JP2005201331A - 合成樹脂製プーリ - Google Patents

合成樹脂製プーリ Download PDF

Info

Publication number
JP2005201331A
JP2005201331A JP2004007080A JP2004007080A JP2005201331A JP 2005201331 A JP2005201331 A JP 2005201331A JP 2004007080 A JP2004007080 A JP 2004007080A JP 2004007080 A JP2004007080 A JP 2004007080A JP 2005201331 A JP2005201331 A JP 2005201331A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
synthetic resin
pulley
polyamide
rolling bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004007080A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiko Uchiyama
貴彦 内山
Magozo Hamamoto
孫三 浜本
Shigeaki Aihara
成明 相原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2004007080A priority Critical patent/JP2005201331A/ja
Publication of JP2005201331A publication Critical patent/JP2005201331A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 軽量かつ低コストであり、長期にわたって耐摩耗性に優れた合成樹脂製プーリを提供する。
【解決手段】 軸を中心に回転する外輪23を備える転がり軸受20と、該転がり軸受20の外輪23の周囲に該外輪23と一体的に形成された樹脂部10と、を備える合成樹脂製プーリ1において、樹脂部10をポリアミド46樹脂組成物で構成する。このような合成樹脂製プーリ1は、耐摩耗性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は合成樹脂製プーリに関し、特に耐摩耗性に優れた合成樹脂製プーリに関する。
アイドラプーリは、例えば、自動車用エンジンの補機あるいはカムシャフトを駆動するための無端ベルトやタイミングベルト(以下、単に「ベルト」とする。)に所望の張力を付与するために、あるいは、ベルトの巻き掛け角を確保すべくこのベルトを案内する等のために、使用されている。
図7には、合成樹脂製のアイドラプーリを使用した張力付与装置140の例が示されている。まず、この張力付与装置140について説明する。図7において張力付与装置140は、アイドラプーリ90と、該アイドラプーリ90を支持する支持軸40を取り付けた調整ボルト61と、該調整ボルト61を支持し、シリンダブロック等の張力付与装置140を設置すべき部分に固定されるベースプレート30と、を備えている。
ベースプレート30は、同図ではその一端部に垂直に折れ曲がった折曲げ板部31を有する略平板状部材である。この折曲げ板部31には、ねじ孔33が設けられており、ベースプレート30の平板部分に対して平行に配される調整ボルト61が該ねじ孔33に螺合して、その長手方向に変位可能になっている。また、ベースプレート30の平板部分の一部には、調整ボルト61に沿って開口する縦長の貫通孔32が形成されており、この貫通孔32を通る支持軸40に支持されたアイドラプーリ90も、調整ボルト61の長手方向への変位に伴って、ベースプレート30に対して平行に変位する。なお、同図では、調整ボルト61には、調整ナット63とロックナット62とが螺合しており、この調整ナット63を回転させることによりアイドラプーリ90の位置を変更可能であるとともに、所望の位置になった状態でロックナット62を緊締することによりアイドラプーリ90の位置を固定可能になっている。
このように、ベースプレート30に対して平行変位可能に取り付けられたアイドラプーリ90は、転がり軸受200と、該転がり軸受200の周囲に該転がり軸受200と一体的に形成されかつ合成樹脂材料を用いて構成される樹脂部100と、からなっている。
図7の転がり軸受200は、深溝型ラジアル玉軸受であり、その内輪210が支持スリーブ41を介して支持軸40に支持されており、支持軸40を中心にして外輪230が回転可能になっている。張力付与装置140においては樹脂部100の外周面100aに図示せぬベルトが掛け渡されており、樹脂部100は、接触するベルトの移動に伴って回転しつつ、ベルトに押し付けられたその外周面100aによってベルトに張力を付与する。この張力の大きさは、アイドラプーリ90を上述のように移動させることによって調整可能である。
このようにして使用される合成樹脂製のアイドラプーリ90は、樹脂部100を成形するための金型と転がり軸受200の外輪230とを組み合わせた状態において、該金型の内面と該外輪230の外面とによって形成されるキャビティに溶融樹脂を注入し、固化させることによって、樹脂部100と外輪230とが一体的に形成されている。
一方、アイドラプーリ90はこのような合成樹脂製のものに限られず、鋼板等の金属板にプレス加工を施して造った金属部品を転がり軸受の外輪の周囲に外嵌固定してなる、いわゆるプレースプーリも従来から広く使用されている。
しかしながら、特に近年においては、アイドラプーリの軽量化及び低コスト化を図れることから、合成樹脂製のアイドラプーリの採用が増加しつつあり、特許文献1にもこのような合成樹脂製プーリの例が示されている。特許文献1においては、合成樹脂製のアイドラプーリの外周面の耐摩耗性を高めるために、該外周面にセラミック溶射を施す技術が開示されている。すなわち、ガラス繊維を含有するポリアミド66やポリアミド612等で合成樹脂製のアイドラプーリの樹脂部を作製し、砂塵の組成に近いSiO2及びAl23を主体とするセラミックス被膜を樹脂部の外周面に溶射によって形成する。これにより、合成樹脂製のアイドラプーリの外周面とベルトとの間に砂塵が侵入しても該外周面が摩耗しにくいとされている。
特開平7−12206号公報
上述のように、合成樹脂製のアイドラプーリを使用することにより、従来から広く使用されていたプレスプーリに比べて、張力付与装置等の軽量化及びコスト低減を図ることができる。しかしながら、未舗装路等の塵埃の多い環境で合成樹脂製のアイドラプーリ90が使用された場合には、ベルトを案内する外周面100aの摩耗が大きくなるため、ベルトの張力が低下し、ベルトが振れを伴いながら走行したり、あるいは、アイドラプーリ90及びこのアイドラプーリ90を支持するベースプレート30(図7参照)が振動することにより、不快な異音が発生し易くなったりすることがあった。また、最悪の場合には、アイドラプーリ90の外周面100aからベルトが外れて、このベルトによる駆動部材から従動部材への動力の伝達が不能となるおそれがある。このため、合成樹脂製のアイドラプーリ90については、ベルトに接触する外周面100aの耐摩耗性を向上させることが、製品の品質を確保するために重要な課題となっている。
この点、上述の特許文献1の合成樹脂製のアイドラプーリのように、合成樹脂製のアイドラプーリの外周面にセラミック溶射皮膜を形成させれば、外周面の耐摩耗性を向上させることができる。しかしながら、セラミック溶射皮膜は、基材となる合成樹脂と比較して剛性が非常に大きくて脆い。しかも、合成樹脂との密着性も劣るため、ベルトの張力によってプーリが変形した場合にはセラミック溶射皮膜が破損剥離しやすい。また、自動車に搭載される場合には、合成樹脂製のアイドラプーリを取り巻く雰囲気が−40℃程度の低温から120℃の高温まで変化し、さらに運転時にはより高温になる可能性がある。このような環境で使用された場合には、基材となる合成樹脂の線膨張率がセラミック溶射皮膜の線膨張率よりもはるかに大きいため、該セラミック溶射皮膜が破損剥離しやすい。従って、このようなセラミック溶射皮膜を外周面に形成した合成樹脂製のアイドラプーリは、長期にわたって耐摩耗性を維持することが困難であるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、軽量かつ低コストであり、長期にわたって耐摩耗性に優れた合成樹脂製プーリを提供することを目的とする。
本発明の請求項1による合成樹脂製プーリは、軸を中心に回転する回転輪を備える転がり軸受と、該転がり軸受の回転輪の周囲に該回転輪と一体的に形成された樹脂部と、を備える合成樹脂製プーリにおいて、前記樹脂部をポリアミド46樹脂組成物で構成したことを特徴とする。
このような構成の合成樹脂製プーリであれば、ポリアミド46樹脂の強度が強いので、樹脂部の外周面が耐摩耗性に優れる。このため、塵埃の多い環境で使用されても、長期間にわたって安定して動作する。
本発明の請求項2による合成樹脂製プーリは、外周面がポリアミド46樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
本発明の請求項3による合成樹脂製プーリは、請求項1又は2において、前記ポリアミド46樹脂組成物は、10質量%以上のガラス繊維を含有することを特徴とする。
10質量%以上のガラス繊維を添加することにより、合成樹脂製プーリは、より優れた耐摩耗性及び耐衝撃性を発揮する。
本発明の合成樹脂製プーリは、樹脂部がポリアミド46樹脂組成物で構成されるので、耐摩耗性に優れ、長期にわたって安定して使用可能である。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態の合成樹脂製プーリを示す正面図、図2は図1の合成樹脂製プーリのA−A線断面図である。
図1及び図2において、本発明の合成樹脂製プーリ1は、転がり軸受20と、樹脂部10と、を備える。
同図の転がり軸受20は、図示せぬ軸に取り付けられる内輪21と、軸を中心に回転する外輪23と、を備えるラジアル転がり軸受として構成されている。
樹脂部10は、転がり軸受20の外輪23の周囲に該外輪23と一体的に形成されている。具体的には、同図の樹脂部10は、互いに同心に設けられた外径側円筒部16及び内径側円筒部15と、該外径側円筒部16及び内径側円筒部15を連結する円輪板17と、該円輪板17の両面に設けられ外径側円筒部16及び内径側円筒部15を補強する複数の補強リブ18と、から形成されている。
この外径側円筒部16はベルトに接触する外周面を有している。また、内径側円筒部15は内周側に凹状の溝を有しており、該溝には転がり軸受20の外輪23が嵌合するようにして固定されている。この凹状の溝は、樹脂部10の成形過程において、樹脂部10を成形するための金型と転がり軸受の外輪とを組み合わせた状態において、該金型の内面と該外輪の外周面及び両端面とによって形成されるキャビティに溶融樹脂を注入し、固化させることによって形成されるものである。これにより、樹脂部10と転がり軸受20の外輪23とが一体的に形成される。
なお、本実施形態では、内径側円筒部15に所定ピッチで多数のゲートが形成されており、これらのゲートから溶融樹脂が注入されるが、本発明はこれらゲートの設置位置まで限定するものではない。また、本実施形態の合成樹脂製プーリ1は公知の合成樹脂製プーリと同様の形状であるが、本発明は樹脂部の形状や軸受の形式等についてまで上述のように限定するものではない。また、本発明は、転がり軸受と転がり軸受の外周に形成される樹脂部とからなる合成樹脂製プーリのみでなく、外周面が樹脂組成物で構成されるプーリも提供する。すなわち、例えば、回転可能に支持される軸の外周に樹脂部を固定したり、あるいは、樹脂部自体が回転するように該樹脂部に軸を挿通させたりして、本発明の合成樹脂製プーリを構成してもよい。
そして、本実施形態の合成樹脂製プーリ1の樹脂部10は、ポリアミド46樹脂を母材とし、ガラス繊維等の強化繊維(繊維状充填剤)を必須に含有してなるポリアミド46樹脂組成物で構成されている。なお、本発明においては、ポリアミド46樹脂のみで樹脂部を構成してもよい。
ポリアミド46樹脂は、従来から合成樹脂プーリの樹脂部10の母材として使用されてきたポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂に比べ、樹脂本来の持つ強度、すなわち、ガラス繊維等の強化繊維を添加していない状態での強度が高い。このため、合成樹脂製プーリ1の樹脂部10の母材としてポリアミド46樹脂を用いれば、細かな塵埃によるベルト接触部分の摩耗の抑制が可能となり、耐摩耗性が良好になると思われる。
強化繊維の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、芳香族ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アルミナウィスカー、窒化アルミニウムウィスカー、ウォラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、酸化マグネシウムウィスカー、ムライトウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、グラファイトウィスカー、マグネシウムオキシサルフェートウィスカー等を例示できる。中でもガラス繊維及び炭素繊維がポリアミド46樹脂に対する補強性が良好であるため好ましい。
繊維の形態としては、アスペクト比が3〜200が好適である。なぜなら、3未満では補強効果が十分に発揮されず脆弱なものとなってしまい、逆に約200を超えると母材との混合時の均一分散が極めて困難となるためである。
また、繊維径は、平均繊維径が0.2〜30μmであることが好ましく、より好ましくは、3〜20μmである。なぜなら、平均繊維径が0.2μm未満の小径のものでは、母材と混合した際に繊維間の凝集が起こり、繊維の分散が不均一になるおそれがあるからであり、平均繊維径が30μmを超える大径のものでは、樹脂部表面の平滑性が阻害されるおそれがあるだけでなく、ベルトを傷つけるおそれがあるからである。平均繊維径が3〜20μmであれば、このような傾向が小さく好ましい結果が得られる。
強化繊維の全ポリアミド46樹脂組成物における配合割合は、10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である。なぜなら、60質量%を超えて配合しても、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下して成形性が悪くなるばかりでなく、機械的特性や寸法安定性の更なる向上が期待できず、合成樹脂製プーリに要求される特性の1つである軽量化を阻害するおそれがあるからである。逆に強化繊維の添加量が10質量%未満の場合には機械的特性の補強効果が小さく、合成樹脂製プーリに要求される剛性や耐疲労性、耐衝撃性が不足する。
また、タルク、マイカ等のミネラル(粒子状充填剤又は板状充填剤)をポリアミド46樹脂組成物に更に添加してもよい。粒子状充填剤又は板状充填剤としては、シリカ(SiO2)やアルミナ(Al23)の粒子、炭酸カルシウム(CaCO3)、タルク、マイカ、グラファイト等を使用することができる。粒子状充填剤又は板状充填剤を更に添加することにより、射出成形時の強化繊維の流動配向に起因する成形収縮の異方性が改善されるため、寸法精度の低下が抑制される。粒子状充填剤又は板状充填剤を添加する場合、その添加量は、全組成物中の10〜30質量%である。なぜならば、30質量%を超えて配合した場合、耐衝撃性が低下するからである。逆に添加量が10質量%未満の場合には成形収縮の異方性の改善効果が乏しい。なお、粒子状充填剤又は板状充填剤と、繊維状充填剤と、を合わせた添加量は、全組成物中の60質量%以下とする。なぜならば、60質量%を超えて添加した場合、成型加工性等の生産性が著しく低下するだけでなく、密度が上昇するため、合成樹脂製プーリの軽量化を阻害するおそれがある。
また、強化繊維や充填剤とポリアミド46樹脂との密着性を向上させるために、適宜シランカップリング剤等の添加剤を添加することも好ましい。
なお、本発明の目的を損わない範囲内で、ポリアミド46樹脂組成物に各種添加剤を配合してもよい。例えば、固体潤滑剤(黒鉛、六方晶窒化ホウ素、フッ素雲母、四フッ化エチレン樹脂粉末、二硫化タングステン、二硫化モリブデン等)、無機粉末、有機粉末、潤滑油、可塑剤、ゴム、樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光保護剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、流動性改良剤、熱伝導性改良剤、非粘着性付与剤、結晶化促進剤、増核剤、顔料、染料等を例示することができる。
本発明の合成樹脂製プーリに用いられるポリアミド46樹脂組成物を得るための方法は特に限定されないが、母材であるポリアミド46樹脂と各種充填剤及び添加剤を予めタンブラー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等の予備混合機を用いて混ぜ合せてから、単軸又は二軸押出し機、ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ等の公知の樹脂用混練り装置を用いて均一に混練りしたり、あるいは、母材であるポリアミド46樹脂と各種充填剤及び添加剤をそれぞれ別々に樹脂用混練り装置により混練りしたりすることが可能である。その混練り条件は、通常は母材であるポリアミド46樹脂の軟化点又は融点以上の温度で、かつ、ポリアミド46樹脂や各種添加剤が劣化をきたさない温度以下である。
また、上述のようにして得られたポリアミド46樹脂組成物から合成樹脂製プーリを製造する方法としては、樹脂組成物を金型の中で加圧しながら加熱すれば良く、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の公知の樹脂成形方法を用いることができる。射出成形によれば、低コストで合成樹脂製プーリを製造することができる。
以下、実施例について説明する。なお、本発明は、以下のような実施例により何ら制限されるものではないことは勿論である。
[種々の合成樹脂組成物で樹脂部を構成した合成樹脂製プーリについて]
本発明の効果を確認するために、種々の合成樹脂組成物で樹脂部を構成した合成樹脂製プーリについて、耐摩耗性試験を行ったので説明する。
(合成樹脂製プーリの作製について)
まず、図1及び図2に示すものと同様の構造の合成樹脂製プーリを製造した。合成樹脂製プーリ1を構成する転がり軸受20には、呼び番号が6203の単列深溝型玉軸受を用いた。また、合成樹脂製プーリ1を構成する樹脂部10の内径側円筒部15は、外径D15を45mmとし、内径(=転がり軸受20の外輪23の外径)d15を40mmとし、幅W15を17mmとした。外径側円筒部16は、外径D16を70mmとし、内径d16を65.6mmとし、幅W16を22mmとした。さらに、外輪23の幅W13を12mmとした。また、円輪板17の厚さT17を1.8mmとし、補強リブ18、18を円輪板17の各面に48本ずつ設置し、補強リブ18の厚さT18を1.2mmとした。
本試験に使用する実施例及び比較例の合成樹脂製プーリは、以下のような樹脂材料を用いて樹脂部10を構成した。
実施例1は、ガラス繊維30質量%添加ポリアミド46樹脂(以下、「PA46−GF30%」と表記することもある。)で、デイエスエムエンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名「スタニール TW241F6」である。
比較例1は、ガラス繊維30質量%添加ポリアミド6樹脂(以下、「PA6−GF30%」と表記することもある。)で、東レ株式会社製の商品名「アミラン CM1016G−30」である。
比較例2は、ガラス繊維30質量%添加ポリアミド66樹脂(以下、「PA66−GF30%」と表記することもある。)で、東レ株式会社製の商品名「アミラン CM3006G−30」である。
比較例3は、ガラス繊維30質量%添加ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT−GF30%」と表記することもある。)で、ポリプラスチックス株式会社製の商品名「ジュラネックス 3300」である。
比較例4は、ガラス繊維40質量%添加ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、「PPS−GF40%」と表記することもある。)で、ポリプラスチックス株式会社製の商品名「フォートロン 1140A1」である。
上記各種樹脂材料を合成樹脂製プーリ成形用金型(以下、単に「金型」とする。)を用いて成形した。詳細には、金型を射出成形機に取り付け、この取り付け状態で金型を開き、予め金型温度と同じ温度に予熱した転がり軸受をこの金型の所定位置に装着した後、型締めを行なった。その後、この金型の内面と、この金型に装着された外輪の外面(具体的には、外輪の外周面及び外輪の両端面の外周側よりの部分)と、によって形成されるキャビティに、溶融樹脂を射出した(注入した)。この溶融樹脂が冷却・固化した後に、金型を開いて、成形品を取り出し、樹脂部が外輪と一体的に形成された実施例及び比較例の合成樹脂製プーリを得た。
上記成形時における主な条件を以下に示す。
溶融樹脂温度:260〜320℃
金型温度 :100〜140℃
射出圧力 :100MPa
(耐摩耗性試験、及び、引張り強度の測定について)
次に、上述のようにして作製された合成樹脂製プーリについて、図3に概略を示すプーリ耐久試験機を用いて、ダスト環境下での耐摩耗性試験を行った。
図3のプーリ耐久試験機は、駆動モータにつながった駆動輪71と従動輪72とを備え、駆動輪71と従動輪72とはベルト73が架け渡されて連結されている。そして、試験対象の合成樹脂製プーリ1は、駆動輪71と従動輪72との間に設置されるとともに、ラジアル荷重Fが980N負荷され、この荷重によってその外周面16aがベルト73に押し付けられている。また、プーリ耐久試験機が置かれる雰囲気中には、関東ローム粉第8種(JIS標準粉体)をダスト濃度200g/m3でファンによって漂わせており、ダスト環境を再現している。
本試験条件は以下の通りである。
試験プーリ回転速度:8000min-1
試験時間:100時間
ベルト:バンドー化学株式会社製「バンドーリブエースオート 5PK−700」
ベルト巻き角:120°
試験温度:室温
耐摩耗性について評価するために、試験前及び試験後においてそれぞれ、合成樹脂製プーリ外周面16aのベルト接触位置(軸方向中央部)とベルト非接触位置(端部付近)との半径方向の厚みの差を株式会社東京精密製形状測定機により測定した。そして、この試験前後の測定値の差分を求めて、試験結果である摩耗深さを得た。樹脂材料と試験結果を表1に示す。
Figure 2005201331
また、樹脂本来の強度を確認するため、強化繊維を添加していない未強化の各種樹脂材料について、ASTM D638に基づきその引張り強度を測定した。具体的には、実施例1ではポリアミド46樹脂(商品名「スタニール TW300」;デイエスエムエンジニアリングプラスチックス株式会社製)について測定し、比較例1ではポリアミド6樹脂(商品名「アミラン CM1017」;東レ株式会社製)について測定し、比較例2ではポリアミド66樹脂(商品名「アミラン CM3006」;東レ株式会社製)について測定し、比較例3ではポリブチレンテレフタレート樹脂(商品名「ジュラネックス 2002」;ポリプラスチックス株式会社製)について測定し、比較例4ではポリフェニレンサルファイド樹脂(商品名「フォートロン 0220A9」;ポリプラスチックス株式会社製)について測定した。測定結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1のガラス繊維を添加したポリアミド46樹脂で樹脂部10が構成される合成樹脂製プーリは、未強化樹脂強度が大きいため非常に耐摩耗性が良好であった。
[種々の割合で強化繊維を含有するポリアミド46樹脂組成物で構成された合成樹脂製プーリについて]
次に、樹脂材料に強化繊維を添加したことによる効果を確認するため、種々の割合で強化繊維を含有するポリアミド46樹脂組成物で合成樹脂製プーリの樹脂部10を構成し、その耐摩耗性や耐衝撃性について評価したので説明する。
(合成樹脂製プーリの作製について)
まず、種々の割合で強化繊維を含有するポリアミド46樹脂組成物で樹脂部10が構成される合成樹脂製プーリを作製した。
本実施例では、材料として次のようなものを用いた。まず、ポリアミド樹脂46として、デイエスエムエンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名「スタニール TW300」を用いた。また、強化繊維としてはガラス繊維(商品名「CS 03 DE FT2A」;旭ファイバーグラス株式会社製)を用い、これを各種割合で添加してポリアミド46樹脂組成物とした。
これらの材料から次のようにして製造した。まず、所定量のポリアミド46樹脂、ガラス繊維を計量した後、二軸押出機(株式会社池貝製PCM−45)に投入して所定条件下で混練、造粒し、ペレット状のポリアミド46樹脂組成物を得た。このとき、ガラス繊維については、その折損を抑えるために混練過程の途中からサイドフィーダーを用いて投入した。そして、得られたポリアミド46樹脂組成物から実施例1と全く同一の方法で、同一形状の合成樹脂製プーリを作製した。
(耐摩耗性試験について)
上述のようにして作製された合成樹脂製プーリについて、実施例1の耐摩耗性試験と同様に、ダスト環境下での耐摩耗性試験を行った。評価結果を図4に示す。同図から明らかなように、合成樹脂製プーリの樹脂部10を構成するポリアミド46樹脂組成物中は優れた耐摩耗性を発揮するが、ポリアミド46樹脂組成物中のガラス繊維が10質量%以上であるとより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。
(耐衝撃性試験について)
さらに、上述のようにして作製された合成樹脂製プーリについて、低温下でのベルト、プーリ間への小石の噛み込みや小石の衝突を想定した耐衝撃性試験を行い、合成樹脂製プーリに要求される低温衝撃性能を確認した。
本試験では、図5に概略を示すように、合成樹脂製プーリ1の外径側円筒部16の外周面16aの軸方向中央に鋼球を落下、衝突させた後に、その合成樹脂製プーリ破損の有無を確認した。本試験の条件は以下の通りである。
試験プーリ数:10個
試験温度 :−40℃
鋼球質量 :100g
落下高さ :1m
評価結果を破損割合として図6に示した。同図から明らかなように、ガラス繊維を10質量%以上含有するポリアミド46樹脂組成物で樹脂部10を構成した合成樹脂製プーリは、低温下で優れた耐衝撃性を有しており、ガラス繊維が15質量%以上であるとより好ましい。さらに、ポリアミド46樹脂組成物中のガラス繊維が20質量%以上であると、破損割合が0%となり、最も好ましい。
実施形態の合成樹脂製プーリを示す正面図である。 図1の合成樹脂製プーリのA−A線断面図である。 耐摩耗性試験を説明する図である。 ガラス繊維含有量と摩耗量との関係を示すグラフである。 耐衝撃性試験を説明する図である。 ガラス繊維含有量と破損割合との関係を示すグラフである。 従来の合成樹脂製プーリを用いた張力付与装置を示す図である。
符号の説明
1 合成樹脂製プーリ
10 樹脂部
15 内径側円筒部
16 外径側円筒部
16a 外周面
17 円輪板
18 補強リブ
20 転がり軸受
21 内輪
23 外輪

Claims (3)

  1. 軸を中心に回転する回転輪を備える転がり軸受と、該転がり軸受の回転輪の周囲に該回転輪と一体的に形成された樹脂部と、を備える合成樹脂製プーリにおいて、
    前記樹脂部をポリアミド46樹脂組成物で構成したことを特徴とする合成樹脂製プーリ。
  2. 外周面がポリアミド46樹脂組成物で構成されることを特徴とする合成樹脂製プーリ。
  3. 前記ポリアミド46樹脂組成物は、10質量%以上のガラス繊維を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製プーリ。
JP2004007080A 2004-01-14 2004-01-14 合成樹脂製プーリ Pending JP2005201331A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004007080A JP2005201331A (ja) 2004-01-14 2004-01-14 合成樹脂製プーリ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004007080A JP2005201331A (ja) 2004-01-14 2004-01-14 合成樹脂製プーリ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005201331A true JP2005201331A (ja) 2005-07-28

Family

ID=34820848

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004007080A Pending JP2005201331A (ja) 2004-01-14 2004-01-14 合成樹脂製プーリ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005201331A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010091071A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Denso Corp 電磁クラッチ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010091071A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Denso Corp 電磁クラッチ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7772317B2 (en) Resin molding material
KR20130135379A (ko) 시일 링
EP1842879A1 (en) Polyamide resin composition and conductive shaft-shaped molded article
EP2795158B1 (en) Sliding element for use in an engine or chain transmission apparatus
JP4946498B2 (ja) 樹脂製プーリ
JP4589154B2 (ja) シールリング
JP2004092688A (ja) 樹脂製プーリ
JP4389624B2 (ja) 合成樹脂製プーリ
JP2005201331A (ja) 合成樹脂製プーリ
JP2005325346A (ja) 摺動材組成物およびその製造方法
US20090048392A1 (en) Resin Pulley and Resin Composition
JP4171899B2 (ja) 樹脂製プーリ
JP2004524473A (ja) 熱可塑性樹脂スロットルボディ
JP2703025B2 (ja) 水栓用弁装置
JP2002130295A (ja) 転がり軸受用プラスチック保持器の製造方法及び該保持器を備えた転がり軸受
JP2007192386A (ja) プーリ装置
JP2000227120A (ja) 転がり軸受
JP2008001883A (ja) フェノール樹脂成形材料
JP2007187260A (ja) 樹脂製プーリ
JP4747634B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JP4024514B2 (ja) ポリエーテル芳香族ケトン樹脂組成物並びにフィルム及びシート
JP4375081B2 (ja) 樹脂製プーリ
JP2006145044A (ja) 樹脂製プーリ
JPH11336765A (ja) 転がり軸受用プラスチック保持器
JP4062286B2 (ja) フェノール樹脂成形材料及び成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070115

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20090113

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090115

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090602