JP2005165188A - 光学部品用積層フィルム、フィルム巻層体、光学部品及び光ディスク - Google Patents

光学部品用積層フィルム、フィルム巻層体、光学部品及び光ディスク Download PDF

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Abstract

【課題】表面平滑性および耐擦傷性が優れた光学部品用積層フィルム、フィルム巻層体、光学部品及び光ディスクを得ることを目的とする。
【解決手段】主として熱可塑性樹脂から形成される光透過層と、当該光透過層に積層され、表面硬度が鉛筆硬度で3H以上であり、かつ膜厚が0.5〜8μmであるハードコート層とを有することを特徴とする光学部品用積層フィルムを提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、DVD、有機EL、フレキシブルディスプレイ又は電子ペーパー等の光学用部品の部材として適用可能な光学部品用積層フィルム、フィルム巻層体、光学部品及び光ディスクに関する。
家電製品、カメラ、携帯電話、OA機器及び電子機器等の部品、CDやDVD等の光学用部品として各種の高分子材料が使用されている。
代表的な高分子材料として、例えば、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、液晶性ポリマ、ポリイミド樹脂、ポリマーアロイ材、熱硬化性樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂またはスチレン系樹脂は、透明性が高く、ゴム状物からガラス状ポリマまで多様な特徴を有するポリマを比較的容易に製造することができ、変性が容易である等の特性を有し、比較的安価であるが、フィルム形状にするには強度、耐熱性と靱性の両立向上に大きな課題を残している。靱性の不足はアクリル樹脂全般に共通した課題であり、靭性の不足を解決する方法は幾つか報告されており、例えば、樹脂中にゴム粒子を添加することが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。しかし、これらの方法では、樹脂から薄膜フィルムを形成すると樹脂を折り曲げた時に白化現象が発生してしまい、良好な折り曲げ加工性を得られない。このため、現在、室温以上のガラス転移点を有し、かつ、靱性及び折り曲げ加工性が優れたアクリル樹脂は見出されておらず、薄膜フィルムを形成することが困難であった。
また、芳香族ポリアミド樹脂として、ポリパラフェニレンテレフタルアミドが最も代表的な樹脂として挙げられる。ポリパラフェニレンテレフタルアミドは、特に、高融点、結晶性が高く、難燃性、剛直な分子構造であるため、優れた機械的強度を有しており、低い線膨張係数等を有する。しかし、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド樹脂は、有機溶媒に難溶であり、溶媒として濃硫酸等の無機の強酸を用いる必要があった。濃硫酸等の濃厚溶液から紡糸された繊維は高い強度と弾性率を示すことが知られており、工業的に実施されるに至っているがフィルムへの応用例は少ない。例えば、膨潤状態で延伸してフィルムとして成形できる技術が開示されているが(特許文献3参照)、本方法では製造工程が極めて煩雑であり、生産性が低下し、製品価格が上昇してしまうという問題を有していた。有機溶媒への溶解性を向上させる方法としては、芳香核にハロゲン基を導入した単位または屈曲性の高い単位を共重合して有機溶媒への溶解性を向上させる方法が知られている(特許文献4参照)。しかし、モノマーが高価であるため製品価格が高くなり、耐熱性や難燃性を損なうことが懸念される上に、ハロゲン原子の金属腐食性が問題となっている。
ポリイミド樹脂は、極めて高い耐熱性と強靱性とを有し、フィルム性能が優れているため工業的に極めて有用な材料である。ポリイミドをフィルム状に加工するため、一般的にはポリイミド溶液を塗工した後、高温加熱してイミド環を形成している。イミド環を形成すると優れた耐熱性及び強靭性を得られるが、一旦イミド環を形成すると溶媒に対する溶解性が著しく低下し、ポリイミドをリサイクルする際には極めて重大な欠点となっていた。そこで、溶媒に対する溶解性および耐熱性の両特性を兼ね備えた材料の開発が要求されており、例えば、芳香核にアルキル等の置換基を導入した単位を共重合して有機溶媒への溶解性を向上させる方法が知られている。しかし、本方法ではガラス転移温度が320℃以上となる材料は得られず、また、モノマーが高価であり製品価格が高騰してしまうという問題があった。
ポリマーアロイ材は、異種の高分子材料を混合することにより新たな性能の発現を目的とするものであるが、相溶化剤を用いることにより親和性の異なる高分子を混合することが行われてきた。この方法では、相溶化剤により表面エネルギーを減少させることを狙った技術であるため海島構造を形成する分散状態を制御することはできるが、完全に相溶化することはできない。異種高分子を完全相溶化した報告は現在のところない。また、相溶化剤は比較的高価であるため、製品価格が高くなることと、ポリマーアロイ材を長期に亘り使用した場合には、相溶化剤が表面へブリードアウトしてしまう等により汚染の原因となり、また、ポリマーアロイ材の分散状態が変化してしまう等の問題点を有していた。
熱硬化性樹脂に関しては、一般に不溶不融の硬化物であるために、耐溶剤性又は高温下での強度保持率等の耐久性に非常に優れる特徴を有する。しかし、架橋反応が共有結合により形成されているため、再加工できないという欠点があり、この欠点は、近年のリサイクル性の確保に関して致命的となっていた。リサイクル可能な熱硬化性樹脂に最も近いものとしては、アイオノマー樹脂を挙げることができる。アイオノマー樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有するポリマに、酸化マグネシウム、又は水酸化カルシウム等の金属酸化物又は金属水酸化物を添加したものであり、金属とカルボキシル基との間にイオン結合を形成し、疑似的架橋点を形成したものである。本方法によれば、ある程度の耐熱性及び強靱性の向上は認められるものの、金属化合物とカルボキシル基の結合力が弱いこと、及び金属化合物の樹脂に対する溶解性が低く少量しか添加できない等の理由により、大幅な特性向上は認められない。
そこで、1種又は2種以上の合成高分子を混合して分子間に水素結合を形成することにより擬似的な架橋構造を持たせて、従来の材料では実現できなかった新たな特性を導入した樹脂組成物が開発されている(特許文献5参照)。さらに、ガラス転移温度が低い重合体としてプロトン供与性原子団である水酸基を含んだアクリル重合体(ビニル系重合体A)と、ガラス転移温度が高い重合体としてプロトン受容性原子団であるアミン基を含んだアクリル重合体(ビニル系重合体B)とをブレンドし、分子間に水素結合を形成して擬似的な架橋構造を持たせた疑似架橋型樹脂組成物からフィルムを形成することにより、新たな特性を導入し、耐熱性及び靱性の相反する特性を両立したフィルムを得られることが報告されている(特許文献6参照)。
特公昭58−167605号公報 特開平3−52910号公報 特開平4−6738号公報 特公昭56−45421号公報 特開2000−273319号公報 特開2002−38036号公報
また、上記のような耐熱性および靭性のほかに、当該フィルムを光ディスク等の光学部品として実際に用いる際に要求される特性として、耐擦傷性が挙げられる。例えば、光ディスクの表面に埃又は指紋等が付着した場合、これらが残存した状態では光信号の読みとり精度が悪化するため、画像又は音声の乱れが生じ品質の低下を招く。そこで、付着した埃又は指紋をふき取る必要があるが、光ディスクの表面層が柔軟である場合、ふき取る際の布等によりフィルム自体に傷が付いてしまう。フィルム表面に数μm程度の凹凸が生じると、特に、高記録高密度であるCDやDVD等の光ディスクの読み取りにエラーが発生し易くなり、記録情報を正確に読み取ることが困難となる。
したがって、実使用時を考慮すると、耐熱性および靭性の両立のみならず、耐擦傷性の向上を目的として表面硬度や表面平滑性を著しく向上させることが必要となる。
表面硬度及び表面の滑り性を向上させるために、上記した樹脂の擬似的な架橋点数を増やすことなどが検討されている。擬似的架橋点数を増やす方法としては、プロトン供与性基とプロトン受容性基をともに増量することにより達成することができる。しかし、この場合は、架橋点数が増えることにより樹脂の自由度が低下するため、靱性が低下する欠点が生じ、表面の耐擦傷性と靱性を両立させることができなくなる。
また、光透過層フィルムを光ディスクに張り合わせた後、このフィルム上にハードコートを塗布することにより表面耐擦傷性を向上させる方法が採用されているが、この方法では、ハードコート材の硬化の進行に伴う体積収縮により光ディスク自体が反るという問題が生じてしまう。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、表面平滑性および耐擦傷性が優れた光学部品用積層フィルム、フィルム巻層体、光学部品及び光ディスクを得ることを目的とする。
上記目的を達成すべく本発明者らは種々研究した結果、主として熱可塑性樹脂から形成される光透過層上にあらかじめ所定表面硬度および膜厚のハードコート層を積層した積層フィルムを提供することにより、表面平滑性および耐擦傷性が良好で、かつ光ディスクに該積層フィルムを採用した際に光ディスクの反りをも低減できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の光学部品用積層フィルムは、主として熱可塑性樹脂から形成される光透過層と、当該光透過層に積層され、表面硬度が鉛筆硬度で3H以上であり、かつ膜厚が0.5〜8μmであるハードコート層とを有することを特徴とする。
また、本発明の光学部品用積層フィルムをロール形状に巻き取り形成されたことを特徴とするフィルム巻層体を提供する。
また、本発明の光学部品用積層フィルムを貼り付けて形成されることを特徴とする光学部品を提供する。
また、支持基盤上に記録層、接着層及び光透過層及びハードコート層が順次形成された光ディスクであって、本発明の積層フィルムを用いたことを特徴とする光ディスクを提供する。
本発明の光学部品用積層フィルムによれば、これを用いた光ディスク等の光学部品の耐熱性および靭性はもちろん、反りを低減し、実使用時の耐擦傷性に優れ、その表面平滑性を高度に維持することができるため、今後、映像情報や動画情報等の発展に伴い光ディスク等に要求される大記録容量、高品質を長期にわたって維持することが可能となる。
本発明における光学部品用積層フィルムは、主として熱可塑性樹脂から形成される光透過層と、当該光透過層に積層され、表面硬度が鉛筆硬度で3H以上であり、かつ膜厚が0.5〜8μmであるハードコート層と、を少なくとも有する積層フィルムである。
上記発明において、熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、ビニル系重合体であることが好ましい。ビニル系重合体としては、特にアクリル酸又はメタクリル酸のエステルを主な単量体として製造されるアクリル系重合体であることが、透明性などのフィルム特性の面から好ましい。また、ビニル系重合体は、少なくとも1種のプロトン供与性原子団を有するビニル系重合体Aと、少なくとも1種のプロトン受容性原子団を有するビニル系重合体Bとを含む混合物であることが好ましく、これにより、両原子団の間で、分子間水素結合により擬似的な架橋が形成される。なお、ここで「擬似的な」と表現したが、疑似とは、熱(熱分解温度以下)又は溶剤等により架橋構造が切断され、温度を下げるか又は溶剤を除去することにより再び架橋構造が形成されると推定できるためである。このように2種以上のビニル系重合体を混合し、これを光透過層フィルムとして形成することにより、1種のビニル系重合体からフィルムとした場合には得ることができない複数の特性を待たせることが可能となる。例えば、耐熱性が良好であるビニル系重合体と、靱性を有するビニル系重合体とを混合して擬似架橋を形成することにより、耐熱性及び靱性の特性を両立させることができる。以下に、ビニル系重合体A及びビニル系重合体Bについて詳細に説明する。
[ビニル系重合体A]
ビニル系重合体Aは、少なくとも1種のプロトン供与性原子団を有するビニル系単量体を重合することにより得ることができ、透明性、複屈折等の光学特性を損なわない限り特に制限はない。
上記プロトン供与性原子団としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、フェノール性水酸基、メルカプト基、チオフェノール性メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基などの官能基を挙げることができ、好ましくはカルボキシル基、水酸基又はフェノール性水酸基の官能基を有するものである。
上記のようなプロトン供与性原子団を有するビニル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイロキシプロピルアクリレート、ビニルフェノール、ビニル安息香酸、安息香酸ビニル及びそれらの誘導体等が挙げられる。
分子内に少なくとも1種のプロトン供与性原子団を有するビニル系単量体と他のビニル系単量体を共重合する場合、プロトン供与性原子団を有するビニル系単量体は、ビニル系単量体の総量に対して、0.2モル%以上共重合することが好ましく、また、0.5モル%以上共重合することがより好ましく、1.0モル%以上共重合することが特に好ましい。0.2モル%未満になると、ビニル系重合体A及びビニル系重合体B間の分子間水素結合点が少なくなることから溶解性が悪くなり、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれる傾向がある。上限は特にないが、一般に30モル%以下とされる。
また、ビニル系重合体Aの製造には、上記の材料を用いて、塊状重合、懸濁重合、乳化重合及び溶液重合等の既存の方法を適用することができる。
重合を行う際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシロクヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができ、ここに示したものに制限されるものではない。重合開始剤は、ビニル系重合体の製造に用いる単量体の総量に対して0.01〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
さらに、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を必要に応じて添加することができる。また、ここに示したものに限定されるものではない。
熱重合による場合、重合温度は、0〜200℃の間で適宜選択することができ、50〜120℃が好ましい。
本発明のビニル系重合体Aは、その分子量について特に制限はないが、強靱性、耐熱性の点から重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)が10,000〜1,000,000の範囲のものが好ましく、100,000〜1,000,000がより好ましい。
[ビニル系重合体B]
ビニル系重合体Bは、少なくとも1種のプロトン受容性原子団、好ましくは窒素原子を有する原子団を有するビニル系単量体を重合することによって得ることができ、透明性、複屈折等の光学特性を損なわない限り特に制限はない。
上記プロトン受容性原子団としては、例えば、カルボニル基、スルホニル基、ホスホリル基、シアノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、含窒素複素環基などの官能基などを挙げることができ、好ましくは、2級アミノ基、3級アミノ基又は含窒素複素環基の官能基を有するものである。
上記のようなプロトン受容性原子団を有するビニル系単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルN−メチルピリミジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルN−メチルピリミジルアクリレート、2,2,6,6−テトラ−N−メチルピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、N−ジエチルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、ビニルピリジン及びその誘導体等が挙げられる。また、ここに示したものに限定されるものではない。
また、ビニル系重合体Bの分子中に少なくとも1種のプロトン受容性原子団を導入するための単量体の使用量としては、ビニル系重合体Bを構成するビニル系単量体の総量に対して、0.2モル%以上共重合することが好ましく、0.5モル%以上共重合することがより好ましく、1.0モル%以上共重合することがさらに好ましい。0.2モル%未満であると、ビニル系重合体A及びビニル系重合体B間の分子間水素結合点が少なくなることから溶解性が悪くなり、得られる樹脂組成物の透明性が損なわれる傾向があるからである。上限は特にないが、一般に30モル%以下とされる。
ビニル系重合体Bの製造には、上記の材料を用い塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の既存の方法を適用することができる。
重合を行う際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。また、ここに示したものに限定されるものではない。重合開始剤は、ビニル系重合体Bの製造に用いる単量体の総量に対して0.01重量%〜10重量%の範囲で使用することが好ましい。
さらに、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を必要に応じて添加することができる。また、ここに示したものに限定されるものではない。
熱重合による場合、重合温度は、0〜200℃の間で適宜選択することができ、50〜120℃が好ましい。
本発明のビニル系重合体Bは、その分子量について特に制限はないが、強靱性、耐熱性の点から重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)は、10,000〜1,000,000の範囲とすることが好ましく、50,000〜1,000,000がより好ましい。
[ビニル系重合体A及びビニル系重合体Bの混合]
本発明における光透過層に用いる熱可塑性樹脂として好ましいビニル系重合体は、上記のビニル系重合体Aとビニル系重合体Bとを混合することにより得ることができる。可撓性又は耐熱性を向上させる目的で、その他のビニル系重合体を適宜添加することもできる。
ビニル系重合体Aとビニル系重合体Bとを混合する方法は、溶融混練法、ワニスブレンド法など特に方法は問わない。
上記ビニル系重合体Aとビニル系重合体Bの混合比率は、得られる樹脂組成物の透明性を確保できるのであれば、特に制限はないが、強靱性、耐熱性、透明性の点から、ビニル系重合体Aとビニル系重合体Bとの各々の水素結合を形成できる原子団のモル比を、15対1〜1対15の混合比で混合することが好ましい。
また、本発明において、ビニル系重合体Aとビニル系重合体Bのガラス転移温度は異なることが好ましく、さらには一方のガラス転移温度が25℃未満であり、他方のガラス転移温度が25℃以上にすることがより好ましい。このように相違するガラス転移温度を有するビニル系重合体A及びビニル系重合体Bを混合することにより、得られるビニル重合体に耐熱性及び靭性を付与することができる。上記の温度条件から外れた場合、室温において靭性を付与できず、熱変形してしまうという問題が生じうる。ガラス転移温度は上記の条件を満たす温度範囲であれば特に問題はないが、好ましくは一方が+10℃以下、他方が+50℃以上であり、さらに好ましくは一方が0℃以下、他方が+80℃以上とする。なお、本発明において、ガラス転移温度はDVA(動的粘弾性測定)、TMA、DSC法等により測定することができるが、DVA(動的粘弾性測定)を基準とすることが好ましく、後述する実施例でもDVAで測定している。
上述したガラス転移温度の条件を満たすために、分子内に少なくとも1種のプロトン供与性原子団を含むビニル系重合体Aと、分子内に少なくとも1種のプロトン受容性原子団を含むビニル系重合体Bとのそれぞれに対して、他のビニル系重合体を共重合させることができる。使用できる単量体としては、得られるビニル系重合体の透明性を損なわないものであれば特に限定されず、その具体例として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル等のメタクリル酸エステル類、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸カルシウム、アクリル酸バリウム、アクリル酸鉛、アクリル酸すず、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸バリウム、メタクリル酸鉛、メタクリル酸すず、メタクリル酸亜鉛等の(メタ)アクリル酸金属塩、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、 N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド等が挙げられる。また、これらは1種又は2種以上により使用しても良い。但し、ここに示した化合物は一例であり、これらに制限されるものではない。
また、本発明における熱可塑性樹脂中には、必要に応じて任意の成分を加えることができる。例えば、劣化防止、熱的安定性、成形性、加工性などの観点から、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系などの抗酸化剤、光安定剤、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、トリグリセライド類、フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金属塩などの離型剤、その他滑剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重金属不活性化剤などを添加してもよい。
また、上記のような熱可塑性樹脂から主として成る光透過層のフィルムは、上記熱可塑性樹脂から溶融混練法、溶媒キャスト法等で有機溶媒を揮発させることで得ることができる。
キャストの条件は特に制限されるものではないが、例えば、空気中や不活性ガス中、80〜160℃の温度範囲で行うことが可能である。ここで用いる溶媒は、ビニル系重合体が溶解するものであれば特に制限はなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、NMP、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。なお、ここに示したものは一例でありこれらに制限されるものではない。また、上記の条件を用いて予備乾燥を行った後、さらに160〜350℃の高温で乾燥して乾燥時間を短縮することも可能である。
また、溶融混練法により製造する場合も製造条件に特に制限はないが、例えば、空気中180℃〜250℃程度の温度で溶融して適当に調整されたギャップを通して押し出し、その形状を保ったまま冷却してフィルムを製造することができる。なお、この際、高温で加工するため酸化防止剤等の安定剤を添加することが望ましい。
このようにして得られた光透過層フィルムは強靱でかつ柔軟性を有しており、機械特性に優れており、折り曲げ加工性も良好である。また、特にガラス、アルミ又は銅などの金属に対する密着性が高いため、フィルムの作成においてはキャスト基板の選択が重要である。具体的には、ステンレス、PETフィルム、テフロン(登録商標)フィルム等が選択できるが、樹脂組成物との密着性が低くければこれらに制限されない。
また、本発明における光透過層の膜厚は、15〜250μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは25〜200μm、さらに好ましくは35〜150μmの範囲である。膜厚が15μm未満になると強靱性が低下し、加工時の作業性が悪化する傾向があり、逆に、250μmを超えると溶剤、モノマ等の揮発性物質が残存しやすく特性の良好な光透過層フィルムが得られないからである。なお、膜厚の測定は、レーザーフォーカス変位計(キーエンス製、LT−8010)を用いて、任意の大きさ(例えば1cm〜10000cmの面内)について、全体から適切に(例えば25〜1000点)測定点を選択して測定し、その平均値を厚さとすることができる。
また、本発明における光透過層の膜厚精度は±2.0μm以内であることが好ましく、±1.5μm以内であることがより好ましい。膜厚精度は、例えば、フィルムに加工する際に、塗工により製造する場合は、塗工機のコータ精度及び駆動の安定性を向上させること、溶融押し出しにより製造する場合は、押し出し金型のクリアランスの精度を上げること及び駆動系の安定性を向上させることにより調整することができる。
また、本発明における光透過層の複屈折は20nm以下であることが好ましい。複屈折が20nmを超えると、ディスクに書き込む際及び読み出す際の信号精度が低下する傾向があるからである。複屈折は、信号精度の点から、10nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましく、特に20GBを超えるような高密度DVDの場合は、2nm以下が特に好ましい。また、光透過層とハードコート層をあわせた2層の複屈折も、上記光透過層単独での好ましい値の範囲と同様であることが好ましい。
本発明の積層フィルムのハードコート層は、硬化後の表面硬度が鉛筆硬度で3H以上であり、かつ膜厚が0.5〜8.0μmである。鉛筆硬度が3H未満であると耐擦傷性が不十分である。また、ハードコート層の膜厚が0.5μm未満であると耐擦傷性の向上効果が低く、8.0μmを越えると環境性試験時にクラックが生じる。
また、ハードコート層は、特に限定されないが、架橋体構造であることが好ましく、シリコーン系架橋構造体またはアクリル系架橋構造体であることがより好ましい。また、ハードコート層の膜厚精度は±1.0μm以内であることが好ましい。
このようなハードコート層を光透過層フィルム上に形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、予め作製した光透過層フィルム上に硬化触媒を添加したハードコート前駆体を均一な厚みに塗布し、その後、これを加熱もしくは紫外線照射することにより硬化させ、形成することができる。
上記シリコーン系架橋構造体となるハードコート前駆体としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、C1〜C12のアルキルトリメトキシシラン、C1〜C12のアルキルトリエトキシシラン、ジ(C1〜C12のアルキル)トリメトキシシラン、ジ(C1〜C12のアルキル)トリエトキシシラン、トリ(C1〜C12のアルキル)メトキシシラン、トリ(C1〜C12のアルキル)エトキシシラン等の加水分解縮合物を用いることができる。尚、これらのシラン化合物は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
上記ハードコート前駆体に添加される硬化触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ(C3〜C8アルキル)アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(C3〜C8アルキル)アミン、メチルアミン、エチルアミン、(C3〜C8アルキル)アミン、シクロヘキシアミン、モルホリン、トリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルジメチルハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルジエチルハイドロオキサイド等のアミン化合物を用いることができ、中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド等が好適である。中でも水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド等がより好適である。但し、これらは一例でありここに示したものに限定されるものではない。また、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を併用することもできる。添加する硬化触媒量は、特に制限されないが、ハードコート前駆体の固形分に対して0.05重量%〜10重量%の範囲で適宜選択することができる。
加熱による硬化温度は、ハードコート前駆体が硬化できる温度であれば特に制限はないが、一般に60℃〜180℃程度が好適である。最も好ましい温度は120℃〜160℃程度である。
また、上記ハードコート前駆体を製造する際には触媒を用いるが、その触媒としては、例えば、上記の硬化触媒と同様のアルカリ水酸化物、アミン化合物、さらには、塩酸、硫酸、硝酸、パラトルエンスルフォン酸、燐酸、フェノールスルフォン酸、ポリリン酸等の酸を用いることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。尚、ここに示したものは一例であり、これらに制限されるものではない。
本発明におけるハードコート前駆体を製造する際の反応温度には特に制限はないが、20℃〜100℃程度の温度が好適である。20℃を下回ると、反応速度が低下し生産性が低下する。100℃を越えると、加水分解又は縮合により生成するアルコール又は水が沸騰するため危険を伴う。また、反応は、溶液中でおかなうことが好適である。用いることのできる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のアルコールを挙げることができる。ここに示したものは1例であり、これらに制限されるものではない。
本発明におけるハードコート層となる、アクリル系架橋構造体としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する重合性化合物を含む重合性材料(ハードコート材料)を用いて形成することができる。
このハードコート材料で用いることができる、重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、オリゴエステル(メタ)アクリレートなどの2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)が付加した付加体のジ(メタ)アクリレート[例えば、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンなど]などの2官能性(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ホスファゾ基−P=N−と(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが含まれる。
また、硬化塗膜の特性を調整するため、単官能性(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのC1−20アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの塩基性窒素原子含有(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン含有(メタ)アクリレートなどを併用してもよい。
このような重合性ハードコート材料は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物など)を含む熱硬化性のものでもよいが、生産性を向上させるため、光重合開始剤を含む光硬化型のものが好ましく、特に紫外線硬化型のものが好ましい。
光重合を開始するために使用する化合物としては、例えば、ベンゾイン又はその誘導体(ベンゾイン,ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなど)、ケトン類(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノンやその誘導体(アルコキシアセトフェノンなど)、プロピオフェノン又はその誘導体(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなど)、ベンゾフェノン又はその誘導体(4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)ケトンなど)、ベンジル又はその誘導体(ベンジルおよびベンジルメチルケタールなど)、チオキサントン又はその誘導体(2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなど)などの慣用の光重合開始剤や増感剤を使用することができ、これらは単独で使用してもよく、二種以上組み合わせて使用してもよい。
熱重合開始剤や光重合開始剤の量は、前記重合性化合物100重量部に対して、0.1〜10重量部程度用いることが好ましい。
またハードコート材料は、必要に応じて、炭化水素類、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類などの有機溶媒を含む有機溶媒含有塗布剤であってもよい。
また、本発明におけるハードコート層は、シリコーン系熱可塑性樹脂を0.2〜10.0重量%含有することが好ましい。シリコーン系熱可塑性樹脂を含有することにより、ハードコート層表面の滑り性が向上し、耐擦傷性をより向上させることができる。
本発明の積層フィルムは、波長405nmにおける光透過率が87%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。光透過率が87%未満になると、記録層からの反射光が光透過層を通過する際に吸収され、信号強度が低下してしまうからである。光透過率を87%以上とするために、例えば、紫外線を吸収する添加剤を用いないこと又は樹脂を構成する単量体に紫外線吸収帯を持たないもののみを用いることにより調整することができる。
また、本発明の積層フィルムには、これを支持し、使用時には剥離除去される基材層を設けてもよい。また、後の貼り付け工程を減少させるために、接着層を設けてもよく、上記基材層と共に設けてもよい。なお、接着層はハードコート層が形成されている反対側の光透過層上に形成する。また、接着層が最外層に積層される場合には、これを保護し、使用時には剥離除去される保護層を形成してもよい。本発明の積層フィルムは、光透過層およびハードコート層に加え、基材層、接着層および保護層が積層され、2〜5層構造の積層フィルムとなりうるものである。なお、上記「接着層」とは、接着剤や粘着剤等を塗布、またはそれらのフィルムをラミネートして形成される層を指すものであり、積層フィルムと記録層を貼り合わせることができるものであれば公知のものを使用することができ、種類や形成方法は特に限定されない。
また、本発明の光学部品用積層フィルムは、光ディスクの光透過層用およびこの光透過層を保護するハードコート層として特に好適なものである。この場合、積層フィルムの光透過層を光ディスクの記録層が形成されている側に貼り付けることが、光信号の透過性を保ち、ディスク表面の傷つきを防止する点で好ましい。
本発明の光学部品は、本発明の光学部品用積層フィルムを光透過層およびこの光透過層を保護するハードコート層として適用した光学部品であり、光学部品は光ディスクであることが好ましく、記録容量が20GB以上の高密度DVDであることがさらに好ましい。
また、光学部品では光透過層は接着層を介して光学部品の記録層などに貼り付けられるが、光透過層と接着層との屈折率差は0.1以下であることが好ましい。特に、光学部品が光ディスクである場合に、屈折率差が0.1を超えると、接着層と光透過層との界面でレーザー光の乱反射が生じ、信号情報の再生及び記録の精度が低下する傾向があるからである。
また、本発明の光ディスクは、例えば、支持基盤上に記録層、接着層、光透過層およびハードコート層が順次積層された光ディスクであり、光透過層およびハードコート層は、本発明の積層フィルムを用いて形成されたことを特徴とする。
また、上記光ディスクの支持基盤及び記録層としては特に制限はなく、使用されている既存のものを適用することができる。接着層は、透明性を損なわない限り特に制限はなく、例えば、紫外線硬化型樹脂、感圧型粘着フィルム等を用いることができる。
以下、本発明の光学部品用積層フィルムを使用して光ディスクを構成し、20GBを超える大容量の高密度DVDとした例を図を用いて説明する。
図1は、高密度DVDの一部の構造を示す斜視図であり、図2はその断面図である。図1及び図2に示すように、高密度DVD1は、支持基盤2上に記録層3を備え、記録層3上に接着層4を介して光透過層5が形成され、その上にハードコート層6が形成される。
DVDは、405nmの短波長レーザー光7をハードコート層6側から照射し、光透過層5を介して記録層3の信号情報を再生及び記録するものであり、高密度DVD1は、光透過層5を薄肉化している。
DVDの構成材料は、光透過層5およびハードコート層6として、本発明の積層フィルムを使用すること以外、特に制限は無く、支持基盤2及び記録層3は、従来と同様の材料を適用することができ、例えば、支持基盤2は、ポリカーボネート等のプラスチック基板から構成され、接着層4は、透明性を損なわない限り特に材料は制限されず、例えば、紫外線硬化型樹脂、感圧型粘着フィルム等を適用することができる。
支持基盤2の厚さは、0.4mm〜1.2mmの範囲とし、記録層3及び接着層4の厚さは、15μm〜250μmの範囲とし、より好ましい記録層3及び接着層4の厚さは20μm〜150μmである。
なお、上述した支持基盤2、記録層3、接着層4、積層フィルム(光透過層5及びハードコート層6)の各層の積層方法としては、いかなる方法を使用しても良い。
本発明の光学部品用積層フィルムは、上記DVD用の他、液晶タッチパネル用基材フィルム、フレキシブルディスプレイ用基材フィルム、液晶パネル用位相差フィルムなどとして使用することもできる。
次に以下に示す実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3により、光学部品用積層フィルムの特性評価を行った。
[実施例1]
本実施例では、下記ポリマAとポリマBとを混合したポリマを用いて光透過層フィルムを作製し、その後、得られた光透過層フィルム上に下記ハードコート前駆体Aを塗布、乾燥してハードコート層を形成し、積層フィルムとした。
(ポリマA)
耐圧2.3kg/cmGの4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに重合溶媒としてアセトン1279gを投入し、アクリル酸ブチル(BA、和光純薬(株)製)994g、アクリル酸(AA、和光純薬(株)製)86g、イソプロピルアルコール(IPA、トクヤマ(株)製)160gを秤取した。その後、室温にて窒素ガスを約1時間通し、溶存酸素を置換した後、重合開始剤としてラウロイルパーオキシド(LPO、日本油脂(株)製)0.72g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート(PBO、日本油脂(株)製)0.24g、分子量調整剤としてα−メチルスチレンダイマー0.054gをアセトン40gに溶解し、室温にて窒素ガスを約10分間通し、溶存酸素を置換した混合溶液を添加した。その後、オートクレーブ内を加圧・密閉にして、60℃まで昇温し、同温度で約20時間保持した後、90℃まで昇温した。さらに、同温度で約10時間保持し、高分子溶液を得た。得られた高分子溶液の重合率は97%以上であった。
(ポリマB)
耐圧2.3kg/cmGの4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに重合溶媒としてアセトン1279gを投入し、メタクリル酸メチル(MMA、旭化成(株)製)810g、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ−8−イル(TCDMA、日立化成(株)製)205g、アクリル酸ブチル(BA)32g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(FA712HM、日立化成(株)製)32gを秤取した。その後、室温にて窒素ガスを約1時間通し、溶存酸素を置換した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬(株)製)2.88g、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル(ACHN、和光純薬(株)製)0.96gをアセトン40gに溶解して、室温にて窒素ガスを約10分間通し、溶存酸素を置換した混合溶液を添加した。その後、オートクレーブ内を加圧・密閉にして60℃まで昇温し、同温度を約20時間保持した。さらに、90℃まで昇温した後、同温度で約10時間保持し、高分子溶液を得た。得られた高分子溶液の重合率は97%以上であった。
(光透過層フィルムの作製)
得られたポリマAワニスとポリマBワニスを4:6の固形分の比率により混合し、混合した溶液をヒラノテクシード製コンマコータヘッドの塗工機を用い、基材層としてコスモシャインA−4100(東洋紡績(株)製)のPETを使用し、3m/min速度で塗工し、連続して50℃の乾燥路を3分、140℃の乾燥路を3分通して光透過層フィルムを作製した。このときの光透過層フィルムの膜厚は80μmであった。
(ハードコート前駆体A)
耐圧2.3kg/cmGの4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに溶媒としてブタノール(和光純薬(株)製)1200gを投入し、テトラエトキシシラン(信越化学(株)製)32g、メチルトリエトキシシラン(信越化学(株)製)187.6g、ジメチルジエトキシシラン(信越化学(株)製)180.4gを秤取し、撹拌しながら蒸留水80gを添加した。その後、10%水酸化カリウム溶液0.04gを添加し、撹拌しながら60℃に昇温した。同温度を2時間保持し、ハードコート前駆体Aを得た。このときの固形分量は20%であった。
(ハードコート層の形成)
得られたハードコート前駆体Aの固形分に対してテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの15%水溶液(和光純薬(株)製)を3.3重量%添加してハードコート前駆体A溶液を調整した。この溶液をヒラノテクシード製コンマコータヘッドの塗工機を用い、上記光透過層フィルム上に塗工し、連続して50℃の乾燥路を3分、150℃の乾燥路を3分通して積層フィルムを形成した。このときの積層フィルムの膜厚は82μmであったので、光透過層の膜厚を差し引きすると、ハードコート層の膜厚は2μmとなる。
[実施例2]
本実施例では、ハードコート前駆体A溶液を光透過層フィルム上に塗工する際のコータギャップを調整して、ハードコート層の膜厚を5μmとしたこと以外は、実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[実施例3]
本実施例では、ハードコート前駆体A溶液を光透過層フィルム上に塗工する際のコータギャップを調整して、ハードコート層の膜厚を7μmとしたこと以外は、実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[比較例1]
本比較例では、下記ハードコート前駆体Bを用い、ハードコート層の膜厚を4μmにしたこと以外は、実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製した。
(ハードコート前駆体B)
耐圧2.3kg/cmGの4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに溶媒としてブタノール(和光純薬(株)製)1200gを投入し、メチルトリエトキシシラン(信越化学(株)製)120g、ジメチルジエトキシシラン(信越化学(株)製)280gを秤取し、撹拌しながら蒸留水80gを添加した。その後、10%水酸化カリウム溶液0.04gを添加し、撹拌しながら60℃に昇温した。同温度を2時間保持し、ハードコート前駆体を得た。このときの固形分量は18%であった。
[実施例4]
本実施例では、ハードコート前駆体として、市販品(信越化学(株)製 X−12−2206)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[実施例5]
本実施例では、ハードコート前駆体として、市販品(信越化学(株)製 X−12−2206)を用いた以外は、実施例2と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[実施例6]
本実施例では、ハードコート前駆体として、市販品(信越化学(株)製 X−12−2206)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[比較例2]
本比較例では、ハードコート前駆体として、市販品(信越化学(株)製 X−12−2206)を用い、ハードコート層の膜厚を10μmとした以外は、実施例1と全く同様にして積層フィルムを作製した。
[比較例3]
本比較例では、ハードコート層を形成せず、実施例1と同様にして作製された光透過層フィルムのみを評価サンプルとした。
上記実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3により作製された各光透過層、積層フィルムについて、以下に示す各種特性評価を行った。
[ガラス転移温度(Tg)]
測定機としてレオロジー(株)製の動的粘弾性測定器DVE REO SPECTOLREを用いて、ガラス転移温度(Tg)を測定した。なお、測定条件は、3℃/minの昇温速度で、周波数は3Hzの条件とした。Tgはtanδのピークトップとした。
[相分離状態の観察]
ポリマAとポリマBとを混合した際の相分離状態は、目視により透明性を観察して評価した。評価方法は、目視観察により透明である場合に相分離が観察されなかったものとしてその評価を○とし、僅かに白濁した場合に相分離が多少観察されたものとしてその評価を△とし、さらに白濁した場合に相分離が観察されたものとしてその評価を×とした。
[405nmの光透過率]
光透過層の光透過率は、JASCO社製V−570の分光光度計を用いて測定し、測定条件は、室温(25℃)で波長405nmの領域とした。
[色相(イエローネスインデックス)]
光透過層の色相(黄色度)は、イエローネスインデックスについて、日本電色工業製COH−300Aの色差計を用いて測定した。
[ヘイズ(%)]
ヘイズは、ヘーズメーター(スガ試験器(株)製、HGM−2)を用い、室温で測定した。
[膜厚(μm)、膜厚精度(μm)]
膜厚は、レーザーフォーカス変位計(キーエンス製、LT−8100)を使用し、サイズ12cm×12cmの正方形フィルムについて測定した。
正方形フィルムの4つの辺を、それぞれ直線A、直線B、直線C、直線Dとし、直線Aに対向する辺を直線Cとし、直線Bに対向する辺を直線Dとした。直線Aから直線Cに向かって3cmの間隔を空けた3本の平行直線を各々直線A1、直線A2、直線A3とし、これら3本の平行直線(A1、直線A2、直線A3)と、直線Aと、直線Cとの合計5本について、以下の手順により直線上の各点におけるフィルムの膜厚を測定した。まず、直線Aの一端部から正方形内側の1cmの点を基準点とし、基準点から直線Aの他端部に向かい1mmの間隔を空けた各点について、他端部から正方形内側1cmの点までの長さ10cmに亘る合計101個の各点についてフィルムの膜厚を測定した。次に、直線Aと同様の方法を用いて、直線A1、直線A2、直線A3及び直線Cについての各点の膜厚を測定し、5本の直線について合計505個の各点の膜厚を測定した。さらに、前述した直線Aから直線Cまでの各直線と同様に、直線Bから直線Dに向かう5本の直線(直線B、直線B1、直線B2、直線B3、直線D)の合計505個の各点について膜厚を測定した。最後に、前述した方法により測定された正方形フィルム内の総計1010個についての膜厚の平均値をフィルムの膜厚とした。
また、膜厚の最大値から平均膜厚を差し引いた値、及び平均膜厚から膜厚の最小値を差し引いた値を各々算出し、算出した値のうち大きい値を膜厚精度とした。
[表面平滑性(nm)]
表面平滑性は、幅15μmにおける凹凸を測定した。なお、測定には、SEIKO INSTRUMENT社製、AFMを使用した。幅15μmにおける凹凸を求めた点は、12cm×12cmの正方形であるフィルムの中央部の点と、四辺の各中央部から1cm内側の点とについて合計5点を測定し、最も大きい凹凸の大きさを表面平滑性とした。
[折り曲げ加工性]
光透過層のフィルムを折り曲げた際に、フィルムに発生する亀裂の有無および白化現象の程度を目視にて観察した。評価方法は、目視観察によりフィルムに亀裂が発生していた場合あるいはフィルムに白化現象が生じなかった場合にその評価を○とし、フィルムに亀裂や白化現象が僅かに生じた場合にその評価を△とし、フィルムに亀裂や白化現象が明らかに生じた場合にその評価を×とした。
[ハードコート層(HC)外観]
ハードコート層表面の外観を目視および顕微鏡(倍率200倍)により評価した。評価基準としては、目視および顕微鏡の両方でクラックが全く確認できない場合には○、目視では確認できないが顕微鏡ではクラックが確認できる場合には△、目視で明らかにクラックが確認できる場合には×とした。
[ハードコート層の鉛筆硬度]
ハードコート層の鉛筆硬度は、各実施例および比較例のハードコート前駆体溶液をガラス板状に塗布した後、50℃/3分の後直ちに150℃/3分加熱し、ハードコート層を作製し、その鉛筆硬度をJIS K5400に準拠して測定した。
[ハードコート層の密着性]
積層フィルムのハードコート面から1mm間隔に1cm以上の切り込みを碁盤の目状に10本ずつ入れ、その上にセロテープを貼り付けた後瞬時に引き剥がしたときの剥離個数を升目の数で割ったものを密着性の尺度とした。
[積層フィルムの耐擦傷性]
摩耗試験器を用いて、荷重250g、摩耗輪CSF−1、回転数100回転の条件で積層フィルムのハードコート層表面に傷をつけ、その後、ヘイズを測定することで積層フィルムの耐擦傷性とした。
Figure 2005165188
表に示すように、比較例1は、ハードコート層の鉛筆硬度が2Hであるため、耐擦傷性が劣る。また、比較例2は、ハードコート層の膜厚が厚すぎるため表面にクラックが生じてしまった。さらに、比較例3は、ハードコート層を形成しなかったため、耐擦傷性が劣る。これに対して、実施例1〜6は、ハードコート層の表面硬度および厚みが共に本発明の範囲内であるため、優れた耐擦傷性を示した。
従って、本発明の形態によると、ハードコート層の鉛筆硬度を3H以上とし、かつその膜厚を0.5μm〜8μmとすることで、実使用時における傷等の障害による記録容量の低下を抑制することができ、長期にわたって大記録容量を維持することができる。
さらに、光透過層として、2種以上のビニル系重合体を混合したビニル系重合体を使用することで、1種のビニル系重合体では得られない、相反する特性を併せ持った光透過層フィルムを得ることができ、さらには、この光透過層フィルムを光学部品の光透過層用として適用することで、光学部品の高密度化及び高精度化を図ることが可能であり、映像情報や動画情報等の発展に伴い光ディスク等に要求される記録容量の大容量化を実現することができる。
なお、本実施形態において、本発明の光学部品用積層フィルムの具体的な用途として大容量化したDVDを例として挙げたが、光学部品はこれに限定されるものではなく、DVD用の他に、液晶タッチパネル用基材フィルム、フレキシブルディスプレイ用基材フィルム、液晶パネル用位相差フィルム、電子ペーパー等の光学部品として適用することができる。
本発明の実施形態における、高密度DVDの一部の構造を示す斜視図。 図1に示した高密度DVDの一部の構造を示す断面図。
符号の説明
1 高密度DVD
2 支持基盤
3 記録層
4 接着層
5 光透過層
6 ハードコート層
7 レーザー光

Claims (16)

  1. 主として熱可塑性樹脂から形成される光透過層と、当該光透過層に積層され、表面硬度が鉛筆硬度で3H以上であり、かつ膜厚が0.5〜8μmであるハードコート層と、を少なくとも有することを特徴とする光学部品用積層フィルム。
  2. 前記ハードコート層の膜厚精度が±1.0μm以内であることを特徴とする請求項1に記載の光学部品用積層フィルム。
  3. 前記ハードコート層が、架橋構造体であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品用積層フィルム。
  4. 前記ハードコート層が、シリコーン系架橋構造体またはアクリル系架橋構造体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  5. 前記ハードコート層が、シリコーン系熱可塑性樹脂を0.2〜10.0重量%含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  6. 波長405nmにおける光透過率が87%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  7. 前記光透過層の膜厚が15〜250μmであり、膜厚精度が±2.0μm以内であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  8. 前記熱可塑性樹脂は、ビニル系重合体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  9. 前記ビニル系重合体は、分子内に少なくとも1種のプロトン供与性原子団を含むビニル系重合体Aと、分子内に少なくとも1種のプロトン受容性原子団を含むビニル系重合体Bとを含み、前記プロトン供与性原子団とプロトン受容性原子団との間の分子間水素結合による擬似的な架橋が形成されていることを特徴とする請求項8記載の光学部品用積層フィルム。
  10. 前記ビニル系重合体Aは、分子内にカルボキシル基、水酸基及びフェノール性水酸基の中から選択される1種以上の官能基を有するビニル系単量体を含む単量体混合物を重合させて得られた重合体であり、前記ビニル系重合体Bは、分子内に窒素原子を有するビニル系単量体を含む単量体混合物を重合させて得られた重合体であり、かつ、前記ビニル系重合体A及び前記ビニル系重合体Bのいずれか一方のガラス転移温度が25℃以上であり、他方のガラス転移温度が25℃未満であることを特徴とする請求項9記載の光学部品用積層フィルム。
  11. 前記ビニル系重合体は、アクリル系重合体であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  12. 前記熱可塑性樹脂中に、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤及び光安定剤の中から選択される少なくとも1種以上の化合物が含有されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  13. 前記光透過層を光ディスクの光透過層用としたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルム。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルムをロール形状に巻き取り形成されたことを特徴とするフィルム巻層体。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学部品用積層フィルムを貼り付けて形成されることを特徴とする光学部品。
  16. 支持基盤上に記録層、接着層、光透過層及びハードコート層が順次積層された光ディスクであって、前記光透過層及びハードコート層は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の積層フィルムを用いて形成されたことを特徴とする光ディスク。
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