以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
以下、本発明の導電性シートおよびそれからなる電子部品用包装容器の実施の形態を具体的に説明する。
(1.アンカーコート層)
本発明のアンカーコート層は基材フィルムと導電塗膜との接着性を著しく向上させ尚かつ真空成形加工後(延伸後)密着性、導電性が低下しにくい性能が付与出来る。これらの効果はポリエーテルポリオール構成単位が持つ可塑性の特性による良好な接着特性があるため真空成形加工後(延伸後)密着性、導電性が低下しにくく、特定のカーボンブラックを添加することによって隠蔽性および非常に耐摩耗性の効果として働くものである。
アンカーコート剤は硬化剤を含むことが好ましい。
アンカーコート剤はワックスを含むことが好ましい。
アンカーコート剤は粒子を含むことが好ましい。
ポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマー100部に対して、好ましくは硬化剤1〜10部、更に好ましくは2部以上、最も好ましくは3部以上であり、また、さらに好ましくは8部以下、最も好ましくは6部以下である。硬化剤量が1部未満では密着性が低下する傾向にある。また10部を越えると真空成形加工後の導電性が低下する傾向にある。
ポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマー100部に対して最適なワックス量としては好ましくは1〜10部、より好ましくは2部以上、最も好ましくは3部以上であり、また、より好ましくは8部以下、最も好ましくは6部以下である。ワックス量が1部未満では耐摩耗性が低下する傾向にある。また10部を越えると真空成形加工後(延伸後)密着性が低下する傾向にある。
ポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマー100部に対して最適なカーボンブラック量は好ましくは5〜15部、より好ましくは7〜14部、最も好ましくは9〜12部以下で、無機顔料量が5部未満では耐摩耗性、隠蔽性が低下する傾向にある。また15部を越えると真空成形加工後(延伸後)密着性が低下する傾向にある。
ポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマーのTgは50℃以下が好ましく、更に好ましくは40℃以下、最も好ましくは35℃以下で、Tgが50℃を超えると密着性が低下する傾向にある。
本発明で言うポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマーとは、ポリエーテルポリオールの末端OH基が他の反応基と反応することによりポリマー中に組み込まれたものを言う。
ポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマーとしてはエーテル結合の他に好ましくはエステル結合及び/又はウレタン結合を含んでも良く、更に好ましくはエステル結合とウレタン結合を併用することによって接着性が良好になる傾向にある。すなわち、ポリエーテルポリオール構造単位を含むポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、下記式Aの構造であることが好ましい。
R1 R3 R5
| | |
HO−(C − C −(C)m−O)n−H 式A
| | |
R2 R4 R6
(式A中、R1、R2,R3、R4、R5、R6は同一であっても相異なっていてもよく水素、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキルを示し、mは0以上2以下の整数、nは正数で2以上を示す。また、繰り返しm中R5、R6は異なったものでも良く、繰り返しn中、R1、R2,R3、R4、R5、R6、mは異なったものでも良い。)
式AにあるR1、R2、R3、R4、R5、R6がアルキル基の場合、好ましくは炭素数18以下であり、21以上では密着性が低下する傾向にある。
式Aにあるnは、好ましくは5以上、更に好ましくは8以上である。nが1の場合密着性が低下する傾向にある。
ポリエーテルポリオールとしては具体的には、単独のポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、共重合体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の少なくとも2種以上を構成単位として含むブロックもしくはランダム共重合体が挙げられ、具体的な例としては、ポリエチレングリコール−プロピレングリコールのブロックもしくはランダム共重合体、ポリエチレングリコール−テトラメチレングリコールのブロックもしくはランダム共重合体、ポリネオペンチルグリコール−テトラメチレングリコールのブロックもしくはランダム共重合体などがある。
ポリエーテルポリオールの分子量としては、200以上が好ましく、より好ましくは400以上、さらに好ましくは500以上である。また、3500以下が好ましく、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下である。
上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンに使用するその他のグリコ−ル成分としては、具体的にはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール,2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジテトラエチレングリコール、トリテトラエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなどが挙げられる。脂環族グリコールとしては1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3,8−ビスビドロキシメチルトリシクロジシカン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、TCDグリコールなどが挙げられ、これらを単独又は2種類以上併用して使用できる。好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールが基材シートとの密着性が向上する傾向ある。
上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンに使用するジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられ、好ましくはアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸が基材シートとの密着性が向上する傾向ある。
本発明の内容を損なわない範囲で、上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンにカルボン酸を付与しても良い、カルボキシル基を導入する方法としては、上記ポリエステル樹脂を重合した後に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などを後付加して酸価を付与、変性ポリエステルとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等で鎖延長する方法が挙げられる。
さらに、上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンに共重合して使用されるその他の共重合成分として、多官能化合物として、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分として、グリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。
上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンの溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
まず、ポリエステルの場合を説明すると、直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti、Alの化合物が用いられるが、特にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都合である。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として好ましくは0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存量として好ましくは50〜250ppmの範囲になるように添加する。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲になるように添加する。
また、ポリエステル中のジエチレングリコール(以下、「TEG含有量」ということがある)やTEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
上記のポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルポリウレタンに使用するイソシアネートとは、化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族およびその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、たとえば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物を挙げることができる。これらの多官能イソシアネート化合物は、1種または2種以上の混合物を使用できる。
本発明のアンカーコート剤にはワックスを添加することによって耐摩耗性が著しく向上する傾向にある。
ワックス添加量としてはポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマーに対して、好ましくは1〜10部、より好ましい下限は2部、さらに好ましい下限は3部であり、より好ましい上限は8部、さらに好ましい上限は6部である。1部未満では良好な耐摩耗生が得られない傾向にある。また、10部を越えると良好な密着性が得られない傾向にある。
本発明に用いられるワックスとしては、次のようなものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪族と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
本発明に好適に用いられるワックスは、分散性から炭化水素ワックスが好ましく用いられる。例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、オレフィンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等で重合した低分子のポリオレフィン、高分子量のポリオレフィンを熱減成して得られるポリオレフィン、一酸化炭素・水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留成分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などのフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。酸化防止剤が添加されていても良い。さらに、プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行った物が好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(原料は石炭であっても、天然ガスであってもかまわない)、例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(固定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのオレフィンをチーグラー触媒、メタロセン触媒により重合した炭化水素は分岐が少なく、飽和の長い直鎖状炭化水素がある。
また、粒子を添加することにより耐摩耗性が向上する。無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また有機粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げられ、好ましくはポリオレフィンワックス系がアンカーコート剤中の分散性の観点から好ましく用いられる。更には好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体が分散性、耐摩耗性が良好な傾向にある。
本発明のアンカー剤は硬化剤を加えることにより基材シートや導電層との接着性、真空成形後(延伸後)の密着性が向上し更には真空成形後(延伸後)の導電性低下しない傾向にある。
硬化剤の添加量としてはポリエーテルポリオールを構成単位として含むポリマーに対して好ましくは1〜10部、より好ましい下限は2部、さらに好ましい下限は3部であり、より好ましい上限は9部、さらに好ましい上限は8部である。1部未満では密着性が低下する傾向にあり10部を越えると硬化剤の未反応物によって密着性が低下する傾向にある。
本発明で用いられる硬化剤としては、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物などが挙げられる。
アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂とは、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用することができる。
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
さらにイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
本発明ではアンカーコート剤にはカーボンブラックが添加される。カーボンブラックを添加することにより、内容物の隠蔽性が高まり、さらに耐摩耗性等も向上する。
本発明で用いられるカーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。特に好ましいカーボンブラックとしては、ライオン社製ケッチェンブラックEC、キャボット社製バルカンXC−72、電気化学工業社デンカブラックなどが挙げられ、その他、ナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが好ましい。
本発明で用いられるカーボンブラック添加量としては式Aで示されるポリエーテルポリオールを含むポリマーに対して好ましくは5〜15部、更に好ましくは7〜14部、最も好ましくは9〜12部である。5部未満では隠蔽性が低下する傾向にあり、15部を越えると密着性、成形性が低下する傾向にある。
カーボンブラックの二次粒径は0.1μm〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.25μm以上であり、上限はより好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下で、カーボンブラックの二次粒径が0.1μm未満では塗布性が低下する傾向にある。また、カーボンブラックの二次粒径が20μmを超えると成形性、密着性が低下する傾向にある。
カーボンブラックのBET比表面積(m2/g)は、1〜50000が好ましい。
本発明に用いられるカーボンブラック用の分散剤としては、カルボン酸アマイド系が用いられるが、その中でも下記一般式(1)で示されるテトラアミド化合物を含有するカルボン酸アマイド系が好ましく、テトラアミド化合物を少なくとも10重量%以上含有するカルボン酸アマイド系がより好ましい。
R4−CONH−R2−HNOC−R1−CONH−R3−HNOC−R5 (1)
(上記一般式(1)において、R1は二価の有機基、R2およびR3はそれぞれ同じかまたは異なる二価の有機基、R4およびR5はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるテトラアミド化合物である。)
上記一般式(1)で表されるテトラアミド化合物としては、例えばエチレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物、エチレンジアミン−ステアリン酸−アジピン酸重縮合物及びメタキシレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物等が挙げられる。本発明に用いられるカルボン酸アマイド中には、下記一般式(2)で示される化合物を含んでいてもよい。
R7−CONH−R6−HNOC−R8 (2)
上記一般式(2)において、R6は二価の有機基、R7およびR8はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるジアミド化合物である。上記一般式(2)で表されるジアミド化合物としては、例えばエチレン−ビス−ステアリン酸アミド、エチレン−ビス−パルミチン酸アミド及びエチレン−ビス−オレイン酸アミド等が挙げられる。
アンカーコート層を塗布する際の有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
アンカーコート層の厚みは、通常、0.01〜20μmで好ましくは0.05以上で更に好ましくは0.10μm以上であり、また好ましくは8μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。0.01μm未満では良好な密着性が得られない傾向にあり、20μm以上では導電性(特に成形後)が低下する傾向にある。
(2.基材フィルム)
樹脂フィルム基材としては特に制限されるものはない。例えば、金属蒸着複合フィルム、着色フィルム、印刷されたフィルムなどにも適用できる。
具体例としては配向又は未配向のポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリカーボネート系(PC)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(OPP,CPP)、ポリアマイド(ONY)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)で、好ましくはポリエステル系、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、更に好ましくはポリエステル系が強度、真空成型後の導電塗膜との密着性(延伸後)が良好な傾向り、具体的には、芳香族ジカルボン酸成分とからなり主としてテレフタル酸を繰り返し単位とすることを特徴とする結晶性ポリエステル基材シートが好ましく例えばポリエチレンテレフタレートが例示される。
また、樹脂フィルム基材に使用する樹脂は2種類以上のブレンドや多層でも使用でき、好ましくはポリエチレンテレフタレート系(PET)とポリカーボネート系(PC)のブレンド及び/又は多層の樹脂フィルム基材が例示される。
前記結晶性ポリエステル中に共重合するグリコ−ル成分としては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール,2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジテトラエチレングリコール、トリテトラエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなどが挙げられる。脂環族グリコールとしては1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3,8−ビスビドロキシメチルトリシクロジシカン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、TCDグリコールなどが挙げられ、これらを単独又は2種類以上併用して使用できる。好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが基材シートの引張衝撃強度が向上する傾向ある。
前記結晶性ポリエステル系樹脂中に共重合して使用されるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられ、好ましくはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がコーティング時の塗布適性が良好な傾向にある。
本発明の内容を損なわない範囲で、結晶性ポリエステル樹脂にカルボン酸を付与しても良い、カルボキシル基を導入する方法としては、上記ポリエステル樹脂を重合した後に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などを後付加して酸価を付与、変性ポリエステルとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等で鎖延長する方法が挙げられる。
さらに、本発明で用いる結晶性ポリエステル中に共重合して使用されるその他の共重合成分として、多官能化合物として、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分として、グリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。
前記、結晶性ポリエステル樹脂の溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti、Alの化合物が用いられるが、特にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都合である。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として好ましくは0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
Al化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存量として好ましくは50〜250ppmの範囲になるように添加する。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲になるように添加する。
また、ポリエステル中のジエチレングリコール(以下、「TEG含有量」ということがある)やTEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
本発明に係る結晶性ポリエステル基材シートは、前記のポリエステルから選ばれる少なくとも一種のポリエステルでも良好な性能を有するが、非晶性ポリエステルとの混合物であることが好ましい。非晶性ポリエステルの添加量は本発明の目的とする導電性ポリエステルシートの特性を損なわない範囲であることが必要である。
非結晶性ポリエステル樹脂とは、そのポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと記す)以上からTg+150℃以下の加熱温度で結晶化しない樹脂をいう。非結晶性ポリエステル樹脂としては、PETとの溶融混合時に非相溶であると成形品が白濁するので、PETとの相溶性が必要であるためPET系の共重合樹脂が好ましく、その中でも機械的強度の良いシクロへキサンジメタノール共重合PETやネオペンチルグリコール共重合PETが好ましい。非結晶性樹脂としてのPET系の共重合樹脂としては、例えばグリコール成分に10モル%以上、好ましくは20モル%以上で、最も好ましくは25モル%以上でシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−ビスヒドロキシベンゼンやポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。また、酸成分に10モル%以上、好ましくは20モル%、最も好ましくは30モル%以上で、エチレン−2,6−ナフタレート、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸等及びそれらのエステル形成誘導体の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。さらに、グリコール成分と酸成分の両方を20モル%、好ましくは30モル%以上を共重合せしめた樹脂があげられる。
また本発明に係るポリエステル基材シートは、前記ポリエステル組成物からなる単層シートであっても二種以上のポリエステルを積層した多層シートであってもよい。
基材シートの製造方法については特に限定しないが、単軸押出機や二軸押出機によるTダイ押出法により前記ポリエステル組成物を溶融し、ダイスから押出して所定の幅、厚さの未延伸シートとして得ることが出来る。
本発明に係る基材シートの少なくとも片面には、前述のアンカーコートが施され、さらにその上にカーボンブラックを含む導電性組成物からなるコート剤がコーティングされる。前記基材シートとアンカーコート層との間に充分な密着強度が得られない場合は、基材シート塗布面にコロナ処理を行ったり、別のアンカーコート剤でプライマー処理等を行っても差し支えない。
また、導電性ポリエステルシートの保護、電子部品用包装容器を製造する際などでの導電性シートの滑り性の向上、あるいはブロッキング防止などのために前記導電性組成物からなる層の上にトップコート層を設けることも好ましい。
(3.導電性コート層)
本発明において用いられる導電性コート剤は、樹脂、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
導電性カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。特に好ましいカーボンブラックとしては、ライオン社製ケッチェンブラックEC、キャボット社製バルカンXC−72、電気化学工業社デンカブラックなどが挙げられ、その他、ナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが好ましい。
またアルカリ金属化合物を添加することで、さらに電気特性を向上させることができる。特に好ましいアルカリ金属化合物としては、リチウム化合物であり、例えばLiCl、LiBr、Lil、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiC6F12SO3、LiHgl2、LiAlH4、LiBH4、Li2CO3などの無機化合物のほか、カルボキシル基、フェノール基、スルホン酸基、リン酸基、亜リン酸基などの酸基を有する有機化合物のリチウム塩を用いることができ、これらの例としてラウリル酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ロジン酸リチウムなどが挙げられる。これらのリチウム化合物のうち、好ましくはLiClである。リチウム化合物の配合量は、リチウム原子換算で10〜50,000ppm、好ましくは50〜10,000ppm、さらに好ましくは100〜1,000ppmである。
導電性カーボンブラックの平均粒子径が0.1mm未満のものが好ましく使用される。
カーボンブラックのBET比表面積(m2/g)は、10〜5000が好ましい。
副次的に用いられる導電性物質としては、白艶華、酸化錫で被覆した酸化チタン粒子、ニッケル、銅、ステンレス、アルミ、酸化スズ、亜鉛、銀、金属コートガラス粉または金属コートガラスビーズ、酸化亜鉛ウィスカー、金属コート酸化亜鉛ウィスカーなどの導電性化合物などが用いられる。
本発明に用いられるカーボンブラック用の分散剤としては、カルボン酸アマイド系が用いられるが、その中でも下記一般式(1)で示されるテトラアミド化合物を含有するカルボン酸アマイド系が好ましく、テトラアミド化合物を少なくとも10重量%以上含有するカルボン酸アマイド系がより好ましい。
R4−CONH−R2−HNOC−R1−CONH−R3−HNOC−R5 (1)
(上記一般式(1)において、R1は二価の有機基、R2およびR3はそれぞれ同じかまたは異なる二価の有機基、R4およびR5はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるテトラアミド化合物である。)
上記一般式(1)で表されるテトラアミド化合物としては、例えばエチレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物、エチレンジアミン−ステアリン酸−アジピン酸重縮合物及びメタキシレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物等が挙げられる。本発明に用いられるカルボン酸アマイド中には、下記一般式(2)で示される化合物を含んでいてもよい。
R7−CONH−R6−HNOC−R8 (2)
上記一般式(2)において、R6は二価の有機基、R7およびR8はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるジアミド化合物である。
上記一般式(2)で表されるジアミド化合物としては、例えばエチレン−ビス−ステアリン酸アミド、エチレン−ビス−パルミチン酸アミド及びエチレン−ビス−オレイン酸アミド等が挙げられる。
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
導電性コート剤にはこれらの主成分以外に添加物として可塑剤等を適宜使用してもよい。
導電性コート剤は、後記する方法によって基材シート、または基材シート上のアンカーコート層の上にコートされるが、表面抵抗値が1×106Ω以下のような高導電性を要求される場合には、導電性コート層の上にさらに少なくとも一層の導電性組成物をコートすることが好ましい。この場合、一層目と二層目の導電性コート剤の組成は、同じであってもまた異なっていてもよい。
導電性組成物からなるコート層の厚みは、0.5〜30μmである。
導電性カーボンブラックとしては、前記と同じものを用いることができる。
また分散剤としては、前記と同じものを用いることができる。
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
本発明で用いられる硬化剤としては、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物などが挙げられる。
アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂とは、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用することができる。
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
さらにイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
さらにブロッキング防止のために、無機粒子、不活性粒子あるいはワックスなどを添加することが可能である。
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げられる。
ワックスとしては、天然ワックスや炭化水素系ワックスが用いられる。天然ワックスとしては、ラノリン等の動物性ワックス、ひまし油水添ワックス等の植物性ワッスクス、モンタンロウ等の鉱物性ワックスが挙げられる。
また炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、硬化剤が1〜50重量%、ブロッキング防止剤及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
なお、アンカーコート剤で先にプライマー処理を行なう場合は、硬化剤は用いなくてもよい。
また、本発明において用いられるアンカーコート剤は、前述のように、多層基材シートへの導電性コート剤の密着性向上と導電性コート剤中の有機溶剤から保護するために、多層基材シートの表面に最初に施しておくことが好ましい。
(4.トップコート層)
また本発明においては、導電性組成物コート層の上にさらにトップコート層を形成しておくことが好ましい。
またトップコート層は、樹脂、無機粒子や不活性粒子、ワックスおよび有機溶剤からなるトップコート剤をなど導電性コート層の上に塗布することができる。
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げられる。
ワックスとしては、天然ワックスや炭化水素系ワックスが用いられる。天然ワックスとしては、ラノリン等の動物性ワックス、ひまし油水添ワックス等の植物性ワッスクス、モンタンロウ等の鉱物性ワックスが挙げられる。
また炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
各主成分の含有量は、樹脂分が1〜50重量%、粒子分やワックス分が0.1〜10重量%及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、トップコート剤としてはアクリル系樹脂を主剤とするコート剤が最も好ましく、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
アクリル系樹脂の具体例としては、たとえば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジグリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸などから選ばれた少なくとも一種からなるアクリル系樹脂、あるいは、これらの単量体と、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビリニデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン、二重結合含有ポリエステル樹脂等から選ばれる少なくとも1種以上のエチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。
これらの樹脂は、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基を含有、変性しても良い。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単位を含有するアクリルは、水酸基は水酸基含有不飽和単量体を共重合して(メタ)アクリル酸エステル系樹脂に導入できる。水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、たとえば、エチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコールまたはエポキシ化合物と、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体等を挙げることができる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種以上を重合して水酸基含有有機樹脂を製造することができる。
また、前記の各種コート剤には、前記の主成分以外に、導電性シートの成形性、ブロッキング性、導電性に影響を及ぼさない範囲で、1種以上の添加剤を適宜混合してもよい。使用する添加剤としては、特に制限はなく、たとえば、一般に使用される各種レベリング剤、染料、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤などを挙げることができる。
トップコート層の厚みは、0.01〜10μmである。好ましくは0.05〜8μmで更に好ましくは0.1〜6μmで0.01μm未満では良好な耐摩耗性が低下する傾向にある。また、10μmを超えると密着性が低下する傾向にある。
これらのアンカーコート剤、導電性コート剤およびトップコート剤の多層基材シートへの塗布方法としては、従来公知の浸漬法、スプレ−法、グラビヤコーティング法、リバースロールコーティング法、ダイレクトロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、エアナイフコーティング法、スクイズコーティング法、キスコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコーティング法等で実施すればよいが、良好な導電性及び均一なコート層膜厚を得るためには、グラビヤコーティング法を用いることが望ましい。
また導電性ポリエステルシートからなるキャリアテープは、比較的高価な電子部品を入れることが多いためにその部品の状態を監視するために画像処理をすることが多い。画像処理を行う場合にキャリアテープ表面に光沢があると光の反射により画像処理にエラーが出やすい。したがって、導電性コート層側の表面光沢度は40%以下、好ましくは30%以下である。表面光沢度を40%以下にする方法としては、マット加工する方法や粒子状物含有導電性コート剤を最表面層にコートする方法などが挙げられる。
本発明の導電性ポリエステルシートは、LSI、コンデンサー等の電子部品を収納運搬及び実装工程を補助するために使用されるキャリヤテープやトレー等の電子部品用包装容器に用いられる。
本発明の導電性ポリエステルシートを用いた電子部品包装用キャリアテープの作製方法としては特に限定しないが、従来よりキャリアテープの成形方法として用いられている真空成形法、圧空成形法、プレス成形法等により作製される。また、前記キャリアテープを用いて電子部品を包装した包装体の作製方法も特に限定しないが、テーピングマシンによりキャリアテープの成形ポケット部分に電子部品を挿入し、カバーテープでシールすることにより作製される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。