JP2005172734A - 簡易型インパルス試験装置 - Google Patents

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佳平 金子
Shunichi Yanagawa
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Abstract

【課題】必要最小限の機能を備えて構成が簡単で軽量な簡易型インパルス発生装置及び測定装置を実現する。雷撃時の電流分布を簡易かつ的確に把握できるようにする。
【解決手段】通信設備に対して模擬的にインパルス電圧を印加し、その際に通信設備内の各部を流れる電流を測定するインパルス試験装置に関する。雷撃によるインパルス電圧の印加が想定される部位相互間に所定のインパルス電圧を印加する簡易型インパルス発生装置100と、前記インパルス電圧によって少なくとも通信機器11を含む接地経路を流れる電流の波高値及び極性を変流器220により検出し、かつ、これらを表示する測定装置本体210とからなる簡易型インパルス測定装置200と、から構成され、前記インパルス発生装置100及びインパルス測定装置200を可搬型に形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば無線中継所における通信機械室等の各種通信設備に対して模擬的にインパルス電圧を印加し、その際に通信設備内の各部を流れる電流の波高値、極性を測定することにより、雷撃による雷サージ侵入経路や電流分布の解析、耐雷対策の立案、検討を行うための簡易型インパルス試験装置に関するものである。
無線中継所等において雷撃による通信機器の破損を未然に防止するため、雷撃時の雷サージ侵入経路や電流分布を解析する各種のインパルス試験装置が提供されている。
従来、これらのインパルス試験装置としては、例えば無線中継所の無線鉄塔にインパルス電圧を模擬的に印加し、通信機械室等の設備全体の電流分布等を測定するものが知られている。
一方、下記の特許文献1、特許文献2に示すように、電話機等の宅内通信機器に対する耐雷試験を行う耐雷試験器または耐雷試験方法が知られている。
このうち、特許文献1に記載された耐雷試験器は、通信線大地帰路回路の特性インピーダンスを近似し、かつ、宅内通信機器の接地インピーダンスを近似した回路定数を有するもので、実際の雷撃に対応した電圧波形のシミュレート機能を備えている。
更に、特許文献2に記載された耐雷試験方法は、商用電源を使用する宅内通信機器に対し、内部電子回路に給電して実際の使用状態に近い状況で耐雷試験を行うものである。
特開平5−249200号公報(段落[0010]〜[0012],[0037]等) 特開平5−327846号公報(段落[0013]〜[0016],[0036]等)
従来のインパルス試験装置は、通信設備への印加電圧値や測定電流値が概して大きい値であり、装置全体が大型で重量も重いため、可搬型とすることが困難であり、使い勝手の悪いものであった。また、ディスプレイを用いた波形観測機能を有するため、価格も高いという問題があった。
更に、特許文献1に記載された耐雷試験器は印加電圧波形のシミュレート機能等が回路を複雑にし、また特許文献1,2の何れも電流分布の解析等を目的とするものではない。
そこで本発明は、必要最小限の機能を備えて構成が簡単で軽量な簡易型インパルス発生装置及び簡易型インパルス測定装置を実現し、通信設備の所定部位にインパルス電圧を印加した際に流れるインパルス電流の波高値及び極性を測定、表示して雷撃時の電流分布を簡易かつ的確に把握できるようにした簡易型インパルス試験装置を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載した簡易型インパルス試験装置は、通信設備に対して模擬的にインパルス電圧を印加し、その際に通信設備内の各部を流れる電流を測定するインパルス試験装置において、
雷撃によるインパルス電圧の印加が想定される部位相互間に所定のインパルス電圧を印加する簡易型インパルス発生装置と、
前記インパルス電圧によって少なくとも通信機器を含む接地経路を流れる電流の波高値及び極性を変流器により検出し、かつ、これらを表示する測定装置本体とからなる簡易型インパルス測定装置と、
から構成され、
前記簡易型インパルス発生装置及び簡易型インパルス測定装置を可搬型に形成したものである。
請求項2に記載した簡易型インパルス試験装置は、請求項1において、
前記簡易型インパルス発生装置によるインパルス電圧の印加部位が、マイクロ波通信用の導波管と通信設備内の環状接地母線の立ち上がり箇所との間であることを特徴とする。
請求項3に記載した簡易型インパルス試験装置は、請求項1または2において、
前記簡易型インパルス測定装置の変流器が、クランプ式の変流器であることを特徴とする。
請求項4に記載した簡易型インパルス試験装置は、請求項1,2または3において、
前記簡易型インパルス測定装置の測定装置本体が、測定した電流の波高値及び極性を発光ダイオードによりディジタル表示することを特徴とする。
本発明によれば、簡易型インパルス発生装置及び簡易型インパルス測定装置の機能を必要最小限に絞り込むことにより、これら両装置の小形化、軽量化、低価格化を図り、その可搬性、簡易な操作性によって各種通信設備の簡易インパルス試験に要する労力、時間、コストを大幅に削減することができる。
特に本発明によれば、試験対象設備周辺の電流分布等を簡単に測定することができ、各通信設備に対応した最適な接地線構成を得るための基礎資料の入手に有益である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態の使用状態を示す概要図である。
図1において、10は通信機械室であり、その内部には、例えばマイクロ波通信用の通信機器(マイクロ無線機)11が設置されている。一方、20は屋外の鉄塔であり、その頂部にはアンテナ21が取り付けられ、このアンテナ21と前記通信機器11とは導波管22により接続されている。
通信機械室10の内部には環状接地母線31が敷設され、この母線31には前記通信機器11の接地端子が接続されていると共に、環状接地母線31はメッシュ接地線33を介して接地されている。なお、鉄塔20、導波管22及び通信機械室10自体もメッシュ接地線33を介して接地されている。32は導波管22の接地線である。
さて、100は本発明を構成する簡易型インパルス発生装置、200は簡易型インパルス測定装置である。
インパルス発生装置100は、雷撃によるインパルス電圧の印加箇所を想定し、その部位相互間に、インパルス電圧による電位差相当の所定電圧を印加するためのものであり、インパルス電圧の印加箇所は、通信機械室10への雷サージの流入箇所と流出箇所との間(例えば、図1に示すように導波管22と環状接地母線31の立ち上がり箇所との間、環状接地母線31の立ち上がり箇所相互間、機器の相互間など)である。
インパルス測定装置200は、後述する如く測定装置本体と電流検出用のクランプ式の変流器(CT)とから構成されている。この変流器は、雷撃によるインパルス電流の測定箇所(例えば、図1に示すように通信機器11の接地線、環状接地母線31、導波管22の接地線32、環状接地母線31の立ち上がり箇所など)に取り付け可能であり、最大で4チャンネルまで同時に測定可能となっている。
図2は、インパルス発生装置100の正面外観図を示しており、101は内部のコンデンサへの充電電圧表示メータ、102は充電電圧調整用のスライダック、103はインパルス電圧を印加するためのケーブル接続用の出力端子部、104はこの端子部を覆う安全用の透明カバー、105は前記コンデンサへの充電を開始するための充電ボタン、106はインパルス電圧の印加を開始するための印加ボタン、107は充電完了を点灯表示する充電ランプ、108は非常時用(充電電圧放電用)のリセットボタン、109は照光式の電源スイッチである。
また、図3はインパルス発生装置100の主回路を示したもので、 110は商用の交流電源が供給される電源コネクタ、109は前述の電源スイッチ、112はヒューズ、113はバリスタ等からなる過電圧保護回路、114はノーヒューズブレーカ、115は交流電源を整流平滑して制御回路(図示せず)の直流電源電圧を得るための直流電源供給部、116は前記充電ボタン105を押すことによってリレー(図示せず)によりオン操作される充電用主スイッチ、102は前述のスライダック、117は昇圧用のトランス、118は整流ダイオード、119はインパルス電圧を充電するためのコンデンサ、101は前述の充電電圧表示メータ、120はメータ101に付随する抵抗群、121はインパルス電圧印加用のギャップ式スイッチ、122は非常時の充電電圧放電用のギャップ式スイッチ、123は放電抵抗、124はリアクトル、125は出力抵抗、103は前述の出力端子部である。なお、このインパルス発生装置100は、最大で6[kV]までの電圧を出力可能である。
ここで、ギャップ式スイッチ121は、前記印加ボタン106の押圧操作により図示されていないリレー、ソレノイド等を介してオンされ、ギャップ式スイッチ122は前記リセットボタン108の押圧操作により同じくリレー、ソレノイド等を介してオンされるように構成されている。
図4は、インパルス測定装置200の正面外観図であり、測定装置本体210と、クランプ式の変流器220とからなっている。
測定装置本体210は4チャンネル分の電流測定部を備えており、201は測定したインパルス電流の波高値及び極性をディジタル表示する7セグメントLEDからなる電流表示部、202は変流器220側のコネクタ221を接続するためのコネクタ、203は表示されている測定値をリセットするためのリセットスイッチ、204は照光式の電源スイッチである。
一方、変流器220は、測定部位のケーブル(接地線等)を中央の孔に挟み込むように開閉可能な周知のクランプ式であり、同軸ケーブル222及び前記コネクタ221を備えている。
なお、上記変流器220及び測定装置本体210からなるインパルス測定装置200は、1〜300[A]の電流を測定可能である。
ここで、表1に、本実施形態の簡易型インパルス発生装置100と従来使用していた試験器との仕様の比較結果を示し、表2に、本実施形態の簡易型インパルス測定装置200と従来使用していた試験器との仕様の比較結果を示す。なお、これら各装置100,200の仕様はあくまで一例を示したもので、本発明の作用効果を損なわない範囲で任意に変更できることはいうまでもない。
Figure 2005172734
Figure 2005172734
次に、この実施形態の簡易型インパルス試験装置を使用した、電流分布測定試験について述べる。
図5は、この測定試験を行った通信機械室10の平面図である。
図5において、301は通信機械室10の鉄筋、302は接地箱、303は導波管22の内部調湿用のデハイドレータ、305は通信機器11を含む各種機器が設置されたストラクチャを示している。また、A1,A2,A3,A5,A7,A8及びA6−1〜A6−5は、インパルス測定装置200の変流器220による電流の測定箇所である。
更に、図5における測定箇所A8の近くに記されたRECTは、他フロア(この例では地下1階)に接地された整流器を意味するが、その接続先は整流器に限定されるものではない。
ここでは、電流の測定箇所を図5のような11箇所に設定した時の試験を試験(1)とし、これらの11箇所に加えて、環状接地母線31を鉄筋301の四隅に接続線にて接続した際にその接続線にそれぞれ流れる電流も測定した時の試験を試験(2)とし、更に、試験(1)における環状接地母線31の立ち上がり箇所(接地箱302付近)を導波管22の貫通部付近に変更した時の試験を試験(3)とする。
図6は、上記測定試験における概略的な接続構成を示す図である。図6において、34はスイッチであり、これらのスイッチ34は、試験(1),(3)を実施する際には開放されると共に、試験(2)を実施する際に閉じられて環状接地母線31が鉄筋301の四隅に接続される。
また、試験(3)を実施する場合には、接続線aを切り離して接続線bが接続される。
上記のように測定箇所を設定して、各試験(1)〜(3)を行った場合の電流分布(通電電流の波高値及び分流比)を示す試験結果を表3に示す。
なお、表3の測定箇所A3の欄において、「マイクロ無線機」とは図5、図6における通信機器11を意味し、「FG線」とはそのフレーム接地線を意味している。
更に、表3における測定箇所A4−1〜A4−4(鉄筋四隅通電電流)は、煩雑になるのを避けるために図5では便宜的に示されていない。
Figure 2005172734
なお、簡易型インパルス発生装置100による模擬的なインパルス電圧の印加部位は、図5、図6に示す如く、導波管22と環状接地母線31の立ち上がり箇所(接地箱302付近)との間とした。この印加電圧の大きさは、雷撃によって生じる電位差を想定し、通信機器11を含む各機器に異常を来たさない限度でコンデンサ119の充電電圧を徐々に上げていくことにより決定した。その結果、インパルス発生装置100から出力される電流(測定箇所A1の電流)は約100[A]、コンデンサ119の充電電圧は2[kV]となった。
表3のような電流分布は、通信機械室10の最適な接地線構成を立案、検討するための重要な基礎資料になると共に、例えば通信機器11(マイクロ無線機)から接地線に流れる電流値を比較することにより、試験(2)のような接地線構成をとれば通信機器11を流れる電流を試験(1),(3)に比べて減少可能であるといった結論を得ることができる。
更に、この実施形態によれば、インパルス電流波形の波高値(周波数10[kHz]〜50[kHz]に対して)を忠実に測定可能であり、この波高値による分流比のみを確認することに限れば、従来のインパルス試験においてオシロスコープ等により波形観測する場合と比べて遜色のない性能を有することが確認された。
また、先の表1、表2等から明らかなように、本実施形態によれば、各装置100,200の重量や外形寸法を大幅に削減し、小型軽量で持ち運びも容易であり、極めて使い勝手の良い簡易型インパルス試験装置を提供することができる。
本発明の実施形態の使用状態を示す概要図である。 簡易型インパルス発生装置の正面外観図である。 簡易型インパルス発生装置の主回路図である。 簡易型インパルス測定装置の正面外観図である。 電流分布測定試験を行った通信機械室の平面図である。 図5の測定試験における概略的な接続構成を示す図である。
符号の説明
10:通信機械室
11:通信機器
20:鉄塔
21:アンテナ
22:導波管
31:環状接地母線
32:接地線
33:メッシュ接地線
100:簡易型インパルス発生装置
101:充電電圧表示メータ
102:スライダック
103:出力端子部
104:透明カバー
105:充電ボタン
106:印加ボタン
107:充電ランプ
108:リセットボタン
109:電源スイッチ
110:電源コネクタ
112:ヒューズ
113:過電圧保護回路
114:ノーヒューズブレーカ
115:直流電源供給部
116:充電用主スイッチ
117:トランス
118:整流ダイオード
119:コンデンサ
120:抵抗群
121,122:ギャップ式スイッチ
123:放電抵抗
124:リアクトル
125:出力抵抗
200:簡易型インパルス測定装置
201:電流表示部
202:コネクタ
203:リセットスイッチ
204:電源スイッチ
210:測定装置本体
220:変流器
221:コネクタ
222:同軸ケーブル
301:鉄筋
302:接地箱
303:デハイドレータ
305:ストラクチャ

Claims (4)

  1. 通信設備に対して模擬的にインパルス電圧を印加し、その際に通信設備内の各部を流れる電流を測定するインパルス試験装置において、
    雷撃によるインパルス電圧の印加が想定される部位相互間に所定のインパルス電圧を印加する簡易型インパルス発生装置と、
    前記インパルス電圧によって少なくとも通信機器を含む接地経路を流れる電流の波高値及び極性を変流器により検出し、かつ、これらを表示する測定装置本体とからなる簡易型インパルス測定装置と、
    から構成され、
    前記簡易型インパルス発生装置及び簡易型インパルス測定装置を可搬型に形成したことを特徴とする簡易型インパルス試験装置。
  2. 請求項1に記載した簡易型インパルス試験装置において、
    前記簡易型インパルス発生装置によるインパルス電圧の印加部位が、マイクロ波通信用の導波管と通信設備内の環状接地母線の立ち上がり箇所との間であることを特徴とする簡易型インパルス試験装置。
  3. 請求項1または2に記載した簡易型インパルス試験装置において、
    前記簡易型インパルス測定装置の変流器が、クランプ式の変流器であることを特徴とする簡易型インパルス試験装置。
  4. 請求項1,2または3に記載した簡易型インパルス試験装置において、
    前記簡易型インパルス測定装置の測定装置本体が、測定した電流の波高値及び極性を発光ダイオードによりディジタル表示することを特徴とする簡易型インパルス試験装置。
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