JP2005172587A - 二次イオン質量分析方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】分析対象部位が試料の端部に位置するものにおいても高精度の分析が可能な方法を得る。
【構成】分析対象部位2が端部にある試料1を容器3の中に入れ、導電性樹脂5を注入、硬化させ、硬化後容器3より取出すことにより、試料1の分析対象部位2に近接する側面に分析対象部位2とほぼ同一平面を有する導電性領域を形成して測定に用いる試料とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は二次イオン質量分析方法に係り、特に分析対象部位が端部に存在する試料における分析方法に関する。
二次イオン質量分析方法は、試料に一次イオンを照射し、試料から放出される二次イオンを質量分析して試料の構成成分の元素を分析する方法であり、一次イオンで試料を掘り進ませることにより深さ方向の元素の分布状態も把握することができる。質量分析装置は、その方式によって分類され、その代表的なものとして磁場型質量分析装置、四重極質量分析装置、飛行時間型質量分析装置等がある。図5は、標準的な磁場型二次イオン質量分析装置の基本構成図である。本装置においては、一次イオン源10,11から発生した一次イオン12が、図示しないレンズ系によって細いビームへと絞られ、試料室14の試料ホルダーに取付けられた試料15に照射される。照射された試料15より発生した二次イオン13を質量分離装置16を通して分離したのち検出器17に送って検出することによって試料15の元素分析が行われる。なお、試料室14の内部はビームを通すために排気装置によって真空に保持して使用される。
上記の装置において、一次イオンを照射して試料15から二次イオンを放出させる場合には試料15にイオンビームを加速するための加速電圧が印加され、電場が生じているが、分析対象の部位が試料の端部にあると、この部位の一方の側には導電性の領域が存在しないので電場の状態が異なり、二次イオンの発生が不安定となる危険性が高い。したがって、一次イオンのビームを絞って照射する領域を小さくするとともに、分析対象の部位はできるだけ試料の内側に設定して分析する方法が一般に採られている。
近年、半導体デバイス等においては、パターンが微小、かつ複雑化しており、分析対象部位が微小で試料の端部に位置する場合もある。しかしながら、二次イオン質量分析方法においては、検出される二次イオンの強度は収集領域の縮小とともに減少するので、収集領域の縮小には限界があり、分析対象部位は所定の大きさ以上に保持する必要がある。また、微小な分析対象部位が試料の端部に位置する場合には、一次イオンが照射される分析対象部位の周囲に安定した電場を形成することが困難となるため、電場の変化により二次イオンの発生状態が不安定となって分析の精度が低下してしまう。このような電場の変化を回避し、分析対象部位の周囲に安定した電場を形成するための導電性領域を確保する方法としては、特許文献1に、分析対象部位を除いた試料表面に導電性薄膜を付着形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、固体試料の分析対象部位に隣接して導電性物質の生め込まれた集電部を設置する方法が開示されている。
特開平1−107446号公報 特開2002−71592号公報
しかしながら、これらの方法は、絶縁物試料のチャージアップを回避することを目的に、試料本体の分析対象部位の周囲にあらかじめ加工を施す方法であり、分析対象部位が試料の端部に位置する場合にはその周囲に電場が安定するに十分な領域を確保することができないという問題点がある。
本発明は、以上のごとき従来技術の問題点を考慮してなされたもので、本発明の目的は、分析対象部位が試料の端部に位置する場合においても、高精度の分析が可能な二次イオン質量分析方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明においては、
一次イオンを試料に照射し、試料より放出される二次イオンを質量分離して試料の構成成分の元素分析を行う二次イオン質量分析方法で、分析対象部位が試料の端部に位置する場合において、分析対象部位が位置する試料の端部の側面に導電性物質を密着させて分析対象部位と略同一平面を有する導電性領域を形成し、導電性物質で周囲を取り囲んだ分析対象部位に一次イオンを照射して元素分析を行うこととし、例えば、上記の端部の側面に面する領域に導電性樹脂を注入し、これを硬化させることによって試料の端部に導電性領域を形成して元素分析を行うこととする。あるいは、端部に分析対象部位を有する試料のその端部の側面に導電性接着剤を用いて導電性部材を貼り付けて元素分析を行うこととする。
上記のごとく、二次イオン質量分析方法による分析において分析対象部位が試料の端部に位置する場合に、その端部の側面に導電性物質を密着させて配置することとすれば、分析対象部位が導電性部材に取り囲まれて配置され、分析対象部位の周囲に安定した電場が形成されることとなるので、二次イオンが安定して発生することとなり、分析対象部位が試料の端部にあるものにおいても、高精度の分析が可能となる。
本発明の特徴は、分析対象部位の周囲に導電性領域を確保して安定した電場を形成させて二次イオンを安定して発生させることにある。したがって、本発明の最良の実施形態は、分析対象部位が試料の端部に位置する場合に、その端部の側面に導電性物質を密着させて配置し、分析対象部位と略同一平面を有する導電性領域を形成して一次イオンを照射し、試料より放出される二次イオンを質量分離して元素分析を行うことにある。
図1は、本発明の二次イオン質量分析方法の第1の実施例の試料の作製方法を示す説明図で、図中左列はそれぞれ平面図、右列はそれぞれ縦断面図である。
供試サンプルは、図1(a)のごとく、平面が約5 mm×5 mm、高さが500μmのSi基板よりなる試料1である。分析対象部位2はこの試料1の側端部の30μm×30μmの領域にあり、ピーク濃度が約1×1019atoms/cm3のB(ボロン)が約 2μmの深さまで分布している。本実施例の試料の作製方法においては、まず、図1(b)のごとく、試料1を、底が取り外し可能な直径約1.5 cmのテフロン製の容器3の中に、分析対象部位2を有する辺がほぼ容器3の中央に位置するように配置してセットした。つづいて、図1(c)のごとく、容器3の中に導電性樹脂5を流し込み、試料1の表面と同じ高さまで注入した。導電性樹脂5には銅を含む常温硬化メチルメタクリレート樹脂を用いた。注入した導電性樹脂5の硬化が完了したのち容器3の底4を外して取出し(図1(d)参照)、分析対象部位2の周囲の少なくとも数mmの範囲に導電性領域が形成されたことを確認ののち、二次イオン質量分析の測定試料として用いた。
図2は、二次イオン質量分析に用いた3種類の測定試料の形状を示す説明図で、図中左列に示した図は平面図、図中右列に示した図は縦断面図である。図2の(a)に示した測定試料1)は、上記の試料の作製方法により作製した測定試料で、すでに述べたように、1は側端部に分析対象部位2を有する試料、5はこの分析対象部位2の側面に密着して注入、硬化された導電性物質である。図2の(b)、(c)に示した測定試料2)、3)はいずれも比較用として測定に供した試料であり、測定試料2)は、側端部に分析対象部位2Aを有する試料1Aで、導電性樹脂の注入処理を行わないもの、測定試料3)は、中央部に分析対象部位2Bを有する試料1Bで、導電性樹脂の注入処理を行わないものである。
これらの3種類の測定試料の二次イオン質量分析は、一次イオンビームとして酸素イオン(O2 +)を用い、一次加速エネルギー 15 keV 、一次電流50 nA、一次イオン照射領域30μm×30μm、データ取込み領域8μmφの同一条件下で行った。図3は、これらの3種類の測定試料の二次イオン質量分析の測定結果を示す特性図である。図の横軸は分析対象部位の深さ(μm)、縦軸はボロンの濃度(atoms/cm3)であり、細線で表した特性が測定試料1)の特性、太線で表した特性が測定試料2)の特性、点線で表した特性が測定試料3)の特性である。図に見られるように、試料1Aの側端部に分析対象部位2Aを有する測定試料2)では、試料1Bの中央部に分析対象部位2Bを有する測定試料3)に比較して検出されるB量が少なく、深さ1μm程度で検出されなくなるが、同様に試料の側端部に分析対象部位を有するものでも、分析対象部位2の側面に密着して導電性樹脂を注入、硬化させた測定試料1)では、深さ約2μmで検出下限の約3×1014 atoms/cm3に達しており、測定試料3)のB分布とほぼ同等のB分布が得られている。
以上の測定結果より、試料の側端部に分析対象部位を有する測定試料は、そのままの状態で二次イオン質量分析を行えば検出精度が低下するが、本実施例のごとき作製方法により測定試料を作製すれば、中央部に分析対象部位を有する測定試料と同等の高精度の二次イオン質量分析が可能となることが判る。なお、本実施例では導電性樹脂5として銅を含む常温硬化メチルメタクリレート樹脂を用いているが、導電性樹脂5は導電性領域を形成するためのものであるので、上記の銅を含む常温硬化メチルメタクリレート樹脂に限定されるものではなく、導電性を有し、分析を阻害しない組成の導電性樹脂であればよい。
図4は、本発明の二次イオン質量分析方法の第2の実施例の試料の作製方法を示す説明図で、図中左列は平面図、右列は縦断面図である。
供試サンプルは、図4(a)に示したように、第1の実施例と同じく、側端部の30μm×30μmの領域に分析対象部位2Cを有する平面が約5 mm×5 mm、高さが500μmのSi基板よりなる試料1Cである。本実施例の試料の作製方法では、まず、この供試サンプルをSiの基板7の上に導電性接着剤を用いて貼り付けた(図4(b)参照)。なお、導電性接着剤には銅を含むエポキシ系導電性接着剤を用いた。次いで、試料1Cの分析対象部位2Cを有する端面とこれに隣接する基板7の表面に上記と同一の導電性接着剤を塗布し、別途用意した、試料1Cと同一の厚さのSi側板8を貼り付けて、二次イオン質量分析に供する測定試料とした(図4(c)参照)。
上記のごとく作製した測定試料と、第1の実施例で比較用試料とした測定試料3)と同様の形状の測定試料とを二次イオン質量分析した結果によれば、これらの二つの測定試料のB分布はほぼ同等であり、分析対象部位2Cが試料1Cの側端部に位置するものにあっても、本実施例のごとく測定試料を作製すれば、精度の高い二次イオン質量分析ができることが確認された。なお、本実施例の測定試料の作製に用いられる導電性接着剤は、上記の銅を含むエポキシ系導電性接着剤に限定されるものではなく、導電性を備え、かつ分析を阻害する恐れのないものであれば良い。
なお、上記の第1の実施例の測定試料の作製方法では、導電性樹脂5を試料1の表面と同じ高さまで注入して硬化させることとし、第2の実施例の測定試料の作製方法では、分析対象部位2Cに隣接する部分に試料1Cと同一の厚さのSi側板8を貼り付けることとしているが、分析対象部位を有する試料とこれに隣接して形成された導電性領域との間の高さの差が過大になると安定した電場が得られなくなるので、この高さの差は−50 nm以上、+50 nm以下に抑えることが望ましい。
以上述べたように、本発明の二次イオン質量分析方法を用いれば、従来困難であった側端部に分析対象部位を有する試料においても、高精度の分析が可能となるので、半導体チップをはじめとする各種の試料の二次イオン質量分析方法として広範囲に利用することができる。
本発明の二次イオン質量分析方法の第1の実施例の試料の作製方法の説明図 二次イオン質量分析に用いた3種類の測定試料の形状の説明図 図2に示した測定試料の二次イオン質量分析の測定結果を示す特性図 本発明の二次イオン質量分析方法の第2の実施例の試料の作製方法の説明図 標準的な磁場型二次イオン質量分析装置の基本構成図
符号の説明
1、1C 試料
2、2C 分析対象部位
3 容器
4 底(容器)
5 導電性樹脂
7 基板
8 Si側板

Claims (3)

  1. 一次イオンを試料に照射し、試料より放出される二次イオンを質量分離して試料の構成成分の元素分析を行う二次イオン質量分析方法で、分析対象部位が試料の端部に位置する場合において、分析対象部位が位置する試料の前記端部の側面に導電性物質を密着させて分析対象部位と略同一平面を有する導電性領域を形成し、導電性物質で周囲を取り囲んだ分析対象部位に一次イオンを照射して元素分析を行うことを特徴とする二次イオン質量分析方法。
  2. 分析対象部位が位置する試料の前記端部の側面に面する領域に導電性樹脂を注入し、これを硬化させることによって試料の端部に前記の導電性領域を形成することを特徴とする請求項1に記載の二次イオン質量分析方法。
  3. 分析対象部位が位置する試料の前記端部の側面に導電性接着剤を用いて導電性部材を貼り付けることによって試料の端部に前記の導電性領域を形成することを特徴とする請求項1に記載の二次イオン質量分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100744235B1 (ko) * 2005-12-28 2007-07-30 동부일렉트로닉스 주식회사 반도체 소자의 시료 표면 분석 방법

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