JP2005195103A - シール装置及びその製造方法、並びにそれを用いたスピンドルモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】モータ内外などを少ない部品点数でより確実にシールでき、長寿命化を図る新規なシール装置を提供する。
【解決手段】ロ−タ4の円形孔4b2に設けられている環状溝4b3には、導電性流体5がその表面張力により保持されている。ロータ4の円形孔4b2に対向する支持軸3aには、略円管状であってその一部が径方向外方に突出したシリンダーブッシュ3eが取り付けられており、シリンダーブッシュ3eの突出部分が環状溝4b3の導電性流体5に接触し、密閉されている。
【選択図】図2
【解決手段】ロ−タ4の円形孔4b2に設けられている環状溝4b3には、導電性流体5がその表面張力により保持されている。ロータ4の円形孔4b2に対向する支持軸3aには、略円管状であってその一部が径方向外方に突出したシリンダーブッシュ3eが取り付けられており、シリンダーブッシュ3eの突出部分が環状溝4b3の導電性流体5に接触し、密閉されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、磁気記録媒体を駆動するスピンドルモータ等に使用されるシール装置に関する。
従来より、ハードディスクなどの磁気記録媒体を駆動するスピンドルモータにおいては、モータの内外を、ロータの回転に影響を及ぼすことなく仕切るためのシール装置が用いられている。
従来のこの種シール装置としては、例えば図5に示すような磁性流体シール装置が多用されている。すなわち、図5は、ハードディスク駆動用スピンドルモータの一部を示したものであり、モータブラケットに固定された固定軸101(磁性体よりなる)に対し上側軸受手段102及び下側軸受手段の一対の軸受手段(例えばボールベアリング)を介してロータハブ103を回転自在に支持し、このロータハブ103にハードディスクを搭載してロータハブ103と共にハードディスクを回転するようになっている。このハードディスクは清浄空間に配置する必要があるが、モータ内部,特に軸受手段で発生するコンタミネーションがモータ外部に流出してハードディスク表面を汚損するのを防止するため、モータ内外を封止するシール装置104が設けられる。
このシール装置104は、軸方向に着磁された環状磁石105と、この軸方向両側に設けられた内径が固定軸101の直径よりやや大きい磁性板からなる円環状ポールピース106,107とを有してなり、環状磁石105と一対のポールピース106,107との組立体をロータハブ103の内周面に接着剤108を用いて固着し、ポールピース106,107の内周面と固定軸101の外周面との間にできる間隙に磁性流体109を介在させ、これを環状磁石105の磁力によって同上間隙に保持し、モータ内外の空間を遮断密封するようにしている。
しかしながら、このような構成のシール装置では、固定軸101を磁性体により構成する必要があり、材料が限定されるばかりでなく、固定軸101の表面に対し磁性流体109のにじみを防止するための研磨が必要である。その上、固定軸101に対するロータハブ103の相対回転が始まると、磁性流体109に遠心力が働き、その遠心力が許容範囲を越えるとシールの破壊が起こり、加えて磁性流体109がモータ外部に飛散する危険がある。
そこで、このような不具合を解消するシール装置として特許文献1に記載のものが考えられている。この特許文献1には、互いに相対回転自在である軸体とその外側に配されるハウジングとの間をシールするシール装置が示され、シールされる側の環状外側遮蔽体とベアリング側の環状外側遮蔽体との間に環状磁石を配し、これをハウジングの内周面に固定して内径側に開口する空間を形成し、この空間内に、軸体に固定された内側遮蔽体を挿入することによりシールされる側とベアリング側を連通する断面U字形の通路を形成し、環状磁石の周辺に導電性磁性流体を保持することにより前記通路を塞ぐようにしている。
このような構成においては、磁性流体の保持が一層強固となり、遠心力の作用によってもシールの破壊が起こりにくく、静止時耐圧も高くなる効果がある。
一方、特許文献2には、磁性流体をマグネットの磁力と表面張力で強力に保持するようにしたシール装置が示されている。このシール装置は、静止軸部材に対して相対的に回転自在なロータハブに径方向に着磁された環状の保持マグネットを備え、静止軸部材の保持域と保持マグネットとの間に磁性流体を充填し、保持域の軸線方向外側端部に設けた保持テーパ部で磁性流体の界面を形成するようにしている。
このような構成においては、磁性流体シール手段の保持マグネットと静止軸部材の保持域との間に保持された磁性流体には、磁力及び毛細管現象が作用するので、遠心力による軸線方向外方への磁性流体の流動が抑えられ、これによってその飛散等を防止することができる。
しかしながら、特許文献1で示した断面U字形の通路に磁性流体を保持する技術においては、通路を形成するための部品点数が増え、コスト増になるいう問題があった。また、特許文献2で示した静止軸部材の保持域に保持テーパ部を設け保持マグネットと磁性流体を保持する技術においては、静止軸部材に対してロータハブに設けた保持マグネットを挿通するために両者間に比較的大きな隙間を確保しておく必要があるためより高いシール耐圧が必要な場合は不向きである。
更に、特許文献1および2では、磁性流体界面が空気流路にあるため、流体が蒸発しやすいといった問題もあった。
本発明は、上記のような従来のシール装置が有する問題点を解決し、モータ内外などを少ない部品点数でより確実にシールでき、長寿命化を図る新規なシール装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、軸部に対し相対的に回転自在である部材に、軸部が遊挿する円形孔を形成し、該円形孔の内周面と軸部の円形孔に対向する外周面との間を密閉するシール装置であって、円形孔の内周面には該円形孔の内側に開口するよう環状溝が設けられ、軸部の外周面には、外径が円形孔の内径より小さい管状部と、この管状部の端縁に連設し径方向外方に山状に屈曲すると共に最外径が円形孔の内径より大きく環状溝の底面の径より小さい環状屈曲部とを有する挿入部材が取着され、環状屈曲部の外周面と環状溝の内周面との間に液体が保持されていることを特徴とする(請求項1)。
この構成のシール装置において、円形孔の内周面に環状溝が設けられ、軸部の外周面に挿入部材が取着され、液体を保持するため部品点数の削減を図ることができる。
また、上述したシール装置において、環状屈曲部は管状体の中央部分が径方向外方に拡がるようその軸方向両側を互いに向かい合う方向に折曲して形成され(請求項2)、挿入部材は環状屈曲部とこの軸方向両側に連設する二つの管状部とからなると(請求項3)、円形孔及び円形孔の内周面に円形孔の内側に開口するように設けられた環状溝の形状に沿うように挿入部材の環状屈曲部及び環状部が形成され、円形孔の内周面と軸部の円形孔に対向する外周面との間の密閉機能を高めることができる。
さらに上記シール装置において、軸部,部材及び挿入部材は導電性材料により構成され、液体は導電性流体により構成されていると(請求項4)、発生した静電気を速やかに除去することができる。
また、上述したシール装置において、管状部の外周面とこれに径方向に対向する円形孔の内周面とは微小なラビリンスシール用間隙を形成していることにより(請求項5)、液体を保持している環状屈曲部の外周面と環状溝の内周面は、上述の微小なラビリンスシール用間隙により、空気がおおよそ遮断されて密閉に近い空間が形成されている。よって、液体はその空間でのみ蒸発がおこるので、すぐに飽和状態になり、液体の蒸発を防ぐことができ、長寿命なシール装置を提供することができる。
そして、本発明は、軸部に対し相対的に回転自在であり該軸部が遊挿する円形孔を有する部材における前記円形孔の内周面と、軸部の円形孔に対向する外周面との間を密閉するシール装置の製造方法であって、円形孔の内周面に該円形孔の内側に開口する環状溝を形成し、該環状溝の底部に液体を保持し、円形孔の内周面と該円形孔に遊挿された軸部の外周面との間に、該軸部の外周面に移動自在に嵌合された円筒状挿入部材を配置し、挿入部材にその軸方向両端間の距離が縮まる方向の力を加え、挿入部材の円形孔に対応する部分を径方向外方に拡がらせて断面山状に屈曲させ、この屈曲部の最大外径部を円形孔の環状溝内に入り込ませて液体に接触させ、液体を屈曲部と環状溝の内周面との間に保持することを特徴とする(請求項6)。
この構成のシール装置の製造方法においては、液体を環状溝に保持した後に円筒状挿入部材を屈曲させ液体に接触させるため確実にシール装置を形成することができる。特に、環状溝は液体の保持し易さを考慮し、液体を保持している底部に向けて溝幅が狭まる断面V字形に形成されるのが望ましい。ここで、分割された2つの円筒状挿入部材のそれぞれの端部に皿状屈曲部を形成し、それぞれの屈曲部どうしを重ね合わせて接着固定することにより環状屈曲部を形成することも考えられるが、この場合には、屈曲片の接合部分の隙間に液体が入り込んでシールに必要な液体量が確保できなかったり、液体と接着剤とが意図しない反応を起こす可能性がある。しかし、上記のように挿入部材に力を加えて径方向外方に拡がるよう屈曲させ、環状屈曲部を形成すれば、屈曲部が継ぎ目なく連続して一体成形されるため、液体が減量することなく上述した懸念は皆無となる。
また、上記シール装置の製造方法において、挿入部材は、円形孔の軸方向寸法より長く形成されており、挿入部材の円形孔からはみ出した部分に前記屈曲部を形成するための力を付与するようにした場合(請求項7)、挿入部材を取着した軸部に部材を組み合わせた後に圧縮力を付与し、シール装置を形成することができる。
さらに上記シール装置の製造方法において、挿入部材の円形孔に対応する部分を径方向外方に拡がらせて屈曲部を形成した後、挿入部材の内周面と軸部の外周面との間をシール部材でシールした場合(請求項8)、確実に円筒状部材と軸部の外周面をシールすることができ密閉することによりシール装置の性能を高めることができる。
そしてまた、本発明は、固定側部材に支持されたステータと、該固定側部材に対し相対的に回転自在である回転側部材にステータに対向するように設けられたロータマグネットと、固定側部材に対し回転側部材を自在に支持する軸受機構とを備えたスピンドルモータにおいて、固定側部材と回転側部材との一方に軸部が,他方にこの軸部が遊挿する円形孔を有する部材がそれぞれ設けられ、円形孔の内周面には該円形孔の内側に開口するよう環状溝が設けられ、軸部の外周面には、外径が円形孔の内径より小さい管状部と、この管状部の端縁に連設し径方向外方に山状に屈曲すると共に最外径が円形孔の内径より大きく環状溝の底面の径より小さい環状屈曲部とを有する挿入部材が取着され、環状屈曲部の外周面と環状溝の内周面との間に液体が保持されていることを特徴とする(請求項9)。
この構成のスピンドルモータにおいては、モータ内部で発生する塵埃を外部に排出することを防ぐことができる。
また、上記スピンドルモータにおいて、固定側部材に軸部が固定され、回転側部材に軸部が遊挿する円形孔が形成されている場合(請求項10)、遠心力によりシール耐圧が向上する。
本発明の請求項1に記載のシール装置によれば、円形孔の内周面に環状溝が設けられ、軸部の外周面に挿入部材が取着され、液体を保持するため部品点数の削減を図ることができる。
本発明の請求項2及び3に記載のシール装置によれば、円形孔及び円形孔の内周面に円形孔の内側に開口するように設けられた環状溝の形状に沿うように挿入部材の環状屈曲部及び環状部が形成され、円形孔の内周面と軸部の円形孔に対向する外周面との間の密閉機能を高めることができる。
本発明の請求項4に記載のシール装置によれば、例えば回転側に発生した静電気を速やかに固定側に導くことができ、静電気による弊害を除去することができる。
本発明の請求項5に記載のシール装置によれば、液体の蒸発を防ぐことができ長寿命なシール装置を提供することができる。
本発明の請求項6に記載のシール装置の製造方法によれば、液体を環状溝に保持した後に挿入部材を屈曲させ液体に接触させるため確実にシール装置を形成することができる。
本発明の請求項7に記載のシール装置の製造方法によれば、挿入部材を取着した軸部に部材を組み合わせた後に、挿入部材の円形孔からはみ出した部分に屈曲部を形成するための力を付与することができる。
本発明の請求項8に記載のシール装置の製造方法によれば、挿入部材が回転による遠心力の影響などを受けることなく、確実に挿入部材と軸部の外周面をシールすることができ、シール装置の性能を高めることができる。
本発明の請求項9に記載のスピンドルモータによれば、モータ内部で発生する塵埃を外部に排出することを防ぐことができる。
本発明の請求項10に記載のスピンドルモータによれば、遠心力によるシール耐圧が向上する。
以下に本発明のシール装置及びその製造方法、並びにそれを用いたスピンドルモータ実施形態について図1〜4を参照して説明するが、本発明は以下に示す各実施例に限定されるものではない。
図1は本発明の一実施形態に係るシール装置を記録ディスク駆動用スピンドルモータの空気動圧軸受に適用した例の断面図である。図1に図示されるスピンドルモータ1は、固定側部材であるブラケット2の略中央部に立設されるシャフト3と、このシャフト3に軸受機構を介して回転自在に支持される回転側部材であるロ−タ4とを有している。シャフト3は、軸線方向下端部がブラケット2に固着される軸部としての支持軸3aと、この支持軸3aの外周面に嵌着される外筒部3b並びに一対の円板状のスラストプレート3c1,3c2とから構成されている。一対のスラストプレート3c1,3c2は支持軸3aの上下に配置され、上側のスラストプレート3c1の直上には鍔状部3dが支持軸3aに一体に設けられている。尚、上側のスラストプレート3c1は支持軸3aの鍔状部3dと外筒部3bの上端面との間に狭持されており、下側のスラストプレート3c2はブラケット2の上面と外筒部材4bの下端面との間に狭持されている。
また、ロ−タ4は、ほぼ逆カップ状のロータハブ4bと、このロータハブ4bの円筒部の内周面に装着されスラストプレート3c1,3c2間に配置され内周面が外筒部3bの外周面と微小間隙を介して対向する中空円筒状のスリーブ4aとから構成され、ロータハブ4bの上壁部には、その中央部に、内周面が支持軸3aの外周面と対向する円形孔4b2が形成され、円形孔4b2の内周面の軸方向中央には半径方向内方に開口するように断面台形凹状の環状溝4b3が形成されている。
ロータハブ4bの外周面には、ハードディスク等の記録ディスクが載置されるフランジ状のディスク載置部4b1が設けられていると共に、その軸線方向下側にはリング状のロータマグネット6が取付けられている。ブラケット2は、支持軸3aの軸線方向上端部側に向かって開口する略カップ状の形状を有しており、その周壁内周面にはステータ7がロータマグネット6に対して半径方向外方から空隙を介して対向するよう固着されている。ステータ7の軸線方向上方は、ステータ7とロータマグネット6との間に形成される磁路からの漏洩磁束による記録ディスク(図示せず)への影響を排除するために、磁性体からなる円板状の磁気シールド板9によって覆われている。
ロ−タ4の円形孔4b2に設けられている環状溝4b3には、液体として導電性流体5がその表面張力により保持されている。ロータ4の円形孔4b2に対向する支持軸3aには、略円管状であってその一部が径方向外方に突出した挿入部材としてのシリンダーブッシュ3eが取り付けられており、シリンダーブッシュ3eの突出部分が環状溝4b3の導電性流体5に接触し、密閉されている。
支持軸3aの外周面に嵌着される上側のスラストプレート3c1の下面は、スリーブ4aの上端面に対向すると共に、その表面には動圧発生溝8aが設けられることで上部スラスト軸受部8が構成され、支持軸3aの外周面に嵌着される下側のスラストプレート3c2の上面は、スリーブ4aの下端面に対向すると共に、その表面には動圧発生溝10aが設けられることで下部スラスト軸受部10が構成されている。
支持軸3aの外周面に嵌着された外筒部3bの外周面は、スリーブ4aの内周面と対向すると共に、その表面には上部スラスト軸受部8に隣接して動圧発生溝11aが設けられることで上部ラジアル軸受部11が構成されており、また下部スラスト軸受部10に隣接して動圧発生溝12aが設けられることで下部ラジアル軸受部12が構成される。
尚、スリーブ4aの軸線方向寸法は、スラストプレート3c1の下面とスラストプレート3c2の上面との間の軸線方向寸法よりも数μm小さく設定されており、ロ−タ4の回転時に動圧発生溝8a,10aが発生する動圧によって形成される空気による流体膜により、その寸法差分、上部及び下部スラスト軸受部8,10で軸線方向のエアギャップが形成され、外筒部材4bの外径寸法は、スリーブ4aの内径寸法よりも数μm小さく設定されており、ロ−タ4の回転時に動圧発生溝11a,12aによって形成される空気による流体膜により、その寸法差分、上部及び下部ラジアル軸受部11,12で半径方向のエアギャップが形成される。
以上のように構成されたスピンドルモータ1の動作について説明する。ステータ7のコイルに励磁電流が通電されると、ロータマグネット6とステータ7との間で磁力が発生し、この磁力によりロータハブ4bが回転する。ロータハブ4bと共にスリーブ4aが回転すると、動圧発生溝8a,10a,11a,12aに動圧が発生し、回転側部材が固定側部材に対し非接触で回転する。
回転側部材が回転すると、空気との摩擦により静電気が発生し、回転側部材及び回転側部材に取り付けられた記録ディスクに帯電する。回転側部材が回転を続けると静電気の帯電量が増大し、記録ディスクと記録ディスク上の情報を読み書きするヘッド(図示せず)との間で放電される。この放電により、ヘッドが損傷するおそれがある。
第1実施形態に係る軸受では、回転側部材及び回転側部材に取り付けられた記録ディスクで発生した静電気は、ロ−タ4、導電性流体5、シリンダーブッシュ3e、支持軸3a、ブラケット2を経由するアース経路を通って除電する事ができる。そのためには、ロータ4、シリンダーブッシュ3e、支持軸3a、ブラケット2は導電性材料からなるものを用いる必要がある。
シリンダーブッシュ3eによるシール装置の詳細は、図2に示すように、円筒形状の軸部である支持軸3aに沿うように挿入部材であるシリンダーブッシュ3eが取着され、シリンダーブッシュ3eの外周に支持軸3aの外径より大きい孔を持つ円形孔4b2が設けられおり、また、その円形孔4b2の内側に開口する環状溝4b3が設けられている。そして、シリンダーブッシュ3eには径方向外方に山状に突曲しその最外径は円形孔4b2の内径より大きく環状溝4b3の底面の径より小さく設定されている環状屈曲部3e1が設けられており、その環状屈曲部3e1を挟むように円形孔4b2の内径よりやや小さい外径の管状部3e2が2個ある。
環状屈曲部3e1は円形孔4b2側にある環状溝4b3に保持されている液体すなわち導電性液体5に接触しており、シリンダーブッシュ3eの管状部3e2は、径方向に対向する円形孔4b2の内周面と微小なラビリンスシール13を形成し導電性液体5の蒸発を防ぐ。また、ラビリンスシール13を形成するシリンダーブッシュ3eの管状部3e2及び環状フランジ部4b2の内周面に撥油剤を塗布すると導電性流体が漏れ出すことを更に防ぐことができる。
図3は本発明に係るシール装置の製造方法の一例を示す工程図である。支持軸3aの外周面には環状突起3dが設けられており、その環状突起3dの上端部に略円筒状のシリンダーブッシュ3eが支持軸3aの外周面に配置されている。また、内周面がシリンダーブッシュ3eの外周面と対向する、内周面に環状溝4b3がある円形孔4b2が設けられ、その環状溝4b3に導電性流体5が保持されている。尚、シリンダーブッシュ3eは、フランジ部上端よりも軸方向に長く形成されているため、円形孔4b2からはみ出した部分に軸方向上方より(矢印の方向に)圧縮の力を加える。シリンダーブッシュ3eの下端部が環状突起3dに当接しているため、シリンダーブッシュ3eの一部は径方向に外方に拡がるよう変形し(同図(a))、断面山状の環状屈曲部3e1が形成され、この環状屈曲部3e1の先端部(山状の頂部)が環状溝4b3に保持されている磁性流体5に接触するようになる(同図(b))。その際、環状溝4b3に当接しないようにする必要がある。さらに、接着剤でシリンダーブッシュ3eを支持軸3aに固着させることにより、シール装置の密閉性を高めることができる。
さらに、図4に示すように、圧縮の力は一方からだけではなく、軸方向両端から(矢印の方向に)圧縮の力を加えることも可能である。その際、一方の圧縮の力と他方の圧縮の力が同じでなくても良く、変形させる場所、素材等の条件により変化させることができ、環状突起など位置決めする手段を必要としない。
シリンダーブッシュ3eの環状屈曲部形成方法として、シリンダーブッシュ3eに形状記憶合金を用い、シリンダーブッシュ3eに環状屈曲形状を記憶させた上で、円筒状に変形させ、圧縮の力を加える代わりに加熱することにより記憶させた環状屈曲形状に変形させる方法を用いても良い。また、シリンダーブッシュ3eに環状屈曲部を持つ円筒形状に加工した超弾性合金を用い、軸部に取着した後、環状溝に環状屈曲部が遊動嵌合するように軸部を円形孔に装着する方法や、軸部に円形孔を装着した後環状溝に遊動嵌合するよう所定位置に嵌めこみ方法などでシール装置を形成してもかまわない。
以上、本発明に従うシール装置及びその製造方法、並びにそれを用いたスピンドルモータの一実施形態について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
1 スピンドルモータ
2 ブラケット
3 シャフト(軸受機構)
3a 支持軸(軸部)
3b 外筒部
3c1 スラストプレート
3c2 スラストプレート
3d 環状突起
3e シリンダーブッシュ(挿入部材)
3e1 環状屈曲部
3e2 管状部
4 ロータ(円形孔)
4a スリーブ
4b ロータハブ
4b1 ディスク載置部
4b2 環状フランジ部
4b3 環状溝
5 導電性流体(液体)
13 ラビリンスシール
2 ブラケット
3 シャフト(軸受機構)
3a 支持軸(軸部)
3b 外筒部
3c1 スラストプレート
3c2 スラストプレート
3d 環状突起
3e シリンダーブッシュ(挿入部材)
3e1 環状屈曲部
3e2 管状部
4 ロータ(円形孔)
4a スリーブ
4b ロータハブ
4b1 ディスク載置部
4b2 環状フランジ部
4b3 環状溝
5 導電性流体(液体)
13 ラビリンスシール
Claims (10)
- 軸部に対し相対的に回転自在である部材に、前記軸部が遊挿する円形孔を形成し、該円形孔の内周面と前記軸部の前記円形孔に対向する外周面との間を密閉するシール装置であって、
前記円形孔の内周面には該円形孔の内側に開口するよう環状溝が設けられ、
前記軸部の外周面には、外径が前記円形孔の内径より小さい管状部と、この管状部の端縁に連設し径方向外方に山状に屈曲すると共に最外径が前記円形孔の内径より大きく前記環状溝の底面の径より小さい環状屈曲部とを有する挿入部材が取着され、
前記環状屈曲部の外周面と前記環状溝の内周面との間に液体が保持されていることを特徴とするシール装置。 - 前記環状屈曲部は、管状体の中央部分が径方向外方に拡がるようその軸方向両側を互いに向かい合う方向に折曲して形成されている請求項1に記載のシール装置。
- 前記挿入部材は、前記環状屈曲部とこの軸方向両側に連設する二つの前記管状部とからなる請求項1又は2に記載のシール装置。
- 前記軸部,前記部材及び前記挿入部材は導電性材料により構成され、前記液体は導電性流体により構成されている請求項1〜3の何れかに記載のシール装置。
- 前記管状部の外周面と、これに径方向に対向する前記円形孔の内周面とは微小なラビリンスシール用間隙を形成している請求項1〜4の何れかに記載のシール装置。
- 軸部に対し相対的に回転自在であり該軸部が遊挿する円形孔を有する部材における前記円形孔の内周面と、前記軸部の前記円形孔に対向する外周面との間を密閉するシール装置の製造方法であって、
前記円形孔の内周面に該円形孔の内側に開口する環状溝を形成し、該環状溝の底部に液体を保持し、
前記円形孔の内周面と該円形孔に遊挿された前記軸部の外周面との間に、該軸部の外周面に移動自在に嵌合された円筒状挿入部材を配置し、
前記挿入部材にその軸方向両端間の距離が縮まる方向の力を加え、前記挿入部材の前記円形孔に対応する部分を径方向外方に拡がらせて断面山状に屈曲させ、この屈曲部の最大外径部を前記円形孔の環状溝内に入り込ませて前記液体に接触させ、前記液体を前記屈曲部と前記環状溝の内周面との間に保持することを特徴とするシール装置の製造方法。 - 前記挿入部材は、前記円形孔の軸方向寸法より長く形成されており、前記挿入部材の前記円形孔からはみ出した部分に前記屈曲部を形成するための力を付与するようにした請求項6に記載のシール装置の製造方法。
- 前記挿入部材の前記円形孔に対応する部分を径方向外方に拡がらせて屈曲部を形成した後、前記挿入部材の内周面と前記軸部の外周面との間をシール部材でシールした請求項6又は7に記載のシール装置の製造方法。
- 固定側部材に支持されたステータと、該固定側部材に対し相対的に回転自在である回転側部材に前記ステータに対向するように設けられたロータマグネットと、前記固定側部材に対し前記回転側部材を回転自在に支持する軸受機構とを備えたスピンドルモータにおいて、
前記固定側部材と前記回転側部材との一方に軸部が,他方にこの軸部が遊挿する円形孔を有する部材がそれぞれ設けられ、
前記円形孔の内周面には該円形孔の内側に開口するよう環状溝が設けられ、
前記軸部の外周面には、外径が前記円形孔の内径より小さい管状部と、この管状部の端縁に連設し径方向外方に山状に屈曲すると共に最外径が前記円形孔の内径より大きく前記環状溝の底面の径より小さい環状屈曲部とを有する挿入部材が取着され、
前記環状屈曲部の外周面と前記環状溝の内周面との間に液体が保持されていることを特徴とするスピンドルモータ。 - 前記固定側部材に前記軸部が固定され、前記回転側部材に前記軸部が遊挿する円形孔が形成されている請求項9に記載のスピンドルモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004002571A JP2005195103A (ja) | 2004-01-08 | 2004-01-08 | シール装置及びその製造方法、並びにそれを用いたスピンドルモータ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004002571A JP2005195103A (ja) | 2004-01-08 | 2004-01-08 | シール装置及びその製造方法、並びにそれを用いたスピンドルモータ |
Publications (1)
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ID=34817726
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005195103A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007088962A1 (ja) * | 2006-02-03 | 2007-08-09 | Daikin Industries, Ltd. | 空気調和装置 |
-
2004
- 2004-01-08 JP JP2004002571A patent/JP2005195103A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007088962A1 (ja) * | 2006-02-03 | 2007-08-09 | Daikin Industries, Ltd. | 空気調和装置 |
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