JP2005165191A - 液晶表示装置、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板間の突起部が占める割合を好適に設定することで、液晶の応答時間の低下を招くことがなく、液晶注入時間の短縮が可能となる液晶表示装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】 互いに対向して配置された一対の基板10、25と、当該基板10、25の周辺に設けられたシール材とによって囲まれた所定空間内に、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなる液晶層50を備えた液晶表示装置であって、前記一対の基板10、25の対向面のそれぞれに設けられた電極9、31のうちの少なくとも一方の電極上には、前記液晶の配向を規制する突起部28aが設けられ、前記基板10、25の対向面から前記液晶層50側に突出した前記突起部28aを含む凸部29の全体積が前記所定空間の容量の10%以上、且つ25%以下を占めていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、液晶表示装置、及び電子機器に関する。
従来、液晶表示装置として反射モードと透過モードとを兼ね備えた半透過反射型液晶表示装置が知られている。このような半透過反射型液晶表示装置としては、上基板と下基板との間に液晶層が挟持され、例えばアルミニウム等の金属膜に光透過用の窓部を形成した反射膜を下基板の内面に備え、この反射膜を半透過反射板として機能させるものが提案されている。この場合、反射モードでは上基板側から入射した外光が、液晶層を通過した後に下基板の内面の反射膜で反射され、再び液晶層を通過して上基板側から出射され、表示に寄与する。一方、透過モードでは下基板側から入射したバックライトからの光が、反射膜の窓部から液晶層を通過した後、上基板側から外部に出射され、表示に寄与する。従って、反射膜の形成領域のうち、窓部が形成された領域が透過表示領域、その他の領域が反射表示領域となる。
ところが、従来の半透過反射型液晶表示装置には、透過表示での視角が狭いという課題があった。これは、視差が生じないよう液晶セルの内面に半透過反射板を設けている関係で、観察者側に備えた1枚の偏光板だけで反射表示を行わなければならないという制約があり、光学設計の自由度が小さいためである。
そこで、この課題を解決するために、Jisakiらは、下記の非特許文献1において、垂直配向液晶を用いる新しい液晶表示装置を提案した。
その特徴は、以下の3つである。
(1)誘電異方性が負の液晶を基板に垂直に配向させ、電圧印加によってこれを倒す「VA(Vertical Alignment)モード」を採用している点。
(2)透過表示領域と反射表示領域の液晶層厚(セルギャップ)が異なる「マルチギャップ構造」を採用している点(この点については、例えば特許文献1参照)。
(3)透過表示領域を正八角形とし、この領域内で液晶が全方向に倒れるように対向基板上の透過表示領域の中央に突起を設けている点。即ち、「配向分割構造」を採用している点。
特開平11−242226号公報 "Development of transflective LCD for high contrast and wide viewing angle by using homeotropic alignment", M.Jisaki et al., Asia Display/IDW'01, p.133-136(2001)
ところで、このような液晶表示装置においては、基板間に多くの突起部を設けると基板間に液晶を真空注入するプロセスにおいて、突起部が液晶の流動の抵抗となり、液晶注入時間が非常に長くなってしまうという問題があった。更に、マルチギャップ構造の半透過反射型液晶表示装置の場合には反射表示領域のセル厚が薄いために更に多くの時間を要するという問題があった。
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、基板間の突起部が占める割合を好適に設定することで、液晶の応答時間の低下を招くことがなく、液晶注入時間の短縮が可能となる液晶表示装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の液晶表示装置は、互いに対向して配置された一対の基板と、当該基板の周辺に設けられたシール材とによって囲まれた所定空間内に、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなる液晶層を備えた液晶表示装置であって、前記一対の基板の対向面のそれぞれに設けられた電極のうちの少なくとも一方の電極上には、前記液晶の配向を規制する突起部が設けられ、前記基板の対向面から前記液晶層側に突出した前記突起部を含む凸部の全体積が前記所定空間の容量の10%以上、且つ25%以下を占めていることを特徴としている。
本発明の液晶表示装置においては、配向規制手段として突起部を有しているので、特に垂直配向モードの液晶における電界印加時の配向方向を制御するための好ましい構成となる。垂直配向モードを採用した場合には一般にネガ型液晶を用いるが、初期配向状態で液晶分子が基板面に対して垂直に立っているものを、電界印加により倒すわけであるから、何も工夫をしなければ(プレチルトが付与されていなければ)液晶分子の倒れる方向を制御できず、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じて光抜け等の表示不良が生じ、表示特性を落としてしまう。そのため、垂直配向モードの採用にあたっては、電界印加時の液晶分子の配向方向の制御が重要な要素となる。
そこで、本発明の液晶表示装置においては、液晶層の挟持面に突起部を形成したため、液晶分子が初期状態で垂直配向を呈した上で、当該突起部の斜面に応じたプレチルトを持つようになる。その結果、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、更には広視野角化を実現できる。
更に、上記の突起部を含む凸部の全体積は所定空間の容量の10%以上を占めるので、電界印加時の配向方向を好適に制御し、良好な応答速度で液晶表示装置を駆動させることができる。
また、上記の凸部の全体積は所定空間の容量の25%以下を占めるので、上記の所定空間内に液晶材料を注入する液晶注入工程を施した際に、凸部による流動抵抗を最小限に抑えることが可能となるので、液晶材料を所定空間内に良好に流動させることができる。従って、液晶注入工程を所望のタクトタイムで処理することが可能となり、単位時間あたりの製造コストを低減することができる。そして、特に小型の液晶表示装置を大量に製造する場合においては、1パネル当りの製造コストが低減されることによって、当該液晶表示装置を大量生産した際のコストメリットを増大させることができる。
また、前記液晶表示装置において、前記一方の電極と他方の電極の重なる領域にドット領域が形成され、一つのドット領域内には、透過表示を行う透過表示領域が設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、バックライト等の照明装置から出射した光が液晶層を透過して、観察者側に出射するので、いわゆる透過型液晶表示装置を提供することができる。
また、前記液晶表示装置において、前記一方の電極と他方の電極の重なる領域にドット領域が形成され、一つのドット領域内には、透過表示を行う透過表示領域と、反射表示を行う反射表示領域とが別個に設けられており、少なくとも前記反射表示領域には前記液晶層の層厚を前記透過表示領域の前記液晶層の層厚よりも小さくする液晶層厚調整層が設けられ、前記凸部は前記液晶層厚調整層を含むことを特徴としている。
このようにすれば、上記の透過型としての機能を有すると共に、観察者側の入射光が液晶層を透過し、反射層によって反射されて観察者側に出射するので、いわゆる半透過反射型液晶表示装置を提供することができる。
ここで、凸部は、液晶層厚調整層として機能を含むものであり、透過表示領域における液晶層の膜厚よりも、反射表示領域における液晶層の膜厚を小さくするものである。これによって、透過表示領域と反射表示領域における液晶層の膜厚は、所望に調整されるので、好適なバランスで透過表示と反射表示を行う半透過反射型液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明の電子機器は、先に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴としている。
ここで、電子機器としては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワープロ、パソコンなどの情報処理装置などを例示することができる。
従って、本発明によれば、先に記載の液晶表示装置を用いた表示部を備えているので、視野角が広く、表示特性が優れ、低コストの表示部を備えた電子機器を提供することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
以下に示す本実施形態の液晶表示装置は、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode、 以下、TFDと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例であり、特に透過表示を可能にした透過型の液晶表示装置である。
図1は、本実施形態の液晶表示装置100についての等価回路を示している。この液晶表示装置100は、走査信号駆動回路110及びデータ信号駆動回路120を含んでいる。液晶表示装置100には、信号線、即ち、複数の走査線13と、該走査線13と交差する複数のデータ線9とが設けられ、走査線13は走査信号駆動回路110により、データ線9はデータ信号駆動回路120により駆動される。そして、各画素領域150において、走査線13とデータ線9との間にTFD素子40と液晶表示要素160(液晶層)とが直列に接続されている。なお、図1では、TFD素子40が走査線13側に接続され、液晶表示要素160がデータ線9側に接続されているが、これとは逆にTFD素子40をデータ線9側に、液晶表示要素160を走査線13側に設ける構成としてもよい。
次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶表示装置100に具備された電極の平面構造(画素構造)について説明する。図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置100では、走査線13にTFD素子40を介して接続された平面視矩形状の画素電極31がマトリクス状に設けられており、該画素電極31と紙面垂直方向に対向して共通電極9が短冊状(ストライプ状)に設けられている。共通電極9はデータ線からなり走査線13と交差する形のストライプ形状を有している。本実施形態において、各画素電極31が形成された個々の領域が1つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域にTFD素子40が具備され、該ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。
ここで、TFD素子40は走査線13と画素電極31とを接続するスイッチング素子であって、TFD素子40は、Taを主成分とする第1導電膜と、第1導電膜の表面に形成され、Taを主成分とする絶縁膜と、絶縁膜の表面に形成され、Crを主成分とする第2導電膜とを含むMIM構造を具備して構成されている。そして、TFD素子40の第1導電膜が走査線13に接続され、第2導電膜が画素電極31に接続されている。
次に、図3に基づいて本実施形態の液晶表示装置100の要部構成について説明する。図3(a)は、液晶表示装置100の画素構成、特に画素電極31の平面構成を示す模式図、図3(b)は、図3(a)における断面構造の要部を示す模式図である。
本実施形態の液晶表示装置100は、図2に示したようにデータ線9及び走査線13等にて囲まれた領域の内側に画素電極31を備えてなるドット領域Dを有している。このドット領域Dの一つには、3原色(赤、緑、青)のうちの一色のカラーフィルタが配設されており、各色のカラーフィルタを有する3つのドット領域Dが隣接することによって1つの画素が形成されている。
また、図3(a)に示すように、ドット領域Dにおいては、画素電極31が複数の島状部31a、31b、31cを含んで構成されており、各島状部31a、31b、31cが連結部39、39にて電気的に接続されて画素電極31を構成している。そして、本実施形態の透過型液晶表示装置においては、バックライト等の照明光が島状部31a、31b、31cを介することによって、観察者側に透過表示を行うことから、即ち、島状部31a、31b、31cは、本発明の透過表示領域に相当するものである。
一方、図3(b)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、上基板25とこれに対向配置された下基板10との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、即ち、誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。また、上基板25と下基板10を所定間隔で保持するスペーサSPが配置されている。そして、上基板25と下基板10の周辺にはシール材が設けられており、当該上基板25と下基板10を接着している。即ち、上基板25と下基板10に間には、スペーサSPによって規定された間隔でシール材によって囲まれた所定の空間が形成され、当該空間内に液晶層50が設けられている。
下基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを主体として、各種層膜が積層形成された構成を有している。当該基板本体10Aにおける上基板25と対向する側の面には、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、 以下、ITOと略記する)等の透明導電膜からなるマトリクス状の画素電極31と、TFD素子40を介して画素電極31に接続される走査線13と、当該走査線13の覆うように設けられた絶縁膜14と、画素電極31上に設けられた画素内突起部(突起部、凸部)28aと、下基板10の最上面を覆うように設けられた配向膜27と、が形成されている。
ここで、配向膜27は、ポリイミド等の材料からなり、液晶分子を膜面に対して垂直に配向させる垂直配向膜として機能するものであって、ラビングなどの配向処理は施されていない。このように、ラビングを施さずに分割配向させる垂直配向液晶(負の誘電異方性を持つ液晶分子)を用いた液晶表示装置では電極開口や電極上誘電体等を画素内で部分的に設けることで画素内の電界を好適に歪ませて液晶分子が倒れる方向を制御する必要がある。この液晶配向制御が不十分であった場合には、液晶分子が面内において、ある程度の大きさのドメインを保ちつつランダムな方向に倒れてしまう。このような状態では表示領域の面内の一部で視野角特性が異なる領域が発生してしまい、結果としてざらざらとしたムラが見える不良となる。そこで、液晶層50の液晶分子を配向規制し、つまり初期状態において垂直配向にある液晶分子について電極間に電圧を印加した際の傾倒方向を規制させるために画素内突起部28aが設けられている。当該画素内突起部28aは、本発明の配向規制手段として機能するものであり、アクリル樹脂等の有機膜からなる樹脂材料によって形成されており、下基板10から液晶層50に突出するように形成されている。
また、図3(a)に示すように、画素電極31は複数の島状部31a、31b、31cを含んで構成されており、各島状部31a、31b、31cが連結部39、39にて電気的に接続されて画素電極31を構成している。
つまり、本実施形態においては、ドットDは略同じ形状の複数(図3では3つ)のサブドットに分割して構成されている。また、画素電極31は、複数(図3では3つ)の島状部31a、31b、31cと、隣接する各島状部を互いに電気的に接続する連結部39、39とを含んで構成されており、各島状部31a、31b、31cがそれぞれサブドットを構成している。各サブドット(島状部31a、31b、31c)の形状は、図3では略正四角形状であるが、これに限らず、例えば、円形状、その他多角形状のものとすることができる。なお、画素電極31において、各島状部31a、31b、31cの間には、該電極を部分的に切り欠いた形状のスリット32(連結部39、39を除いた部分)が形成されている。
更に、島状部31a、31b、31c毎に、画素内突起部28aがその中心に設けられていると共に、各島状部の側部には画素外突起部(突起部、凸部)28bが2つ設けられており、即ち、ドットDの一つ当りに、3つの画素内突起部28aと、6つの画素外突起部28bとが設けられている。ここで、画素外突起部28bは、画素内突起部28aと同様に配向規制手段として機能するものである。
なお、画素外突起部28bは、画素内突起部28aと同一材料、同一工程によって形成されている。
次に、上基板25においては、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体25Aを主体として、各種層膜が積層形成された構成を有している。当該基板本体25Aにおける下基板10と対向する側の面には、カラーフィルタ22と、ITO等の透明導電膜からなる共通電極9と、ポリイミド等からなる下基板10と同様の垂直配向処理がなされた配向膜33と、が形成されている。
ここで、カラーフィルタ22は、赤色、緑色、青色のうちのいずれかの一色からなるものであり、ドット領域Dに隣接する色とは異なるものである。また、共通電極9は、図3(a)において、紙面左右方向に延びる形のストライプ状に形成されており、当該紙面におけるドット領域Dに並んで形成されたドット領域の各々に共通の電極として構成されている。
次に、下基板10の外面側(液晶層50を挟持する面とは異なる側)には位相差板18及び偏光板19が、上基板25の外面側にも位相差板16及び偏光板17が形成されており、基板内面側(液晶層50側)に円偏光を入射可能に構成されており、これら位相差板18及び偏光板19、位相差板16及び偏光板17が、それぞれ円偏光板を構成している。偏光板17(19)は、所定方向の偏光軸を備えた直線偏光のみを透過させる構成とされ、位相差板16(18)としてはλ/4位相差板が採用されている。このような円偏光板としては、その他にも偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板を組み合わせた構成のもの(広帯域円偏光板)を用いることが可能で、この場合、黒表示をより無彩色にすることができるようになる。また、偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板、及びcプレート(膜厚方向に光軸を有する位相差板)を組み合わせた構成のものを用いることも可能で、一層広視野角化を図ることができるようになる。なお、下基板10に形成された偏光板19の外側には透過表示用の光源たるバックライト(不図示)が設けられている。
そして、本実施形態においては、特に画素内突起部28a及び画素外突起部28bを含む凸部29の全体積が所望に規定されている。具体的には、上基板25及び下基板10の間においてシール材で囲まれ、かつスペーサSPが規定する間隔で保持された空間の容量のうち、凸部29が占める割合が10%以上、25%以下に設定されている。
具体的な体積及び容量について記載すると、ドット領域Dは、縦寸法が145μm、横寸法が50μm、スペーサSPの高さが4μm、となるように形成されているので、ドット領域Dの一つあたりの容量は29000μmとなっている。
また、ドット領域D内に3つ設けられた画素内突起部28aの一つあたりの体積は160μm、当該ドット領域Dの側部に6つ設けられた画素外突起部28bの一つあたりの体積は600μmであるので、画素内突起部28a及び画素外突起部28bを含む凸部29の全体積は、160μm×3+600μm×6=3600μmとなっている。
従って、ドット領域Dの液晶層50が充填される空間の容量に対して、当該凸部29が占める割合は、3600μm/29000μmで計算され、14%となる。
ここで、ドット領域Dにおける凸部29の割合が14%となったが、基板全面においても、その割合は同じになる。
なお、図3(a)に示す画素外突起部28bは、2つの隣接するドット領域を跨ぐように形成されているが、上述の600μmという値は、2つのドット領域を跨ぐ部材の体積を意味するものではなく、片方のドット領域側における画素外突起部28bの体積を意味する。
次に、図4を参照し、突起部28a、28bを含む凸部29が占める割合(凸部体積率)と、液晶層50を上記基板10、25間に注入する時間(液晶注入時間)の関係について説明する。
図4(a)は、実験を施すことにより得られた上記凸部体積率と液晶注入時間の関係を示す表であり、図4(b)は、図4(a)を基に作成したグラフである。
図4(a)及び図4(b)に示すように、凸部体積率の上昇に連れて、液晶注入時間が増加する。このような現象が生じるのは、凸部体積率が増えることによって、液晶材料の流動抵抗が増加するため、液晶材料の流動速度が低下し、液晶注入時間が増加してしまうことが原因となっている。
そして、特に、図4(b)における凸部体積率が25%近傍を超えた辺りから、液晶注入時間が急激に増加することが分かる。図4(a)の表においては、凸部体積率が24%、26%、35%、というように上昇すると、液晶注入時間は25min、35min、92min、というように増加する。
従って、凸部体積率が25%を超えた場合には、液晶注入工程のタクトタイムが急激に増加してしまい、生産効率の悪化を招いてしまう。これに対して、上記の実施形態のように凸部体積率が14%である場合には、図4に示すように液晶注入時間が20分であるので、それが25%以上の場合と比較して短時間に液晶注入工程を終了できる。
次に、図5を参照し、画素外突起部28bがない場合、及び、その体積を400μm、及び600μmに設定した場合において、走査線供給電圧(Data voltage)と液晶の応答時間の関係について説明する。
ここで、図5は、実験を施すことにより得られた走査線供給電圧と液晶の応答時間の関係を示すグラフである。
なお、図5において、突起部なしと示した曲線は、画素外突起部28bの体積が0μmであることを意味する。また、図5において、画素内突起部28aの体積は一定としており、その値及び個数は上記実施形態と同様である。そして、画素外突起部28bの体積が400μmである場合には画素内突起部28aを含めて凸部体積率が10%となり、画素外突起部28bの体積が600μmである場合には画素内突起部28aを含めて凸部体積率が14%となっている。
図5に示すように、突起なし、400μm、600μmのいずれの曲線においても、査線供給電圧の上昇に伴って、応答時間が略比例的に上昇することがわかる。そして、特に、突起なしの場合においては、走査線供給電圧が3〜4Vの近傍で次第に傾きが大きくなり、4Vを超えると急激に応答時間が大きくなってしまうことがわかる。400μm、600μmの場合においては、略同じ傾斜で上昇するものの、400μmの場合においては、4Vを超えた付近から600μmよりも傾斜が若干大きくなるという結果が得られた。従って、凸部体積率が10%以下の場合には、応答速度が著しく上昇し、そして突起がない場合には、応答速度が高い値となる。
上述したように、液晶表示装置100においては、配向規制手段として突起部28a、28bを有しているので、特に垂直配向モードの液晶における電界印加時の配向方向を制御するための好ましい構成となる。垂直配向モードを採用した場合には一般にネガ型液晶を用いるが、初期配向状態で液晶分子が基板面に対して垂直に立っているものを、電界印加により倒すわけであるから、何も工夫をしなければ(プレチルトが付与されていなければ)液晶分子の倒れる方向を制御できず、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じて光抜け等の表示不良が生じ、表示特性を落としてしまう。そのため、垂直配向モードの採用にあたっては、電界印加時の液晶分子の配向方向の制御が重要な要素となる。
そこで、液晶表示装置100においては、液晶層50の挟持面に突起部28a、28bを形成したため、液晶分子が初期状態で垂直配向を呈した上で、当該突起部28a、28bの斜面に応じたプレチルトを持つようになる。その結果、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、更には広視野角化を実現できる。
更に、上記の突起部28a、28bを含む凸部29の全体積は、シール材で包囲された上下基板10、25間の空間容量の10%以上を占めるので、電界印加時の配向方向を好適に制御し、良好な応答速度で液晶表示装置100を駆動させることができる。
また、上記凸部29の全体積は、シール材で包囲された上下基板10、25間の空間容量の25%以下を占めるので、当該空間内に液晶材料を注入した際に、凸部29による流動抵抗を最小限に抑えることが可能となるので、液晶材料を所定空間内に良好に流動させることができる。従って、液晶注入工程を所望のタクトタイムで処理することが可能となり、単位時間あたりの製造コストを低減することができる。そして、特に小型の液晶表示装置を大量に製造する場合においては、1パネル当りの製造コストが低減されることによって、当該液晶表示装置を大量生産した際のコストメリットを増大させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。また、上記の第1実施形態と同一構成には同一符号を付して、説明を簡略化する。
本実施形態と第1実施形態の相違点について説明する。第1実施形態は透過型の液晶表示装置であるのに対し、本実施形態は透過表示と反射表示を可能にした半透過反射型の液晶表示装置である。また、本実施形態においては、TFD素子40、走査線13、画素電極31を上基板25に、共通電極9を下基板10にそれぞれ設けた構成を採用している。
次に、図6を参照して、本実施形態における半透過反射型の液晶表示装置の画素構成について説明する。図6(a)は、画素電極31の平面構成を示す模式図、図6(b)は、図6(a)における断面構造の要部を示す模式図である。
図6(a)に示すように、ドット領域D’においては、画素電極31が複数の島状部31d、31eを含んで構成されており、各島状部31d、31eが連結部39にて電気的に接続されて画素電極31を構成している。そして、本実施形態の半透過反射型液晶表示装置においては、バックライト等の照明光が島状部31dを介することによって、観察者側に透過表示を行うことから、即ち、島状部31dは、本発明の透過表示領域に相当するものである。また、島状部31eを介することによって、観察者側の外光を当該観察者側に反射表示を行うことから、即ち、島状部31eは、本発明の反射表示領域に相当するものである。
更に、透過表示領域の島状部31dにおいては、その側部に画素外突起部28bが4つ設けられており、その略中央部には、画素内突起部28aが設けられている。また、反射表示領域の島状部31eにおいては、その中央部にスリット32が設けられている。
なお、画素電極31において、各島状部31d、31eの間には、該電極を部分的に切り欠いた形状のスリット32(連結部39、39を除いた部分)が形成されている。
一方、図6(b)に示すように、下基板10には、島状部31eに対応する位置に反射膜20と絶縁膜26とが積層して設けられている。
反射膜20は、基板本体10Aの表面にアルミニウム、銀等の反射率の高い金属膜を成膜した後に、公知のフォトリソグラフィ技術、及びエッチング技術によって形成されている。ここで、反射膜20の形成領域が反射表示領域となる。また、反射膜20に非形成領域が透過表示領域となる。
なお、反射膜20と基板本体10Aとの間に、凹凸形状を有する層膜を形成してもよい。このようにすれば、反射膜20の表面が凹凸形状に応じて形成されるので、反射光を好適に散乱させることが可能となり、外部からの映り込みの防止や広視野角の表示を得ることが可能となる。
また、絶縁膜26は、反射表示領域と透過表示領域とにおけるそれぞれの液晶層50の膜厚を異ならせている。具体的には、反射表示領域に応じて絶縁膜26が形成され、透過表示領域には、絶縁膜26が非形成となっている。従って、反射表示領域における液晶層50の膜厚は透過表示領域におけるそれよりも薄くなっている。また、これによって反射表示領域における液晶層50の膜厚は、透過表示領域における液晶層50の膜厚の約半分になっている。また、絶縁膜26は、例えばアクリル樹脂等の有機膜からなり、反射表示領域と透過表示領域との境界において、自身の層厚が連続的に変化するように傾斜面を備えている。このように、絶縁膜26は、自身の膜厚によって反射表示領域と透過表示領域との液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能するものである。また、絶縁膜26を形成することにより、下基板10から液晶層50に向けて配向膜27及び共通電極9が液晶層50に向けて突出することから、絶縁膜26は本発明の凸部としての意味を含んでいる。
更に、下基板10においては、反射表示領域における絶縁膜26と透過表示領域における基板本体10Aとを覆うように共通電極9が形成されている。更に共通電極9上には、透過表示領域における島状部31dの中央に対応する位置に画素内突起部28aが設けられている。そして、共通電極9及び画素内突起部28aを覆うように配向膜27が形成されている。
上基板25においては、走査線13と、絶縁膜14と、画素電極31とが設けられている。そして、画素電極31は、図3(a)に示したように、島状部31d、31eを有している。
そして、本実施形態においては、特に画素内突起部28aと、画素外突起部28bと、絶縁膜26を含む凸部29の全体積が所望に規定されている。具体的には、上基板25及び下基板10の間においてシール材で囲まれ、かつスペーサSPが規定する間隔で保持された空間の容量のうち、凸部29が占める割合が10%以上、25%以下に設定されている。
具体的な体積及び容量について記載すると、ドット領域D’は、縦寸法が145μm、横寸法が50μm、スペーサSPの高さが4μm、となるように形成されているので、ドット領域D’の一つあたりの容量は29000μmとなっている。
また、ドット領域D’の透過表示領域に設けられた画素内突起部28aの体積は600μm、当該透過表示領域の側部に4つ設けられた画素外突起部28bの一つあたりの体積は600μm、絶縁膜26の体積は40μm×50μm×2μm=4000μmであるので、画素内突起部28a、画素外突起部28b、及び絶縁膜26を含む凸部29の全体積は、600μm×1+600μm×4+4000μm=7000μmとなっている。
従って、ドット領域D’の液晶層50が充填される空間の容量に対して、当該凸部29が占める割合は、7000μm/29000μmで計算され、24%となる。
ここで、ドット領域D’における凸部29の割合が24%となったが、基板全面においても、その割合は同じになる。
なお、図6(a)に示す画素外突起部28bは、2つの隣接するドット領域を跨ぐように形成されているが、上述の600μmという値は、2つのドット領域を跨ぐ部材の体積を意味するものではなく、片方のドット領域側における画素外突起部28bの体積を意味する。
次に、図7を参照し、突起部28a、28b、及び絶縁膜26を含む凸部29が占める割合(凸部体積率)と、液晶層50を上記基板10、25間に注入する時間(液晶注入時間)の関係について説明する。
図7(a)は、実験を施すことにより得られた上記凸部体積率と液晶注入時間の関係を示す表であり、図7(b)は、図7(a)を基に作成したグラフである。
図7(a)及び図7(b)に示すように、凸部体積率の上昇に連れて、液晶注入時間が増加する。そして、特に、図7(b)における凸部体積率が25%近傍を超えた辺りから、液晶注入時間が急激に増加することが分かる。図7(a)の表においては、凸部体積率が27%、30%、35%、というように上昇すると、液晶注入時間は38min、72min、90min、というように増加する。
従って、凸部体積率が25%を超えた場合には、液晶注入工程のタクトタイムが急激に増加してしまい、生産効率の悪化を招いてしまう。これに対して、上記の実施形態のように凸部体積率が24%である場合には、図7に示すように液晶注入時間が28分であるので、それが25%以上の場合と比較して短時間に液晶注入工程を終了できる。
更に、本実施形態のように絶縁膜26を備えた液晶表示装置において、凸部29の全体積を変化させて、走査線供給電圧(Data voltage)と液晶の応答時間の関係を調べたところ、図5と同様の結果が得られた。
上述したように、第2実施形態においても前述の第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1実施形態の透過型液晶表示装置、及び第2実施形態の半透過反射型液晶表示装置に本発明を適用することができる。
なお、上記の第1実施形態、及び第2実施形態においては、凸部29が画素内突起部28aと、画素外突起部28bと、絶縁膜26とを含む構成となっているが、これに限定するものではない。これ以外にも、凸部29はスペーサSP、走査線13、TFD素子40等の構成要素を含むものであり、上下基板10、25から液晶層50側に突出する部材を広義として意味するものである。
(電子機器)
次に、本発明の上記実施形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図8は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図8において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記液晶表示装置を用いた表示部を示している。このような携帯電話等の電子機器の表示部に、上記実施形態の液晶表示装置を用いた場合、コントラストが高くて広視野角が達成され、低コストの液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態ではTFDをスイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶表示装置に本発明を適用した例を示したが、スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置の他、パッシブマトリクス型液晶表示装置などに本発明を適用することも可能である。
本発明の第1実施形態における液晶表示装置の等価回路図。 同、液晶表示装置のドットの構造を示す平面図。 同、液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。 同、液晶表示装置における凸部体積率と、液晶注入時間の関係を示す図。 同、液晶表示装置における走査線供給電圧と、液晶応答時間の関係を示す図。 第2実施形態の液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。 同、液晶表示装置における凸部体積率と、液晶注入時間の関係を示す図。 本発明の電子機器の一例を示す斜視図。
符号の説明
9…共通電極(電極)
10…下基板(基板)
25…上基板(基板)
26…絶縁膜(凸部、液晶層厚調整層)
28a…画素内突起部(突起部、凸部)
28b…画素外突起部(突起部、凸部)
29…凸部
31…画素電極(電極)
31a、31b、31c、31d…島状部(透過表示領域)
31e…島状部(反射表示領域)
50…液晶層
100…液晶表示装置
1000…携帯電話本体(電子機器)
D、D’…ドット領域


Claims (4)

  1. 互いに対向して配置された一対の基板と、当該基板の周辺に設けられたシール材とによって囲まれた所定空間内に、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなる液晶層を備えた液晶表示装置であって、
    前記一対の基板の対向面のそれぞれに設けられた電極のうちの少なくとも一方の電極上には、前記液晶の配向を規制する突起部が設けられ、
    前記基板の対向面から前記液晶層側に突出した前記突起部を含む凸部の全体積が前記所定空間の容量の10%以上、且つ25%以下を占めていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記一方の電極と他方の電極の重なる領域にドット領域が形成され、一つのドット領域内には、透過表示を行う透過表示領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記一方の電極と他方の電極の重なる領域にドット領域が形成され、一つのドット領域内には、透過表示を行う透過表示領域と、反射表示を行う反射表示領域とが別個に設けられており、少なくとも前記反射表示領域には前記液晶層の層厚を前記透過表示領域の前記液晶層の層厚よりも小さくする液晶層厚調整層が設けられ、
    前記凸部は前記液晶層厚調整層を含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする電子機器。



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