JP2005186150A - シリンダブロック及びその製造方法 - Google Patents

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隆志 西迫
Kazuhiko Kato
和彦 加藤
Akira Samejima
明 鮫島
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Tsutomu Kobayashi
強 小林
Shunzo Aoyama
俊三 青山
Shigeki Fukai
茂樹 深井
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Abstract

【課題】 車両等の内燃機関のシリンダブロック及びその製造方法に関し、プリフォームを確実に補強できるようにするとともにホルダーを再利用できるようにし、生産性を向上できるようにする。
【解決手段】 繊維又は粒子からなる金属強化材により形成されピストン摺動面となる内壁1aを構成する円筒形状のプリフォーム1に金型キャビティ用の剛材のホルダー2を嵌挿してプリフォームユニット3を形成する。そして、プリフォームユニット3をシリンダボア型6,7にセットし、ダイカスト法によりシリンダボア型6,7にアルミニウム溶湯5を鋳込んでピストン摺動面となるシリンダ内壁に金属基複合材を有するシリンダブロック8を形成した後、シリンダブロック8からホルダー2を取り外す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両等の内燃機関のシリンダブロック及びその製造方法に関するものである。
従来より、内燃機関(エンジン)にシリンダライナを備えないシリンダブロックが開発されている。このようなシリンダブロックの製造方法について簡単に説明すると、一般に、まず、セラミック繊維,粒子等の強化材により形成された円筒形状のプリフォームの中空部にホルダーを嵌挿し、プリフォームを補強した状態でシリンダボア型にセットする。次に、このシリンダボア型にアルミニウム溶湯を鋳込んでプリフォームにアルミニウム溶湯を含浸させた金属基複合材を有するシリンダブロックを形成する。また、このシリンダブロックを冷却した後シリンダボア型から取り外し、シリンダブロックからさらにホルダーを取り外す。
例えば、特許文献1には、重力鋳造又は低圧鋳造によりシリンダブロックを製造する方法であって、プリフォームにアルミニウム合金製のホルダーを嵌挿し、プリフォームを補強した状態でシリンダブロックを製造した後、このホルダーを切削加工して除去するという方法が開示されている。
また、特許文献2には、重力鋳造又は低圧鋳造によりシリンダブロックを製造する方法であって、プリフォームに樹脂製のホルダーを嵌挿し、プリフォームを補強した状態でシリンダブロックを製造した後、このホルダーを熱崩壊させて除去するという方法が開示されている。
特公平4−746号公報 特公平4−747号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、重力鋳造又は低圧鋳造により製造するので時間がかかり、生産性をさらに向上させることは困難である。このため、アルミニウムを高速且つ高圧で射出するダイカスト法を用いて製造時間を短縮して生産性を向上させたいという要望がある。
また、上述したアルミニウム合金製のホルダーや樹脂製のホルダーは、一度使用したら切削加工や熱崩壊により除去してしまうため、ホルダーを再利用することは不可能である。つまり、シリンダブロックの量産化にあたり、ホルダーの製造コスト高を招いてしまうという課題もある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、プリフォームを確実に補強できるようにするとともにホルダーを再利用できるようにし、生産性を向上できるようにして生産された、シリンダブロック及びその製造方法を提供することを目的とする。
このため、請求項1記載の本発明のシリンダブロックの製造方法は、繊維又は粒子からなる金属強化材により形成されピストン摺動面となる内壁を有する円筒形状のプリフォームに金型キャビティ用の剛材(好ましくはSKD材)のホルダーを嵌挿してプリフォームユニットを形成するプリフォームユニット形成ステップと、該プリフォームユニットを形成した後、該プリフォームユニットをシリンダボア型にセットするプリフォームセットステップと、該プリフォームユニットを該シリンダボア型にセットした後、ダイカスト法により該シリンダボア型にアルミニウム溶湯を鋳込んでピストン摺動面となるシリンダ内壁に金属基複合材を有するシリンダブロックを形成するシリンダブロック形成ステップと、該シリンダブロックを形成した後、該シリンダブロックから該ホルダーを取り外すホルダー取り外しステップとをそなえていることを特徴としている。このようにダイカスト法を用いることで、重力鋳造や低圧鋳造よりも高速且つ高圧で鋳込むことが可能となる。
請求項2記載の本発明のシリンダブロックの製造方法は、請求項1記載の方法において、該プリフォームユニット形成ステップと該プリフォームセットステップとの間に、該プリフォームユニットを加熱する加熱ステップをそなえていることを特徴としている。
請求項3記載の本発明のシリンダブロックの製造方法は、請求項1又は2記載の方法において、該プリフォームユニット形成ステップの前に、該ホルダーに離型剤を塗布する離型剤塗布ステップをそなえていることを特徴としている。
請求項4記載の本発明のシリンダブロックは、ピストン摺動面となる内壁を構成する円筒形状のプリフォームを内在したシリンダブロックであって、該プリフォームが繊維又は粒子からなる金属強化材により形成されているとともに、該プリフォームの中空部にホルダーが嵌挿され、ダイカスト法により該プリフォームにアルミニウム溶湯を含浸させることで該ピストン摺動面に金属基複合材が形成されることを特徴としている。
請求項1記載の本発明のシリンダブロックの製造方法によれば、ダイカスト法により高速且つ高圧でアルミニウム溶湯を鋳込むので、シリンダブロックの製造時間を短縮でき、生産性をより向上させることができる。また、ホルダーは金型キャビティ用の剛材で形成されているので、熱や圧力などで変形することがなく、プリフォームを確実に補強でき、再利用が可能である。
請求項2記載の本発明のシリンダブロックの製造方法によれば、プリフォームユニットをシリンダボア型にセットする前にプリフォームユニットを加熱しておくので、シリンダボア型に鋳込まれるアルミニウム溶湯の流動性を高めることができ、プリフォームに対するアルミニウム溶湯の含浸量を増加させることができる。これにより、耐摩耗性に優れたライナレスのアルミシリンダブロックを製造することができる。
請求項3記載の本発明のシリンダブロックの製造方法によれば、ホルダーの取り出しを容易に行なうことができる。
請求項4記載の本発明のシリンダブロックによれば、ダイカスト法により円筒形状のプリフォームを内在したシリンダブロックが形成されるので、製造されたシリンダブロックは軽量で、耐摩耗性に優れる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態としてのシリンダブロックの製造方法を説明するための模式図である。
本実施形態に係るシリンダブロックは、車両等の内燃機関(エンジン)に適用されるものであって、シリンダライナを備えないライナレスシリンダブロックとして構成されている。以下、その具体的な製造方法を図1を参照しながら説明すると、まず、図1(a)に示すように、エンジンのピストンと摺動する面(内壁)1aを有する円筒形状のプリフォーム1をセラミック繊維,粒子等の強化材(繊維又は粒子からなる金属強化材)により形成するとともに、このプリフォーム1を補強するための円筒形状のホルダー2を金型キャビティ用の剛材であるSKD(工具鋼)材により形成する。
次に、ホルダー2を100℃以上に加熱して、水溶性の離型剤をホルダー2の表面に塗布する(離型剤塗布ステップ)。ホルダー2が100℃以上の状態で水溶性の離型剤を塗布すると、離型剤の水分が蒸発してホルダー2上に残留成分が残り、効果的に潤滑性を発揮するのでホルダー2を容易に取り出すことが可能となる。また、離型剤に黒鉛粉末などの固形潤滑剤を添加するとシリンダブロック8から取り出す時にさらに良好な潤滑性が得られる。なお、シリンダブロック8から取り出した直後のホルダー2の温度は100℃以上となっているので、ホルダー2をシリンダブロック8から取り出した直後にホルダー2に離型剤を塗布しておけば、上記のようなホルダー2を加熱する工程を省くことができる。
そして、プリフォーム1の中空部1bにホルダー2を嵌挿させてプリフォームユニット3を形成する(プリフォームユニット形成ステップ)。
次に、図1(b)に示すように、プリフォームユニット3を炉4に入れてプリフォーム1及びホルダー2を加熱する(加熱ステップ)。このようにプリフォーム1を加熱(予熱)しておくことにより、後工程でアルミニウム溶湯5を鋳込んだ時にアルミニウム溶湯5がプリフォーム1に含浸し易くなる。
プリフォーム1の予熱が完了したら、図1(c)に示すように、シリンダボアの可動型6に形成された突起部6aにホルダー2の中空部2aを嵌合させることによりプリフォームユニット3をセットし、その後、図1(d)に示すように、シリンダボアの固定型7を可動型6に取り付ける(プリフォームセットステップ)。このようにプリフォームユニット3をシリンダボア型6,7にセットした後、可動型6と固定型7とにより形成される空間にダイカスト法によりアルミニウム溶湯5を射出すると、アルミニウム溶湯5がプリフォーム1に含浸していく。これにより、プリフォーム1とアルミニウムとが一体となった金属基複合材〔図1(e),(f)の符号9参照〕を有するライナレスのアルミシリンダブロック(単にシリンダブロックという)8が形成される(シリンダブロック形成ステップ)。
そして、シリンダブロック8を十分に冷却した後、図1(e)に示すように、可動型6及び固定型7を取り外し、最後に、ホルダー2をシリンダブロック8外部へ押し出して取り外すこと(ホルダー取り外しステップ)により、図1(f)に示すようなシリンダブロック8が完成する。
次に、本発明者らが見出した、本製造方法の最適な鋳込み条件及びホルダー条件、そして、これら最適な鋳込み条件及びホルダー条件の下でのボア間肉厚について具体的に説明する。
〔A〕鋳込み条件
(1)射出スピード
「鋳造圧力:73.5MPa、潤滑剤・離型剤:粉体、プリフォーム予熱:常温、ホルダー材:FC(鋳鉄)、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、ダイカスト法によるアルミニウム溶湯5の射出スピードに対するアルミニウム溶湯5の含浸量(プリフォーム表面からの含浸深さ。単位:mm)変化を調べた。この結果を図2に示す。
なお、上記の「鋳造圧力」は、アルミニウム溶湯5をキャビティ中に射出充填後に加える圧力、「潤滑剤・離型剤」は、潤滑剤塗布後に追加して射出スリーブ内に塗布する処理および離型剤塗布後に追加してキャビティに塗布する断熱材の種類(即ち、ここではいずれも紛体)、「プリフォーム予熱」はプリフォーム1の加熱温度、「ホルダー材」はホルダー2を形成する材質,材料、「外周面処理」はホルダー2の外周面に施される加工処理を示す。また、潤滑剤は、油性の場合はダイカスト射出チップ面に塗布し、紛体の場合はさらに射出シリンダ内面に静電塗布で付着させ、射出スリーブ内におけるアルミニウム溶湯5の温度低下を少なくすることで溶湯の流動性を向上させるものである。一方、離型剤は、主にシリンダブロック8の製品キャビティ面の可動型6および固定型7に塗布し、シリンダブロック8の取り外し作業(離型)を容易にするためのものである。ここでは、潤滑剤については、油性の潤滑剤をチップ面に塗布する場合(油性)と、さらに紛体の潤滑剤を射出スリーブ内面に塗布する場合(紛体)との2種類の方法で実験し、また、離型剤については、水溶性の離型剤を塗布後に紛体の離型剤をキャビティ面に静電塗布する場合(紛体)と、水溶性の離型剤に紛体の離型剤を希釈したものをキャビティ面に塗布する場合(湿式紛体)との2種類の方法で実験した。さらに、上記の「旋盤加工処理」とは、ホルダー2の表面(プリフォーム1と接する面)を旋盤で加工して寸法を出す処理(旋盤加工放し)のことをいう。
この図2に示すように、射出スピードが遅ければ遅いほど含浸量は多くなるが、遅すぎると鋳造性が低下することがわかった。特に射出スピード0.2m/sで外観鋳肌が悪化した。したがって、射出スピードを0.4〜0.6m/sに設定することが好ましい。なお、射出スピードとは射出時のスリーブの速度であり、また、この射出スピードは、φ140のスリーブを用いた条件によるものであることから、φ120のスリーブを用いた場合には、(0.4〜0.6)×(1202/1402)=0.3〜0.44m/sとなるが、いずれのスリーブを用いた場合でも湯口速度でいえば2.0〜3.0m/sとなる。したがって、湯口速度2.0〜3.0m/sでアルミニウム溶湯5を射出することが好ましいといえる。
(2)鋳造圧力
「射出スピード:0.6m/s、潤滑剤・離型剤:粉体、プリフォーム予熱:常温、ホルダー材:FC(鋳鉄)、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、鋳造圧力に対する含浸量変化を調べた。この結果を図3に示す。
ここでは、鋳造圧力63.7〜83.3MPaの範囲で実験を行なったが、図3に示すように、上記範囲では含浸量は略同等であることがわかる。ただし、鋳造圧力が低すぎると含浸しないおそれがあり、また、高すぎてもプリフォーム1を破壊してしまうおそれがあるため、鋳造圧力値を上記範囲の中間値、即ち73.5MPaに設定することが好ましい。これにより、アルミニウム溶湯5のプリフォーム1への含浸量を確実に確保することが可能となる。
(3)潤滑剤,離型剤
「射出スピード:0.6m/s、鋳造圧力:73.5MPa、プリフォーム予熱:常温、ホルダー材:FC(鋳鉄)、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、潤滑剤及び離型剤の種類に対する含浸量を調べた。この結果を図4に示す。
この図4に示すように、ここでは、「潤滑剤:紛体、離型剤:紛体」,「潤滑剤:紛体、離型剤:湿式紛体」,「潤滑剤:油性、離型剤:湿式紛体」の3つの場合について実験を行なったが、いずれの場合についても含浸量は略同等であった。しかし、上記の「潤滑剤:紛体、離型剤:湿式紛体」,「潤滑剤:油性、離型剤:湿式紛体」の場合、外観鋳肌が悪化したため、潤滑剤及び離型剤はともに紛体であることが好ましい。
なお、紛体の潤滑剤及び離型剤は比較的コスト高ではあるが、油性,湿式紛体のものと比べて断熱性が高いため、紛体の潤滑剤及び離型剤を使用することで、鋳込み時にアルミニウム溶湯5の温度が下がりにくく、アルミニウム溶湯5の流動性を向上できるという効果がある。
(4)プリフォーム予熱
「射出スピード:0.4m/s、鋳造圧力:73.5MPa、潤滑剤・離型剤:紛体、ホルダー材:FC(鋳鉄)、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、プリフォーム予熱に対する含浸量を調べた。この結果を図5に示す。
プリフォーム1の予熱を行なった場合(ここでは420℃)と、予熱を行わなかった場合(常温の場合)とについて実験を行なったが、図5に示すように、プリフォーム1の予熱を行なった方が明らかにアルミニウム溶湯5の含浸量が増大することがわかった。予熱を行なってプリフォーム1の温度を高くした方が含浸時のアルミニウム溶湯5の温度が高くなりアルミニウム溶湯5の流動性が向上することから、含浸し易くなったものと考えられる。したがって、プリフォーム1を予熱した方がよく、上記のように予熱温度は例えば約420℃であることが好ましい。
(5)プリフォームセット時間
「射出スピード:0.4m/s、鋳造圧力:73.5MPa、潤滑剤・離型剤:紛体、プリフォーム予熱:420℃、ホルダー材:FC(鋳鉄)、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、プリフォームセット時間に対する含浸量変化を調べた。この結果を図6に示す。なお、ここでいうプリフォームセット時間とは、プリフォーム1の予熱を完了してから、プリフォーム1をシリンダボア型6,7にセットしてアルミニウム溶湯5の射出を開始するまでの時間のことをいう。
この図6に示すように、プリフォームセット時間が短いほど含浸量が高いことがわかった。これは、プリフォームセット時間が短ければプリフォーム1の温度低下が小さく、アルミニウム溶湯5が含浸し易くなったものと考えられる。また、60秒を超えたあたりから次第に含浸量が低下していくこともわかった。したがって、プリフォームセット時間は60秒以内(短ければ短いほど良い)であることが好ましい。
〔B〕ホルダー条件
(1)ホルダー材質
「潤滑剤・離型剤:紛体、外周面:旋盤加工処理、押し出しタイミング:直後」という条件下で、ホルダー材質に対する押し出し荷重(kN)を調べた。この結果を図7に示す。なお、ここでいう押し出しタイミングとは、シリンダブロック8をシリンダボア型6,7から取り出した時点からホルダー2を押し出す時点までの経過時間のことをいい、ここでいう「直後」とは、シリンダブロック8をシリンダボア型6,7から取り外して直ぐにホルダー2を押し出すことをいう。
ここでは、FC(鋳鉄)材のホルダーとSKD材のホルダーとの2種類について実験を行なったが、図7に示すように、SKD材のホルダーの押し出し荷重が、FC材のホルダーの押し出し荷重の約1/3となることがわかった。また、FC材のホルダーでは、押し出し時にホルダー端面が変形するため再利用できないことが判明した。一方、SKD材はFC材に比べて比較的コスト高ではあるが、押し出し性,耐荷重性ともに良好であり、また、押し出し時に変形してしまうこともないので再利用が可能である。また、FC材及びSKD材は熱伝導率が略同等であることから、これら材質の違いによって含浸量が大きく変化するということはないと考えられるため、ホルダー材質をSKD材にすることが好ましい。
(2)外周面処理
「射出スピード:0.4m/s、鋳造圧力:73.5MPa、潤滑剤・離型剤:紛体、プリフォーム予熱:420℃、プリフォームセット時間:30sec、ホルダー材:FC(鋳鉄)」という条件下で、ホルダー2の外周面処理に対する含浸量を調べた。この結果を図8に示す。
ここでは、ショット加工処理と旋盤加工処理との2種類の処理について実験を行なった。なお、ショット加工処理とは、微小な鉄球(ショット)を高速で旋盤加工処理後のホルダー2の表面(プリフォーム1と接する面)に衝突させて多数の細かなくぼみを形成する処理のことをいう。また、ショット加工処理は、主に、アルミニウム溶湯5を注入した時に空気等のガスをホルダー2のくぼみを伝って逃げやすくする(即ち、ガス抜け性を向上させる)もので、プリフォーム1への含浸性を向上させるために行なう処理である。
図8に示すように、いずれの処理でも含浸量が略同等であることがわかった。しかし、ショット加工処理は、旋盤加工処理後のホルダー2の表面に行なう処理であるため、製造時間及びコストがさらにかかってしまう。また、ホルダー2の表面にくぼみがあるとシリンダブロックから取り出すときに抵抗が大きくなる問題もある。したがって、外周面処理は旋盤加工処理だけの方が好ましい。
(3)ホルダー押し出しタイミング
「潤滑剤・離型剤:紛体、ホルダー材:SKD、外周面処理:旋盤加工処理」という条件下で、ホルダー2の押し出しタイミングに対する押し出し荷重(kN)を調べた。この結果を図9に示す。
ここでは、シリンダブロック8をシリンダボア型6,7から取り外して直ぐにホルダー2を押し出した場合と、取り出してから10分後にホルダー2を押し出した場合とについて実験を行なったが、10分後に押し出した場合の押し出し荷重は、直後押し出しの場合の押し出し荷重の約2倍であること、即ち、ホルダー2を押し出しにくいことがわかった。また、「10分後押し出し」は、「直後」よりも押し出し荷重のばらつきが大きいことも確認された。したがって、ホルダー押し出しタイミングは、シリンダブロック8を取り外した直後に行なうことが好ましい。
(4)再利用性
「潤滑剤・離型剤:紛体、ホルダー材:SKD、外周面処理:旋盤加工処理、ホルダー押し出しタイミング:直後」という条件下で、ホルダー2を繰り返し使用し、その時のホルダー2の押し出し荷重(kN)を調べた。この結果を図10に示す。
ここでは、ホルダー2を6回再利用してシリンダブロック8を製造したが、図10に示すように、ホルダー2の押し出し荷重は略同等であった。この結果から、シリンダブロック8量産時のホルダー2の再利用性も期待できるものと考えられる。
〔C〕ボア間肉厚
上記の実験により得られた最適な鋳込み条件及びホルダー条件、即ち、「射出スピード:0.4m/s、鋳造圧力:73.5MPa、潤滑剤・離型剤:粉体、プリフォーム予熱:420℃、プリフォームセット時間:30sec、ホルダー材:SKD、外周面処理:旋盤加工処理」という条件の下で、ボア間肉厚の異なるシリンダボア型6,7で鋳込みを行ない、含浸量変化を調べた。この結果を図11に示す。
なお、本実験では、(i)ボア切削加工,仕上げ加工後の最低必要含浸量(0.5mm
)、(ii)ボア切削加工,仕上げ加工による切削量(MAX1.4mm)、(iii)プリフ
ォーム1,ホルダー2の公差及びプリフォーム1をシリンダボア型6,7にセットした時のずれ(MAX0.5mm)、(iv)ボア切削加工,仕上げ加工位置の公差(MAX0.
1mm)を考慮し、シリンダブロック8を製造するにあたって必要な最低含浸量を2.5mmに設定した。つまり、含浸量が2.5mm以上あれば、そのシリンダブロック8は製品として十分に扱うことができることになる。
ボア間肉厚が小さくなればアルミニウム溶湯5の流動性が低下するためボア間部の含浸量が低下してしまうことが考えられたが、図11に示すように、実験によれば、ボア間肉厚が5mmや6mmであっても含浸量は2.5mm以上と高く、ボア間肉厚8mmの場合の含浸量と比べても、ボア間肉厚5mm時で約6%の低下、ボア間肉厚6mm時で約3%の低下だけですむことがわかった。つまり、ボア間肉厚5mmまでのシリンダブロック8の生産が可能であるので、シリンダブロック8の軽量化及びコンパクト化が実現可能となる。
上述したように、本発明のシリンダブロックの製造方法では、ダイカスト法により高速且つ高圧でアルミニウム溶湯5を鋳込むので、シリンダブロック8の製造時間を短縮でき、生産性をより向上させることができる。また、ホルダー2は金型キャビティ用の剛材で形成されているので、熱や圧力などで変形することがなく、プリフォーム1を確実に補強でき、再利用が可能である。
また、プリフォームユニット3をシリンダボア型6,7にセットする前に予めプリフォームユニット3を加熱しておくので、シリンダボア型6,7に鋳込まれるアルミニウム溶湯5の流動性を高めることができ、プリフォーム1に対するアルミニウム溶湯5の含浸量を増加させることができる。これにより、耐摩耗性に優れたライナレスのアルミシリンダブロック8を製造することができる。
また、本製造方法の最適条件により、ボア間肉厚をさらに低減することができるので、シリンダブロックの軽量化及びコンパクト化が実現可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態としてのシリンダブロックの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の実施例としてのアルミニウム溶湯の射出スピードに対するアルミニウム溶湯の含浸量変化を示すグラフである。 本発明の実施例としての鋳造圧力に対する含浸量変化を示すグラフである。 本発明の実施例としての潤滑剤及び離型剤の種類に対する含浸量を示すグラフである。 本発明の実施例としてのプリフォーム予熱温度に対する含浸量を示すグラフである。 本発明の実施例としてのプリフォームセット時間に対する含浸量変化を示すグラフである。 本発明の実施例としてのホルダー材質に対する押し出し荷重を示すグラフである。 本発明の実施例としてのホルダーの外周面処理に対する含浸量を示すグラフである。 本発明の実施例としてのホルダーの押し出しタイミングに対する押し出し荷重を示すグラフである。 本発明の実施例としてのホルダー再利用回数に対する押し出し荷重を示すグラフである。 本発明の実施例としてのボア間肉厚に対する含浸量変化を示すグラフである。
符号の説明
1 プリフォーム
1a 内壁
1b 中空部
2 ホルダー
2a 中空部
3 プリフォームユニット
4 炉
5 アルミニウム溶湯
6 可動型
6a 突起部
7 固定型
8 シリンダブロック
9 金属基複合材

Claims (4)

  1. 繊維又は粒子からなる金属強化材により形成されピストン摺動面となる内壁を構成する円筒形状のプリフォームに金型キャビティ用の剛材のホルダーを嵌挿してプリフォームユニットを形成するプリフォームユニット形成ステップと、
    該プリフォームユニットを形成した後、該プリフォームユニットをシリンダボア型にセットするプリフォームセットステップと、
    該プリフォームユニットを該シリンダボア型にセットした後、ダイカスト法により該シリンダボア型にアルミニウム溶湯を鋳込んでピストン摺動面となるシリンダ内壁に金属基複合材を有するシリンダブロックを形成するシリンダブロック形成ステップと、
    該シリンダブロックを形成した後、該シリンダブロックから該ホルダーを取り外すホルダー取り外しステップとをそなえている
    ことを特徴とする、シリンダブロックの製造方法。
  2. 該プリフォームユニット形成ステップと該プリフォームセットステップとの間に、該プリフォームユニットを加熱する加熱ステップをそなえている
    ことを特徴とする、請求項1記載のシリンダブロックの製造方法。
  3. 該プリフォームユニット形成ステップの前に、該ホルダーに離型剤を塗布する離型剤塗布ステップをそなえている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のシリンダブロックの製造方法。
  4. ピストン摺動面となる内壁を構成する円筒形状のプリフォームを内在したシリンダブロックであって、
    該プリフォームが繊維又は粒子からなる金属強化材により形成されているとともに、該プリフォームの中空部にホルダーが嵌挿され、ダイカスト法により該プリフォームにアルミニウム溶湯を含浸させることで該ピストン摺動面に金属基複合材が形成される
    ことを特徴とする、シリンダブロック。
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