JP2005199669A - インクジェット用記録材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性、耐水性等の性能が安定し、且つ生産性の高いインクジェット用記録材料の製造方法を提供することである。
【解決手段】40〜80℃の範囲の一定の温度に保持された支持体に、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布し、加熱によって塗工液をゲル化させた後、乾燥することを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法。
【選択図】 なし。
【解決手段】40〜80℃の範囲の一定の温度に保持された支持体に、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布し、加熱によって塗工液をゲル化させた後、乾燥することを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法。
【選択図】 なし。
Description
本発明は、インクジェット用記録材料に関し、更に詳しくは、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性及び耐水性に優れ、折り割れ問題がなく、且つ生産性の高いインクジェット用記録材料及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、インクジェット用記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
近年、顔料として極微細な無機粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が知られている。例えば、500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、同2000−211235号、同2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
しかし、無機超微粒子を使用すると高い光沢が得られる反面、塗工液の粘度が高くなりやすく、低い固形分濃度で塗布することから乾燥時の風紋、ひび割れ等の表面欠陥が発生しやすくなる。特に、高い光沢や良好な質感を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体を使用した場合、支持体がインクを吸収できないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要であり、従って多量の顔料を無機微粒子に対するバインダーの比率を低減して塗布する必要があり、乾燥時に欠陥が発生しやすかった。
このような表面欠陥を防止するため、架橋剤を含む塗工液を支持体に塗布した後、乾燥を比較的穏やかな条件で行う方法が知られている。例えば、特開平10−119423号、同2000−27093号、同2001−96900号公報等では、ポリビニルアルコールの架橋剤としてほう酸、ほう酸塩、ほう砂等のほう素化合物を用い、塗工液を塗布し一度冷却して塗工液の粘度を上昇させた後、比較的低温で乾燥する方法が開示されている。また、アルデヒド系化合物やエポキシ化合物、イソシアナート類等も検討されているが、架橋性とインクジェット用記録材料としての諸特性を両立することが難しく、現在まで、ほう素化合物を凌駕する架橋剤は見出されていないのが実状である。しかし、ほう素化合物を架橋剤として用いても、塗工・乾燥時の条件によってはしばしば塗膜に欠陥を生じ、少しの乾燥温度変化で塗布故障が顕著になる場合があった。また、耐水性が不十分であることや膜質が剛直となるため記録材料を曲げたときに塗膜が割れる所謂折り割れ等の欠点がある。さらに、特に乾燥工程に長い時間が必要であるため、生産性を高くできないという問題点がある。
一方、ケト基を有する樹脂をインクジェット用記録材料に使用することが知られており、例えば特開昭63−176173号、同平10−157283号、同2000−52646号公報等にはポリマー膨潤タイプのインク受容層の主成分として使用する方法が記載されている。また、特公平4−15746号、特開2000−280600号、同2001−72711号、同2001−213045号公報(特許文献1)には多孔質インク受容層のバインダー成分としてアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを使用することが記載されている。
また特開2003−335043号公報(特許文献2)には、官能基を有する水溶性樹脂、該官能基と反応しうる架橋剤並びに微粒子を含む塗布層の記載が有る。しかしながら、水溶性樹脂と架橋剤の濃度積及び相互の反応性から導かれる反応速度が速すぎる場合は塗布過程でゲル化が進行して、支持体に塗液を塗布する際、塗液が順調に延展することが困難で膜面が不規則に割れたり、塗布ヘッド上で凝固して塗布幅が不安定になる等の故障原因となった。一方、反応速度が遅すぎる場合は乾燥開始までのゲル化が不十分で乾燥空気の風圧で塗布面が乱れるという問題が有った。
この反応速度は何らかの制御が必要で有ったが、特願2003−184605号明細書(特許文献3)にはインク受容層用塗工液の塗布後乾燥に先立って加熱によりゲル化を促進するという記載が有る。この技術は塗工液を加熱する訳であるがそれでもなお、支持体温度のバラツキが有ると、乾燥前の架橋密度に差を生じ、結果的にインク吸収性等の性能が不安定になるという問題が有った。この不安定化の原因は乾燥前の架橋密度の差により、バインダーのインク吸収性及び乾燥中のインク受容層の立体構造の変化の程度に差が出るためと考えられる。
特公平6−27928号公報(特許文献4)には塗布に先立って支持体を30〜50℃に予熱しておくことが記載されている。支持体を予熱するという意味では本発明と似ている。特許文献4は写真乳剤を高速薄層塗布する際の液付き不安定化を防止する技術であって、その骨子は支持体の温度を塗工液即ち写真乳剤の温度に近づけ、冷たい支持体に接する乳剤面の急激な粘度上昇による層内の粘度バランスの崩れによる不安定化を防止するものである。一方本発明は支持体の温度を塗工液温度より高く設定することにより、その後の熱処理を安定化することを目的としており、設定する温度範囲、作用機構、目的が全く異なっている。
特開2001−213045号公報(第2頁〜第4頁)
特開2003−335043号公報
特願2003−184605号明細書(請求項5)
特公平6−27928号公報
本発明の目的は、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性、耐水性等の性能が安定し、且つ生産性の高いインクジェット用記録材料の製造方法を提供することである。
40〜80℃の範囲の一定の温度に保持された支持体に、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布し、加熱によって塗工液をゲル化させた後、乾燥することを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法。
本発明によれば、支持体が低温であるための塗布面の乱れやインク吸収性の低下も無く、また支持体の過剰な加熱によるブリスターの発生も無い、フォトライクな高い光沢を有し、インク吸収性が安定し、耐水性に優れるインクジェット用記録材料が高い生産性で得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、40〜80℃の範囲の一定の温度に保持された支持体上に平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布した後、加熱によって塗工液をゲル化させ、その後乾燥する製造方法が好ましい。本発明でゲル化とは、粘度が上昇し乾燥工程で吹き付ける風で塗工液が流動しない状態を指す。好ましくは、実質的に流動性を示さない状態である。
支持体を予め加熱昇温する方法としては、高温空気中を通過させる方法、ヒートロールに密着させる方法、赤外線加熱装置を用いる方法等が使用できる。支持体の温度を一定に保持する方法としては放射温度計等で測定した結果を加熱装置にフィードバックすれば良い。この際赤外線加熱装置を使用する場合は、赤外線の反射成分が温度計に入射しないよう設置場所に注意を払わなければならない。
この予め行う加熱昇温が不十分であると、ゲル化が起こらず塗布面が乱れる他、乾燥後のインク受容層がインク吸収性が阻害される。加熱が過剰であると支持体の表面が傷み、ブリスター等が発生する。
本発明では、塗工液を支持体に塗布後、加熱してゲル化させてから乾燥することによって、より光沢が高くインク吸収性が良好なインクジェット用記録材料を得ることができる。また、高温で乾燥できることから、ポリビニルアルコールとほう酸を使用し、低温でゲル化させた後比較的穏やかな条件で乾燥する製造方法と比較して高い生産性が得られる。更に、ほう酸等のほう素化合物を使用する必要がないため、環境面でも好ましい。
支持体に塗布後加熱する方法としては、高温空気中を通過させる方法、ヒートロールに密着させる方法、赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置等を用いる方法等が使用できる。加熱温度としては、ケト基を有する樹脂バインダーとアミノ基を有する化合物の使用量等の塗工液組成によるが、塗工液が水系である場合には、30〜100℃が好ましく、特に40〜95℃の範囲が好ましい。一般にケト基とアミノ基の反応は比較的速やかに進行し、特にケト基とヒドラジンやヒドラジド基との反応は速やかに進行するため、また生産性の面から、加熱時間としては1秒〜10分が好ましく、更に5秒〜5分が好ましい。
本発明のインク受容層に用いられる無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、日本シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、特に気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。尚、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明のインク受容層には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡で観察することにより、観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
本発明の平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず水中でシリカ粒子とカチオン性化合物を混合(添加はどちらが先であっても、また同時でも良い)しても良く、又それぞれの分散液あるいは水溶液を混合しても良く、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2、または3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-n]m 一般式1
[Al(OH)3]nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
[Al(OH)3]nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロボキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明では無機微粒子のバインダーとしてケト基を有する樹脂を使用する。ケト基を有する樹脂バインダーはケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げらる。また、ポリマー反応でケト基を導入しても良く、例えばヒドロキシ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。鹸化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に1000〜4500のものが好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体を鹸化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。鹸化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明ではケト基を有する樹脂バインダーに加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に、バインダー樹脂として各種ラテックスを併用しても良い。
この際光沢性の点で、ケト基を有する樹脂バインダーと相溶性の高い樹脂バインダーを併用することが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールを使用する場合、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
併用する樹脂バインダーの使用量は、ケト基を有する樹脂バインダーと後述する一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物による作用が得られる範囲であれば特に限定されるものではない。
樹脂バインダーの総含有量は、少ないほどインク受容層中の空隙容積が大きくなりインク吸収性が高くなる面で好ましいが、少なすぎるとインク受容層が脆弱となりひび割れ等の表面欠陥が多くなったり、光沢が低下するため、無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。
次に本発明の一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物について説明する。本発明の一級アミノ基とは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基の炭素原子に結合した一級アミノ基、及び窒素原子に結合した一級アミノ基(すなわちヒドラジンの末端アミノ基)である。混合後の増粘効果の点で、ヒドラジン型のアミノ基が好ましく、特にヒドラジド、セミカルバジド、又はカルボヒドラジド構造であるものが好ましい。炭素原子に結合した一級アミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられ、ヒドラジン型のアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、ヒドラジン及びその塩、カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類、4,4’−エチレンジセミカルバジド、4,4’−ヘキサメチレンジセミカルバジド等のポリイソシアネートとヒドラジンの反応物、ポリアクリル酸ヒドラジド等のポリマー型ヒドラジド等が挙げられる。特に、水溶性及び反応性の点で、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
本発明の一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物の含有量について特に制限はないが、生産性及び得られるインク受容層の特性の面で、ケト基を有する樹脂バインダーに対して、0.1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明では、他の公知の硬膜剤を併用してもよい。樹脂バインダーとして変性ポリビニルアルコールを使用した場合には、ポリビニルアルコールの架橋剤(硬膜剤)として、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等を併用できる。
本発明のインク受容層の乾燥塗布量としては、インク吸収性、インク受容層の強度、及び生産性の面で、無機微粒子の固形分として8〜40g/m2の範囲、特に10〜30g/m2の範囲が好ましい。
本発明では、インク染料の耐水性改良目的等でインク受容層に更にカチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物の例としては、シリカの分散の説明で挙げたカチオン性ポリマー、及び水溶性金属化合物が挙げられる。また、水溶性金属化合物の例としてカルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも分子量5,000〜10万程度のカチオン性ポリマー、及びアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましく、特にアルミニウム化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物は一種類を使用しても、複数の化合物を併用しても良い。
本発明において、インクジェット用記録材料には、少なくとも1つの上記インク受容層に加え、さらに他の構成のインク吸収層、あるいは保護層等の他の機能を有する層を設けてもよい。
本発明において、各層のインク受容層には、更に界面活性剤、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明に用いられる支持体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸水性支持体等が用いられる。好ましくは耐水性支持体が用いられる。耐水性支持体の中でも特にポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。これらの支持体の厚みは、約50〜250μm程度のものが好ましく使用される。
支持体、特に耐水性支持体であるフィルムや樹脂被覆紙を使用する場合には、インク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。支持体上に設けられるプライマー層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.01〜2μmの範囲である。
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
フィルム支持体や樹脂被覆紙にインク受容層の塗工液を塗布する場合、塗布に先立って、好ましくはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が行われる。
本発明において、インク受容層を構成している各層の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
(実施例)
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部及び%は質量部、質量%を示す。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部及び%は質量部、質量%を示す。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンが50mg/m2(約0.05μm)となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
<プライマー層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
<インクジェット用記録材料の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作成した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液1を製造した。このシリカ分散液1と水に溶解した他の薬品を30℃で混合して下記組成のインク受容層用塗工液1を調整した。上記支持体を80℃に保ったオーブンに1分間保持して昇温安定化後、シリカ粒子の塗布量が16g/m2になるようにワイヤーバーで塗布し、先ず80℃に保ったオーブンに入れ、15秒間放射熱で加熱して塗工液をゲル化させ、次いで80℃、55℃の空気を順次吹き付けて乾燥し実施例1のインクジェット用記録材料を得た。なお、電子顕微鏡観察よりシリカ微粒子の平均二次粒子径は80nmであった。
<インク受容層塗工液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 22部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
アジピン酸ジヒドラジド 2部
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作成した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液1を製造した。このシリカ分散液1と水に溶解した他の薬品を30℃で混合して下記組成のインク受容層用塗工液1を調整した。上記支持体を80℃に保ったオーブンに1分間保持して昇温安定化後、シリカ粒子の塗布量が16g/m2になるようにワイヤーバーで塗布し、先ず80℃に保ったオーブンに入れ、15秒間放射熱で加熱して塗工液をゲル化させ、次いで80℃、55℃の空気を順次吹き付けて乾燥し実施例1のインクジェット用記録材料を得た。なお、電子顕微鏡観察よりシリカ微粒子の平均二次粒子径は80nmであった。
<インク受容層塗工液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 22部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
アジピン酸ジヒドラジド 2部
得られたインクジェット記録シートについて下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<塗布面のひび割れの評価>
塗布・乾燥したインク受容層の塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れが全くなく、均一な塗布面である。
△:目視では判別し難いくらいの小さいひび割れが発生している。
×:目視で明らかに判別できる大きなひび割れが発生している。
塗布・乾燥したインク受容層の塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れが全くなく、均一な塗布面である。
△:目視では判別し難いくらいの小さいひび割れが発生している。
×:目視で明らかに判別できる大きなひび割れが発生している。
<白紙部光沢性>
記録シートの印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
○:カラー写真並の高い光沢感が有る。
△:少し光沢感が有る。
×:光沢感が無い。
記録シートの印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
○:カラー写真並の高い光沢感が有る。
△:少し光沢感が有る。
×:光沢感が無い。
<インク吸収性>
市販のインクジェットプリンター(キャノン社製、PIXUS860i)にてシアン、マジェンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーのベタ印字(100%濃度及び80%濃度)を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
A:全ての色の100%印字でも転写しない。
B:レッド、グリーン、ブルーの100%印字では薄い転写が観察されるが他は転写していない。
C:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
D:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上及びシアン、マジェンタ、イエローの100%印字で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
E:全ての条件で転写する。
市販のインクジェットプリンター(キャノン社製、PIXUS860i)にてシアン、マジェンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーのベタ印字(100%濃度及び80%濃度)を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
A:全ての色の100%印字でも転写しない。
B:レッド、グリーン、ブルーの100%印字では薄い転写が観察されるが他は転写していない。
C:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
D:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上及びシアン、マジェンタ、イエローの100%印字で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
E:全ての条件で転写する。
<インク受容層の耐水性>
記録シート表面に水滴を落とし、1分間放置後表面を擦り、表面状態を観察した。
○:変化なし
△:インク受容層の一部が削り取られ、光沢が低下した状態となる。
×:インク受容層の大部分が削り取られた状態となる。
記録シート表面に水滴を落とし、1分間放置後表面を擦り、表面状態を観察した。
○:変化なし
△:インク受容層の一部が削り取られ、光沢が低下した状態となる。
×:インク受容層の大部分が削り取られた状態となる。
実施例1に於いて支持体の温度を60℃にする以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
実施例1に於いて支持体の温度を40℃にする以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1に於いて支持体の温度を100℃にする以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
実施例1に於いて支持体の温度を100℃にする以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1に於いて支持体の温度を20℃にする以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
実施例1に於いて支持体の温度を20℃にする以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1に於いて支持体の温度を5℃にする以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
実施例1に於いて支持体の温度を5℃にする以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1に於いてインク受容層塗工液を下記インク受容層塗工液2に代える以外は同様にして比較例4のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗工液2>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
部分鹸化ポリビニルアルコール 22部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 2部
実施例1に於いてインク受容層塗工液を下記インク受容層塗工液2に代える以外は同様にして比較例4のインクジェット用記録材料を得た。平均二次粒子径及び評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗工液2>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
部分鹸化ポリビニルアルコール 22部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 2部
表1から支持体の温度の違いにより、インク吸収性に差が出ること及び支持体の温度が40℃以上であれば実用上許容出来る範囲に有ることが判る。温度が高すぎる比較例1は支持体の面が荒れ、ブリスターも見られる。温度が低すぎる比較例2、3はインク吸収性の低下が大きく実用にならない。また、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとアジピン酸ジヒドラジドに代えて通常のポリビニルアルコールとほう酸を用いた比較例4は塗布面のひび割れ他性能が全般に悪い。
Claims (1)
- 40〜80℃の範囲の一定の温度に保持された支持体に、平均二次粒子径500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダー、及び一級アミノ基を分子内に2個以上含有する化合物を含有する塗工液を塗布し、加熱によって塗工液をゲル化させた後、乾燥することを特徴とするインクジェット用記録材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004011171A JP2005199669A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | インクジェット用記録材料の製造方法 |
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JP2004011171A JP2005199669A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | インクジェット用記録材料の製造方法 |
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JP2004011171A Pending JP2005199669A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | インクジェット用記録材料の製造方法 |
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-
2004
- 2004-01-19 JP JP2004011171A patent/JP2005199669A/ja active Pending
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