JP2005170933A - (s)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−n−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドからなる医薬 - Google Patents
(s)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−n−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドからなる医薬 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、セロトニン4受容体(以下、「5−HT4受容体」と称することもある)アゴニスト活性に基づく強い消化管運動促進作用を有し、且つ心臓に対する影響の弱い新規な(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドからなる医薬および医薬組成物に関するものである。
1990年代、メトクロプラミド及びシサプリドの消化管運動促進作用に関与する5−HT受容体サブタイプ等の研究から5−HT4受容体の存在が確認され、ベンズアミド誘導体は消化管に広く分布する5−HT4受容体を活性化することにより消化管運動を促進することが明らかになった(後記非特許文献1及び非特許文献2参照)。
しかし、5−HT4受容体を活性化する化合物は消化管運動を促進するが、上記のメトクロプラミドにはドーパミンD2受容体遮断作用に基づく中枢抑制作用の発現が認められ、また、シサプリドには心臓への悪影響が認められたため、いずれの薬剤も臨床上使いづらい面がある(後記非特許文献3及び非特許文献4参照)。
また、後記特許文献1には、下記式(P−1)で表される1−(1−置換−4−ピペリジニルメチル)−4−ピペリジニルベンズアミド又はエステル誘導体が選択的な5−HT4受容体アゴニスト作用を有し、消化器系諸疾患等の予防及び治療のための医薬として有用であることが開示されている。
〔式中、R1はハロゲン原子を意味し、R2は水素原子又は低級アルキル基を意味し、R3は水素原子、低級アルキル基等を意味し、R4は水素原子又は低級アルキル基を意味する。
Xは−NH−又は−O−を意味し、
Aは下記式(A−1)、(A−2)又は(A−3)で表される基を意味する。
Aは下記式(A−1)、(A−2)又は(A−3)で表される基を意味する。
−(CH2)p−C(R7)(R8)−COR9 (A−1)
(式中、pは0、1、2、3、4又は5を意味し、R7は水素原子、低級アルキル基等を意味し、R8は水素原子又は低級アルキル基を意味し、R9は低級アルコキシ基等を意味する)
−CO−R10 (A−2)
(式中、R10は置換されていてもよいフェニル(低級)アルキル基、置換されていてもよいヘテロアリール基、飽和された単環もしくは2環性のヘテロ環、シクロアルキル基、低級アルケニル基、トリフルオロメチル基、ヘテロアリールで置換された低級アルキル基等を意味する)
−(CH2)q−Z−R11 (A−3)
(式中、qは0、1、2、3又は4を意味し、Zは−CH2−又は−O−を意味し、R11は水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基等を意味する。但し、(1)qが0のとき、Zは−CH2−である、等の但し書きを含む)〕
そして、後記特許文献1には上記式(A−2)においてR10が酸素原子を含有する飽和された単環性のヘテロ環である化合物として、例えば下記式で表される実施例5の化合物(化合物A)が記載され、
また、上記式(A−2)においてR10が酸素原子含有のヘテロアリール基である化合物として、例えば下記式で表される実施例19の化合物(化合物B)が記載されている。
しかしながら、該特許文献1には、上記式(A−2)においてR10が2−テトラヒドロフリル基であって、且つ、(S)光学異性体である後記式(I)で表される本発明にかかわる化合物は具体的には全く記載されていない。
DOUGLAS.A.CRAIG著,他1名,「J. Pharmacol. Exp. Ther」,米国,1990年,Vol.252,p.1378−1386
N.YOSHIDA著,他3名,「J. Pharmacol. Exp. Ther」,米国,1991年,Vol.257,p.781−787
LEIF.CARLSSON著,他5名,「J. Pharmacol. Exp. Ther」,米国,1997年,Vol.282,p.220−227
ANTOINE.BEDU著,他5名,「The Journal of Pediatrics」,米国,1997年,1月号,p.164
近年、社会生活の複雑化、高齢化社会の到来等により消化管運動の不全に伴う消化器系不定愁訴に苦しむ患者が増加する傾向にあり、副作用の少ない優れた消化管運動促進剤(又は「消化管機能改善剤」)の開発が強く望まれている。
本発明は、十分な消化管運動促進作用を示すことはもちろんのことではあるが、背景技術で述べたような消化管運動促進剤シサプリドにおいて臨床上非常に問題となった心臓に対する悪影響(特に心電図上のQT間隔の延長作用)がなく、且つメトクロプラミドにみられるドーパミンD2受容体遮断作用に基づく中枢抑制作用のない新規化合物からなる医薬を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究し、消化管運動に対して優れた促進作用を有するだけでなく、心臓等への影響が極力弱く、且つドーパミンD2受容体に対して遮断作用を示さない、より安全性の高い安息香酸誘導体を見いだした。
すなわち、前記式(P−1)で表わされる安息香酸誘導体において、置換基Aとして「飽和された単環性のヘテロ環」がカルボニル基に結合した化合物に着目し、その中でヘテロ原子とカルボニルが直接結合しないような置換基を探索した結果、テトラヒドロフラン環の2位でカルボニルと結合する特定の置換基を有する4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドを見出し、この化合物のみが強い5−HT4受容体アゴニスト活性を保持し、且つ、経口投与における排便誘発作用の強い、加えて心臓に対する影響の極めて弱い安全性の高い優れた化合物であることが判明した。
新たに見出された4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドは、テトラヒドロフリル基の2位の位置に1個の不斉炭素を有しているので、(S)体と(R)体のそれぞれの光学異性体に分離して薬理試験を行った結果、これらの光学異性体はいずれも5−HT4受容体アゴニスト活性及び排便誘発作用についてラセミ体とほぼ同等の効果を示し、しかも心臓に対する影響はほとんどなかった。さらに、これらの光学異性体について、種々の受容体との結合作用を検討したところ、意外にも、(S)体のみが、中枢性の副作用の原因となり得るドーパミンD2遮断作用のない選択的な5−HT4受容体アゴニストであることが判明し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、下記式(I)で表される(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド、その製薬学的に許容される酸付加塩又はこれらの水和物(以下「本発明にかかわる化合物」ということもある)からなる医薬、
及びそれを含有する医薬組成物が提供される。
本発明によれば、本発明にかかわる化合物を有効成分とするセロトニン4受容体作動薬が提供される。
また、本発明によれば、本発明にかかわる化合物を有効成分とする消化管機能改善剤が提供される。
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、及びシュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、コハク酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される酸付加塩としては、フマル酸またはマレイン酸が特に好ましい。
本発明にかかわる化合物は、式(I)で表される化合物又はその製薬学的に許容される酸付加塩の水和物であってもよい。
また、本発明にかかわる化合物は、溶媒和物として存在することもあるので、これらの溶媒和物も本発明にかかわる化合物に包含される。
本発明によれば、本発明にかかわる化合物が選択的な5−HT4受容体アゴニスト作用を有するので、5−HT4受容体が関与する各種疾患、例えば、消化器系疾患、中枢神経系疾患、泌尿器系疾患のような各種疾患、特に消化器系疾患の治療及び予防剤として有用である医薬を提供できる。加えて、本発明にかかわる化合物は、ドーパミンD2受容体遮断作用がなく、心臓への影響が弱いことから、これらの副作用の懸念がない消化器系疾患の治療及び予防剤として有用である医薬を提供できる。
本発明にかかわる式(I)で表される化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
製法(a)
式(I)の化合物は、下記式(II)
製法(a)
式(I)の化合物は、下記式(II)
で表される化合物と、下記式(III)
で表される化合物〔化学名:(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸〕又はその反応性誘導体とを反応させることにより製造することができる。
式(III)の化合物の反応性誘導体としては、例えば低級アルキルエステル(特にメチルエステル)、活性エステル、酸無水物、酸ハライド(特に酸クロリド)を挙げることができる。活性エステルの具体例としてはp−ニトロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドのエステル、N−ヒドロキシフタルイミドのエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのエステル、8−ヒドロキシキノリンのエステル、2−ヒドロキシフェニルのエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられ、混合酸無水物の具体例としてはクロル炭酸エチル、クロル炭酸イソブチルのようなクロル炭酸アルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸ベンジルのようなクロル炭酸アラルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸フェニルのようなクロル炭酸アリールエステルとの混合酸無水物、イソ吉草酸、ピバリン酸のようなアルカン酸との混合酸無水物等が挙げられる。
式(III)の化合物自体を用いる場合には、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'−カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート、N,N'−ジスクシンイミジール カルボネート、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ジフェニルホスホリルアジド、プロパンホスホン酸無水物のような縮合剤の存在下に反応させることができる。縮合剤として1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド又は塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを用いる場合には、N−ヒドロキシコハク酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド等を添加して反応させてもよい。
式(II)の化合物と、式(III)の化合物又はその反応性誘導体との反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。使用する溶媒は、化合物(III)の反応性誘導体の種類等に従って適宜選択されるべきであるが、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び1−メチル−2−ピロリドンが挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられる。
本反応は必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸アルカリ、或いはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンのような有機塩基が挙げられるが、式(II)の化合物の過剰量で兼ねることも可能である。
反応温度は用いる化合物(III)の反応性誘導体の種類等により異なるが、通常約−30℃〜約250℃、好ましくは約−10℃〜約150℃である。
式(II)の化合物は、前記特許文献1に記載された方法により製造することができる。また、式(III)の化合物である(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸は市販されているか、或いは公知の方法により製造することができる。
製法(b)
また、式(I)の化合物は、下記式(IV)
また、式(I)の化合物は、下記式(IV)
式(IV)の化合物又はその反応性誘導体と、式(V)の化合物との反応は溶媒中又は無溶媒下に行われる。
式(IV)の化合物の反応性誘導体としては、前記製法(a)のところで述べたものと同様の低級アルキルエステル、活性エステル、酸無水物及び酸ハライド等が挙げられる。また、式(IV)の化合物自体を用いる場合には、前記製法(a)のところで述べたものと同様の縮合剤の存在下に反応させることができる。使用する溶媒としては、前記製法(a)のところで示した溶媒が挙げられるが、化合物(IV)の反応性誘導体の種類等に従って適宜選択されるべきである。本反応は必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、前記製法(a)のところで示した塩基が挙げられるが、式(V)の化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は用いる化合物(IV)の反応性誘導体の種類等により異なるが、通常約−30℃〜約250℃、好ましくは約−10℃〜約150℃である。
式(V)の化合物は、例えば下記チャート1に示される方法により製造することができる。
(式中、L1及びL2は保護基を意味する。)
チャート1の工程2では前記製法(a)に記載の方法を用いて、また工程1及び工程3では下記の脱保護反応を用いて製造することができる。
チャート1の工程2では前記製法(a)に記載の方法を用いて、また工程1及び工程3では下記の脱保護反応を用いて製造することができる。
脱保護反応:
上記チャート1において、L1又はL2で表される保護基とは加水分解又は加水素分解により脱離し得る保護基を意味する。加水分解により脱離し得る保護基としては、例えばエトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、3−もしくは4−クロロベンジルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、メタンスルホニル基及びp−トルエンスルホニル基が挙げられる。また、加水素分解により脱離し得る保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、3−もしくは4−クロロベンジルオキシカルボニル基及びベンジルスルホニル基が挙げられる。
上記チャート1において、L1又はL2で表される保護基とは加水分解又は加水素分解により脱離し得る保護基を意味する。加水分解により脱離し得る保護基としては、例えばエトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、3−もしくは4−クロロベンジルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、メタンスルホニル基及びp−トルエンスルホニル基が挙げられる。また、加水素分解により脱離し得る保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、3−もしくは4−クロロベンジルオキシカルボニル基及びベンジルスルホニル基が挙げられる。
加水分解による脱保護は通常の方法に従って行うことができ、例えば適当な溶媒中で酸性条件下又はアルカリ性条件下で行われる。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、酢酸エチル、アセトニトリル、水又はこれらの混液が用いられる。酸の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸のような鉱酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸のような有機酸が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリが挙げられる。反応温度は通常約0℃〜約150℃である。
また、加水素分解による脱保護は通常の方法に従って行うことができ、例えば適当な溶媒中でパラジウム炭素、ラネーニッケル等の触媒の存在下で水素雰囲気下に行うか、又はギ酸アンモニウムやシクロヘキセン等の水素供与体の共存下で反応させることにより行われる。溶媒としては、例えばエタノール、メタノールのようなアルコール類、水、酢酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド等が用いられる。
反応温度は通常約0℃〜約80℃であり、常圧又は加圧下に行われる。
反応温度は通常約0℃〜約80℃であり、常圧又は加圧下に行われる。
なお、保護基として加水分解によって脱保護できるL1及びL2を用いる場合は、それぞれ異なった条件で加水分解される保護基が用いられる。
上記各製法により製造される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈澱等の通常の化学的方法により単離、精製される。
式(I)の化合物は、反応・処理条件等により、遊離塩基又は酸付加塩の形で得られる。酸付加塩は、通常の方法により、例えば炭酸アルカリ、水酸化アルカリのような塩基で処理することにより遊離塩基に変換することができる。一方、遊離塩基は、通常の方法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
(薬理試験)
以下に、本発明にかかわる化合物の薬理作用についての試験結果を示す。
試験化合物
(1)本発明にかかわる化合物
化合物2(製造例2の化合物):(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩
以下に、本発明にかかわる化合物の薬理作用についての試験結果を示す。
試験化合物
(1)本発明にかかわる化合物
化合物2(製造例2の化合物):(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩
(2)比較化合物
化合物R(参考例2の化合物):(R)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2のエナンチオマー)
化合物R(参考例2の化合物):(R)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2のエナンチオマー)
化合物A:4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(4−テトラヒドロピランカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩・1/4水和物(特許文献1の実施例5の化合物)、融点:235〜237℃(エタノールから再結晶)
化合物B:4−アミノ−5−クロロ−N−[1−[1−(2−フロイル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]−2−メトキシベンズアミド・フマル酸塩・1/2水和物(特許文献1の実施例19の化合物)、融点:179〜181℃(エタノールから再結晶)
化合物C(参考例3の化合物):4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(3−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩[テトラヒドロフランの置換位置のみが本発明にかかわる化合物2と異なるラセミ体]
(3)消化管運動促進剤又は消化管機能改善剤
シサプリド:[化学名:シス−4−アミノ−5−クロロ−N−[1−〔3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル〕−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2−メトキシベンズアミド;例えばMerck Index、第12版、2377(1996)参照]
メトクロプラミド:[化学名:4−アミノ−5−クロロ−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2−メトキシベンズアミド;例えばMerck Index、第12版、6226(1996)参照]
シサプリド:[化学名:シス−4−アミノ−5−クロロ−N−[1−〔3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル〕−3−メトキシ−4−ピペリジニル]−2−メトキシベンズアミド;例えばMerck Index、第12版、2377(1996)参照]
メトクロプラミド:[化学名:4−アミノ−5−クロロ−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2−メトキシベンズアミド;例えばMerck Index、第12版、6226(1996)参照]
試験例1:セロトニン4(5−HT4)受容体結合試験
5−HT4受容体膜標品の調製及び5−HT4受容体結合試験は、Grossmanらの方法〔British J. Pharmacol., 1993, 109, 618-624参照〕に準拠して行った。
Std−Hartley系モルモット(体重300〜400g)を断頭後、速やかに脳
を取り出し、線条体を分離した。得られた組織に15倍量のヘペス(Hepes)緩衝液(50mM、pH7.4、4℃)を加え、テフロン(登録商標)ホモジナイザーでホモジナイズし、48,000×g(4℃)で15分間遠心分離した。得られた沈渣に、ヘペス緩衝液を組織の湿重量30mgに対し1mlの割合で加えて懸濁し、受容体サンプルとした。
0.1nMの[3H]−GR113808(GR113808:[1−[2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]−4−ピペリジニル]メチル 1−メチルインドール−3−カルボキシレート)、受容体サンプル、及び試験化合物又は30μMセロトニンを含むヘペス緩衝液(50mM、pH7.4、4℃)1mlをアッセイチューブにて37℃で30分間インキュベーションした。反応の停止は、0.1%ポリエチレンイミンに1時間浸しておいたワットマンGF/Bフィルター上にブランデル セル ハーベスターを用いて急速濾過を行い、氷冷した50mM Tris−HCl(pH7.7)4mlで3回洗浄することにより行った。フィルター上の放射活性は、ACS IIシンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンターで測定した。
[3H]−GR113808の全結合量から非特異的結合を引いた特異的結合に対する試験化合物の阻害率から50%阻害濃度(IC50)を求めた。結果を表1に示す。
5−HT4受容体膜標品の調製及び5−HT4受容体結合試験は、Grossmanらの方法〔British J. Pharmacol., 1993, 109, 618-624参照〕に準拠して行った。
Std−Hartley系モルモット(体重300〜400g)を断頭後、速やかに脳
を取り出し、線条体を分離した。得られた組織に15倍量のヘペス(Hepes)緩衝液(50mM、pH7.4、4℃)を加え、テフロン(登録商標)ホモジナイザーでホモジナイズし、48,000×g(4℃)で15分間遠心分離した。得られた沈渣に、ヘペス緩衝液を組織の湿重量30mgに対し1mlの割合で加えて懸濁し、受容体サンプルとした。
0.1nMの[3H]−GR113808(GR113808:[1−[2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]−4−ピペリジニル]メチル 1−メチルインドール−3−カルボキシレート)、受容体サンプル、及び試験化合物又は30μMセロトニンを含むヘペス緩衝液(50mM、pH7.4、4℃)1mlをアッセイチューブにて37℃で30分間インキュベーションした。反応の停止は、0.1%ポリエチレンイミンに1時間浸しておいたワットマンGF/Bフィルター上にブランデル セル ハーベスターを用いて急速濾過を行い、氷冷した50mM Tris−HCl(pH7.7)4mlで3回洗浄することにより行った。フィルター上の放射活性は、ACS IIシンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンターで測定した。
[3H]−GR113808の全結合量から非特異的結合を引いた特異的結合に対する試験化合物の阻害率から50%阻害濃度(IC50)を求めた。結果を表1に示す。
試験例2:ドーパミンD2受容体結合試験
Creese,I.ら[Eur. J. Pharmacol., 46, 337 (1977)参照]及びPeroutka,S.J.及びHamik,A.[Eur. J. Pharmacol., 148, 297 (1988)参照]の方法に準拠し、それぞれドーパミンD2受容体結合試験を行った。受容体標本としてラット脳より調製した粗シナプトゾーム膜分画を、また標識リガンドとして[3H]スピペロン(D2)を用いた。受容体標本とそれぞれの標識リガンドを含む緩衝液(最終容量1ml)を種々の濃度の試験化合物の存在下で一定時間インキュベーションした後、受容体に結合した放射性リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)を用いてフィルター上に分離した。フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターにより測定して全結合量を求めた。また、同時に測定した非標識リガンド[スピペロン(D2)]の過剰存在下での結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50値)をプロビット法により算出した。結果を下記表2に示す。
Creese,I.ら[Eur. J. Pharmacol., 46, 337 (1977)参照]及びPeroutka,S.J.及びHamik,A.[Eur. J. Pharmacol., 148, 297 (1988)参照]の方法に準拠し、それぞれドーパミンD2受容体結合試験を行った。受容体標本としてラット脳より調製した粗シナプトゾーム膜分画を、また標識リガンドとして[3H]スピペロン(D2)を用いた。受容体標本とそれぞれの標識リガンドを含む緩衝液(最終容量1ml)を種々の濃度の試験化合物の存在下で一定時間インキュベーションした後、受容体に結合した放射性リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)を用いてフィルター上に分離した。フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターにより測定して全結合量を求めた。また、同時に測定した非標識リガンド[スピペロン(D2)]の過剰存在下での結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50値)をプロビット法により算出した。結果を下記表2に示す。
表2から明らかなように、本発明にかかわる化合物2はIC50値が10000nM以上であることから、ドーパミンD2受容体にはほとんど親和性を示さなかった。一方、化合物2のエナンチオマーである(R)光学異性体(化合物R)は、IC50値が948nMであり、メトクロプラミドやシサプリドよりはやや弱いもののドーパミンD2受容体に親和性を示した。
試験例3:マウス排便試験
Std−ddy系雄性マウス(体重25〜30g)を使用し、実験開始まで餌と水は自由に摂取させた。
各グループ5匹のマウスをそれぞれ絶食ゲージに移し、約1時間新しい環境に順応させた。0.5%トラガント液に懸濁した試験化合物を経口投与し、30、60、120分後にそれぞれ便の重量を測定した。
効果判断は対照群(0.5%トラガント液投与群)と試験化合物との間でDunnett検定により処理した。結果を表3に示す。
−:作用なし
+:p<0.05(促進)
++:p<0.01(著明促進)
Std−ddy系雄性マウス(体重25〜30g)を使用し、実験開始まで餌と水は自由に摂取させた。
各グループ5匹のマウスをそれぞれ絶食ゲージに移し、約1時間新しい環境に順応させた。0.5%トラガント液に懸濁した試験化合物を経口投与し、30、60、120分後にそれぞれ便の重量を測定した。
効果判断は対照群(0.5%トラガント液投与群)と試験化合物との間でDunnett検定により処理した。結果を表3に示す。
−:作用なし
+:p<0.05(促進)
++:p<0.01(著明促進)
表3から明らかなように、本発明にかかわる化合物2は1.0mg/kg及び3.0mg/kgの投与でいずれも強い排便促進作用を示した。一方、前記特許文献1の実施例5の化合物(化合物A)は1.0mg/kg及び3.0mg/kgの投与で作用を示さず、また該特許文献1の実施例19の化合物(化合物B)は排便促進作用を示したもののその効果は化合物2よりも弱いものであった。テトラヒドロフラン環の結合位置のみが本発明にかかわる化合物2と違う化合物C(ラセミ体)は3.0mg/kgの投与で効果が認められたものの、本発明にかかわる化合物2ほど強くはなかった。また、シサプリドは3.0mg/kg、更に30mg/kgの高用量でも排便促進作用を全く示さなかった。
試験例4:覚醒イヌ消化管運動試験
雄性ビーグル犬を用いて、ペントバルビタールによる全身麻酔下で開腹手術を行い、結腸の漿膜側筋層に、輪状筋の収縮運動が測定できるようにフォーストランスジューサー(F−121S;スターメディカル社)を縫着した。結腸には、上部から下部にわたり、3個または4個のフォーストランスジューサーを等間隔で縫着した。フォーストランスジューサーからの導線は、皮下を介してイヌの肩甲骨間の小切開を施した部分より体外に誘導し、保護ジャケットの袋の中に保護した。消化管運動の測定は、手術後2〜3週間後より行った。フォーストランスジューサーからの導線は、臓器運動専用テレメーターシステム(DAS−800T:スターメディカル)と接続し、収縮運動は接続したパソコンシステムにより解析し、記録した。試験化合物は、0.5%トラガント液に懸濁し、あらかじめ胃内に留置したカニューレを介して、食後1時間以上経過した後に投与した。測定は、投与後2時間行った。
試験化合物投与後2時間の内に、惹起した伝播性強収縮(GMC)および排便が観察されたイヌの匹数を表4に示した。
雄性ビーグル犬を用いて、ペントバルビタールによる全身麻酔下で開腹手術を行い、結腸の漿膜側筋層に、輪状筋の収縮運動が測定できるようにフォーストランスジューサー(F−121S;スターメディカル社)を縫着した。結腸には、上部から下部にわたり、3個または4個のフォーストランスジューサーを等間隔で縫着した。フォーストランスジューサーからの導線は、皮下を介してイヌの肩甲骨間の小切開を施した部分より体外に誘導し、保護ジャケットの袋の中に保護した。消化管運動の測定は、手術後2〜3週間後より行った。フォーストランスジューサーからの導線は、臓器運動専用テレメーターシステム(DAS−800T:スターメディカル)と接続し、収縮運動は接続したパソコンシステムにより解析し、記録した。試験化合物は、0.5%トラガント液に懸濁し、あらかじめ胃内に留置したカニューレを介して、食後1時間以上経過した後に投与した。測定は、投与後2時間行った。
試験化合物投与後2時間の内に、惹起した伝播性強収縮(GMC)および排便が観察されたイヌの匹数を表4に示した。
表4から明らかなように、本発明にかかわる化合物2はイヌの消化管運動試験においても、0.1mg/kg及び0.3mg/kgの低用量でGMCを惹起し、排便促進効果が認められた。一方、シサプリドでは、10mg/kgの高用量においてもほとんど排便促進効果を示さなかった。
試験例5:モルモット心電図試験(QTc)
Std:Hartley系雄性モルモット(体重350〜500g)を使用し、ウレタン(1.5g/kg、ip)で麻酔した。人工呼吸下、試験化合物を流速0.2ml/kg/分で15分間静脈内持続注入し、最大量30mg/kgに設定し、下記数1に示す数式により心電図よりQTcを求めた。
Std:Hartley系雄性モルモット(体重350〜500g)を使用し、ウレタン(1.5g/kg、ip)で麻酔した。人工呼吸下、試験化合物を流速0.2ml/kg/分で15分間静脈内持続注入し、最大量30mg/kgに設定し、下記数1に示す数式により心電図よりQTcを求めた。
QT(秒):心電図においてQ波の始まりからT波の終わりまでの時間(通常、「秒」で表す)〔Expert Nurse Vol.3, No.13, 11月増刊, 19頁(1987)参照〕
RR(秒):心電図においてR波のピークから次のR波のピークまでの時間(通常、「秒」で表す)
RR(秒):心電図においてR波のピークから次のR波のピークまでの時間(通常、「秒」で表す)
心電図QTcの解析にはフラクレット(「登録商標」)3.0(大日本製薬製)を用い、QTc間隔を5%延長させる用量(ED5%)を算出した。結果を表5に示す。
消化管運動促進作用(消化管機能改善作用)を示す化合物の中で、シサプリドを代表とする一部のベンズアミド型の化合物は心臓へ悪影響をもたらすことが知られている。そこで、心臓に対する影響を調べる試験法の一つの指標として、汎用されているモルモットを用いた心電図上のQTc間隔を5%延長させる用量(ED5%)を求めた。
表5から明らかなように、モルモット心電図QTc間隔に対してシサプリドのED5%値が0.3mg/kgと極めて低用量であるのに対し、本発明にかかわる化合物2のED5%値は24.9mg/kgと高用量であることから、本発明にかかわる化合物2の臨床投与量においては、心臓への影響は極めて弱いものと考えられる。
一方、前記特許文献1の実施例5の化合物(化合物A)はED5%値が16.9mg/kgと比較的高用量であるが、本化合物の消化管運動促進作用がかなり弱いことから本発明の目的に合致するものではなかった。一方、該特許文献1の実施例19の化合物(化合物B)のED5%値は3.2mg/kgと低用量であるので、心臓への影響が懸念される。また、テトラヒドロフラン環の置換位置のみが本発明にかかわる化合物2と違う化合物Cは、化合物Bほど強くなかったが、かなり強いQTc間隔の延長作用が認められた。
試験例6:急性毒性
各群5匹以上のStd−ddy系雄性マウス(体重25〜30g)を使用した。生理食塩水または1%乳酸溶液に溶解した試験化合物を静脈内投与し、投与後7日間にわたり死亡の有無を観察し、50%致死量(LD50)を求めた。本発明にかかわる化合物2は、LD50値が200mg/kg以上の値であった。
各群5匹以上のStd−ddy系雄性マウス(体重25〜30g)を使用した。生理食塩水または1%乳酸溶液に溶解した試験化合物を静脈内投与し、投与後7日間にわたり死亡の有無を観察し、50%致死量(LD50)を求めた。本発明にかかわる化合物2は、LD50値が200mg/kg以上の値であった。
以上の試験例1〜6の結果をまとめると、本発明にかかわる化合物2のみが下記に示す良好な結果を示した。
(1)消化管運動促進作用に関与する5−HT4受容体に対し、シサプリド以上の強い親和性を示した。
(2)マウスを用いた排便促進作用において、1.0mg/kgの経口投与量で顕著な促進作用を示した。
(3)イヌ消化管運動促進試験において、0.1mg/kgの低用量において、半数近くの例数でGMCを惹起し、且つ排便促進作用が観察された。
(4)モルモットでの心電図試験(QTc)において、ED5%値が十分大きい値を示し
た。すなわち、予想される臨床投与量では心臓に対する影響はほとんどないと考えられる。
(5)ドーパミンD2結合試験において、IC50値が10000nM以上と大きく、ドーパミンD2受容体にほとんど親和性を示さなかった。すなわち、ドーパミンが関係する副作用については懸念がないものと考えられる。
(6)マウス急性毒性試験において、本発明にかかわる化合物2のLD50値が200mg/kg以上の値であったことから毒性面においても問題がないと考えられる。
(1)消化管運動促進作用に関与する5−HT4受容体に対し、シサプリド以上の強い親和性を示した。
(2)マウスを用いた排便促進作用において、1.0mg/kgの経口投与量で顕著な促進作用を示した。
(3)イヌ消化管運動促進試験において、0.1mg/kgの低用量において、半数近くの例数でGMCを惹起し、且つ排便促進作用が観察された。
(4)モルモットでの心電図試験(QTc)において、ED5%値が十分大きい値を示し
た。すなわち、予想される臨床投与量では心臓に対する影響はほとんどないと考えられる。
(5)ドーパミンD2結合試験において、IC50値が10000nM以上と大きく、ドーパミンD2受容体にほとんど親和性を示さなかった。すなわち、ドーパミンが関係する副作用については懸念がないものと考えられる。
(6)マウス急性毒性試験において、本発明にかかわる化合物2のLD50値が200mg/kg以上の値であったことから毒性面においても問題がないと考えられる。
以上のことから、本発明にかかわる化合物は、(1)5−HT4受容体に対して強い親和性を示し、(2)動物実験における経口投与で強い排便促進作用等の消化管運動促進作用を有し、(3)心臓に対する影響も極めて弱く、しかも(4)副作用の原因となるドーパミンD2遮断作用がなく、選択的な5−HT4受容体アゴニストとして消化器系疾患又は障害の治療及び予防に用いることができる。特に、排便促進作用のように下部消化管に対して優れた運動促進作用を示すので、例えば、消化器系疾患の過敏性腸症候群、弛緩性便秘、常習性便秘、モルヒネや抗精神病薬等の薬剤誘発による便秘等の治療及び予防や内視鏡検査あるいはバリウム腸注X線検査時の前処置として、また、急・慢性胃炎、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃神経症、術後の麻痺性イレウス、老人性イレウス、胃切除後症候群、偽性腸閉塞などの消化器系疾患の治療及び予防、並びにこれらの消化器系疾患及び胃・十二指腸潰瘍、強皮症、糖尿病、食道・胆道系疾患などの疾患における食欲不振、悪心、嘔吐、腹部膨満感、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、曖気等の治療及び予防に用いることができる。さらに、中枢神経系疾患(精神分裂病、うつ病、記憶障害、不安など)や泌尿器系疾患(尿路閉塞、前立腺肥大などによる排尿障害)の治療及び予防にも用いることができる。このように、本発明にかかわる化合物は、上記の各種疾患、特に消化器系疾患や上記の各種疾患の治療等に伴う種々の消化器機能異常の治療及び予防に用いることができるので消化管運動促進剤(消化管機能改善剤)として特に有用である。
本発明にかかわる化合物について特筆すべきことは、上記薬理試験の結果で示されるように、強い5−HT4受容体アゴニスト活性と強い排便促進作用を有し、且つ、副作用につながるドーパミンD2受容体遮断作用がなく、心臓への影響が極めて弱いという優れた有用性をもっていることである。
本発明にかかわる化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与或いは直腸内投与のいずれでもよい。投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、通常0.01〜5mg/kg/日、好ましくは0.05〜1mg/kg/日の範囲である。
本発明にかかわる化合物は上記の如き医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、且つ本発明にかかわる化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には、例えば乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、水、プロピレングリコール、エタノール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、ベンジルアルコール、グルタミン酸、グリシン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、経鼻剤、貼付剤、舌下剤等が挙げられる。これらの製剤は通常の方法に従って調製される。なお液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。
これらの製剤は、本発明にかかわる化合物を0.01%以上、好ましくは0.1〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値ある他の成分を含有していてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。また、参考例及び製造例を挙げて本発明にかかわる化合物をさらに具体的に説明するが、本発明にかかわる化合物はこれらの製造例に限定されるものではない。化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、IRスペクトル、NMRスペクトル等により行った。
また、以下の参考例および製造例において、記載の簡略化のために次の略号を使用することもある。
[1H−NMR]
s :単一線、
d :二重線、
t :三重線、
m :多重線、
br-d:幅広い二重線、
J :結合定数。
s :単一線、
d :二重線、
t :三重線、
m :多重線、
br-d:幅広い二重線、
J :結合定数。
製造例A:
4−アミノ−1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]ピペリジンの製造
4−アミノ−1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]ピペリジンの製造
(1)1−(1−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジニルメチル)−4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン10.0gのエタノール100mlと水10mlの溶液中に、10%パラジウム炭素1.2gを加え、中圧下(3.0kg/cm2)室温で還元を行った。原料の消失を確認後(約2時間)、触媒を濾去し、濾液の溶媒を減圧で留去して粗製の4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1−(4−ピペリジニルメチル)ピペリジン約7gを白色の固体として得た。
(2)上記生成物3.2g、(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸1.4g、塩酸
1−エチル−3−(3―ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド2.5g、クロロホルム100mlの混合物を室温下15時間撹拌した。反応液を少量の飽和重曹水、続いて少量の飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧で留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:酢酸エチル−メタノール(9:1)]で精製して(S)−4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]ピペリジン2.1gを固体として得た。
1−エチル−3−(3―ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド2.5g、クロロホルム100mlの混合物を室温下15時間撹拌した。反応液を少量の飽和重曹水、続いて少量の飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧で留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出液:酢酸エチル−メタノール(9:1)]で精製して(S)−4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]ピペリジン2.1gを固体として得た。
(3)上記生成物2.1gの塩化メチレン50ml溶液にトリフルオロ酢酸3mlを加え、室温下1時間撹拌した。溶媒と過剰のトリフルオロ酢酸を減圧で留去し、残渣にトルエンを加え、再度減圧で溶媒を留去した。残渣にクロロホルムを加え、それに少量の30%炭酸カリウム水溶液を入れ、室温で激しく撹拌した。有機層を分取し、水層は更に2回クロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧で留去し、油状物として目的物1.6gを得た。
製造例1:
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド(化合物1)の製造
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド(化合物1)の製造
(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸7.4g、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−(2−ピペリジニルメチル)−4−ピペリジニル]ベンズアミド20g、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド13.1g、クロロホルム200mlの混合物を室温下一晩攪拌した。反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧で留去し、得られた残渣に酢酸エチル50mlを加えて室温下で攪拌した。析出した結晶を減圧下で濾過し、酢酸エチル:ヘキサン=1:1(30ml)で2回洗浄後、乾燥して目的物(化合物1)22.6gを得た。融点:146〜148℃(酢酸エチルから再結晶)
1H−NMR(CDCL3、δppm): 0.98−1.29(2H, m), 1.44−1.7 (2H, m), 1.7−2.3 (14H, m), 2.59 (1H, m), 2.73 (2H, br-d, J=11.6Hz), 3.01 (1H, m), 3.8-4.1 (5H, m), 3.89 (3H, s), 4.5-4.7 (2H, m), 6.29 (1H, s), 7.62 (1H, d, J=7.5Hz), 8.10 (1H, s).
IRスペクトル(νmaxcm-1):3385, 3317, 1639, 1591, 1537.
元素分析値:C24H35ClN4O4・0.25H2O
理論値(%):C,59.62;H,7.40;N,11.59;Cl,7.33
測定値(%):C,59.86;H,7.19;N,11.51;Cl,7.31
元素分析値:C24H35ClN4O4・0.25H2O
理論値(%):C,59.62;H,7.40;N,11.59;Cl,7.33
測定値(%):C,59.86;H,7.19;N,11.51;Cl,7.31
製造例2:
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2)の製造
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2)の製造
製造例1で得られた(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド10.0gにエタノール150mlを加え、外温約60℃で加熱攪拌した。
この溶液中にフマル酸2.42gを加え、外温約80℃で3時間攪拌した。室温まで放冷後、析出した結晶を減圧で濾過した。エタノール30mlで2回洗浄し、乾燥することで目的物(化合物2)を12.2g得た。融点:232〜235℃
この溶液中にフマル酸2.42gを加え、外温約80℃で3時間攪拌した。室温まで放冷後、析出した結晶を減圧で濾過した。エタノール30mlで2回洗浄し、乾燥することで目的物(化合物2)を12.2g得た。融点:232〜235℃
該化合物は、下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で保持時間9.36分を示し、光学純度は99%ee以上であった(R体の保持時間は11.45分)。
[HPLC条件]
[HPLCカラム]CHIRALPAK AS(ダイセル化学工業株式会社製):
内径4.6mmx250mm
[移動相]ヘキサン:エタノール:アセトニトリル:ジエチルアミン=70:22:8:0.4
[流速]0.8ml/分
[カラム温度]30℃
[検出波長]280nm
[HPLC条件]
[HPLCカラム]CHIRALPAK AS(ダイセル化学工業株式会社製):
内径4.6mmx250mm
[移動相]ヘキサン:エタノール:アセトニトリル:ジエチルアミン=70:22:8:0.4
[流速]0.8ml/分
[カラム温度]30℃
[検出波長]280nm
1H-NMR (DMSO-d6, δppm): 0.8−1.15 (2H, m), 1.45−1.7 (2H, m), 1.7−1.9 (6H, m), 1.9−2.1 (2H, m), 2.1−2.35 (4H, m), 2.4−2.6 (2H, m), 2.7−3.1 (3H, m), 3.88 (3H, s), 3.7−3.9 (3H, m), 3.97 (1H, br-d,J=12.5Hz), 4.31 (1H, br-d, J=12.8Hz), 4.63 (1H, t, J=6.5Hz), 5.94 (2H, s, NH2), 6.48 (1H, s), 6.60 (2H, s), 7.66 (1H, s), 7.73 (1H, d, J=7.5Hz, CONH).
IRスペクトル(νmaxcm-1):3373, 1643, 1591, 1545.
元素分析値:C24H35ClN4O4・C4H4O4
理論値(%):C, 56.51;H,6.61;N,9.41;Cl,5.96
測定値(%):C,56.40;H,6.50;N,9.39;Cl,5.96
元素分析値:C24H35ClN4O4・C4H4O4
理論値(%):C, 56.51;H,6.61;N,9.41;Cl,5.96
測定値(%):C,56.40;H,6.50;N,9.39;Cl,5.96
製造例3:
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・マレイン酸塩(化合物3)の製造
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・マレイン酸塩(化合物3)の製造
製造例1で得られた(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド25gにエタノール125mlを加えて室温で攪拌した。完全に溶解した後、マレイン酸6.66gを加えてバス温100℃で3時間加熱攪拌した。室温でゆっくりと放冷後、結晶を濾過し、エタノール30mlで2回洗浄した。結晶を乾燥して、エタノールを含有する粗結晶29gを得た。この粗結晶21.4gにエタノール86mlと水8.6mlを加え、バス温度100℃で加熱しながら攪拌した。結晶が完全に溶解した後、室温までゆっくりと放冷した。析出した結晶を濾過し、エタノール30mlで2回洗浄した後、結晶を乾燥して目的物(化合物3)18gを得た。融点:232〜235℃
元素分析値:C24H35ClN4O4・C4H4O4
理論値(%):C,56.51;H,6.61;N,9.41;Cl,5.96
測定値(%):C,56.36;H,6.71;N,9.43;Cl,5.71
理論値(%):C,56.51;H,6.61;N,9.41;Cl,5.96
測定値(%):C,56.36;H,6.71;N,9.43;Cl,5.71
参考例1:
4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカ
ルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物RS)の製造
4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカ
ルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物RS)の製造
製造例1における(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の代わりにテトラヒドロフラン−2−カルボン酸を用い、製造例1及び製造例2と同様に反応・処理して目的物(化合物RS)を得た。融点:229〜234℃(エタノールから再結晶)
参考例2:
(R)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物R)の製造
(R)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物R)の製造
製造例1における(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の代わりに(R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸を用い、製造例1及び製造例2と同様に反応・処理して目的物(化合物R)を得た。融点:228〜230℃(エタノールから再結晶)
参考例3:
4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(3−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド(化合物C)の製造
4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(3−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド(化合物C)の製造
製造例1における(S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸の代わりにテトラヒドロフラン−3−カルボン酸を用い、製造例1と同様に反応・処理して目的物(化合物C)を得た。融点:179〜180℃(酢酸エチルから再結晶)
次に実施例を挙げる。
実施例1:錠剤の製造
下記表6に記載の成分を通常の方法により混合造粒後、それに、軽質無水ケイ酸(0.7g)及びステアリン酸マグネシウム(1.3g)を加え、1錠あたり145mgで打錠し、錠剤に製する。
実施例1:錠剤の製造
下記表6に記載の成分を通常の方法により混合造粒後、それに、軽質無水ケイ酸(0.7g)及びステアリン酸マグネシウム(1.3g)を加え、1錠あたり145mgで打錠し、錠剤に製する。
実施例2:カプセル剤の製造
通常の方法により、下記表7に記載の成分を混合、造粒し、1カプセルにその顆粒200mgを充填し、カプセル剤に製する。
通常の方法により、下記表7に記載の成分を混合、造粒し、1カプセルにその顆粒200mgを充填し、カプセル剤に製する。
実施例3:散剤の製造
通常の方法により、下記表8に記載の成分を混合した後、散剤に製する。
通常の方法により、下記表8に記載の成分を混合した後、散剤に製する。
実施例4:注射剤の製造
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2)及びソルビトールを注射用水の一部に溶解した後、残りの注射用水を加えて全量調製する。この溶液をメンブランフィルター(0.22μm)で濾過し、濾液を2mlアンプル中に充填し、次いでこれを121℃で20分間滅菌することにより注射剤に製する。
(S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩(化合物2)及びソルビトールを注射用水の一部に溶解した後、残りの注射用水を加えて全量調製する。この溶液をメンブランフィルター(0.22μm)で濾過し、濾液を2mlアンプル中に充填し、次いでこれを121℃で20分間滅菌することにより注射剤に製する。
本発明にかかわる式(I)で表される化合物、その製薬学的に許容される酸付加塩又はこれらの水和物からなる医薬は、本発明にかかわる化合物が5−HT4受容体に対して高い親和性と強い排便促進作用を示すため、消化器系疾患(過敏性腸症候群、弛緩性便秘、常習性便秘、モルヒネや抗精神病薬等の薬剤誘発による便秘など)、中枢神経系疾患(精神分裂病、うつ病、記憶障害、不安など)、泌尿器系疾患(尿路閉塞、前立腺肥大などによる排尿障害)のような各種疾患の治療及び予防に、また前記各種疾患の治療等に伴う種々の消化器機能異常(例えば、食欲不振、悪心、嘔吐、腹部膨満感など)の治療及び予防に用いることができ、特に消化管運動促進剤(消化管機能改善剤)として有用である。加えて、本発明にかかわる化合物はドーパミンD2受容体遮断作用がなく、心臓への影響が弱いことから、これらの副作用の懸念がない消化管運動機能促進剤として有用である。
Claims (6)
- (S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・フマル酸塩又はその水和物からなる医薬。
- (S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド・マレイン酸塩又はその水和物からなる医薬。
- (S)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミド、その製薬学的に許容される酸付加塩又はこれらの水和物を含有する医薬組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、その製薬学的に許容される酸付加塩又はこれらの水和物を有効成分とするセロトニン4受容体作動薬。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、その製薬学的に許容される酸付加塩又はこれらの水和物を有効成分とする消化管機能改善剤。
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JP2004328918A JP2005170933A (ja) | 2003-11-14 | 2004-11-12 | (s)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−n−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドからなる医薬 |
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JP2003389820 | 2003-11-19 | ||
JP2004328918A JP2005170933A (ja) | 2003-11-14 | 2004-11-12 | (s)−4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−n−[1−[1−(2−テトラヒドロフリルカルボニル)−4−ピペリジニルメチル]−4−ピペリジニル]ベンズアミドからなる医薬 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7906510B2 (en) | 2008-02-21 | 2011-03-15 | Dainippon Sumito Pharma Co., Ltd. | Amide derivative and pharmaceutical composition containing the same |
-
2004
- 2004-11-12 JP JP2004328918A patent/JP2005170933A/ja active Pending
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