JP2005199211A - メンブレン・リアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質セラミック膜を分離膜に用いたメンブレン・リアクタの原料ロスを抑制し、延いては収率を高める。
【解決手段】分離膜48の膜厚が厚くされることによって気体透過率が下流側の通常部54よりも低くされた透過率制御部52が上流側に設けられていることから、生成ガスの濃度が比較的低い上流側において第1気体通路42内の気体が第2気体通路40に流れ出ることが抑制される一方、生成ガスの濃度が高くなる下流側では、その上流側に比較して気体透過率が高いことから第1気体通路42内の気体が第2気体通路40内に容易に流れ出る。そのため、下流側において生成ガスを十分に回収可能としながら、上流側において原料ガスが透過することによる原料ロスが抑制されるので、水素ガスの高い収率が得られる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、メンブレン・リアクタの改良に関する。
反応器に分離膜を組み合わせることにより、その反応器内に送り込まれた原料気体をその流通過程で反応させて所定の気体を生成させ、分離膜を透過したその生成気体を回収する形式のメンブレン・リアクタが知られている。このようなメンブレン・リアクタは、例えば、燃料電池に使用する水素(H2)を得るためにメタン(CH4)の水蒸気改質による水素製造等に用いられる(例えば非特許文献1参照)。
水蒸気改質に用いられるメンブレン・リアクタは、例えば、反応器として機能する第1気体通路上にシリカ(SiO2)粒子等に担持させたニッケル(Ni)等の触媒を配置すると共に、水素が透過可能な分離膜でその第1気体通路と区分された第2気体通路を設けたものである。このようなメンブレン・リアクタにおいて、第1気体通路内にメタンおよび水蒸気等の原料気体を送り込むと、触媒上でメタンが水蒸気と反応して分解し、水素が生成される。生成された水素は第1気体通路から第2気体通路に分離膜を透過し、その第2気体通路から回収される。このように、生成された気体が分離膜を透過して第1気体通路外に出ることによってその第1気体通路内が非平衡状態に保たれるので、反応が促進されて高い収率が得られる。
"CH4 Decomposition with a Pd-Ag Hydrogen-Permeating Membrane Reactor for Htdrogen Production at Decreased Temperature" Ind.Eng.Chem.Res.2002,41,3365-3369(米国) 特開平11−57421号公報
ところで、上記の分離膜には、例えば水素を選択的に透過させる銀−パラジウム(Ag-Pd)等から成る金属膜が用いられてきたが、このようなパラジウム合金膜の水素分離機能は例えば300(℃)以上の高温で発揮され、しかも、水素の分離用途以外には適用できない。例えば、イソブタンやイソペンタンの脱水素反応等の有機合成は100〜300(℃)程度の温度範囲で行われるが、このような低温ではパラジウム合金膜が機能しないのである。しかも、原料気体がエタン、プロパン、エチレン等の炭化水素成分を含むとカーボンが膜面に生成されるので、パラジウム合金膜の分離性能は急速に低下させられる。このため、メンブレン・リアクタは、原理的に水素製造の他にも例えば室温から1000(℃)程度(一般的には100〜800(℃)程度)の温度範囲における種々の反応に有用であるにも拘わらず、実用に供される分離膜がパラジウム合金膜のみであるため具体的な用途が限定されていた。そこで、例えば室温程度の低温から1000(℃)程度までの温度範囲において使用可能で、他の種々の気体反応にも利用可能なメンブレン・リアクタ用分離膜として、適当な細孔分布を備えた多孔質セラミック膜を用いることが考えられている。
しかしながら、多孔質セラミック膜では、その細孔分布の広がりに起因して目的外の原料気体が分離膜を透過することが避けられない。一方、原料気体の反応は第1気体通路内における流通過程で次第に進行するため、原料気体の量と生成気体の量との比がその第1気体通路内の上流側と下流側とで異なり、上流側では原料気体の割合が高く、下流側では生成気体の割合が高くなる。そのため、その上流側において未反応の多量の原料気体が生成気体と共に分離膜を透過するので、原料ロスが多くなって高い収率が得られない問題があった。なお、例えば細孔分布を狭くすること等によって、目的生成物の透過係数比(原料気体の透過率に対する生成気体の透過率の割合)を高めることができれば、このような問題は生じないが、一般に透過率と透過係数比との両立は困難である。例えば、透過係数比を高めるために一定の大きさ以上の細孔を埋めようとすると全体の透過率が低下し、装置を著しく大型化しなければ収率が低下するのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、多孔質セラミック膜を分離膜に用いたメンブレン・リアクタの原料ロスを抑制し、延いては収率を高めることにある。
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、セラミックス製の多孔質壁によって相互に区分された第1気体通路および第2気体通路を備え、その第1気体通路に送り込まれた原料気体からその流通過程において生成され且つその多孔質壁を第2気体通路に透過した生成気体をその第2気体通路から回収する形式のメンブレン・リアクタであって、(a)前記原料気体の流通方向上流側に下流側よりも前記多孔質壁の気体透過率が低くされた透過率制御部を備えたことにある。
このようにすれば、原料気体の割合が大きく生成気体の割合が小さい上流側では、透過率制御部が設けられることによって多孔質壁を透過する気体量が少なくなるので、未反応の原料気体が第2気体通路に透過することによる原料ロスが抑制される。一方、下流側では多孔質壁を透過する気体量が多くなるが、原料気体の割合が小さく生成気体の割合が大きくなっているので、原料気体が第2気体通路に透過することによる原料ロスが抑制され、専ら生成気体が第2気体通路から回収されることになる。したがって、原料ロスが抑制されて生成気体の高い収率が得られる。なお、透過率制御部は、全く気体を透過させないものであってもよい。
ここで、好適には、前記多孔質壁は、所定の細孔径を有して前記第1気体通路側に設けられた分離膜と、それよりも大きい細孔径を有し且つ全体に亘ってその分離膜よりも高い気体透過率を有して前記第2気体通路側に設けられた支持体とを含み、前記透過率制御部は、その分離膜の膜厚が前記下流側よりも厚くされたものである。このようにすれば、気体透過率は多孔質壁の気孔率、細孔径の二乗に比例し、膜厚に反比例するので、膜厚を変化させることで容易に所望の気体透過率の透過率制御部を得ることができる。このとき、多孔質壁の支持体は分離膜よりも大きい細孔径を有し且つ全体がそれよりも高い気体透過率を有することから、その分離膜の気体透過性能に影響を与えることなく、十分な機械的強度に構成することができる。
一層好適には、前記多孔質壁は、前記支持体と、前記分離膜と、それらの間に介在させられ且つそれらの中間の細孔径を有すると共に全体に亘ってその分離膜よりも高い気体透過率を有する中間層とを備えたものである。このようにすれば、十分な機械的強度を確保できるように支持体の細孔径が分離膜に比較して著しく大きくされるために支持体上に分離膜を直接設けることが困難な場合にも、それらの中間の細孔径を備えた中間層がそれらの間に設けられることから、所望の機械的特性を備えた支持体上に所望の気体透過性能を備えた分離膜を容易に設けることができる。
また、前記多孔質壁が二層以上で構成される場合において、好適には、その多孔質壁を構成する各層は、前記第1気体通路から前記第2気体通路に向かうに従って厚くなるように各々の厚さ寸法が定められる。
なお、多孔質壁が一層で構成される場合には、その上流側に気体透過率を低下させた部分を形成することで透過率制御部を設けることとなるが、二層以上で構成される場合には、そのうちの一層が実質的に第1気体通路から第2気体通路への気体透過率を決定するため、その一層だけの気体透過率を低下させれば足りる。例えば、支持体および分離膜の二層で構成される場合も、これに中間層を加えた三層で構成される場合にも、例えば分離膜の膜厚だけを調節することで気体透過率を低下させればよい。
また、好適には、前記透過率制御部は、気体透過率が前記下流側における値よりも10(%)以上低くされたものである。このようにすれば、透過率制御部における気体透過率が下流側に比べて十分に小さくされていることから、原料ロスが一層抑制される。
また、好適には、前記透過率制御部は、前記第1気体通路の全長の20(%)乃至70(%)の長さ寸法で設けられたものである。このようにすれば、生成気体が容易に第2気体通路に透過させられる程度に気体透過率の高い下流部分の長さ寸法が十分な長さ寸法で確保される範囲で、透過率制御部が十分な長さ寸法で設けられていることから、原料ロスを一層抑制しつつ収率を高めることができる。
また、透過率制御部は、下流側から上流側に向かって連続的または段階的に気体透過率が低下させられるものであっても、その全長に亘って他の部分よりも低い一定の気体透過率を有するものであってもよい。なお、透過率制御部を除く残部は、一定の気体透過率に構成されていても、連続的或いは段階的に変化する気体透過率に構成されていても良い。
また、好適には、前記支持体は筒状を成すものであり、前記中間層および前記分離膜は、その支持体の内周面または外周面に設けられる。内周面に設けられる場合には、前記第1気体通路がその支持体の内周側に形成されると共に、前記第2気体通路がその支持体とその外周側に設けられた緻密質の外筒との間に形成される。また、外周面に設けられる場合には、前記第1気体通路がその支持体とその外周側に設けられた緻密質の外筒との間に形成されると共に、前記第2気体通路がその支持体の内周側に形成される。
また、支持体は、ハニカム状、薄板状等の種々の形状を成すものも用いられ得る。
また、好適には、前記メンブレン・リアクタは、前記第1気体通路および前記第2気体通路の少なくとも一方を複数備えたものである。例えば支持体が筒状を成す場合には、複数本の支持体がそれら全体の外周または各々の外周に壁部を有して設けられると共に、支持体の各々の内周部が第1気体通路および第2気体通路の一方を構成し、支持体の各々と壁部との間の空間が第1気体通路および第2気体通路の他方を構成する。
また、透過率制御部は、前記のように分離膜の膜厚を下流側に比較して大きくすることで気体透過率を低下させる他、多孔質壁を構成する他の膜の膜厚を大きくすることや、何れかの膜の細孔径を小さくし或いは気孔率を低くすることで気体透過率を低下させるものであってもよい。但し、分離膜のように多孔質壁の構成要素のうち最も細孔径の小さい膜の膜厚を変化させる方が、僅かな膜厚の変化で気体透過率を十分に変化させ得るので好ましい。
また、透過率制御部は、前記多孔質壁の上流側端部に設けられることが好ましいが、例えば、それよりも上流側に透過率制御部よりも気体透過率の高い部分が存在しても、本発明の効果は享受し得る。
また、分離膜等の膜厚を変化させて透過率制御部を構成する場合において、その膜厚は、その形成時に所望の分布に調節される。例えば、分離膜をディップコートによって形成する場合には、その浸漬時間や引き上げ速度等を調節することで膜厚を連続的或いは段階的に変化させ得る。また、コートする液の粘度や乾燥速度を適宜制御して、原料気体の流通方向下流側となる端部から引き上げれば、引き上げ時の上端側よりも下端側の方の膜厚が厚くなるため、連続的に膜厚が変化する膜を容易に形成できる。
また、比較的細孔径の大きい膜、例えば支持体や中間層において気体透過率を調節する場合には、以下のような方法を採り得る。例えば、中間層については、上記のディップコートによる場合と同様にして膜厚を調節することができ、或いは、原料粒径の異なるスラリを用いて段階的に中間層を形成すれば段階的に気体透過率を変化させ得る。また、一定の膜厚および細孔径の中間層を形成した後、気体透過率を低下させようとする部分の細孔にスラリを浸透させて埋めることにより透過率制御部を形成することもできる。
また、支持体で気体透過率を調節する場合には、上記のような中間層と同様な手法を用いる他、粉末乾式加圧成形によって成形して焼成することにより支持体を製造する場合には、その成形時に気体の流通方向に沿って原料粒径を変化させることで細孔径や気孔率を変化させることができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例のメンブレン・リアクタ10が用いられたメタンの水蒸気改質装置12の構成の概略を説明するための模式図である。水蒸気改質装置12は、メンブレン・リアクタ10に矢印a方向から原料ガスを送り込むための原料供給路14と、そのメンブレン・リアクタ10内で矢印c方向に分離された透過ガスを取り出すための透過ガス路16と、そのメンブレン・リアクタ10の出口から矢印b方向に排出される分離された残部のガスを回収するための回収ガス路18と、透過ガス路16上に設けられたコールドトラップ20および流量計22と、回収ガス路18上に設けられたコールドトラップ24および流量計26と、取り出され或いは回収されたガスを分析するためのガスクロマトグラフィ装置28と、透過ガス路16および回収ガス路18をそのガスクロマトグラフィ装置28に択一的に接続するための三方バルブ30等とを備えたものである。ガスクロマトグラフィ装置28を通過したガスは、原料供給路14に戻され、或いは、別工程に流される。
また、流量計22と三方バルブ30との間には三方バルブ31aが、流量計26と三方バルブ30との間には三方バルブ31bがそれぞれ設けられている。これら3つの三方バルブ30,31a,31bは、互いに連動させられ或いは同時に操作され、透過ガス路16がガスクロマトグラフィ装置28に接続されるときには、回収ガス路18が排出路33aに接続される。また、回収ガス路18がガスクロマトグラフィ装置28に接続されるときには、透過ガス路16が排出路33bに接続される。なお、図1においてはガスクロマトグラフィ装置28への分岐点および排出路33a,33bへの分岐点にそれぞれ三方バルブ30,31a,31bが設けられているが、これらに代えて2入力2出力の相互の接続を切換可能な良く知られた4ポート弁を用い、入力側に透過ガス路16および回収ガス路18を、出力側にガスクロマトグラフィ装置28および共通の排出路をそれぞれ接続してもよい。
上記のメンブレン・リアクタ10は、両端が原料供給路14および回収ガス路18にそれぞれ接続された金属等の緻密質材料から成る外筒32と、その外筒32内に相互に適当な間隔を以て互いに平行に配置された円筒状の複数本の分離膜エレメント34とを備えたものである。また、複数本の分離膜エレメント34の両端位置には、緻密質の蓋36,38が配置されており、外筒32と分離膜エレメント34との間に閉空間40を形成している。これら蓋36,38は、分離膜エレメント34の端部に対向する位置に図示しない貫通孔を備えたものであり、分離膜エレメント34は、その開放された両端の一方(図における左端)および他方(図における右端)がそれぞれ原料供給路14および回収ガス路18に開放されている。そのため、メンブレン・リアクタ10内には、分離膜エレメント34の内部に形成された第1気体通路42(後述する図2参照)と、分離膜エレメント34相互間および外筒32との間に形成された閉空間40により構成された第2気体通路とが備えられている。前者の第1気体通路42は、前記の回収ガス路18に接続されており、後者の第2気体通路40は、前記の透過ガス路16に接続されている。
図2は、上記の分離膜エレメント34を拡大して断面構造を説明する図である。分離膜エレメント34は、円筒状の支持体44と、その内壁面に固着された中間層46と、その中間層46の表面に固着された分離膜48と、その分離膜48の内周側に充填された触媒50とを備えている。
上記の支持体44は、例えば、アルミナ(特にα−アルミナ;Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)等の高い耐熱性を有するセラミック材料から成るものである。支持体44は、長さ寸法が1000(mm)程度、内径が10(mm)程度、外径が12〜14(mm)程度(すなわち周壁の厚さ寸法が1〜2(mm)程度)の大きさを有している。また、内周面から外周面に貫通する多数の細孔を1〜10(μm)程度の平均細孔径で備えた気孔率が30〜50(%)程度の範囲内、例えば40(%)程度の多孔質体である。
また、上記の中間層46は、例えば上記の支持体44と同様な材料で構成されたものであって、その支持体44の内周面全面に例えば100(μm)程度の厚さ寸法で形成されている。この中間層46も内周面から外周面に貫通する多数の細孔を備えた多孔質膜であるが、その平均細孔径は支持体44よりも十分に小さい例えば0.1(μm)程度である。但し、気孔率は支持体44と同程度、例えば30〜50(%)程度の範囲内、例えば40(%)程度に構成されている。
また、分離膜48は、例えばシリカ(SiO2)、窒化珪素、炭化珪素、ゼオライト、γ−アルミナ等から成るものであって、中間層46の内周面全面に例えば1(μm)以下の厚さ寸法で設けられている。但し、その厚さ寸法は原料ガスの流通方向において一様ではなく、上流側の透過率制御部52における厚さ寸法が例えば2(μm)程度と相対的に厚く、下流側の通常部54における厚さ寸法が例えば0.5(μm)程度と相対的に薄くなっている。また、この分離膜48も、支持体44および中間層46と同様に内周面から外周面に貫通する多数の細孔を備えた多孔質膜であるが、その平均細孔径は中間層46よりも極めて小さい例えば0.5(nm)程度である。但し、気孔率は支持体44および中間層46と同程度、すなわちガス流通方向の全長に亘って略一様な30〜50(%)程度の範囲内、例えば40(%)程度に構成されている。
このため、分離膜エレメント34には、その内周面から外周面に連通する細孔が形成され、内周部と外周部との間の気体の流通が可能となっているが、分離膜48の膜厚が厚くされた透過率制御部52では、通常部54に比較して気体の透過率が低くなっている。また、上記のように構成されていることから、分離膜48の気体透過率は中間層46よりも十分に高く、その中間層46の気体透過率は支持体44よりも十分に高くなっている。本実施例においては、支持体44,中間層46,および分離膜48によって多孔質壁が構成されている。
また、前記の触媒50は、図3に更に拡大して示すように、例えばシリカ−アルミナ系材料から成る担体粒子にニッケル系の触媒が担持されたものである。触媒50は、第1気体通路42内に密に充填されているが、それらの相互間には十分な大きさの隙間が形成されており、その上流側から下流側に向かう気体通路が確保されている。
以上のように構成された水蒸気改質装置12は、原料供給路14から原料気体として例えばメタン(CH4)および水蒸気が送り込まれると、メンブレン・リアクタ10の分離膜エレメント34の第1気体通路42内を流れ、その流通過程において触媒50に接触すると、下記化学式1のようなメタンの分解反応が発生する。生成した気体のうち水素(H2)は、図2に矢印cで示されるように、分離膜エレメント34の細孔(すなわち、分離膜48,中間層46,および支持体44により連通する細孔)を通って第1気体通路42から第2気体通路40に流れる。第2気体通路40に流れ込んだ水素ガスは、透過ガス路16から取り出され、コールドトラップ20を経由して回収される。一方、未反応の原料ガス(CH4およびH2O)と生成した一酸化炭素(CO)は、そのまま第1気体通路42内を流れ、回収ガス路18から回収される。
[化1]
CH4 + H2O → CO + 3H2
上記の反応は可逆反応(平衡反応)であるが、原料ガスが流通過程において触媒50と接触することにより引き起こされる反応であるため、その上流側から下流側に向かうに従い、図4に示されるように、原料ガスA+B(すなわちCH4 + H2O)の濃度が次第に低くなり、生成ガスC+D(すなわちCO + 3H2)の濃度が次第に高くなる。この結果、第1気体通路42の下流部では、略平衡状態となっている。
上記のような水素と他の原料ガス(CH4 + H2O)および副生物(CO)との分離は、理想的には、上記のように成されるが、実際には、分離膜48が例えば図5に示されるような細孔分布を有することから、不完全なものとなり、透過ガス路16にも原料ガスおよび副生物が流れ込み、回収ガス路18にも水素ガスが流れることとなる。なお、図5において、例えばαが水素の分子径に略相当し、βがメタンの分子系に略相当する。そのため、そのメタンの分子径に相当する部分よりも大きい細孔は、メタンや水蒸気、一酸化炭素が流通し得るのである。
この場合において、本実施例によれば、分離膜48の膜厚が厚くされることによって気体透過率が下流側の通常部54よりも低くされた透過率制御部52が上流側に設けられていることから、図4に示されるような生成ガスの濃度が比較的低い上流側において第1気体通路42内の気体が第2気体通路40に流れ出ることが抑制される一方、生成ガスの濃度が高くなる下流側では、その上流側に比較して気体透過率が高いことから第1気体通路42内の気体が第2気体通路40内に容易に流れ出る。そのため、下流側において生成ガスを十分に回収可能としながら、上流側において原料ガスが透過することによる原料ロスが抑制されるので、水素ガスの高い収率が得られる。
また、本実施例によれば、生成した水素ガスを分離するための多孔質壁が、十分に小さい細孔径を有する分離膜48と、それよりも大きい細孔径を有し且つ全体に亘ってその分離膜48よりも高い気体透過率を有する支持体44とを備えたものであるため、支持体44で機械的強度を確保しつつ、分離膜48で所望の気体透過性能を得ることができる。しかも、本実施例においては、これらの間に中間層46が設けられていることから、支持体44上に直に分離膜48を設ける場合に比較して、容易に所望の特性の分離膜48を形成できる利点がある。
ところで、透過率制御部52の大きさや気体透過特性は、原料ガスの種類や必要な分離性能、使用温度等に関連して、例えば実験的に定められるものであるが、以下、その構成とメンブレン・リアクタ10の性能との関係について評価した結果の一例を説明する。
表1は、メタン/水素の透過係数比が100、水素透過率が7×10-6(mol/s/m2/Pa)程度である分離膜エレメント34内部にニッケル系の触媒50を充填し、透過率制御部52の特性を種々変更して、前記のようなメタンの水蒸気改質を行った場合のメタン転化率とメタンロスとを評価した結果を示したものである。表において、「分離膜」欄は、分離膜48等から成る多孔質壁の有無を表しており、分離膜無しのNo.1は、通常のカラムによる水蒸気改質に相当する。また、透過率制御部欄の「低下割合」は、透過率制御部52における気体透過率が通常部54に比較してどの程度低くされているかを表しており、「長さ」は透過率制御部52のガス流通方向における長さ寸法を表している。また、「転化率」は、下記数式1で算出されるメタン転化率を、「ロス」は、下記数式2で算出されるメタンロスをそれぞれ表している。なお、分離膜エレメント34の全長は1000(mm)、内径は10(mm)で一定とし、メンブレン・リアクタ10内に組み込んだ分離膜エレメント34の本数は19本とした。また、反応温度は800(℃)、原料供給速度は、0.01(mol/s)、スチーム・カーボン比S/C=5で試験を実施した。
[表1]
透過率制御部
No. 分離膜 低下割合 長さ 転化率 ロス
1 無し − − 82(%) 0(%)
2 有り 0(%) 0 93(%) 7(%)
3 有り 50(%) 200(mm) 95(%) 5(%)
4 有り 50(%) 500(mm) 94(%) 4(%)
5 有り 50(%) 700(mm) 95(%) 4(%)
6 有り 90(%) 200(mm) 97(%) 3(%)
7 有り 90(%) 500(mm) 92(%) 2(%)
8 有り 100(%) 200(mm) 92(%) 3(%)
[数1]
メタン転化率=(反応メタン量/供給メタン量)×100(%)
但し、供給メタン量:原料供給路14から供給したメタン総量
反応メタン量:反応したメタン量(=供給量−透過量−未反応量)
透過量:分離膜48を透過したメタン量
未反応量:反応せず回収ガス路18から回収されたメタン量
[数2]
メタンロス=(透過量/供給メタン量)×100(%)
上記の表1に示されるように、多孔質壁が設けられていない場合にはメタン転化率が82(%)程度に留まるが、多孔質壁を設けることによって生成した水素ガスを取り出すと、93(%)程度まで転化率が向上する。そして、透過率制御部52を設けた場合には、その構成により、更に高い94〜97(%)の転化率を得ることができた。なお、透過率制御部52の透過率低下割合が90(%)程度と著しく高く且つ長さ寸法も500(mm)程度と長いNo.7と、低下割合が100(%)程度すなわちガスが透過しない制御部52を設けたNo.8では、転化率が92(%)程度と却って低下したが多孔質壁を透過する原料が少なくなるため、メタンロスは低下している。すなわち、これらの実施例でも、高い転化率を保ちつつメタンロスを少なくするという効果は享受できる。
表2に示す試験結果は、透過係数比が10程度の分離膜48を用い、試験温度を600(℃)程度とした他は、表1に示す場合と同様な条件で試験したものである。この表2に示されるように、このような透過係数比が小さいものでは、単に分離膜48(多孔質壁)を組み込んだだけ(No.2)では却って大きなメタンロスが発生することで転化率が低下する。しかしながら、No.7,8のように透過率を90(%)程度低下させた制御部52を500(mm)以上の長さ寸法すなわち全長の50(%)以上の長さ寸法で設ければ、転化率を高める効果を享受できる。
[表2]
透過率制御部
No. 分離膜 低下割合 長さ 転化率 ロス
1 無し − − 65(%) 0(%)
2 有り 0(%) 0 46(%) 52(%)
3 有り 50(%) 200(mm) 55(%) 41(%)
4 有り 50(%) 500(mm) 59(%) 39(%)
5 有り 50(%) 700(mm) 61(%) 38(%)
6 有り 90(%) 200(mm) 64(%) 31(%)
7 有り 90(%) 500(mm) 68(%) 29(%)
8 有り 90(%) 700(mm) 72(%) 25(%)
表3は、水素透過率を7×10-7(mol/s/m2/Pa)程度とした他は、表1,2に示すものと同様な条件で評価したものである。表3に示されるように、透過率が低くなると効果は小さくなるが、メタンロスを小さくして転化率を向上させる効果が同様に得られることが確かめられた。
[表3]
透過率制御部
No. 分離膜 透過係数比 低下割合 長さ 転化率 ロス
1 無し − − − 65(%) 0(%)
2 有り 10 0(%) 0 70(%) 12(%)
3 有り 10 10(%) 500(mm) 71(%) 11(%)
4 有り 10 50(%) 200(mm) 72(%) 10(%)
5 有り 10 50(%) 500(mm) 72(%) 8(%)
6 有り 10 80(%) 200(mm) 72(%) 9(%)
7 有り 10 80(%) 500(mm) 72(%) 6(%)
8 無し 100 0(%) 0 78(%) 1.2(%)
9 有り 100 20(%) 200(mm) 78(%) 1.2(%)
10 有り 100 50(%) 200(mm) 78(%) 1.1(%)
11 有り 100 80(%) 200(mm) 78(%) 0.9(%)
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明が適用されたメンブレン・リアクタを備えた水蒸気改質装置の概略構成を説明する図である。 図1のメンブレン・リアクタに備えられた分離膜エレメントの構造を拡大して示す断面図である。 図2の分離膜エレメントの要部を更に拡大して説明する断面図である。 図1のメンブレン・リアクタにおける原料濃度と生成物濃度との関係を模式的に説明する図である。 図2の分離膜エレメントに備えられた分離膜の細孔分布の一例である。
符号の説明
10:メンブレン・リアクタ、34:分離膜エレメント、40:第2気体通路、42:第1気体通路、44:支持体、46:中間層、48:分離膜、50:触媒、52:透過率制御部、54:通常部

Claims (4)

  1. セラミックス製の多孔質壁によって相互に区分された第1気体通路および第2気体通路を備え、その第1気体通路に送り込まれた原料気体からその流通過程において生成され且つその多孔質壁を第2気体通路に透過した生成気体をその第2気体通路から回収する形式のメンブレン・リアクタであって、
    前記原料気体の流通方向上流側に下流側よりも前記多孔質壁の気体透過率が低くされた透過率制御部を備えたことを特徴とするメンブレン・リアクタ。
  2. 前記多孔質壁は、所定の細孔径を有して前記第1気体通路側に設けられた分離膜と、それよりも大きい細孔径を有し且つ全体に亘ってその分離膜よりも高い気体透過率を有して前記第2気体通路側に設けられた支持体とを含み、前記透過率制御部は、その分離膜の膜厚が前記下流側よりも厚くされたものである請求項1のメンブレン・リアクタ。
  3. 前記透過率制御部は、気体透過率が前記下流側における値よりも10(%)以上低くされたものである請求項1のメンブレン・リアクタ。
  4. 前記透過率制御部は、前記第1気体通路の全長の20(%)乃至70(%)の長さ寸法で設けられたものである請求項1のメンブレン・リアクタ。
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