JP2005179118A - 四塩化チタン水溶液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 四塩化チタン水溶液の製造において、塩酸ガスの発生、発熱による固形物析出の問題を解決し、高純度でかつ品質の安定した四塩化チタン水溶液を効率よく工業的規模で製造する方法を提供すること。
【解決手段】 四塩化チタン及び該四塩化チタンに対して反応性がなく且つ相溶性があり、水に対して相溶性がない有機溶媒を混合して得られる四塩化チタンの有機溶媒溶液と、水とを接触させる接触工程を有することを特徴とする四塩化チタン水溶液の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、四塩化チタン水溶液の製造方法に関するものであり、詳しくは、高純度で且つ品質の安定した四塩化チタン水溶液を、工業的に安全且つ効率よく製造する方法に関するものである。
四塩化チタンは古くから、クロール法による金属チタンの中間原料、あるいは酸化チタンの中間原料として利用されている。しかし、四塩化チタンは反応性が高く、空気中の酸素あるいは水分と接触すると白煙を出し激しく反応するため、窒素など不活性ガス雰囲気中で取り扱わねばならない。そのため、四塩化チタンは、酸素あるいは水分を嫌うプロセスにおいてあるいは汎用工業製品の製造以外の用途については、大気中でも安定で取り扱いが容易な四塩化チタン水溶液の形で広く利用されている。例えば、近年開発が盛んに行なわれている光触媒用などの酸化チタンの原料であるアルコキシチタンなどの有機チタン化合物の原料、パール顔料の原料、酸化チタンやチタン酸バリウムなどの高純度が要求される電子材料の原料、その他各種チタン化合物の中間原料などが挙げられ、近年その需要は伸びつつある。
四塩化チタン水溶液は、一般に四塩化チタンを水あるいは塩酸水溶液と接触し反応させることにより製造されるが、その際の発熱が著しく、部分的に過熱されるために、酸化チタン水和物等の析出物を生じる。該析出物は水には溶解しないため、四塩化チタンの注入口の閉塞等を発生させ、四塩化チタン水溶液の製造が困難となる。また、四塩化チタン水溶液は酸性であるため、その反応容器は樹脂など耐酸性材料を用いるが、上記発熱により反応容器の劣化が激しく、コストアップの原因になっていた。さらには、上記反応の際、塩酸ガスが激しく多量に発生するため、その処理の問題や労働環境上の問題もあった。
なお、本発明において、「酸化チタン水和物」とは、[(TiO)(OH)]nで表される酸化チタン水和物、水酸化チタン又は含水酸化チタン、あるいはその誘導体を包括して呼ぶものとする。
上記のような問題を避ける方法としては、四塩化チタン中に水を少量ずつ滴下するか、あるいは水中に四塩化チタンを少量ずつ滴下し、発熱及び塩酸ガスの発生を抑制しながら四塩化チタン水溶液を調製する方法が挙げられるが、このような方法では、工業的規模の生産性が低く、コストアップの原因となる。
また、特開昭52−70999号公報には、四塩化チタン水溶液の連続製造方法についての困難さが記載され、四塩化チタンに水を添加する場合には、水添過程で現れる粘稠性の塩基性生成物の分散溶解、発生する塩酸ガスの処理等撹拌装置に工夫を要し、又公害防止設備の配慮を要する等のため添加する水の量は著しく制限され、それ以上の添加を行うと、生成する塩基性生成物により四塩化チタン表面が覆われ、水の均一な混合が阻害され、爆発的な反応が起こり易く、塩酸ガスの発生も多く、容器の破損及び作業員への危険性が大であるとの記載がある。逆に、水に四塩化チタンを添加する場合にも、添加初期の温度が低い間は、四塩化チタンの加水分解が起こり、コロイド状酸化チタン水和物の生成が認められ、使用に不適当な場合も起こる可能性が大である。しかし、塩酸水溶液、あるいはあらかじめ調整した四塩化チタン水溶液を溶媒に使用すれば、この加水分解による影響はおさえられるが、水添の場合と同様四塩化チタンの添加注入口の閉塞が起こりやすいので、反応容器に強力な撹拌機を取り付けると共に、前記した閉塞対策を講じなければならないとしている。このように、四塩化チタン水溶液の製造には、強力な撹拌装置や析出する塩基性生成物による添加注入口の閉塞防止対策、発生する塩酸ガスによる公害対策等を必要とし、又添加速度の規制による生産性の制限の点から安全且つ容易にして、経済的な装置の開発が望まれるとして、ここでは、四塩化チタンを添加するに際し用いる溶媒に、噴流を形成し、ここに四塩化チタンを添加する四塩化チタン水溶液の連続製造方法を開示している。噴流による分散力を利用して反応容器に撹拌機を取り付ける必要性を排除し、又噴流形成装置内に生じる吸引力により、四塩化チタンを注入するため、閉塞防止対策が不要であり、そして発生する塩酸ガスの装置外への漏れもなくその対策が不要になるというものである。
しかしながら、上記従来方法では、塩酸ガスは反応溶液に溶解し塩酸ガスの外部への発生は改善されるが、発熱は制御できず、また酸化チタン水和物の膜が反応溶液の表面に生成し、反応を継続することは困難であった。また、製造する四塩化チタン水溶液の品質を制御することも困難であった。更に、噴流を形成するための設備を必要とし、そのコントロール及び保守も面倒であった。
更に、上述したように四塩化チタン水溶液は液相法による酸化チタン微粒子の製造の原料として利用されるが、近年酸化チタン微粒子は、誘電体物質であるチタン酸バリウムなど電子材料の原料、チタン酸リチウムなどの電池材料の原料、光増感型太陽電池用の酸化チタン原料、あるいは光照射で励起されることにより生じる酸化チタンの光触媒作用また親水性機能を利用した機能性材料などに利用されつつあり、高純度が要求される。しかしながら、そのような高純度の酸化チタンを得るためには高純度の四塩化チタン水溶液が必要となり、上記従来方法では、未溶解固形分が残留するため、所望純度のものが得られなかった。
このような問題を解決するために、特開2002−29746号公報では、(イ)水中に四塩化チタンを供給することにより四塩化チタンと水を接触、反応させ、四塩化チタン水溶液を生成しつつ酸化チタン水和物を析出させ、(ロ)次いで、四塩化チタンを水1モルに対し0.1モル/時間以上で供給することにより反応系の塩素濃度を3モル/L以上として前記析出した酸化チタン水和物を反応系に溶解させ、四塩化チタン水溶液の生成を継続し、(ハ)その後、酸化チタン水和物を溶解させた反応系に四塩化チタンと水を独立にかつ同時に供給することにより酸化チタン水和物などの析出を回避しつつ所要量の四塩化チタン水溶液を生成することを特徴とする四塩化チタン水溶液の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法においても、初期反応の温度や四塩化チタンの供給量、さらにその後の反応系での塩素濃度など微妙な操業面でのコントロールが必要となり、実際に酸化チタン水和物等の固形物が析出し、排ガス配管や製品排出管などの閉塞が起きてしまうという問題が残されていた。
特開昭52−70999号公報 特開2002−29746号公報
従って、本発明の課題は、四塩化チタン水溶液の製造において、上記従来技術に残された、塩酸ガスの発生、発熱による固形物析出の問題を解決し、高純度且つ品質の安定した四塩化チタン水溶液を効率よく工業的規模で製造する方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、四塩化チタンを有機溶媒に溶解させれば、(1)四塩化チタンが有機溶媒に溶媒和し、四塩化チタン分子の周りに有機溶媒分子を存在させることができるので、水の添加時に、水分子が四塩化チタン分子と直接接触することなく、急激な反応を防ぐことができ、(2)水を添加してから、水分子が四塩化チタン分子に接触するまでに、一定の時間がかかるので、水分子を該有機溶媒全体に分散させてから、四塩化チタンと接触させることが可能となり、有機溶媒全体で発熱が起こり、局部過熱が起こらず、(3)有機溶媒溶液全体で発熱が起こるので、温度コントロールが容易となることから、酸化チタン水和物等の局部過熱に起因した固形物の析出及び塩素ガスの発生を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、四塩化チタン及び該四塩化チタンに対して反応性がなく且つ相溶性があり、水に対して相溶性がない有機溶媒を混合して得られる四塩化チタンの有機溶媒溶液と、水とを接触させる接触工程を有する四塩化チタン水溶液の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記本発明(1)の接触工程において、水の比重に対する有機溶媒溶液の比重の比を、略1とする四塩化チタン水溶液の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記本発明(1)又は(2)の接触工程の後に、2層分離により四塩化チタン水溶液と回収有機溶媒の分離を行なう2層分離工程を、更に有する四塩化チタン水溶液の製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記本発明(3)の2層分離工程により得た前記回収有機溶媒を、前記本発明(3)の有機溶媒として再使用する四塩化チタン水溶液の製造方法を提供するものである。
本発明の四塩化チタンの製造方法によれば、急激な反応及び局部過熱を防ぐことができ、また、温度コントロールが容易となるので、酸化チタン水和物等の固形物の析出及び塩素ガスの発生を防止することができる。従って、高純度且つ品質の安定した四塩化チタン水溶液を、効率良く工業的規模で製造することが可能となる。
本発明に係る接触工程は、四塩化チタンの有機溶媒溶液と水とを接触させる工程であり、該工程を行なうことにより、チタン成分が有機溶媒層から水層へ移動し、四塩化チタン水溶液が生成する。
本発明に係る四塩化チタンは、不純物の少ない高純度のものほど好ましく、具体的には、四塩化チタンの純度が、好ましくは99.99重量%以上であり、特に好ましくは99.995重量%以上である。また、該四塩化チタンの不純物の含有量は、アルミニウム、鉄、及びバナジウムがそれぞれ1ppm以下、ケイ素及びスズがそれぞれ10ppm以下である。また、該四塩化チタンとして、市販のものを用いることができる。
本発明に係る有機溶媒としては、四塩化チタンに対して反応性がなく且つ相溶性があり、水に対して相溶性がないものであれば特に制限されないが、好ましくは、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物及び有機ケイ素化合物である。具体的には、脂肪族炭化水素化合物としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、シクロヘキサン及びこれらの混合物、芳香族炭化水素化合物としては、流動パラフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びこれらの混合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物としては、塩化メチレン、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物としては、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン、有機ケイ素化合物としては、ジメチルポリシロキサン等のシリコンオイル等が挙げられる。また、該有機溶媒の比重は、1.2g/ml以下であることが、接触工程後の四塩化チタン水溶液との分離が容易となる点で好ましく、1.0g/ml以下であることが特に好ましい。また、該有機溶媒の沸点は、50℃以上であり、好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃以上である。また該有機溶媒は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に係る四塩化チタンの有機溶媒溶液は、当該四塩化チタンと当該有機溶媒を混合することにより、調製することができる。該四塩化チタンの有機溶媒溶液中の四塩化チタンの濃度は、1〜80重量%であり、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。該濃度が1重量%未満だと、四塩化チタン水溶液の生成速度が遅く、また、反応容器が大きくなるので、工業的に効率が悪い。一方、該濃度が80重量%を超えると、水と接触させた時に急激な温度上昇が起こる。
当該四塩化チタンの有機溶媒溶液を調製する際、水に四塩化チタンを直接添加した場合のような加水分解反応は起こらないので、激しい発熱を伴うことはない。
また、水の比重に対する当該四塩化チタンの有機溶媒溶液の比重の比を、略1とすること、すなわち、四塩化チタンの有機溶媒溶液の比重を水とほぼ等しくすることが、後記接触工程において、水との接触効率が高まる点で好ましい。このことにより、四塩化チタン水溶液の製造効率が向上する。該四塩化チタンの有機溶媒溶液の比重は、有機溶媒中に溶解させる四塩化チタンの濃度により、調整することができる。
本発明の接触工程においては、比重の小さい前記有機溶媒を用い、且つ水との比重の比ができる限り1に近くなるように四塩化チタンを溶解させた四塩化チタンの有機溶媒溶液を用いることが、接触効率が高く且つ接触工程後の四塩化チタン水溶液の分離が容易なので、製造効率が高まる点で、特に好ましい。
本発明に係る水は、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水、蒸留水等の精製水を用いることができる。
当該四塩化チタンの有機溶媒溶液と水とを接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、(1)四塩化チタンの有機溶媒溶液と水とを、同時に反応槽に投入する方法、(2)ラインミキサーにより同時に接触させる方法、(3)予め四塩化チタンの有機溶媒溶液を反応槽に投入し、これに水を添加する方法、(4)予め水を反応槽に投入し、これに四塩化チタンの有機溶媒溶液を添加する方法等が挙げられる。該方法のうち、(1)〜(3)の方法が、生成する四塩化チタン水溶液のpHが調整し易い点で、好ましい。また、(1)、(3)又は(4)の方法において、反応槽中で四塩化チタンの有機溶媒溶液と水を接触させる際に、攪拌機等により攪拌することが好ましい。また、(1)の方法の場合は、四塩化チタンの有機溶媒溶液と水とを反応槽に投入しながら、四塩化チタンの有機溶媒溶液と水の混合物を反応槽から抜き出すこと、(2)の方法の場合は、ラインミキサーで接触工程を行なった後の該混合物を、別途設けた分離槽に移送することにより、連続的に四塩化チタン水溶液の製造を行なうことができる。
当該四塩化チタンの有機溶媒溶液と水との接触割合は、四塩化チタン1モルに対し、水が5〜30モルであり、好ましくは7〜25モル、特に好ましくは10〜20モルである。該接触割合が、5モル未満だと、四塩化チタンの有機溶媒溶液中に四塩化チタンが残存するので製造効率が悪く、30モルを超えると、四塩化チタン水溶液の濃度が低く成り過ぎる。
当該接触工程を行なう温度は、10〜90℃であり、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは40〜70℃である。該温度が、10℃未満だと、チタン成分が有機溶媒層から水層への移動する速度が遅くなり生産性が低下し、90℃を超えると、酸化チタン水和物等の固形物の析出が起こり易くなる。
このように、当該四塩化チタンの有機溶媒溶液と水が接触することにより、四塩化チタンと水が反応し、チタン成分は有機溶媒層から水層へ移動し、四塩化チタン水溶液が生成する。この時、該四塩化チタン水溶液のpHは、2以下であり、好ましくは1以下である。該pHが2を超えると、酸化チタン水和物等の固形物の析出が起こり易くなる。
当該接触工程後、更に、2層分離工程を行なうことにより、生成した四塩化チタン水溶液を、有機溶媒と分離することができる。
当該2層分離工程は、四塩化チタンの移動により生成した四塩化チタン水溶液(以後、水層とも記載)、四塩化チタンが水層に移動したことにより四塩化チタンの濃度が低下した有機溶媒層(以後、回収有機溶媒層とも記載)の比重の差により、水層と回収有機溶媒層を分離する工程である。比重が1より小さい前記有機溶媒、例えば、n−ヘプタンの場合は、回収有機溶媒層が上層、水層が下層となる。
また、当該2層分離工程は、前記接触工程を行った反応槽で行うこと、又は接触工程により得られる水層と回収有機溶媒層の混合物を、別途設けた分離槽に抜き出して行なうことができる。
当該2層分離工程で得られる回収有機溶媒は、前記接触工程に用いる前記有機溶媒として再使用することができる。この時、抜き出した該回収有機溶媒の温度が、前記接触工程の温度範囲より高い場合は、熱交換器等を通すことにより冷却してから再使用することができる。また、前記接触工程において除熱を積極的に行なうために、回収有機溶媒を接触工程の温度範囲よりさらに低い温度に冷却して再使用することもできる。
本発明の製造方法により得られる四塩化チタン水溶液の組成は、チタンが1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%であり、塩素が5〜40重量%、好ましくは10〜37重量%である。また、該四塩化チタン水溶液は、水の量により形態は異なるが、安定なオルトチタン酸の塩酸水溶液、Ti(OH)Clで表される化合物及びTiO2・xH2Oの塩酸水溶液と考えることができる。
本発明の四塩化チタン水溶液の製造方法によれば、該四塩化チタン水溶液中の不純物成分であるアルミニウム、鉄、バナジウム、ケイ素及びスズの含有量を、いずれも1ppm以下にコントロールすることができる。従って、該四塩化チタン水溶液は、前記したチタン酸バリウムなど電子材料の原料、チタン酸リチウム等の電池材料の原料、あるいは光照射で励起されることにより生じる酸化チタンの光触媒作用また親水性機能を利用した機能性材料等の各種応用製品用途に好適に使用することができる。
次に、本発明の四塩化チタン水溶液の製造方法を、図1又は図2を参照して更に具体的に説明する。図1は、本発明の製造方法をバッチ式で行なう場合の実施形態の一例を示すフロー図である。図1中、反応槽1の上部には、水供給管3、排ガス管9、四塩化チタン供給管4及び回収有機溶媒抜出管6の一方が接続された混合槽2が接続されている。また、反応槽1には、四塩化チタンの有機溶媒溶液と水とを均一に接触させるための攪拌機が具備されている。さらに、反応槽1の側部の上部に有機溶媒を抜き出すための回収有機溶媒抜出管6の他方と、その下部に最終製品としての四塩化チタン水溶液を抜き出すための四塩化チタン水溶液抜出管7が接続され、該回収有機溶媒抜出管6又は四塩化チタン水溶液抜出管7には定量ポンプ8a又は8bが設置されている。また、該回収有機溶媒抜出管6の途中には、反応槽1から抜出した有機溶媒を必要に応じて冷却するための熱交換器10が設置され、有機溶媒を供給するための有機溶媒供給管5が接続されている。
図1中、先ず混合槽2に、四塩化チタン供給管4から四塩化チタンを、有機溶媒供給管5及び回収有機溶媒抜出管6を経て有機溶媒を投入し、混合して均一な四塩化チタンの有機溶媒溶液を調製する。次いで、所定量の該四塩化チタンの有機溶媒溶液を反応槽1に投入して、更に所定量の水を水供給管3から供給する。このとき水の温度は0〜30℃の範囲である。その後攪拌しながら接触工程を行い、四塩化チタン水溶液を生成させる。接触工程が完了した後、攪拌を止め、静置し、回収有機溶媒層11と四塩化チタン水溶液層12の2層に分離させる。そして、四塩化チタン水溶液を四塩化チタン水溶液抜出管7より抜き出し製品とする。抜出した四塩化チタン水溶液は必要に応じて窒素ガスや空気に曝気し、四塩化チタン水溶液中の塩酸濃度を調整するとともに、溶存する有機溶媒を除去する。また、回収有機溶媒を回収有機溶媒抜出管6から抜き出し、混合槽2に投入することにより、該回収有機溶媒を再使用することができる。
また、反応槽1での攪拌速度を調整すれば、四塩化チタンの有機溶媒溶液及び水を、連続的に反応槽1に供給し、且つ生成する四塩化チタン水溶液を反応槽1から連続的に抜き出すと同時に、回収有機溶媒を連続的に抜き出すことにより、連続的な四塩化チタン水溶液の製造を行うことができる。
また、図2は、本発明の製造方法を連続式で行なう場合の実施形態の一例を示すフロー図である。ラインミキサー33には、水供給管23、四塩化チタン供給管24及び回収有機溶媒抜出管26の一方が接続された混合槽22が接続されており、該ラインミキサー33は、分離槽34の側面の中央部に接続している。また、該分離槽34の側部の上部に回収有機溶媒を抜き出すための回収有機溶媒抜出管26の他方と、下部に最終製品としての四塩化チタン水溶液を抜き出すための四塩化チタン水溶液抜出管27が接続され、該回収有機溶媒抜出管26又は四塩化チタン抜出管27には定量ポンプ28a又は28bが設置されている。また、該回収有機溶媒抜出管26の途中には、分離槽34から抜出した回収有機溶媒を必要に応じて冷却するための熱交換器20が設置され、有機溶媒を供給するための有機溶媒供給管5が接続されている。また、ラインミキサー34には、水と四塩化チタンの有機溶媒溶液を均一に接触させるための内部フィンや螺旋板が内設されている。
図2中、予め混合槽22に、四塩化チタン供給管24から四塩化チタンを、有機溶媒供給管25及び回収有機溶媒抜出管26を経て有機溶媒を投入し、混合して四塩化チタンの有機溶媒溶液を調製し、該四塩化チタンの有機溶媒溶液と、水を、ラインミキサー33に連続的に供給する。このとき水の温度は0〜30℃の範囲である。そして、ラインミキサー33中で接触工程を行ない、得た四塩化チタンの有機溶媒溶液と水の混合物を、分離槽34に移送する。該分離槽34中で、回収有機溶媒層31と四塩化チタン水溶液層は2層に分離され、四塩化チタン水溶液抜出管27から四塩化チタン水溶液を抜き出し製品とし、回収有機溶媒抜出管26から回収有機溶媒を抜き出し、混合槽2に投入し、該回収有機溶媒を再使用する。四塩化チタン水溶液及び回収有機溶媒は、分離槽34から、連続的に抜き出すことができるので、図2のフローを用いて本発明の製造方法を行なえば、連続的に四塩化チタン水溶液を製造することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例)
図2に示すフローを有する製造装置を用いて、四塩化チタン水溶液の製造を行なった。予め混合槽22に四塩化チタンを20L、n−ヘプタンを100L投入し、四塩化チタンの有機溶媒溶液を調製した。該四塩化チタンの有機溶媒溶液を560L/時間でラインミキサー33に連続的に供給し、同時に水を400L/時間でラインミキサー33に連続的に供給して接触工程を行なった。次いで接触工程により得た四塩化チタンの有機溶媒溶液と水の混合物を分離槽34に移送し、回収有機溶媒層と四塩化チタン水溶液層に分離させた。分離槽34から、四塩化チタン水溶液を、400L/時間で連続的に抜出し、最終製品とした。また、分離槽34から、回収n−ヘプタンを400L/時間で連続的に抜出し、熱交換器で20℃に冷却後、400L/時間で混合槽22に供給し、同時に四塩化チタンを160L/時間で連続的に混合槽22に供給した。以上の条件で四塩化チタン水溶液の連続製造を10時間行った。
その結果、10時間の連続製造後のラインミキサー33内及び分離槽34内には、固形物の析出はなかった。また、四塩化チタン水溶液の最終製品中にも固形物はなく、品質の良い四塩化チタン水溶液であった。該四塩化チタン水溶液中のチタン含有量は10.1重量%、塩素含有量は29.5重量%であった。この時、四塩化チタン水溶液の製造速度は、平均610kg/時間であった。
(比較例)
図1に示すフローを有する製造装置を用いて、四塩化チタン水溶液の製造を行なった。先ず水供給管3から反応槽1に水を50L投入した。次に、四塩化チタンを四塩化チタン供給管4及び混合槽2を経て、直接反応槽1に160L/時間で供給し、攪拌を行なった。10分経過したところで、水を400L/時間で反応槽1に供給しながら、生成した四塩化チタン水溶液を、反応槽1から400L/時間で抜出した。以上の条件で四塩化チタンの連続製造を行った。その結果、1時間経過した時点で、四塩化チタン水溶液中に白色の固形物が大量に発生したため運転を中止した。
四塩化チタン水溶液の製造をバッチ式で行なう場合のフロー図である。 四塩化チタン水溶液の製造を連続式で行なう場合のフロー図である。
符号の説明
1 反応槽
2、22 混合槽
3、23 水供給管
4、24 四塩化チタン供給管
5、25 有機溶媒供給管
6、26 回収有機溶媒抜出管
7、27 四塩化チタン水溶液抜出管
8a、8b、28a、28b 定量ポンプ
10、20 熱交換器
11、31 回収有機溶媒層
12、32 四塩化チタン水溶液層
33 ラインミキサー
34 分離槽

Claims (6)

  1. 四塩化チタン及び該四塩化チタンに対して反応性がなく且つ相溶性があり、水に対して相溶性がない有機溶媒を混合して得られる四塩化チタンの有機溶媒溶液と、水とを接触させる接触工程を有することを特徴とする四塩化チタン水溶液の製造方法。
  2. 前記有機溶媒が、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物及び有機ケイ素化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の四塩化チタン水溶液の製造方法。
  3. 前記接触工程が、前記四塩化チタンの有機溶媒溶液に、前記水を添加することにより行う接触工程であることを特徴とする請求項1又は2記載の四塩化チタン水溶液の製造方法。
  4. 前記接触工程において、水の比重に対する有機溶媒溶液の比重の比を、略1とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の四塩化チタン水溶液の製造方法。
  5. 前記接触工程の後に、2層分離により四塩化チタン水溶液と回収有機溶媒の分離を行なう2層分離工程を、更に有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の四塩化チタン水溶液の製造方法。
  6. 前記2層分離工程により得た前記回収有機溶媒を、前記有機溶媒として再使用することを特徴とする請求項5記載の四塩化チタン水溶液の製造方法。
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