JP2005204715A - 超音波診断装置の遅延回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな回路構成による改良された遅延回路を提供する。
【解決手段】送信用遅延回路30Tは、複数の要素遅延回路(34T,38T,42T,46T)および複数のスイッチ(32T,36T,40T,44T)で構成される。要素遅延回路34Tは遅延量が512aに、要素遅延回路38Tは遅延量が256aに、要素遅延回路42Tは遅延量が2aに、要素遅延回路46Tは遅延量がaに設定される。全てのスイッチをオフにすると、入力信号60は要素遅延回路を通過しないため遅延量が0となる。また、スイッチ44Tのみをオンにすると、入力信号60は要素遅延回路46Tのみを通過するため遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ40Tのみをオンにすると遅延量が2aに設定される。
【選択図】図3
【解決手段】送信用遅延回路30Tは、複数の要素遅延回路(34T,38T,42T,46T)および複数のスイッチ(32T,36T,40T,44T)で構成される。要素遅延回路34Tは遅延量が512aに、要素遅延回路38Tは遅延量が256aに、要素遅延回路42Tは遅延量が2aに、要素遅延回路46Tは遅延量がaに設定される。全てのスイッチをオフにすると、入力信号60は要素遅延回路を通過しないため遅延量が0となる。また、スイッチ44Tのみをオンにすると、入力信号60は要素遅延回路46Tのみを通過するため遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ40Tのみをオンにすると遅延量が2aに設定される。
【選択図】図3
Description
本発明は、超音波診断装置の遅延回路に関し、特に振動素子に対応した遅延処理を施す遅延回路に関する。
超音波診断装置は、被検体に対して超音波を送受波して被検体に関する情報を取得する装置である。超音波を送受波する技術として電子走査制御が知られている。電子走査制御とは、複数の振動素子の各々に対して所定の遅延処理を施した駆動信号を供給し、各振動素子から遅延処理されて出力される超音波を複数の振動素子間で互いに干渉させ、送信ビームを形成する技術である。また、超音波を受波する際には、各振動素子が取得した受信信号に対して所定の遅延処理が施されて遅延処理後の複数の受信信号が加算される、いわゆる、整相加算処理が実行される。
送信ビームの形成や整相加算処理では、各振動素子ごとに遅延処理が施されるため、各振動素子に対応した遅延処理を実行する遅延回路が必要になる。従来から、超音波診断装置の遅延回路に関する様々な技術が提案されている(下記特許文献参照)。
図4は、従来の遅延回路(送信遅延回路)を一般化した構成図を示している。図4の遅延回路は、ある決まった遅延量aの要素遅延回路70がシリーズに接続され、クロスポイントスイッチ72で入力信号60を取り出す位置を制御する構成になっている。例えば、クロスポイントスイッチ72によってポイント76Sが選択されると、入力信号60は、入力側の一段目の要素遅延回路70のみを通過して振動素子10に出力される。つまり、入力信号60に対して最小遅延量(最小遅延量=a)の遅延処理が施される。また、クロスポイントスイッチ72によってポイント76Eが選択されると、入力信号60は、全ての要素遅延回路70を通過して振動素子10に出力される。つまり、入力信号60に対して最大遅延量(最大遅延量=a×要素遅延回路70の個数)の遅延処理が施される。さらに、クロスポイントスイッチ72によって入力信号60を取り出す位置を制御することで、最小遅延量と最大遅延量の中間値として、遅延量aの整数倍の遅延量を設定することができる。
図4に示す遅延回路において、遅延制御の精度を高めるためには、要素遅延回路70の遅延量aを小さくする必要がある。ところが、遅延量aを小さく設定すると最大遅延量を確保するための要素遅延回路70の個数が増大する。要素遅延回路70は、CCD(電荷結合素子)回路やLC回路などで構成されるため、その個数の増加により遅延回路の回路規模が増大する。
このように、図4に示す遅延回路では、遅延制御の精度を高めることと回路規模を抑えることの両立が困難であり、これらの両立も可能な遅延回路構成が望まれていた。
そこで、本発明は、新たな回路構成による改良された遅延回路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である遅延回路は、振動素子に対応した遅延処理を施す超音波診断装置の遅延回路において、直列接続された、互いに異なる要素遅延量の複数の回路セグメントを有し、前記複数の回路セグメントから1または複数の回路セグメントが選択され、選択された回路セグメントに対応した要素遅延量の組み合わせにより、前記振動素子に対応した所望の遅延量が設定されることを特徴とする。
望ましくは、前記各回路セグメントは、その回路セグメントに対応する要素遅延量に設定された要素遅延回路、および、その要素遅延回路の作動または非作動を選択するスイッチを含むことを特徴とする。望ましくは、前記各回路セグメントの要素遅延量は、遅延量の制御単位aの整数倍であることを特徴とする。望ましくは、前記各回路セグメントの要素遅延量は、遅延量の制御単位aの2n倍(nは整数)であることを特徴とする。
上記遅延回路は、例えば、超音波診断装置の送信部や受信部に利用される。各要素遅延回路の遅延量は、比較的小さな遅延量から比較的大きな遅延量まで段階的に設定しておくことが好ましい。各要素遅延回路は、CCD回路やLC回路などで実現することができる。例えばLC回路では、インダクタやキャパシタの素子定数を適宜設定することにより、比較的大きな遅延量を数個の素子数で実現することができ、回路規模の増大を抑えることができる。さらに、上記遅延回路では、遅延量が段階的に設定された各要素遅延回路を選択的に組み合わせて利用するため、例えば、最小の遅延量に設定された要素遅延回路を組み合わせの一部に取り込むことで、高精度の遅延処理が可能になる。
また、上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、超音波を送受波する複数の振動素子と、前記各振動素子に対応した遅延処理を施す遅延回路を含む送受信部と、前記送受信部で形成された受信信号に基づいて画像データを形成する画像形成部と、前記画像データに対応した超音波画像を表示する表示部と、を有し、前記遅延回路は、直列接続された、互いに異なる要素遅延量の複数の回路セグメントを含み、前記複数の回路セグメントから1または複数の回路セグメントが選択され、選択された回路セグメントに対応した要素遅延量の組み合わせにより、前記各振動素子に対応した所望の遅延量が設定されることを特徴とする。
本発明により、新たな回路構成による改良された遅延回路が提供される。例えば、高精度な遅延制御と回路規模の縮小化とを両立させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る遅延回路の好適な実施形態が示されており、図1は、その遅延回路を用いた超音波診断装置の全体構成図である。
複数の振動素子10は、被検体に超音波を送波し、また、被検体からのエコーを受波して電気的な信号に変換する。複数の振動素子10は、2次元エコーデータ取得用の1次元振動素子アレイを構成してもよく、3次元エコーデータ取得用の2次元振動素子アレイを構成してもよい。
送受信回路12は、各振動素子10に対してそれぞれ適切な遅延量を与えた駆動信号を供給することにより、複数の振動素子10から発せられる送信超音波を指向性のある送信ビームとする。また、送受信回路12は、各振動素子10から出力される受信信号に対してそれぞれ適切な遅延量を与えて加算処理(整相加算処理)し、送信ビーム方向に対応した受信信号を形成する。
送受信制御部16は、送受信回路12を制御することにより送信ビームを走査させて、各送信ビーム方向に対応した受信信号を取得する。つまり、複数の振動素子10が1次元振動素子アレイを構成している場合、送信ビームを所定の面に沿って2次元的に走査させて各送信ビーム方向で受信信号を取得し、また、複数の振動素子10が2次元振動素子アレイを構成している場合、送信ビームを所定の空間内で3次的に走査させて各送信ビーム方向で受信信号を取得する。
送受信回路12で形成された受信信号は、信号処理部18に出力される。信号処理部18は、受信信号に対して、例えばBモード画像用の信号処理を実行して画像形成部20に出力する。画像形成部20は、信号処理部18の信号処理結果から表示画像データを形成してディスプレイ22に出力する。ディスプレイ22は表示画像データに対応するBモード画像を表示する。もちろん、信号処理部18において、ドプラ信号処理を実行し、ディスプレイ22にドプラ波形やカラードプラ画像を表示させてもよい。Bモード画像、カラードプラ画像等の診断画像形成のための構成は、従来周知の一般的な構成と同様のものを用いることができる。
図2は、本発明に係る遅延回路を説明するための図である。図2には、送受信回路(図1の符号12)内に含まれる送受信兼用遅延回路30が示されている。さらに、図2には、遅延制御に必要なスイッチ制御回路50および振動素子10も示されている。送受信兼用遅延回路30およびスイッチ制御回路50は、各振動素子10ごとに設けられる。
送受信兼用遅延回路30は、複数の要素遅延回路(34,38,42,46)および複数のスイッチ(32,36,40,44)で構成され、各要素遅延回路とそれに対応するスイッチとの組による回路セグメントが直列接続されている。
送信用の遅延処理の場合、各スイッチは、対応する要素遅延回路に入力信号60を通過させてから次段のスイッチへ供給する(オン)か、あるいは、対応する要素遅延回路に入力信号60を通過させずに次段のスイッチへバイパスする(オフ)かを選択するスイッチである。つまり、送信の際には、入力信号60が図2の実線の矢印で示される経路により振動素子10へ出力される。各スイッチはスイッチ制御回路50によって制御され、各スイッチごとにオンオフ制御が行われる。
各要素遅延回路は、キャパシタやインダクタを含むLC回路で構成され、その遅延量は、遅延量a(遅延量の制御単位)に基づいて設定される。具体的には、要素遅延回路34は遅延量が512aに設定され、要素遅延回路38は遅延量が256aに設定され、要素遅延回路42は遅延量が2aに設定され、要素遅延回路46は遅延量がaに設定される。なお、図示の都合上省略しているが、要素遅延回路38の出力側とスイッチ40の入力側との間には、遅延量が128aから4aまでの要素遅延回路およびそれら各要素遅延回路に対応するスイッチが存在する。つまり、送受信兼用遅延回路30は、遅延量が2n・a(n=0〜9)の10個の要素遅延回路と各要素遅延回路に対応する10個のスイッチで構成される。
送受信兼用遅延回路30の各スイッチを制御することで、入力信号60に対して、遅延量aを最小制御量として遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。例えば、全てのスイッチをオフにすると、どの要素遅延回路も通過せずに入力信号60が駆動信号として振動素子10に出力される。入力信号60は、図示しないドライバが生成する駆動信号である。要素遅延回路を通過しないため、振動素子10に出力される駆動信号は遅延量が0となる。
また、スイッチ44のみをオンにすると、入力信号60は要素遅延回路46のみを通過するため、遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ42のみをオンにすると遅延量が2aに設定される。さらに、スイッチ44およびスイッチ40のみをオンにすると遅延量が3aに設定される。このように、各スイッチのオンオフの組み合わせにより、遅延量を4a、5a、・・・と、順次増加させることができる。ちなみに、全てのスイッチをオンとした場合、入力信号60は全ての要素遅延回路を通過するため、全ての要素遅延回路の遅延量を加算した最大遅延量1023aとなる。このように、最小制御量aで遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。
ここで、図4に示す遅延回路と、図2に示す本実施形態の遅延回路とを比較する。図4に示す遅延回路では、最小制御量aで遅延量1023aまでの各遅延量を設定するためには、要素遅延回路70が1023個も必要となるのに対し、図2の遅延回路では要素遅延回路が10個で実現される。要素遅延回路をLC回路で実現する場合、図2の各要素遅延回路は、図4の各要素遅延回路70と同程度の個数の素子数で構成することができる。このため、図4の遅延回路に比べて、図2の遅延回路は、その回路規模が圧倒的に小さくなる。
図2の送受信兼用遅延回路30において受信用の遅延処理が行われる場合、各スイッチは、振動素子10から出力される出力信号66を対応する要素遅延回路に通過させてから次段のスイッチへ供給する(オン)か、あるいは、対応する要素遅延回路に出力信号66を通過させずに次段のスイッチへバイパスする(オフ)かを選択するスイッチである。つまり、受信の際には、振動素子10から出力される出力信号66が図2の破線の矢印で示される経路により、振動素子10から送受信兼用遅延回路30を通って出力される。各スイッチはスイッチ制御回路50によって制御され、各スイッチごとにオンオフ制御が行われる。
受信用の遅延処理の場合においても、送信用の遅延処理の場合と同様に、各スイッチを制御することで、出力信号66に対して、遅延量aを最小制御量として遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。例えば、全てのスイッチをオフにすると、どの要素遅延回路も通過せずに出力信号66が出力される。要素遅延回路を通過しないため、出力信号66は遅延量が0となる。
また、スイッチ44のみをオンにすると、出力信号66は要素遅延回路46のみを通過するため、遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ40のみをオンにすると遅延量が2aに設定される。さらに、スイッチ44およびスイッチ40のみをオンにすると遅延量が3aに設定される。このように、各スイッチのオンオフの組み合わせにより、遅延量を4a、5a、・・・と、順次増加させることができる。ちなみに、全てのスイッチをオンとした場合、出力信号66は全ての要素遅延回路を通過するため、全ての要素遅延回路の遅延量を加算した最大遅延量1023aとなる。このように、最小制御量aで遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。
送受信兼用遅延回路30の各スイッチは、スイッチ制御回路50によって制御される。スイッチ制御回路50は、送受信制御部(図1の符号16)から出力される制御信号62およびクロック64に基づいて動作する。つまり、送受信制御部は、複数の振動素子10の各々に対応するスイッチ制御回路50を制御して、各振動素子10ごとに送信遅延処理を施して送信ビームを形成させ、また、各振動素子10ごとに受信遅延処理を施して受信ビームを形成させる。各振動素子10に対応した複数の出力信号66は、送受信回路(図1の符号12)において加算され、いわゆる、整相加算処理が実行される。
送信時の遅延処理と受信時の遅延処理が一致している場合、各振動素子10に対して、送信時と受信時において同じ遅延量が設定される。したがって、スイッチ制御回路50は、各スイッチに対して、共通の制御線を利用してオンオフ制御を行うことができる。例えば、送信時にスイッチ32がオンに制御される場合、受信時にもスイッチ32がオンに制御され、また、送信時にスイッチ36がオンに制御される場合、受信時にもスイッチ36がオンに制御される。制御線を送受信兼用にすることで、制御線の数を最小限に抑えて制御動作を単純化させることができ、また、不必要な制御線を減らしてさらに回路規模を縮小化することができる。
図3は、本発明に係る他の遅延回路を説明するための図である。図3には、送受信回路(図1の符号12)内に含まれる送信用遅延回路30Tおよび受信用遅延回路30Rが示されている。つまり、送信用と受信用とで異なる遅延回路を利用する場合の回路構成が示されている。なお、図3には、遅延制御に必要なスイッチ制御回路50、送受信の切り替えを行うセレクタ52および振動素子10も示されている。送信用遅延回路30T、受信用遅延回路30R、スイッチ制御回路50およびセレクタ52は、各振動素子10ごとに設けられる。
まず、送信用遅延回路30Tについて説明する。送信用遅延回路30Tは、複数の要素遅延回路(34T,38T,42T,46T)および複数のスイッチ(32T,36T,40T,44T)で構成され、各要素遅延回路とそれに対応するスイッチとの組による回路セグメントが直列接続されている。
各スイッチは、対応する要素遅延回路に入力信号60を通過させてから次段のスイッチへ供給する(オン)か、あるいは、対応する要素遅延回路に入力信号60を通過させずに次段のスイッチへバイパスする(オフ)かを選択するスイッチである。各スイッチはスイッチ制御回路50によって制御され、各スイッチごとにオンオフ制御が行われる。
各要素遅延回路は、キャパシタやインダクタを含むLC回路で構成され、その遅延量は、遅延量a(遅延量の制御単位)に基づいて設定される。具体的には、要素遅延回路34Tは遅延量が512aに設定され、要素遅延回路38Tは遅延量が256aに設定され、要素遅延回路42Tは遅延量が2aに設定され、要素遅延回路46Tは遅延量がaに設定される。なお、図示の都合上省略しているが、要素遅延回路38Tの出力側とスイッチ40Tの入力側との間には、遅延量が128aから4aまでの要素遅延回路およびそれら各要素遅延回路に対応するスイッチが存在する。つまり、送信用遅延回路30Tは、遅延量が2n・a(n=0〜9)の10個の要素遅延回路と各要素遅延回路に対応する10個のスイッチで構成される。
送信用遅延回路30Tの各スイッチを制御することで、入力信号60に対して、遅延量aを最小制御量として遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。例えば、全てのスイッチをオフにすると、どの要素遅延回路も通過せずに入力信号60がセレクタ52を介して駆動信号として振動素子10に出力される。入力信号60は、図示しないドライバが生成する駆動信号である。要素遅延回路を通過しないため、振動素子10に出力される駆動信号は遅延量が0となる。
また、スイッチ44Tのみをオンにすると、入力信号60は要素遅延回路46Tのみを通過するため、遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ42Tのみをオンにすると遅延量が2aに設定される。さらに、スイッチ44Tおよびスイッチ40Tのみをオンにすると遅延量が3aに設定される。このように、各スイッチのオンオフの組み合わせにより、遅延量を4a、5a、・・・と、順次増加させることができる。ちなみに、全てのスイッチをオンとした場合、入力信号60は全ての要素遅延回路を通過するため、全ての要素遅延回路の遅延量を加算した最大遅延量1023aとなる。このように、最小制御量aで遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。
次に、受信用遅延回路30Rについて説明する。受信用遅延回路30Rは、複数の要素遅延回路(34R,38R,42R,46R)および複数のスイッチ(32R,36R,40R,44R)で構成され、各要素遅延回路とそれに対応するスイッチとの組による回路セグメントが直列接続されている。
受信用遅延回路30Rには、セレクタ52を介して振動素子10から出力される受信信号が供給される。各スイッチは、対応する要素遅延回路に受信信号を通過させてから次段のスイッチへ供給する(オン)か、あるいは、対応する要素遅延回路に受信信号を通過させずに次段のスイッチへバイパスする(オフ)かを選択するスイッチである。各スイッチはスイッチ制御回路50によって制御され、各スイッチごとにオンオフ制御が行われる。
受信用遅延回路30Rにおいても、送信用遅延回路30Tと同様、各要素遅延回路はLC回路で構成され、その遅延量は、遅延量a(遅延量の制御単位)に基づいて設定される。具体的には、要素遅延回路34Rは遅延量が512aに設定され、要素遅延回路38Rは遅延量が256aに設定され、要素遅延回路42Rは遅延量が2aに設定され、要素遅延回路46Rは遅延量がaに設定される。なお、図示の都合上省略しているが、要素遅延回路42Rの出力側とスイッチ36Rの入力側との間には、遅延量が128aから4aまでの要素遅延回路およびそれら各要素遅延回路に対応するスイッチが存在する。つまり、受信用遅延回路30Rは、遅延量が2n・a(n=0〜9)の10個の要素遅延回路と各要素遅延回路に対応する10個のスイッチで構成される。
受信用遅延回路30Rにおいても、送信用遅延回路30Tと同様に、各スイッチを制御することで、受信信号に対して、遅延量aを最小制御量として遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。例えば、全てのスイッチをオフにすると、どの要素遅延回路も通過せずに受信信号が出力信号66として出力される。要素遅延回路を通過しないため、出力信号66は遅延量が0となる。
また、スイッチ44Rのみをオンにすると、受信信号は要素遅延回路46Rのみを通過するため、遅延量がaに設定される。同様に、スイッチ40Rのみをオンにすると遅延量が2aに設定される。さらに、スイッチ44Rおよびスイッチ40Rのみをオンにすると遅延量が3aに設定される。このように、各スイッチのオンオフの組み合わせにより、遅延量を4a、5a、・・・と、順次増加させることができる。ちなみに、全てのスイッチをオンとした場合、受信信号は全ての要素遅延回路を通過するため、全ての要素遅延回路の遅延量を加算した最大遅延量1023aとなる。このように、最小制御量aで遅延量0から遅延量1023aまでの各遅延量を設定することができる。
送信用遅延回路30Tおよび受信用遅延回路30Rの各スイッチは、スイッチ制御回路50によって制御される。スイッチ制御回路50は、送受信制御部(図1の符号16)から出力される制御信号62およびクロック64に基づいて動作する。つまり、送受信制御部は、複数の振動素子10の各々に対応するスイッチ制御回路50を制御して、各振動素子10ごとに送信遅延処理を施して送信ビームを形成させ、また、各振動素子10ごとに受信遅延処理を施して受信ビームを形成させる。各振動素子10に対応した複数の出力信号66は、送受信回路(図1の符号12)において加算され、いわゆる、整相加算処理が実行される。
図3の回路構成では、送信用の遅延制御と受信用の遅延制御が一致していない場合に対応できる。つまり、スイッチ制御回路50は、送信用遅延回路30Tと受信用遅延回路30Rとでそれぞれ異なる制御線で制御を行う。具体的には、スイッチ44Tとスイッチ44Rに対して異なる制御線を利用し、スイッチ40Tとスイッチ40Rに対して異なる制御線を利用してオンオフ制御を行うことができる。スイッチ36Tとスイッチ36Rの組、スイッチ32Tとスイッチ32Rの組に対しても同様である。このように、送信と受信で異なる遅延制御を行うことができる。
送信と受信とで異なる遅延制御を必要とする具体例として受信多段フォーカスが挙げられる。受信多段フォーカスでは、例えば一本の送信ビームに対して、そのビーム方向上における複数のフォーカスに受信フォーカスを設定する技術である。この場合、送信ビームと受信ビームとで異なる遅延処理が必要になる。なお、受信フォーカスを複数設定する場合には、図3の受信用遅延回路30Rを複数設ける必要がある。つまり、各受信フォーカスに対応した受信用遅延回路30Rを設けて、各受信用遅延回路30Rごとに遅延制御を行って複数のフォーカスに対応した受信ビームが形成される。このように、受信用遅延回路30Rを複数設けてもよい。さらに必要に応じて、送信用遅延回路30Tを複数設けてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、図3に示す要素遅延回路46Tの後段に、遅延量が0.5aの要素遅延回路とそれに対応するスイッチを挿入することで、遅延制御の精度を2倍にすることができる。さらに、遅延量が0.25aの要素遅延回路を挿入して遅延精度を4倍にすることができるなど、本発明の遅延回路は拡張性においても優れている。
12 送受信回路、30T 送信用遅延回路、30R 受信用遅延回路。
Claims (5)
- 振動素子に対応した遅延処理を施す超音波診断装置の遅延回路において、
直列接続された、互いに異なる要素遅延量の複数の回路セグメントを有し、
前記複数の回路セグメントから1または複数の回路セグメントが選択され、選択された回路セグメントに対応した要素遅延量の組み合わせにより、前記振動素子に対応した所望の遅延量が設定される、
ことを特徴とする超音波診断装置の遅延回路。 - 請求項1に記載の遅延回路において、
前記各回路セグメントは、その回路セグメントに対応する要素遅延量に設定された要素遅延回路、および、その要素遅延回路の作動または非作動を選択するスイッチを含む、
ことを特徴とする超音波診断装置の遅延回路。 - 請求項1または2に記載の遅延回路において、
前記各回路セグメントの要素遅延量は、遅延量の制御単位aの整数倍である、
ことを特徴とする超音波診断装置の遅延回路。 - 請求項1または2に記載の遅延回路において、
前記各回路セグメントの要素遅延量は、遅延量の制御単位aの2n倍(nは整数)である、
ことを特徴とする超音波診断装置の遅延回路。 - 超音波を送受波する複数の振動素子と、
前記各振動素子に対応した遅延処理を施す遅延回路を含む送受信部と、
前記送受信部で形成された受信信号に基づいて画像データを形成する画像形成部と、
前記画像データに対応した超音波画像を表示する表示部と、
を有し、
前記遅延回路は、直列接続された、互いに異なる要素遅延量の複数の回路セグメントを含み、
前記複数の回路セグメントから1または複数の回路セグメントが選択され、選択された回路セグメントに対応した要素遅延量の組み合わせにより、前記各振動素子に対応した所望の遅延量が設定される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
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