吸収度合いを、回折格子20と赤外線検出素子3を用いて検出することで、各種ガスの濃度検出が可能となる。
図1(a)の赤外線検出器100では、一つの回折格子20と一つの赤外線検出素子3により多数の赤外線波長選択が可能で、各種ガスの濃度検出が可能である。また、図1(a),(b)に示す回折格子20の基本構造は、複数個のスリットが等間隔に配置されたものである。従って、ファブリペロー干渉計のように構造が複雑ではなく、簡単な加工技術を用いて形成することができる。特に、回折格子20をシリコン(Si)で形成する場合には、半導体製造における一般的な微細加工技術を用いることができる。従って、図1(a)の赤外線検出器100は、多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器であり、併せて、各種ガスの濃度検出が可能で、小型で安価なガス検出器となっている。
次に、回折格子における格子間隔もしくは回折角度の変更手段について、具体的に説明する。
図2は、格子間隔が変更可能な回折格子の一例で、回折格子21の平面図を示している。
図2の回折格子21は、平面形状が櫛形状に形成された2個の対を成す櫛形状格子21a,21bからなる。2個の櫛形状格子21a,21bにおける互いの櫛歯部21ak,21bkは、噛み合って対向するように配置されており、この互いに噛み合って配置された櫛歯部21ak,21bkにより、赤外線を回折する構成となっている。
櫛形状格子21a,21bにおける各々の櫛歯部21ak,21bkの間には、圧電体21ap,21bpが挿入されている。図2の回折格子21では、この圧電体21ap,21bpに電圧を印加して、圧電体21ap,21bpを伸縮させる。これにより、回折格子21の格子間隔を図2のP,Pのように変更して、可変制御することができる。回折格子21では、このように格子間隔を変更することで、図1(b)で説明したように、赤外線の波長選択が可能となる。
図3は、格子間隔が変更可能な別の回折格子の例で、回折格子22の平面図を示している。
図3の回折格子22は、一体的に櫛形状に形成された、2個の対を成す櫛形状格子22a,22bからなる。互いの櫛歯部22ak,22bkは、図2の回折格子21と同様に、噛み合って対向するように配置され、この櫛歯部22ak,22bkで赤外線が回折される。
図3の回折格子22では、静電気力を用いて、櫛形状格子22a,22bを相対的に変位させる。これにより、回折格子22の格子間隔を図3のP,Pのように変更して、可変制御することができる。回折格子22についても、このように格子間隔を変更することで、赤外線の波長選択が可能となる。
図4(a),(b)は、回折角度が変更可能な赤外線検出器の一例で、赤外線検出器101,102の模式的な断面図である。
図4(a)の赤外線検出器101では、回折格子20が回転可能に設置されており、図4(b)の赤外線検出器102では、回折格子20が位置移動可能に設置されている。図4(a),(b)に示す回折格子20の回転もしくは位置移動には、圧電体や静電気力等の外的手段が用いられる。
図4(a)の赤外線検出器101では、回折格子20を回転させることで、図1(b)で説明したように、赤外線の回折角度θの異なる赤外線、すなわち波長の異なる赤外線を選択することができる。図4(b)の赤外線検出器101では、回折格子20を位置移動させることで、回折角度θの異なる赤外線、すなわち波長の異なる赤外線を選択することができる。このようにして、図4(a),(b)の赤外線検出器101,102では、格子間隔が可変でなく複数個のスリットが等間隔に配置されただけの回折格子20であっても、赤外線の波長選択が可能となる。
図5は、回折角度が変更可能な別の赤外線検出器の例で、赤外線検出器103の模式的な断面図である。
図5の赤外線検出器103では、赤外線検出素子3が位置移動可能に設置されている。
図5の赤外線検出器103では、赤外線検出素子3を位置移動させることで、図1(b)で説明したように、回折角度θの異なる赤外線、すなわち波長の異なる赤外線を選択することができる。このようにして、図5の赤外線検出器103では、格子間隔が可変でなく複数個のスリットが等間隔に配置されただけの回折格子20であっても、赤外線の波長選択が可能となる。
図6も、回折角度が変更可能な別の赤外線検出器の例で、赤外線検出器104の模式的な断面図である。
図6の赤外線検出器104では、光源1、回折格子20および赤外線検出素子3の他に、同じパッケージ4内に、赤外線の光路を変更する光路変更手段5が備えられている。光路変更手段5には、例えば反射ミラーを用いることができる。
図6の赤外線検出器104では、光路変更手段5が回転可能に設置されており、光路変更手段5を回転させることで、図1(b)で説明したように、回折角度θの異なる赤外線、すなわち波長の異なる赤外線を選択することができる。このようにして、図6の赤外線検出器104では、格子間隔が可変でなく複数個のスリットが等間隔に配置されただけの回折格子20であっても、赤外線の波長選択が可能となる。
尚、図6の赤外線検出器104においては、光路変更手段5が回折格子20に入射する赤外線の光路に設置されているが、光路変更手段5を回折格子20と赤外線検知素子3の間における赤外線の光路に設置してもよい。
以上のようにして、図1〜6に示した回折格子20,21,22を有する赤外線検出器100〜104は、多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器であり、併せて、各種ガスの濃度検出が可能で、小型で安価なガス検出器となっている。
(他の実施形態)
上記の図1〜6で示した赤外線検出器は、回折格子と赤外線検出素子の他に、光源が同じパッケージ内に備えられ、ガス検出器として用いることのできる赤外線検出器であった。このような赤外線検出器は、例えば、水溶液中の微量成分検出器等にも用いることができる。しかしながら、本発明の赤外線検出器はこれに限らず、パッケージ内に光源を含まず、外部からパッケージ内に入射してくる赤外線を被測定対象とすることができる。この場合にも、上記と同様にして、多数の赤外線波長選択が可能で、小型で安価な赤外線検出器とすることができる。
(a)は、本発明の赤外線検出器の基本的な構成を説明するための図で、赤外線検出器の模式的な断面図であり、(b)は、(a)の回折格子における赤外線の回折原理を説明するための図である。 格子間隔が変更可能な回折格子の一例で、回折格子の平面図を示している。 格子間隔が変更可能な別の回折格子の例で、回折格子の平面図を示している。 (a),(b)は、回折角度が変更可能な赤外線検出器の一例で、赤外線検出器の模式的な断面図である。 回折角度が変更可能な別の赤外線検出器の例で、赤外線検出器の模式的な断面図である。 回折角度が変更可能な別の赤外線検出器の例で、赤外線検出器の模式的な断面図である。
符号の説明
100〜104 赤外線検出器
1 光源
20,21,22 回折格子
21a,21b,22a,22b 櫛形状格子
21ak,21bk,22ak,22bk 櫛歯部
21ap,21bp 圧電体
3 赤外線検出素子
4 パッケージ
5 光路変更手段

Claims (13)

  1. 赤外線を回折する回折格子と、赤外線を感知する赤外線検出素子とを、同一パッケージ内に備え、
    前記回折格子により回折された特定波長の赤外線を、前記赤外線検出素子により検出することを特徴とする赤外線検出器。
  2. 前記パッケージ内に、赤外線を放射する光源が備えられ、
    前記光源から放射された赤外線が、前記回折格子により回折され、
    当該回折された特定波長の赤外線が、前記赤外線検出素子により検出されることを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出器。
  3. 前記赤外線検出器が、ガス検出器として用いられる赤外線検出器であって、
    前記光源から赤外線検出素子に到る赤外線の光路内に被測定ガスが流入され、
    前記被測定ガスによる特定波長の赤外線の吸収度合いを、前記赤外線検出素子により検出するように構成されてなることを特徴とする請求項2に記載の赤外線検出器。
  4. 前記回折格子が、シリコン(Si)からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
  5. 前記回折格子が、平面形状が櫛形状に形成された2個の対を成す櫛形状格子からなり、
    前記2個の櫛形状格子における互いの櫛歯部が、噛み合って対向するように配置されてなり、
    当該互いに噛み合って配置された櫛歯部により、赤外線を回折することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
  6. 前記回折格子における格子間隔が、圧電体により可変制御されることを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出器。
  7. 前記回折格子における格子間隔が、静電気力により可変制御されることを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出器。
  8. 前記回折格子が、回転可能もしくは位置移動可能に設置されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
  9. 前記赤外線検知素子が、位置移動可能に設置されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
  10. 前記パッケージ内に、赤外線の光路を変更する光路変更手段が備えられ、
    前記光路変更手段が、回転可能に設置されてなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
  11. 前記光路変更手段が、前記回折格子に入射する赤外線の光路に設置されてなることを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出器。
  12. 前記光路変更手段が、前記回折格子と前記赤外線検知素子の間における赤外線の光路に設置されてなることを特徴とする請求項10に記載の赤外線検出器。
  13. 前記光路変更手段が、反射ミラーであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の赤外線検出器。
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