JP2005189203A - 全周囲3dモデル作成方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる視点から得られた物体の形状を表す部分3Dモデルを接合して物体の全周囲を表す3Dモデルを作成する際,隣接する部分3Dモデル間の位置ずれを最小にし,高品質な全周3Dモデルを作成する。
【解決手段】複数の3次元計測装置11は計測物体の周囲に45度間隔で8個設ける。各3次元計測装置11はローカル座標で計測物体の座標データを取得する。座標変換部12は各3次元計測装置11から取得したローカル座標における計測物体の座標データをワールド座標系に変換する。部分3Dモデルは座標データ記憶部13に記憶され、3Dモデルセットデータ取出部14は対面する2つの部分3Dモデルからなる3Dモデルセットデータを座標データ記憶部13から抽出し、対応点決定部15は2組の3Dモデルセットデータの間で対応点を決定し、座標データ修正部16は対応点の距離が最小になるように一方の組の3Dモデルセットデータを修正する。
【選択図】図1

Description

本発明は異なる視点からそれぞれ得られた物体の形状を表す部分3Dモデルを接合して,物体の全周囲を表す3Dモデルを作成する全周囲3Dモデル作成技術に関する。
物体の形状を取得する3次元計測では,その手法においてパッシブ手法(三角測量法,shape from Xなど)とアクティブ手法(光飛行時間測定法,三角測量法など)に大別される。パッシブ手法とアクティブ手法の違いは,物体に対し何らかなエネルギーを照射するか否かの差である。3次元計測では一度に物体全体の形状を取得することはできない。計測できる範囲は3次元計測装置の可視範囲内に限定される。したがって,全周囲の3Dモデル(3次元モデルともいう)を作成するためには複数の視点において物体の部分的な3Dモデルを取得し,各視点から得られた部分3Dモデルを接合する。この接合の仕方が正しくないと部分3Dモデルの繋ぎめで段差やでこぼこが発生する。仮に個々の3Dモデルが精度良く取得できていても,最終的に得られる全周囲3Dモデルは精度においても見た目においても悪い。よって高品質の全周囲3Dモデルを作成する点で接合の仕方は重要なポイントとなる。
従来,接合を精度よく行う方法として種々の手法が提案されている。例えば非特許文献1においては,ある形状モデルと他の形状モデルの一致すべき点(対応点)を抽出し,対応点どうしの距離の総和が最小となるように接合する方法が開示されている。接合の手順としては,重なりあう領域が存在する隣接する形状モデル間にて接合を順繰りに行う必要がある。具体的には物体の部分的な形状モデルが1〜n個あり,これらで物体全周の形状モデルを現している場合,第1の形状モデルに対して隣接する第2の形状モデルの位置を最適化し,その後に第2の形状モデルに対して隣接する第3の形状モデルの位置を最適化し,これを繰り返して第n―1の形状モデルにより第nの形状モデルの位置を最適化する。最後に第nの形状モデルと第1の形状モデルを接合し全周囲の形状モデルを作成する。この場合,誤差の蓄積により位置ずれが次第に大きくなり,基準位置とした第1の形状モデルと最後に位置決めされた第nの形状モデルの位置ずれが最も大きく現われ,両者を精度よく接合することが困難となる。
また特許文献1では,物体を回転台上に置き回転台を回転させて撮影方向を変更し,回転情報を記憶し,回転軸の位置情報を得るために回転台上に基準物体を設けるという3次元計測手法が提案されている。この手法によれば各形状モデルの回転軸周りの回転情報が分かっているので,それに従って各形状モデルを配置するだけで物体の全周囲3Dモデルを作成できる。しかしながらこの手法では3次元計測装置に計測誤差があるため,回転軸に算出誤差が生じる。この算出誤差により隣接する部分形状モデル間で大きな位置ずれが生じる。従って最初の従来例にて示したような位置ずれ補正が必要となる。しかしこれを用いると誤差の蓄積による大きな位置ずれといった同様の問題が発生し,結果として高品質な全周3Dモデルが作成できないのが現状である。
特開平4−259809号公報 "Zippered Polygon Meshes from Range Images"SIGRAPH’94 Proceeding Greg Turk and Marc Lovoy Computer Science Department Stanford University
本発明は,以上の事情を考慮してなされたものであり,異なる視点からそれぞれ得られた物体の形状を表す部分3Dモデルを接合して物体の全周囲を表す3Dモデルを作成する際に,隣接する部分3Dモデル間の位置ずれを最小にし,高品質な全周3Dモデルを作成することを目的としている。
本発明によれば,上述の目的を達成するために,特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。ここでは,発明を詳細に説明するのに先だって,特許請求の範囲の記載について補充的に説明を行なっておく。
本発明の一側面によれば,上述の目的を達成するために,物体の全周囲3Dモデルを作成する方法において,基準となる座標系あるいは回転軸を有し,該座標系あるいは該回転軸を基準として現されかつ視点の異なる位置からそれぞれ取得された物体形状を表す複数の部分3Dモデルを有し,該複数の部分3Dモデルは互いに重なりあう領域を有し,該複数の部分3Dモデルにおいて略対面する該部分3Dモデルを一つの集合(全3Dモデルの集合に対する部分集合)とする複数組の3Dモデルの部分集合(3Dモデルセットとも呼ぶ)を有し,該複数組の3Dモデルの部分集合の単位で3Dモデルを接合して物体の全周囲3Dモデルを作成するようにし,さらに該3Dモデルの部分集合の単位で3Dモデルを接合する際に,該3Dモデルの部分集合を構成する部分3Dモデル間の相対的な位置関係を不動とし,また該3Dモデルの部分集合を接合する際に,該3Dモデルの部分集合間において存在する接合すべき対応点の距離の総和が最小になるように調整するようにしている。
この構成においては,各接合時のエラーが平均化され,また累積するエラー自体も分散できるので,従前のように最後の接合部分の位置ずれが無視できなくなるという不具合を解消できる。
上述の構成では,略対面する部分3Dモデル,すなわち,略対面する視点からそれぞれ取得された2つの部分3Dモデルから部分集合を構成したが,これに限らず,予め定められた相対位置関係にある2または複数の3Dモデルから部分集合を構成することができる。
部分集合モデルがローカルな座標系(カメラ座標系)で取得された場合には1の座標系たとえばワールド座標系に変換する必要がある。
上述の構成では,1組の部分集合に属する2つの部分3Dモデルと他の1組の部分集合に属する2つの部分3Dモデルとの間の対応点の距離の総和が最小になるようにしているが,1組の部分集合の1つの部分3Dモデルと他の組の部分集合の1つの部分3Dモデルとの間の対応点のみを考慮して調整を行なっても良い。
なお,本発明は方法として実現できるのみでなく装置またはシステムとしても実現可能である。また,そのような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることはもちろんである。またそのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品も本発明の技術的な範囲に含まれることも当然である。
本発明の上述の側面および他の側面は特許請求の範囲に記載され以下実施例を用いて詳述される。
本発明によれば異なる視点からそれぞれ得られた物体の形状を表す部分3Dモデルを接合して物体の全周囲を表す3Dモデルを作成する場合に,隣接する部分3Dモデル間の位置ずれを最小にし,高品質な全周3Dモデルを作成することができる。
以下,図面を参照しながら本発明の実施例を具体的に説明する。ここで2つの実施例について説明する。実施例1は物体の部分的な3Dモデルが1つの3次元座標にて表すことができる場合であり,実施例2は物体の部分的な3Dモデルが1つの回転軸を基準として表すことができる場合である。
まず本発明の実施例1について説明する。この実施例では,複数の3次元計測装置を計測物体を取り囲むように配置することにより,物体の全周囲3Dモデルを作成する装置(全周囲型3次元計測装置)を構成する。
3次元計測装置の計測手法には特に拘らない。アクティブ型およびパッシブ型の三角測量法は全て適用される。アクティブ型の三角測量の一例としてはスポット光あるいはスリット光の走査と検出用カメラの組み合わせによる三角測量法や投射回数を減らすことができる空間コード化法,走査が必要ない多値パターン投射による三角測量法等がある。また投射系と撮像系を同主点に配置し別視点に配置した撮像系の組み合わせによる三角測量法を用いてもよい。この手法によれば物体にテクスチャがあっても精度の良い3D形状モデルが取得できる。パッシブ型の三角測量の一例としては,2眼のステレオカメラによる三角測量法がある。また光や音などを物体に投射し物体にて反射した光や音を検出し,その投射時刻と検出時刻から物体までの距離を算出するTOF法(飛行時間差)を用いてもよい。
本実施例では最も簡単な構成にて3Dモデルを取得することができる2眼のステレオカメラによる3次元計測装置を用いた。よって1つの3次元計測装置内には2つのカメラが配置されている。この2眼のステレオカメラによる3次元計測装置を用いて物体の部分的な3Dモデルを取得し,それらを接合し全周囲の3Dモデルを作成する前に,前準備として先ず全ての3次元計測装置に対してカメラのキャリブレーションをする必要がある。このキャリブレーションについては後に詳述する。
図1は、本実施例の全周囲3Dモデル作成装置を模式的に示しており、この図において、全周囲3Dモデル作成装置は、複数の3次元計測装置11および制御装置100等を含んで構成されている。複数の3次元計測装置11は、上述のとおり2眼のステレオカメラによる3次元計測装置であり、図3や図4に示すように、計測物体の周囲に例えば45度の角度間隔で8個設けられている。もちろんこれに限られない。各3次元計測装置11はローカル座標(カメラ座標系)において計測物体の座標データを取得する。制御装置100は例えばコンピュータであり、座標変換部12、座標データ記憶部13、3Dモデルセットデータ取出部14、対応点決定部15、座標データ修正部16等の機能ブロックを含んで構成されている。座標変換部12は、各3次元計測装置11から取得したローカル座標における計測物体の座標データをワールド座標系に変換するものである。これを部分3Dモデルと呼ぶ。部分3Dモデルは座標データ記憶部13に記憶される。3Dモデルセットデータ取出部14は、対面する2つの部分3Dモデルからなる3Dモデルセットデータ(3Dモデルの部分集合のデータ)を座標データ記憶部13から抽出するものである。相互に重なり合う3Dモデルセットデータが2組取り出され、対応点決定部15は、2組の3Dモデルセットデータの間で対応点を決定する。座標データ修正部16は、対応点の距離が最小になるように一方の組の3Dモデルセットデータを修正する。これについては後に詳述する。修正されたデータにより座標データ記憶部13のデータが更新される。これらの処理は、全周囲データが合成されるまで繰り返し行なわれる。
なお、本実施例では、複数台の3次元計測装置を用いたが、後述するように、1台の3次元計測装置のみ用いる場合もある。また、後述の実施例2では基本的に1台の3次元計測装置のみ用いる。この場合には図1の3次元計測装置11が1個となる。ただし、部分3Dモデルは複数形成される。
以下、本実施例の動作を詳細に説明するが、そのまえに、2眼のステレオカメラによる3次元計測装置のキャリブレーションについて説明する。上述したとおり、この2眼のステレオカメラによる3次元計測装置を用いて物体の部分的な3Dモデルを取得し,それらを接合し全周囲の3Dモデルを作成する前に,前準備として先ず全ての3次元計測装置に対してカメラのキャリブレーションをする必要がある。キャリブレーションをすることにより全ての3次元計測装置内のカメラが個々に持つカメラ座標系を基準となる一つの座標系(ワールド座標系)に変換することができる。すなわち個々の3次元計測装置にて得られた部分的な3Dモデルの全てはワールド座標系にて表すことができる。
図2はカメラのキャリブレーションをする際に使用するキャリブレーション用物体を示している。キャリブレーション用物体には中心軸が設けられており,後で説明する複数の3次元計測装置11がレイアウトされた全周囲型3次元計測装置の中心位置にこのキャリブレーション用物体の中心軸を配置する。またこのキャリブレーション用物体のそれぞれの面には図に示すような四角いパッチが描かれている。キャリブレーション用物体の3次元形状とその面に描かれた四角いパッチの位置を予め正確に計測しておく。
図3は本実施例にて使用する全周囲型3次元計測装置を上からみた場合の全体像を示している。8つの3次元計測装置11を円を描くようにまた円の中心方向を撮像できるように配置する。個々の3次元計測装置11の撮像範囲は互いにオーバーラップする領域を含むようにも配置する。また全ての3次元計測装置11を固定しておく。ここで円の中心をワールド座標の原点としてワールド座標系を設定する。図3の紙面と垂直方向にZ軸が設定されている。このワールド座標の原点にキャリブレーション用物体の中心軸を配置する。この中心軸を基準にしてキャリブレーション用物体は回転できる。キャリブレーション用物体はその大きさが予め分かっており,またキャリブレーション用物体に描かれた各パッチの位置も予め分かっていることからキャリブレーション物体の各頂点と各パッチの位置を一つの座標系にて表すことができる。この座標系をワールド座標とし,キャリブレーション用物体の各頂点と各パッチの位置をワールド座標系にて表す。キャリブレーション用物体を回転させた場合でもその回転情報を検出しておくことにより,回転情報からキャリブレーション用物体の各頂点と各パッチの位置をワールド座標系にて表すことができる。
全ての3次元計測装置11のカメラ(2眼のステレオであるから各装置につき2台のカメラ)にてキャリブレーション用物体を撮像し撮像画像を取得する。撮像画像においてキャリブレーション用物体が同一平面上にしか撮像できていない場合は,キャリブレーション用物体を回転させ再び撮像する。撮像画像からキャリブレーション用物体の頂点と各パッチの4角の位置(カメラの結像面での座標)を求めておく。このカメラの結像面での座標と,ワールド座標系で現したキャリブレーション用物体の頂点と各パッチの4角の座標とからカメラパラメータを求める。このカメラパラメータによりカメラ座標系とワールド座標系は座標変換が可能となる。
つぎに、全周囲3Dモデルの作成について説明する。図4は全周囲型3次元計測装置にて取得した部分的な3Dモデルを接合して1つの全周囲3Dモデルを作成する方法を説明する図である。第1から第8の3次元計測装置11にてそれぞれの視野範囲に対応した物体の部分的な3Dモデル(図中の第1の部分3Dモデルから第8の部分3Dモデル)を取得する。隣接する部分3Dモデルは互いにオーバーラップする領域を含む。第1の部分3Dモデルから第8の部分3Dモデルは全て基準となる座標系であるワールド座標系にて表すことができる。よってこの座標を目安に1つの全周囲3Dモデルを作成することができる。しかしながらこの状態ではキャリブレーションパラメータの抽出誤差や各3次元計測装置11の計測誤差により,モデル間の接合状態が悪く繋ぎ目に大きな段差が生じる。従って本実施例では次のような手順にて部分3Dモデルの接合を行う。
[ステップ1]:対向する2つの部分3Dモデルを1つのセットとし,これを3Dモデルセットとする(実施例では第1の部分3Dモデルと第5の3Dモデル,第2の部分3Dモデルと第6の3Dモデル,第3の部分3Dモデルと第7の3Dモデル,第4の部分3Dモデルと第8の3Dモデルのセットとなる)。
[ステップ2]:3Dモデルセット内の部分3Dモデル間の相対的位置を固定する。
[ステップ3]:ワールド座標系で現された座標に基づいて3Dモデルセットを配置する(ラフな接合)。
[ステップ4]:隣接する3Dモデルセット間のオーバーラップする領域において,3Dモデルセット内のある点(x)に対し最も距離が近い別の3Dモデルセットの点(x)を探し,これを対応点とする。
[ステップ5]:抽出した対応点の距離の総和が最小になるように3Dモデルセットの位置を調整する。これを次式に従って行う。
,xはステップ4を参照されたい。なお、xには一方の3Dモデルセットに属する2つの3Dモデルの双方の対応点が含まれ、同様に、xには他方の3Dモデルセットに属する2つの3Dモデルの双方の対応点が含まれることに留意されたい。
以上の手順に従って個々の部分3Dモデルを接合し,全周囲の3Dモデルを作成する。これにより,モデル間の繋ぎ目がスムーズになり,高品質な全周囲3Dモデルを作成することができる。
本実施例では,計測手法として2眼のステレオ法を用いたが,特にこれに拘る必要はない。またキャリブレーションも上述した方法に縛られることはない。それぞれの計測装置が持つ座標系とワールド座標系が関連付けられるキャリブレーション方法を適宜用いればよい。図2にて示した基準物体を用いなくてもレンズの焦点距離やカメラの姿勢などを実測することによりキャリブレーションしてもよい。カメラとプロジェクタの組み合わせとなる計測装置などでは,カメラやプロジェクタのレンズの焦点距離や姿勢などからキャリブレーションしてもよいし,カメラとプロジェクタの位置関係などを実測して両者の座標系を関連付けておいて,カメラの座標系を上述した基準物体を用いたキャリブレーションにより算出してもよい。TOF法でも投射系,検出系のレンズや姿勢を実測することによりキャリブレーションしてもよい。また本実施例では3次元計測装置を8台設置したがこれに拘ることない。3次元計測装置が奇数の場合は,略対応する部分3Dモデルを適宜選択し,1つの3Dモデルセットだけを1つの部分3Dモデルから構成すればよい。また3次元計測装置を複数設置しないで,1台の3次元計測装置を移動して使用しても構わない。この場合基準の位置,姿勢から物体を撮像するようにし,その基準位置,姿勢におけるキャリブレーションパラメータを予め算出しておく。
つぎに本発明の実施例2について説明する。図5は本発明の実施例2を説明する図である。実施例においては、計測物体を回転台20に置いて,これを回転させることにより,物体の全周囲3Dモデルを作成する装置(物体回転による3次元計測装置)を構成する。計測手法は実施例1と同様に特に拘らない。アクティブ型およびパッシブ型の三角測量法やTOF法が適用できる。アクティブ型の三角測量法の中で投射系と撮像系を同主点に配置し別視点に配置した撮像系の組み合わせによる三角測量法を用いてもよい。この手法によれば物体にテクスチャがあっても精度の良い3D形状モデルが取得できる。
なお、本実施例でも、図1に示した制御装置100を用いることができる。ただし、3次元計測装置11は1台でよく、また回転台20を制御する制御部が別途必要になる。
この実施例2でも、最も簡単な構成にて3Dモデルを取得することができる2眼のステレオカメラによる3次元計測装置11を用いた。3次元計測装置の個々のカメラのカメラキャリブレーションは当然のことながら終了しているものとする。この2眼のステレオカメラによる3次元計測装置11を用いて物体の部分的な3Dモデルを取得し,それらを接合し全周囲の3Dモデルを作成する前に,前準備として回転台の回転軸の3次元位置を取得する必要がある。これを取得する方法を説明する。図5に示すように3次元計測装置と回転台20を配置する。回転台20の中心には回転軸21が設置されており,回転台20はこの回転軸21を中心にして回転できるような機構を持つ。回転軸21は必要において取り外しができる。3次元計測装置11を用いて回転軸21を撮像し,その3次元位置を取得する。回転軸21の3次元位置を取得した段階で3次元計測装置11と回転台20の相対的な位置を固定する。回転台20の回転は可能である。回転軸21を外す。以上で全周囲3Dモデルを作成するための前準備は終わりである。
次に本実施例の物体回転による3次元計測装置により物体の全周囲3Dモデルを作成する。図6,図7はこれを説明する図である。計測物体を回転台20に置き,その部分3Dモデルを取得する。これを初期位置とし,0°の角度で取得した部分3Dモデルと呼ぶ(図6)。取得できる部分3Dモデルは計測装置の視野範囲に限られるので,回転台20を回転させて計測できなかった領域の3Dモデルを更に取得する。回転した際の回転情報を記憶しておく。2つの部分3Dモデルはオーバーラップする領域があるように回転台20の角度を調整する。物体の全周囲が取得できるようにこれを繰り返す。図7は初期位置に対し90°の角度で計測物体を取得する場合を示している。ここで個々の部分3Dモデルは1つの回転軸を基準にして現され,またそれぞれに対応した回転情報が取得されているので,これらを基に1つの全周囲3Dモデルを作成することができる。しかしながらこの状態では回転軸21の3次元位置計測誤差や3次元計測装置11の計測誤差により,モデル間の接合状態が悪く繋ぎ目に大きな段差が生じる。従って本実施例では次のような手順にて部分3Dモデルの接合を行う。
[ステップ1]:対向する角度で取得された2つの部分3Dモデルを1つのセットとし,これを3Dモデルセットとする(実施例では0°の角度で取得された部分3Dモデルと180°の角度で取得された部分3Dモデル,45°の角度で取得された部分3Dモデルと225°の角度で取得された部分3Dモデル,90°の角度で取得された部分3Dモデルと270°の角度で取得された部分3Dモデル,135°の角度で取得された部分3Dモデルと315°の角度で取得された部分3Dモデルのセットとなる)。
[ステップ2]:3Dモデルセット内の部分3Dモデル間の相対的位置を固定する。
[ステップ3]:回転軸座標とそれぞれの回転情報に基づいて3Dモデルセットを配置する(ラフな接合)
[ステップ4]:隣接する3Dモデルセット間のオーバーラップする領域において,3Dモデルセット内のある点(x)に対し最も距離が近い別の3Dモデルセットの点(x)を探し,これを対応点とする。
[ステップ5]:抽出した対応点の距離の総和が最小になるように3Dモデルセットの位置を調整する。これを次式に従って行う。
,xはステップ4を参照されたい。
以上の手順に従って個々の部分3Dモデルを接合し,全周囲の3Dモデルを作成する。これにより,モデル間の繋ぎ目がスムーズになり,高品質な全周囲3Dモデルを作成することができる。本実施例では45°刻みで回転させたがこれに拘ることない。部分3Dモデルの個数が奇数の場合は略対応する部分3Dモデルを適宜選択し,1つの3Dモデルセットだけを1つの部分3Dモデルから構成すればよい。
以上で本発明の実施例の説明を終了する。なお,本発明は上述の実施例に限定されるものではなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば,また実施例1および実施例2において最終的な微調整として部分3Dモデルを個別に位置調整してもよい。調整の仕方は,手作業にて位置調整してもよいし,先の手順で示した対応点を抽出し,対応点の距離が最小になるように計算機にて計算処理してもよい。
また、上述では略対面する部分3Dモデルを1組としたが、異なる配置関係、例えば1つ置きまたは2つ置きの部分3Dモデルを組としても良いし、その個数も2につ限られない。また一部の部分3Dモデルの対応点のみを考慮して調整を行なうようにしても良い。ただし調整は一方の3Dモデルセット全体に行なうことはもちろんである。
本発明の実施例1の構成を模式的に示す図である。 上述実施例1において使用するキャリブレーション用物体である。 上述実施例1にて使用する全周囲型3次元計測装置を上からみた場合の全体像である。 上述実施例1の全周囲型3次元計測装置にて取得した部分的な3Dモデルを接合して1つの全周囲3Dモデルを作成する方法を説明する図である。 本発明の実施例2にて回転台の回転軸の3次元位置を取得する方法を説明する図である。 上述実施例2である物体回転による3次元計測装置にて取得した部分的な3Dモデルを接合して1つの全周囲3Dモデルを作成する方法を説明する図である。 上述実施例2である物体回転による3次元計測装置にて取得した部分的な3Dモデルを接合して1つの全周囲3Dモデルを作成する方法を説明する図である。
符号の説明
11 3次元計測装置
12 座標変換部
13 座標データ記憶部
14 3Dモデルセットデータ取出部
15 対応点決定部
16 座標データ修正部
20 回転台
21 回転軸

Claims (8)

  1. 物体の全周囲3Dモデルを作成する全周囲3Dモデル作成方法において,
    統一した表現基準で表されかつ視点の異なる位置からそれぞれ取得された物体形状を表す複数の部分3Dモデルであっていずれも他の1の部分3Dモデルと互いに重なり合う領域を有する前記複数の部分3Dモデルを記憶部に記憶する記憶ステップと,
    前記複数の部分3Dモデルから,2組の部分3Dモデルの部分集合であって,それぞれ予め定められた相対的な配置関係により選択される部分3Dモデルから構成され,一方の部分集合を構成する部分3Dモデルが他方の部分集合を構成する部分3Dモデルと重なり合う前記2組の部分3Dモデルの部分集合を,抽出部により,抽出する抽出ステップと,
    抽出した2組の部分集合の部分3Dモデルに対して,予め定められた基準に従って対応点の接合が最適化されるように一方の部分集合を構成するすべての部分3Dモデルを修正部により共通して修正する修正ステップとを有し,
    前記抽出ステップと前記修正ステップとを,少なくとも,最適化された接合により前記物体の全周囲3Dモデルが構成されるまで,繰り返すことを特徴とする全周囲3Dモデル作成方法。
  2. 前記部分集合は,物体を基準にして略対面する2つの視点からそれぞれ取得された物体形状を表す2つの部分3Dモデルから構成される請求項1記載の全周囲3Dモデル作成方法。
  3. 前記統一した表現基準として基準となる座標系を用いた請求項1または2記載の全周囲3Dモデル作成方法。
  4. 前記統一した表現基準として回転軸を用いた請求項1または2記載の全周囲3Dモデル作成方法。
  5. 前記修正ステップにおいて,共通して修正される前記一方の部分集合を構成するすべての部分3Dモデルの間の相対的な位置関係を固定とした請求項1,2,3または4記載の全周囲3Dモデル作成方法。
  6. 前記修正ステップにおいて,前記最適化の基準は,前記2組の部分集合の部分3Dモデル間において接合すべき対応点の距離の総和が最小になるようにすることである請求項1,2,3,4または5記載の全周囲3Dモデル作成方法。
  7. 物体の全周囲3Dモデルを作成する方法において,基準となる座標系あるいは回転軸を有し,該座標系あるいは該回転軸を基準として現されかつ視点の異なる位置からそれぞれ取得された物体形状を表す複数の部分3Dモデルを有し,該複数の部分3Dモデルは互いに重なりあう領域を有し,該複数の部分3Dモデルにおいて略対面する該部分3Dモデルを一つの集合とする複数組の3Dモデルの部分集合を有し,該複数組の3Dモデルの部分集合の単位で前記部分3Dモデルを接合して物体の全周囲3Dモデルを作成することを特徴とする全周囲3Dモデル作成方法。
  8. 物体の全周囲3Dモデルを作成する全周囲3Dモデル作成装置において,
    統一した表現基準で表されかつ視点の異なる位置からそれぞれ取得された物体形状を表す複数の部分3Dモデルであっていずれも他の1の部分3Dモデルと互いに重なり合う領域を有する前記複数の部分3Dモデルを記憶する記憶手段と,
    前記複数の部分3Dモデルから,2組の部分3Dモデルの部分集合であって,それぞれ予め定められた相対的な配置関係により選択される部分3Dモデルから構成され,一方の部分集合を構成する部分3Dモデルが他方の部分集合を構成する部分3Dモデルと重なり合う前記2組の部分3Dモデルの部分集合を,抽出する抽出手段と,
    抽出した2組の部分集合の部分3Dモデルに対して,予め定められた基準に従って対応点の接合が最適化されるように一方の部分集合を構成するすべての部分3Dモデルを共通して修正する修正手段とを有し,
    前記抽出ステップと前記修正ステップとを,少なくとも,最適化された接合により前記物体の全周囲3Dモデルが構成されるまで,前記抽出手段による部分集合の抽出および前記修正手段による部分3Dモデルの修正を繰り返すことを特徴とする全周囲3Dモデル作成装置。
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