JP2005190709A - アルカリ蓄電池用極板及びアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用極板及びアルカリ蓄電池 Download PDF

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哲也 山田
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Abstract

【課題】負電極の片面を切削しても活物質と極板芯体との結着力の低下を向上させる。
【解決手段】極板芯体10の板面に垂直に1回でパンチングにより型抜きして形成された単孔12と、板面の表裏面からそれぞれ第1孔14と第2孔15をハーフパンチで形成した複合孔13とからなる開孔11を形成する。このとき、第1孔14と第2孔15との中心位置をずらすと共に、第1孔と第2孔とが連通するように形成する。これにより、複合孔13の開孔内設接触面積と開口面積との比が、単孔12に開孔内設接触面積と開口面積との比より大きくして結着力を増大させ、活物質の脱落を抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ蓄電池用極板及びアルカリ蓄電池に係り、活物質と極板芯体との結着力の向上に関する。
アルカリ蓄電池では、セパレータを介して正電極と負電極とを対峙させた構成となっており、例えばニッケル−水素蓄電池では、極板芯体に水酸化ニッケルの活物質を塗布して正電極を形成し、また極板芯体に水素吸蔵合金の活物質を塗布して負電極を形成している。
例えば、円筒型アルカリ蓄電池においては、正電極、セパレータ及び負電極を渦巻状に巻回して外装缶内に挿入し、その後電解液を注入して開口部を封口体で封止して作製している。また、角型アルカリ蓄電池では、所定長さの正電極、セパレータ及び負電極を多数積層して外装缶内に挿入し、その後電解液を注入して開口部を封口体で封止して作製している。
以下、正電極、セパレータ及び負電極を渦巻状に巻回した電極及び積層した電極を電極群と記載する。
近年、このようなアルカリ蓄電池に対する高容量化への要求は高まる一方であり、これに応じて、外装缶に接する極板の片面を切削することで缶内空間を最大限に利用できるようにする方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この方法では、片面切削することで活物質と極板芯体との結着力が弱くなり、電極群を外装缶内に挿入する際や充放電の際等において、活物質の脱落が生じて外装缶の封止不良や短絡が起きて、生産性や品質の低下をもたらす要因となる問題がある。
特開2002−260672号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、片面切削しても活物質と極板芯体との結着力の低下を抑制し、生産性や品質を向上させたアルカリ蓄電池用極板及びアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
本発明のアルカリ蓄電池用極板は、複数の開孔が形成された極板芯体に活物質が塗着されてなるアルカリ蓄電池用極板であって、前記開孔は、前記極板芯体の板面に垂直に形成された貫通孔の壁面積を基準値としたとき、壁面積が、前記基準値より大きくなるように形成される。
上記構成により、開孔の壁面積が、単に表面に垂直な貫通孔の壁面積より大きいため、開孔内に充填される活物質との接触面積が増して結着力が増大し、活物質の脱落を抑制することができ、品質の向上をはかることができる。
更にこの構造によれば、電極群を外装缶に挿入する際に、電極群の最外側に配置される電極の活物質が外装缶の開口縁で擦られて脱落するのを防ぐべく、この開口縁と接する電極の活物質を予め除去して、かかる脱落を抑制する構造においても、開孔内に充填されるの活物質との接触面積の増大をはかり結着力が増大しているため、活物質の脱落を抑制が可能となる。
また、本発明のアルカリ蓄電池用極板は、開孔が、極板芯体の表面に形成された第1孔と、裏面に形成された第2孔とからなり、かつ、各孔の中心位置がずれて形成されると共に、第1孔と第2孔とが連通するように形成されているものを含む。
上記構成により、第1孔と第2孔との中心位置をずらして形成するので、開孔の壁面積をより大きくすることができ、開孔内の活物質との接触面積が増して結着力が増大し、活物質の脱落を抑制することができる。
また、本発明のアルカリ蓄電池用極板は、第1孔と第2孔とが直径Dをもち、その中心位置のずれ量をXとしたとき、該ずれ量Xが0<X<Dを満たすように開孔を形成するものを含む。
上記構成により、第1孔と第2孔との中心位置をずらし、かつ、これら第1孔と第2孔とが常に連通するように形成され、活物質を介して電池内で発生したガスの透過性を阻害することなく、開孔の壁面積の増大をはかることができる。
また、本発明のアルカリ蓄電池用極板は、複数の開孔が形成された極板芯体に活物質が塗着されてなるアルカリ蓄電池用極板であって、前記開孔の内壁が粗面で構成されたものを含む。
上記構成により、機械的強度の低下を抑制しつつ、壁面積の増大をはかることができる。
また、本発明のアルカリ蓄電池は、上記のアルカリ蓄電池用極板を用いた負電極又は正電極を備えている。
上記構成により、より大きな結着力を持つ開孔を備えた極板芯体を用いて、負電極又は正電極を形成しているため、充放電を繰り返しても活物質の脱落が抑制でき、生産性の向上をはかるとともに品質の向上をはかることができる。
また、本発明のアルカリ蓄電池は、正電極と負電極とをセパレータを介してはさみ、該外装缶に接する前記正電極又は前記負電極の接触領域における前記極板芯体に、前記開孔を具備したものを含む。
上記構成により、外装缶の開口縁と接して擦れ、活物質の脱落を生じ易い正電極又は負電極の接触領域における極板芯体に、より壁面積を大きくした開孔を形成しているため、開口縁での擦れによる活物質の脱落が抑制でき、封口体による封止が容易、かつ、確実に行えるようになり、生産性および品質の向上をはかることができる。
本発明によれば、前記開孔は、前記極板芯体の板面に垂直に形成された貫通孔の壁面積を基準値としたとき、壁面積が、前記基準値より大きくなるように形成されるため、開孔内の活物質が接する面積が増して結着力が増大し、活物質の脱落が抑制でき、生産性や品質を向上させたアルカリ蓄電池用極板を提供できる。
また、大きな結着力を持つ開孔を備えた極板芯体を用いて、負電極又は正電極を形成しているため、外装缶に挿入する際あるいは、充放電を繰り返した際に、活物質が脱落するのを抑制することができ、生産性や品質の低下を抑制したアルカリ蓄電池を提供できる。
先ず、本発明の原理を説明する。極板芯体に正極活物質が塗着された正電極と、極板芯体に負極活物質が塗着された負電極とをセパレータを介して対峙させて電極群を構成し、この電極群を外装缶内に挿入して封口体で封止されたアルカリ蓄電池において、外装缶と電極群との接触面に相当する領域で、活物質が充填されるベく極板に設けられる貫通孔に段差を設けて活物質が接する壁面積を増やし、あるいは活物質が接する面状態を粗くして、結着力を高めるようにしたことを特徴とする。
これにより、電極群を外装缶に挿入する際に、電極群の最外側に配置される電極の活物質が外装缶の開口縁で擦られ、脱落するのを防ぐため、この開口縁と接する電極の活物質を予め除去し、かかる脱落を抑制する構造においても、活物質を除去した面と反対面における活物質と極板芯体との結着強度が弱くなり、充放電を繰り返すと活物質の脱落が起るのを防ぐことができる。
開孔と活物質との結着力を高める方法として、以下の説明においては、板材である極板芯体のほぼ半分の深さを持つ第1孔と第2孔とを、極板芯体の表面側と裏面側とから形成し、かつ、その際に各孔の中心位置をずらしてなる開孔を形成した場合を例に説明する。
しかし、この他の方法として、例えば、開孔の孔壁を粗面として活物質と孔壁との係合力を高めて結着力を増大させる方法、開孔の孔壁をビヤ樽のように窪ませた形状にして開孔内の活物質が抜け難くして結着力を増大させる方法、板面に対して斜めに貫通孔を形成して、この貫通孔を開孔として活物質の接触面積を高めて結着力を増大させる方法等が可能である。
(第1の実施形態)
図1はアルカリ蓄電池用極板における極板芯体の斜視図であり、図2は図1におけるA−A矢視断面図、図3は図1におけるB−B矢視断面図である。
極板芯体は、上述した原理に基づき、図1に示すような負電極を形成した。なお、通常は、外装缶に接する極板は負電極であることから、負電極を例に説明するが正電極であってもよい。
この負電極における極板芯体10は、ニッケルメッキが施された鉄板(厚みは、例えば0.05〜0.08mm)に、単孔12と複合孔13とからなる多数の開孔11が形成されている。
単孔12は、極板芯体10の板面に垂直に1回でパンチングにより型抜きして形成された孔であり、複合孔13は、板面の表裏面からそれぞれ第1孔14と第2孔15をハーフパンチや研磨法等により形成した孔である。
そして、複合孔13は外装缶に接触する最外側の領域に形成され、単孔12はそれより内側の領域に形成されている。
なお、図1においては、開孔11は丸孔で、千鳥抜状に設けられた場合を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、長孔や十字孔等であっても良く、また正方格子状に設けてもよい。
単孔12及び、複合孔13の第1孔14や第2孔15の直径は2mmで、全ての開孔11の極板芯体10の表面積に対する面積率は約30%になるように形成されている。
第1孔14と第2孔15とは、それぞれの中心位置がずれ量Xだけずれて形成され、このずれ量Xとして、X=0mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmの極板芯体10を作成し、これに負極活物質を塗布している。
負極活物質としては、水素吸蔵合金粉末に結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を水素吸蔵合金粉末に対して5質量%加えて混練してペースト状にしたものを用い、これを極板芯体10の両面に塗布し、乾燥させた後、最外周のみ片面の負極活物質を除去して負電極とした。
このようにして形成された負電極の複合孔13が形成されている領域を所定長切出して、それぞれを比較例、実施例1、実施例2、実施例3とした。従って、比較例は第1孔14と第2孔15との中心位置が0mm位置ずれした複合孔13(即ち、単孔12)の負電極であり、実施例1は0.5mm、実施例2は1.0mm、実施例3は2.0mm位置ずれした複合孔13を持つ負電極である。
そして、実施例1〜3及び比較例の負電極における片面(以下、便宜上表面とする)の負極活物質を切削した後、切削面をウエスで軽く擦って切削くずを除去し、次いで裏面にカッターを約30度の角度で宛い、カッターの刃先に250g程度の荷重を掛けながら負極活物質層に切溝を形成した。
この切溝は、1mm間隔とし縦横10本ずつ直交するように形成して、碁盤目状に100個の升目を形成した。
このように碁盤目状に100個の升目が形成された各負電極を、それぞれ10枚ずつ用いて、各負電極が垂直になるようにして、約100mmの高さまで持ち上げた後、各負電極をそれぞれ自由落下させた。この落下試験を3回繰り返して行つた後、各負電極に形成された升目の脱落個数を数えて、その平均値を求め、比較例の平均脱落数を100%とする百分率で求めた。
Figure 2005190709
表1は、この結果で、ずれ量Xが増えるに従い開孔11と負極活物質との接触面積が増加して、脱落数が少なくなり、アルカリ蓄電池用極板の品質が向上することが実証された。
なお、かかる脱落数の減少は、活物質が接触する接触面積が増大、即ち壁面積の増加による結着力が増大したのに加え、第1孔14と第2孔15との段差部分での活物質の引っ掛かりによる係合力も寄与している。
従って、例えば、開孔11の孔壁を粗面とすることにより活物質と孔壁との係合力が高まりて結着力を増大させることが可能になり、また開孔11の孔壁を中間部でビヤ樽のように窪ませた形状にすることで、孔内の活物質が抜け難くなって結着力を増大させることが可能になる。さらには、極板芯体10の板面に対して斜めに貫通孔を形成して、この貫通孔を開孔11として活物質の接触面積を高めて結着力を増大させることが可能になる。
従って、これらの方法によっても、活物質の脱落を抑制できるようになり、アルカリ蓄電池用極板の品質を向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、このような極板芯体10を用いたアルカリ蓄電池について説明する。負電極は上述した通りであるが、正電極は、発泡ニッケル等よりなる三次元的に連続する空間を有す金属多孔体に水酸化ニッケルを主成分とする活物質スラリーを充填し、乾燥した後、所定の厚みになるように圧延して形成した。
そして、この正電極の上端部に充填された活物質の一部を除去して剥離部を形成した後、この剥離部に集電リード板を溶接して固着した。
なお、水酸化ニッケルを主成分とする活物質スラリーとしては、例えば共沈成分として亜鉛を2.5質量%とコバルトを1質量%含有する水酸化ニッケル粉末10質量%と酸化亜鉛粉末を3質量%とを混合した混合粉末に、ヒドロキシプロピルセルロースの0.2質量%水溶液を加えて攪拌、混合したものを使用した。
次いで、セパレータを正電極と負電極との間に介在させ、渦巻状に巻回することにより、電極群を作製した。この巻回により活物質が脱落する場合があり、かかる脱落は生産性を左右する要因になるので、巻回における巻取ショート率を求めた。なお、巻取ショート率は、巻取母数3000に対する巻取ショートの割合を百分率で定義している。
Figure 2005190709
この結果から、活物質の脱落が少ない試料の方が巻取ショート率も小さくなっていることが確認できる。即ち、第1孔14と第2孔15との中心位置のずれ量Xが0mm、0.5mm、1.0mm、2mmと増大するに従い活物質の脱落数が減少し、これに比例して巻取ショート率も小さくなっている。
図4は、このような負電極20、セパレータ21、正電極22からなる電極群を用いて形成した円筒型アルカリ蓄電池の分解斜視図で、巻回された電極群を外装缶23に挿入し、その後電解液を注入して、外装缶23の開口部を封口体24で封止している。
このとき、外装缶23に接触する最外側の電極は負電極20とし、その接する面の活物質は予め除去されているので、電極群を挿入する際に外装缶23の開孔11縁に電極面が擦れて活物質が脱落するのが抑制でき、外装缶23の開口部に脱落した活物質が付着して封口体24による封止不良の発生が低減して、生産性を向上させることが可能になる。
また、上述したように活物質と極板芯体10との結着力が増大しているため、巻回時における活物質の脱落が少なくなると共に、充放電に伴う活物質の脱落も少なくなって、品質を向上させることが可能になる。
なお、本発明は、円筒型アルカリ蓄電池に限定されるものではなく、図5に示すように角型アルカリ蓄電池に適用してもよい。この角型アルカリ蓄電池は、負電極25、セパレータ26、正電極27の積層体からなる電極群を形成して、これを角缶の外装缶28に挿入し封口体29で封止して形成されている。
一般に、アルカリ蓄電池では、充電中に電池内圧上昇及び活物質の膨潤により電池厚さ方向に膨らみが発生する場合がある。圧力変動や膨らみによる影響は、活物質の脱落をもたらす一因となり、円筒型より角型の方が顕著であるが、本発明の構造では、上述した極板芯体10における開孔11と活物質との結着力が高められているため、圧力変動等による活物質の脱落が起こり難く、信頼性が向上する。
特に、第1孔14と第2孔15とのずらし量が、孔の直径Dより小さくなるように形成するので、必ず第1孔14と第2孔15とが連通した状態となり、この活物質を介して電池内で発生したガスの透過性が阻害されず、極板芯体10の表裏面に加わる圧力差が緩和でき、活物質の脱落を効果的に抑制することが可能となっている。
なお、前記実施の形態では、複合孔13は外装缶23,28に接触する領域の電極にのみ形成する場合について説明したが、この領域に限定せず全ての領域の極板芯体10に複合孔13を形成することで、充放電に伴う活物質の脱落をより効果的に抑制することが可能になる。
本発明の極板は、活物質と極板芯体との結着力を高めて、活物質が脱落するのを抑制することができるため、アルカリ蓄電池用極板及びアルカリ蓄電池として有用であるが、特に本発明の構造は、セパレータを正極板と負極板との間に挟み積層して形成した積層構造の電極群、あるいはセパレータを正極板と負極板との間に挟みこれを渦巻状に巻回したアルカリ蓄電池の信頼性向上に有効である。
極板芯体の斜視図 図1における単孔のA−A矢視断面図 図1における複合孔のB−B矢視断面図 円筒型アルカリ蓄電池の分解斜視図 角型アルカリ蓄電池の分解斜視図
符号の説明
11 開孔
12 単孔
13 複合孔
14 第1孔
15 第2孔
20,25 負電極
21,26 セパレータ
22,27 正電極
23,28 外装缶
24,29 封口体

Claims (6)

  1. 複数の開孔が形成された極板芯体に活物質が塗着されてなるアルカリ蓄電池用極板であって、
    前記開孔は、前記極板芯体の板面に垂直に形成された貫通孔の壁面積を基準値としたとき、壁面積が、前記基準値より大きくなるように形成されたことを特徴とするアルカリ蓄電池用極板。
  2. 請求項1記載のアルカリ蓄電池用極板であって、
    前記開孔が、前記極板芯体の表面に形成された第1孔と、裏面に形成された第2孔とからなり、かつ、各孔の中心位置がずれて形成されると共に、第1孔と第2孔とが連通するように形成されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用極板。
  3. 請求項2記載のアルカリ蓄電池用極板であって、
    前記第1孔と第2孔とが直径Dをもち、その中心位置のずれ量をXとしたとき、該ずれ量Xが0<X<Dを満たすように前記開孔を形成したことを特徴とするアルカリ蓄電池用極板。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用極板であって、
    前記開孔の内壁は粗面で構成されたことを特徴とするアルカリ蓄電池用極板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載のアルカリ蓄電池用極板を用いて形成された負電極又は正電極を用いて形成されることを特徴とするアルカリ蓄電池。
  6. 請求項5記載のアルカリ蓄電池であって、
    前記正電極と前記負電極とをセパレータを介してはさみ、該外装缶に接する前記正電極又は前記負電極の接触領域における前記極板芯体に、前記開孔を具備したことを特徴とするアルカリ蓄電池。
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