JP2005181189A - 溶液組成物、及び元素の定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルカリ融解で調製した溶液では飛散してしまう飛散性元素の定量分析を行う。
【解決手段】 テトラメチルアンモニウムを含有する溶液を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、飛散性元素を含有する溶液組成物及びその溶液を用いた元素の定量方法に関するもので、特に飛散性元素を飛散させることなしに溶液中に溶解可能とする方法に関するものである。
元素分析において、分析するための試料を溶解する際には種々の酸及び混酸が用いられる。例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、過塩素酸及びこれらの混酸である。また、試料が酸性の化合物である際には、アルカリ融剤に溶融する方法が採用される。
ICP発光分析の基礎と応用(1986)講談社
元素の定量分析を行うには、測定試料及び測定標準試料を調製する必要がある。この際、元素によっては用いる酸により飛散性を呈するものがあり、飛散性元素または揮発性元素と称される。飛散性元素を誘導結合プラズマ−発光分光装置(ICP−OES)、誘導結合プラズマ−質量分光装置(ICP−MS)といった測定装置で定量測定しようとする場合、如何にして飛散性元素を飛散させることなく溶液中に溶解させるかが重要である。例えば、塩酸−硫酸溶解ではP,S,As,Bi,B,Ge,Te,Tl,Se,Sb,Sn,Re,Mo,Znといった元素が、フッ化水素酸による溶解ではSi,B,Ge,As,Sb,Cr,Se,Os,Ru,Reといった元素が飛散することが知られている。
飛散性元素の飛散を防ぐ方法としては、アルカリ融剤に融解する方法が非特許文献1に開示されているが、高純度の固体アルカリ融剤は商品化されておらず、コンタミネーションの問題があり、極微量元素の定量測定は非常に困難である。
本発明は、前述した課題を解決するために酸溶解によっても飛散性元素が飛散しない溶液組成物、及び飛散性の元素定量測定方法を提供するものであって、試料を溶解する溶液に予め、過剰の酸−テトラメチルアンモニウム塩溶液を加えることにより、飛散性元素の飛散を防止することを特徴とする。
本発明の好ましい実施態様について述べ、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の溶液組成物は、まず水酸化テトラメチルアンモニウム(TMA−OH)及び酸を混合・中和してなり、次に飛散性元素を溶解する工程を経て形成される。
TMA−OHは液体であり、蒸留が可能であることからコンタミネーションのない高純度の試薬が入手可能である。
例として、ケイ素をフッ化水素酸で溶解する際の反応式を以下に示す。
Figure 2005181189
予めTMA−NOを生成しておけば、2)式から3)式の反応は速やかに進行し、Siの飛散は防止される。他の飛散性元素に関しても同様の反応が進行し、元素の飛散は発生しない。
本発明によって、飛散性元素を飛散させることなく溶液化しICP−OESやICP−MSといった測定装置に導入することが可能となり、また塩基からのコンタミネーションによる定量精度の低下も発生しなくなった。
本発明の溶液組成物のpHは試料溶解の観点から1〜7であることが好ましい。但し、pHが小さすぎると、飛散性元素とTMAの塩生成が阻害されるので、pHが4〜6であることがより好ましい。また、溶液中に含まれる飛散性元素の含有率は大過剰量のTMAと塩生成させるために1ppm〜1%であることが好ましい。
テフロン(登録商標)ビーカーに10mL TMA−OH(多摩化学製)に5mL HNO(多摩化学製)を加え弱酸性とした。pHは約6.5であった。溶液中に0.1g Siを入れ、1mL HFを加え更に1mLHを加え、Siを溶解した。溶液に純水を100mLになるまで加えた。更に純水で希釈し、10ppmとした。
テフロン(登録商標)ビーカーに10mL TMA−OH(多摩化学製)に2.5mL HSO(多摩化学製)を加え弱酸性とした。pHは約4.5であった。溶液中に0.1g Bを入れ、1mL HClを加え、Bを溶解した。溶液に純水を100mLになるまで加えた。更に純水で希釈し、10ppmとした。
テフロン(登録商標)ビーカーに10mL TMA−OH(多摩化学製)に5mL HNO(多摩化学製)を加え弱酸性とした。溶液中に0.1g 赤燐を入れ、1mL HClを加え、赤燐を溶解した。溶液に純水を100mLになるまで加えた。更に純水で希釈し、10ppmとした。
〔比較例1〜3〕
実施例1〜3で使用した元素をKOH(関東化学製)にてアルカリ融解し調製した試料それぞれを更に純水で希釈し、10ppmとした。
実施例及び比較例で調製した試料をICP−OES(Spectro社製CIROS)にて定量測定(SPEX製標準試料を使用)を行ったところ、表1のような結果となった。
尚、測定条件は以下の通りであった。
高周波出力;1400W
冷却ガス流量;13L/min.
補助ガス流量;1L/min.
ネブライザガス流量;1L/min.
ネブライザ;クロスフロー型
チャンバ;スコット型
Figure 2005181189
各比較例の結果からは、アルカリからのコンタミネーションの兆候が観察され、実施例結果からはコンタミネーションの兆候は観察されなかった。また、データのばらつきを表す相対標準偏差も良好であった。

Claims (8)

  1. 定量分析に用いる溶液組成物であって,
    テトラメチルアンモニウムイオンと、
    硝酸物イオン、硫酸物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオンのいずれかまたは2種以上を含有することを特徴とする溶液組成物。
  2. pHが1〜7であることを特徴とする請求項1に記載の溶液組成物。
  3. B,Si,P,S,Cr,Zn,Ge,As,Se,Mo,Ru,Sn,Sb,Te,Re,Os,Tl,Biなどの飛散性元素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶液組成物。
  4. 前記飛散性元素がB、Si、P,Ge、Asのいずれかまたは2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の溶液組成物。
  5. 前記飛散性元素の含有率が1ppm〜1%であることを特徴とする請求項4に記載の溶液組成物。
  6. 元素の定量方法であって、
    テトラメチルアンモニウムイオンと、
    硝酸物イオン、硫酸物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオンのいずれかまたは2種以上と、
    含有率が1ppm〜1%のB、Si、P,Ge、Asのいずれかまたは2種以上とを含有する溶液組成物を標準試料もしくは測定試料として用いることを特徴とする定量方法。
  7. 誘導結合プラズマまたはマイクロ波誘導プラズマを用いることを特徴とする請求項6に記載の定量方法。
  8. 検出手段が原子発光、原子吸光、原子蛍光、質量分光のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の定量方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007256043A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Ngk Insulators Ltd ケイ素化合物含有試料中の不純物分析用試料液の調製方法
CN101839861A (zh) * 2010-03-29 2010-09-22 武钢集团昆明钢铁股份有限公司 Syp烧结增效剂中硼和锰含量的测定方法
CN102252883A (zh) * 2011-05-03 2011-11-23 武钢集团昆明钢铁股份有限公司 测定直接还原铁中锰、磷、砷、钾、钠和铜含量的方法
CN102519940A (zh) * 2011-12-19 2012-06-27 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 一种铬硼合金的分析方法

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