JP2005193839A - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型で簡単な車両用乗員保護装置によって、車両に対して後方から衝突物が衝突したときに、乗員の頸部の負担をより確実に軽減する。
【解決手段】 車両用乗員保護装置20は、シートバック用フレーム35に第1のスイング中心Q1で前後スイング可能に取付けた第1スイング部材52,52と、第1スイング部材に第2のスイング中心Q2で前後スイング可能に取付けた第2スイング部材80,80と、第2スイング部材によって前方へスイングさせるべくシートバック用フレームに前後スイング可能に取付けたヘッドレスト支持部材37と、ヘッドレスト支持部材に取付けたヘッドレスト38と、車両に対して後方から衝突する衝突物を予知したときに第2スイング部材をスイング駆動する衝突予知時駆動手段24と、車両に対して後方から衝突物が衝突したときに第1スイング部材を介して第2スイング部材をスイング駆動する衝突時駆動手段53とからなる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両用シートに着座した乗員の保護装置に関し、特に、車両に対して後方から衝突物が衝突したときに、乗員の頸部を保護する技術に関する。
一般に、自動車などの車両において、シート上部のヘッドレストとシートに着座している乗員の頸部との間には、いわゆる頸部後方の隙間を有する。車両に対して後方から衝突物が衝突(以下、「後突」という。)したときには、その反動で乗員の上半身が後方へ倒れる。頸部後方の隙間が大きいほど、乗員の頸部に掛かる負担は大きい。
頸部の負担を軽減する技術としては、シートバックのクッション性能を高めるようにしたものがある。乗員の上半身が後方へ倒れたときに、クッション性の大きいシートバックが大きく圧縮されるので、頸部後方の隙間は減少する。この結果、頸部への負担を軽減できる。しかし、シートバックのクッション性が大き過ぎると乗り心地が低下する場合がある。そこで次のように、より保護性能との両立を図る技術開発が行われてきた(例えば、特許文献1−2参照。)。
特開平7−291005号公報(図6−9) 特開平11−334439号公報(図1−5)
特許文献1に示す従来の車両用乗員保護装置を、次の図18に基づいて説明する。図18(a),(b)は従来の車両用乗員保護装置(第1の従来技術)の概要図である。この第1の従来の車両用乗員保護装置200は、図18(a)に示すように、シート201のシートクッション202にシートバック203を前後スイング可能に取付け、シートバック203のフレーム204の上部にヘッドレスト支持部材205の中間部206を前後スイング可能に取付け、ヘッドレスト支持部材205の上端にヘッドレスト207を取付け、一方、フレーム204に連結部208を介してヘッドレスト支持部材205の下端を取付けたものである。連結部208は、所定値以上の荷重が作用したときだけ、後方へ延びる「ばね」である。
車両に対して後突が発生したときには、図18(b)に示すように乗員Mn自身の慣性で、すなわち後突の反動で乗員Mnの上半身は後方へ倒れる。乗員Mnの上半身からシートバック203へ作用した荷重は、連結部208が伸びる所定値以上の大きさである。連結部208が後方へ伸びるので、ヘッドレスト支持部材205はスイングする。この結果、ヘッドレスト207は前進して、乗員Mnの頭部Hdに接近する。このようにして、乗員Mnの頸部Ne後方の隙間を小さくするとともに、頸部Neに作用する衝撃を緩和することができる。
次に、特許文献2に示す従来の車両用乗員保護装置を、次の図19に基づいて説明する。図19(a),(b)は従来の車両用乗員保護装置(第2の従来技術)の概要図であり、(a)は車両用乗員保護装置300を備えた車両用シート301に乗員Mnが着座していることを示し、(b)は車両用乗員保護装置300の構成並びに作用を示す。この第2の従来の車両用乗員保護装置300は、シート301のシートクッション302にシートバック303を取付け、シートバック303の上部にポール304を介してヘッドレスト305を前後スイング可能に取付けたというものである。
車両用乗員保護装置300は、予測センサ311によって後突を予測し、ポテンショメータ312によってシートバック303の傾斜角を検出し、近接センサ313によってシートバック303に対し乗員Mnが近接していることを検出し、これらのセンサ信号に応じて制御部314が各種モータを制御するものである。予測センサ311で後突を予測したときに、制御部314はモータ315に制御信号を発する。モータ315は回転し、ウォームギヤ機構316を介してヘッドレスト305を前方へスイングさせる。この結果、ヘッドレスト305は乗員Mnの頭部Hdに接近する。このようにして、乗員Mnの頸部Ne後方の隙間を小さくするとともに、頸部Neに作用する衝撃を緩和することができる。
ところで、上記第1・第2の従来技術の両方の長所を得るために、第1の従来技術に第2の従来技術を組み合わせることが考えられる。しかし、第1・第2の従来技術を単に組み合わせたのでは、車両用乗員保護装置の構成が複雑になるとともに、大型にならざるを得ない。しかも、第1・第2の従来技術における各機構同士が互いに干渉し合わないような配慮も必要となる。
本発明は、小型で簡単な構成の車両用乗員保護装置によって、車両に対して後方から衝突物が衝突したときに、乗員の頸部の負担をより軽減することができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車両用シートのフレームに第1のスイング中心で前後スイング可能に取付けた第1スイング部材と、この第1スイング部材に第1のスイング中心とは異なる第2のスイング中心で前後スイング可能に取付けた第2スイング部材と、この第2スイング部材によって前方へスイングさせるべくフレームに前後スイング可能に取付けたヘッドレスト支持部材と、このヘッドレスト支持部材に取付けたヘッドレストと、車両に対して後方から衝突する衝突物を予知したときに第2スイング部材をスイング駆動する衝突予知時駆動手段と、車両に対して後方から衝突物が衝突したときに第1スイング部材を介して第2スイング部材をスイング駆動する衝突時駆動手段と、からなる車両用乗員保護装置である。
請求項2に係る発明は、第1のスイング中心に対し第1スイング部材のスイング先端側に第2のスイング中心を設け、この第2のスイング中心に対し第1のスイング中心とは反対側に第2スイング部材のスイング先端側を延ばしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、(1)後突を予知した時点に、予めヘッドレストを一定の後突予知時前進量だけ前進させて後突に備え、さらに、(2)後突が発生した時点に、ヘッドレストを後突時前進量だけ前進させることで、ヘッドレストと頭部との間の隙間を小さくすることができる。従って、後突が発生した時点から、乗員の頭部をヘッドレストで受け止めるまでの時間を、より短縮することができる。
さらには、後突の直後にヘッドレストを後突時前進量だけ前進させることで、ヘッドレストと頭部との間の隙間を小さくすることができる。この結果、後突時の反動で乗員の上半身が後方へ倒れたときであっても、乗員の頸部に掛かる負担をより軽減することができる。
このように、後突予知時と後突時の両方において、効率良くヘッドレストの前進量を確保することができる。
さらに請求項1に係る発明では、(1)車両に対して後方から衝突する衝突物を予知したときにヘッドレストを前進させる機構と、(2)車両に対して後方から衝突物が衝突したときにヘッドレストを前進させる機構との、2つの機構を、互いに干渉し合うことなく、小型で簡単な構成によってシートに組み付けることができる。
一般に、後突を予知したときに比べて、後突が発生したときにはヘッドレストを必要な前進量だけ、より迅速に前進させる必要がある。
これに対して請求項2に係る発明では、ヘッドレスト支持部材をスイングさせるために、ヘッドレスト支持部材に第2スイング部材が作用する点を「作用点」としたときに、この作用点から第1のスイング中心までの距離は、作用点から第2のスイング中心までの距離よりも大きい。このため、後突時において必要なヘッドレストの前進量を、第1スイング部材の小さいスイング角によって、確保することができる。この小さいスイング角の分だけ、第1スイング部材をスイングさせればよいので、第1スイング部材のスイング時間を短縮することができる。後突時において、より迅速にヘッドレストを必要な前進量だけ前進させることができる。従って、後突時において、より速やかに効率良くヘッドレストの前進量を確保することができる。
さらに請求項2に係る発明では、第1スイング部材のスイング先端と第2スイング部材のスイング先端とを略同方向に延ばしたので、第1・第2スイング部材同士を組合せ寸法を小さくできる。このため、車両用乗員保護装置をシートの狭いスペースに容易に組み付けることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。
図1は本発明に係る車両の平面図であり、車両用乗員保護装置(後述する)を搭載した車両11を示す。
車両11は、後端中央部に後方物検出手段21を備えた自動車である。後方物検出手段21は、自分の車両11(自車11)の後方に存在する後方物、すなわち衝突物12を検出する後方物検出センサであって、例えば超音波センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、可視光線センサ、レーザセンサ、レーダ式センサ、CCD等の撮像システム(カメラシステム)からなる。このような後方物検出手段21は、車両11の後方に存在する衝突物12を確実に検出できるとともに外乱の少ない、より適切な位置、例えばリヤバンパビームに少なくとも1個設置することになる。
ここで「衝突物12」とは、自車11に対して後方から衝突する物体であって、例えば後方の車両(後車)である。
図2は本発明に係る車両用乗員保護装置のブロック図である。車両用乗員保護装置20は、上記後方物検出手段21とヘッドレスト移動量検出手段22とヘッドレスト制御部23と衝突予知時駆動手段24とを備える。
ヘッドレスト制御部23は、後方物検出手段21及びヘッドレスト移動量検出手段22の検出信号に応じて、衝突予知時駆動手段24に制御信号を発することで、シート用ヘッドレストを前後に移動させるものであり、例えばマイクロコンピュータ並びにそれの周辺機器からなる。
衝突予知時駆動手段24は、シート用ヘッドレストを前後に移動させるヘッドレスト用モータであり、例えば直流型電動モータからなる。
ヘッドレスト移動量検出手段22は、ヘッドレストが前後に移動したときの移動量を検出して検出信号を発するセンサであり、例えば、衝突予知時駆動手段24(電動モータ24)のロータの位相を検知する位相検知センサからなる。ロータの位相を検知することによって、ヘッドレストの移動量を知ることができる。
図3は本発明に係る車両用シートの斜視図であり、この車両11(図1参照)のシート30は、車両の床に設置したシート支持台31と、シート支持台31に設けたシートクッション33並びにシートバック36と、シートバック36の上部に前後移動可能に設けたヘッドレスト38とからなる。
詳しく説明すると、シート30は、シート支持台31にシートクッション用フレーム32を介してシートクッション33を取付け、シートクッション用フレーム32にヒンジ34を介してシートバック用フレーム35を起倒可能に取付け、シートバック用フレーム35にシートバック36を取付け、シートバック用フレーム35の上部にヘッドレスト支持部材37を介してヘッドレスト38を前後移動可能に取付けたものである。
シートクッション用フレーム32及びシートバック用フレーム35は、シート30のフレームである。シートバック用フレーム35は、上下に長い左右の支柱部材35a,35aと、これら支柱部材35a,35aの上端間に掛け渡したクロスメンバ35bとからなる、正面視略門形状のフレームである。
ヘッドレスト支持部材37は、上下に長い左右の支持バー37a,37aと、これら支持バー37a,37aの上端間に掛け渡した水平バー37bとからなる、正面視略門形状のフレームであって、パイプの折り曲げ成形品である。クロスメンバ35bにガイド機構40,40を介して左右の支持バー37a,37aを取付けることによって、シートバック用フレーム35にヘッドレスト支持部材37を取付けることができる。
図4(a),(b)は本発明に係るガイド機構の構成図兼作用図である。(a)は、クロスメンバ35bにガイド機構40を介してヘッドレスト支持部材37を取付けたことを、シート30の左側方から見た断面構成として示した図である。(b)は、(a)の構成の作用を示した図である。
(a)に示すようにガイド機構40は、クロスメンバ35bの貫通孔35cに上方から着脱可能に取付けた筒状のガイドケース41と、ガイドケース41内に上下スライド可能に嵌合した筒状のガイド部材42と、ガイド部材42内に上下スライド可能に嵌合した支持バー37aを任意の高さに調節し且つロックする調節部材43と、ガイドケース41内でガイド部材42を弾性的に支える弾性部材44(例えばラバー製部材)と、ガイドケース41に対するガイド部材42の抜け止めをする抜止め部材(図示せず)とからなる。
ガイドケース41の内径は、ガイド部材42を前後スイング可能に嵌合するために、ガイド部材42の外径に比べて大きい。ガイドケース41の下端面41aは、前下端から後上方へかけて傾斜した傾斜面である。このため、ガイドケース41の前面の上下の長さは、ガイドケース41の後面の上下の長さよりも大きい。弾性部材44は、ガイドケース41の後側の内面41bとガイド部材42の後面との間に介在している。このため、ガイド部材42はガイドケース41の前側の内面41cに押し付けられることになる。ガイドケース41から上方へ延びたガイド部材42の上端部は、(a)に示す状態から前方(図左側)へのみスイングが可能であり、後方へのスイングが規制される。
なお、調節部材43は左右のガイド機構40,40の一方にのみ備えればよい。
上記構成のガイド機構40の作用を図4にて説明する。
(a)に示す通常状態において、弾性部材44は弾性力によってガイド部材42を弾発し、ガイドケース41の前側の内面41cに押し付けている。ガイドケース41とガイド部材42との摩擦力、及び、ガイド部材42と弾性部材44との摩擦力によって、ガイドケース41はガイド部材42を支えている。このため、ヘッドレスト支持部材37は、シートバック用フレーム35の上部に支えられることになる。
その後、弾性部材44の弾性力に抗して、ヘッドレスト支持部材37を図反時計回りにスイングさせる。ガイド部材42は、ガイドケース41の前側の内面41cにおける上端をスイング支点Psとして、弾性部材44を弾性変形させつつ、図反時計回りにスイングする。この結果を(b)に示す。
その後、(b)の状態から、ヘッドレスト支持部材37を図時計回りにスイングさせると、ガイド部材42はスイング支点Psを中心として、図時計回りにスイングする。このようにして、ヘッドレスト支持部材37を(a)の状態まで戻すことができる。ガイドケース41の前側の内面41cにガイド部材42の前面が当たるので、ヘッドレスト支持部材37が図時計回りにこれ以上スイングすることはない。
次に、車両用乗員保護装置20を詳しく説明する。
図5は本発明に係るシートバック用フレーム、ヘッドレスト支持部材及び車両用乗員保護装置の正面図、図6は図5の6−6線断面図である。
図5及び図6に示すように、車両用乗員保護装置20は後突時前進機構50を備える。後突時前進機構50は、図1に示す車両11に対して後方から衝突物12が衝突したときに、ヘッドレスト38を前進させる機構である。
このような後突時前進機構50は、シートバック用フレーム35の上部で水平な第1軸51を左右に延ばし、第1軸51の両端部を左右の支柱部材35a,35aに回転可能に取付け、第1軸51の両端部に左右の第1スイング部材52,52の基端を取付け、第1スイング部材52,52を下方へ延ばし、その先端52a,52a間に衝突時駆動手段53を取付けたものである。
第1軸51は、ヘッドレスト支持部材37の直ぐ前に配置した回転軸である。第1軸51の中心Q1は、第1スイング部材52,52が前後スイングする第1のスイング中心である。第1スイング部材52,52は、支柱部材35a,35aの内側に沿って配置し、図6に示すように側面視略「く」字状(不等号記号の「<」状)を呈する細長い平板である。
衝突時駆動手段53は、第1スイング部材52,52の先端52a,52a間に掛け渡した正面視略上向きコ字状の駆動アーム54と、駆動アーム54の水平部55に固定した左右に細長い平板状の駆動板56とからなる。駆動アーム54は、シートバック36に概ね沿って前下方へ延びる。駆動板56は、シートバック36に後方への外力が作用したときに、その外力をシートバック36を介して受ける部材であって、シートバック36内に埋設したものである。
さらに車両用乗員保護装置20は後突予知時前進機構60を備える。後突予知時前進機構60は、図1に示す車両11に対して後方から衝突する衝突物12を予知したときに、ヘッドレスト38を予め前進させる機構である。
このような後突予知時前進機構60は、第1軸51の下方で第1軸51に平行な第2軸61を左右に延ばし、第2軸61の両端部61a,61aを左右の第1スイング部材52,52の長手中間部52b,52bに回転可能に取付け、第2軸61の左端部61a又は右端部61aに従動アーム62の基端を取付け、従動アーム62の先端に連結ピン63を介してリンクバー64の一端部を前後スイング可能に取付け、リンクバー64の他端部に連結ピン65を介して駆動アーム66のスイング先端を取付け、駆動アーム66の基端に駆動軸67を取付け、駆動軸67に伝動機構68(図5参照)を介して衝突予知時駆動手段24を連結したものである。
従動アーム62は、一方の支柱部材35aと一方の第1スイング部材52との間に配置した部材であって、第2軸61から第1軸51へ向かって延びる平板状のバーである。リンクバー64は、衝突時駆動手段53の駆動アーム54に概ね沿って前下方に延びた、細長い平板状のバーである。駆動軸67は、伝動機構68に連結した回転軸であって、衝突時駆動手段53の前方に配置した水平軸である。駆動アーム66は、駆動軸67から前上方へ延び、従動アーム62とほぼ平行に配置した平板状のバーである。
衝突予知時駆動手段24(電動モータ24)の出力軸に伝動機構68の入力側を連結し、伝動機構68の出力側に駆動軸67を連結したので、衝突予知時駆動手段24の動力で伝動機構68を介して駆動軸67を回転することができる。
図5に示すように、一方の支柱部材35aは、駆動アーム66とは反対側に第1ブラケット71を取付けることで、この第1ブラケット71を介して、衝突予知時駆動手段24及び伝動機構68を支持したものである。このようにして、一方の支柱部材35aとシートバック36の側面との間に、衝突予知時駆動手段24及び伝動機構68を配置することができる。
さらに一方の支柱部材35aは、第2ブラケット72(図6参照)を介して駆動軸67を回転可能に支持することになる。
図7は図5の7−7線断面図である。図8は本発明に係る第2軸とヘッドレスト支持部材との関係を示す分解図である。
図5、図7及び図8に示すように、第2軸61は、長手中央部61bが衝突時駆動手段53の駆動アーム54に概ね沿って、前下方に寸法X1(図8参照)だけオフセットするように曲がったパイプ軸である(オフセット量X1)。長手中央部61bは、第2軸61の両端部61a,61aに平行な部分である。この長手中央部61bから前下方へ、駆動アーム54に概ね沿って左右一対の連結アーム81,81を延ばした。これらの連結アーム81,81は、ヘッドレスト支持部材37における左右の支持バー37a,37aの下端部37d、37dに対応する位置に配置することになる。
左右の連結アーム81,81は、第2軸61に平行な連結ピン82,82を介して左右の支持バー37a,37aの下端部37d、37dを前後スイング可能に連結したものである。詳しくは、支持バー37a,37aは下部に大径のパイプバー37c、37cを一体的に備え、これらのパイプバー37c、37cの下端部37d、37dに連結ピン82,82と平行な筒状のピン連結部83,83を溶接等により固定した構成である。連結アーム81,81のピン孔81a,81aとピン連結部83,83とに連結ピン82,82を嵌合することで、第2軸61の長手中央部61bにヘッドレスト支持部材37の下端部37d、37dを前後スイング可能に連結することができる。
連結アーム81,81に嵌合された連結ピン82,82の中心Q4は、長手中央部61bの中心Q3から前下方へ寸法X2だけオフセットしている(オフセット量X2)。従って、連結ピン82,82の中心Q4は、第2軸61の中心Q2から前下方に寸法L1だけオフセットしている。オフセット量L1は、オフセット量X1にオフセット量X2を加えた値である(オフセット量L1=X1+X2)。
以上の説明から明らかなように、第2軸61からオフセットした長手中央部61bと、左右の連結アーム81,81と、の組合せ構造体は、第2スイング部材80,80を構成する。第2軸61の中心Q2は、第2スイング部材80,80が前後スイングする第2のスイング中心である。また、連結ピン82,82の中心Q4は、第2スイング部材80がヘッドレスト支持部材37にスイング作用する作用点である。
このようにして車両用乗員保護装置20は、図5〜図7に示すように、シートバック用フレーム35の上部に第1のスイング中心Q1で前後スイング可能に取付けた第1スイング部材52、52と、この第1スイング部材52,52に第2のスイング中心Q2で前後スイング可能に取付けた第2スイング部材80,80と、この第2スイング部材80,80によって前方へスイングさせるべくシートバック用フレーム35に前後スイング可能に取付けたヘッドレスト支持部材37と、第2スイング部材80,80をスイング駆動する衝突予知時駆動手段24と、第1スイング部材52,52を介して第2スイング部材80,80をスイング駆動する衝突時駆動手段53と、を備えた構成であることを特徴とする。
衝突予知時駆動手段24は、車両11に対して後方から衝突する衝突物12を予知したときに、第2スイング部材80,80をスイング駆動するものである。衝突時駆動手段53は、車両11に対して後方から衝突物12が衝突したときに、第1スイング部材52,52を介して第2スイング部材80,80をスイング駆動するものである。
さらに車両用乗員保護装置20は、図7に示すように、第1のスイング中心Q1に対し第1スイング部材52のスイング先端52a側に第2のスイング中心Q2を設け、この第2のスイング中心Q2に対し第1のスイング中心Q1とは反対側に第2スイング部材80のスイング先端側を延ばしたことを特徴とする。
従って、第2のスイング中心Q2は、第1のスイング中心Q1とは異なる。第2スイング部材80がヘッドレスト支持部材37にスイング作用する作用点Q4(すなわち、連結ピン82,82の中心Q4)から第1のスイング中心Q1までの距離L2は、作用点Q4から第2のスイング中心Q2までの距離L1(オフセット量L1)よりも大きい。
次に、上記構成のヘッドレスト制御部23をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図1〜図3を参照しつつ図9及び図10に基づき説明する。図中、ST××はステップ番号を示す。特に説明がないステップ番号については、番号順に進行する。
図9は本発明に係るヘッドレスト制御部の制御フローチャート(その1)である。
ST01;自車11と衝突物12との間の離間距離Diを計測する。離間距離Diは後方物検出手段21で現実の離間距離Diを計測すればよい。
ST02;離間距離Diが、予め設定された一定の接近基準距離Ds1よりも小さいか否かを調べ、NOならST01に戻り、YESならST03に進む。
ST03;離間距離Diに基づいて、自車11に対する衝突物12の接近速度Sa(相対的な予想衝突速度Sa)を求める。接近速度Saは、例えば、極く微小な一定時間毎に計測した離間距離Diの変化量に基づく、演算によって求めればよい。
ST04;接近速度Saが、予め設定された一定の基準速度Soよりも大きいか否かを調べ、NOならST01に戻り、YESならST05に進む。
このように、ST01〜ST04の集合からなる構成は、自車11と衝突物12との間の離間距離Diが接近基準距離Ds1よりも小さく、且つ、自車11に対する衝突物12の接近速度Saが基準速度Soよりも大きい場合に、自車11に対して後方から衝突物12が衝突する可能性が有ると判断して予知信号を発する、後部衝突物予知手段91を構成することになる。
このような後部衝突物予知手段91の判断機能としては、自車11に対して衝突物12が衝突した場合に、シート30に着座している乗員に影響を及ぼす程度の衝撃を受けるか否かを判断できるものであることが、より好ましい。
ST05;後部衝突物予知手段91から衝突物12の予知信号が有ったので、ヘッドレスト38を前方へ移動させるように、ヘッドレスト用モータ24(衝突予知時駆動手段24)を正転させる。
ST06;ヘッドレスト38の前進量Frを計測する。前進量Frは、ヘッドレスト移動量検出手段22で現実の前進量Frを計測すればよい。
ST07;前進量Frが、予め設定された一定の基準前進量Fs(後突予知時前進量Fs)に達したか否かを調べ、NOならST05に戻ってヘッドレスト38を更に前進させ、YESならST08に進む。
ST08;ヘッドレスト38が基準前進量Fsだけ前進したので、ヘッドレスト用モータ24を停止させる。
ST09;ヘッドレスト38の現実の前進量Frを、基準後進量Rsと設定した後に、出結合子A1に進む。
このように、ST05〜ST08の集合からなる構成は、ヘッドレスト38を一定の基準前進量Fsだけ前進させる、ヘッドレスト前進制御手段92を構成することになる。
図10は本発明に係るヘッドレスト制御部の制御フローチャート(その2)であり、図9の出結合子A1から、本図の入結合子A1を経てST101に進んだことを示す。
ST101;ヘッドレスト制御部23に組込まれたタイマを、リセットした後にスタートさせる(カウント時間Tc=0)。
ST102;自車11と衝突物12との間の離間距離Diを計測する。離間距離Diは後方物検出手段21で現実の離間距離Diを計測すればよい。
ST103;離間距離Diが、予め設定された一定の最接近基準距離Ds2よりも小さいか否かを調べる。NOならST104に進む。YESになったら、自車11に対して後方から衝突物12が衝突する可能性が極めて高い、後突直前の状態に至ったと判断して、この制御を終了する。
ST104;カウント時間Tcが、予め設定された一定の接近基準時間Tsに達したか否かを調べる。NOならST102に戻る。YESになったら、接近基準時間Ts内で、自車11に対して後方から衝突物12が衝突する可能性がなくなったと判断して、ST105に進む。
このように、ST101〜ST104の集合からなる構成は、離間距離Diが最接近基準距離Ds2よりも小さい場合に、自車11に対して後方から衝突物12が衝突する可能性が極めて高い、後突直前の状態に至ったと判断して後突直前信号を発する、後突直前予知手段93を構成することになる。
このような後突直前予知手段93の判断機能としては、自車11に対して衝突物12が衝突した場合に、シート30に着座している乗員に影響を及ぼす程度の衝撃を受けるか否かを判断できるものであることが、より好ましい。
ST105;後突直前予知手段93から、衝突物12が衝突する可能性がなくなったとの回避信号が有ったので、ヘッドレスト38を後方へ移動させて元の位置に戻すように、ヘッドレスト用モータ24を逆転させる。
ST106;ヘッドレスト38の後進量Rrを計測する。後進量Rrは、ヘッドレスト移動量検出手段22で現実の後進量Rrを計測すればよい。
ST107;後進量Rrが上記ST09にて設定された基準後進量Rsに達したか否かを調べ、NOならST105に戻ってヘッドレスト38を更に後進させ、YESならST108に進む。
ST108;ヘッドレスト38が元の位置に戻ったので、ヘッドレスト用モータ24を停止させた後に、出結合子A2及び図9の入結合子A2を経てST01に戻る。
このように、ST105〜ST108の集合からなる構成は、ヘッドレスト38を元の位置まで後進させる、ヘッドレスト後進制御手段94を構成することになる。
次に上記構成の車両用乗員保護装置20の作用について、図11〜図14に基づき説明する。図11は本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その1)であり、第1スイング部材52周りと第2スイング部材80周りとを分解し、図6及び図7に対応させて模式的に表したものである。
通常状態における車両用乗員保護装置20は、図11で実線にてに示す位置関係にある。すなわち、ヘッドレスト支持部材37は実線にて示す中立位置にある。
その後、車両11に対して後方から衝突物12が衝突する(後突)ことを、ヘッドレスト制御部23が予知したときには、ヘッドレスト制御部23は衝突予知時駆動手段24(ヘッドレスト用モータ24)に制御信号を発する。
衝突予知時駆動手段24は正転して、駆動軸67を一定角度だけ回転させる。駆動軸67は、駆動アーム66及びリンクバー64を介して従動アーム62を図反時計回りにスイングさせる。第2軸61は図反時計回りに回って、第2スイング部材80を図反時計回りにスイングさせる。
第2スイング部材80は、先端の連結ピン82及びピン連結部83を介して、ヘッドレスト支持部材37の下端部37dを図反時計方向に押す。押されたヘッドレスト支持部材37は、ガイド機構40のスイング支点Psを中心として図反時計回りにスイングしつつ、前上方へ伸び出す。従って、想像線にて示すように、ヘッドレスト支持部材37の上端部が前方へ基準前進量Fsだけ前進する。ヘッドレスト38も、基準前進量Fsだけ前進する。この結果を図12に示す。
図12は本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その2)であり、第1スイング部材52周りと第2スイング部材80周りとを分解し、図11に対応させて模式的に表したものである。
後突を予知した段階における車両用乗員保護装置20は、図12で実線にてに示す位置関係にある。すなわち、ヘッドレスト支持部材37は実線にて示す位置にある。
その後、後突が発生したときには、その反動によって、シート30(図3参照)に着座している乗員の上半身が後方へ倒れる。倒れた上半身からシートバック36(図6参照)へ外力frが作用する。後突の衝突エネルギーが大きいほど、外力frは増す。この外力frはシートバック36を介して衝突時駆動手段53の駆動板56に作用する。駆動アーム54及び第1スイング部材52は、外力frに応じた角度だけ図反時計回りにスイングする。
この結果、第1スイング部材52に設けられた第2のスイング中心Q2は、後方へ点Q2aまで、ほぼ水平に変位する。この変位に応じて、従動アーム62及びリンクバー64も変位する。なお、駆動軸67及び駆動アーム66の変位は、伝動機構68(図5参照によって規制される。
第2スイング部材80は、第1スイング部材52と共に図反時計回りにスイングすることで、先端の連結ピン82及びピン連結部83を介して、ヘッドレスト支持部材37の下端部37dを図反時計方向に押す。押されたヘッドレスト支持部材37は、ガイド機構40のスイング支点Psを中心として図反時計回りにスイングしつつ、前上方へ伸び出す。従って、想像線にて示すように、ヘッドレスト支持部材37の上端部が前方へ前進量Fcだけ前進する。この前進量Fcは、外力frに応じた角度だけ更に前進する後突時前進量である。ヘッドレスト38も、後突時前進量Fcだけ前進する。この結果を図13に示す。
図13は本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その3)であり、第1スイング部材52周りと第2スイング部材80周りとを分解し、図12に対応させて模式的に表したものである。
以上の説明から明らかなように、ヘッドレスト支持部材37の上端部及びヘッドレスト38は、後突を予知した時点に一定の基準前進量Fs(後突予知時前進量Fs)だけ前進し、さらに、後突が発生した時点に後突時前進量Fcだけ前進する。
図14(a),(b)は本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その4)であり、上記図11〜図13にて説明した作用をまとめ、シート30に着座した乗員Mnに対する車両用乗員保護装置20の作用を表したものである。
(a)は、シート30に乗員Maが着座していることを示す。ヘッドレスト38は想像線にて示す最後方の位置にある。
その後、ヘッドレスト制御部23は後突を予知(後突予知)したときに、衝突予知時駆動手段24に回転制御信号を発する。衝突予知時駆動手段24はヘッドレスト38を実線にて示す位置まで、基準前進量Fsだけ前進させる。基準前進量Fsまで前進したことをヘッドレスト移動量検出手段22が検出した時点で、ヘッドレスト制御部23は衝突予知時駆動手段24を停止させる。
このように後突予知の段階で、ヘッドレスト38と乗員Maの頭部Hdとの間の隙間Spの大きさを小さくして、後突に備える。この結果、ヘッドレスト38と乗員Maの頸部Neとの間の、いわゆる頸部Ne後方の隙間を予め強制的に小さくすることができる。後突の直前に頸部Ne後方の隙間を小さくしたので、後突時の反動で乗員Maの上半身が後方へ倒れたときであっても、乗員Maの頸部Neに掛かる負担を、より確実に軽減することができる。
その後、(b)に示すように後突が発生したときには、その反動によって乗員Maの上半身が後方へ倒れることで、上半身からシートバック36へ外力frが作用する。この外力によって、シートバック36は後方へ倒れる。このため、外力frはシートバック36を介して衝突時駆動手段53の駆動板56に作用する。この結果、衝突時駆動手段53はヘッドレスト38を実線にて示す位置まで、外力frに応じた後突時前進量Fcだけ更に前進させる。
このように、ヘッドレスト38と乗員Maの頭部Hdとの間の隙間を零又は零に近づけることができる。この結果、頸部Ne後方の隙間を予め強制的に小さくすることができる。
以上の説明のように車両用乗員保護装置20によれば、後突を予知した時点にヘッドレスト38を一定の基準前進量Fs(後突予知時前進量Fs)だけ前進させて、予め後突に備え、さらに、後突が発生した時点にヘッドレスト38を後突時前進量Fcだけ前進させることができる。従って、後突が発生した時点から、乗員Maの頭部Hdをヘッドレスト38で受け止めるまでの時間を、より短縮することができる。
さらには、後突の直後に頸部Ne後方の隙間を小さくするので、後突時の反動で乗員Maの上半身が後方へ倒れたときであっても、乗員Maの頸部Neに掛かる負担を、より確実に軽減することができる。
このように、後突予知時と後突時の両方において、効率良くヘッドレスト38の前進量を確保することができる。
さらに車両用乗員保護装置20によれば、図5に示すように(1)後突を予知したときに、ヘッドレスト38を前進させる後突時前進機構50と、(2)後突したときに、ヘッドレスト38を前進させる後突予知時前進機構60との、2つの機構50,60を、互いに干渉し合うことなく、小型で簡単な構成によってシート30に組み付けることができる。
さらに車両用乗員保護装置20は、第1のスイング中心Q1に対し第1スイング部材52,52のスイング先端52a,52a側に第2のスイング中心Q2を設け、この第2のスイング中心Q2に対し第1のスイング中心Q1とは反対側に第2スイング部材80,80のスイング先端側(すなわち、連結アーム81,81側)を延ばしたことを特徴とする。
ところで、一般に後突を予知したときに比べて、後突が発生したときには、ヘッドレスト38を必要な後突時前進量Fcだけ前進させるのに、より迅速に前進させる必要がある。
これに対して車両用乗員保護装置20では、図7に示すように、ヘッドレスト支持部材37をスイングさせるために、ヘッドレスト支持部材37に第2スイング部材80が作用する点Q4を「作用点Q4」とした。作用点Q4から第1のスイング中心Q1までの距離L2は、作用点Q4から第2のスイング中心Q2までの距離L1よりも大きい。
このため、図12に示す後突時において、ヘッドレスト38の後突時前進量Fcを、第1スイング部材52の小さいスイング角θhによって、確保することができる。この小さいスイング角θhの分だけ、第1スイング部材52をスイングさせればよいので、第1スイング部材52のスイング時間を短縮することができる。後突時において、より迅速にヘッドレスト38を必要な後突時前進量Fcだけ前進させることができる。従って、後突時において、より速やかに効率良くヘッドレスト38の前進量を確保することができる。
さらに車両用乗員保護装置20では、第1スイング部材52のスイング先端52aと、第2スイング部材80のスイング先端(すなわち、連結アーム81)とを、略同方向に延ばしたので、第1・第2スイング部材52,80同士を組合せ寸法を小さくできる。このため、車両用乗員保護装置20をシート30の狭いスペースに容易に組み付けることができる。
次に、車両用乗員保護装置20の変形例について、図15〜図17に基づき説明する。なお、上記図1〜図14に示す構成と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
図15は本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)のブロック図である。変形例の車両用乗員保護装置100は、車両11に取付けた後突検出手段101を追加したことと、衝突時駆動手段53(図5参照)を衝突時駆動手段110に変更したことを特徴とする。他の構成並びに作用については、上記図1〜図14に示す実施例と同じである。
後突検出手段101は、上記図1に示す車両11に対して後方から衝突物12が衝突(後突)したことを検出して検出信号、すなわちオン信号を発する後突センサであって、例えば加速度センサからなる。このような加速度センサを採用した場合には、検出した加速度が予め設定された基準加速度(しきい値)を超えたときに、後突が発生したとしてオン信号を発することになる。
衝突時駆動手段110は、ヘッドレスト制御部23の制御信号によって作動する構成であることを特徴とする。変形例のヘッドレスト制御部23は、後突検出手段101から検出信号(オン信号)を受けたときに、衝突時駆動手段110に制御信号を発して駆動させることになる。
図16は本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)のヘッドレスト制御部の制御フローチャートであり、上記図10に示す制御フローチャートにST109及びST110を追加した構成であることを特徴とする。ST101〜ST8については上記図10と同様の構成である。ST103、ST109及びST110についてのみ説明する。
ST103;離間距離Diが、予め設定された一定の最接近基準距離Ds2よりも小さいか否かを調べる。NOならST104に進む。YESになったら、自車11に対して後方から衝突物12が衝突する可能性が極めて高い、後突直前の状態に至ったと判断して、ST109に進む。
ST109;後突センサ101(後突検出手段101)がオンか否かを調べ、NOならST109を繰り返し、YESなら後突が発生したと判断してST110に進む。
ST110;ヘッドレスト追加前進信号をオンにして、そのオン信号を衝突時駆動手段110に発した後に、この制御を終了する。
このように、ST109及びST110の集合からなる構成は、後突時にヘッドレスト38を一定の追加前進量Fa(図17参照)だけ前進させる、ヘッドレスト追加前進制御手段121を構成することになる。
図17は本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)の構成図であり、上記図6及び図7に対応させて表した。
変形例の車両用乗員保護装置100における第1スイング部材52Aは、第1軸51で支持される位置を中間部とした側面視略「L」字状を呈する細長い平板である。より具体的には、第1スイング部材52は、第1軸51から下方へ延びる第1アーム131と、第1軸51から後方へほぼ水平に延びる延びる第2アーム132と、の一体成形品である。第1アーム131は、上記図6に示す構成と同様に、先端側に第2軸61を回転可能に取付けた部材である。但し、上記図6に示す衝突時駆動手段53を廃止した。
変形例の衝突時駆動手段110は、シートバック用フレーム35に取付けたハウジング111と、ハウジング111に上方を解放して形成したシリンダ112と、シリンダ112に一定のストロークだけ往復運動可能に挿入したピストン113と、ピストン113を上昇させるインフレータ114と、からなる。
ピストン113の先端は第2アーム132の下面に対向している。なお、シートバック用フレーム35は、ピストン113によって跳ね上げられた第2アーム132のスイング角を設定するためのストッパ117を備える。
インフレータ114は、ヘッドレスト制御部23から電気的な制御信号を受けたときに、図示せぬ点火装置にてガス発生剤に点火して多量の高圧ガスを発生させ、この高圧ガスをシリンダ112内に送り込むものである。送り込まれた高圧ガスによってシリンダ112は一時的に昇圧する。この結果、ピストン113は一定のストロークだけ上昇する。
次に、変形例の衝突時駆動手段110の作用について、図17に基づき説明する。
後突が発生したときに、ヘッドレスト制御部23はインフレータ114に制御信号(ヘッドレスト追加前進信号)を発する。インフレータ114は高圧ガスを発生して、ピストン113を一定のストロークだけ上昇させる。ピストン113は急上昇して第2アーム132を図反時計回りにスイングさせる。従って、第1スイング部材52は図反時計回りに、ストッパ117に当たるまでの一定のスイング角θsだけスイングする。
第2スイング部材80は、第1スイング部材52Aと共に図反時計回りにスイングすることで、先端の連結ピン82及びピン連結部83を介して、ヘッドレスト支持部材37の下端部37dを図反時計方向に押す。押されたヘッドレスト支持部材37は、スイング支点Psを中心として図反時計回りにスイングしつつ、前上方へ伸び出す。従って、ヘッドレスト支持部材37の上端部及びヘッドレスト38は、前方へ追加前進量Faだけ前進する。この追加前進量Faは、第1スイング部材52Aのスイング角θsに対応して前進する、後突時前進量である。
以上の説明のように、変形例の車両用乗員保護装置100によれば、後突を予知した時点にヘッドレスト38を一定の基準前進量Fs(図11参照)だけ前進させることで、予め後突に備え、さらに、後突が発生した時点にヘッドレスト38を後突時前進量Fa(追加前進量Fa)だけ前進させることができる。従って、後突が発生した時点から、図14に示す頭部Hdをヘッドレスト38で受け止めるまでの時間を、より短縮することができる。
さらに変形例の後突検出手段101(図15参照)によれば、後突が発生したことを判断する後突判断基準値、すなわち、オンになる「しきい値」を任意に設定することができる。例えば、乗員Mnに影響を及ぼさない程度の小さい衝突エネルギーで後突した場合には、後突検出手段101がオン信号を発しないように、「しきい値」を大きい値に設定することもできる。
このように変形例の車両用乗員保護装置100によれば、後突検出手段101と衝突時駆動手段110とヘッドレスト追加前進制御手段121(図16参照)とを組み合わせた構成であるから、上記図1〜図14に示す実施例の効果に加え、更に車両11の車種等に応じて、より最適な乗員保護装置とすることができる。
なお、本発明は実施の形態では、車両用乗員保護装置20,100は、自車11が停止中又は走行中のどちらの状態においても適用できる。
本発明の車両用乗員保護装置20,100は、前後移動可能なヘッドレスト38を有するシート30を備えた、自動車や列車等の車両に好適である。
本発明に係る車両の平面図である。 本発明に係る車両用乗員保護装置のブロック図である。 本発明に係る車両用シートの斜視図である。 本発明に係るガイド機構の構成図兼作用図である。 本発明に係るシートバック用フレーム、ヘッドレスト支持部材及び車両用乗員保護装置の正面図である。 図5の6−6線断面図である。 図5の7−7線断面図である。 本発明に係る第2軸とヘッドレスト支持部材との関係を示す分解図である。 本発明に係るヘッドレスト制御部の制御フローチャート(その1)である。 本発明に係るヘッドレスト制御部の制御フローチャート(その2)である。 本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その1)である。 本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その2)である。 本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その3)である。 本発明に係る車両用乗員保護装置の作用図(その4)である。 本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)のブロック図である。 本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)のヘッドレスト制御部の制御フローチャートである。 本発明に係る車両用乗員保護装置(変形例)の構成図である。 従来の車両用乗員保護装置(第1の従来技術)の概要図である。 従来の車両用乗員保護装置(第2の従来技術)の概要図である。
符号の説明
11…車両、12…衝突物、20,100…車両用乗員保護装置、24…衝突予知時駆動手段、30…車両用シート、35…フレーム(シートバック用フレーム)、36…シートバック、37…ヘッドレスト支持部材、38…ヘッドレスト、52,52A…第1スイング部材、52a…第1スイング部材のスイング先端、53,110…衝突時駆動手段、80…第2スイング部材、81…第2スイング部材のスイング先端側としての連結アーム、Fa…後突時前進量(追加前進量)、Fc…後突時前進量、Fs…後突予知時前進量、Hd…頭部、Mn…乗員、Ne…頸部、Q1…第1のスイング中心、Q2…第2のスイング中心。

Claims (2)

  1. 車両用シートのフレームに第1のスイング中心で前後スイング可能に取付けた第1スイング部材と、この第1スイング部材に前記第1のスイング中心とは異なる第2のスイング中心で前後スイング可能に取付けた第2スイング部材と、この第2スイング部材によって前方へスイングさせるべく前記フレームに前後スイング可能に取付けたヘッドレスト支持部材と、このヘッドレスト支持部材に取付けたヘッドレストと、車両に対して後方から衝突する衝突物を予知したときに前記第2スイング部材をスイング駆動する衝突予知時駆動手段と、前記車両に対して後方から衝突物が衝突したときに前記第1スイング部材を介して前記第2スイング部材をスイング駆動する衝突時駆動手段と、からなる車両用乗員保護装置。
  2. 前記第1のスイング中心に対し前記第1スイング部材のスイング先端側に前記第2のスイング中心を設け、この第2のスイング中心に対し前記第1のスイング中心とは反対側に前記第2スイング部材のスイング先端側を延ばしたことを特徴とする請求項1記載の車両用乗員保護装置。
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