JP2005206786A - 耐熱性樹脂及びこの樹脂を用いた除塵用基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ブタジエン−アクリロニトリル共重合体構造を含む二級ジアミン化合物とテトラカルボン酸無水物から得られる耐熱性樹脂及び当該樹脂を用いた除塵用基板を提供する。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、これら低弾性率のポリイミドはシリコーンを含有するジアミン、またはテトラカルボン酸無水物を共重合して得られるため、HDD用途や、一部半導体用途など、シリコーンの汚染により重大な障害が発生する用途においては使用することができなかった。
また、装置内の除塵のための除塵用基板は、シリコンウエハ上にアクリル樹脂などの合成樹脂からなるシートを有するものがあるが、耐熱性が特に要求される前処理工程などにおいて耐熱性が充分とはいえず、耐熱性に優れた除塵用基板が求められていた。
なお、特許文献6は、ポリイミド樹脂に対する接着性が良好で耐熱性に優れる接着剤として、酸無水物成分とジアミン成分として両末端にアミノ基(実施例において1級アミノ基のみ)を有するエラストマーセグメント含有ポリマーを含有するポリイミド接着剤を開示している。
(1)ブタジエン−アクリロニトリル共重合体構造を含む二級ジアミン化合物とテトラカルボン酸無水物から得られる耐熱性樹脂。
(2)室温での引張弾性率が1.5GPa以下である、上記(1)に記載の耐熱性樹脂。
(4)上記(3)に記載の除塵用基板の樹脂面を半導体装置の表面に接触させることで、当該表面を除塵する除塵方法。
(5)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体構造を含む二級ジアミン化合物と、テトラカルボン酸無水物とを100℃以上で反応させて重合する耐熱性樹脂の製造方法。
(6)上記(5)に記載の耐熱性樹脂を基板上に形成し、熱処理する工程を有する、半導体装置の除塵用基板の製造方法。
(8)除塵しようとする半導体装置の表面温度下で、引張弾性率が1.5GPa以下となる耐熱性樹脂を有し、かつ、除塵後の前記半導体装置の、1×10-9Torr(1.33×10-7Pa)までの真空到達時間が10分以内である、半導体装置の除塵用基板。
(9)上記(7)又は(8)に記載の除塵用基板の樹脂面を半導体装置の表面に接触させることで、当該表面を除塵する除塵方法。
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体構造を含む二級ジアミン化合物(二級ジアミン化合物)は、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の両末端に二級アミンを結合する反応により、公知の方法で合成できるが、市販のものを用いてもよい。
ブタジエン単位の含有率は、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体構造を構成する全繰り返し単位に対して、通常60〜100モル%、好ましくは70〜90モル%である。
アクリロニトリル単位の含有率は、通常0〜40モル%、好ましくは10〜30モル%である。
Rは単結合または2価の有機基である。
併用してもよいジアミン化合物としては、例えば、4,4'−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4'−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3'−ジアミノジフェニルエ−テル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,12−ジアミノドデカン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
併用してもよいジアミン化合物の添加量は、二級ジアミン化合物に対して通常80質量%以下、好ましくは20〜80質量%である。
テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、それらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物が好ましい。
反応溶液中のテトラカルボン酸無水物及び二級ジアミンなどの溶質の濃度は、特に限定されないが、通常5〜50質量%、好ましくは15〜40質量%である。
二級ジアミン化合物とテトラカルボン酸無水物とを、例えば100℃以上で重合反応させ、耐熱性樹脂を得ることができる。重合温度は好ましくは100〜150℃、より好ましくは120〜130℃である。温度が低すぎる場合、重合中ゲル化により反応が不均一となる場合があり、高すぎると重合後の粘度が極端に低下する場合がある。
重合時間は通常0.5〜10時間である。
本発明の耐熱性樹脂からなるクリーニング層は、本発明の耐熱性樹脂以外にも他の樹脂、添加剤などを含有することができるが、クリーニング層の全質量に対し、50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
熱処理温度は通常150℃以上、好ましくは150〜400℃、より好ましくは250〜350℃である。熱処理温度は通常10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
この熱処理によりイミド化を進め、より耐熱性を向上させることができる。また、溶剤を含む揮発成分の除去をより充分なものにすることができる。樹脂の酸化劣化を防ぐため、窒素雰囲気下や真空中など不活性な雰囲気下で処理することが望ましい。
引張弾性率は、特に1MPa〜1.5GPaであることが望ましい。引張弾性率を1MPa以上とすることにより、基板処理装置内への搬送に際し、搬送トラブルを引き起こす
おそれがない。一方、上記層の引張弾性率が大きくなりすぎると、基板処理装置内の搬送系上の付着異物を捕集する性能が低下しやすくなるため、上限として1.5GPaまでとするのが望ましい。引張弾性率は、試験法JIS K7127に準ずる方法により測定される。
そして、溶剤乾燥後、高温で加熱処理する温度としては、200℃以上がよく、樹脂の酸化劣化を防ぐため、窒素雰囲気下や真空中など不活性な雰囲気下で処理することが望ましい。これによって、樹脂中に残った揮発成分を完全に除去することができる。
クリーニング層を設ける面は基板の少なくとも片面に設ければよく、両面に設けても良い。また、全面に設けても、端面(エッジ部)などの一部のみに設けても良い。
引張弾性率は、試験法JIS K7127に準ずる方法により測定した。すなわち、各実施例における熱処理後の耐熱性樹脂皮膜について、テンシロンを用いて引張試験を行い、初期弾性率を測定した。ただし、試料の大きさは幅10mm×長さ50mm、チャック間距離10mm、引張速度50mm/minで行った。
この真空到達時間は、主に除塵用基板が有するクリーニング層の組成により変動するが、小さいことが、真空下での本生産への影響が小さく好ましい。本発明の除塵用基板では、真空到達時間を10分以内、さらには5分以内とすることができる。
エチレン−1,2−ビストリメリテート,テトラカルボン酸二無水物(以下TMEGと略する)30.0gを窒素気流下、110gのN−メチル−2−ピロリドン中(以下NMPと略する)、前記式(2)で示されるジアミン化合物として、宇部興産製ATBN1300×16(アミン当量900、アクリロニトリル含有量18%)65.8g、および2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下BAPPと略す)15.0gと120℃で混合し、反応させた。冷却し、得られた、ポリアミック酸溶液をスピンコーターで8インチシリコンウエハーの鏡面上、および圧延銅箔シャイン面上に塗布し、90℃で20分乾燥後した。これを、窒素雰囲気下、300℃で2時間熱処理して、厚み30μmの耐熱性樹脂皮膜を形成した。耐熱性樹脂皮膜を形成した8インチシリコンウエハーは耐熱性樹脂皮膜を除塵面として、上記方法にて除塵性、搬送性、ならびに真空到達時間の評価を行った。また、銅箔上に形成した耐熱性樹脂については、銅箔を塩化第二鉄溶液にてエッチング除去したあと、上記方法に従い、引張弾性率を測定した。
TMEG30.0gを窒素気流下、111gのN,N−ジメチルアセトアミド、(2)で示されるジアミン化合物として、宇部興産製ATBN1300×21(アミン当量1200、アクリロニトリル含有量10%)61.4g、およびBAPP19.5gとを120℃で混合し、反応させてポリアミック酸溶液を得た以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
TMEG30.0gを窒素気流下、137gのNMP中、前記式(2)で示されるジアミン化合物として、宇部興産製ATBN1300×16(アミン当量900、アクリロニトリル含有量18%)39.5g、およびBAPP21.0gとを120℃で混合し、反応させてポリアミック酸溶液を得た以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
8インチシリコンウエハーの上に樹脂を塗布せず、鏡面を接着面として、除塵性、真空到達時間、ならびに、搬送性の評価を行った。
Claims (9)
- ブタジエン−アクリロニトリル共重合体構造を含む二級ジアミン化合物とテトラカルボン酸無水物から得られる耐熱性樹脂。
- 室温での引っ張り弾性率が1.5GPa以下である、請求項1に記載の耐熱性樹脂。
- 基板と、前記基板の少なくとも一面に設けられた、請求項1又は2に記載の耐熱性樹脂からなるクリーニング層を有する、半導体装置の除塵用基板。
- 請求項3に記載の除塵用基板の樹脂面を半導体装置の表面に接触させることで、当該表面を除塵する除塵方法。
- アクリロニトリル−ブタジエン共重合体構造を含む二級ジアミン化合物と、テトラカルボン酸無水物とを100℃以上で反応させて重合する耐熱性樹脂の製造方法。
- 請求項5に記載の耐熱性樹脂を基板上に形成し、熱処理する工程を有する、半導体装置の除塵用基板の製造方法。
- 請求項1に記載の耐熱性樹脂からなる層を基板上に形成し、150℃以上で熱処理し、室温又は除塵しようとする半導体装置の表面温度での引っ張り弾性率が1.5GPa以下とした耐熱性樹脂層を有する半導体装置の除塵用基板。
- 除塵しようとする半導体装置の表面温度下で、引っ張り弾性率が1.5GPa以下となる耐熱性樹脂を有し、かつ、除塵後の前記半導体装置の、1×10-9Torr(1.33×10-7Pa)までの真空到達時間が10分以内である、半導体装置の除塵用基板。
- 請求項7又は8に記載の除塵用基板の樹脂面を半導体装置の表面に接触させることで、当該表面を除塵する除塵方法。
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