JP2005206651A - ジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化してなる熱可塑性樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工性や硬化性に優れると共に、その硬化物が熱可塑性を示すジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化してなるリサイクル可能な熱可塑性樹脂を提供する。
【解決手段】 ジカルボン酸含有組成物は、(A)脂肪族2価アルコール:テレフタル酸もしくはその誘導体:二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド=1.0:0.5:1.0(モル比)の反応比率からなる反応生成物であって、下記一般式(1)で表わされるジカルボン酸と、(B)1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物を含有する。該組成物を硬化反応により高分子化させることにより、耐熱性に優れたリサイクル可能な線形構造の硬化物、即ち熱可塑性樹脂が得られる。
【化1】
〔但し、Xは脂肪族2価アルコール残基を表わし、Yは二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドの残基を表わす。〕
【選択図】 なし
【解決手段】 ジカルボン酸含有組成物は、(A)脂肪族2価アルコール:テレフタル酸もしくはその誘導体:二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド=1.0:0.5:1.0(モル比)の反応比率からなる反応生成物であって、下記一般式(1)で表わされるジカルボン酸と、(B)1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物を含有する。該組成物を硬化反応により高分子化させることにより、耐熱性に優れたリサイクル可能な線形構造の硬化物、即ち熱可塑性樹脂が得られる。
【化1】
〔但し、Xは脂肪族2価アルコール残基を表わし、Yは二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドの残基を表わす。〕
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱硬化できると共に、その硬化物が熱可塑性を示すジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化してなる熱可塑性樹脂に関するものであり、成形材料、塗料、プリント配線基板、レジストインキ等の種々の用途に使用可能である。
一般に、フィラー入りの熱可塑性樹脂ペレットは、以下の工程を経て製造される。まず、熱可塑性樹脂は、反応釜中でモノマーを重合させて得られ、場合によりペレット化される。次いで、得られた熱可塑性樹脂は、フィラーと共にスクリューを有する押出機を用いて高温度で溶融混合され、ペレット化される。
このような一連の工程は、製造に手間と時間を要し、経済的に好ましくない。もし、モノマーの重合を反応釜中ではなく押出機中で行なうことができれば、原料メーカーでなくとも、押出機を所有するメーカーであれば、フィラー入りの熱可塑性樹脂ペレットを容易に製造することができ、製造時間が短縮される。即ち、モノマーとフィラーとを押出機中で溶融混合しながら、モノマーを高分子化させることにより、容易にフィラーを含有させたペレットを製造することができる。勿論、この方法によれば、たとえフィラーを含有させなくとも、容易に押出機で熱可塑性樹脂が得られる。
このような一連の工程は、製造に手間と時間を要し、経済的に好ましくない。もし、モノマーの重合を反応釜中ではなく押出機中で行なうことができれば、原料メーカーでなくとも、押出機を所有するメーカーであれば、フィラー入りの熱可塑性樹脂ペレットを容易に製造することができ、製造時間が短縮される。即ち、モノマーとフィラーとを押出機中で溶融混合しながら、モノマーを高分子化させることにより、容易にフィラーを含有させたペレットを製造することができる。勿論、この方法によれば、たとえフィラーを含有させなくとも、容易に押出機で熱可塑性樹脂が得られる。
一方、最近では、硬化物が熱可塑性樹脂のように熱により軟化・溶融することによりリサイクル可能な熱硬化性樹脂組成物の開発も行なわれており、例えば、平均官能基数1.5〜2.2個のエポキシ樹脂と、エポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有するアミン系化合物、フェノール系化合物、チオール系化合物のうちの少なくとも1種からなるリサイクル可能なエポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。このような熱硬化性樹脂組成物についても、押出機中でモノマーを高分子化させ、ペレットを作製することができれば、生産性や製造コストの面において極めて有利と考えられる。
熱により軟化・溶融させることができる硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物とするためには、硬化性に優れ、且つ、線形に高分子化する組成物を用いる必要がある。このような用途に適用可能な組成物としては、1分子中に2個の官能基を有する化合物と、1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物からなる組成物が考えられる。例えば、前記特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物の他、脂肪族2価アルコールとジカルボン酸又はその無水物を反応させて得られる酸末端線状ポリエステルと、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂からなる組成物(特許文献2参照)、脂肪族2価アルコールとジアルキルテレフタレートとの縮合生成物にジカルボン酸を反応させて得られる末端カルボキシル基を有する線状ポリエステルと、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂からなる組成物(特許文献3参照)なども適用可能と考られる。しかしながら、これらの組成物では、いずれも硬化性と耐熱性とを共に満足させることは困難である。
本発明は、前記したような従来技術の問題に鑑みなされたものであり、加工性や硬化性に優れると共に、その硬化物が熱可塑性を示すジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化してなるリサイクル可能な熱可塑性樹脂を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明によれば、(A)脂肪族2価アルコール:テレフタル酸もしくはその誘導体:二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド=1.0:0.5:1.0(モル比)の反応比率からなる反応生成物であって、下記一般式(1)で表わされるジカルボン酸と、(B)1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物を含有することを特徴とするジカルボン酸含有組成物が提供される。
〔但し、Xは脂肪族2価アルコール残基を表わし、Yは二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドの残基を表わす。〕
本発明の他の側面によれば、上記ジカルボン酸含有組成物を硬化してなる熱可塑性樹脂(ペレット等の予備成形物を含む)が提供される。
本発明の他の側面によれば、上記ジカルボン酸含有組成物を硬化してなる熱可塑性樹脂(ペレット等の予備成形物を含む)が提供される。
本発明のジカルボン酸含有組成物は、テレフタル酸のジカルボン酸誘導体である融点の低いジカルボン酸(A)と、1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物(B)とを組み合わせて用いているため、加工性及び硬化性に優れ、また硬化反応により高分子化させることにより、耐熱性に優れたリサイクル可能な線形構造の硬化物、即ち熱可塑性樹脂が得られる。従って、本発明のジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化して得られる熱可塑性樹脂は、成形材料、塗料、プリント配線基板、レジストインキ等の種々の用途に使用可能である。また、本発明のジカルボン酸含有組成物あるいはそれを硬化して得られる熱可塑性樹脂から作製された成形物は、加熱により軟化・溶融するため、さらにリサイクル使用可能である。
本発明者は、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(2)で表わされるジカルボン酸において、n=1の構造のものは、適度な温度で溶融するために加工性や反応性に優れ、また、1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物との硬化物は、リサイクル性及び耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
〔但し、Xは脂肪族2価アルコール残基を表わし、Yは二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドの残基を表わす。〕
より詳しく述べると、本発明のジカルボン酸含有組成物の一成分であるジカルボン酸(前記一般式(2)において、n=1のジカルボン酸)は、一般的には融点が約100〜150℃であり、それ以上の温度では、低粘度になり、反応性に富み、他の成分である1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物(以下、単に環状エーテルという場合もある)とは200℃未満で充分に反応する。一方、前記一般式(2)においてn=2以上の場合、ジカルボン酸の融点が185℃以上となり、硬化温度は200℃以上とすることが必要になる。しかしながら、200℃以上の温度では、カルボン酸と環状エーテルとの反応により生成する2級のアルコール性水酸基に、さらに環状エーテルが反応し、線形構造ではなく、網目構造の硬化物が得られるため、熱により軟化・溶融させることが困難になる(熱可塑性を示さなくなる)。それゆえ、組成物自体は熱硬化性であるが、得られる硬化物(樹脂)に熱可塑性の性質を具有させるためには、前記一般式(2)においてn=1の融点の低いジカルボン酸を用い、これを環状エーテルと200℃未満の温度で反応させて線形構造の硬化物(樹脂)とする必要がある。
前述したような知見に基づき、本発明のジカルボン酸含有組成物は、前記一般式(2)においてn=1のジカルボン酸(A)を、1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物(B)と組み合わせて含有することを特徴とするものである。
また、本発明のジカルボン酸含有組成物に用いるジカルボン酸は、反応性に優れるため、環状エーテルとは容易に高分子化し、さらに耐熱性を与えるエステル結合を有しているので、環状エーテルとの硬化物は耐熱性にも優れたものとなる。それゆえ、本発明のジカルボン酸含有組成物は、加工性や硬化性に優れ、またそれを硬化して得られる熱可塑性樹脂はリサイクル性や耐熱性に優れている。
また、本発明のジカルボン酸含有組成物に用いるジカルボン酸は、反応性に優れるため、環状エーテルとは容易に高分子化し、さらに耐熱性を与えるエステル結合を有しているので、環状エーテルとの硬化物は耐熱性にも優れたものとなる。それゆえ、本発明のジカルボン酸含有組成物は、加工性や硬化性に優れ、またそれを硬化して得られる熱可塑性樹脂はリサイクル性や耐熱性に優れている。
以下、本発明のジカルボン酸含有組成物の各構成成分について詳細に説明する。
まず、本発明で用いるジカルボン酸(A)は、脂肪族2価アルコール:テレフタル酸もしくはその誘導体:二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド=1.0:0.5:1.0(モル比)の反応比率で反応させることができる限り、種々の方法で製造することができる。例えば、脂肪族2価アルコール1.0モルとジアルキルテレフタレート0.5モルとの反応物(ジオール)に二塩基酸無水物1.0モルを反応させる方法で得られるが、各反応は、後述するような公知のエステル化触媒を用い、溶媒中又は無溶媒下で容易に製造することができる。
まず、本発明で用いるジカルボン酸(A)は、脂肪族2価アルコール:テレフタル酸もしくはその誘導体:二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド=1.0:0.5:1.0(モル比)の反応比率で反応させることができる限り、種々の方法で製造することができる。例えば、脂肪族2価アルコール1.0モルとジアルキルテレフタレート0.5モルとの反応物(ジオール)に二塩基酸無水物1.0モルを反応させる方法で得られるが、各反応は、後述するような公知のエステル化触媒を用い、溶媒中又は無溶媒下で容易に製造することができる。
脂肪族2価アルコールとジアルキルテレフタレートとのエステル交換反応は、公知の反応触媒を用いて、溶媒中又は無溶媒下で、約130〜280℃で行なうことが好ましい。
また、脂肪族2価アルコールとジアルキルテレフタレートの仕込み割合は、モル比で、脂肪族2価アルコール/ジアルキルテレフタレート=2〜4の範囲が好ましい。この比率が2未満の場合、反応生成物が高分子化する恐れがあり、一方、4を超えると、未反応の脂肪族2価アルコールが多量に残存し、それを除去しなければならず、経済的に好ましくない。
また、脂肪族2価アルコールとジアルキルテレフタレートの仕込み割合は、モル比で、脂肪族2価アルコール/ジアルキルテレフタレート=2〜4の範囲が好ましい。この比率が2未満の場合、反応生成物が高分子化する恐れがあり、一方、4を超えると、未反応の脂肪族2価アルコールが多量に残存し、それを除去しなければならず、経済的に好ましくない。
脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2−ビス(4´−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。これら脂肪族2価アルコールは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ジアルキルテレフタレートとしては、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらジアルキルテレフタレートは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
反応触媒としては、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、三酸化アンチモンなどが好適に用いられる。また、クロロ酢酸などの反応触媒助剤を加えることが好ましい。
また、前記と同じ構造のジオールは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、n−ヘプタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、テレフタル酸クロライドと脂肪族2価アルコールとの脱塩酸反応によっても得ることができる。その際、発生する塩化水素を捕捉するため、トリメチルアミン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類が適宜用いられる。これらアミン類は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
さらに、前記と同じ構造のジオールは、前記した芳香族炭化水素類、エーテル類、脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤及びトリメチルアミン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類を用いて、テレフタル酸と脂肪族2価アルコールとの脱水反応によっても得ることができる。
さらにまた、前記と同じ構造のジオールは、前記した芳香族炭化水素類、エーテル類、脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、硫酸、塩酸、燐酸、フッ化ホウ素、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等のエステル化触媒を用いて、テレフタル酸と脂肪族2価アルコールとの脱水反応によっても得ることができる。
前記したような方法によって得られたジオールと、二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドとを反応させて、本発明で用いられるジカルボン酸が得られるが、上記ジオールと二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライドの仕込み割合は、モル比で、[二塩基酸又はその無水物もしくはそのハライド]/[ジオール]=2〜4の範囲が好ましい。この比率が2未満の場合には、高分子化する恐れがあり、一方、4を超えると、未反応物が残存し、それを除去しなければならず、経済的に好ましくない。
前記ジオールと二塩基酸無水物の反応は、後述する有機溶剤の存在下又は非存在下、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ナフテン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、オクトエン酸等の有機酸のリチウム、クロム、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム等の金属塩などの触媒を添加して行なうことが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
前記二塩基酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、無水クロレンデック酸などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記と同じ構造のジカルボン酸は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、n−ヘプタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、硫酸、塩酸、燐酸、フッ化ホウ素、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等のエステル化触媒を用いて、前記方法によって得られたジオールと二塩基酸との脱水反応によっても得ることができる。
さらに、前記と同じ構造のジカルボン酸は、前記した芳香族炭化水素類、エーテル類、脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤、トリメチルアミン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類を用いて、前記方法によって得られたジオールと二塩基酸との脱水反応によっても得ることができる。
前記二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらにまた、前記と同じ構造のジカルボン酸は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、n−ヘプタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等の有機溶媒中、二塩基酸ハライドと前記方法によって得られたジオールとの反応によっても得ることができる。その際、発生する塩化水素等を捕捉するため、トリメチルアミン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類が適宜用いられる。これらアミン類は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記二塩基酸ハライドとしては、コハク酸クロライド、アジピン酸クロライド、フマル酸クロライド、テレフタル酸クロライドなどが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
得られる反応生成物は、一般的に数平均分子量が約1000以下となるが、約400〜700の範囲が好ましい。また、得られるジカルボン酸の融点は、100〜150℃の範囲が好ましい。融点が100℃未満の場合、環状エーテルとの硬化物の耐熱性が低下する恐れがあり、一方、150℃を超えると、環状エーテルとの反応性が悪くなる恐れがあるので好ましくない。
前記1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物(B)としては、オキシラン化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物などが挙げられる。
オキシラン化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル(株)製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128(何れも商品名)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル(株)製のD.E.R.542、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700(何れも商品名)等のブロム化エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン製エピコート807、東都化成(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004(何れも商品名)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成(株)製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(何れも商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬(株)製のEBPS−200、旭電化工業(株)製のEPX−30、大日本インキ化学工業(株)製のEXA−1514(何れも商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂(株)製のブレンマーDGT(商品名)等のジグリシジルフタレート樹脂等が挙げられる。オキセタン化合物としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3´−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサンなどが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキシラン化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル(株)製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128(何れも商品名)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル(株)製のD.E.R.542、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700(何れも商品名)等のブロム化エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン製エピコート807、東都化成(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004(何れも商品名)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成(株)製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(何れも商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬(株)製のEBPS−200、旭電化工業(株)製のEPX−30、大日本インキ化学工業(株)製のEXA−1514(何れも商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;日本油脂(株)製のブレンマーDGT(商品名)等のジグリシジルフタレート樹脂等が挙げられる。オキセタン化合物としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3´−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサンなどが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ジカルボン酸(A)と1分子中に2個の環状エーテル基を有する化合物(B)との配合割合は、ジカルボン酸(A)1当量に対して、上記化合物(B)が好ましくは0.9〜1.3当量、より好ましくは、1.0〜1.1当量の範囲となるような割合が望ましい。0.9当量未満の場合、充分に高分子化されず、一方、1.3当量を超えると、副反応が起こり易く、硬化物が網目構造をとり、熱可塑性にならない可能性がある。
本発明のジカルボン酸含有組成物には、さらに必要に応じて硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などを用いることができる。市販されているものとしては、例えば四国化成工業(株)製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ(株)製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などが挙げられる。特に、環状エーテル基を有する化合物とジカルボン酸との反応を促進するものであれば、これらに限られるものではない。これらの触媒は、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。
上記硬化触媒の配合量は通常の量的割合で充分であり、例えば前記ジカルボン酸(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15.0質量部の割合である。
上記硬化触媒の配合量は通常の量的割合で充分であり、例えば前記ジカルボン酸(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15.0質量部の割合である。
また、本発明のジカルボン酸含有組成物には、物性を向上させる目的で、得られる硬化物の熱可塑性を損なわない程度に、ノボラック型エポキシ樹脂などの1分子中に3個以上の環状エーテル基を有する化合物を配合することができる。
本発明のジカルボン酸含有組成物には、さらに必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカ等の公知慣用の無機フィラーを単独で又は2種以上配合することができる。これらは硬化物の物性を向上させる目的で用いられる。無機フィラーの配合量は、前記ジカルボン酸(A)100質量部当り5〜300質量部、好ましくは10〜100質量部の割合が適当である。
また、本発明のジカルボン酸含有組成物は、さらに必要に応じてフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
さらに本発明のジカルボン酸含有組成物は、難燃性を得る目的で、必要に応じて、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、及びアンチモン系難燃剤等の難燃剤を配合することができる。難燃剤の配合量は、前記ジカルボン酸(A)100質量部に対して、通常1〜200質量部、好ましくは5〜50質量部である。
さらに本発明のジカルボン酸含有組成物は、反応性を促進する目的で、必要に応じて、有機溶剤を配合することができる。有機溶剤としては、例えば、前記したようなケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、酢酸エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素類、石油系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
以下、実施例を示して本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り全て「質量部」を示すものとする。
合成例1
10リットルの4つ口フラスコに、ジメチルテレフタレート776.9g(4.0モル)とエチレングリコール745.4g(12.0モル)、酢酸亜鉛0.879g(4.0ミリモル)、クロロ酢酸1.036g(10.9ミリモル)を仕込み、攪拌しながら140℃まで1時間かけて昇温し、130〜140℃で2時間反応を行なった。次いで、140〜150℃で13時間、さらに、150〜160℃で38時間反応を行なった。最後に、175℃で4時間反応を行なった結果、反応終了時のメタノール流出量は241.7g(7.6モル)であった。その後、上記反応溶液(KO)を攪拌しながら室温まで放冷し、2分割して半量を10リットルの4つ口フラスコに取り、イオン交換水6リットルを加え、攪拌しながら、100℃で8時間還流した。その後、この反応溶液を熱時濾過し、濾液を冷却して、白色結晶(HI)を析出させ、濾過した。2分割した残りの半量についても同様な操作を行ない、白色結晶(YA)を得た。次に、得られた白色結晶(HI+YA)をメタノールで洗浄し、80℃で12時間真空乾燥し、水酸基価437mgKOH/gのテレフタル酸のジオール誘導体820gを得た。得られたジオールの核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及び赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)をそれぞれ図1及び図2に示す。
次に、上記白色結晶722.8gとトルエン1000gを3リットルの4つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら105〜115℃で無水コハク酸561.7gを約30分かけて添加した。添加後、100〜110℃で攪拌しながら、トリエチルアミン5.69gをトルエン19.77gに溶解した溶液を40分間かけて滴下し、6時間反応を行なった。その後、上記反応溶液を攪拌しながら室温まで放冷し、テトラヒドロフランを800ミリリットル加えた。得られた反応溶液をn−ヘキサン中に混入して白色結晶を析出させ、濾過した。次に、得られた白色結晶を60℃で真空乾燥を行ない、酸価243mgKOH/g、融点約115℃((株)柳本製作所製、MICRO MELTING POINT APPARATUS、型式:MPで測定)のテレフタル酸のジカルボン酸誘導体1379gを得た。得られたジカルボン酸の核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及び赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)をそれぞれ図3及び図4に示す。また、得られたジカルボン酸のクロマトグラム(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)から、前記一般式(2)におけるn=1のジカルボン酸が得られたことを確認した。
10リットルの4つ口フラスコに、ジメチルテレフタレート776.9g(4.0モル)とエチレングリコール745.4g(12.0モル)、酢酸亜鉛0.879g(4.0ミリモル)、クロロ酢酸1.036g(10.9ミリモル)を仕込み、攪拌しながら140℃まで1時間かけて昇温し、130〜140℃で2時間反応を行なった。次いで、140〜150℃で13時間、さらに、150〜160℃で38時間反応を行なった。最後に、175℃で4時間反応を行なった結果、反応終了時のメタノール流出量は241.7g(7.6モル)であった。その後、上記反応溶液(KO)を攪拌しながら室温まで放冷し、2分割して半量を10リットルの4つ口フラスコに取り、イオン交換水6リットルを加え、攪拌しながら、100℃で8時間還流した。その後、この反応溶液を熱時濾過し、濾液を冷却して、白色結晶(HI)を析出させ、濾過した。2分割した残りの半量についても同様な操作を行ない、白色結晶(YA)を得た。次に、得られた白色結晶(HI+YA)をメタノールで洗浄し、80℃で12時間真空乾燥し、水酸基価437mgKOH/gのテレフタル酸のジオール誘導体820gを得た。得られたジオールの核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及び赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)をそれぞれ図1及び図2に示す。
次に、上記白色結晶722.8gとトルエン1000gを3リットルの4つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら105〜115℃で無水コハク酸561.7gを約30分かけて添加した。添加後、100〜110℃で攪拌しながら、トリエチルアミン5.69gをトルエン19.77gに溶解した溶液を40分間かけて滴下し、6時間反応を行なった。その後、上記反応溶液を攪拌しながら室温まで放冷し、テトラヒドロフランを800ミリリットル加えた。得られた反応溶液をn−ヘキサン中に混入して白色結晶を析出させ、濾過した。次に、得られた白色結晶を60℃で真空乾燥を行ない、酸価243mgKOH/g、融点約115℃((株)柳本製作所製、MICRO MELTING POINT APPARATUS、型式:MPで測定)のテレフタル酸のジカルボン酸誘導体1379gを得た。得られたジカルボン酸の核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、基準物質TMS(テトラメチルシラン))及び赤外線吸収スペクトル(フーリエ変換赤外分光光度計FT−IRを用いて測定)をそれぞれ図3及び図4に示す。また、得られたジカルボン酸のクロマトグラム(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)から、前記一般式(2)におけるn=1のジカルボン酸が得られたことを確認した。
合成例2
10リットルの4つ口フラスコに、ジメチルテレフタレート776.9g(4.0モル)とエチレングリコール745.4g(12.0モル)、酢酸亜鉛0.879g(4.0ミリモル)、クロロ酢酸1.036g(10.9ミリモル)を仕込み、攪拌しながら140℃まで1時間かけて昇温し、130〜140℃で2時間反応を行なった。次いで、140〜150℃で13時間、さらに、150〜160℃で38時間反応を行なった。最後に、175℃で16時間反応を行なった結果、反応終了時のメタノール流出量は210.0g(6.5モル)であった。反応溶液を2分割して半量を10リットルの4つ口フラスコに取り、イオン交換水6リットルを加え、攪拌しながら、100℃で8時間還流した。その後、この反応溶液を熱時濾過し、ロート上に残った濾物として、白色結晶(MA)を得た。2分割した残りの半量についても同様な操作を行ない、白色結晶(NO)を得た。次に、得られた白色結晶(MA+NO)をメタノールで洗浄し、80℃で12時間真空乾燥し、水酸基価235mgKOH/gのテレフタル酸のジオール誘導体892.7gを得た。
次に、上記白色結晶892.7gとカルビトールアセテート450gを2リットルの4つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら165〜175℃で無水コハク酸442.26gを約30分かけて添加した。その後、トリエチルアミン4.45gを10分間かけて滴下し、10時間反応を行なった。その後、上記反応溶液を攪拌しながら室温まで放冷し、微茶黄色のスラリーを得た。得られた反応生成物をアセトン2000gでほぐしながら取り出し、3分割し、各反応生成物のアセトンスラリーに、さらにアセトンを1000g加えて攪拌後、吸引濾過を行なった。得られたアセトン含有反応生成物1350gを真空乾燥器及び熱風乾燥器で交互に乾燥を行ない、酸価127mgKOH/g、融点185〜215℃((株)柳本製作所製、MICRO MELTING POINT APPARATUS、型式:MPで測定)の微茶黄色のテレフタル酸のジカルボン酸誘導体900gを得た。得られたジカルボン酸のクロマトグラム(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)から、前記一般式(2)におけるnが2以上のジカルボン酸が得られたことを確認した。
10リットルの4つ口フラスコに、ジメチルテレフタレート776.9g(4.0モル)とエチレングリコール745.4g(12.0モル)、酢酸亜鉛0.879g(4.0ミリモル)、クロロ酢酸1.036g(10.9ミリモル)を仕込み、攪拌しながら140℃まで1時間かけて昇温し、130〜140℃で2時間反応を行なった。次いで、140〜150℃で13時間、さらに、150〜160℃で38時間反応を行なった。最後に、175℃で16時間反応を行なった結果、反応終了時のメタノール流出量は210.0g(6.5モル)であった。反応溶液を2分割して半量を10リットルの4つ口フラスコに取り、イオン交換水6リットルを加え、攪拌しながら、100℃で8時間還流した。その後、この反応溶液を熱時濾過し、ロート上に残った濾物として、白色結晶(MA)を得た。2分割した残りの半量についても同様な操作を行ない、白色結晶(NO)を得た。次に、得られた白色結晶(MA+NO)をメタノールで洗浄し、80℃で12時間真空乾燥し、水酸基価235mgKOH/gのテレフタル酸のジオール誘導体892.7gを得た。
次に、上記白色結晶892.7gとカルビトールアセテート450gを2リットルの4つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら165〜175℃で無水コハク酸442.26gを約30分かけて添加した。その後、トリエチルアミン4.45gを10分間かけて滴下し、10時間反応を行なった。その後、上記反応溶液を攪拌しながら室温まで放冷し、微茶黄色のスラリーを得た。得られた反応生成物をアセトン2000gでほぐしながら取り出し、3分割し、各反応生成物のアセトンスラリーに、さらにアセトンを1000g加えて攪拌後、吸引濾過を行なった。得られたアセトン含有反応生成物1350gを真空乾燥器及び熱風乾燥器で交互に乾燥を行ない、酸価127mgKOH/g、融点185〜215℃((株)柳本製作所製、MICRO MELTING POINT APPARATUS、型式:MPで測定)の微茶黄色のテレフタル酸のジカルボン酸誘導体900gを得た。得られたジカルボン酸のクロマトグラム(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定)から、前記一般式(2)におけるnが2以上のジカルボン酸が得られたことを確認した。
実施例1〜8及び比較例1〜2
表1に示す配合組成(数値は質量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルでそれぞれ別々に混練し、ジカルボン酸含有組成物を調製した。これらを150〜300μmの厚さになるように、ポリイミドフィルムに塗布し、実施例1及び比較例1については、180℃で60分間加熱し、実施例2〜8及び比較例2については、150℃で60分間加熱した。その後、各ポリイミドフィルムから硬化膜をはがし、評価サンプルを得た。これらの評価サンプルの耐熱性及びリサイクル性を後述する方法で測定し、評価した。上記各試験の結果を表2に示す。
表1に示す配合組成(数値は質量部である)に従って各成分を配合し、3本ロールミルでそれぞれ別々に混練し、ジカルボン酸含有組成物を調製した。これらを150〜300μmの厚さになるように、ポリイミドフィルムに塗布し、実施例1及び比較例1については、180℃で60分間加熱し、実施例2〜8及び比較例2については、150℃で60分間加熱した。その後、各ポリイミドフィルムから硬化膜をはがし、評価サンプルを得た。これらの評価サンプルの耐熱性及びリサイクル性を後述する方法で測定し、評価した。上記各試験の結果を表2に示す。
(1)硬化性:
硬化の程度を150℃での指触又は室温での柔軟性により評価した。
○:タックなし又は高分子量化され柔軟性のある評価サンプルが得られたもの
×:タックあり又は硬化不充分で高分子量化できず硬く脆いために評価サンプルが得られないもの
硬化の程度を150℃での指触又は室温での柔軟性により評価した。
○:タックなし又は高分子量化され柔軟性のある評価サンプルが得られたもの
×:タックあり又は硬化不充分で高分子量化できず硬く脆いために評価サンプルが得られないもの
(2)ガラス転移点:
得られた評価サンプルのガラス転移点をDMA法により測定した。但し、硬化不充分で高分子量化できず、硬く脆いために評価サンプルが得られなかったものについては、測定しなかった。
得られた評価サンプルのガラス転移点をDMA法により測定した。但し、硬化不充分で高分子量化できず、硬く脆いために評価サンプルが得られなかったものについては、測定しなかった。
(3)リサイクル性:
得られた評価サンプルを粉砕し、5kgf/cm2、200℃、30分の条件で熱プレスし、フィルム化できるか否かで評価した。
○:熱溶融してフィルム化できたもの
×:熱溶融せずフィルム化できないもの
但し、硬化不充分で高分子量化できず、硬く脆いために評価サンプルが得られなかったものについては、評価しなかった。
得られた評価サンプルを粉砕し、5kgf/cm2、200℃、30分の条件で熱プレスし、フィルム化できるか否かで評価した。
○:熱溶融してフィルム化できたもの
×:熱溶融せずフィルム化できないもの
但し、硬化不充分で高分子量化できず、硬く脆いために評価サンプルが得られなかったものについては、評価しなかった。
Claims (2)
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JP2004012813A JP2005206651A (ja) | 2004-01-21 | 2004-01-21 | ジカルボン酸含有組成物及びそれを硬化してなる熱可塑性樹脂 |
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Cited By (2)
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KR101806943B1 (ko) | 2016-09-07 | 2017-12-08 | 애경유화 주식회사 | 유연성 pvc 수지 조성물 |
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2004
- 2004-01-21 JP JP2004012813A patent/JP2005206651A/ja not_active Withdrawn
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