JP2005200747A - 耐デント性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネル成形後に優れた耐デント性を有する冷延鋼板、特に自動車の内板、外板部品等に適用される、高成形性高強度冷延鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.0040〜0.02%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.0%、P:0.01〜0.1%、S:0.02%以下、sol.Al:0.15〜1.5%、N:0.001〜0.005%およびNb:0.04〜0.2%を含有し、かつ、CおよびNbの含有量が1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2を満足するとともに、AlおよびNの含有量が26≦(14/27)×(Al/N)≦400を満足し、残部が実質的に鉄および不可避的不純物からなり、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の内板、外板部品等に適用される、耐デント性に優れた冷延鋼板、特に高強度冷延鋼板に関する。
近年、自動車の車体軽量化や衝突安全性能の観点から、内板、外板部品等各種自動車部品に高強度鋼板の適用化が進められている。とりわけフェンダー、サイドパネル等の自動車パネル部品に高強度鋼板を適用する際、素材には優れたプレス成形性と共に、パネル成形後の耐デント性(凹み難さ)が求められている。
プレス成形時の面歪の低減および深絞り性の向上の観点から、素材の降伏強度が低くr値が高いこと望ましく、また、パネル成形後の耐デント性の観点から、成形、塗装焼付後のパネルの降伏強度が高いこと好ましい。
このように素材ままでは低降伏強度で、成形、塗装焼付後には高降伏強度という降伏強度の観点から相反する要求がある。
この要求に対し、プレス成形時には低降伏強度でありながら、成形後の塗装焼付処理において、鋼板の固溶炭素によるひずみ時効を活用することにより、強度上昇が得られる焼付硬化性鋼板が開発されている。例えば、特許文献1および2には、深絞り用焼付硬化性高強度冷延鋼板を製造する技術が開示されている。
特開平5-112845号公報 特開平6-299290号公報
上記の特許文献1に開示された技術では、NbおよびTi添加の極低炭素鋼をベースに、Mn、Cr等の強化元素による固溶強化を利用して、36〜48kgf/mmの引張強度を有し、1.7以上のr値を有する冷延鋼板が得られている。また、パネル成形後の耐デント性に関し、プレス成形時の加工硬化量と塗装焼付処理時の焼付硬化量を2%の引張変形(一軸引張り)において、それぞれ4kgf/mm以上、2〜5kgf/mmとする事により、良好な性能が得られるとしている。
また、特許文献2に開示された技術では、アシキュラーフェライトを体積率で5%以上含有するフェライト組織により、33〜38kgf/mmの引張強度、7kgf/mm以上の焼付硬化量を有する鋼板が得られている。
しかしながら、特許文献1および2記載の従来技術は、いずれも加工硬化量、焼付硬化量など一軸引張り変形における特性値により、パネル成形後の耐デント性の向上を意図しているが、実際のプレス成形では、二軸引張り主体の成形様式となるため、この成形様式と異なる一軸の引張特性では、パネル性能を正確に評価出来ないと考えられる。
このように、従来技術ではいずれも実際のプレス成形を反映した二軸引張り変形による評価を実施していないため、良好な耐デント性を有する鋼板が得られていない。
そこで、本発明の目的は、パネル成形後に優れた耐デント性を有する冷延鋼板、特に自動車の内板、外板部品等に適用される、高成形性高強度冷延鋼板を提供する。
上記課題を解決するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(I) 質量%で、C:0.0040〜0.02%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.0%、P:0.01〜0.1%、S:0.02%以下、sol.Al:0.15〜1.5%、N:0.001〜0.005%およびNb:0.04〜0.2%を含有し、かつ、CおよびNbの含有量が下記(1)式を満足するとともに、AlおよびNの含有量が下記(2)式を満足し、残部が実質的に鉄および不可避的不純物からなり、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであることを特徴とする耐デント性に優れた冷延鋼板。

1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2 --------(1)
26≦(14/27)×(Al/N)≦400 --------(2)
(II) Ti:0.005〜0.08質量%をさらに含有することを特徴とする上記(I)に記載の耐デント性に優れた冷延鋼板。
(III) 鋼板表面に亜鉛系めっき皮膜又は有機系皮膜を有する上記(I)又は(II)に記載の耐デント性に優れた冷延鋼板。
本発明によれば、鋼組成成分および鋼中析出物の平均粒径の適正化を図ることにより、自動車内板、外板パネル部品に要求される耐デント性に優れた冷延鋼板を提供することが可能になり、本発明の冷延鋼板は、特に自動車産業界や鉄鋼業界において利用価値が大きい。
本発明者らは、ドア、フェンダー、サイドパネルなどの自動車外板部品への使用に好適な耐デント性に優れた鋼板を得るために、鋭意検討を重ねた。この結果、張出し成形などにより二軸引張り変形されたパネルの耐デント性には、二軸引張り変形下での材料の加工硬化量を上昇させる事が有効であり、自動車外板パネルに付与されるような数%程度の低いひずみ域において高い加工硬化量を得るには、鋼中の固溶炭素および固溶窒素を析出固定したIF(Interstitial Free)鋼において、変形中の転位の増殖を促進させる微細析出物をフェライト中に分散させる事が重要であり、このような微細析出物として、CおよびNbで形成されるNb炭化物と共に、AlおよびNで形成されるAl窒化物を活用する事が有効であることが分かった。以下にその内容を説明する。なお、鋼組成成分の含有量の単位である「質量%」は、以下では単に「%」で示す。
C:0.0065〜0.0085%、Si:0.05〜0.5%、Mn:1.0〜1.4%、P:0.01〜0.06%、S:0.007〜0.012%、sol.Al:0.05〜3.5%、N:0.002〜0.004%およびNb:0.02〜0.23%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物である、引張り強さTS:440〜460MPa、Nb炭化物の平均粒径:20〜50nm、Al窒化物の平均粒径:100〜200nm、板厚:0.75mmの連続焼鈍−合金化溶融亜鉛めっき処理した種々の供試鋼板について、張出し成形により2%のひずみを付与したパネルの加工硬化量、焼付硬化量、耐デント性ならびに張出し成形による限界張出し高さを求めて、CおよびNbの原子当量比である(12/93)×(Nb/C)の値、AlおよびNの原子当量比である(14/27)×(Al/N)の値で整理した結果を図1に示す。ここで、図1中の記号「○」、「□」、「△」および「×」は、加工硬化量、焼付硬化量、残留凹み量および限界張出し高さが表1に示す範囲である場合を意味する。
Figure 2005200747
なお、加工硬化量および焼付硬化量は、図2に示すように、鋼板をカマボコ型のパネルに成形(成形ひずみ:2%)した後、このパネルより採取した鋼片の引張試験を実施し、降伏強度を測定して求めた。また、耐デント性は同様の条件にて成形したパネルに170℃、20分間の熱処理を施した後、パネル頂点部において鋼製ポンチにより245N(25kgf)の荷重を付与した後の残留凹み量(mm)を測定して評価した。張出し性は、同様のカマボコ型を用いて張出し成形試験を実施し、限界張出し高さ(mm)を求めて評価した。
図1から、小さい残留凹み量と高い限界張出し高さを得るには、(12/93)×(Nb/C)の値および(14/27)×(Al/N)の値の適正範囲が存在することがわかる。
つまり、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0未満では、残留凹み量が0.23〜0.26mmと大きく、限界張出し高さは9.6〜10.2mmと低い。さらに、焼付硬化量は20〜30MPaと大きいものの、加工硬化量は30〜50MPaと低いため、耐デント性が低下するとともに、固溶Cの存在による延性の低下により張出し性が低下したものと考えられる。
また、(12/93)×(Nb/C)の値が2.2を超える場合、残留凹み量は0.19〜0.22mmと低く、耐デント性は改善されているが、張出し高さが10.5〜11.2mmと低い。Nb炭化物の増加に伴う加工硬化量の上昇により、耐デント性は向上する反面、過剰なNb炭化物による局部延性の低下により、張出し性が低下したと考えられる。
これに対し、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲では、残留凹み量が0.19〜0.22mmと低く、張出し高さが12.0〜12.5mmと高いことから、耐デント性および張出し性ともに良好であることが判った。(12/93)×(Nb/C)の値がこの範囲において、耐デント性および張出し性に好ましい形態のNb炭化物が得られていると推定される。
また、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0〜2.2の範囲であっても、(14/27)×(Al/N)の値が26〜400の範囲でなければ、張出し性と耐デント性の双方を満足させるのは難しい。
すなわち、(14/27)×(Al/N)の値が26未満では、張出し高さは12.0〜12.5mmと高く、張出し性は良好であるものの、残留凹み量が0.24〜0.27mmと高いことから、耐デント性は改善されてなく、加えて、加工硬化量が51〜69MPaと低い。これは、耐デント性の向上に寄与するAl窒化物が十分に得られていないためと考えられる。
また、(14/27)×(Al/N)の値が400を超える場合には、良好な耐デント性が得られているものの、張出し性が低下している。これは、Al窒化物の増加に伴なう加工硬化量の上昇により、耐デント性が向上する反面、過剰なAl窒化物による延性の低下により、張出し性が低下したためと考えられる。
一方、(14/27)×(Al/N)の値が26〜400の範囲では、耐デント性および張出し性のいずれもが良好であり、これは、Al窒化物の適量化により、二軸引張り変形の低ひずみ域において加工硬化の上昇に有効であり、張出し性にも寄与する析出物が得られた事によると推定される。
以上から、良好な耐デント性と張出し性を得るには、(12/93)×(Nb/C)の値および(14/27)×(Al/N)の値を、それぞれ1.0〜2.2、26〜400にする必要があることがわかる。
図3は、C:0.0065%、Si:0.2%、Mn:1.0%、P:0.07%、S:0.008%、sol.Al:0.25%、N:0.0025%、Nb:0.10%およびB:0.0005%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物である、板厚:0.75mmの焼鈍板(作製条件:スラブ加熱1150〜1300℃で1時間、熱延仕上温度870℃、熱延板熱処理640℃で0.1〜30時間、冷間圧延率75%、加熱速度1〜30℃/sおよび焼鈍温度830℃)について、二軸引張りの張出し成形における加工硬化量におよぼすNb炭化物およびAl窒化物の平均粒径の影響を示す図である。ここで、図3中の記号「○」、「△」および「×」は、加工硬化量が表2に示す範囲である場合を意味する。
Figure 2005200747
加工硬化量の測定は、上記と同様の方法にて実施し、また、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径は、透過型電子顕微鏡法(レプリカ法)により、それぞれ任意に抽出された200個分の析出物を観察して求めた。
図3から、二軸引張り変形において高い加工硬化量を得るには、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径の適正範囲が存在することが判る。
つまり、Nb炭化物の平均粒径が5nm超え10nm未満(図中の△印)では、加工硬化量が51〜69MPaと低く、更にNb炭化物の平均粒径が5nm以下(図中の×印)の場合には、加工硬化量が30〜50MPaと低下している。これは、Nb炭化物の微細化により、降伏変形後の可動転位のトラップサイトとしてのNb炭化物の効果が低下し、加工硬化に寄与する転位の増殖が抑制されたためと推定される。
また、Nb炭化物の平均粒径が200nmを超えても(図中の△印)、加工硬化量は51〜69MPaと低下しており、Nb炭化物の粗大化により転位のトラップサイトが低減した事がこの原因と考えられる。
さらに、Al窒化物の平均粒径が50nm未満或いは500nmを超える場合には、十分な加工硬化量が得られていない事から、Al窒化物の平均粒径がこの範囲では、加工硬化に好ましい析出物が得られていないと推定される。
これに対し、Nb炭化物の平均粒径が10〜200nmの範囲でかつAl窒化物の平均粒径が50〜500nmの範囲(図中の○印)では、高い加工硬化量が得られており、塑性変形の際に、転位密度の増大に有効な析出物、すなわち、耐デント性の向上に好ましい微細析出物が得られている。
以上のように、プレス成形時の高い加工硬化量により優れた耐デント性を具備すると共に、優れた張出し性を得るには、適正粒径をもつNb炭化物およびAl窒化物を有効活用して、それぞれの平均粒径を10〜200nmおよび50〜500nmとする事が重要である事を見出した。
そして、以上の知見に基づき、自動車内板、外板パネル部品に適用する際に求められる優れたプレス成形性および耐デント性を有する冷延鋼板を発明するに至った。
そこで、まず、本発明において、鋼組成成分ならびにNb炭化物およびAl窒化物の平均粒径を限定した理由について説明する。
(i)鋼組成成分
・C:0.0040〜0.02%
Nbと結合して形成される炭化物は、張出し成形などの二軸引張り変形下での加工硬化に影響をおよぼし、成形後の耐デント性の向上に寄与する。Cの添加量が0.0040%未満では、本発明で意図する耐デント性の向上に寄与する炭化物が十分に得られない。また、Cが0.02%を超えると、素材の延性が低下し、良好なプレス成形性が得られない。このため、C量は0.0040〜0.02%の範囲とし、より好適には0.0050〜0.0080%とする。
・Si:1.5%以下
Siは鋼板の強化に有効な元素である。しかし、Siの添加量が1.5%を超えると、鋼板の表面性状が劣化するため、本発明では、Si含有量を1.5%以下とする。
・Mn:0.5〜3.0%
Mnは、鋼板の強化に有効な元素であるが、Mn含有量が0.5%未満では、鋼板の強化能が十分に得られない。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、Mnの鋳造偏析により、延性の低下が顕著になり、張出し性が大幅に低下する。このため、Mn含有量は0.5〜3.0%の範囲とする。
・P:0.01〜0.1%
Pは、鋼板の強化に有効な元素であるが、P含有量が0.01%未満では、鋼板の強化能が十分に得られない。また、P含有量が0.1%を超えると、合金化溶融亜鉛めっき処理の際、めっき密着性が著しく低下する。このため、P量は0.01〜0.1%の範囲とする。
・S:0.02%以下
Sは、熱間圧延時の鋼板の脆化を抑えるため、S含有量は0.02%以下とする。
・sol.Al:0.15〜1.5%
Nと結合して形成されるAl窒化物は,上記Nb炭化物と同様、二軸引張り変形時の加工硬化の上昇に有効であり、成形後の耐デント性を向上させる効果を有する。しかしながら、Al添加量が0.15%未満ではこの効果が小さい。また、Al添加量が1.5%を超えると、この効果は飽和するばかりか、Al酸化物形成に伴なう延性の低下が顕著となる。このため、sol.Alは0.15〜1.5%の範囲とする。
・N:0.001〜0.005%
Nは、Alと形成される窒化物により、本発明の目的とする張出し性と成形後の耐デント性を向上させるのに重要な元素である。しかしながら、N含有量が0.001%未満ではこの効果は小さい。また、N含有量が0.005%を超えると、Al窒化物による局部延性の低下が著しくなる。このため、N含有量は0.001〜0.005%の範囲とする。
・Nb:0.04〜0.2%
Cと結合して形成される炭化物は、張出し成形時の鋼板の加工硬化に寄与して、成形後の耐デント性を上昇させる効果を有する。Nb含有量が0.04%未満では効果が小さい。また、Nb含有量が0.2%を超えると、過剰な炭化物形成により、鋼板の延性の低下が顕著となる。このため、Nb含有量を0.04〜0.2%の範囲とし、より好ましくは0.07〜0.13%の範囲とする。
本発明では、上記鋼組成成分に限定するのに加えて、さらに、上述したように、CおよびNbの含有量が1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2を満足するとともに、AlおよびNの含有量が26≦(14/27)×(Al/N)≦400を満足し、かつ、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであることが必要である。
・CおよびNbの含有量が1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2を満足すること
CおよびNbの含有量(%)で規定される(12/93)×(Nb/C)の値は、張出し性と成形後の耐デント性に影響をおよぼす炭化物の形態を制御するための重要なパラメーターであり、図1に示すように、(12/93)×(Nb/C)の値が1.0未満の時には、成形時の加工硬化に対する析出物の寄与は小さく、耐デント性および張出し性のいずれもが劣っている。また、(12/93)×(Nb/C)が2.2を超えると、過剰な析出物により局部延性が低下するため、張出し性が低下する。このため、本発明では、(12/93)×(Nb/C)の値を1.0〜2.2の範囲とし、より好ましくは1.4〜1.9の範囲とする。
・AlおよびNの含有量が26≦(14/27)×(Al/N)≦400を満足すること
AlおよびNの含有量(%)で規定される(14/27)×(Al/N)の値は、張出し性および耐デント性に有効な窒化物の形態を制御するための重要なパラメーターであり、図1に示すように、(14/27)×(Al/N)の値が26未満では、窒化物による成形時の加工硬化量の上昇割合は小さく、耐デント性が低下している。また、(14/27)×(Al/N)の値が400を超えると、過剰な窒化物による延性の低下により、張出し性は低下する。このため、本発明では、(14/27)×(Al/N)の値を26〜400の範囲とし、より好ましくは40〜200の範囲とする。
本発明は、鋼中に上記鋼組成成分を含有させることを必須とするが、更に必要に応じて、Ti:0.005〜0.08%を添加することが出来る。
・Ti:0.005〜0.08%
上記のような二軸引張り変形時の耐デント性と張出し性の向上に寄与する析出物形成の観点から、Tiを0.005%以上添加することは好ましい。しかし、Tiの添加童が0.08%を超えると、過剰なTi析出物の存在により、延性の低下が著しくなり、張出し性が低下する傾向がある。したがって、Tiを添加する場合、その添加量は0.005〜0.08%の範囲とする。
上記の鋼成分以外の化学成分については、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。例えば、B:0.002%以下、SbおよびSnはそれぞれ0.005%以下であれば本発明の目的とする特性に悪影響を及ぼさない。尚、本発明の上記鋼組成以外は、残部が実質的に鉄および不可避的不純物であるが、この不可避的不純物というのは、本発明の目的とする特性に悪影響を及ぼさない範囲に不可避的に鋼中に混入(含有)する不純物を意味する。
(ii)Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであること
本発明では、上記鋼組成に限定した上で、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであること必要である。図3に示すように、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmである場合に、優れた耐デント性と張出し性がえられるからである。
次に、本発明に従う冷延鋼板の製造方法の一例について以下で説明する。
まず、上記(i)で述べた鋼組成成分と同様の組成の鋼を溶製し、鋳造した後、熱間圧延を施す。溶製方法および鋳造方法は、特に限定する必要はなく、成分偏析等、特に組織が不均一でなければ良い。熱間圧延前のスラブの加熱温度は、本発明の意図する析出物を得るためから、1100〜1300℃とすることが好ましい。
熱間粗圧延した後、熱間仕上圧延を施し、コイルに巻き取る。熱間仕上圧延は、加工フェライト組織や回復フェライト組織へのNb炭化物およびAl窒化物の不均一な析出を抑制するため、Ar点を超える温度域で仕上圧延を実施する。また、コイル巻取段階において、Nb炭化物およびAl窒化物の析出促進により、固溶炭素および固溶窒素による焼鈍板の延性への悪影響を抑制するため、巻取温度の下限は500℃とし、熱延コイルの酸洗性および表層フェライト組織の粗粒化を抑制する観点から、巻取温度の上限は700℃とするのが好ましい。尚、より好ましい巻取温度の範囲は、550〜650℃である。
続いて、熱延コイルを冷間圧延した後、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっき処理を施す。冷間圧延は、プレス成形性に好ましい等軸再結晶フェライト粒を得るため、50%以上、より好ましくは65%以上の圧延率にて実施する。
また、焼鈍時の加熱速度は、本発明の意図するNb炭化物およびAl窒化物の形成に重要であり、平均速度で1℃/s以上とするが、100℃/sを超える速度では、平均粒径10nm以上のNb炭化物および50nm以上のAl窒化物が安定して得られないため、加熱速度の上限は100℃/s以下とすることが好ましい。
また、焼鈍時の加熱温度は、フェライトの再結晶温度以上とするが、900℃を超える高温では、フェライトは粗粒化するばかりか、析出物の溶解が促進し、本発明の意図する微細Nb炭化物およびAl窒化物が安定して得られなくなる傾向がある。このため、加熱温度の上限は900℃とし、より好ましい加熱温度は、880℃以下とする。
焼鈍後の冷却条件は特に限定する必要がなく、また冷却段階において、必要に応じて溶融亜鉛めっき処理を施すことが出来る。この場合、純亜鉛めっき処理でも良いし、合金化亜鉛めっき処理でも良い。また、冷延鋼板に電気亜鉛めっき、化成処理等の表面処理を施すことも出来る。更に、このようにして得られた鋼板に有機系皮膜処理を施しても、本発明の目的とする特性を損なうことはない。
次に、本発明の実施例について以下で説明する。
表3に示す成分の鋼(No.1〜6:本発明鋼、No.7〜13:比較鋼)を実験室にて溶製し、板厚60mmのスラブとした。このスラブを板厚30mmまで分塊圧延した後、1250℃1時間、大気中で加熱してから、熱間圧延を実施した。860℃で仕上圧延を施し、550℃で巻取相当の熱処理を施して、板厚2.8mmの熱延板を作製した。この熱延板を酸洗した後、板厚0.75mmまで冷間圧延(圧延率73%)し、その後、引き続いて連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっき相当の熱処理を施した。連続焼鈍は5℃/sの平均加熱速度で850℃まで昇温し、90秒間保持した後、室温まで冷却する熱処理を、また、連続溶融亜鉛めっきは5℃/sの平均加熱速度で850℃まで昇温し、90秒間保持した後、冷却し、460℃で溶融亜鉛めっき浴中に浸漬し、その後520℃まで昇温して室温まで冷却する熱処理を実施した。このようにして得られた焼鈍板に0.5%の調質圧延を施し、実験用供試鋼板を作製した。
Figure 2005200747
本供試鋼板を用いて、一軸引張特性、二軸引張り変形における加工硬化量および焼付硬化量、限界張出し高さ、ならびに張出し成形材の耐デント性を調査した。一軸引張特性はJIS(日本工業規格)Z 2241に準拠した方法にて測定した。また、加工硬化量および焼付け硬化量は、図2に示すように2%の成形ひずみで張出し成形したカマボコ型パネルより切出した試験片の引張試験より測定し、耐デント性は、同様の条件にて成形したカマボコパネルの中心部において、245N(25kgf)の静的負荷により生じた残留凹み量を測定して評価した。限界張出し高さは、カマボコ型による張出し成形試験を実施して求めた。
表4に各供試鋼板の特性を評価した結果を示す。
Figure 2005200747
本発明成分範囲内の本発明鋼板No.1〜12では、連続焼鈍材(CAL)および連続溶融亜鉛めっき材(CGL)のいずれも、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径がそれぞれ20〜85nmおよび200〜450nmであり、加工硬化量は、引張強さTSが390MPa級の材料(鋼板No.1〜6)では、73〜85MPaであり、また、440MPa級の材料(鋼板No.7〜12)では、85〜90MPaと高いことから、残留凹み量はそれぞれ0.25〜0.28mmおよび0.19〜0.22mmと小さい。また、張出し高さは390MPa材で12.9〜13.3mm、440MPa材で12.0〜12.5mmと高く、いずれも良好な張出し性を有する。
一方、本発明成分範囲外の比較鋼板No.13〜26は、張出し性と耐デント性の少なくとも一方が劣っている。すなわち、比較鋼板No.13〜16はCAL材およびCGL材共に焼付硬化量は20〜35MPaであるものの、加工硬化量が40〜43MPaと低いため、残留凹み量が0.30〜0.31mmと大きく、390MPa級の材料としては耐デント性が劣る。また、限界張出し高さは11.0〜11.7mmと低く、張出し性が劣る。比較鋼No.17および18も同様に440MPa級の材料の割に、耐デント性および張出し性は劣っている。比較鋼No.19、20および23〜26と比較鋼No.21および22とは、それぞれ390MPa級と440MPa級の強度材であるが、加工硬化量がそれぞれ35〜56MPaと60〜63MPaと低いため、残留凹み量は0.32〜0.36mmと0.24〜0.25mmと大きく、耐デント性は劣化している。また、限界張出し高さはそれぞれ12.9〜13.3mmと12.1〜12.2mmと低い。
本発明によれば、鋼組成成分および鋼中析出物の平均粒径の適正化を図ることにより、自動車内板、外板パネル部品に要求される耐デント性に優れた冷延鋼板を提供することが可能になり、本発明の冷延鋼板は、特に自動車産業界や鉄鋼業界において利用価値が大きい。
加工硬化、焼付硬化、残留凹み量および限界張出し高さにおよぼす(12/93)×(Nb/C)の値と、(14/27)×(Al/N)の値の影響を示す図である。 二軸引張り変形における加工硬化量および焼付硬化量ならびに成形材の耐デント性を測定する試験方法を説明するための図である。 二軸引張り変形における加工硬化量におよぼすNb炭化物およびAl窒化物の平均粒径の影響を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.0040〜0.02%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜3.0%、P:0.01〜0.1%、S:0.02%以下、sol.Al:0.15〜1.5%、N:0.001〜0.005%およびNb:0.04〜0.2%を含有し、かつ、CおよびNbの含有量が下記(1)式を満足するとともに、AlおよびNの含有量が下記(2)式を満足し、残部が実質的に鉄および不可避的不純物からなり、Nb炭化物およびAl窒化物の平均粒径が、それぞれ10〜200nmおよび50〜500nmであることを特徴とする耐デント性に優れた冷延鋼板。

    1.0≦(12/93)×(Nb/C)≦2.2 --------(1)
    26≦(14/27)×(Al/N)≦400 --------(2)
  2. Ti:0.005〜0.08質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の耐デント性に優れた冷延鋼板。
  3. 鋼板表面に亜鉛系めっき皮膜又は有機系皮膜を有する請求項1又は2に記載の耐デント性に優れた冷延鋼板。
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