JP2005188272A - 制振装置及び建築構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より広い周波数帯域で確実な振動減衰効果を発揮できる制振装置と、この制振装置を備えた建築構造物を得る。
【解決手段】 制振装置22は、2つのマスユニット18を有している。2つのマスユニット18には、磁気ダンパ52が掛け渡されており、金属板56と磁石部材54とが矢印X方向又は矢印Y方向に相対移動すると、相対移動のエネルギーが渦電流に伴って熱として散逸されると共に、相対移動を妨げる方向の力が作用する。2つのマスyニット18は、固有振動数のわずかに異なるように設定されており、エネルギー吸収可能な振動数の範囲(帯域)が、従来のものと比較して広くなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、制振装置及び建築構造物に関する。
従来から制振装置の一例として、建物(建築構造物)の天井裏などに取り付けられ、水平方向の振動を減衰させるもの(いわゆるTMD:Tuned Mass Dumper)がある。
このTMDを適用する場合、建物の固有振動数をあらかじめ推定し、これに合わせてTMDの固有振動数を一致させたり、固有振動数の最も近いものを選定したりしておく等のチューニングを行っておく必要がある。
ところが、チューニング精度を向上させても、建物の固有振動数には推定誤差が残るので、TMDの固有振動数が建物の固有振動数から外れてしまうことがある。特に大きく外れた場合には、振動減衰効果が低下してしまう事態も生じる。
これに対し、非特許文献1には、「動吸振器は最適設計されたとき優れた吸振性能を発揮するが、固有振動数や減衰の変動に敏感に反応し、設計時の条件が崩れると吸振性能が大きく減退する欠点を持つ。二重動吸振器によって、この欠点を改善することができる。」と記載されている。すなわち、TMDを2つ(あるいはそれ以上)配置することで、広い周波数帯域で制振効果を発揮できるようになり、上記した不具合を解消することができる。
しかし、TMDを単に複数配置した構成では減衰可能な周波数帯域には限界があり、より広い周波数帯域での確実な減衰効果が求められる。
機械設計便覧編集委員会 編、「機械設計便覧 第3版」、丸善株式会社、平成4年3月10日発行、p.510
本発明は上記事実を考慮し、より広い周波数帯域で確実な振動減衰効果を発揮できる制振装置と、この制振装置を備えた建築構造物を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、建築構造物に取り付けられる支持部材と、前記支持部材によって建築構造物の振動で移動可能に支持されるマス部材と、を含んで構成され、それぞれの固有振動数が異なるように設定された複数のマスユニットと、 前記マスユニット間に配置されマスユニットどうしの相対変位によるエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材と、を有することを特徴とする。
なお、ここでいう「建築構造物」としては、地盤に直接的に、あるいは他の部材を介して間接的に立設されている構造物であればよく、戸建住宅、オフィスビル、病院、集合住宅、美術館、公会堂、学校、庁舎、神社仏閣、橋梁、競技場、照明灯等を挙げることができる。
請求項1の制振装置では、建築構造物が振動すると、複数のマスユニットのマス部材は慣性によってその場に留まろうとする。
複数のマスユニットは、それぞれの固有振動数が異なるように設定されている。したがって、特定の振動数で振動する建築構造物に対し、マスユニットどうしが、互いに相対変位する。そして、この相対変位のエネルギーが、マスユニット間に配置されたエネルギー吸収部材によって吸収される。
このように、マスユニットの固有振動数をあらかじめ異なるように設定し、さらにマスユニットの相対変位のエネルギーを吸収するように構成することで、従来よりも広い周波数帯域で振動減衰効果を発揮できる。マスユニットの固有振動数は、たとえば1つのマスユニットでは、建築構造物の固有振動数よりもわずかに大きく、他のマスユニットではわずかに小さくなるようにすれば、建物の固有振動数が大きい方にずれても、あるいは小さいほうずれても、これに対応して振動を減衰できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記エネルギー吸収部材が、2つのマス部材のうちの一方のマス部材に配置されて磁力線を生じさせる磁石部材と、マス部材の他方に配置されると共に一部が前記磁力線と交差するように配置された金属板と、を備えた磁気ダンパであることを特徴とする。
すなわち、請求項1のエネルギー吸収部材としては、たとえば粘弾性ダンパ(粘性流体や弾性体を使用したもの)であってもよいが、請求項2に記載のように、磁気ダンパをしようすることが好ましい。この磁気ダンパでは、マスユニット(マス部材)が相対変位すると、金属板の一部(磁力線と交差している部分)に渦電流が生じ、相対変位のエネルギーが熱として散逸されると共に、相対変位と反対の方向に力が作用する。したがって、マスユニットの相対変位の方向性がなくなり、いずれの方向の相対変位でもエネルギー吸収できる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記磁石部材及び前記金属板のそれぞれが、マス部材を平面視したときの重心に取り付けられていることを特徴とする。
これにより、マス部材のねじり振動が防止されると共に、安定性を維持することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記磁石部材が、N極又はS極として作用する磁石本体部と、前記磁石本体部を相対的に一定の位置で保持する磁石保持部と、を含んで構成されていることを特徴とする。
磁石本体部が、磁石保持部によって相対的に一定の位置で保持されるので、磁石本体部の間の磁界を安定して維持できる。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記マス部材の少なくとも一部が、前記磁石保持部を兼ねていることを特徴とする。
これにより、実質的にマス部材に直接的に磁石本体部が取り付けられることになるので、磁石本体部を大きくしても、マスユニットはその影響を受けない。磁石本体部を大きくできるので、磁束密度の小さい磁石等であっても磁石本端部として使用できる。また、磁力線と交差する金属板としても、面積や厚みを大きくすることが可能であり、比抵抗の小さな金属を使用する等、使用可能な材料が多くなる。さらに、マスユニット自体の高さを低くすることが出来るので、より狭いスペースへの設置も可能となる。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記マスユニットの少なくともも1つが、固有振動数を調整可能なバネ体を備えていることを特徴とする。
したがって、バネ体の物性(ばね定数や長さなど)を変えることで、容易にマスユニットの固有振動数を調整することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記マスユニットが2つとされていることを特徴とする。
すなわち、本発明においてマスユニットの数は複数であれば特に限定されないが、2つであっても広い周波数帯域で確実な振動減衰効果を発揮することができ、3つ以上とする必要はない場合が多い。マスユニットを2つとすることで、構成を簡易にできる。
請求項8に記載の発明では、地盤に固定され、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の制振装置を有することを特徴とする。
この建築構造物では、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の制振装置を有しているので、従来よりも広い周波数帯域で振動が減衰される。
本発明は上記構成としたので、より広い周波数帯域で確実な振動減衰効果を発揮できる。
図1には、本発明の第1実施形態の制振装置22が示されている。また、図2には、この制振装置22が、建築構造物の一例である戸建住宅12に適用された状態が示されている。建物本体14の天井16は天井梁16Hとその下側の天井パネル16Pとで構成されており、本発明に係る被取付部材となっている。
制振装置22は、2つのマスユニット18を備えている。制振装置22は、2つのマスユニット18に共通で、建物本体14の天井梁16Hに固定されるベースプレート24を有している。ベースプレート24の上方には、マスユニット18のそれぞれに対応して、ベースプレート24と平行に中間プレート26が配置され、さらに中間プレート26に上面にトッププレート28が重ねられて固定されている。ベースプレート24と中間プレート26との間には、積層ゴム体30が配置されている。積層ゴム体30は、上端が中間プレート26に、下端がベースプレート24にそれぞれ固定されている。トッププレート28とベースプレート24とが水平方向に相対移動すると積層ゴム体30がせん断変形し、この相対移動のエネルギーを吸収する。なお、積層ゴム体30の数は、ベースプレート24、中間プレート26、後述するウエイト38及び磁気ダンパ52を確実に支持できれば限定されないが、安定的に支持するためには3つ以上とすることが好ましい。
トッププレート28の上面には、ウエイト38が配置され、中間プレート26、トッププレート28及びウエイト38が図示しないボルト等で一体的に固定されている。ウエイト38は所定の質量を有しており、建物本体14が水平方向に振動しようとしたとき、その質量(慣性)によって、一定の場所に留まろうとする。
中間プレート26とベースプレート24との間には、コイルスプリング42(図2参照)が配置されている。コイルスプリング42の一端は中間プレート26に、他端はベースプレート24に固定されており、積層ゴム体30、ウエイト38、トッププレート28、中間プレート26とコイルスプリング42とを含む振動系50が構成されている。振動系50は、特定の固有振動数を有しているが、この固有振動数は、コイルスプリング42の弾性(バネ定数や、コイルスプリングの巻き数など)を変更することで、調整されるようになっている。固有振動数を建物本体14の想定される振動数と同調させたり、所定の値に調整したりすることで、建物本体14の振動を抑制できる。
2つのマスユニット18には、磁気ダンパ52が掛け渡されている。磁気ダンパ52は、一方のマスユニット18のウエイト38に固定される磁石部材54と、他方のマスユニット18のウエイト38に固定される金属板56を含んで構成されている。
磁石部材54は、磁石のN極54NとS極54Sとが上下に位置するように配置されており、この間の空間MFに、鉛直方向(マスユニット18が振動する平面の法線方向)の磁力線が発生している。また、磁石部材54の中間部分54M(N極54NとS極54Sをつなぐ部分)は、他方のマスユニット18から遠い側に位置しており、空間MFは、マスユニット18側及びその右側、左側には開放されている。なお、N極54NとS極54Sとが本発明における磁石本体部を構成し、中間部分54Mが、本発明のいける磁石保持部を構成している。
金属板56は、金属によって長尺状に形成されており、一端56Aが、取付プレート58を介して他方のマスユニット18のウエイト38に固定されている。金属板56の他端56Bは、磁石部材54の空間MF内で、磁石部材54のN極54N、S極54S及び中間部分54Mに接触しないように位置している。したがって、金属板56の他端56B側は、空間MF内の磁力線と交差している。そして、金属板56の他端56Bは空間MF内において、中間部分54Mに接離する方向(矢印X方向)及びこれと直交する左右方向(矢印Y方向)に移動可能であるが、移動によって金属板56内に渦電流が生じる。すなわち、金属板56と磁石部材54とが矢印X方向又は矢印Y方向に相対移動すると、相対移動のエネルギーが渦電流に伴って熱として散逸されると共に、相対移動を妨げる方向の力が作用する。このように、本発明では、複数のマスユニット18が、磁気ダンパ52によって減衰連結されていることになる。
なお、磁石部材54及び金属板56の取付位置は、これらの相対移動が許容される位置であれば限定されないが、それぞれのマスユニット18を平面視したときの重心あるいは重心近傍とすれば、マスユニット18の不用意なねじり振動が防止できる。
このような構成とされた本実施形態の制振装置22では、建物本体14の固有振動に対応させて、2つの振動系50のそれぞれの固有振動数が設定されるが、建物本体14の固有振動数に対し一方の振動系50の固有振動数はわずかに大きくなり、他方の振動系50の固有振動数はわずかに小さくなるように設定されている。なお、振動系50の固有振動数の設定は、上記したように、コイルスプリング42の弾性を調整することによって行うことも可能であり、ウエイト38の重量や積層ゴム体30の物性を調整することによって行うことも可能である。
制振装置22が天井梁16Hに設置された建物本体14に、いわゆる交通振動や風による振動が作用すると、建物本体14自体も水平方向に振動しようとするが、それぞれのマスユニット18のウエイト38は所定の質量を有しており、その場に留まろうとするため、建物本体14に固定されたベースプレート24と、ウエイト38、トッププレート28及び中間プレート26とが建物本体14に対して水平方向に相対移動する。ここで、振動系50のそれぞれの固有振動数がわずかに異なっているので、振動系50どうしも相対的に振動する。この相対的な振動(相対移動)により、金属板56の他端56B側が、空間MF内で磁力線を横切る方向(矢印X方向、矢印Y方向又はこれらを合成した方向)に移動するため、金属板56内に渦電流が発生する。これにより、金属板56と磁石部材54との相対移動、すなわち、マスユニット18どうしの相対移動のエネルギーが熱として散逸され(エネルギー吸収され)、さらにこの相対移動を妨げる方向の力が作用する。
一般に、従来の制振装置では、振動系の固有振動数を、建物自体の固有振動数と一致させる(あるいはなるべく近似させる)ようにしているが、実際には、建物の固有振動数には推定誤差が残るので、制振装置の振動系の固有振動数が建物の固有振動数から外れてしまうことがあり、特に大きく外れた場合には、振動減衰効果が低下してしまう。
これに対し本実施形態では、建物本体14の固有振動数に対し一方の振動系50の固有振動数をわずかに大きくし、他方の振動系50の固有振動数をわずかに小さくしている。これにより、エネルギー吸収可能な振動数の範囲(帯域)が、従来のものと比較して広くなり、上記の推定誤差や、振動系50のチューニングの誤差などがあっても、確実にエネルギー吸収可能となる。
表1及び図3には、想定した建物本体の固有振動数に対する実際の誤差と、振動低減率との関係が、本実施形態の制振装置22(表及びグラフ中では「2マス連結」と表示)と、従来の1つのみマスユニットを有するもの(表及びグラフ中では「1マス」と表示)及び3つのマスを連結することなく配置したもの(表及びグラフ中では「3マス」表示)とで示されている。
Figure 2005188272
ここでいう「建物周波数のずれ」とは、
建物周波数のずれ={(実測された建物固有周波数−設計上予測される建物固有周波数)/設計上予測される建物固有周波数}
であり、建物固有周波数の設計値に対する実測値の誤差を表す。
また、「振動低減率」とは、制振装置を設置しない場合の建物応答倍率に対する、制振装置を設置した場合の建物応答倍率の差をデシベルとして表したものであり、具体的には、
振動低減率(dB)=20×log(制振装置を設置しない場合の建物応答倍率/制振装置を設置した場合の建物応答倍率)
となる。この定義から明らかなように、振動低減率の数値が大きいほど、振動を低減させる効果は大きくなる。たとえば、振動低減率が20dBでは1/10、6dBでは1/2となる。
ここで、一般的には、振動低減率が3dB以上であることが好ましいため、図3のグラフにおいて、この条件を満たす誤差範囲を見ると、1マスの場合や3マスの場合と比較して、本実施形態(2マス連結)は最も広い誤差範囲で振動低減率3dB以上を達成できている。振動低減率が4dB以上、5dBとなっている誤差範囲も同様に1マスや3マスの場合よりも本実施形態は最も広い誤差範囲に対応している。
図4には、想定した建物本体の固有振動数に対する実際の誤差と、振動低減率との関係が、2つのマスユニットを連結しない制振装置での臨界減衰比ごとに示されている。「臨界減衰比」とは、「線形粘性減衰を持つ系の実際の減衰係数の臨界減衰係数 に対する比」をいい、「臨界減衰」とは、「減衰抵抗の作用する系の、ある振動モードに対する自由振動において過渡運動が振動的となるか非振動的となるかの境界の粘性減衰の大きさ」をいう。図4のグラフでは、2つのマスユニットを連結しない制振装置として、この臨界減衰比が0.02、0.07、0.15、0.3、0.6の5種類を採りあげている。さらに、図5では、このうち臨界減衰比が0.07のものと本実施形態のみを取り上げて、推定誤差が±15%の範囲での臨海減衰比が明確になるように示している。
図4のグラフからわかるように、臨界減衰比が0.07のものを除き、2マスを連結しないいずれの制振装置においても、たとえば振動低減率4dBでの誤差範囲が狭くなってしまっている。臨界減衰比が0.07のものは、図5のグラフからもわかるように、誤差が1の近傍において、振動低減率が低下してしまっている。以上から、単に2つのマスユニットを配置したのみでは、広帯域での十分な振動低減効果を得ることができないといえる。これに対し、本実施形態では、振動低減率が4dB以上、5dBとなっている誤差範囲が広くなっている。たとえば、推定誤差が±15%の範囲であっても、概ね3dB以上の振動低減率が得られている。さらに、誤差が1の近傍では、いずれの臨界減衰比のものと比較しても、振動低減率が高くなっており、2つのマスユニット18を減衰連結した効果が顕著に表れている。
図6及び図7には、本発明の第2実施形態の制振装置122が示されている。以下、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施形態のウエイト138は、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lとに分割されている。一方のマスユニット118では、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lとが、他方のマスユニット118から遠い側に位置する中間部138Mによって連結されており、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lとの間が、他方のマスユニット118側及びその右側、左側に開放されている。
上ウエイト138Uの下面及び下ウエイト138Lの上面には、永久磁石154が取り付けられている。2つの永久磁石154は、異なる極が対向する向きとされており、永久磁石154間の空間MFに磁力線が発生している。
これに対し、他方のマスユニット118では、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lの間に、長尺状の金属板156が配置されている。金属板156の一端156Aは、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lとに挟まれて固定されており(図7参照)、他端156Bは、空間MF内で、永久磁石154及び中間部138Mに接触しないように位置している。したがって、第2実施形態でも第1実施形態と同様に、永久磁石154と金属板156とで磁気ダンパ152が構成されている。すなわち、金属板156の他端156Bが空間MF内において、矢印X方向及びこれと直交する矢印Y方向に移動すると、金属板156内に生じた渦電流によってこの相対移動のエネルギーが熱として散逸されると共に、相対移動を妨げる方向の力が作用する。
なお、永久磁石154が設けられたマスユニット118では、上ウエイト138Uと下ウエイト138Lの間で、且つ中間部138Mの反対側の端部近傍に、1又は複数の支持棒158が固定されている。上ウエイト138Uには、自重及び永久磁石154の磁力によって、中間部138Mを中心とした矢印R方向の回転モーメントが作用するが、上ウエイト138Uは下ウエイト138L上で支持棒158で支持されており、不用意に回転したり下ウエイト138Lに接近したりしないようになっている。
なお、図6では、支持棒158を矢印Y方向に均等に3本設け、上ウエイト138Uを確実に支持できるようにしている。この構成では、金属板156に、支持棒158の外径よりも十分大きな内径を有する挿通孔160を形成し、金属板156の移動に支障が出ないようにしている。
また、図6及び図7では図示を省略したが、第2実施形態においても第1実施形態と同様のコイルスプリング42が備えられており、さらに、必要に応じて、中間プレート26及びトッププレート28が備えられて(いずれも図2参照)、振動系150が構成されている。そして、コイルスプリング42の弾性(バネ定数やコイルスプリングの巻き数など)を変更することで、振動系150の固有振動数を調整することができるようになっている。
このような構成とされた第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、建物本体148(図2参照)の固有振動数に対し一方のマスユニット118の振動系150の固有振動数をわずかに大きくし、他方のマスユニット118の振動系150の固有振動数をわずかに小さくしている。これにより、エネルギー吸収可能な振動数の範囲(帯域)が、従来のものと比較して広くなり、上記の推定誤差や、振動系150のチューニングの誤差などがあっても、確実にエネルギー吸収可能となる。
さらに第2実施形態では、一方のマスユニット118において、このマスユニット118自体(上ウエイト138U、下ウエイト138L及び中間部138M)が、2つの永久磁石154を相対的に一定の位置で保持する作用を奏している。換言すれば、本発明におけるマス部材の一部が磁気ダンパ152を構成する磁石保持部を兼ねていることになるので、第1実施形態の磁石部材54(N極54N及びS極54S)と比較して、永久磁石154の大きさ(面積)を広く取ることができる。したがって、永久磁石154として、比較的磁束密度の小さいもの(たとえばフェライトなど)であっても適用可能となる。
また、金属板156としても、その面積や厚みを大きくすることが可能なので、比抵抗の小さな材料(たとえば鋼材など)を使用可能となる。
さらに、磁気ダンパ152自体が本発明におけるマス部材となっているので、マスユニット118の高さを低くすることができ、より狭い設置場所への設置が可能となる。
第2実施形態の上ウエイト138U及び下ウエイト138Lを構成する材料は、所定の質量を有すると共に、形状安定性を有すれば特に限定されないが、透磁率の高い材料を使用すると、永久磁石154で発生する磁力線をより妨げなくなるので、好ましい。この条件を満たす材料としては、たとえば、Fe(SS400)等を挙げることができる。
金属板156としても、金属(導体)であれば特に限定されず、本実施形態では上記したように、選択できる材料が多くなっているが、より比抵抗の大きい材料を用いることが好ましい。たとえば、Al等を挙げることができる。
なお、上記各実施形態では、本発明の制振装置として、2つのマスユニット18、118を磁気ダンパ52、152で連結したものを挙げたが、マスユニット18の数は2つに限定されない。たとえば図8に示すように、3つのマスユニット18を平面視にて三角形状に配置し、これらを磁気ダンパ52で連結してもよい。もちろん、4つ以上のマスユニットを備えた構成でもよい。ただし、マスユニットの数を2つにすると、構造を簡略化でき、低コストで構成できるので好ましい。これらの構成において、マスユニットの総重量が、1つのマスユニットのみを有する従来の制振装置のマスユニットの質量と略等しくなるようにすると、過度の重量増を阻止でき、制振効果も確実に得られるので好ましい。
また、本発明のエネルギー吸収部材としても、上記した磁気ダンパ52、152に限定されないが、磁気ダンパ52を使用すると、エネルギー吸収の方向性や温度依存性がなくなるので好ましい。エネルギー吸収部材としてはこの他に、いわゆる粘弾性ダンパ等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
本実施例では、上記実施形態の制振装置22を使用して、建物周波数のずれ10%での応答倍率を評価した。また、制振装置を設けない建物本体(比較例1)、1マスタイプの制振装置を設け建物本体(比較例2)、3マスタイプの制振装置(マス間にエネルギー吸収部材は配置されていない)を設けた建物本体(比較例3)についても、同様の評価を行った。
各条件は、以下に示すように設定した。
<建物本体>
質量 m=50000 [kg]
ばね定数 k0=20000000 [N/m]
減衰係数 c=50000 [Ns/m]
固有振動数f0 [Hz]
実際の固有振動数 f=f0*e ここでeは誤差 [Hz]
<1マスモデル(比較例2)>
ウエイトの質量 m1=500 [kg]
減衰係数 h1=0.09
固有振動数(最適同調)f1=f0 ただし r1=1+m1/m [Hz]
ばね定数 k1=(2πf121 [N/m]
<3マスモデル(比較例3)>
ウエイトの質量 m31=167;m32=167;m33=167 [kg]
固有振動数 f32=f0/r32 ただし r32=1+m32/m[Hz]
減衰定数 h3=0.05
ばね定数 k32=f32*4*π2*m32*1000/980 [N/m]
31=k32*0.8
33=k32*1.2 [N/m]
<2マス連結モデル(本実施例)>
ウエイトの質量 mc21=300;mc22=300 [kg]
固有振動数 fc2c=f0/rc2c ただし rc2c=1+mc21/m [Hz]
積層ゴムの臨界減衰比 hc2=0.02
積層ゴム剛性比 kc21r=0.74
積層ゴム剛性比 kc22r=1.26
磁気ダンパの減衰 cc2j=800 [Ns/m]
磁気ダンパのばね定数kc2c=fc2c 2*4*π2*mc21*1000/980[N/m]
ばね定数 kc21=kc2c*kc21r [N/m]
ばね定数 kc22=kc2c*kc22r [N/m]
減衰定数 cc21=2*hc2*√(mc21*kc21) [Ns/m]
減衰定数 cc22=2*hc2*√(mc22*kc22) [Ns/m]
以上の条件で解析した結果が図9に示されている。このグラフにおいて、たとえば本実施例の振動低減率は、本実施例での応答倍率のピーク値と比較例1での応答倍率のピーク値との差として定義されている。比較例2、比較例3の振動低減率についても、それぞれの応答倍率のピーク値と比較例1での応答倍率のピーク値との差として定義されている。
このグラフから明らかなように、本実施例では、応答倍率のピーク値が他の各比較例と比較して最も低くなっている。すなわち、建物周波数のずれが10%の状態で、振動減衰効果が高いことが分かる。
本発明の第1実施形態の制振装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態の制振装置が適用された戸建住宅を示す断面図である。 本発明の第1実施形態の制振装置と従来の制振装置とで建物周波数のずれと振動低減率との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の制振装置と従来の制振装置と建物周波数のずれと振動低減率との関係を示すグラフである。 図4のグラフにおいて、特に臨界減衰比が0.07の従来の制振装置と本発明の一実施形態の制振装置とを抜き出して示すグラフである。 本発明の第2実施形態の制振装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態の制振装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の制振装置においてマスユニットを3つ備えた例を示す概略平面図である。 本発明の実施例と各比較例とで応答倍率と周波数との関係を示すグラフである。
符号の説明
12 戸建住宅
14 建物本体
16 天井
16P 天井パネル
16H 天井梁
18 マスユニット
22 制振装置
24 ベースプレート
26 中間プレート
28 トッププレート
30 積層ゴム体
38 ウエイト
42 コイルスプリング
50 振動系
52 磁気ダンパ
54 磁石部材
56 金属板
56B 他端
58 取付プレート
118 マスユニット
122 制振装置
138 ウエイト
150 振動系
152 磁気ダンパ
154 永久磁石
156 金属板
MF 空間

Claims (8)

  1. 建築構造物に取り付けられる支持部材と、前記支持部材によって建築構造物の振動で移動可能に支持されるマス部材と、を含んで構成され、それぞれの固有振動数が異なるように設定された複数のマスユニットと、
    前記マスユニット間に配置されマスユニットどうしの相対変位によるエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材と、
    を有することを特徴とする制振装置。
  2. 前記エネルギー吸収部材が、2つのマス部材のうちの一方のマス部材に配置されて磁力線を生じさせる磁石部材と、マス部材の他方に配置されると共に一部が前記磁力線と交差するように配置された金属板と、を備えた磁気ダンパであることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記磁石部材及び前記金属板のそれぞれが、マス部材を平面視したときの重心に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の制振装置。
  4. 前記磁石部材が、
    N極又はS極として作用する磁石本体部と、
    前記磁石本体部を相対的に一定の位置で保持する磁石保持部と、
    を含んで構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の制振装置。
  5. 前記マス部材の少なくとも一部が、前記磁石保持部を兼ねていることを特徴とする請求項4に記載の制振装置。
  6. 前記マスユニットの少なくともも1つが、固有振動数を調整可能なバネ体を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の制振装置。
  7. 前記マスユニットが2つとされていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の制振装置。
  8. 地盤に固定され、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の制振装置を有することを特徴とする建築構造物。
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