JP2005186158A - 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法 - Google Patents

容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005186158A
JP2005186158A JP2003436746A JP2003436746A JP2005186158A JP 2005186158 A JP2005186158 A JP 2005186158A JP 2003436746 A JP2003436746 A JP 2003436746A JP 2003436746 A JP2003436746 A JP 2003436746A JP 2005186158 A JP2005186158 A JP 2005186158A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
installation site
vessel
build
vertical cylindrical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003436746A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironori Fujiwara
礼範 藤原
Hajime Nagasaki
肇 長崎
Manabu Mizumoto
学 水本
Takaharu Yamamoto
敬治 山本
Munetoshi Hiroshige
宗利 広重
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daio Paper Corp
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Nippon Steel Hardfacing Corp
Original Assignee
Daio Paper Corp
Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd
Nippon Steel Hardfacing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daio Paper Corp, Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd, Nippon Steel Hardfacing Corp filed Critical Daio Paper Corp
Priority to JP2003436746A priority Critical patent/JP2005186158A/ja
Publication of JP2005186158A publication Critical patent/JP2005186158A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Abstract

【課題】 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法の提供
【解決手段】 ステンレスフラックスコアードワイヤを用い、水平揺動を伴なう下進炭酸ガス溶接法、又はアルゴンと炭酸ガスシールドの水平揺動下進マグ溶接法により、容器設置現場において大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉部分をステンレス鋼により肉盛補修する。
【効果】 肉盛溶接層表面の平滑度、溶け込み深さ、溶接ビード中フェライト含有量、表面欠陥調査、周方向残留歪みのいずれにも問題のない結果が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉等を容器設置現場における補修するための肉盛溶接方法、特に製紙工場ダイジェスター(連続蒸解釜)の使用寿命延長を図るための自動肉盛溶接補修方法に関する。
製紙工場ダイジェスター(連続蒸解釜)として、最新の技術では容器材料にオーステナイトステンレス・クラッド鋼を使用した円筒容器を用いる例もあるが、従来の容器は普通鋼SM50(旧規格)等を使ったものが多く、ダイジェスターの高アルカリ環境(pH12〜13)と高温操業(150℃前後)のため、腐食減肉や孔食を発生し、長期間の使用には問題があった。
筒状容器内表面に耐摩耗性硬化肉盛層を形成することは、例えば特許文献1にみられるように既知の技術であるが、製紙工場ダイジェスター(連続蒸解釜)のように内径が5m以上もある大型の円筒容器の内壁に、表面性状のよい肉盛層、すなわち平坦でしかも滑らかな肉盛表面、厚さむらがなく、かつ気孔や欠陥のない溶接金属層の生成、欠陥のない溶接ビード継目の処理など実施する技術は知られていなかった。
特開2003−50003
普通鋼のSM材で建造され、長期間使用されてきたダイジェスターを再生させるための補修方法が製紙業界から要望されている。この要望にこたえるために、容器内面にステンレス鋼板をライニングし、2層容器として使用するなどの方法もあるが、温度変化を伴う化学容器としては必ずしも適当ではなかった。
そのため、肉盛溶接による容器内面の補修が考えられてきたが、表面性状のよい肉盛層、すなわち平坦でしかも滑らかな肉盛表面、厚さむらがなく、かつ気孔や欠陥のない溶接金属層の生成、欠陥のない溶接ビード継目の処理などの点で、手動溶接法では十分とはいえなかった。すなわち表面形状良好な高品質の肉盛層を作ること、ビード継目に欠陥を作らないように、かつ肉厚むらがないように溶接する自動溶接法の開発が課題であった。
本発明は前記従来技術における問題点を解消し、特に製紙工場ダイジェスター(連続蒸解釜)の使用寿命延長を図るための容器設置現場における自動肉盛溶接補修方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、均質な溶接ビード特性を得るためには第1に自動溶接法の適用が好ましいこと、第2に共同発明者等が特開2003−326390号公報及び特願2002−163776により提案したステージ足場の利用が適していること、そして第3に共同発明者等が特願2002−179692により提案した溶接機器の適用が好適であることを知見し、本発明を完成するにいたった。
前記の知見に基づいてなされた本発明は、ステンレスフラックスコアードワイヤを用い、水平揺動を伴なう下進炭酸ガス溶接法、又はアルゴンと炭酸ガスシールドの水平揺動下進マグ(MAG)溶接法により、容器設置現場における容器内面の腐食減肉部分をステンレス鋼により肉盛補修することを特徴とする大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法を要旨としている。
また本発明は、溶接金属層の厚さを1mm以上、溶接熱影響部の生成深さを2.5mm以下に制御し、隣接溶接金属の重ね代を1mm以上に制御するようにトーチを水平揺動させながら、下進法で溶接する前記記載の容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法を要旨としている。
さらに本発明は、溶接に用いるステンレスフラックスコアードワイヤが、フラックス中にワイヤ全質量%に対して、TiO:4〜7%、SiO:0.2〜1.2%、ZrO:0.1〜0.9%、Al:0.2〜1.0%を含有し、他は金属弗化物、アーク安定剤、合金剤、脱酸剤および不可避不純物からなるフラックスを内包させたことを特徴とする前記のいずれかに記載の容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法をも要旨とするものである。
本発明は、昇降可能なステージ足場の利用と、溶接の自動化による工期短縮、高品質施工を特徴とする円筒形圧力容器延命化工法として独特のものであり、適性溶接条件で施工を行なうことにより、多ヘッド1レーヤ溶接で所定の肉盛層が得られ、表面の平滑度、溶け込み深さ、溶接ビード中フェライト含有率、表面欠陥調査、周方向残留歪み測定などいずれも懸念されるような点はなく、産業上極めて有用である。
本発明の構成と作用を説明する。
本発明に係る肉盛溶接補修方法は、水平揺動して50mm程度の幅広ビードを下進炭酸ガス溶接法、あるいはアルゴンと炭酸ガスシールドの下進マグ溶接法により溶接することを特徴としている。
また、溶接を自動化することにより、ビードの溶け込み、母材への熱影響の程度、ウィービングパターンの制御によるビード各部の化学成分、希釈率の均一化などをはかり、溶接金属の特性むらを極力少なくする点に特徴がある。
多くの場合、このような溶接では上進法(ビードを下方から上方に盛り上げていく手法)で行なうことが多いが、その場合は溶接進行方向に対して溶接入熱が蓄積されるため、上部に進行するほど溶接金属が母材原質部に溶け込む割合(希釈率)が大きくなり、また母材熱影響部の幅も大きくなって母材原質部が少なくなるため、容器の設計基準を下回るという問題点があった。
また、ソリッドワイヤで下進溶接(上方から下方へ向かってビードを溶接する手法)を行なう方法もあるが、溶融金属が流れやすく、それを防止するため溶け込みを深くする必要があり、溶接金属が母材に溶け込む割合(希釈率)が大きくなって、前述した母材原質部が少なくなるために容器の設計基準を下回るという問題点があった。
したがって、本発明ではフラックスを内包させたフラックスコアードワイヤを用い、特に下進法で肉盛溶接補修を行なうものである。この場合、フラックスにより形成されたスラグが、溶接金属の流れを抑制する作用をするため、ソリッドワイヤによる下進溶接に比べて母材原質部への溶け込みは小さくてもよく、母材原質部の溶接熱影響部が少ないため、母材原質部を大きく取ることができる。
しかしながら、下進法で溶接をすればビード表面が必ずしも平滑になるわけではない。このため本発明ではフラックスコアードワイヤの特にフラックスのスラグ剤成分につき溶接金属のたれおよびアーク安定性、スパッタ発生量の抑制やスラグ剥離性などの溶接作業性に及ぼす影響について検討した。
すなわち、フラックスコアードワイヤの、フラックス中にワイヤ全質量%に対して、TiO:4〜7%、SiO:0.2〜1.2%、ZrO:0.1〜0.9%、Al:0.2〜1.0%を含有させることによって溶接金属のたれを生成スラグで保持して平滑なビード表面を形成し、アーク安定性、スパッタ発生量の抑制やスラグ剥離性などの溶接作業性を良好とし、さらにウィービングにより波の凹凸を少なくすることができることを確認した。
フラックスコアードワイヤのフラックス中のTiOは、緻密な剥離性のよいスラグを形成し、アーク安定性をもたらすが、4%未満ではその効果が発揮できず、7%を超えるとスラグの流動性が増すとともに、アークの吹き付けが強く、広がりがなくなるために下進溶接では溶接金属がたれるようになる。また、スパッタ発生量も多くなる。したがってTiOは4〜7%とする。TiOの原材料としては、ルチル、チタンスラグ、イルミナイト、さらにはチタン酸カリ、チタン酸ソーダ等のチタン酸塩がTiO換算値で上記範囲内で単独あるいは複合で用いることができる。
SiOは、溶融スラグに適度の粘性を与え、下進溶接における溶接金属のたれを防止するのに必要な成分であるが、0.2%未満ではその効果が発揮できず、1.2%を超えるとスラグの融点を低下させ、下進溶接では溶接金属がたれるようになる。原材料としては珪砂、珪石の他、ジルコンサンド、カリ長石等の原料の副産物も利用できる。
ZrOは、スラグの融点を上げてスラグの凝固を早め、溶接金属のたれを防止する。0.1%未満ではその効果が不十分で、0.9%を超えるとスラグが硬くなり、スラグ剥離性が不良になるとともにスパッタ発生量も多くなる。原材料としては酸化ジルコニウム、ジルコンフラワー、ジルコンサンド等を用いる。
Alは、溶接金属止端部のなじみを良好にする。特に肉盛溶接金属と隣接溶接金属とのなじみを良好にする。Alが0.2%未満ではその効果が不十分で、1.0%を超えるとアークが粗くなりスパッタ発生量も多くなる。
以上、本発明に使用するステンレスフラックスコアードワイヤのフラックス中に含有する主なスラグ形成成分の含有量限定理由を説明したが、その他のフラックス成分としては、溶接作業性の調整として各種金属弗化物およびアーク安定剤(NaO、KO)、溶接金属の機械的性質や耐食性を向上するための合金剤(Ni、Cr、Mo、Ti)、脱酸剤(SiまたはSi合金、MnまたはMn合金)および溶着効率を向上するための鉄粉等が含まれる。
肉盛溶接部への溶接入熱の自動制御により、母材への熱影響、母材希釈率の均一化を図るとともに、さらに円筒面に均一に複数の溶接機器を配置し、かつ円周方向同一水平レベルの位置で溶接が行なわれるように設置することにより、溶接残留応力の生成、溶接歪の生成を可及的に少なくするようにした点にも特徴がある。
これは、ダイジェスターの供用中の腐食むらの発生、応力腐食割れの発生、孔食の発生等を少なくすることができ、容器のメンテナンス上極めて有効なことである。
さらに自動肉盛溶接とした場合には、ビード形状、寸法を極めて狭い範囲に制御できるので肉盛溶接金属の特性も当然均質なものとすることができる。
溶接金属層の厚さを1mm以上とするのは、薄い場合には腐食減肉による供用可能期間の短縮化が予想されるので、コストの許容する範囲で厚いほうが良い。
しかし、厚盛りを行なおうとすれば当然高入熱溶接となり、溶接熱影響部の生成域が広がる。熱影響部が広いと、ダイジェスターのようにオーステナイト系溶接金属を肉盛する場合には結晶粒粗大化による粒界割れの発生、粒界部の合金成分の希釈による粒界腐食の発生などが起こり、使用性能が低下し好ましくない。したがって、溶接熱影響部の生成深さ(溶融線に直交する方向の深さ)を2.5mm以下にもっていくのが最適であることを確認した。
また隣接ビード溶接金属の重ね代は、小さいほうがコスト的には好ましいが、溶接欠陥の生成、腐食、孔食の発生等を考慮し、1mm以上に取ることが好ましいことを確認している。
なお、ダイジェスターなどは第1種圧力容器に含まれるので、容器運用時、原タンクの母材の肉厚設計値以上の強度を、溶接熱影響部まで除いた部分で確保する必要があった。したがって溶接熱影響部の幅と溶け込み深さ、あるいは母材の希釈率を最小限にする溶接施工法と溶接条件を選んでいるものである。
また、前記のように基材がSM材のダイジェスターの場合、耐食効果から溶接金属としてはオーステナイト系の24%Cr−13%Ni−2.5%Mo系(質量%)となるように、前述のフラックスを含む、フラックスコアードワイヤの外皮およびフラックス中の合金成分を調整する(本発明の特許請求の範囲の記載からみて、基材と同成分材の肉盛溶接は本発明の技術的範囲には含まれない。)。
本発明を実施例1及び2により具体的に説明するが、これにより、本発明が限定されるものではない。
図1は、製紙工場のダイジェスター(蒸解釜、塔槽体:高さ50m、内径6m、基材SM50)1の下段部15mの範囲(高腐食域部)内壁面の補修肉盛工事の施工状態を示す概要説明断面図である。
また、図2は、図1におけるII部分拡大図である。さらに、図3は、図2におけるIII−III矢視方向拡大図である。
本発明は、ダイジェスター1の内部に吊下支持基体8を設置し、該吊下支持基体8からチェーンブロック18及びチェーン19により吊梁体9を上下方向に移動可能に吊下支持するとともに、前記吊梁体9にガイド機構Zを介して、溶接機ユニット20を上下方向及び/又は左右方向に移動可能に取りつけ、該溶接機ユニット20によって上記ダイジェスター1の内壁面1dに対して溶接を行なうことを特徴としている。
前記ガイド機構Zは、上下方向に離間対向して配置された上部ガイド体10と下部ガイド体11と、これら各ガイド体10、11の間に跨がって上下方向に配置され、かつ、該各ガイド体10、11に沿って左右方向に移動可能とするとともに、上記溶接機ユニット20を上下方向に移動可能に支持する縦ガイド体12を備えている。
ダイジェスター1の内部にポスト16を立設するとともに前記ポスト16に沿って上下方向に自力昇降する昇降作業台14が取り付けられている。
また、前記ポスト16に固定作業台13を取付け、かつ該固定作業台13の前記ポスト16に対する上下方向の固定位置を変更設定可能とするとともに、前記固定作業台13の固定位置の変更を、前記昇降作業台14の昇降動によって行なう。
本発明が適用されるダイジェスター1は、大口径の筒状形態をもつ本体部2の一端側に釜底体3を、他端側に釜頂体4をそれぞれ接合して密閉容器状とされ、該釜底体3側の底部1aを基台5によって支持させた状態で鉛直方向に立設固定されている。なお、前記本体部2は、ダイジェスター1の底部1a側から頂部1b側に向かうに伴って、段階的に径寸法が減少するように構成されており、この径寸法の減少部位にはストレーナ(図示省略)等の機器が配置される。
溶接機ユニット20を用いて、ダイジェスター1の内壁面1dに肉盛溶接を施工するに際して、その内部の換気性を確保するために、ダイジェスター1にそれ本来の機能確保上から備えられている底マンホール31を活用している。すなわち、釜底体3の中心位置に設けられた底マンホール31に排気装置32を取り付けるとともに、高さ方向の略中央部に設けられた大口径のマンホール35は、これを自然吸気孔として利用し、さらに、頂部1b寄りに設けられた上下二つのマンホールには、それぞれ排気装置33、34を配置している。そして、肉盛溶接作業中は、上記マンホール35から、ダイジェスター1内に外気を自然給気する一方、前記各排気装置32、33、34から排気を行なうことで、ダイジェスター1の内部に空気の循環流を発生させ、ダイジェスター1内における良好な作業環境を確保するものであり、これによって安全性の高い作業が担保される。
さらに肉盛溶接作業に際しては、ダイジェスター1の底部1aの近傍に設けたマンホール36を、資材搬入口あるいは人員の出入口として利用する一方、前記排気装置34が備えられたマンホールの直下側位置に設けられた四個の足場用ノズル26、26、…を利用して、吊下支持基体8を取り付けるようにしている。
ポスト16は、図1、図2に示すように、矩形断面形状と所定の軸長とをもつトラス構造のポストピース16a、16a、…を、その軸方向に順次所定個数づつ継ぎ足して柱状形態として構成される。そして、これら各ポスト16、16は、その軸方向に所定間隔で取り付けられた継材17、17、…によって略梯子状に一体化された状態でその下端が下部固定作業床6に、その上端が上部固定作業床7にそれぞれ固定されることでダイジェスター1内に鉛直方向に立設固定される。
ガイド機構Zは、溶接機ユニット20の移動をガイドして、該溶接機ユニット20による良好な肉盛溶接を可能とするもので、上部ガイド体10と下部ガイド体11および縦ガイド体12により構成されている。
上部ガイド体10はH型鋼(図3参照)を、その一対のフランジを立てた姿勢で、これをダイジェスター1の内壁面1dの内側へ配置可能となるように湾曲成形した環状体で構成される。そしてこの上部ガイド体10は、吊リンク29、29、…を介して吊梁体9に吊下支持され、吊リンク29、29、…のそれぞれに取り付けたジャッキ63、63、…の先端をダイジェスター1の内壁面1dに当接させてそれぞれ突っ張らせることで、内壁面1d側に固定支持される。
上部ガイド体10は、縦ガイド体12の左右方向(ダイジェスター1の内壁面1dの周方向)への移動をガイドするもので、ダイジェスター1の径方向内側に位置するフランジを縦ガイド体12のガイドレールとして機能させており、そのため、該フランジには縦ガイド体12のサドル37が掛け止めされている。
下部ガイド体11は、L型鋼の一方のフランジをダイジェスター1の径方向外方へ向けるとともに、他方のフランジを上方へ向けた姿勢で、ダイジェスター1の内壁面1dの内側へ配置可能となるように湾曲成形した環状体で構成される。この下部ガイド体11は縦ガイド体12を介して上部ガイド体10に支持されている。そして、所定間隔で配置したジャッキ64の先端をダイジェスター1の内壁面1dに当接させてそれぞれ突っ張らせることで、内壁面1d側に固定支持される。
下部ガイド体11と縦ガイド体12との連結は、図3に示すように、縦ガイド体12の下端部に上下方向に延出状態で形成した長穴に挿通された止めボルト72によって支持された固定ブラケット71と、縦ガイド体12側に取り付けられた押しボルト73とによって、下部ガイド体11の一方のフランジ部分を挟着することによってなされる。また、押しボルト73を緩めるとともに固定ブラケット71を上方へ移動させることにより、下部ガイド体11と縦ガイド体12との連結は解除される。
縦ガイド体12は、所定長さの帯板材で構成されるとともにその上端側にサドル37を取り付けている。この縦ガイド体12は、溶接機ユニット20の上下移動をガイドするとともに、上部ガイド体10及び下部ガイド体11にガイドされて左右方向に移動することで、溶接機ユニット20の左右方向への移動を可能とする。
サドル37は、縦ガイド体12を上部ガイド体10側に吊下支持させるとともにこれを上部ガイド体10に沿って左右方向へ移動可能とするもので、上部ガイド体10のフランジ上を走行する前後一対の溝付き車輪38、38と前後一対の溝無し車輪を備えている。さらにこのサドル37には、ねじ込み操作によってその先端が上部ガイド体10に当接することで、サドル37と上部ガイド体10との相対移動を規制する前後一対の止めボルト53、53と、上部ガイド体10のフランジ下面側に係合可能に配置されて、サドル37の浮上を防止する前後一対の浮上防止体54、54とが設けられている。そして、サドル37には、縦ガイド体12が垂下状態で締結固定されている。
縦ガイド体12の上下二位置には、それぞれストッパー40、40が設けられるとともに、各ストッパー間に跨がってラック80が取り付けられている。そしてこの縦ガイド体12には溶接機ユニット20が取り付けられるとともに、前記ラック80に沿って昇降可能となっている。
溶接機ユニット20は、縦ガイド体12に鞍座されて、モータ86の駆動力を受けてラック80に沿って昇降する台車79に、溶接機本体81とオシレート装置82と倣い装置83と一対の溶接トーチ85、85及び倣い検知装置87を装備して構成される。また、溶接機本体81は、炭酸ガス雰囲気中でアークシールド溶接(「MAG溶接」)を自動的に行なうものであって、溶接機本体81には所定間隔で並設された二つの溶接トーチ85、85が接続されている。実施例では縦ガイド体12が8組備えられており、各縦ガイド体12には、それぞれ二つの溶接トーチ85、85が装備されているから、合計16個の溶接トーチ85を同時使用して肉盛溶接が行なわれることになる。
各溶接機ユニット20には、これに属する二つの溶接トーチ85にワイヤーを供給するワイヤー給送器21が備えられるが、このワイヤー給送器21はチェーンブロック27によって吊り梁体9側から昇降可能に吊下支持されている。
本実施例では、溶接機ユニット20を使用して、ダイジェスター1の内壁面1dに対して「立ち向き下進溶接」で肉盛溶接を行なっており、図4にこの肉盛溶接による溶接ビード状態を示している。
すなわち、この実施例では所定間隔をもって並設された一対の溶接トーチ85、85を使用して「立ち向き下進溶接」によって肉盛溶接を行なうため、図4に実線図示するように、溶接トーチ85、85のそれぞれによる溶接ビードB、Bが溶接トーチ間隔に対応する間隔をもって形成される。そして、溶接機ユニット20を上方から下方まで移動させた後、一旦アークを停止させる。その後溶接機ユニット20を再上昇させるとともに、溶接トーチ85、85の間隔寸法に相当する寸法だけ左右方向に移動させ(すなわち、縦ガイド体12を左右方向に移動させ)、前回の溶接ビードB、Bの間に次回の溶接ビードB、Bが位置するようにして、そこから次回の肉盛溶接を下方に向けて行なう。
このように、順次所定ピッチづつ肉盛溶接を実施することによって、ダイジェスター1の内壁面1dの余肉の増加(図5の寸法「h」参照)が実現されるものである。この図5からは、肉盛溶接による母材側(ダイジェスター1の内壁面1d側)への溶け込み量が極めて少なく、したがって母材側への熱影響が極めて少なく、増肉対策としての肉盛溶接として最適なものとなるが、これは溶接手段を「下進溶接」としたことによるところが大きい。
溶接機ユニット20として、揺動式自動アーク溶接機8台(各2トーチ搭載)で、表4に示すワイヤ記号W1を用い、表1に示す溶接条件で各溶接機をダイジェスター1内円周方向にほぼ等間隔に配置して、全溶接機同時に並行して作業を実施した。
Figure 2005186158
補修溶接後の、各種調査結果を表2に示す。肉盛り部の溶け込み深さは0.4〜1.0mmと浅く、溶接金属層の厚さは目標の2mm以上に対して、2〜2.5mmが得られ、溶接金属表面のフェライト量は、目標の4〜8%に対して4〜7%が得られ、溶接金属表面に欠陥はなく平坦で滑らかであり、かつ残留応力、歪みも少ないなどきわめて満足な結果であった。
Figure 2005186158
残留応力、歪み測定の結果、歪み量は0.2〜0.4%で実用上支障はなかった。また、熱影響部深さは、3mm以内で問題はなく、ビード表面平滑度は、凹凸1mm以内であって実用上支障はなかった。
表3に示すステンレス鋼外皮を用い、表4に示す種々の組成を有する1.6mm径のステンレスフラックスコアードワイヤを試作した。これらのワイヤを用いて溶接作業性を調査した。
Figure 2005186158
Figure 2005186158
溶接作業性の調査は、SM490B鋼(板厚25mm、幅500mm、高さ500mm)に、表4に示すフラックスコアードワイヤを用いて、表1に示す溶接条件で1本のトーチにより隣接溶接金属との重ね代が3〜5mmとなるように揺動しながら8パス肉盛溶接した。なお、溶接作業性は、スパッタ発生量、アーク安定性、スラグ剥離性および溶接金属のたれの有無を観察することにより評価した。これらの試験結果を表5に示す。
Figure 2005186158
表5中、ワイヤ記号W1〜W4が本発明例、ワイヤ記号W5〜W8は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号W1〜W4は、フラックス中にTiO、SiO、ZrOおよびAlを適正量含有しているので、スパッタ発生量が少なく、アークが安定し、スラグ剥離性が良好で、さらに溶接金属のたれがなく、溶接金属の表面は平坦で滑らかとなり、極めて満足な結果であった。
なお、別途これらの試験体につき浸透探傷試験による表面欠陥を調べた結果、いずれの試験体も欠陥はなく、また溶接金属表面のフェライト量も4〜7%で、溶接金属の厚さは2〜2.5mm、さらに試験体のマクロ断面を調べた結果、溶け込み深さは0.4〜1mm、溶接熱影響部の深さは1〜1.5mmであった。
比較例中ワイヤ記号W5は、フラックス中のTiOが多いのでスパッタ発生量がやや多く、溶接金属のたれも生じた。またAlが少ないので、溶接金属止端部のなじみがやや不良であった。
ワイヤ記号W6は、フラックス中のTiOが少ないので、アークがやや不安定でスラグ剥離性も不良であった。またSiOが多いので溶接金属のたれも生じた。
ワイヤ記号W7は、フラックス中のSiOが少ないので溶接金属のたれが生じた。またZrOが多いので、スパッタ発生量がやや多くスラグ剥離性もやや不良であった。
ワイヤ記号W8は、ZrOが少ないので溶接金属のたれが生じた。またAlが多いのでスパッタ発生量がやや多かった。
本発明により、大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉等を容器設置現場において簡便に補修が可能となったから、対象装置の稼動率が著しく向上し、収益に大きく寄与することが推測され、その利用は産業振興に役立つものといえる。
本発明によるダイジェスター内壁面の補修肉盛工事の施工状態を示す概要説明断面図である。 図1におけるII部分拡大図である。 図2におけるIII−III矢視方向拡大図である。 溶接ビードの状態説明図である。 図4におけるIV−IV切断図である。
符号の説明
1 ダイジェスター(蒸解釜;塔槽体)
2 本体部
3 釜底体
4 釜頂体
5 基台
6 下部固定作業床
7 上部固定作業床
8 吊下支持基体
9 吊梁体
10 上部ガイド体
11 下部ガイド体
12 縦ガイド体
13 固定作業台
14 昇降作業台
15 ラック
16 ポスト
16a ポストピース
17 縦材
18 チェーンブロック
19 チェーン
20 溶接機ユニット
21 ワイヤー送給器
22 溶接機本体
23 溶接制御器
24 ケーブル類
25 ガイド輪ユニット
26 足場用ノズル
27 チェーンブロック
28 チェーン
29 吊りリンク
30 モータ
31 底マンホール
32〜34 排気装置
35,36 マンホール
37 サドル
38 車輪
40 ストッパー
53 止めボルト
54 浮上防止体
62 ポストガイド
63,64 ジャッキ
66 ポスト受け材
71 固定ブラケット
72 ボルト
73 押しボルト
79 台車
80 ラック
81 溶接機本体
82 オシレート装置
83 倣い装置
85 溶接トーチ
86 モータ
87 倣い検知器
Z ガイド機構

Claims (3)

  1. ステンレスフラックスコアードワイヤを用い、水平揺動を伴なう下進炭酸ガス溶接法、又はアルゴンと炭酸ガスシールドの水平揺動下進マグ溶接法により、容器内面の腐食減肉部分をステンレス鋼により肉盛補修することを特徴とする容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法。
  2. 溶接金属層の厚さを1mm以上、溶接熱影響部の生成深さを2.5mm以下に制御し、隣接溶接金属の重ね代を1mm以上に制御するようにトーチを水平揺動させながら、下進法で溶接する請求項1記載の容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法。
  3. フラックスコアードワイヤの内包フラックスにより形成される溶融スラグの融点が、肉盛溶接金属の融点より高く、かつ良好なビード外観およびビード形状が得られるように、溶融スラグの粘性、比重等の特性を調整したフラックスを内包させたステンレスフラックスコアードワイヤを使用して下進法で溶接する請求項1又は2記載の容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法。
JP2003436746A 2003-12-24 2003-12-24 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法 Pending JP2005186158A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003436746A JP2005186158A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003436746A JP2005186158A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005186158A true JP2005186158A (ja) 2005-07-14

Family

ID=34791917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003436746A Pending JP2005186158A (ja) 2003-12-24 2003-12-24 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005186158A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2889980A1 (fr) * 2005-08-30 2007-03-02 Soudconcept Sarl Procede de metallisation d'un panneau de tubes
JP2007290005A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Fujikoo:Kk 構造物の肉盛溶接装置及びそれを用いた肉盛溶接方法
EP2105243A1 (en) * 2008-03-26 2009-09-30 Nippon Steel & Sumikin Welding Co., Ltd. Metal-based flux cored wire for Ar-CO 2 mixed gas shielded arc welding

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0381094A (ja) * 1989-08-25 1991-04-05 Kobe Steel Ltd ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP2000084665A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Nkk Corp 立向下進肉盛溶接方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0381094A (ja) * 1989-08-25 1991-04-05 Kobe Steel Ltd ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP2000084665A (ja) * 1998-09-09 2000-03-28 Nkk Corp 立向下進肉盛溶接方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2889980A1 (fr) * 2005-08-30 2007-03-02 Soudconcept Sarl Procede de metallisation d'un panneau de tubes
JP2007290005A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Fujikoo:Kk 構造物の肉盛溶接装置及びそれを用いた肉盛溶接方法
EP2105243A1 (en) * 2008-03-26 2009-09-30 Nippon Steel & Sumikin Welding Co., Ltd. Metal-based flux cored wire for Ar-CO 2 mixed gas shielded arc welding

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6338290B2 (ja) 要求の厳しい構造用途のための高強度鋼溶接金属
CA2823235C (en) High toughness weld metals with superior ductile tearing resistance
KR101888780B1 (ko) 수직 방향 협개선 가스 실드 아크 용접 방법
JP2011131243A (ja) 亜鉛めっき鋼板のアーク溶接方法及びアーク溶接継手
Kumar et al. Experimental investigation and optimization of TIG welding parameters on aluminum 6061 alloy using firefly algorithm
JP3592313B2 (ja) 塔槽体の内壁面作業装置
JP2007313524A (ja) 極厚鋼板の溶接方法
US7518082B2 (en) Method for arc welding of ductile cast iron
JP2003326390A5 (ja)
JP2005186158A (ja) 容器設置現場における肉盛溶接による大型の縦形円筒形容器内面の腐食減肉溶接補修方法
CN105671244A (zh) 一种120吨及以上转炉的球铰支撑更换方法
EP1390173B1 (en) Method of welding two ductile iron workpieces for achieving highly ductile reduced imperfection weld
CN105195866B (zh) 一种双金属复合管的管端全自动根焊方法
JP4782979B2 (ja) 溶接方法
JP5262626B2 (ja) 溶接継手部の保全装置及び保全方法
JP3385332B2 (ja) 2電極片面ガスシールドアーク溶接方法
KR102094678B1 (ko) 튜브시트 자동 오버레이 용접 장치
JP6877847B2 (ja) 硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
CN103273175B (zh) 接管无铋不锈钢药芯焊丝气体保护焊工艺
JP5825997B2 (ja) エレクトロスラグ溶接の補修溶接方法
JP6936755B2 (ja) 硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JPH05293690A (ja) 耐候性鋼用低水素系被覆アーク溶接棒
JP2006231403A (ja) 中性子照射材の溶接方法
Rosert Application of flux-cored wires for welding in industry
TWI311508B (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091106

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100706