近年、液晶パネルを用いた液晶表示装置の表示容量は、大容量化の一途をたどっている。その液晶表示装置の構造は、上基板上に設ける信号電極に液晶画素の表示電極を直接に接続するパッシブマトリクス型と、信号電極と表示電極の間にスイッチング素子を有するアクティブマトリクス型がある。さらに、上基板上の表示電極と対向するように液晶を介して対向電極を設け、複数の信号電極と複数の対向電極をマトリクス状に配置し、信号電極と、対向電極に接続するデーター電極に外部回路より所定の信号を印加する構造からなる。
そして、単純マトリクス構成(パッシブマトリクス型)の液晶表示装置にマルチプレクス駆動を用いる手段は、高時分割化するに従ってコントラストの低下あるいは応答速度の低下が生じ、200本程度の走査線を有する場合では、充分なコントラストを得ることが難しくなる。
そこで、このような欠点を除去するために、個々の画素にスイッチング素子を設けるアクティブマトリクスの液晶表示パネルが採用されている。
このアクティブマトリクスの液晶表示パネルには、大別すると薄膜トランジスタを用いる三端子型スイッチング素子と、非線系抵抗素子を用いる二端子型スイッチング素子とがある。これらのうち構造や製造方法が簡単な点と低温工程にて比較的製造可能な点では、二端子型スイッチング素子が優れている。
この二端子型スイッチング素子としては、ダイオード型や、バリスタ型や、TFD型などが開発されている。
このうちTFD型は、とくに構造が簡単で、そのうえ製造工程が短いという特徴を備えている。
また、液晶表示装置は自己発光型の表示装置ではないため、外部の光源を利用し液晶の光学変化により外部の光の変化を利用し表示を行う。そのため、観察者と液晶表示装置と光源の位置関係には、大きく分けると2種類ある。一つ目は、外部光源(主光源)と観察者が液晶表示装置に対して同一面にある、いわゆる反射型液晶表示装置であり、2つ目は観察者−液晶表示装置−光源部の配置をとる、いわゆる透過型液晶表示装置である。液晶表示装置の長所である低消費電力化を目的とする場合には、特に光源を必要とせず液晶表示装置の周囲の外部光源を利用する反射型液晶表示装置が有効である。
また、液晶表示装置の使用環境が明るい場合には、外部の光源を利用する反射型液晶表示装置であり、使用環境が暗い場合には、液晶表示装置が有する光源部を点灯し、透過型液晶表示装置として使用する、半透過(反射)型液晶表示装置がある。半透過型液晶表示装置は、基本は、反射型液晶表示装置として利用するため、消費電力は、透過型液晶表示
装置に比較して、小さくできる。そのため、反射型液晶表示装置、あるいは、半透過型液晶表示装置は、携帯情報機器への応用に極めて重要な表示モードである。
以下に、信号電極と表示電極の間にスイッチング素子として二端子型スイッチング素子を有する半透過型液晶表示装置の従来例を図面に基づいて説明する。
図13は、二端子型スイッチング素子を用いた従来技術における半透過型液晶表示装置の構成を示す平面図である。さらに図14は、図13の平面図におけるA−A線での断面を示す断面図である。以下、図13と図14とを交互に用いて従来技術を説明する。
透明基板からなる下基板11上には、いずれもタンタル(Ta)膜からなる配線電極17と配線電極17と一体構造からなる下部電極4を有する。配線電極17と下部電極4上には、酸化タンタル(Ta2 O5 )からなる非線形抵抗層15を有する。
さらに、前記下部電極4上の非線形抵抗層15と重なり合う上部電極6と上部電極6と一体構造の表示電極9とを酸化インジウムスズ(ITO)膜にて設ける。この上部電極6と非線形抵抗層15と下部電極4とにより二端子型スイッチング素子5を構成する。
以上に記載する下基板11を液晶表示装置として使用する場合には、下基板11に対向するように透明基板からなる上基板1を設ける。この上基板1上には、表示電極9と対向するように透明導電性膜からなる酸化インジウムスズ(ITO)膜で構成する信号電極2を有する。さらに信号電極2には、外部回路の信号を印加するためのデーター電極(図示せず)を接続している。
さらに上基板1上と下基板11上には、液晶16の分子を規則的に並べるための処理層として、それぞれ配向膜13を有する。さらにスペーサー(図示せず)によって、上基板1と下基板11とを所定の間隙寸法をもって対向させ、上基板1と下基板11との間には、液晶16を封入している。
さらに、上基板1の上面には、第1の偏光板21を有し、下基板11の下面には、第2の偏光板22を有する。さらに、薄膜金属からなる半透過反射板25aを有し、さらに、光源部31としてエレクトロルミネッセント(EL)素子とを有する。液晶16は自己発光しないため、外部環境(外部光源:図示せず)が明るい場合には、半透過反射板25aの反射特性を利用して表示を行い、外部環境が暗い場合には、光源部31であるエレクトロルミネッセント(EL)素子を点灯して半透過反射板25aの透過性を利用して表示を行う。
<第1の実施形態>以下に本発明の液晶表示装置を実施するための最良の形態における液晶表示装置の構成を、図面を使用して説明する。
以下に、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置の構成を、図1と図2とを用いて説明する。本発明の第1の実施形態においては、信号電極と対向電極をスイッチング素子を介さずに設けるパッシブマトリクス型の液晶表示装置への応用例を示す。図1は本発明の第1の実施形態における液晶表示装置の一部を拡大する平面図である。図2は図1の平面図のB−B線における断面を示す断面図である。以下、図1と図2とを交互に用いて本発明の第1の実施形態を説明する。
ガラス基板からなる上基板1上には、酸化インジウムスズ膜からなる信号電極2を設ける。この信号電極2は表示電極9を兼用するためストライプ形状をしている。
さらに、以上の上基板1を液晶表示装置に利用する場合には、上基板1と対向するガラス基板からなる下基板11を設ける。この下基板11上には、上基板1上に設ける表示電極9と対向するように酸化インジウムスズ(ITO)膜からなる対向電極12を設ける。さらに対向電極12は、外部回路の信号を印加するためのデーター電極(図示せず)と接続する。
さらに、上基板1と下基板11とは、液晶16の分子を規則的に並べるための処理層として、それぞれ配向膜3、13を有する。さらにスペーサー(図示せず)によって、上基板1と下基板11とを所定の間隙寸法をもって対向させ、シール部(図示せず)により固定し、上基板1と下基板11との間に液晶16を封入する。さらに、上基板1を観察者の方向に配置し、外部光源30も観察者と同様の側に配置するいわゆる反射型液晶表示装置とする。さらに、上基板1の上面(上側)には上偏光板21を設け、下基板11の下面(下側)には下偏光板22を有する。
さらに、本第1の実施形態においては、下基板11と下偏光板22の間に、直線光を散乱する拡散板20を有する。この拡散板20は、1μmと3μmのポリスチレン製のビーズとアクリル樹脂を練り合わせ、薄膜に加工することにより形成している。さらに、下偏光板22の下面(下側)には半透過反射板25aを有し、さらに、半透過反射板25aの下面には、光源部31を有する。
液晶表示装置は、外部環境すなわち、外部光源30の明るい状況では、外部光源30の光を上偏光板21、上基板1、信号電極2、液晶16、対向電極12、下基板11、拡散板20、下偏光板22と透過し、半透過反射板25aと光源部31の表面の反射を利用して表示を行う。この場合に、下偏光板22の透過率が可視光領域で着色しているため、拡散板20を使用していない従来例では、着色する表示となり、白色の表示が出来ない。しかし、本実施形態に示す下基板11と下偏光板22との間に拡散板20、特に可視光領域で透過率、反射率がほぼ等しい白色拡散板を利用することにより、下偏光板22の着色、および、上偏光板21の着色表示を防止することができる。
また、外部光源30の暗い場合には、液晶13は、一般的には非発光のため、照明(光源)が必要となる。本実施形態においては、半透過反射板25aの下面にエレクトロルミネッセント(EL)素子からなる光源部を配置している。そのため、外部環境が暗い場合においても、光源部からの光は、半透過反射板25a、下偏光板22を透過し、拡散板20により所定の散乱角に拡散され、さらに、下偏光板22の着色は、拡散板20の光源部31の面による反射と下基板11の面側の散乱により白色化されて、下基板11へと出射することができる。そのため、明るく、かつ白い表示が可能となる。
つぎに、白色拡散板20の特性を説明する。図3は第1の実施形態に示す液晶表示装置の反射率と印加電圧(V)の特性の関係を示す図である。縦軸が反射率であり、横軸が液晶に印加する電圧である。本発明の実施形態を利用する特性を曲線Xにより示す。比較のため、曲線Yにより従来例の特性を示す。従来例に比較し、拡散板20の表面反射、拡散反射により、まず反射率は向上する。さらに、半透過反射板25aを鏡面とし、拡散板20により拡散性を持たせることにより、半透過反射板25aの反射特性を向上することが可能となる。以上により、本発明を利用することにより、反射率が液晶16への印加電圧によらず従来例に比較し大きくすることができる。特に反射特性が重要である反射型液晶表示装置として利用する場合には、非常に有効となる。
また、図4は、第1の実施形態に示す液晶表示装置の反射率の波長依存性を示す図である。縦軸が反射率であり、横軸が波長(単位:nm)である。曲線Lが本発明の特性を示すグラフであり、曲線Mが従来例を示すグラフである。以下に図3と図4とを交互に用いて本発明の拡散板20を用いた場合と、従来の特性の差を説明する。図3の曲線Xは本実施形態の特性を示し、曲線Yは従来例に示す構造を利用する場合の特性を示す図である。曲線Yは、コントラストは充分であるが、明るさが不足し、図4の曲線Mに示すように波長依存性を有し、白表示が緑から青を帯びている。そのため、暗くかつ白い表示とはならない。これに対し、拡散板20を利用する本実施形態の特性は、図3の曲線Xと図4の曲線Lとに示すように、コントラストは僅かに減少するが、拡散板による反射により明るさの向上と白さの向上が明らかに改善されている。液晶表示装置の場合には、明るさと白さがコントラストより優先され、コントラストは、5:1でも新聞紙程度の認識性はあるため、拡散板20によるコントラストの低下は、明るさと白さの改善に比較し影響が小さいと言える。
また、光源部31を点灯する場合においても、光源部31からの光は、下偏光板22と液晶16と上偏光板21により、反射型として利用する場合と同様の表示が可能となる。すなわち、光源部31の光は、拡散板20により所定の散乱角を有し、さらに、拡散板20の光源部31側の反射と下基板11側の散乱により、下偏光板22の着色を白色化して観察者側へ出射することができる。本発明の構成と類似する住友スリーエム製の反射型偏光板を利用するものは、反射と透過の表示とで、明るさが反転する現象が発生するが、本発明は反射型、透過型の表示の両表示において、明表示は、明表示であり、逆に暗表示は暗表示とすることができる。そのため、本発明は、カラー表示による、反射型と透過型表示の色変化も防止することができ、非常に有効である。
さらに、使用する偏光板も従来と同様で可能であり、コントラストを改善し、コストの低減もできる。また、上偏光板21と下偏光板22の透過率は、できるだけ可視光領域で同等なものを用いることが、本発明の効果をより有効にできる。
また、拡散板20には光学的位相差、偏光性は必要がなく、複数の粒径のビーズによる散乱性と高透過率が必要なだけである。そのため、特定方向の延伸処理あるいは、光学的異方性を有する物質を含む必要がないため、低コストで簡単に作成することができる。
<第2の実施形態>つぎに、本発明の第2の実施形態における液晶表示装置の構成を、図5を用いて説明する。本発明の第2の実施形態においては、光源部に冷陰極管と反射鏡と有し、下基板の下面には導光板を有し、さらに、導光板の下面には反射板を有する構造に関するものである。図5は、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図5を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態は、ほぼ第1の実施形態と同様な構造であり、同様な構成要素には同様な記号を利用して説明している。まず、上基板1上には、信号電極2と配向膜3を有し、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部8と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の下面には、下基板11と僅かな間隙を設けて対向する拡散板20と下偏光板22とを有する。第2の実施形態と第1の実施形態の相違点は、反射板25bと下偏光板22との間に光源部を配置する構成であり、光源部は、下基板11の周囲、すなわち、シール部8の近傍に設ける冷陰極管32と反射鏡33と下基板11の下面に面する導光板19と導光板19の下面に配置する反射板25bからなる構成を採用する。導光板は、透明アクリル樹脂、あるいはエポキシ樹脂からなり、透過率が良好である。さらに、位相差を有していないため、下偏光板22と反射板25bとの間に導光板を設けても表示品質を低減することが少ない。
さらに、反射板25bは、第1の実施形態と異なり、下基板11に面する光源部が透過性のため、反射板を光源部の下面にすることができるため、反射板25bは、反射率を優先にできる。さらに、光源部を点灯する場合にも、半透過反射板による光の損失がないため、明るい表示が可能となる。
すなわち、反射型として利用する場合には、導光板19の光損失は僅かであり、反射板25bは、反射率を優先でき、明るく、かつ白い表示が可能となる。さらに、特に透過の場合には、半透過反射板25aに比較し透過率の良好な導光板19と反射板25bにより明るい表示が可能となる。
<第3の実施形態>つぎに、本発明の第3の実施形態における液晶表示装置の構成を、図6を用いて説明する。本発明の第3の実施形態においては、光源部に冷陰極管と反射鏡と有し、冷陰極管を下偏光板の下面に配置する点である。さらに、冷陰極管の下面には反射板を有する。図6は、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図6を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。
第3の実施形態は、ほぼ第1の実施形態と同様な構造であり、同様な構成要素には同様な記号を利用して説明している。まず、上基板1上には、信号電極2と配向膜3を有し、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の下面には、下基板11と僅かな間隙を設けて対向する拡散板20と下偏光板22とを有する。第3の実施形態と第1の実施形態の相違点は、反射板25bと下偏光板22との間に光源部を配置する構成であり、光源部は、下偏光板22の下面に設ける冷陰極管32と冷陰極管32の下面に配置する反射板25bからなる構成を採用している点である。冷陰極管32の管径は、1ミリメートルのものを利用し、拡散板20を
用いることにより反射型、あるいは透過型表示の場合の影となること防止している。
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、反射板25bは、第1の実施形態と異なり、光源部が透過性であり、反射板25bを光源部の下面にすることができるため、反射板25bは、反射率を優先にできる。さらに、光源部を点灯する場合にも、半透過反射板による光の損失がないため、明るい表示が可能となる。
すなわち、反射型として利用する場合には、冷陰極管32の部分のみが僅かに影となるだけであり、その他の部分は、非常に有効に外部光源からの光を利用できる。また、透過型の場合には、冷陰極管32の発光の均一性のみを考慮すれば良い。反射型、透過型の冷陰極管32の影響は下偏光板22の上面に設ける拡散板20によりかなり改善できる。
<第4の実施形態>つぎに、本発明の第4の実施形態における液晶表示装置の構成を、図7を用いて説明する。本発明の第4の実施形態においては、光源部に有機エレクトロルミネッセント(EL)層を有するものである。有機エレクトロルミネッセント(EL)層の下基板側には、透明導電膜を有し、逆の面には、反射板を兼用する下電極を設ける。図7は、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図7を用いて本発明の第4の実施形態を説明する。
第4の実施形態は、ほぼ第1の実施形態と同様な構造であり、同様な構成要素には同様な記号を利用して説明している。まず、上基板1上には、信号電極2と配向膜3を有し、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の下面には、下基板11と接着する拡散板20と下偏光板22とを有する。第4の実施形態の特徴は、光源部として有機エレクトロルミネッセント(EL)層38を利用する点にある。有機エレクトロルミネッセント(EL)38は透過性が大きく、さらに、面光源として作用する。そのため、下偏光板22に面する配置に利用できる。
光源部は、下偏光板22側より、ポリエチルテレフタレート(PET)からなる保護層36と酸化インジウム酸化スズ膜(ITO膜)からなる上電極37と有機エレクトロルミネッセント(EL)層38と銀膜からなる下電極39とPETからなる基板40とからなる。有機エレクトロルミネッセント(EL)層38は、蒸着法にて形成している。また、上下のPET膜はシール部(図示せず)により封止され、銀膜と有機エレクトロルミネッセント(EL)38への空気と湿度の進入を防止している。
第4の実施形態は、光源部の発光層(エレクトロルミネッセント(EL)層38)を透明にすることができる。さらに、エレクトロルミネッセント(EL)層38の両面には、エレクトロルミネッセント(EL)層38に電流を流すために、電極が必要であり、発光を有効に取り出すために、下電極39は、反射特性を有する電極とし、反射板として利用できる。エレクトロルミネッセント(EL)層38の発光と下電極39の反射光を有効に出射するために、上電極37は透明電極としている。
反射型として利用する場合には、拡散板20を透過した光は有機エレクトロルミネッセント(EL)層38を透過し、下電極39により反射し、再度観察者側に出射し表示を行う。拡散板20により、エレクトロルミネッセント(EL)38の着色と電極37、39の形状を遮蔽することができる。
また、透過の場合には、拡散板20により完全に白色化することは、有機エレクトロルミネッセント(EL)層38の発光波長に依存するが、発光層の材料を選択することにより、かなり白色化することができる。さらに、下電極29に平坦な構造を採用しても、前記拡散板20により観察者と液晶表示装置の位置によらず良好な表示品質を提供できる。
<第5の実施形態>つぎに、本発明の第5の実施形態における液晶表示装置の構成を、図8を用いて説明する。本発明の第5の実施形態においては、光源部に冷陰極管を有し、冷陰極管を下偏光板の下面に配置する点である。さらに、冷陰極管の下面には反射板を有する。さらに、冷陰極管の影を防止するために上偏光板と上基板との間にも拡散板を配置している。さらに、光源部上での反射を強化し、冷陰極管の視認性を防止し、さらに光源部の点灯時の光の指向性を強めるために、下偏光板と冷陰極管との間にレンズフィルムを設けている。図8は、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図8を用いて本発明の第5の実施形態を説明する。
第5の実施形態は、ほぼ第1の実施形態と同様な構造であり、同様な構成要素には同様な記号を利用して説明している。まず、上基板1上には、信号電極2と配向膜3を有し、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の下面には、下基板11と僅かな間隙を設けて対向する拡散板20と下偏光板22とを有する。反射板25bと下偏光板22との間に光源部を配置する構成であり、光源部は、下偏光板22の下面に設けるレンズフィルム27と冷陰極管32と、冷陰極管32の下面に配置する反射板25bからなる構成を採用する。冷陰極管32の管径は、1ミリメートルのものを利用し、さらに、拡散板20の散乱効果とレンズフィルム27の表面反射効果により反射型、あるいは透過型表示の場合には影となることは非常に少ない。
反射板25bは、下基板11に面する光源部が透過性のため、反射板を光源部の下面にすることができるため、反射板25bは、反射率を優先にできる。さらに、光源部を点灯する場合にも、半透過反射板による光の損失がないため、明るい表示が可能となる。
さらに、上偏光板21と上基板1との間には、上拡散板26を配置する。上拡散板26により、液晶表示装置と観察者との位置関係による表示品質の変化を防止すると同時に、光源部の冷陰極管32の影を認識しにくくする効果がある。また、上偏光板21上に拡散板26を設ける場合に比較し、拡散板26表面での反射によるコントラスト比の低下を防止することができる。
<第6の実施形態>つぎに、本発明の第6の実施形態における液晶表示装置の構成を、図9を用いて説明する。本発明の第9の実施形態においては、光源部に平面光源であるエレクトロルミネッセント(EL)素子31を有する。さらに、拡散板20として下基板11の裏面に凹凸を有する構造を採用する。図9は、本発明の第1の実施形態における液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図9を用いて本発明の第6の実施形態を説明する。
第6の実施形態は、ほぼ第1の実施形態と同様な構造であり、同様な構成要素には同様な記号を利用して説明している。まず、上基板1上には、信号電極2と配向膜3を有し、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の下面側の面は、2次曲線の形状の凹凸を有する。凹凸の形成法は、ダイヤモンド粉、あるいはタングステンカーバイト(WC)粉を高圧により微細ノズルにより噴射して基板を荒らし、さらに、フッ酸によりエッチングを行い、さらに、ガラス表面をスポンジで擦り洗浄を行うことにより形成した。以上の下基板11の下面に形成する凹凸により拡散板20とする。
さらに、下基板11の下面には下偏光板22と、半透過反射板25aと光源部として無機エレクトロルミネッセント(EL)素子31を設ける。無機エレクトロルミネッセント(EL)素子31は、下基板11の面側より、PETフィルムと透明導電膜とマンガン(Mn)を発光中心とする硫化亜鉛(ZnS)からなる無機エレクトロルミネッセント(EL)層と絶縁膜とカーボン電極と保護層からなる。
以上の構造を採用することにより、液晶層16と半透過反射板25aとの距離を小さくでき、2重像あるいは像のボケを防止することができる。
<第7の実施形態>つぎに、本発明の第7の実施形態における液晶表示装置の構成を、図10を用いて説明する。本発明の第10の実施形態においては、光源部に平面光源であるエレクトロルミネッセント(EL)素子31を有する。さらに、拡散板20として下基板11の上面に凹凸を有する構造を採用する。また、上基板上には、スイッチング素子として、二端子型スイッチング素子を有する。図10は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置のB−B線に相当する部分の断面図である。以下、図10を用いて本発明の第7の実施形態を説明する。
第7の実施形態は、上基板1上に二端子型スイッチング素子を有し、下基板11の上面に凹凸を設け、拡散板20としている点に特徴がある。さらに、下基板11の上面に凹凸を設け、平坦化と屈折率の制御のために保護膜14を設ける構造を採用するため、二端子スイッチング素子の特性の安定と製造工程中の下地への影響のために上基板1上にスイッチング素子5を設けている。さらに、基板と透明導電膜との屈折率の差による色付き防止のために、配線電極(対向電極)12よりも高抵抗でも使用可能である表示電極9を上基板1上に設けている。
まず、上基板1上には、いずれもタンタル(Ta)膜からなる配線電極17と配線電極17と一体構造からなる下部電極4を有する。配線電極17と下部電極4上には、酸化タンタル(Ta2 O5 )からなる非線形抵抗層15を有する。
さらに、前記下部電極4上の非線形抵抗層15と重なり合う上部電極6と上部電極6と一体構造の表示電極9とを10ナノメートル(nm)から50ナノメートル(nm)の酸化インジウムスズ(ITO)膜にて設ける。視認性の点では、特に10ナノメートル(nm)から30ナノメートル(nm)が非常に有効であり、10ナノメートル(nm)以下では、エッチング性と形成時の膜厚ばらつきが大きく制御性に難点があった。この上部電極6と非線形抵抗層15と下部電極4とにより二端子型スイッチング素子5を構成する。
以上の上基板1上には、液晶16を規則的にならべるために配向膜3を有する。また、上基板1に対向する下基板11上には、対向電極12と配向膜13とを有する。上基板1と下基板11とは、シール部と封孔部(図示せず)により密閉され、液晶16が封入してある。
さらに、下基板11の上面側には、2次曲線の形状の凹凸を有する。凹凸の形成法は、第6の実施形態と同様に、ダイヤモンド粉、あるいはタングステンカーバイト粉を高圧に
より微少ノズルにより噴射して基板を荒らし、さらに、フッ酸によりエッチングを行い、さらに、ガラス表面をスポンジで擦り洗浄を行うことにより形成した。以上の下基板11の上面に形成する凹凸により拡散板20とする。また、前記凹凸による対向電極12の断線、あるいは配向膜13の配向性の低下を防止するため、平坦化処理ようの保護層14を設けている。保護層14は、下基板11の上面の凹凸による散乱性を向上するために、屈折率の大きな酸化タンタル(Ta2O5)膜と屈折率の小さい酸化シリコン(SiO2)膜を積層する構造を採用している。酸化タンタル膜は、応力が大きく、厚膜が難しいため、印刷法にて形成可能な酸化シリコン膜を採用した。
さらに、下基板11の下面には下偏光板22と、半透過反射板25aと光源部としてエレクトロルミネッセント(EL)素子31を設ける。さらに、光の有効利用のため、各構成部材は、接着剤(図示せず)により接着し、空気層と各構成部材間の反射を防止している。また、無機エレクトロルミネッセント(EL)素子31は、下基板11の面側より、PETフィルムと透明導電膜とマンガン(Mn)を発光中心とする硫化亜鉛(ZnS)からなる無機エレクトロルミネッセント(EL)層と絶縁膜とカーボン電極と保護層からなる。
以上の構造を採用することにより、液晶層16と半透過反射板25aとの距離を小さくでき、2重像あるいは像のボケを防止することができる。
また、スイッチング素子に利用する表示電極9を薄膜の透明導電膜とすることにより、上基板1と透明導電膜と配向膜3との屈折率差による色付きと透過率の減少を非常に小さくできる。さらに、下基板11上(上面)に設ける凹凸と保護膜14とにより対向電極12の断線もなく、明るく白い背景表示が可能となる。
<第8の実施形態>つぎに、本発明の液晶表示装置に利用する拡散板の構造を図面を用いて説明する。図11は、拡散板20の一部を拡大する断面図である。以下に図11を用いて拡散板20の実施形態を説明する。
拡散板20には、ポリスチレンビーズ41をアクリル系モノマーに分散し偏光板22上に印刷法により30マイクロメートルの膜厚に形成し、紫外線によりモノマーを重合し、膜状にする。また、偏光板22の下面にはアルミニウム(Al)膜を30ナノメートル(nm)形成した半透過反射板25aを真空蒸着法にて形成する。アルミニウム膜は、酸化アルミニウム膜にて被服されている。本実施形態においては、反射板の透過率は、アルミニウム膜の膜厚と結晶性で制御している。以上の構造を有する拡散板20は、可視光領域において、ほぼ均一の透過率を有し、さらに、透過率が大きい。また、拡散度(ヘイズ)は比較的大きくできる。
つぎに、拡散板20の上面からの光線の挙動を図11を用いて説明する。光線45は、拡散板20に対して所定の角度により入射する。拡散板20のアクリル樹脂42とビーズ41の屈折率の違いにより光線45は、屈折と反射を繰り返し、下偏光板22に達し、偏光され半透過反射板25aに達する。半透過反射板25aにより、光は80%反射し、20%透過する。反射した光線は、下偏光板22を透過し、再び拡散板20にて屈折を繰り返し、上面へ出射される。以上により下偏光板22の偏光を上面に伝達することができると同時に、下偏光板22の色調を白色化することができる。
さらに、光線46は、拡散板20に入射し、ビーズ41との屈折により、上面側に反射される。そのため、下偏光板22の偏光性を示さないが、同時に色調も変化していない。以上により、光線45に代表される光線により、下偏光板22の偏光性を上面側に伝達し、さらに、光線46に代表される光線により、拡散板20からの反射成分を利用すること
により、明るさと白さ背景表示が可能となる。
光源部を点灯した場合には、光線48に示すように、半透過反射板25aの下面側より、半透過反射板25aと下偏光板22を透過し、拡散板20により散乱と反射を繰り返し透過して、上面に出射する。そのため、光線48は、拡散板20の上面では、散乱性を有し、さらに白色化している。
<第9の実施形態>つぎに、本発明の液晶表示装置に利用する拡散板の別の構造を図面を用いて説明する。図12は、拡散板20の一部を拡大する断面図である。以下に図12を用いて拡散板20の実施形態を説明する。
拡散板20には、ポリスチレンビーズ41をメラミン樹脂に分散しフィルム形状に加工を行い、下偏光板22上に粘着材により貼りつけ、また、下偏光板22の下面には金属箔にエッチング処理により微少開口部50を形成し、さらに、表面に銀メッキを行った、エンボス型の半透過反射板25aを用いている。本実施形態においては、反射板の透過率は、エンボスの面積の比率により制御している。以上の構造を有する拡散板20は、可視光領域において、ほぼ均一の透過率を有し、さらに、透過率が大きい。また、拡散度は比較的大きくできる。
つぎに、図12を用いて拡散板20の上面からの光線の挙動を説明する。光線45は、拡散板20に対して所定の角度により入射する。拡散板20のアクリル樹脂42とビーズ41の屈折率の違いにより光線は、屈折と反射を繰り返し、下偏光板22に達し、偏光され半透過反射板25aに達する。半透過反射板25aのエンボス部分と金属部分のいずれに入射するかにより、光の反射と透過が発生する。光線45は、金属部分のため、反射し、再び、下偏光板22を透過し、再び拡散板20にて屈折を繰り返し、上面へ出射される。以上により下偏光板22の偏光を上面に伝達することができると同時に、下偏光板22の色調を白色化することができる。
さらに、光線46は、拡散板20に入射し、ビーズ41との屈折により、上面側に反射される。そのため、下偏光板22の偏光性を示さないが、同時に色調も変化していない。また、光線49は、光線45と同様に屈折と反射を繰り返しながら半透過反射板25aに到達するが、エンボス部分に到達するため、反射せずに下側に透過する。外部光源は、色々な入射角で半透過反射板25aに入射するため、エンボス部分50の開口部の径と半透過反射板25aの厚みとエンボス部分50の形状により、外部光源を利用する場合の反射特性を可変できる。透過の場合には、平面光源を利用することにより、比較的平行光に近い光線48を利用するため、明るさの確保ができる。
以上の実施形態においては、カラーフィルターを用いていない例に関して説明を行ったが、下基板11の上面、例えば、下基板11と対向電極12との間に青、赤、緑のカラーフィルターを各画素部に対応してデルタ配置、あるいは斜めモザイク配置に設け、さらに平坦化膜を設けることにより可能となる。
また、実施形態においては、第7の実施形態以外には、スイッチング素子を用いていないパッシブマトリクス型の液晶表示装置を用いて説明を行ったが、スイッチング素子を用いる場合においても、当然本発明の実施形態の効果は有効である。また、二端子型スイッチング素子と同様、三端子型スイッチング素子の場合においても有効である。