JP2005191350A - 電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高いことに加え、設計の自由度が高い電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質及び該ポリマー電解質を備えた電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質、並びに該ポリマー電解質と、正極と、負極とを備えた電気二重層キャパシタである。該ポリマー電解質においては、前記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合するため、液漏れの可能性がない。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質及びそれを備えた電気二重層キャパシタに関し、特に安全性及び設計の自由度が高い電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に関するものである。
電気二重層キャパシタは、電極と電解質との間に形成される電気二重層を利用したコンデンサであり、電極表面において電解質から電気的にイオンを吸着するサイクルが充放電サイクルである点で、物質移動を伴う酸化還元反応のサイクルが充放電サイクルである電池とは異なる。このため、電気二重層キャパシタは、電池と比較して瞬間充放電特性に優れ、化学反応を伴わないため、充放電を繰り返しても瞬間充放電特性が殆ど劣化しない。また、電気二重層キャパシタにおいては、充放電時に充放電過電圧がないため、簡単で且つ安価な電気回路で足りる。更に、残存容量が分かり易く、-30〜90℃の広範囲の温度条件下に亘って耐久温度特性を有し、無公害性である等、電池に比較して優れた点が多いため、近年地球環境に優しい新エネルギー貯蔵製品として脚光を浴びている。更に、電気二重層キャパシタは、上述のような特徴を有するため、電気自動車、燃料電池車やハイブリッド電気自動車のエネルギー回生やエンジン始動時の電源としても脚光を浴びるようになった。
上記電気二重層キャパシタは、正・負の電極と電解質とを有するエネルギー貯蔵デバイスであり、電極と電解質との接触界面においては、極めて短い距離を隔てて正・負の電荷が対向して配列し、電気二重層を形成している。従って、電解質は、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担うため、電極と同様に、電気二重層キャパシタの基本特性を左右する重要な物質である。該電解質としては、従来、水系電解液、非水電解液及び固体電解質等が知られているが、水系電解液及び非水電解液を用いた電気二重層キャパシタには、液漏れの危険性がある。
これに対して、液漏れの心配の無い電気二重層キャパシタとしてポリマー電解質を用いた電気二重層キャパシタが検討されている(特許文献1参照)。該電気二重層キャパシタは、液漏れの心配がないことに加え、フィルム化が可能で電子機器への組み込み性が良く、スペースの有効利用が可能である。
特開平11−214263号公報
しかしながら、従来のポリマー電解質を用いた電気二重層キャパシタは、電解質にポリマー等の燃焼し易い材料が用いられているため、例えば、電気二重層キャパシタが発熱等により発火した際に、ポリマーに引火する危険性が高い。また、電解質としてポリマーを有機溶媒で膨潤させてなるゲル電解質を用いた場合、電気二重層キャパシタが異常に発熱した際に、ゲル中の有機溶媒が気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱がキャパシタの破裂・発火を引き起こしたり、短絡時に生じる火花がポリマーや有機溶媒に引火する等の危険性が高い。また、従来のポリマー電解質を用いた電気二重層キャパシタにおいては、セルの組み立て前に電解質を所定の形状に成形しなければならず、非水電解液を用いた電気二重層キャパシタに比べ設計の自由度が低い。
そこで、本発明の目的は、安全性が高いことに加え、設計の自由度が高い電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該ポリマー電解質を用いた電気二重層キャパシタを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩との混合溶液をキャパシタ用セルに充填した後、加熱することで、ホスファゼン化合物が重合して前記混合溶液がポリマー電解質となり、液漏れの危険性のない電気二重層キャパシタが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質は、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなることを特徴とする。ここで、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質においては、前記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合するため、液漏れの可能性がない。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質の好適例においては、前記ホスファゼン化合物が下記式(I):
Figure 2005191350

(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表し;Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表す)又は下記式(II):

(NPR4 2)n ・・・ (II)
(式中、R4はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す)で表される。また、前記電解質組成物におけるホスファゼン化合物の含有量は、3〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質の他の好適例においては、前記テトラアルキルチウラムジスルフィド類が下記式(III):
Figure 2005191350

(式中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表される。また、前記電解質組成物におけるテトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量は、1〜3質量%の範囲が好ましい。
また、本発明の電気二重層キャパシタは、上記電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩との混合溶液を加熱してなる、安全性及び設計自由度の高い電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質を提供することができる。また、該電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質を備え、安全性及び設計自由度の高い電気二重層キャパシタを提供することができる。
<電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質>
以下に、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質を詳細に説明する。本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質は、ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩とを含む電解質組成物を60℃以上で加熱してなる。本発明においては、上記電解質組成物中のホスファゼン化合物が加熱により重合し、電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質が形成される。但し、本発明においては、上記ホスファゼン化合物の総てが重合する必要はなく、該ホスファゼン化合物は、液漏れの危険性がない程度に重合すればよい。本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質は、電気二重層キャパシタの製造において、予め所定の形状に成形する必要がなく、例えば、電極等が組み込まれたキャパシタのケースに上記電解質組成物を充填した後、加熱して形成することができる。そのため、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質を用いることで、ポリマー電解質を備えた電気二重層キャパシタの設計の自由度が増す。
また、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質においては、上記ホスファゼン化合物及びその重合体から誘導される窒素ガスの作用によって、電解質が燃焼する危険性が低減されている。また、上記ホスファゼン化合物及びその重合体を構成するリンには、リン酸エステル等を発生してキャパシタを構成する高分子材料の連鎖分解を抑制する作用があるため、キャパシタの発火・引火の危険性を効果的に低減することができる。更に、上記ホスファゼン化合物がハロゲンを含む場合、万が一の燃焼時にはハロゲンが活性ラジカルの捕捉剤として機能し、電解質の燃焼の危険性を低減する。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質においては、上記電解質組成物を60℃以上で加熱することを要し、60〜80℃の範囲で加熱するのが、キャパシタの容量特性を損わない点で好ましい。また、上記電解質組成物の加熱時間は加熱温度に応じて適宜選択され、例えば、60℃で加熱する場合は、10〜20分間加熱するのが好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物は、ホスファゼン化合物を含む。該ホスファゼン化合物として、具体的には、上記式(I)で表される鎖状ホスファゼン化合物及び上記式(II)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げられる。また、式(I)又は式(II)で表されるホスファゼン化合物の中でも、25℃(室温)において液体であるものが好ましい。該液状ホスファゼン化合物の25℃における粘度は、300mPa・s(300cP)以下が好ましく、20mPa・s(20cP)以下が更に好ましく、5mPa・s(5cP)以下が特に好ましい。なお、本発明において粘度は、粘度測定計[R型粘度計Model RE500-SL、東機産業(株)製]を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm及び50rpmの各回転速度で120秒間づつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。ホスファゼン化合物の25℃における粘度が300mPa・s(300cP)を超えると、支持塩が溶解し難くなり、電解質のイオン導電性が著しく低下し、特に氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足となる。
式(I)において、R1、R2及びR3としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。R1〜R3は、総て同一の種類の置換基でもよく、それらの内の幾つかが異なる種類の置換基でもよい。ここで、上記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基及びメトキシエトキシエトキシ基が好ましく、低粘度・高誘電率の観点から、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素が好適であり、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。一価の置換基中の水素元素がフッ素で置換されているものは、塩素で置換されているものに比べてキャパシタのサイクル特性を向上させる効果が大きい傾向がある。
式(I)において、Y1、Y2及びY3で表される2価の連結基としては、例えば、CH2基の他、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ、これらの中でも、CH2基、及び、酸素、硫黄、セレン、窒素からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が好ましく、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基が特に好ましい。また、Y1、Y2及びY3は、酸素、硫黄、セレン等の2価の元素、又は単結合であってもよい。Y1〜Y3は総て同一種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。
式(I)において、Xとしては、有害性、環境等への配慮の観点から、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基が好ましい。これらの置換基の内、下記式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される構造を有する置換基が更に好ましい。
Figure 2005191350

Figure 2005191350

Figure 2005191350

[式(IV)、式(V)及び式(VI)において、R9〜R13は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y9〜Y13は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す。]
式(IV)、式(V)及び式(VI)において、R9〜R13としては、式(I)におけるR1〜R3で述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、これらは、同一置換基内において、それぞれ同一の種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。式(IV)のR9とR10とは、及び式(VI)のR12とR13とは、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(IV)、式(V)及び式(VI)において、Y9〜Y13で表される基としては、式(I)におけるY1〜Y3で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等が挙げられ、同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む基である場合には、電解質の発火・引火の危険性が低減するため特に好ましい。これらは、同一置換基内において、それぞれ同一の種類でもよく、幾つかが互いに異なる種類でもよい。
式(IV)において、Zとしては、例えば、CH2基、CHR(Rは、アルキル基、アルコキシル基、フェニル基等を表す。以下同様。)基、NR基のほか、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ、これらの中でも、CH2基、CHR基、NR基の他、酸素、硫黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の基の場合には、電解質の発火・引火の危険性が低減するため好ましい。また、Zは、酸素、硫黄、セレン等の2価の元素であってもよい。
これら置換基としては、特に効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点で、式(IV)で表されるようなリンを含む置換基が特に好ましい。また、置換基が式(V)で表されるような硫黄を含む置換基である場合には、電解質の小界面抵抗化の点で特に好ましい。
式(II)において、R4としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はない。一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。ここで、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素原子で置換された置換基としては、例えば、トリフルオロエトキシ基が挙げられる。
式(I)、(II)、(IV)〜(VI)におけるR1〜R4、R9〜R13、Y1〜Y3、Y9〜Y13、Zを適宜選択することにより、より好適な粘度、添加・混合に適する溶解性等を有するホスファゼン化合物が得られる。これらホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(II)のホスファゼン化合物の中でも、電解質の耐劣化性及び安全性を向上させる観点からは、下記式(VII)で表されるホスファゼン化合物が好ましい。

(NPF2)n ・・・ (VII)
(式中、nは3〜13を表す。)
式(VII)において、nとしては、3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましく、3が特に好ましい。nの値が小さい場合には沸点が低く、未重合のホスファゼン化合物が接炎時の着火防止特性を向上させる。一方、nの値が大きくなるにつれて、沸点が高くなるため、高温でも安定に使用することができる。上記性質を利用して目的とする性能を得るために、複数のホスファゼンを適時選択し、使用することも可能である。
式(VII)におけるn値を適宜選択することにより、より好適な粘度、混合に適する溶解性等を有するホスファゼン化合物が得られる。これらのホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
式(VII)で表されるホスファゼン化合物の粘度としては、20mPa・s以下であれば特に制限はないが、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下が更に好ましい。
上記式(II)のホスファゼン化合物の中でも、電解質の耐劣化性及び安全性を向上させる観点からは、下記式(VIII)で表されるホスファゼン化合物も好ましい。

(NPR14 2)n ・・・ (VIII)
(式中、R14は夫々独立して一価の置換基又はフッ素を表し、全R14のうち少なくとも1つはフッ素を含む一価の置換基又はフッ素であり、nは3〜8を表す。但し、総てのR14がフッ素であることはない。)
上記式(II)のホスファゼン化合物を含有すれば、電解質に優れた自己消火性又は難燃性を付与して電解質の安全性を向上させることができるが、式(VIII)で表され、全R14のうち少なくとも1つがフッ素を含む一価の置換基であるホスファゼン化合物を含有すれば、電解質により優れた安全性を付与することが可能となる。更に、式(VIII)で表され、全R14のうち少なくとも1つがフッ素であるホスファゼン化合物を含有すれば、更に優れた安全性を付与することが可能となる。即ち、フッ素を含まないホスファゼン化合物に比べ、式(VIII)で表され、全R14のうち少なくとも1つがフッ素を含む一価の置換基又はフッ素であるホスファゼン化合物は、電解質をより燃え難くする効果があり、電解質に対し更に優れた安全性を付与することができる。
式(VIII)における一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、アシル基、アリール基及びカルボキシル基等が挙げられ、電解質の安全性の向上に特に優れる点で、アルコキシ基が好適である。ここで、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基等の他、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基置換アルコキシ基等が挙げられ、電解質の安全性の向上に優れる点で、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基が特に好ましい。
式(VIII)において、nとしては、電解質に優れた安全性を付与し得る点で、3〜5が好ましく、3〜4が更に好ましい。
上記一価の置換基は、フッ素で置換されているのが好ましく、式(VIII)のR14が一つもフッ素でない場合は、少なくとも一つの一価の置換基はフッ素含む。
式(VIII)のホスファゼン化合物におけるフッ素の含有量としては、3〜70質量%が好ましく、7〜45質量%がより好ましい。フッ素の含有量が3〜70質量%であれば、電解質に「優れた安全性」を特に好適に付与することができる。
式(VIII)のホスファゼン化合物は、前述のフッ素以外にも塩素、臭素等のハロゲン元素を含んでいてもよい。但し、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。フッ素を含むものは、塩素を含むものに比べてキャパシタのサイクル特性を向上させる効果が大きい傾向がある。
式(VIII)におけるR14及びn値を適宜選択することにより、より好適な安全性、粘度、混合に適する溶解性等を有するホスファゼン化合物が得られる。これらのホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
式(VIII)のホスファゼン化合物の粘度としては、20mPa・s以下であれば特に制限はないが、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下がより好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物において、上記ホスファゼン化合物の含有量は、電解質の安全性を向上させる観点から、3〜20質量%が好ましく、8〜20質量%が更に好ましい。また、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質においては、電解質の液漏れを防止する観点から、電解質組成物の8〜15質量%に相当する量のホスファゼン化合物が重合しているのが好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物は、テトラアルキルチウラムジスルフィド類を含む。該テトラアルキルチウラムジスルフィド類として、具体的には、上記式(III)で表される化合物が好ましい。ここで、式(III)のR5、R6、R7及びR8における、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。これらアルキル基の中でも、ポリマー化反応を促進させる観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。上記テトラアルキルチウラムジスルフィド類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物において、上記テトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量は、キャパシタの容量特性劣化防止の観点から、1〜3質量%が好ましく、1〜1.5質量%が更に好ましい。
上記電解質組成物において、テトラアルキルチウラムジスルフィド類はラジカル重合開始剤として機能し、上記ホスファゼン化合物にラジカルを生成させ、ホスファゼン化合物のラジカル重合を開始させる。例えば、式(II)の環状ホスファゼン化合物と式(III)のテトラアルキルチウラムジスルフィド類を例にとると、以下のようにして、ホスファゼン化合物のラジカル重合が進行する。
Figure 2005191350
上記反応スキームに示すように、まず、式(III)のテトラアルキルチウラムジスルフィド類が開裂して、複数種のラジカルが生成する。次に生成したラジカルが式(II)のホスファゼン化合物から、R4・を引き抜き、式(II)のホスファゼン化合物にラジカルが生じる。次に、ラジカルを持った式(II)のホスファゼン化合物と他のホスファゼン化合物とが重合し、引き続き、ラジカルがクエンチされるまで重合が進行して、ポリホスファゼンが生成する。なお、反応スキームを示さないが、式(I)の鎖状ホスファゼン化合物についても、テトラアルキルチウラムジスルフィド類から生成したラジカルがR11・、R22・、R22・を引き抜くことでホスファゼン化合物の重合が開始され、ポリホスファゼンが生成する。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物は、支持塩を含有する。該支持塩としては、従来公知のものから選択できるが、電解質における電気伝導性等が良好な点で、四級アンモニウム塩が好ましい。該四級アンモニウム塩は、ポリマー電解質において、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担う溶質であり、ポリマー電解質の電気伝導性等の電気特性を効果的に向上させることが可能な点で、多価イオンを形成し得る四級アンモニウム塩が好ましい。
上記四級アンモニウム塩としては、例えば、(CH3)4N・BF4、(CH3)325N・BF4、(CH3)2(C25)2N・BF4、CH3(C25)3N・BF4、(C25)4N・BF4、(C37)4N・BF4、CH3(C49)3N・BF4、(C49)4N・BF4、(C613)4N・BF4、(C25)4N・ClO4、(C25)4N・AsF6、(C25)4N・SbF6、(C25)4N・CF3SO3、(C25)4N・C49SO3、(C25)4N・(CF3SO2)2N、(C25)4N・BCH3(C25)3、(C25)4N・B(C25)4、(C25)4N・B(C49)4、(C25)4N・B(C65)4等が好適に挙げられる。また、これらの四級アンモニウム塩の陰イオン部(例えば、・BF4、・ClO4、・AsF6等)を、・PF6で置き換えたヘキサフルオロリン酸塩も好ましい。これらの中でも、分極率を大きくすることで溶解度を向上させることができる点で、異なるアルキル基がN原子に結合した四級アンモニウム塩が好ましい。更に、上記四級アンモニウム塩としては、例えば、以下の式(a)〜(j)で表わされる化合物等も好ましい。ここで、式(a)〜(j)において、Meはメチル基を、Etはエチル基を表わす。
Figure 2005191350
これらの四級アンモニウム塩の中でも、特に、高い電気伝導性を確保する点からは、陽イオンとして(CH3)4+や、(C25)4+等を発生し得る塩が好ましい。また、式量が小さい陰イオンを発生し得る塩が好ましい。これらの四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質に用いる電解質組成物において、上記支持塩の含有量は、後述の電解質の電気伝導率が5mS/cm以上になるように配合することが好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質にかかわる電解質組成物は、上記ホスファゼン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド類及び支持塩の他に、更に非プロトン性有機溶媒等を含有する。該非プロトン性有機溶媒としては、アセトニトリル(AN)、プロピオノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、ジフェニルカーボネート、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン等のエステル化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン及びアセトニトリルが好ましい。なお、環状のエステル化合物は、比誘電率が高く支持塩の溶解能に優れる点で、また、鎖状のエステル化合物及びエーテル化合物は、低粘度であるため電解質組成物の低粘度化の点で好適である。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記電解質組成物に非プロトン性有機溶媒を含有させることにより、電気二重層キャパシタとして最適なイオン導電性を達成することができる。ここで、電解質組成物に非プロトン性有機溶媒を含有させる場合、該非プロトン性有機溶媒の組成・配合は、電解質の電気伝導率が5mS/cm以上になるように適宜決定すればよい。
<電気二重層キャパシタ>
次に、本発明の電気二重層キャパシタを詳細に説明する。本発明の電気二重層キャパシタは、上述の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の電気二重層キャパシタの技術分野で通常使用されている他の部材を備える。本発明の電気二重層キャパシタは、液漏れの心配がなく、発火・引火の危険性が低く、更には設計の自由度が高い。
本発明の電気二重層キャパシタの正極及び負極としては、特に制限はないが、通常、多孔質炭素系の分極性電極が好ましい。該電極としては、通常、比表面積及びかさ比重が大きく、電気化学的に不活性で、抵抗が小さい等の特性を有するものが好ましい。ここで、上記多孔質炭素としては、活性炭等が挙げられる。
上記電極は、一般的には、活性炭等の多孔質炭素を含有し、必要に応じて導電剤や結着剤等のその他の成分を含有する。上記電極に好適に用いることができる活性炭の原料としては、特に制限はなく、例えば、フェノール樹脂の他、各種の耐熱性樹脂、ピッチ等が好適に挙げられる。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ビスマレイミドトリアジン、アラミド、フッ素樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド等が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記活性炭の形態としては、より比表面積を高くして、電気二重層キャパシタの充電容量を大きくする点から、粉末状、繊維布状等の形態が好ましい。また、これらの活性炭は、電気二重層キャパシタの充電容量をより高くする目的で、熱処理、延伸成形、真空高温処理、圧延等の処理がなされていてもよい。
上記電極に用いる導電剤としては、特に制限はないが、黒鉛、アセチレンブラック等が挙げられる。また、上記電極に用いる結着剤としては、特に制限はないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上述した電極(正極及び負極)、ポリマー電解質の他、セパレーター、集電体、容器等を備えるのが好ましく、更に通常電気二重層キャパシタに使用されている公知の各部材を備えることができる。ここで、セパレーターは、電気二重層キャパシタの短絡防止等を目的として、正負電極間に介在される。該セパレーターとしては、特に制限はなく、通常、電気二重層キャパシタのセパレーターとして用いられる公知のセパレーターが好適に用いられる。セパレーターの材質としては、例えば、微多孔性フィルム、不織布、紙等が好適に挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルムが特に好適である。
上記集電体としては、特に制限はなく、通常電気二重層キャパシタの集電体として用いられる公知のものが好適に用いられる。該集電体としては、電気化学的耐食性、化学的耐食性、加工性、機械的強度に優れ、低コストであるものが好ましく、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等の集電体層等が好ましい。また、上記容器としては、特に制限はなく、通常電気二重層キャパシタの容器として用いられる公知のものが好適に挙げられる。該容器の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等が好適である。
本発明の電気二重層キャパシタの形態としては、特に制限はなく、円筒型、角型、フラット型(コイン型)等の公知の形態が、好適に挙げられる。フラット型の場合は、シート状の正極及び負極を作製し、セパレーターを介して正負極を対座させ、上記電解質組成物を注入して封口し、加熱してポリマー電解質を備えた電気二重層キャパシタを作製することができる。また、円筒型の場合は、例えば、シート状の正極及び負極をセパレーターを介して重ね合わせて巻き上げ、上記電解質組成物を注入して封口し、加熱してポリマー電解質を備えた電気二重層キャパシタを作製することができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、例えば、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源や、種々の電子機器、産業用機器、航空用機器等のメモリーバックアップ用や、玩具、コードレス用機器、ガス機器、瞬間湯沸し機器等の電磁ホールド用や、腕時計、柱時計、ソーラ時計、AGS腕時計等の時計用の電源等として好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
1M(mol/L)のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート[TEATFB, (C25)4N・BF4]を含むプロピレンカーボネート(PC)溶液86質量部に対して、ホスファゼン化合物A[式(II)において、nが3であって、6つのR4のうち2つがエトキシ基(CH3CH2O−)、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.2mPa・s]12質量部と、テトラアルキルチウラムジスルフィドZ[式(III)において、R5〜R9がメチル基である化合物]2質量部とを添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物を加熱してなるポリマー電解質の安全性を下記の方法で評価した。
(1)電解質の安全性
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼挙動からポリマー電解質の安全性を評価した。その際、着火性、燃焼性、炭化物の生成、二次着火時の現象についても観察した。具体的には、UL試験基準に基づき、不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませ60℃で20分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製して行った。ここで、試験炎が試験片に着火しない場合(燃焼長:0mm)を「不燃性」、着火した炎が25mmラインまで到達せず且つ落下物にも着火が認められない場合を「難燃性」、着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ落下物にも着火が認められない場合を「自己消火性」、着火した炎が100mmラインを超えた場合を「燃焼性」と評価した。
次に、活性炭[AC, 商品名:Kuractive-1500、クラレケミカル社製]、アセチレンブラック(導電剤)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)(結着剤)を、それぞれ質量比(活性炭:アセチレンブラック:PVDF)で8:1:1となるように混合して、混合物を得た。得られた混合物の100mgを採取し、これを20mmφの耐圧カーボン製容器に入れて、圧力150kgf/cm2、常温の条件下で圧粉成形し、正極及び負極(電極)を作製した。
上記電極(正極及び負極)と、アルミニウム金属板(集電体)(厚み:0.5mm)と、ポリプロピレン/ポリエチレン板(セパレーター)(厚み:25μm)とを用いてセルを組み立て、真空乾燥によって十分に乾燥させた。該セルを上記電解質組成物で含浸して封口した後、60℃で20分間加熱して、電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタに対して、下記の方法で静電容量を測定し、更に液漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
(2)静電容量
作製したキャパシタを用いて、25℃、充電電圧:2.7V、充電電流:2mAで充電後、2時間補充電を行った後、I1=2mAの定電流で放電を行った。このサイクルを繰り返し、6サイクル目において、放電開始から電圧v1=2.0Vになるまでの時間t1(秒)と、放電開始から電圧V1=1.0Vになるまでの時間T1(秒)の値を用いて、下記式1:
C1=I1×(T1−t1)/(v1−V1) ・・・ 式1
から静電容量C1を求めた。
(3)液漏れ試験
完成した電気二重層キャパシタにピンホールを開け、該ピンホールから液が漏れるか否かを判断した。
(比較例1)
1M(mol/L)のTEATFBを含むプロピレンカーボネート(PC)溶液88質量部に対して、ホスファゼン化合物A 12質量部を添加して電解質組成物を調製し、該電解質組成物の安全性を実施例1と同様にして評価した。但し、安全性の評価で用いた試験片は、127mm×12.7mmの不燃性石英ファイバーに上記電解質組成物1.0mLを染み込ませて作製した。
また、実施例1と同様にセルを組み立て、該セルに上記電解質組成物を注入して封口し、非水電解液電気二重層キャパシタを作製した。得られたキャパシタに対して、実施例1と同様にして静電容量を測定し、更に液漏れ試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同じ電解質組成物1.0mLを不燃性石英ファイバーに染み込ませ90℃で10分間加熱してポリマー電解質を形成し、127mm×12.7mmの試験片を作製する以外は、実施例1と同様にしてポリマー電解質の安全性を評価した。
また、実施例1と同様にしてセルに電解質組成物を注入して封口した後、90℃で10分間加熱して電気二重層キャパシタを作製した。得られたキャパシタに対して、実施例1と同様にして静電容量を測定し、更に液漏れ試験を行った。また、結果を表1に示す。


Figure 2005191350
表1の結果から、実施例の電気二重層キャパシタは、液漏れがなく、安全性が高いことが分かる。また、60℃程度の比較的低温の加熱で電解質組成物中のホスファゼン化合物が十分に重合して液漏れのないポリマー電解質が形成されることが分かる。

Claims (7)

  1. ホスファゼン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィド類と支持塩とからなる電解質組成物を60℃以上で加熱してなる電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  2. 前記ホスファゼン化合物が加熱により重合していることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  3. 前記ホスファゼン化合物が下記式(I):
    Figure 2005191350

    (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表し;Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表す)又は下記式(II):

    (NPR4 2)n ・・・ (II)
    (式中、R4はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  4. 前記電解質組成物中のホスファゼン化合物の含有量が3〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  5. 前記テトラアルキルチウラムジスルフィド類が下記式(III):
    Figure 2005191350

    (式中、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  6. 前記電解質組成物中のテトラアルキルチウラムジスルフィド類の含有量が1〜3質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用ポリマー電解質。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー電解質と、正極と、負極とを備えた電気二重層キャパシタ。
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