JP2005173299A - 有機el表示装置および有機el表示装置の基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 COG実装により形成される有機EL表示装置に対して、短時間で効率的にエージング処理を施す。
【解決手段】 走査電極引き回し配線11が、矩形の基板における左辺の近傍の領域に配置され、データ電極1に有機EL表示装置100外から信号を供給するためのデータ電極接続配線5が、矩形の基板における上辺とデータ電極1との間に形成され、走査電極2に有機EL表示装置100外から信号を供給するための走査電極接続配線6が、矩形の基板における右辺走査電極2との間に形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 走査電極引き回し配線11が、矩形の基板における左辺の近傍の領域に配置され、データ電極1に有機EL表示装置100外から信号を供給するためのデータ電極接続配線5が、矩形の基板における上辺とデータ電極1との間に形成され、走査電極2に有機EL表示装置100外から信号を供給するための走査電極接続配線6が、矩形の基板における右辺走査電極2との間に形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、効率的なエージング処理を行うことができる有機EL表示装置に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置は、対向して設けられた陽極と陰極との間に配置された有機EL層に電流が供給されると自発光する電流駆動型の表示装置である。有機EL表示装置は半導体発光ダイオードに似た特性を有しているので有機LEDと呼ばれることもある。
有機EL表示素子は、ガラス基板上に陽極に接続されるかまたは陽極そのものを形成する複数の陽極配線が平行して配置され、陽極配線と直交する方向に、陰極に接続されるかまたは陰極そのものを形成する複数の陰極配線が平行して配置され、両電極間に有機EL層が挟持された構造を有する。陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子において、陽極配線と陰極配線との交点が画素となる。すなわち、画素がマトリクス状に配置されている。一般に、陰極配線は金属で形成され、陽極配線はITO(インジウム・錫・酸化物)などの透明導電膜で形成される。
陽極配線と陰極配線とがマトリクス状に配置された有機EL表示素子を単純マトリクス駆動法によって駆動する場合、陽極配線と陰極配線とのうちのいずれか一方を走査電極とし、他方をデータ電極とする。そして、定電圧回路を備えた走査電極駆動回路を走査電極に接続し、走査電極を定電圧駆動する。データ電極には、出力段に定電流回路が備えられたデータ電極駆動回路を接続する。そして、選択状態にある走査電極に対応する行の表示データに応じた電流を、走査に同期して各データ電極に供給する。
有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置を定電流で駆動していると、時間が経つにしたがって輝度が低下していく。初期輝度が高いほど輝度低下の割合は大きく、例えば、初期輝度が倍になれば、輝度が半減するまでの時間はおおよそ半分程度になる。さらに、発光していた時間が長い画素ほど暗くなるので、画素によって輝度が異なるという現象を引き起こす。この現象を「焼き付き」と呼ぶ。隣接している画素であれば3〜5%程度の輝度差があれば、輝度差があることが視認されてしまう。
通電によって、有機EL表示装置の輝度は、初期に大きく低下し、その後は緩やかに低下することが多い。輝度がそのように低下する場合には、有機EL表示装置をしばらく駆動して輝度低下したものを新たに初期状態とすると、その後の低下の仕方が緩やかになる。有機EL表示装置が実際の使用に供される前(実稼働の前)に、有機EL表示装置をしばらく駆動して輝度低下させる処理をエージング処理(以下、寿命エージング処理という。)と呼ぶ。
寿命エージング処理において、有機EL表示装置の陽極配線同士をリード線で短絡して電圧印加装置に接続し、かつ、陰極配線同士をリード線で短絡して電圧印加装置に接続する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。そして、電圧印加装置から、所定期間、陽極配線同士を接続するリード線と陰極配線同士を接続するリード電極と間に電圧パルスを印加する。
また、有機EL表示装置の製造時に、陽極と陰極との間に配されている有機EL層にごみ等の異物が混入したり、陽極に突起が生じて突起が有機EL層に侵入したりすることがある。そして、有機EL表示装置の実稼働中に、異物等に電荷が集中し局所的に熱が発生すると、有機EL層における有機物の分解が進む。すると、ついには有機物が陰極とともに裂け、陽極と陰極との短絡(層間短絡)が生ずる。短絡が生ずると、実稼働中に、特定の画素が発光しなくなる現象が生ずる。
実稼働中にそのような現象が発生することを避けるために、あらかじめ、異物が混入している欠陥部を電気的な開放状態である絶縁状態にしたり酸化により不導体化したりするエージング処理(以下、短絡エージング処理という。)が行われる(例えば、特許文献2)。短絡エージング処理は、陽極と陰極との間に、所定時間パルス状の直流電圧を印加することによって実行される。
有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置を作製する場合、一般に、1枚の大型のガラス基板上に複数の有機EL表示素子を形成する。一般的な製造工程は、図4の工程図に示すように、1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るために有機EL表示素子ごとにガラスなどの対向基板によって外気から隔離する封止工程と、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示素子に分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、有機EL表示素子に駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を得る実装工程とを順に実施することによって成り立っている。
短絡エージング処理および寿命エージング処理を効率的に実行するために、切断工程よりも前にそれらのエージング処理が実施されることが好ましい。切断工程よりも前にエージング処理を実施するために、多数の有機EL表示素子が形成されるガラス基板上に、エージング処理用の電圧を印加するための配線であって有機EL表示装置外に設置される電圧印加装置に接続可能な配線を形成し、多数の有機EL表示素子の陽極配線と有機EL表示素子の陰極配線との間に一括して電圧を印加する方法を提案した(特願2002−310196)。そのような配線による陽極配線の接続状態および陰極配線の接続状態は、切断工程において、配線が分断されることによって解消される。その方法によれば、多数の有機EL表示素子に対して短時間で効率的にエージング処理を施すことができる。
しかし、有機EL表示装置には、同一基板上に有機EL表示素子と駆動回路とが実装されるCOG(チップ・オン・グラス)実装によって作製されるものがあるが、COG実装による有機EL表示装置に対して、既に提案した方法を適用することが難しい場合がある。
図6はCOG実装による有機EL表示装置200を模式的に示す平面図である。駆動回路としてのドライバIC8の裏面における左辺の近傍に、走査電極を駆動する信号を出力するための接続用パッド(図示せず)が設けられている。また、ドライバIC8の裏面における上辺の近傍に、データ電極を駆動するための信号を出力するための接続用パッド(図示せず)が設けられている。すなわち、ドライバIC8は表面実装型のICである。
以下、陽極配線がデータ電極であり、陰極配線が走査電極であるとする。図6に示すように、配線(以下、データ電極引き回し配線という。)10がドライバIC8の上辺から有機EL表示素子7に延び、配線(以下、走査電極引き回し配線という。)11がドライバIC8の上辺と直交する辺から有機EL表示素子7に延びている場合には、既に提案した方法を適用することは難しい。全ての走査電極引き回し配線11を有機EL表示装置200の外部において電気的に接続するためのそれぞれの経路(配線)を、ガラス基板上において確保することが難しいからである。
従って、COG実装による有機EL表示装置については、切断工程の後にエージング処理を実施せざるを得ない。そのために、エージング処理のために駆動しなければならない有機EL表示装置の数が多くなる。特に、2インチ角などの小型の有機EL表示装置を得る場合には、1枚のガラス基板から数10枚の有機EL表示装置が分離される。その結果、多数の有機EL表示装置をエージング処理しなければならない。また、電源装置に接続するための多数のリード線を設置しなければならない。従って、エージング処理のために大きな労力がかかる。
また、COG実装による有機EL表示装置では、実装されているドライバICからエージング処理のための電圧を供給することになる。しかし、ドライバICの出力可能電圧には限界がある。よって、特に、短絡エージング処理を実施する場合に、欠陥部を不導体化する等の現象を十分に出し尽くせないおそれがある。
本発明は、上記のような課題を解決するための発明であって、COG実装により形成される場合でも、短時間で効率的にエージング処理を施すことが可能になって、エージング処理に要する労力を低減することができる有機EL表示装置、および有機EL表示装置の基板を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、複数のデータ電極、複数の走査電極および発光層を有する有機EL表示素子を搭載した矩形の基板における第一辺(図1に示す矩形の下辺)の近傍に、有機EL表示素子を駆動する集積回路による駆動回路が搭載され、データ電極のそれぞれが、データ電極引き回し配線を介して駆動回路に接続され、走査電極のそれぞれが、走査電極引き回し配線を介して駆動回路に接続された有機EL表示装置であって、データ電極引き回し配線が、基板における有機EL表示素子と駆動回路との間の領域に配置され、走査電極引き回し配線が、基板における第一辺と直交する辺である第二辺(図1に示す矩形の左辺)の近傍の領域に配置され、データ電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線が、第一辺と対向する辺である第三辺(図1に示す矩形の上辺)とデータ電極との間に形成され、走査電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線が、第二辺と対向する辺である第四辺と(図1に示す矩形の右辺)走査電極との間に形成されてなる有機EL表示装置を提供する。
本発明の態様2は、複数のデータ電極、複数の走査電極および発光層を有する有機EL表示素子を搭載した矩形の基板におけるの近傍に、有機EL表示素子を駆動する集積回路による駆動回路が搭載され、データ電極のそれぞれが、データ電極引き回し配線を介して駆動回路に接続され、走査電極のそれぞれが、走査電極引き回し配線を介して駆動回路に接続された有機EL表示装置において、データ電極引き回し配線が、基板における第一辺と直交する辺である第二辺の近傍の領域に配置され、走査電極引き回し配線が、基板における有機EL表示素子と駆動回路との間の領域に配置され、データ電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線が、第二辺と対向する辺である第四辺とデータ電極との間に形成され、走査電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線が、第一辺と対向する辺である第三辺と走査電極との間に形成されてなる有機EL表示装置を提供する。
本発明の態様3は、態様1または態様2において、第一のエージング用配線または第二のエージング用配線が透明導電膜で形成され、透明導電膜の配線長/配線幅であるアスペクト比が20以上である有機EL表示装置を提供する。
本発明の態様4は、1枚の大型基板(それぞれの矩形基板と比較して大型の意味。)に態様1ないし態様3の有機EL表示装置が複数形成され、全ての矩形の基板における第一のエージング用配線が電気的に接続され、全ての矩形の基板における第二のエージング用配線が電気的に接続されてなる有機EL表示装置の基板を提供する。
有機EL表示装置がCOG実装により形成される場合に、短時間で効率的に短絡エージング処理および寿命エージング処理を施すことが可能になって、エージング処理に要する労力を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の有機EL表示装置100を示す平面図である。図2は、1枚のガラス基板(大型基板)上に形成されている複数の有機EL表示装置を示す平面図である。なお、本実施の形態では、陽極配線をデータ電極とし、陰極配線を走査電極とするが、陰極配線をデータ電極とし、陽極配線を走査電極としてもよい。
図1に示すように、有機EL表示装置100の矩形の基板には、有機EL表示素子(表示面)7と1チップLSIであるドライバIC8とが実装されている。すなわち、本実施の形態の有機EL表示装置100は、矩形の基板上に、有機EL表示素子7と駆動回路とが実装されるCOG(チップ・オン・グラス)実装によって作製されるものである。
ドライバIC8には、走査電極2を駆動する走査電極駆動回路と、データ電極1を駆動するデータ電極駆動回路とが内蔵されている。ドライバIC8のデータ出力端子と各データ電極(本実施の形態では陽極配線)1とはデータ電極引き回し配線(本実施の形態では陽極配線引き回し配線)10で接続されている。ドライバIC8の走査出力端子と各走査電極(本実施の形態では陰極配線)2とは走査電極引き回し配線(本実施の形態では陰極配線引き回し配線)11で接続されている。
ドライバIC8には、有機EL表示装置100の外から、有機EL表示装置100の下辺(四辺のうち図1において下側に図示されている辺)の近傍に形成されている入力信号線9によって、表示データに応じた信号や電力が供給される。また、ドライバIC8の裏面における左辺の近傍に、走査電極引き回し配線11を接続するための接続用パッド(図示せず)が設けられ、ドライバIC8の裏面における上辺(四辺のうち図1において上側に図示されている辺)の近傍に、データ電極引き回し配線を接続するための接続用パッド(図示せず)が設けらている。すなわち、ドライバIC8は表面実装型のICである。
有機EL表示装置を作製するときに、図2に示すように、1枚のガラス基板上に複数の有機EL表示装置が形成される。また、ガラス基板上に、データ電極用のエージング用共通配線としての第1の共通配線3の配線パターンと、走査電極用のエージング用共通配線としての第2の共通配線4の配線パターンとが形成される。
有機EL表示装置100における各データ電極1は、第1のエージング接続用配線としてのデータ電極接続配線5によって、有機EL表示装置100の上辺(四辺のうち入力信号線9の端部が存在する辺と反対側の辺)を介して第1の共通配線3に接続される。全ての第1の共通配線3は、ガラス基板上の図2の図示範囲外の部分で電気的に接続される。また、各有機EL表示素子における各走査電極2は、第2のエージング接続用配線としての走査電極接続配線6によって、有機EL表示装置100の右辺(ガラス基板において、有機EL表示素子7に対して、走査電極引き回し配線11が形成される領域とは反対側の領域の辺)を介して第2の共通配線4に接続される。全ての第2の共通配線4は、ガラス基板上の図2の図示範囲外の部分で電気的に接続される。
従って、1枚の大型のガラス基板上で、全ての矩形の基板における第1のエージング用配線としてのデータ電極接続配線5が第1の共通配線3を介して電気的に接続され、全ての矩形の基板における第2のエージング用配線としての走査電極接続配線6が第2の共通配線4を介して電気的に接続される。よって、切断工程前において、全ての有機EL表示装置100における各走査電極2に、第2の共通配線4から同じ信号を供給することができる。また、切断工程前において、全ての有機EL表示装置100における各データ電極1に、第1の共通配線3から同じ信号を供給することができる。その結果、多数の有機EL表示装置100に対して一括してエージング処理を実施することができる。
第1の共通配線3とデータ電極接続配線5との接続は、切断工程において分断される。また、第2の共通配線4と走査電極接続配線6の接続も、切断工程において分断される。
図3は、本発明の有機EL表示装置100の製造方法の一例を説明するための工程図である。図3に示す工程では、各有機EL表示装置100は、1枚のガラス基板上に配線群および複数の有機EL層を形成する有機EL素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るためにガラスなどの対向基板で有機EL表示装置ごとに外気から隔離する封止工程と、有機EL表示装置100にエージングを施すエージング処理を実行するエージング工程と、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示装置100に分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、ドライバIC8を実装する実装工程とを経て作製される。
有機EL素子形成工程では、ガラス基板上にITOを成膜し、ITOをエッチングして、データ電極1と、データ電極接続配線5および走査電極接続配線6とを形成する。次に、金属膜を成膜し、金属膜をエッチングしてデータ電極引き回し配線10および走査電極引き回し配線11と、第1の共通配線3および第2の共通配線4とを形成する。その層の上に、感光性のポリイミド樹脂である絶縁膜を塗布する。そして、露光現像等を行って、有機EL表示素子7において各画素の発光部となる開口部を形成する。さらに、その上に、有機EL層としての有機薄膜を積層する。有機薄膜として、順に、第1正孔輸送層、第2正孔輸送層、発光層、陰極界面層を形成する。最後に、走査電極2として、アルミニウム等の金属で陰極配線を形成し、走査電極引き回し配線11に接続する。
有機EL素子形成工程が終了すると、ガラス基板上に形成された複数の単純マトリクス型の有機EL表示素子におけるそれぞれのデータ電極1がガラス基板上でデータ電極接続配線5を介して第1の共通配線3に電気的に接続され、複数の有機EL表示素子におけるそれぞれの走査電極2がガラス基板上で走査電極接続配線6を介して第2の共通配線4に電気的に接続された構造を有する有機EL表示装置用基板が形成される。
封止工程では、有機EL素子形成工程でガラス基板上に形成された有機EL層を水分から守るために、第2の基板としての他のガラス基板1枚を、ガラス基板に対して対向配置し、間隙材としての周辺シール材によって双方のガラス基板を接合する。そして、2枚のガラス基板と周辺シール材とによって形成された封止空間の内部に乾燥窒素ガスを封入する。
次いで、エージング工程において短絡エージング処理と寿命エージング処理とを実行する。データ電極1および走査電極2にエージングのための通電処理を行うために、第1の共通配線3および第2の共通配線4にエージング用の電圧印加装置を接続する。短絡エージング処理では、逆バイアス(データ電極よりも走査電極の電圧が高くなる。)が実際の駆動時よりも大きくなるように電圧を印加する。寿命エージング処理では、より短い時間で所望の輝度低下をさせるために、エージング処理での各画素の輝度が、有機EL表示装置として定格の表示動作をしているときの輝度よりも高くなるように通電の条件を設定する。例えば、有機EL表示装置としての輝度仕様が200cd/m2であれば、400cd/m2で発光するように通電する。有機EL表示装置としての輝度仕様に対して2倍の高輝度で発光させることによって、有機EL表示装置としての輝度仕様でエージングを行う場合に比べて、約半分の時間でエージング工程が完了する。
切断工程で、ガラス基板を切断して複数の有機EL表示装置100に分離する。すなわち、それぞれのデータ電極1とそれぞれの走査電極2とを、第1の共通配線3および第2の共通配線4から分離する。切断位置は、データ電極1および走査電極2にかかっていてもよい。次いで、光学フィルム貼付工程で、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを有機EL表示素子に貼り付ける。そして、実装工程で、ドライバIC8を実装し、入力信号線9に外部からの信号を伝達するフレキシブルケーブルを接続して図1に示す有機EL表示装置100を得る。
なお、一般に、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示素子を形成する場合に、切断工程において、ガラス基板の端部が切り落とされて廃棄される。従って、複数の有機EL表示素子の外に形成される第1の共通配線3および第2の共通配線4の部分を、切り落とされる部分に設ければ、第1の共通配線3および第2の共通配線4を形成してもガラス基板において無駄が生ずることはない。
また、切断工程の実施後に有機EL表示装置100の内部に第1の共通配線3および第2の共通配線4の部分を残すように切断してもよい。その場合には、第1の共通配線3および第2の共通配線4の部分を封止工程において周辺シール材が設置される領域に設ければ、やはり、第1の共通配線3および第2の共通配線4を形成してもガラス基板において無駄が生ずることはない。
なお、切断工程において、1枚の大型のガラス基板(マザー基板)を切断して1個ずつの有機EL表示素子7にする際に、切り落とされるダミー領域の面積は小さい方が好ましい。製造効率の観点から、マザー基板の面積に占めるダミー領域の面積の比率を20%以下であるようにする。好ましくは、10%以下にする。
以上に説明したように、本実施の形態では、エージング工程において、複数の有機EL表示素子に一括して通電することができる。その結果、エージング処理を実行する際の作業の労力が削減される。また、エージング工程が光学フィルム貼付工程の前に実施されるので、エージング処理を高温の環境下で実施することができる。
なお、第1の共通配線3および第2の共通配線4として、低抵抗である金属配線を使用する。また、データ電極接続配線5および走査電極接続配線6として、金属配線よりも高抵抗な透明導電膜配線を使用する。そのような材料を用いた場合には、第1の共通配線3および第2の共通配線4によってすべての有機EL表示素子に均一に電圧が印加される。さらに、一つの有機EL表示素子において陽極と陰極の間で短絡が生じたとしても、個々のデータ電極接続配線5および走査電極接続配線6に接続される高抵抗の接続配線によって、その有機EL表示素子に電流が集中して過熱焼損したりすることはない。また、第1の共通配線3および第2の共通配線4で電圧降下が大きくなって、他の有機EL表示素子に印加される電圧が低下することを防止することができる。
また、第1の共通配線3および第2の共通配線4として使用する金属は、面抵抗が0.2Ω/□以下で、配線幅が200μm以上であると、低抵抗が得られ好ましい。また、ガラス基板上の占有面積(切り落とされる部分における占有面積および周辺シール材が設置される部分における占有面積)を考慮すると3mm以下であることが好ましい。配線材料として、アルミニウム、アルミニウムと他の金属の積層構造、または銀系の合金などを使用すること好ましい。データ電極接続配線5および走査電極接続配線6としてITOなどの透明導電膜配線が使用されるが、その面抵抗は5Ω/□以上で、アスペクト比(配線長/配線幅)が20以上であると、高抵抗が得られ好ましい。ガラス基板上の占有面積を考慮すると、配線長は1mm以下であることが好ましいので、配線幅は50μm以下であることが好ましい。
また、本実施の形態では、図5(A)の概念図に示すように、データ電極引き回し配線10が、基板における有機EL表示素子7とドライバIC8との間の領域に配置され、走査電極引き回し配線11が、基板における第一辺と直交する辺である第二辺の近傍の領域に配置され、データ電極1に有機EL表示装置100外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線としてのデータ電極接続配線5が、第一辺と対向する辺である第三辺とデータ電極1との間に形成され、走査電極2に有機EL表示装置100外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線としての走査電極接続配線6が、第二辺と対向する辺である第四辺と走査電極1との間に形成されている。
しかし、図5(B)の概念図に示すように、データ電極引き回し配線10が、基板における第一辺と直交する辺である第二辺の近傍の領域に配置され、走査電極引き回し配線11が、基板における有機EL表示素子7とドライバIC8との間の領域に配置され、データ電極1に有機EL表示装置100外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線としてのデータ電極接続配線5が、第二辺と対向する辺である第四辺とデータ電極1との間に形成され、走査電極2に有機EL表示装置100外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線としての走査電極接続配線6が、第一辺と対向する辺である第三辺と走査電極2との間に形成されていてもよい。なお、第二辺と第四辺との位置の定義は、図5(A),(B)に示す位置の定義と逆であってもよい。また、図5(B)に示す構成において、ドライバIC8の設置位置は、図5(B)に示す位置に対して90°回転させた位置であってもよい。
本発明は、1枚のガラス基板上に多数の有機EL表示装置が形成される場合であって、COG実装により形成される有機EL表示装置に適用される。
1 データ電極(陽極配線)
2 走査電極(陰極配線)
3 第1の共通配線
4 第2の共通配線
5 データ電極接続配線(第1のエージング接続用配線)
6 走査電極接続配線(第2のエージング接続用配線)
7 有機EL表示素子
8 ドライバIC
10 データ電極引き回し配線(陽極配線引き回し配線)
11 走査電極引き回し配線(陰極配線引き回し配線)
100 有機EL表示装置
2 走査電極(陰極配線)
3 第1の共通配線
4 第2の共通配線
5 データ電極接続配線(第1のエージング接続用配線)
6 走査電極接続配線(第2のエージング接続用配線)
7 有機EL表示素子
8 ドライバIC
10 データ電極引き回し配線(陽極配線引き回し配線)
11 走査電極引き回し配線(陰極配線引き回し配線)
100 有機EL表示装置
Claims (4)
- 複数のデータ電極、複数の走査電極および発光層を有する有機EL表示素子を搭載した矩形の基板における第一辺の近傍に、有機EL表示素子を駆動する集積回路による駆動回路が搭載され、
前記データ電極のそれぞれが、データ電極引き回し配線を介して前記駆動回路に接続され、
前記走査電極のそれぞれが、走査電極引き回し配線を介して前記駆動回路に接続された有機EL表示装置において、
前記データ電極引き回し配線は、前記基板における前記有機EL表示素子と前記駆動回路との間の領域に配置され、
前記走査電極引き回し配線は、前記基板における前記第一辺と直交する辺である第二辺の近傍の領域に配置され、
前記データ電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線が、前記第一辺と対向する辺である第三辺と前記データ電極との間に形成され、
前記走査電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線が、前記第二辺と対向する辺である第四辺と前記走査電極との間に形成されてなる有機EL表示装置。 - 複数のデータ電極、複数の走査電極および発光層を有する有機EL表示素子を搭載した矩形の基板における第一辺の近傍に、有機EL表示素子を駆動する集積回路による駆動回路が搭載され、
前記データ電極のそれぞれが、データ電極引き回し配線を介して前記駆動回路に接続され、
前記走査電極のそれぞれが、走査電極引き回し配線を介して前記駆動回路に接続された有機EL表示装置において、
前記データ電極引き回し配線は、前記基板における前記第一辺と直交する辺である第二辺の近傍の領域に配置され、
前記走査電極引き回し配線は、前記基板における前記有機EL表示素子と前記駆動回路との間の領域に配置され、
前記データ電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第一のエージング接続用配線が、前記第二辺と対向する辺である第四辺と前記データ電極との間に形成され、
前記走査電極に有機EL表示装置外から信号を供給するための第二のエージング接続用配線が、前記第一辺と対向する辺である第三辺と前記走査電極との間に形成されてなる有機EL表示装置。 - 第一のエージング用配線または第二のエージング用配線が透明導電膜で形成され、前記透明導電膜の配線長/配線幅であるアスペクト比が20以上である請求項1または2に記載の有機EL表示装置。
- 1枚の大型基板に請求項1、2または3に記載の有機EL表示装置が複数形成され、全ての矩形の基板における第一のエージング用配線が電気的に接続され、全ての矩形の基板における第二のエージング用配線が電気的に接続されてなる有機EL表示装置の基板。
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