JP2005204667A - オーファンレセプター - Google Patents

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ジョージ ジー.ジェイ.エム. クイパー
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エヴァ エンマルク
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Abstract

【課題】新規なエストロゲン・レセプター関連核レセプターの単離と該レセプターの利用方法を提供する。
【解決手段】ラット由来の特定なアミノ酸配列または特定なアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列またはそれらの配列に機能的に類似であるアミノ酸配列を有する"ERβ"と称される新規なエストロゲン・レセプター関連核レセプターまた、該レセプターをコードするDNA配列を単離する。該レセプターは、前立腺癌、良性前立腺過形成、骨粗鬆症、または心臓血管疾患のような疾患の治療のための分子を単離するのに、及びエストロゲンおよび他のホルモン的影響に関して物質をテストするのに有用であり得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、細胞核レセプターおよびその使用に関する。
細胞に、レチノイド酸(retinoid acid)、ビタミンD、ステロイドホルモンおよび甲状腺ホルモンのような分子に対する応答性を付与する、核レセプターの大きなファミリーが同定されている。広範な研究により、核レセプターのこのスーパーファミリーのメンバーが、「ホルモン応答エレメント(hormone response elements: HRE)」と呼ばれる個々別々のcis-作用エレメントへの直接的結合を介して、遺伝子転写を活性化および/または抑制していることが示されている。これらのHREは、コンセンサスのパリンドローム性6ヌクレオチドのDNAモチーフの繰返しを含むことが示されている。HREの特異性は、ハーフサイト(halfsite)(即ち、パリンドローム配列の半分)の配向、およびそれらの間のスペーシングによって決定される(非特許文献1〔ウメネソノ ケー.(Umenesono K.)ら、1991 Cell 65、1255-1266〕)。
特異的DNA結合は、2つの亜鉛フィンガーを含む高度に保存されたDNA結合ドメインによって仲介され、該ドメインは、このように発見された全ての核レセプターの間で保存されている。最初の亜鉛フィンガー(「P-ボックス」として公知)のC-末端塩基での3個のアミノ酸は、ハーフサイトのヌクレオチド配列の認識に重要である。核レセプター・スーパーファミリーのメンバーは、Pボックス内のアミノ酸配列に基づいて、種々のグループに分類されている。
核レセプター・スーパーファミリーの全メンバーはまた、高変異性(hypervariable)N-末端ドメインおよび、保存配列の幾つかの「パッチ(patch)」を含むリガンド結合ドメインも含む。これらの1つは、「Ti-ドメイン」と呼ばれている。
核レセプターであると考えられる分子は、特徴付けがなされたレセプターに構造的に関連しているので、それに対するリガンドは同定されていないが、「オーファン レセプター(orphan receptor)」と呼ばれている。多くのそのようなオーファン レセプターが、同定されている(例えば、非特許文献2〔エヴァンス アール.エム.(Evans R.M.)、(1988) Science 240、889-895〕および非特許文献3〔オマリー,ビー.(O'Malley, B.)、(1990) Mol. Endocrinol. 4 363-369〕を参照のこと)。
ウメネソノ ケー.(Umenesono K.)ら、1991 Cell 65、1255-1266 エヴァンス アール.エム.(Evans R.M.)、(1988) Science 240、889-895 オマリー,ビー.(O'Malley, B.)、(1990) Mol. Endocrinol. 4 363-369
本発明は、主に、以下の事項に関する。
〔項1〕エストロゲンレセプターERβ。
〔項2〕HUVEC及びHOS D4細胞中でERαより多い量で発現し且つ以下のようなDNA結合ドメインのアミノ酸配列を有する、単離された請求項1に記載のエストロゲンレセプターERβ:
Figure 2005204667
、又は、
Figure 2005204667

〔項3〕485個のアミノ酸を有する、請求項1又は2に記載のエストロゲンレセプターERβ。
〔項4〕哺乳動物細胞に由来する請求項1〜3のいずれかに記載のエストロゲンレセプターERβ。
〔項5〕ヒト細胞に由来する請求項4に記載のエストロゲンレセプターERβ。
〔項6〕先の請求項のいずれかに記載のエストロゲンレセプターERβをコードする単離されたDNA。
〔項7〕請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβを結合する分子を決定するためのアッセイにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβ或いは請求項6に記載のDNAの使用。
〔項8〕前立腺または卵巣の癌、良性前立腺過形成、中枢神経系の疾患、骨粗鬆症、または心臓血管疾患の治療に使用するための分子を決定するアッセイにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβ或いは請求項6に記載のDNAの使用。
〔項9〕供試化合物のERαおよび請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβへの結合を比較することを包含する薬剤デザイン方法。
〔項10〕物質の可能性のあるエストロゲン性効果のテストにおける請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβの使用。
本発明は、更に、以下の事項にも関する。
〔項11〕FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aのアミノ酸配列またはFIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列またはそれらの配列に機能的に類似であるアミノ酸配列を有するレセプター、ERβ。
〔項12〕FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示される配列と95%より多く同一であるアミノ酸配列を有する項11に記載のレセプター。
〔項13〕ラットまたはヒトの細胞に由来する項11または12に記載のレセプター。
〔項14〕エストロゲン・レセプターである項11、12または13に記載のレセプター。
〔項15〕項11、12、13または14に記載のレセプターをコードするDNA配列。
〔項16〕DNA配列がFIG.1、FIG.13BまたはFIG.14Bに示されるものであるか或いはERβの機能を有するタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列である項15に記載のDNA配列。
〔項17〕ERβと結合する分子を決定するアッセイにおける項11、12、13または14に記載のレセプター或いは項15または16に記載のDNA配列の使用。
〔項18〕ERαまたはERβ特異的疾患または状態の治療に使用するための分子を決定するアッセイにおける項11、12、13または14に記載のレセプター或いは項15または16に記載のDNA配列の使用。
〔項19〕前立腺または卵巣の癌、良性前立腺過形成、中枢神経系の疾患、骨粗鬆症、または心臓血管疾患の治療に使用するための分子を決定するアッセイにおける項11、12、13または14に記載のレセプター或いは項15または16に記載のDNA配列の使用。
〔項20〕供試化合物のERαおよびERβへの結合を比較することを包含する薬剤デザイン方法。
〔項21〕hERβおよびその機能的等価物。
〔項22〕物質の可能性のあるエストロゲン性または他のホルモン性の効果のテストにおける項11、12、13または14に記載のレセプターの使用。
我々は現在、予期せずして、先ずラットで新しいオーファン レセプターを同定し、それは公知のエストロゲン・レセプターERαに関連しており、それを"ERβ"(特に、ラットにおける"rERβ")と名付けた。本明細書で、"Erβ"は、レセプターhERβまたはrERβ或いは関連するレセプターを指すものとして使用する。rERβのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は決定されており、FIG.1に示す。我々はまた、ヒトErβつまり"hERβ"も同定し、そのアミノ酸DNA配列をFIG.13AおよびFIG.13Bにそれぞれ示す。
本発明の1つの局面に従えば、FIG.1、FIG.13AまたはFIG.16Aのアミノ酸配列またはFIG.1、FIG.13AまたはFIG.16Aに示されるアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列あるいはその配列に機能的に類似するアミノ酸配列を有し、これ以降"ERβ"と称する、新規なエストロゲン・レセプター関連核レセプターが提供される。単離されたレセプターは、心臓血管疾患、中枢神経系疾患のような疾患または状態、或いは骨粗鬆症、前立腺癌または良性の前立腺過形成の状態の治療に使用するための分子の検索に特に有用であり得る。
本発明のレセプターはまた、エストロゲン活性に関する環境中の化学物質をテストするために使用しても良い。環境に放出される種々の化学物質のヒトや動物の生殖への影響に関する関心がますます大きくなっている。鳥、魚、は虫類および幾種かの哺乳動物の生殖能力に対する脅威が明白となってきており、ヒトにおける類似の影響が問題提起されている。胎児期の重要な期間中に特定の化学物質に曝されることは、生殖器や免疫系および神経系の発生を歪めるかもしれないことを示す実質的な証拠が現在出てきている。高度に汚染された地域に棲息する例えば鳥やアザラシに見られる実際の野生生物への影響と、ヒトにおいて問題提起された影響との間の可能性のある類似に基づき、製薬的エストロゲンであるジエチルスチルベストロール(DES)に出生前に暴露されることによる文献記載されたヒト生殖効果と組合せると、「エストロゲン性」化学物質は、動物とヒトの両方の生殖能力を脅かすものと問題提起されている。ヒトの体にエストロゲン類似物(mimic)として作用する、または別の様式でヒト内分泌系を障害するものとして知られ或いは疑われている化学物質の中に、環境有害物質として既に認定されている幾つかのものがある。動物およびヒトの生殖機能の破壊の可能性のある原因として言及されている化学物質の中に、ジエルドリン、エンドスルファン類(endosulfans)、クロルダン類、エンドリン類(endrins)、アルドリン、DDTおよび幾つかのPCB類のような塩化有機化合物、ビスフェノールA(Bisphenol A)、フタレート類およびノニルフェノールのようなプラスチック、および芳香族炭化水素がある。ヒトに対して問題提起された影響の幾つかは、環境中エストロゲン類にますます暴露されていることによるものと示唆されている−実際、高い用量のエストロゲンに暴露されるときと同様の様式で高等生物が胎生期に反応する化学物質にますます曝されている。それらの影響は、例えば、性的特性の動揺および生殖能力の障害によって明示される。ヒトにおいて、乳癌および他のホルモン関連疾患の増大するリスクも、可能性のある影響として議論されている。さらに、文献に記載された「エストロゲン性」の影響に対して、環境中の汚染物質も、エストロゲン経路とは別のホルモン経路に作用し得ることが最近実証されている−DDTの主たる代謝物(ヒトにおいても)であるp,p'-DDEがかなりの抗アンドロゲン剤であることが示されている(ケルセ ダブリュ.アール.(Kelce W.R.)ら、Nature 1995 375: 581-585)。しかしながら、これらの問題に対する疫学的研究は、現在のところ解釈に困窮している。にもかかわらず、これらのホルモンを混乱させる可能性のある化学物質に反対するますます増大する意見と、政府機関および企業が行動することへの非常に明白な大衆的および環境的要求がある。本発明のレセプター、Erβおよび古典的エストロゲン・レセプターとの間の類似性に鑑みて、Erβは、化学物質のエストロゲン的影響をテストするのに使用し得る。
FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示される配列と機能的に類似するアミノ酸配列は、種々の哺乳動物種に由来するものであって良い。
FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示される配列と約89%より多く同一であるアミノ酸配列は、本出願の目的のために実質的に同じアミノ酸配列である。好ましくは、アミノ酸配列は、FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示される配列と約95%より多く同一である。
本発明の他の局面に従えば、本発明の最初の局面に従う核レセプターをコードするDNA配列が提供される。好ましくは、そのDNA配列は、FIG.1、FIG.13AまたはFIG.14Aに示されるもの、或いはERβの機能を有するタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列である。
ERβは、ラットのエストロゲン・レセプターと、特にそのDNA結合ドメインが非常に相同である点でユニークである。ERβは、非常に限定された組織分布を有するように見える。雌ラットでは、それは卵巣にのみ存在するように見え、雄ラットでは、前立腺および精巣に存在するように見える。これらの組織は、エストロゲン作用の古典的標的物であるので、ERβはエストロゲンの幾つかの効果を仲介するかもしれないと推論できる。
ERαおよびERβの異なるリガンド特異性は、いずれかのレセプターに選択的である薬学的物質をデザインするのに活用し得る。特に、リガンド特異性の相違は、閉経後の女性の心臓血管疾患または骨粗鬆症を特に標的とする薬剤を開発するのに使用し得る。
以下、本発明の実施例を記載するが、かかる実施例は、本発明をより容易に理解するためのものであって本発明を限定することを意図しない。
本発明の核レセプターであるERβ、その産生方法、およびその機能に関するテストは、添付の図面であるFIG.1〜15を参照して実施例のみにより説明される。
A.ラットERβのクローニング
1.PCR-増幅および相補的DNAクローニング
核レセプター・ファミリーのメンバーの最も高度に保存された配列であるDNA結合ドメイン(P-ボックス)およびリガンド結合ドメイン(Ti-ストレッチ)に従って、1セットの同義性プライマー(DBD 1,2,3およびWAK/FAK)を、予めデザインした(エンマルク,イー.(Enmark, E.)、カイヌ,ティー.(Kainu, T.),ペルト−フィッコ,エム.(Pelto-Huikko,M.)、およびグスタフソン,ジェイ−アー(Gustafsson,J-Å)、(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 204, 49-56)。ラット前立腺のトータルRNAから逆転写された一本鎖の相補的DNAは、エンマルク,イー.(Enmark, E.)、カイヌ,ティー.(Kainu, T.)、ペルト−フィッコ,エム.(Pelto-Huikko,M.)およびグスタフソン,ジェイ−アー(Gustafsson,J-Å)、(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 204, 49-56に記載されるように、PCR反応においてプライマーとともに使用した。増幅産物は、2%低融解アガロースゲル上で分離し、400bp〜700bpのDNA産物をゲルから単離し、TAクローニング・ベクター(インヴィトロゲン(Invitrogen))に連結した。選択肢として、我々は、ヒロセ,ティー.(Hirose T.)、ヒジモト,ダブリュ.(Fijimoto, W.)、ヤマアイ,ティー.(Yamaai, T.)、キム,ケー.エイチ.(Kim, K.H.)、マツウラ,エイチ.(Matsuura, H.)、およびジェッテン,エイ.エム(Jetten, A.M)(1994) Mol. Endocrinol. 8, 1667-1677およびチャン,シー.(Chang, C.)、ロペス ダシルヴァ,エス.(Lopes Da Silva, S.)、イデタ,アール.(Ideta, R.)、リー,ワイ.(Lee, Y.)、イェー,エス.(Yeh, S.)、およびバーバッハ,ジェイ.ピー.エイチ(Burbach, J.P.H)(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. 91, 6040-6044にそれぞれ正確に記載されるように、核レセプターのDNA結合ドメイン中のRP-I/RP-2およびDBD66-100/DBD210-238プライマー・セットも使用した。462bpの長さを有するクローン番号29(DBD-WAK/FAKセットを用いて得た)は、ラット子宮から既にクローニングされていたラットのエストロゲン・レセプターcDNA(65%)[(コイケ,エス.(Koike, S.)、サカイ,エム.(Sakai, M.)およびムラマツ,エム.(Muramatsu, M.)(1987) Nucleic Acids Res 15, 2499-2513)]と高い相同性(65%)を示した。クローン29 DNA配列より推定されるアミノ酸残基は、このDNAフラグメントが、核レセプター・ファミリーの新規なメンバーのDNA結合ドメインの一部、ヒンジ領域およびリガンド結合ドメインの開始部をコードすることを示唆した。新規なレセプターのヒンジ領域からなる204bpのプローブを生ずるために2つのPCRプライマー(FIG.1)を使用し、そのプローブを使用してラット前立腺cDNAライブラリー(クロンテック(Clontech) gt10)をストリンジェントな条件下でスクリーニングし、サイズがそれぞれ0.9kb、1.8kb、2.5kbおよび5-6kbの4つの強い陽性クローンを得た。2.5kbのクローンが配列決定され、FIG.1は、両方のストランドに対して蛍光ターミネーター(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))をクローン29の1シリーズの内部プライマーとともに用いたサイクル配列決定によりコア・ファシリティ(サイバージーン・エービー(CyberGene AB))中に決定されたヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。2つのインフレームATGコドンは、ヌクレオチド424とヌクレオチド448に位置し、ヌクレオチド319でインフレーム停止コドンに先行され、このことは、それらが可能性のある開始コドンであることを示唆する。オープンリーディングフレームは、54.2 kDaの計算分子量を有する485アミノ酸残基(最初のメチオニンから数えて)のタンパク質をコードしている。ウサギ網状赤血球ライゼート中でクローン29 cRNAからインビトロ翻訳により合成されたタンパク質を分析すると、SDS-PAGEゲル上で約57 kDaに移動するダブレットのタンパク質バンドが明らかに示され(データは示されていない)、オープンリーディングフレームを確認した。ダブレットのタンパク質バンドは恐らく、タンパク質合成の開始のための両ATGコドンの使用によって生じる。クローン29のタンパク質のアミノ酸配列は、特徴的な亜鉛モジュールのDNA結合ドメイン、ヒンジ領域および推定リガンド結合ドメインを示し、それらは核レセプター・ファミリーのメンバーの特徴である(ツァイ,エム−ジェイ.(Tsai, M-J.)、およびオマリー,ビー.ダブリュ(O'Malley, B.W)(1994) Annu. Rev. Biochem. 63, 451-486;ハード,ティー.(Hard, T.)およびグスタフソン,ジェイ.エー.(Gustafsson, J-Å)(1993) Acc. Chem. Res. 26, 644-650;ラウデット,ヴィ.(Laudet, V.)、ハンニ,シー.(Hanni, C.)、コリ,ジェイ.(Coli, J.)、カッツェフリス,エフ.(Catzeflis, F.)、およびステヘリン,ディー(Stehelin, D)(1992) EMBL J. 11, 1003-1012)。
核レセプター・ファミリーの幾つかの代表的メンバーとのタンパク質配列比較(FIG.2)は、クローン29タンパク質が、子宮からクローニングした(コイケ,エス.(Koike, S.)、サカイ,エム(Sakai, M)、およびムラマツ,エム.(Muramatsu, M.) Nucleic. Acids Res. 15, 2499-2513)ラットのエストロゲン・レセプター(ERα)に最も関連し、DNA-結合ドメイン(アミノ酸残基103-167)(グリフィスス,ケー.(Griffiths, K.)、デヴィーズ,ピー.(Davies, P.)、イートン,シー.アイ.(Eaton, C.I.)、ハーパー,エム.イー.(Harper M.E.)、タークス,エー.(Turkes, A.)、およびピーリング,ダブリュ.ビー.(Peeling, W.B.)(1991) Endocrine Dependent Tumours, ヴォイト,ケー−ディー.(Voigt, K-D.)およびクナッベ,シー.(Knabbe, C.)編、(ラーベンプレス(Raven Press)),pp.83-125)中に95%同一性があることを示した。
多くの機能的特徴が、核レセプターのDNA-結合ドメイン内に同定されている(ハード,ティー.(Hard, T.)、およびグスタフソン,ジェイ.アー.(Gustafsson, J.Å.)(1993) Acc. Chem. Res. 26, 644-650およびジリアクス,ジェイ.(Zilliacus, J.)、カールステット−デューク,ジェイ.(Carlstedt-Duke, J.)、グスタフソン,ジェイ.アー.(Gustafsson, J.Å.)、およびライト,エー.ピー.エイチ.(Wright, A.P.H.)(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 4175-4179)。いわゆるP-ボックスは、応答エレメント内にコアのハーフサイトのヌクレオチド配列認識を特定するが、D-ボックスは、レセプター・モノマー間のダイマー化を仲介する。クローン29タンパク質のP-ボックスおよびD-ボックス配列であるEGCKAおよびPATNQはそれぞれ、ERα(ハード,ティー.(Hard, T.)、およびグスタフソン,ジェイ.アー.(Gustafsson, J.Å.)(1993) Acc. Chem. Res. 26, 644-650およびコイケ,エス.(Koike, S.)、サカイ,エム.(Sakai, M.)およびムラマツ,エム.(Muramatsu, M.) Nucleic. Acids Res. 15, 2499-2513)中の対応するボックスに同一であり、従って、クローン29タンパク質がERE配列に結合することを予測させる。
クローン29タンパク質の推定リガンド結合ドメイン(LBD)(アミノ酸残基259-457)は、ラットERαのLBDに最も近い相同性を示すが(FIG.2)、ヒトERR1およびERR2タンパク質(ギグエレ,ヴィ.(Giguere, V.)、ヤン,エヌ.(Yang, N.)、セグイ,ピー.(Segui, P.)、およびエヴァンス,アール.エム.(Evans, R.M.) (1988) Nature 331, 91-94)との相同性はかなりより低い。ヒト、マウスおよびアフリカツメガエルのエストロゲン・レセプターとでは、LBD中の相同性も約55%であるが、他のステロイド・レセプターのLBDとの相同性は有意ではない(FIG.2)。ヒトERα中のシステイン残基530は、エストロゲン親和性標識の共有結合部位として同定されている(ハーロウ,ケー.ダブリュ.(Harlow, K.W.)、スミス,ディー.エヌ.(Smith, D.N.)、カッツェンレンボーゲン,ジェイ.エー.(Katzenellenbogen, J.A.)、グリーン,ジー.エル.(Greene, G.L.)、およびカッツェンレンボーゲン,ビー.エス.(Katzenellenbogen, B.S.) (1989) J. Biol. Chem. 264, 17476-17485 )。興味深いことに、クローン29タンパク質(システイン-436)並びにマウス、ラットおよびアフリカツメガエルのERαは、対応する位置にシステイン残基を有する。さらに、ヒトERα-LBDのリガンド結合ポケットに近接している又は一部分であると記載されている2つの他のアミノ酸残基(Asp 426およびGly 521)は、クローン29タンパク質のLBD(Asp 333およびGly 427)および様々な種由来のERαのLBD(20,21)中に保存されている。ERα中に同定されたリガンド依存性トランス活性化機能TAF-2(ダニエリアン,ピー.エス.(Danielian, P.S.)、ホワイト,アール.(White, R.)、リーズ,ジェイ.エー.(Lees, J.A.)、およびパーカー,エム.ジー.(Parker, M.G.) (1992) EMBO J. 11, 1025-1033)は、他の転写因子との接触に関連し、よって標的遺伝子の転写の活性化に影響すると信じられており、クローン29タンパク質に殆ど完全に保存(アミノ酸残基441-457)されている。ステロイドホルモン・レセプターは、リンタンパク質であり(クイパー,ジー.(Kuiper, G.)、およびブリンクマン,エー.オー.(Brinkmann, A.O.) (1994) Mol. Cell. Endocrinol. 100, 103-107)、ERαのN-末端ドメインおよびLBDに同定されている幾つかのリン酸化部位(アーノルド,エス.エフ.(Arnold, S.F.)、オバーン,ジェイ.ディー.(Obourn, J.D.)、ジャッフェ,エイチ.(Jaffe, H.)、およびノチズ,エー.シー.(Notides. A.C.) (1995) Mol. Endocrinol. 9, 24-33およびルゴッフ,ピー.(Le Goff, P.)、モンタノ,エム.エム.(Montano, M.M.)、ショーディン,ディー.ジェイ.(Shodin, D.J.)およびカッツェンレンボーゲン,ビー.エス(Katzenellenbogen, B.S) (1994) J. Biol. Chem. 269, 4458-4466)はクローン29タンパク質に保存(Ser 30および42、Tyr 443)されている。クローン29タンパク質は、485アミノ酸残基からなるが、ヒト、マウスおよびラットからのERαは、590-600アミノ酸残基からなる。主たる相違点は、クローン29タンパク質中のかなりより短いN-末端ドメインであり、即ち、他のレセプタータンパク質中の185-190アミノ酸残基と比較して103アミノ酸残基である。さらに、ERαのC-末端での非保存性のいわゆるF-ドメインは、クローン29タンパク質中で15アミノ酸残基短い。2.6 kbの陽性クローンのcDNA挿入物を、pブルースクリプト(商標)(ストラタジーン(Stratagene))のEcoR1部位にサブクローニングした。クローン29の完全なDNA配列は、両ストランドに対して蛍光ターミネーター(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))を1シリーズの内部プライマーとともに用いたサイクル配列決定により決定した(サイバージーンエービー(CyberGene AB))。
FIG.2CおよびFIG.2Dは、ErβのリガンドおよびDNA結合ドメインを、ラット、マウスおよびヒトErαと比べて、それぞれ比較している。
2.飽和リガンド結合分析およびリガンド競合研究:
クローン29 cDNAを、pブルースクリプト中のT7プロモーターの下流にサブクローニングしてp29-77を得た。クローン29タンパク質を、TnT-カップリングした網状赤血球ライゼート・システム(プロメガ(Promega))を用いてインビトロで合成した。翻訳反応混合物を、TEDGMo緩衝液(40 mm Tris/HCl, pH 7.4, 1 mM EDTA, 10% (v/v)グリセロール, 10 mM Na2MoO4, 10 mM DTT)で5倍に希釈し、0.1 mlアリコートを、0.3-6.2 nM [2,4,6,7-3H]-17β-エストラジオール(NEN-デュポン;比放射能 85 Ci/mmol)とともに、200倍過剰の非標識E2の存在下または非存在下に、16時間8℃にてインキュベートした。
FIG.5Aは、クローン29タンパク質の飽和リガンド分析の結果を示す。クローン29タンパク質を含む網状赤血球ライゼートを、0.3〜6.0 nMの6つの濃度の[3H]E2とともにインキュベートした。並行する試験管は、さらに200倍の非放射性E2を含んでいた。結合したリガンドと遊離のリガンドを、デキストラン被覆チャーコール・アッセイで分離した。Kd(0.6 nM)は、Scatchardプロットの直線の傾き(r=0.93)から計算し、結合部位の数は、横軸の切片(Bmax=1400 fmol/ml 稀釈していない翻訳混合物)から推測した。
リガンド競合研究のために、希釈した網状赤血球ライゼートを、5 nM [2,4,6,7-3H]-17β-エストラジオールとともに、0、5、50、500または5,000 nMの非放射性E2、エストロン、エストリオール、テストステロン、プロゲステロン、コルチコステロン、5α-アンドロスタン-3β,17β-ジオール、5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールおよびジエチルスチルベストロール(DCES)のいずれかの存在下に、16時間8℃にてインキュベートした。結合または非結合のステロイドを、デキストラン被覆チャーコール・アッセイ(エクマン,ピー.(Ekman, P.)、バラック,イー.アール.(Barrack, E.R.)、グリーン,ジー.エル.(Greene, G.L.)、ジェンセン,イー.ヴィ.(Jensen, E.V.)、およびウォルシュ,ピー.シー.(Walsh, P.C) (1983) J. Clin. Endocrinol Metab. 57, 166-176)で分離した。
FIG.5Bは、クローン29タンパク質によるリガンド結合の特異性を示す。クローン29タンパク質を含む網状赤血球ライゼートを、5 nM [3H] E2および表示される倍過剰の競合物とともに16時間平衡化した。データは、非標識E2、テストステロン(T)、プロゲステロン(prog)、コルチコステロン(cortico)、エストロン(E1)、ジエチルスチルベストロール(DES)、5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオール(3α-AD)、5α-アンドロスタン-3β,17β-ジオール(3β-AD)およびエストリオール(E3)の存在下での、[3H] E2結合を示す。競合物の非存在下での[3H] E2結合を、100%にセットしていた。
3.In-site ハイブリダイゼーション:
in-site ハイブリダイゼーションを、既に記載(ダガーリンド,アー.(Dagerling Å.)、フリベルク,ケー.(Friberg, K.)、ビーン,エー.ジェイ.(Bean, A.J.)およびヘックフェルト,ティー.(Hokfelt, T) (1992) Histochemistry 98, 39-49)されているように行った。簡単に述べると、ヌクレオチド994-1041およびヌクレオチド1981-2031に対する2つのオリゴヌクレオチド・プローブをそれぞれ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(アマーシャム(Amersham)、イギリス)を用いて33P-dATPで3'-末端標識した。成熟した雄および雌のSprague-Dawleyラット(2〜3ヶ月齢、n=10)を、この研究のために使用した。ラットを屠殺し、組織を直ちに切り出し、ドライアイス上で凍らせた。組織を、Microm HM500低温維持装置の中で14 μmに切片化し、Probe-Onスライドグラス(フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)、ペンシルベニア州、米国)上に解凍した。スライドグラスを、使用するまで-20℃で保存した。スライドグラスを、湿潤した箱内で42℃にて18時間、50%ホルムアミド、4 x SSC(1 x SSC=0.15M NaCl, 0.015 M クエン酸ナトリウム)、1 x デンハルト(0.02% BSA, 0.02% Ficoll, 0.02% PVP)、1% サルコシル、0.02 M リン酸ナトリウム(pH 7)、10% デキストラン硫酸、500μg/ml サケ精子DNA および200mM DTTを含むハイブリダイゼーション溶液中で、1 x 106 cpmプローブとともにインキュベートした。続いて、1 x SSC中でスライドグラスを、SSCを4回変えて55℃にて60分間すすぎ、最後に1 x SSC中で、55℃から始めてゆっくりと室温に冷やし、蒸留水に移し、50%および95%エタノール中で簡単にそれぞれ30秒間脱水し、風乾し、アマーシャム(Amersham)のβ-マン・オートラジオグラフィ・フィルムで15〜30日間覆った。或いは、スライドグラスを、Kodak NTB2核トラック乳濁液(蒸留水で1:1に希釈)中に浸漬し、30〜60日間4℃に曝した。最後に、切片をクレシルバイオレットで染色した。
クローン29の明らかな発現が、雄および雌両方のラットの生殖路に観察されたが、他の全てのラット組織では発現は非常に低いか又はin-site ハイブリダイゼーションによる検出レベル以下であった(示されていない)。雄の生殖器では、前立腺で高い発現が見られた(FIG.3)が、精巣、精巣上体および精嚢では非常に低い発現が観察された(示されていない)。浸漬した切片では、前立腺上皮細胞(分泌腺胞)で発現は明確に見てとれたが、支質(stroma)中の平滑筋細胞および線維芽細胞で発現は低かった(FIG.3)。雌の生殖器では、発現は卵巣に見られた(FIG.4)が、子宮および膣では陰性であった(示されていない)。浸漬切片では、高い発現が、一次、二次および成熟卵胞の顆粒膜細胞層でみられた(FIG.4)が、原始卵胞、卵母細胞および黄体は完全に陰性に見えた。卵巣の間質細胞には、低い発現が見られた。使用した両方のアンチセンスのオリゴヌクレオチド・プローブとも、同様の結果を生じた。100倍過剰のそれぞれの非標識オリゴヌクレオチド・プローブをハイブリダイゼーション反応の間に加えると、全てのシグナルを消した。
4.CHO細胞でのトランス活性化分析:
発現ベクターpCMV5(アンダーソン,エス.(Andersson, S.)、デイビス,ディー.エル.(Davis, D.L.)、ダールバック,エイチ.(Dahlback, H.)、イェルンボール,エイチ.(Jornvall, H.)、およびラッセル,ディー.ダブリュ.(Russel, D.W.) (1989) J. Biol. Chem. 264, 8222-8229)のEcoRI部位に2.6 kbのクローン29フラグメントを挿入することによって、発現ベクターpCMV29を構築した。pERE-ALPレポーター構築物は、分泌形態の胎盤アルカリ性ホスファターゼ遺伝子(バーガー,ジェイ.(Berger, J.)、ハウバー,ジェイ.(Hauber, J.)、ハウバー,アール.(Hauber, R.)、ガイガー,アール.(Geiger, R.)およびクレン,ビー.アール.(Cullen, B.R.) (1988) Gene 66, 1-10)および、グルココルチコイド応答エレメントがヴィテロゲニン・プロモーター・エストロゲン応答エレメント(ERE)で置き換えられたMMTV-LTRを含む。
CHO-K1細胞を、5% FCS(デキストラン被覆チャーコール処理されていた)および2 mM Lグルタミンを含有するフェノールレッドを含まないHam F12培地中、ウェル当り約1.7 x 105細胞で、12ウェル・プレートに播いた。24時間後、リポフェクタミン(lipofectamine)(ギブコ(Gibco))を製造元の指示に従って使用し、250 ng pERE-ALPベクターおよび50 ng pCMV29を用いてトランスフェクトした。インキュベーションの5時間後、5%血清代替物(SRC 3000、ティシューカルチャーサービスイズ リミテッド、ボトルフクレイドン(Botolph Claydon)、バッキンガム、イギリス)、2 mM Lグルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン+ホルモン類を表示されるように含む0.5 ml のフェノールレッドを含まないクーンF-12培地で洗浄し再培養した(refed)。48時間後、培地を化学発光アッセイによりアルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性について検定した。細胞培養培地10μlアリコートを、200μlアッセイ緩衝液(10 mM ジエタノールアミン pH 10.0、1 mM MgCl2および0.5 mM CSPD(トロピックスインコーポレーティッド(Tropix Inc.)、ボストン、米国))と混合し、マイクロプレート・ルミノメーター(ルミノスキャン(Luminoskan);ラブシステムズ(Labsystems),フィンランド)中で積分測定(integral measurement)を1秒間測定する前に、20分間37℃にてインキュベートした。ERE-レポーター単独のALP活性を1にセットした。
5.クローン29タンパク質のリガンド結合特異性およびトランス活性化機能:
クローン29タンパク質とDBDおよびLBD中のラットERαとの記載された高い相同性に基づいて、クローン29タンパク質は新規なERをコードするかもしれないと仮説立てられた。さらに、クローン29 RNAの高い発現を示すラットの前立腺および卵巣に対するエストロゲンの生物学的効果は周知である(グリフィスス,ケー.(Griffiths, K.)、デビーズ,ピー.(Davies, P.)、イートン,シー.アイ.(Eaton, C.I.)、ハーパー,エム.イー.(Harper, M.E.)、タークス,エー.(Turkes, A.)、およびピーリング,ダブリュ.ビー.(Peeling, W.B.) (1991) Endocrine Dependent Tumours、ヴォイト,ケー−ディー.(Voight, K-D.)、およびクナッベ,シー.(Knabbe, C.) (ラーベンプレス)(Raven Press) pp 83-125、リチャーズ,ジェイ.エス(Richards, J.S) (1994) Endocrine Rev. 15, 725-745;およびハーベニッヒト,ユー−エフ.(Habenicht, U-F.)、トゥン,ユー.ダブリュ.(Tunn, U.W.)、センゲ,ティーエイチ.(Senge, Th.)、シュローダー,アール.エイチ.(Schroder, R.H.)、シュワイカート,エイチ.ユー.(Schweikert, H.U.)、バーチ,ジー.(Bartsch, G.)、およびエルエトレビ,エム.エフ.(El Etreby, M.F.) (1993) J. Steroid Biochem. Molec. Biol. 44, 557-563)。インビトロで合成されたクローン29タンパク質のステロイド結合性を分析するために、網状赤血球ライゼートを、200倍モル過剰の非標識E2の存在下または非存在下に、増大する濃度(0.3-0.6 nM)の[3H] E2とともに、8℃にて16時間インキュベートした。飽和データの直線的変換は、0.6 nMのKd(解離定数)を有する、E2に関する結合部位の単一な集団を明らかにした(FIG.5AおよびC)。ステロイド結合特異性は、0.5、50、500および5,000 nMの非標識競合物の存在下に、5 nM[3H] E2とともに、網状赤血球ライゼートをインキュベートすることによって測定した。エストロゲンのみが結合に関して[3H] E2と十分に競合した(FIG.5B)ので、得られた競合曲線は、エストロゲン・レセプターであることを示している。特異的結合の50%阻害は、0.6倍過剰の非標識E2によって起きた;ジエチルスチルベストロール、エストリオール、エストロン、5α-アンドロスタン-3β,17β-ジオールは競合物として、5、15、50、150倍それぞれ効果がより低かった。使用した最も高い濃度(1000倍過剰)でも、テストステロン、プロゲステロン、コルチコステロンも、5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールも、十分な競合物ではなかった。測定された解離定数およびステロイド結合特異性は、ラットおよびヒトの前立腺、ラット顆粒膜細胞、ラット腔小胞および全ラット卵巣組織のERに関して既に報告されたデータ(エックマン,ピー.(Ekman, P.)、バラック,イー.アール.(Barrack, E.R.)、グリーン,ジー.エル.(Greene, G.L.)、ジェンセン,イー.ヴィ.(Jensen, E.V.)、およびウォルシュ,ピー.シー.(Walsh, P.C.) (1983) J. Clin. Endocrinol. Metab. 57, 166-176;ヴァンバーデン−ラマーズ,ダブリュ.エム.オー.(van Beurden-Lamers, W.M.O.)、ブリンクマン,エー.オー.(Brinkmann, A.O.)、ムルダー,イー.(Mulder, E.)、およびヴァンデルモレン,エイチ.(van der Molen, H.) (1974) Biochem. J 140, 495-502;クドロ,ジー.ビー.(Kudolo, G.B.)、エルダー,エム.ジー.(Elder, M.G.)およびミアット,エル.(Myatt, L.) (1984) J. Endocrinol. 102, 83-91;およびカワシマ,エム.(Kawashima, M.)、およびグリーンワルド,ジー.エス.(Greenwald, G.S.) (1993) Biology of Reprod. 48 172-179)と良く一致する。
クローン29タンパク質を飽和用量の[3H] E2で標識し、ショ糖密度勾配で分析したとき、特異的結合した放射能の単一ピークが観察された。この複合体の沈降定数は約7Sで、それは0.4 M NaClの存在下に4Sに移動した(示されていない)。クローン29タンパク質の転写調節特性を調べるために、CHO細胞をクローン29タンパク質発現ベクターおよび/またはエストロゲン応答性レポーター遺伝子構築物でトランスフェクトする、同時トランスフェクション実験を行った。細胞を、E2(クローン29)の非存在下、または100 nM E2(クローン29+E2)の存在下、または100 nM E2および12μM タモキシフェン(Tamoxifen)(クローン29+E2/Tam)の存在下に、インキュベートした。外部から加えるE2がなければ、クローン29タンパク質は、かなりの転写活性を示し、その活性は100 nM E2を添加するとさらに増大し得る(FIG.6)。10倍過剰のアンチエストロゲンであるタモキシフェンを同時に加えると、E2で刺激される活性を部分的に抑制した(FIG.6)。クローン29タンパク質の構成性転写活性は、抗エストロゲン ICI-1624384によって抑制され得た(示されていない)。野生型マウスおよびヒトのERは、転写の構成性活性化因子であり、転写活性はE2添加によりさらに刺激され得ることが、既に示されている(トゥクスカーマン,エム.(Txukerman, M.)、キシアオ−クン ツァン(Xiao-Kun Zhang)、ハーマン,ティー(Hermann, T.)、ウィルス,ケー.エヌ.(Wills, K.N.)、グラウプナー,ジー.(Graupner, G.)、およびファル,エム.(Phal, M.) (1990) New Biologist 2, 613-620およびリーズ,ジェイ.エー.(Lees, J.A.)、ファウェル,エス.イー.(Fawell, S.E.)、およびパーカー,エム.ジー.(Parker, M.G.) (1989) Nucl. Acids Res. 17, 5477-5488)。どの濃度のE2がクローン29タンパク質転写活性に影響するのかについてさらに洞察を得るために、一時的(transient)トランスフェクト実験を、増大する濃度のE2の存在下に行った。CHO細胞を、ERE-レポーター・プラスミドおよびクローン29タンパク質発現プラスミドで一時的にトランスフェクトした。細胞を、増大する濃度のE2(0.1 - 1000 nM)、エストロン(E1, 1000 nM)、5α-アンドロスタン-3β,17β-ジオール(3β-AD, 1000 nM)とともに、又はいかなるリガンドも加えずに、インキュベートした。アルカリ性ホスファターゼ活性(ALP)を記載されるように測定し、リガンド非存在下(コントロール)の活性を1にセットした。図は、3つの独立実験からの比較ALP-活性(±SD)を示す。クローン29タンパク質は、0.1 nM E2で反応し始め、1 nm〜10 nMのE2で最大刺激が観察された(FIG.7)。最大刺激因子は、E2非存在下のインキュベーションに比較して、2.6±0.5倍(平均値±SD. n=9)であった。E2に加えて、エストロンおよび5α-アンドロスタン-3β,17β-ジオールもまた、より高い濃度ではあるが、転写活性を刺激し得た(FIG.7)。デキサメタゾン、テストステロン、プロゲステロン、5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオール、甲状腺ホルモンおよび全トランス−レチノイン酸は、テストされた最も高い濃度(1000 nM)の場合でも、クローン29タンパク質の転写活性を刺激できなかった(示されていない)。同時トランスフェクション実験の結果は、FIG.5に示されるクローン29タンパク質のリガンド結合および特異性データと一致する。コントロールの実験では、野生型ヒトERαもE2の非存在下に転写活性を示し、その活性は、E2の添加により増大できた(示されていない)。
6.RT-PCRによるラットER発現の検出
ラットのERβおよびERα発現の組織特異性を、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて決定した。実験の結果を、FIG.8に示す。
B.ヒトErβの単離
1.ヒト型のErβ(hERβ)も、ヒト卵巣からクローニングした。種々の細胞におけるhERβ発現の組織特異性も、RT-PCR技法を用いて決定した。結果を、FIG.9に示す。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)では、非常に高いレベルのhERβのmRNAがあるが、同じ細胞でhERαは検出されないことが注目される。さらに、ヒト骨肉腫細胞系(HOS-D4)では、hERβはhERαと比較して、より多い量で発現されることが見い出される。
I.ヒト型のERβ(hERβ)も、クローニングされている。種々の細胞中でのhER
β発現の組織特異性も、RT-PCR技法を用いて決定した。結果をFIG.9に示す。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)では、非常に高いレベルのhERβのmRNAがあるが、同じ細胞でhERαは検出されないことが注目される。さらに、ヒト骨肉腫細胞系(HOS-D4)では、hERβはhERαと比較して、より多い量で発現されることが見い出される。
hERβの部分的DNA配列をFIG.10に示し、誘導アミノ酸配列をFIG.11に示す。
精巣からのヒトErβのクローニング
市販のヒト精巣由来のcDNA(クロンテック(Clontech)、商品番号HL1161x)を、ラットErβ cDNAのリガンド結合ドメインを含むフラグメントをプローブとして用いてスクリーニングした。約106個の組換え体をスクリーニングし、1個の陽性クローンを得た。このクローンの配列決定をすると、挿入物は1156bpであることが見い出された(FIG.13Aおよび13B)。これは、ラットErβと全体として90.0%の相同性を有するレセプターの翻訳領域の殆どに対応し、故に、ヒト型のErβを示すものと推定される。
しかしながら、クローニングされたhERβは(ラット配列と比較して)、N-末端で約47アミノ酸およびC-末端で61アミノ酸を欠いている。同じライブラリーをさらにスクリーニングしても、不成功であった。よって、残りの部分を得るために、PCR技法を用いた。オリゴヌクレオチドについて合成したのは:ラットErβの開始メチオニンと停止コドンに隣接するアミノ酸に関する全ての可能性のあるコドンをそれぞれ含む2個の同義性オリゴヌクレオチド、並びに、ヒト精巣ライブラリーから単離されたクローンで、このクローンのそれぞれの末端から約100bpに位置する配列を含む2個の特異的オリゴヌクレオチドである。オリゴのN-末端およびC-末端のペアを用いたPCRは、特異的バンドを生じ、それらをサブクローニングして配列決定した。オリジナルcDNAクローンとオーバーラップするこれら新しいクローンの部分は、これと同一である。従って、オープンリーディングフレーム全体に対応するペプチドおよびDNA配列を構築することは可能であった(FIG.13Aおよび13B)。
ヒトErβをラットErβと比較するとき、このレセプターはN-末端ドメインにおいて79.6%同一であり、DNA-結合ドメインにおいては98.5%、ヒンジでは85.6%、およびリガンド結合とF-ドメインでは91.6%同一である。これらの数値は、Erαのラット形態とヒト形態とを比較するとき見い出されているものと非常に良くマッチする。
ノーザン・ブロットを用いたヒトErβ発現の研究によると、精巣および卵巣で発現が示されている。しかしながら、前立腺での発現は、ラットで見い出されるものよりも低く見える。
ヒトErβ遺伝子は、PCTを使うと染色体14に、FISH技法を使うと領域14q22-2にマッピングされるが、ヒトErβ遺伝子は染色体6q25にマッピングされる。
2.hERαおよびrERβのリガンド結合親和性の比較
2つのエストロゲン・レセプターであるヒトErα(卵巣)(hERα)およびラットErβ(rERβ)のリガンド親和性を、結合飽和実験および結合競合実験でテストした。
レセプター・サブタイプhERαおよびrERβのcDNAを、製造元(プロメガ(Promega))の指示に従って、非放射性アミノ酸の存在下に、ウサギ網状赤血球ライゼート中でインビトロ翻訳した。
全ての実験で使用された放射性リガンドは、16α-[125I]-17β-エストラジオール([125I]-E2)(NEX-144、ニューイングランドニュクリアー(New England Nuclear))であった。結合実験の方法は、既に記載されている:サロモンソン,エム(Salomonsson M)、カールソン,ビー.(Carlsson B)、ハグブラッド ジェイ.ジェイ.(Haggblad J.J.)、Steroid Biochem. Molec. Biol. Vol. 50, No. 5/6 pp. 313-18, 1994。簡単に述べると、エストロゲン・レセプターを、平衡になるまで[125I]-E2とともにインキュベートする(16-18時間、+4℃にて)。セファデックスG25カラム上で遊離の[125I]-E2から、タンパク質結合[125I]-E2を分離して、インキュベーションを止めた。溶出液の放射能を、ガンマカウンターで測定する。
競合実験では、非放射性リガンドをDMSOに希釈し、[125I]-E2(約100-200 pM)と混合し、並行にアリコートし、最後にhERαまたはrERβを添加した。結合緩衝液中のDMSOの最終濃度は、2%であった。
実験で使用された緩衝液は、以下の組成のものであった:Hepes(pH=7.5)20 mM、KCl 150 mM、EDTA 1 mM、グリセロール(8.7%)、モノチオグリセロール 6 mM、Na3MO410 mM。
3.平衡結合飽和実験(Kd-測定)
ある範囲の濃度の[125I]-E2を、ER:sと混合し、上記のようにインキュベートし、加えた[125I]-E2から結合[125I]-E2を引き算して、遊離の[125I]-E2を決定した。結合データを、HillプロットおよびScatchardプロットによって分析した(FIG.11)。平衡結合の結果を、表1に示す。[125I]-E2に関する見かけのKd値は、2つのER:s間で異なり、おおよそ4の係数を有した;Kd(hERα):Kd(rERβ)=1:4。
表1. 2つのサブタイプに対する[125I]-E2に関する平衡解離定数
Figure 2005204667
4.競合実験(IC50決定)
実験を、上記のように行った。IC50値は、4つのパラメーターの論理分析;b=((bmax-bmin)/(1+(I/IC50)S))+bminを適用して得られ、式中、Iは結合阻害の添加濃度であり、IC50は最大結合の半分を阻害する濃度であり、Sは勾配因子である。[125I]-E2の遊離の濃度は、インキュベーションの終わりにウェルからアリコートをサンプリングし、サンプルした全放射能から結合放射能を引き算して決定した。
平衡結合実験(上記)は、[125I]-E2に関するKd値が2つのER:s間で異なることを示したので、Ki値を調べられた化合物に関して[Cheng-Prusoff式:Ki=IC50/(1+L/Kd)、(式中、Lは遊離の[125I]-E2)から]計算した。RBA(Relative Binding Affinity; 相対結合親和性)を計算するために2つのアプローチを使用した。RBA値は、IC50値またはKi値のいずれかを用いて誘導した。両アプローチで、化合物16α-ブロモ-エストラジオールに関する値を、参照値(100%)として選択した。両アプローチとも、同様の結果を与えた。結果を、FIG.12に要約する。これらの図において、"4-OH-Tam"=4-ヒドロキシ-タモキシフェン;"DES"=ジエチルスチルベストロール;"Hexestr"=ヘキセストロール;"ICI-164384"=ICI plc化合物 no.164382;"17β-E2"=17β-エストラジオール;"16a-B-E2"=16α-ブロモ-エストラジオール;"Ralox"=ラロキシフェン;および"17a-E2"=17αジオール。
結果は、ErαおよびErβが有意に異なるリガンド結合親和性を有すること−[125I]-E2に関する見かけのKd値が2つのER間で、係数が約4[(Kd(hERα):Kd(rERβ)≒1:4)異なることを示した。調べられた幾つかの化合物は、ER類に対する[125I]-E2結合の競合に有意な相違を示した。ある化合物は、rERβに比較してhERαへの[125I]-E2結合のより強力な阻害剤であることが見い出されたが、他のものは、hERαよりもrERβへの[125I]-E2結合のより強力な阻害剤であることが見い出された。
FIG.1は、ERβのアミノ酸配列およびそれをコードする遺伝子のヌクレオチド配列を示す。 図2中、FIG.2Aは、ERβおよび他のレセプターの進化を示す系統樹である。FIG.2Bは、ERβおよび特定の他のレセプターにおける種々のドメイン間の相同性を示す。 FIG.2Cは、rERβ、rERα、mERαおよびhERαのリガンド結合ドメインにおけるアミノ酸配列の整列である。 FIG.2Dは、rERβ、rERα、mERαおよびhERαのDNA結合ドメインにおけるアミノ酸配列の整列である。 FIG.3Aは、本発明のレセプターのクローンであるクローン29の強い発現を示す前立腺のフィルム・オートラジオグラフである。棒は、FIG.3Aに関しては0.7 mmを示す。FIG.3Bは、前立腺腺胞の上皮におけるクローン29に関する顕著なシグナルを示す暗視野像である。支質(stroma)は、より弱いシグナルを示す。棒は、FIG.3Bに関しては200 μmを示す。FIG.3Cは、上皮上の銀粒を示すクレシルバイオレット対比染色された切片の双極像(bipolarization image)であるが、支質の含む粒はより少ない。棒は、FIG.3Cに関しては30 μmを示す。 FIG.4Aは、種々の顕色段階での、卵胞中のクローン29の強い発現(幾つかのは、矢印で示してある)を示す卵巣のフィルム・オートラジオグラフである。間質組織(矢頭)は低いシグナルを示す。棒は、FIG.4Aに関しては0.9 mmを示す。FIG.4Bは、一次(1)、二次(2)、三次(3)および成熟(4)卵胞の顆粒細胞中のクローン29の高い発現を示す暗視野像を示す。低いシグナルは、間質組織(it)に存在する。棒は、FIG.4Bに関しては140 μmを示す。FIG.4Cは、顆粒細胞(gc)中の強いシグナルを示す卵巣の双極像であるが、卵母細胞(oc)およびカインテルナ(cainterna)(ti)は明白なシグナルを欠いている。棒は、FIG.4Cに関しては50 μmを示す。 FIG.5Aは、クローニングされたERβの飽和リガンド結合分析の結果を示す。FIG.5Bは、クローニングされたERβのリガンド結合の特異性を示す。 FIG.5Cは、ERβによるE2結合を示す。 FIG.6は、クローニングされたERβによる転写の活性化を示す。 FIG.7及びFIG.7Aは、クローニングされたERβによる種々のリガンドによる刺激を示す。 FIG.8は、ラットのエストロゲン・レセプター発現に関するRT-PCR実験の結果を示す。 FIG.9は、ヒトErβ(hERβ)の発現に関するRT-PCR実験の結果を示す。 FIG.10Aは、hERαおよびrERβによる125I-E2の結合を比較するヒルプロット(Hill plot)である。FIG.10Bは、hERαおよびrERβによる125I-E2の結合を比較するスキャッチャードプロット(Scatchard plot)である。 FIG.11Aは、hERαおよびrERβの種々のリガンドに関する比較結合親和性を示す。FIG.11Bは、FIG.12Aの詳細である。 FIG.12は、種々のエストロゲン・レセプターの整列である。 FIG.13Aは、ヒトERβのアミノ酸配列を示す。 FIG.13Bは、ヒトErβのDNA配列を示す。 FIG.14Aは、mERβのアミノ酸配列を示す。 FIG.14Bは、マウスErβのDNA配列を示す。 FIG.15は、本発明のERによる種々のフィトエストロゲン(phytoestrogen)に関するリガンド結合親和性を示す。

Claims (10)

  1. エストロゲンレセプターERβ。
  2. HUVEC及びHOS D4細胞中でERαより多い量で発現し且つ以下のようなDNA結合ドメインのアミノ酸配列を有する、単離された請求項1に記載のエストロゲンレセプターERβ:
    Figure 2005204667
    、又は、
    Figure 2005204667
  3. 485個のアミノ酸を有する、請求項1又は2に記載のエストロゲンレセプターERβ。
  4. 哺乳動物細胞に由来する請求項1〜3のいずれかに記載のエストロゲンレセプターERβ。
  5. ヒト細胞に由来する請求項4に記載のエストロゲンレセプターERβ。
  6. 先の請求項のいずれかに記載のエストロゲンレセプターERβをコードする単離されたDNA。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβを結合する分子を決定するためのアッセイにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβ或いは請求項6に記載のDNAの使用。
  8. 前立腺または卵巣の癌、良性前立腺過形成、中枢神経系の疾患、骨粗鬆症、または心臓血管疾患の治療に使用するための分子を決定するアッセイにおける、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβ或いは請求項6に記載のDNAの使用。
  9. 供試化合物のERαおよび請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβへの結合を比較することを包含する薬剤デザイン方法。
  10. 物質の可能性のあるエストロゲン性効果のテストにおける請求項1〜5のいずれか一項に記載のエストロゲンレセプターERβの使用。
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