JP2005189016A - 原子力発電プラントにおける圧力制御装置 - Google Patents

原子力発電プラントにおける圧力制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】原子力発電プラントについて、プラント起動試験時に予定していない出力範囲でもハンチングなどを招くようなことのない安定した運転を行えるような圧力制御を可能とする。
【解決手段】原子炉からタービンに蒸気を送る主蒸気配管に設けられているタービン蒸気加減弁の開度をタービン蒸気加減弁開度調整信号S10にて調整することによりタービン入口圧力の制御をなすようにされている圧力制御装置について、タービン蒸気加減弁の開度を検出して得られるタービン蒸気加減弁開度信号S14とタービン蒸気加減弁における蒸気流量を検出して得られる蒸気流量信号S16から、タービン蒸気加減弁における開度と蒸気流量の関係の非線形性を補正するタービン蒸気加減弁用の補正量信号S11を生成させる弁開度線形性補正手段24を設け、補正量信号S11をタービン蒸気加減弁開度調整信号S10に加算できるようにしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、原子力発電プラントにおける原子炉ドーム圧力を、タービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁の開度調整を通じて制御する圧力制御装置に関する。
原子力発電プラントでは、その通常運転中においては原子炉ドーム圧力(これはタービン入口圧力と同等である)に所定の圧力を設定し、この設定圧力を保つにような圧力制御がなされる(例えば特許文献1〜特許文献3)。その圧力制御は、原子炉で発生させた蒸気をタービンに送る主蒸気配管に設置のタービン蒸気加減弁と原子炉からの蒸気をタービンに対してバイパスさせて復水器に直接逃すバイパス配管に設置のタービンバイパス弁それぞれの開度を設定圧力に基づいて圧力制御装置にて調整することでなされる。
具体的には以下のような制御がなされる。圧力制御装置においては、設定圧力と実際のタービン入口圧力との偏差に基づいて原子炉からの全蒸気流量要求を求めて全蒸気流量要求信号を生成させるとともに、タービンに対して設定される速度設定と実際のタービン速度との偏差に基づいて負荷要求(タービンにおける蒸気流量についての要求)を求めて負荷要求信号を生成させる。そしてタービン蒸気加減弁については、全蒸気流量要求信号と負荷要求信号を低値優先回路で比較して何れか小さい方の信号をタービン蒸気加減弁開度指令信号として出力し、このタービン蒸気加減弁開度指令信号に基づいてタービン蒸気加減弁の開度を調整する。したがって、全蒸気流量要求が負荷要求よりも小さい状態においては、タービン入口圧力の変化に応じた全蒸気流量要求信号の変化によりタービン蒸気加減弁開度が調整され、これによりタービン入口圧力が設定圧力になる方向に制御される。例えば、タービン入口圧力が設定圧力より上昇する方向に変動したとすると、圧力上昇を抑えようと全蒸気流量要求が増加し、これによりタービン蒸気加減弁の開度が大きくする方向に調整される。そしてこの結果、原子炉からの蒸気流量が一時的に増大してタービン入口圧力つまり原子炉ドーム圧力が下げられる。
一方、タービンバイパス弁については、全蒸気流量要求信号とタービン蒸気加減弁開度指令信号との偏差からタービンバイパス弁開度指令信号を求め、このタービンバイパス弁開度指令信号に基づいてタービンバイパス弁の開度を調整する。したがってタービンバイパス弁は、全蒸気流量要求よりも負荷要求が小さくなった条件において開かれ、全蒸気流量要求と負荷要求に相関して開度が調整される。すなわちタービンバイパス弁は、原子炉ドーム圧力を設定圧力に保つために原子炉から流出させる必要のある全蒸気流量に対してタービンで消費する蒸気流量が下回っている場合に、その分を復水器に直接逃すべく開度が調整される。
以上のようにして圧力制御に機能するタービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁にはそれぞれ固有の流量特性がある。タービン蒸気加減弁を例にとると、その蒸気流量特性、すなわち全蒸気流量要求信号変化(弁開度調整値)に対する蒸気流量変化の割合には、弁の構造上から、低開度では基本的には線形であるが、高開度になるほど要求信号の変化に対する蒸気流量の変化幅が小さくなり(傾きが小さくなり)、非線形になるという特徴がある。その例を図5に示す。図5におけるグラフの縦軸は主蒸気流量のパーセント表示であり、横軸は全蒸気流量要求信号のパーセント表示である。
圧力制御の観点からはタービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁の流量特性が線形であることが望ましい。そこで、タービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁の非線形性を補償する関数発生器を圧力制御装置に設け、通常運転の範囲では各弁の流量特性が線形となるよう調整している。関数発生器に設定する関数は原子力発電プラントの起動試験の際に作成される。すなわち起動試験に際してプラントの出力を通常時運転で予定される最大出力まで段階を踏みながら上昇させ、その間に出力段階ごとに圧力制御を行ってデータを取得し、このデータに基づいて非線形性補償の関数を作成する。
特開平7−318689号公報 特開平10−300888号公報 特開平11−84078号公報
上述のように圧力制御装置では、タービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁における流量特性の非線形性を補償するのに、原子力発電プラントの起動試験の際に作成した補償関数を用いている。このため起動試験時に経験しない通常運転範囲外の領域に対しては補償関数が有効でなく、そのような領域ではタービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁の流量特性が非線形となる場合が多い。そのようになった場合の挙動について以下に例を挙げ説明する。蒸気流量特性の傾きが小さい領域(非線形領域;図5中の領域A)で運転している場合に、タービン入口圧力に変化を生じると、その圧力変化で与えられる全蒸気流量要求信号の変化分によるタービン蒸気加減弁の開度調整では圧力変化を抑えることができない。このためさらに全蒸気流量要求信号が変化する。その結果、逆に行き過ぎを生じ、今度は逆方向に制御信号が変化し、結果として増減を繰り返す不安定な制御となり、図5の左側に示すように、ハンチングを発生させることになる。またタービン蒸気加減弁の動作に対して、圧力制御装置では演算遅れがある。そしてこの演算遅れも、タービン蒸気加減弁の流量特性が悪い場合に、プラントの不安定さを助長し、ハンチングを増大させることになる。以上のことはタービンバイパス弁においても、それが圧力制御に作用している場合には同様である。
ところで、昨今の原子力発電プラントにおいては、定格電気出力から定格熱出力へと運用方式が変わってきている。定格熱出力運用においては定格電気出力の場合よりも原子炉の熱出力が高くなり、したがってタービン蒸気加減弁の開度も大きくなる。そして定格熱出力運用における出力レベルは、プラント起動試験時に予定した範囲を超えているのが通常である。すなわち定格熱出力運用においては、既存の原子力発電プラントにおける圧力制御装置でタービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁の流量特性線形化のために設定されている補償関数が有効でなくなる出力状態が生じることになる。そしてこのような状態にあっては上記のようなハンチングを招く可能性が高くなり、そうなるとプラントの運転を停止させることにもつながりかねない。
本発明は、以上のような原子力発電プラントにおける事情を背景になされたものであり、プラント起動試験時に予定していない出力範囲でもハンチングなどを招くようなことのない安定した運転を行えるようにする圧力制御を可能とする圧力制御装置の提供を目的としている。
上記目的のために本発明では、原子炉からタービンに蒸気を送る主蒸気配管に設けられているタービン蒸気加減弁の開度をタービン蒸気加減弁開度調整信号にて調整することによりタービン入口圧力の制御をなすようにされている圧力制御装置において、前記タービン蒸気加減弁の開度を検出して得られるタービン蒸気加減弁開度信号と前記タービン蒸気加減弁における蒸気流量を検出して得られる蒸気流量信号とから、前記タービン蒸気加減弁における開度と蒸気流量の関係の非線形性を補正するタービン蒸気加減弁用の補正量を生成させる弁開度線形性補正手段を備え、前記タービン蒸気加減弁用の補正量を前記タービン蒸気加減弁開度調整信号に加算できるようにされていることを特徴としている。
また本発明では上記のような圧力制御装置について、前記タービン蒸気加減弁に加えて、前記原子炉からの蒸気を前記タービンに対してバイパスさせて復水器に逃すためのバイパス配管に設けられているタービンバイパス弁の開度についても、タービンバイパス弁開度調整信号にて調整するようにし、そして前記弁開度線形性補正手段は、前記タービンバイパス弁の開度を検出して得られるタービンバイパス弁開度信号と前記タービンバイパス弁における蒸気流量を検出して得られる蒸気流量信号とから、前記タービンバイパス弁における開度と蒸気流量の関係の非線形性を補正するタービンバイパス弁用の補正量を生成させ、このタービンバイパス弁用の補正量を前記タービンバイパス弁開度調整信号に加算できるようにしている。
また本発明では上記のような圧力制御装置について、前記弁開度線形性補正手段に、前記タービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁が線形性を逸脱している状態にあるか否かを判定させ、逸脱している場合には警報を発することができるようにしている。
また本発明では上記のような圧力制御装置について、前記タービン蒸気加減弁開度信号と前記タービンバイパス弁開度信号を、一次遅れのフィルタとタイマを通すようにしている。
また本発明では上記のような圧力制御装置について、前記タービン蒸気加減弁用の補正量やタービンバイパス弁用の補正量を前記タービン蒸気加減弁開度調整信号や前記タービンバイパス弁開度調整信号へ加算することの要否を選択できるようにしている。
本発明では圧力制御装置に弁開度線形性補正手段を設け、この弁開度線形性補正手段にてタービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁それぞれの流量特性における非線形性を補正できるようにしている。このため本発明によれば、固定的に設定されている補償関数では線形性を担保できない領域についても線形性を保たせることが可能となり、プラント起動試験時に予定していない出力範囲でもハンチングなどを招くようなことがない安定した運転を行えるようになる。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1には本発明の一実施形態による圧力制御装置を適用した原子力発電プラントの系統図を示す。原子力発電プラントにおいては、原子炉再循環流量制御装置11による制御の下で供給される冷却水(給水)が原子炉1の炉心2で加熱されて蒸気となる。原子炉1で発生した蒸気は、主蒸気配管3を通ってタービン6に流入し、タービン6の回転駆動を通じて発電機7を回転駆動させることで消費される。主蒸気配管3にはタービン蒸気加減弁4が設けられており、このタービン蒸気加減弁4の開度を圧力制御装置(EHC)5にて調整することで、タービン6への流入蒸気流量が調整される。また主蒸気配管3には、原子炉1からの蒸気をタービン6に対しバイパスさせて復水器10に流入させるバイパス配管8が原子炉タービン蒸気加減弁4の上流で接続されている。バイパス配管8にはタービンバイパス弁9が設けられており、このタービンバイパス弁9の開度を圧力制御装置5にて調整することで、バイパス配管8を通って復水器10に流入するバイパス蒸気の流量が調整される。
図2に圧力制御装置5の構成例を示す。圧力制御装置5は、原子炉ドーム圧力(タービン入口圧力)の制御に機能する圧力調整器21と、タービン速度の制御に機能するタービン速度/負荷制御器22を有している。圧力調整器21は、タービンの入口圧力を検出して得られるタービン入口圧力信号S1とタービン入口圧力について設定される圧力値に応じて与えられる圧力設定信号S2との偏差に一定値の圧力調定率K1を乗じて全蒸気流量要求信号S3を演算する比例制御となっており(S3=K1(S1−S2))、例えばタービン入口圧力が上昇して設定圧力とタービン入口圧力との偏差が大きくなると全蒸気流量要求信号S3が大きくなる。
タービン速度/負荷制御器22は、タービン6に対する設定速度に応じて与えられる速度設定信号S5とタービン6の速度を検出して得られるタービン速度信号S6との偏差に一定値の速度調定率K2を乗じたものと、タービン6に設定される負荷値に応じて与えられる負荷設定信号S4との加算値を求め、さらに圧力制御を優先するためにバイアス値10%をこの偏差に加算して負荷要求信号S7を演算しており(S7=S4+バイアス値10%×0.1+K2(S5−S6))、例えばタービン速度信号S6が増大して偏差が大きくなると負荷要求信号S7が小さくなる。
このような圧力制御装置5によるタービン蒸気加減弁4の開度調整つまりタービン入口圧力の制御は以下のようにしてなされる。全蒸気流量要求信号S3と負荷要求信号S7が低値優先回路(LVG)23で比較され、何れか小さい方がタービン蒸気加減弁開度指令信号S8として出力される。タービン蒸気加減弁開度指令信号S8は、タービン蒸気加減弁用の関数発生器(FG1)25にて上述のような補償関数で線形化補償されることにより、タービン蒸気加減弁開度調整信号S10として出力される。このタービン蒸気加減弁開度調整信号S10はそのままタービン蒸気加減弁4に出力されてタービン蒸気加減弁4の開度を調整する場合と弁開度線形性補正手段24からのタービン蒸気加減弁用の補正量信号S11を加算された補正タービン蒸気加減弁開度調整信号S10cとして出力されてタービン蒸気加減弁4の開度を調整する場合がある。補正量信号S11の加算の要否は手動式の補正量加算スイッチ27を切り替えることで選択される。なお、沸騰水型原子力発電所では、タービン速度が大きく上昇しない限り、通常運転中は圧力制御を優先してタービン蒸気加減弁の制御をなすようにされている。
一方、圧力制御装置5によるタービンバイパス弁9の開度調整は以下のようにしてなされる。全蒸気流量要求信号S3とタービン蒸気加減弁開度指令信号S8との偏差からバイアス分を減算してタービンバイパス弁開度指令信号S9を生成させる。このタービンバイパス弁開度指令信号S9は、タービンバイパス弁用の関数発生器(FG2)26にて補償関数で線形化補償されることにより、タービンバイパス弁開度調整信号S12として出力される。このタービンバイパス弁開度調整信号S12はそのままタービンバイパス弁9に出力されてタービンバイパス弁9の開度を調整する場合と弁開度線形性補正手段24からのタービンバイパス弁用の補正量信号S13を加算された補正タービンバイパス弁開度調整信号S12cとして出力されてタービンバイパス弁9の開度を調整する場合がある。補正量信号S13の加算の要否は手動式の補正量加算スイッチ28を切替えることで選択される。タービンバイパス弁9は、以上のように制御されることから、負荷要求信号S7が全蒸気流量要求信号S3よりも小さくなった場合で、さらに全蒸気流量要求信号S3と負荷要求信号S7の偏差がバイアス以上の値になった場合、つまりタービンバイパス弁開度指令信号S9が正の値となる場合に開くことになる。
次に、弁開度線形性補正手段24について説明する。弁開度線形性補正手段24は、タービン蒸気加減弁補正部とタービンバイパス弁補正部を有している。図3にタービン蒸気加減弁補正部の構成例を示す。このタービン蒸気加減弁補正部30は、線形性補正回路31と線形性逸脱判定回路32を有している。線形性補正回路31は、タービン蒸気加減弁4の開度を検出して得られるタービン蒸気加減弁開度信号S14(またはタービン蒸気加減弁開度調整信号S10)とタービン蒸気加減弁4における蒸気流量を検出して得られる主蒸気流量信号S16から、タービン蒸気加減弁の開度に対するタービン蒸気加減弁における蒸気流量の関係である流量特性を取得し、その流量特性の非線形性を補正する補正量信号S11を生成させる。具体的には、タービン蒸気加減弁開度信号S14と主蒸気流量信号S16で求められる曲線から逆関数を算出し、この逆関数の関数発生器25における設定値(補償関数)に対するずれを求め、このずれから補正量信号S11を生成させる。
一方、線形性逸脱判定回路32は、タービン蒸気加減弁開度信号S14(またはタービン蒸気加減弁開度調整信号S10)と主蒸気流量信号S16から取得したタービン蒸気加減弁の流量特性が関数発生器25による補償を受けた状態で線形性を逸脱しているか否かを判定し、逸脱している場合には警報を発する。具体的には、タービン蒸気加減弁開度信号S14(またはタービン蒸気加減弁開度調整信号S10)と主蒸気流量信号S16から両者の関係における傾きを求め、その求めた傾きが予め設定してある傾きから逸脱している場合には線形性逸脱として警報を発する。
補正量信号S11をタービン蒸気加減弁開度調整信号S10に加算するか否かは、上述のように、手動式の補正量加算スイッチ27を切り替えることで選択される。そして補正量信号S11の加算は、線形性逸脱判定回路32による警報が発生された場合に、プラント運転員が線形性補正の要否を判断した上で必要とした場合に選択するのが通常である。このように線形性の補正を選択的になせるようにすることで、より実情に適した制御を行えるようになる。
ここで、タービン蒸気加減弁開度信号S14、主蒸気流量信号S16、タービン蒸気加減弁開度調整信号S10は、それぞれを一次遅れのフィルタ33とタイマ34を通して線形性補正回路31や線形性逸脱判定回路32に入力させるようにしている。これは、主蒸気流量信号S16やタービン蒸気加減弁開度信号S14に、通常の微少変動等に起因する微小な揺らぎを生じていることから、この揺らぎを除去するためであり、このようにすることにより、線形性補正をより高い精度で行えるようになる。
図4にタービンバイパス弁補正部の構成例を示す。このタービンバイパス弁補正部40は、線形性補正回路41と線形性逸脱判定回路42を有している。これら線形性補正回路41と線形性逸脱判定回路42の機能は、対象がタービンバイパス弁であり、そのためにタービンバイパス弁9の開度を検出して得られるタービンバイパス弁開度信号S15と圧力制御装置5で得られるタービンバイパス弁開度調整信号S12およびタービンバイパス弁9の蒸気流量を検出して得られるバイパス蒸気流量信号S17を用いている点を除いて、タービン蒸気加減弁補正部30における線形性補正回路31や線形性逸脱判定回路32におけるそれと同様である。すなわち線形性補正回路41は、タービンバイパス弁開度信号S15(またはタービンバイパス弁開度調整信号S12)とバイパス蒸気流量信号S17からタービンバイパス弁の流量特性を取得し、その流量特性の非線形性を補正する補正量信号S13を生成させ、線形性逸脱判定回路42は、タービンバイパス弁の流量特性が関数発生器26による補償を受けた状態で線形性を逸脱しているか否かを判定し、逸脱している場合には警報を発する。そして補正量信号S13のタービンバイパス弁開度調整信号S12への加算は、タービン蒸気加減弁の場合と同様に、線形性逸脱判定回路42による警報発生時にその要否を判断した上で必要とした場合に選択される。またフィルタ43とタイマ44を設けていることもタービン蒸気加減弁補正部30におけるのと同様の目的からである。
以上のように、圧力制御装置に弁開度線形性補正手段を設け、この弁開度線形性補正手段にてタービン蒸気加減弁とタービンバイパス弁それぞれの流量特性における非線形性を補正できるようにしたことにより、固定的に設定されている補償関数では線形性を担保できない領域についても線形性を保たせることが可能となり、プラント起動試験時に予定していない出力範囲でもハンチングなどを招くようなことのない安定した運転を行えるようになる。
本発明は、原子力発電プラントについて、そのプラント起動試験時に予定していない出力範囲でもハンチングなどを招くようなことがない安定した運転を可能とする圧力制御を行えるようにする。したがって本発明は、原子力発電プラントの安全性をさらに一層高める技術として有効に利用することができる。
一実施形態による圧力制御装置を適用した原子力発電プラントの系統図である。 一実施形態による圧力制御装置の構成例を示す図である。 圧力制御装置の弁開度線形性補正手段におけるタービン蒸気加減弁補正部の構成例を示す図である。 圧力制御装置の弁開度線形性補正手段におけるタービンバイパス弁補正部の構成例を示す図である。 タービン蒸気加減弁における流量特性などの例を示す図である。
符号の説明
1 原子炉
2 炉心
3 主蒸気配管
4 タービン蒸気加減弁
5 圧力制御装置
8 バイパス配管
10 復水器
24 弁開度線形性補正手段
31 タービン蒸気加減弁用の線形補正回路
32 タービン蒸気加減弁用の線形逸脱判定回路
33、43 フィルタ
34、44 タイマ
41 タービンバイパス弁用の線形補正回路
42 タービンバイパス弁用の線形逸脱判定回路
S10 タービン蒸気加減弁開度調整信号
S11 タービン蒸気加減弁用の補正量信号
S12 タービンバイパス弁開度調整信号
S13 タービンバイパス弁用の補正量信号
S14 タービン蒸気加減弁開度信号
S15 タービンバイパス弁開度信号

Claims (5)

  1. 原子炉からタービンに蒸気を送る主蒸気配管に設けられているタービン蒸気加減弁の開度をタービン蒸気加減弁開度調整信号にて調整することによりタービン入口圧力の制御をなすようにされている圧力制御装置において、
    前記タービン蒸気加減弁の開度を検出して得られるタービン蒸気加減弁開度信号と前記タービン蒸気加減弁における蒸気流量を検出して得られる蒸気流量信号とから、前記タービン蒸気加減弁における開度と蒸気流量の関係の非線形性を補正するタービン蒸気加減弁用の補正量を生成させる弁開度線形性補正手段を備え、前記タービン蒸気加減弁用の補正量を前記タービン蒸気加減弁開度調整信号に加算できるようにされていることを特徴とする圧力制御装置。
  2. 前記タービン蒸気加減弁に加えて、前記原子炉からの蒸気を前記タービンに対してバイパスさせて復水器に逃すためのバイパス配管に設けられているタービンバイパス弁の開度についても、タービンバイパス弁開度調整信号にて調整するようにされており、そして前記弁開度線形性補正手段は、前記タービンバイパス弁の開度を検出して得られるタービンバイパス弁開度信号と前記タービンバイパス弁における蒸気流量を検出して得られる蒸気流量信号とから、前記タービンバイパス弁における開度と蒸気流量の関係の非線形性を補正するタービンバイパス弁用の補正量を生成させ、このタービンバイパス弁用の補正量を前記タービンバイパス弁開度調整信号に加算できるようにされている請求項1に記載の圧力制御装置。
  3. 前記弁開度線形性補正手段は、前記タービン蒸気加減弁やタービンバイパス弁が線形性を逸脱している状態にあるか否かを判定し、逸脱している場合には警報を発することができるようにされている請求項1または請求項2に記載の圧力制御装置。
  4. 前記タービン蒸気加減弁開度信号と前記タービンバイパス弁開度信号を、一次遅れのフィルタとタイマを通すようにされている請求項2または請求項3に記載の圧力制御装置。
  5. 前記タービン蒸気加減弁用の補正量やタービンバイパス弁用の補正量を前記タービン蒸気加減弁開度調整信号や前記タービンバイパス弁開度調整信号へ加算することの要否を選択できるようにされている請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の圧力制御装置。
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