JP2005162501A - スピンナーホィール及びロックウールの製造方法 - Google Patents

スピンナーホィール及びロックウールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 外周面に生じる摩耗を抑制することで長時間使用可能なロックウール製造用のスピンナーホィールを提供する。
【解決手段】 冷却液を循環させるための空洞21を備えたスピンナーホィール20において、外周面の、溶融材料2が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する摩耗最多発生領域17の内側内周面にテーパ面27を形成しておき、空洞21内を通過する冷却液内のスケール等が遠心力で空洞内周面に移動した際にテーパ面27に沿って更に移動してゆくことでテーパ面上にはスケール等による熱伝達の悪い堆積層が形成されないようにし、そのテーパ面を通して摩耗最多発生領域17を良好に冷却し、摩耗発生を抑制する構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ロックウール製造用のスピンナーホィール及びそのスピンナーホィールを用いたロックウールの製造方法に関する。
ロックウールは、断熱材や吸音材等に用いられるが、通常、複数(2〜4個)のスピンナーホィールを用い、以下のようにして製造される。図15において、まず、ロックウールの原材料(玄武岩などの天然石やスラグなど)をキュポラ炉や電気炉などの溶解炉1で溶解する。そして溶解炉1で溶解された原材料である溶融材料2を、回転軸3に保持され、水平な軸線X−Xのまわりに高速回転している第一のスピンナーホィール4の外周面に注ぐ。スピンナーホィール4の外周面に注がれた溶融材料2は、一部がスピンナーホィール4の外周面に巻き付き、一部はスピンナーホィール4に弾かれて落ちる。スピンナーホィール4に巻き付いた溶融材料2はスピンナーホィール4の遠心力で飛び散りながら引き伸ばされて繊維化しロックウールになる。スピンナーホィール4の回りには、回転軸3を連結している側(端壁4a側)に、多数の噴射口6(図面では1個のみ図示)が設けられ、高速気流をスピンナーホィール4の外周面にほぼ平行に噴射している。これによりスピンナーホィール4の外周面から飛び散りながら繊維化されたロックウール7は、端壁4aとは反対側の端壁4bの方向に吹き飛ばされ(必要に応じ、バインダーが付与され)、端壁4bと対向するように配置されている集綿機(例えば、網状のベルトコンベア)8上に堆積する。ロックウール7はスピンナーホィール4から集綿機8まで吹き飛ばされる間に冷却される。第一のスピンナーホィール4で弾かれて落ちた溶融材料は、近傍に配置され回転している第二のスピンナーホィール(図示せず)の周囲に注がれ、第一のスピンナーホィール4のときと同様に一部は繊維化されてロックウールとなり、集綿機8上に堆積し、一部は弾かれて落ちる。スピンナーホィールの数が3個以上の場合、第三以降のスピンナーホィールでは第二のスピンナーホィールと同様である。このようにして集綿機8上に堆積したロックウール7は、その後、圧縮、硬化、切断などの処理が施され、ロックウール成形体が製造される。
ところで、この製造に用いられるスピンナーホィールは、一般に炭素鋼やステンレス鋼などから構成されている。しかし、このスピンナーホィールには高温の溶融材料2が衝突するため、摩耗、破損したり、腐食しやすいという、いわゆる耐用時間が短いという問題があった。また、複数のスピンナーホィールを用いてロックウールを製造する場合において、一つのスピンナーホィールから飛び散った溶融材料のうち、一部は繊維化されず、塊のまま冷却固化した非繊維化物、すなわちショットが形成されるが、そのショットが隣接したスピンナーホィールに衝突してしまい、そのショットが衝突する部分が特にはげしく摩耗する。かくして、スピンナーホィールの寿命はせいぜい50〜60時間程度であるのが実情であった。
スピンナーホィールの寿命を延ばすために、図15に示すように、スピンナーホィール4の内部に空洞10を設け、該空洞10内に給水管11から冷却水を送って空洞内に循環させ、スピンナーホィール4を冷却することが知られている。また、その際に冷却水がスピンナーホィール4の内周面に接する位置を確実に流れるようにするため、給水管先端に流動促進板を設け、流動促進板によって冷却水を案内するようにする提案も知られている(例えば、特許文献1参照)。
スピンナーホィールの寿命を延ばすための他の方策として、スピンナーホィール外周面に耐食性及び耐熱性を備えたセラミックやサーメットからなる被覆層を設けることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
実公平02−000412号公報 特開昭62−182133号公報
しかしながら、スピンナーホィール内部を冷却水で冷却する方式では、特許文献1に示すように空洞内に流動促進板を設けていても次のような問題があった。すなわち、スピンナーホィールは高速回転しているため、冷却水中の、配管から剥がれ落ちた水垢(スケール)、ゴミ、錆、或いは藻類など(以下、スケール等という)が遠心力によってスピンナーホィール周壁の内周面に押し付けられ、堆積する。このようにして生じたスケール等の堆積層13は断熱層として作用し、冷却水による周壁の外周面の冷却効果を低下させ、これによって、スピンナーホィール外周面の耐食、耐摩耗性が低下し、耐用時間が短くなっていた。
また、スピンナーホィール外周面にサーメット等の被覆層を形成する方式では次のような問題があった。すなわち、一般にサーメットの被覆層はサーメットを環状に溶射する方式(所望幅の溶射を円周方向に進行させてゆき、円周上の1箇所で突き合わせることで全周に渡る被覆を完成させる方式)で行われるため、形成中の被覆の先端部分(溶射中の部分)が被覆開始部に到達するまでに時間がかかり、形成中の被覆の先端部分が被覆開始部に到達して被覆終了部を形成する際には、溶射後の時間経過によって冷却された被覆開始部と溶射中の被覆終了部に大きい温度差が生じ、被覆開始部と被覆終了部が接する位置に熱間割れが入りやすい。サーメットの被覆層に熱間割れがあると、熱間割れの部分ではスピンナーホィールを構成する金属が溶融材料と衝突し摩耗するため、サーメット被覆の効果はなく、スピンナーホィールの耐用時間を長くすることはできない。また、熱間割れを避けるために、被覆開始部と被覆終了部との間に隙間を開けると、サーメットで被覆されていない部分ができる。この隙間では、スピンナーホィールを構成する金属が溶融材料と衝突し摩耗するため、スピンナーホィールの耐用時間を長くすることはできない。従って、環状に溶射する方式ではスピンナーホィールの耐用時間を長くすることは、あまり期待できない。
ところで、スピンナーホィールの外周面に生じる摩耗は、図16に符号14、15で示すように環状に発生し、且つ、スピンナーホィール4の外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料2が注がれるべき領域16の両側に隣接する領域17、18に生じており、特に、ロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域17に大きい摩耗14が生じている。これは、これらの領域17、18に、隣接したスピンナーホィールから吹き飛ばされるショットが多く当たっているためと思われる。従って、これらの領域の摩耗を抑制することで、スピンナーホィールの耐用時間を長くすることができる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、スピンナーホィール外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接する領域、特に、ロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域を摩耗しにくくすることで長時間使用できるスピンナーホィールを提供すること、及びそのスピンナーホィールを用いたロックウールの製造方法を提供することを課題とする。
本願の一つの発明は、上記課題を解決するために、ロックウールを製造するために用いられ、冷却液を循環させるための空洞を内部に有する円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールにおいて、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域(摩耗最多発生領域という)の内側の内周面にテーパ面を形成するという構成としたものである。なお、本明細書において、「テーパ面」とは、内径が軸線方向に徐々に増加又は減少する形状を総称するものとし、断面が直線状のものに限らず、凹形、凸形などの曲線状のものも含むものとする。
上記構成のスピンナーホィールは、ロックウール製造時に空洞内部に冷却液を循環させることでスピンナーホィールを冷却することができ、その際、冷却液内のスケール等が遠心力で内周面に押し付けられてもテーパ面を形成した領域ではスケール等がそのテーパ面に沿って更に移動してゆく。このため、スピンナーホィールの外周面の摩耗最多発生領域の内側の内周面には、断熱層となって冷却を妨害するスケール等の堆積層がほとんど形成されず、このため摩耗最多発生領域を内側の冷却液によって効率的に冷却でき、スピンナーホィール外周面の摩耗発生を抑制できる。
スピンナーホィールの内周面に形成するテーパ面は前記したように摩耗最多発生領域の内側に形成するが、このテーパ面は必ずしも摩耗最多発生領域の全面の内側に位置するように形成する必要はなく、摩耗最多発生領域の良好な冷却効果を確保できれば、摩耗最多発生領域の一部領域のみの内側に形成するようにしてもよい。更に、テーパ面は、摩耗最多発生領域の内側の内周面に限らず、他の摩耗の発生しやすい領域の内側にも設けて良い。前記したように、スピンナーホィール外周面の摩耗の発生しやすい領域は、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側にそれぞれ隣接する領域であるので、それぞれの領域の内側の内周面にテーパ面を形成することが好ましく、これにより、一層スピンナーホィール外周面の摩耗発生を防止できる。
スピンナーホィールの外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の片側若しくは両側に隣接する領域の内側の内周面にテーパ面を形成する場合には、前記外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の内側の内周面を円筒面とし、その円筒面に隣接して形成されたテーパ面を、その円筒面から離れるにつれて内径が小さくなる形状とすることが好ましい。この構成とすると、冷却液中のスケール等が、スピンナーホィール外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の内側の内周面上に集まり、その両側のテーパ面上にはほとんど堆積しないため、スピンナーホィール外周面の摩耗を生じやすい領域を良好に冷却して摩耗発生を防止できる。また、スケール等が集まって堆積する領域の外側(溶融材料が注がれるべき領域)は、摩耗があまり発生しない領域であるのでスケール等の堆積層が形成されてもさほど支障はない。
また、スピンナーホィール内周面に形成するテーパ面は、スピンナーホィールの内周面のほぼ全域に一端から他端に向かって内径が小さくなる形状のものとしてもよく、この構成とすることで、スピンナーホィール外周面の摩耗の生じやすい領域(ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側)の内側にテーパ面を形成してスケール等の堆積を防止して摩耗の発生を抑制できる。また、スピンナーホィール内周面に一つのテーパ面を形成すればよいので、構造が簡単となり、加工が容易となる。
本願の第二の発明は、上記課題を解決するために、ロックウールを製造するために用いられる円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールにおいて、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域(摩耗最多発生領域)にサーメットをらせん状に被覆するという構成としたものである。
この構成によるスピンナーホィールは、外周面のうち摩耗の最も生じやすい領域にサーメットを被覆しているので、その領域に溶融材料のショット(繊維化していない塊状のもの)が多くぶつかっても、摩耗することが少なく、スピンナーホィールの使用時間を長くできる。ここで、サーメットの溶射被覆に際し、上記したように、サーメットを環状に溶射し、被覆開始部に被覆終了部を接合させるようにして全周の被覆を形成した場合には、被覆開始部と被覆終了部の接する部分に熱間割れが生じるが、本発明ではらせん状にサーメットを被覆したことにより被覆開始部と被覆終了部とは、スピンナーホィールの幅方向にずれることとなり、被覆開始部と被覆終了部とが接することはなく、被覆開始部と被覆終了部の接触による熱間割れが発生することはない。なお、サーメットをらせん状に被覆する際、らせん状に被覆した被覆層の側縁が先に被覆した部分の側縁に接触することとなるが、この接触部分には熱間割れは生じない。従って、本発明においてらせん状に被覆して形成したサーメット被覆層は熱間割れの無い高品質の被覆層となっており、サーメットの性質を生かした良好な耐熱、耐摩耗性を備えており、寿命の長いスピンナーホィールを得ることができる。
サーメットをらせん状に被覆する領域は、少なくとも摩耗最多発生領域とするが、必要に応じ更に他の領域にも被覆を施しても良い。前記したように、スピンナーホィール外周面の摩耗の発生しやすい領域は、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側にそれぞれ隣接する領域であるので、それぞれの領域にサーメットをらせん状に被覆することが好ましく、これにより、一層スピンナーホィール外周面の摩耗発生を防止できる。更には、スピンナーホィールの外周面のほぼ全域にサーメットをらせん状に被覆してもよい。
スピンナーホィール外周面に生じる摩耗を防止するためにスピンナーホィールに施した上記手段、すなわち、(1)スピンナーホィール内周面の所望位置に、冷却液からのスケール等が堆積して冷却効果を低下させることを防止するためにテーパ面を形成すること、及び,(2)スピンナーホィールの外周面の所望位置に耐熱、耐摩耗性を向上させるためにサーメットをらせん状に被覆することは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよく、これらを併用することで、一層摩耗発生を抑制して寿命を長くできる。
更に、上記した本発明のスピンナーホィールにおいて、外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に、円周方向に延びる複数の凸条を備えた起伏部を形成しておくことが好ましい。このような起伏部を設けておくと、その起伏部に注がれ、スピンナーホィールに薄膜状に巻き付く溶融材料の量が増加し、それに従って、溶融材料が繊維化される量も増加し、ロックウールの生産性を増加できる。なお、起伏部を設けて巻き付く溶融材料量を増加させると、それに応じてショットの発生も多くなるが、本発明ではスピンナーホィールの摩耗を抑制するようにしているので、ショットの衝突量が多くても問題とはならない。
本発明に係るロックウールの製造方法は、上記した本発明に係るスピンナーホィールを回転させ、その外周面にロックウールとなる溶融材料を注いでロックウールを得ることを特徴とするものである。すなわち、回転中のスピンナーホィールに溶融材料を注ぎ、その溶融材料をスピンナーホィールに巻き付かせ、遠心力によって飛び散らせ、繊維化してロックウールとするものである。ロックウール製造中、スピンナーホィールの外周面には、高温の溶融材料が接触しまたショットが衝突するなどにより摩耗が生じやすいが、ここで用いるスピンナーホィールには、スピンナーホィール外周面の冷却効果を増すための対策、及び/又は耐摩耗性を増加させるため対策を施しているため、スピンナーホィール外周面の摩耗発生が少なく、スピンナーホィールを長時間使用することができる。そのため、スピンナーホィールを交換する回数が減り、ロックウールの製造効率を向上できる。
本発明によれば、摩耗しにくく、長時間使用できるスピンナーホィール、及び、そのスピンナーホィールを用いて製造効率を向上させたロックウールの製造方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。また、本明細書において、ロックウールとは、玄武岩などの天然石を原材料とするロックウールだけではなく、スラグを原材料としたスラグウールを含む意である。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るスピンナーホィール20の概略側面図である。スピンナーホィール20は、ロックウールとなる原材料が溶解された溶融材料2を繊維化してロックウールを製造するためのもので、炭素鋼やステンレス鋼などの金属から構成されており、端壁20a、20bと周壁20cとを備え、内部に空洞21を形成した円柱状の中空体である。空洞21は、スピンナーホィールを冷却するための冷却水などの冷却液を循環させるためのものである。スピンナーホィール20の一方の端壁20aの中心には中空の回転軸23が固定されており、該回転軸23によって軸線X−Xの回りに高速回転する構成となっている。回転軸23の中には、冷却液供給管24が回転軸23との間に排出通路25を形成するように配置されており、冷却液供給管24から空洞21内に冷却液が供給され、排出通路25を通って排出される構成となっている。
ところで、図16で説明したように、この種のスピンナーホィールの外周面では、ロックウールとなるべき溶融材料2が注がれるべき領域16の両側に隣接する領域17、18に摩耗が多く生じ、特に、ロックウールが吹き飛ばされる側(端壁20b側)に位置する領域17の摩耗が最大となる傾向がある。そこで、図1に示す実施形態のスピンナーホィール20では、最大の摩耗が生じる恐れのある領域(摩耗最多発生領域)17の内側及びそれより先端側(端壁20b側)の内面に、内径dが先端側に行くにつれて小さくなる形状のテーパ面27を形成し、その他の領域の内面は内径が一定の円筒面28としている。
次に、この構成のスピンナーホィール20を用いてロックウールを製造する方法及び装置を説明する。図2はロックウール製造装置の概略正面図である。図2において、4個のスピンナーホィール201 、202 、203 、204 が図示した配列で互いに平行に配置されており、且つ矢印で示す方向に回転駆動される構成となっている。最上部に位置するスピンナーホィール201 の上方には、そのスピンナーホィールの外周面に溶融材料2を注ぐことができるように溶解炉1が配置されている。ここで用いられている4個のスピンナーホィール201 〜204 は図1に示すスピンナーホィール20と同一構造のものであり、各スピンナーホィールを区別するために添字1〜4を付している。各スピンナーホィール201 〜204 の周囲には、繊維化した溶融材料を前方に吹き飛ばすための多数の噴射口(図示せず)が設けられており、また、4個のスピンナーホィール201 〜204 の前方には、吹き飛ばされたロックウールを集積するための集綿機(図示せず)が配置されている。
図3は、最上部に配置されているスピンナーホィール20(簡略化のため添字1を省略する)及びその周辺を示す概略側面図である。スピンナーホィール20の回転軸23を連結した側の周囲に多数の噴射口6(図面では1個のみ図示)が配置されており、また前方には、吹き飛ばされたロックウールを集積するための網状のベルトコンベア等の集綿機8が配置されている。
図2、図3に示すロックウール製造装置において、ロックウールは以下のようにして製造される。すなわち、まず、ロックウールの原材料(玄武岩などの天然石やスラグなど)がキュポラ炉や電気炉などの溶解炉1で溶解され、その溶解炉1から溶融材料2が、水平な軸線X−Xのまわりに高速回転している第一のスピンナーホィール20(図2のスピンナーホィール201 )の外周面に注がれる。図3において、スピンナーホィール20の外周面に注がれた溶融材料2は、一部がスピンナーホィール20の外周面に巻き付き、一部はスピンナーホィール20に弾かれて落ちる。スピンナーホィール20に巻き付いた溶融材料2はスピンナーホィール20の遠心力で飛び散りながら引き伸ばされて繊維化しロックウールになると共に、噴射口6からの高速気流で吹き飛ばされ(必要に応じ、バインダーが付与され)、集綿機8上に堆積する。ロックウール7はスピンナーホィール4から集綿機8まで吹き飛ばされる間に冷却される。図2において、第一のスピンナーホィール201 で弾かれて落ちた溶融材料2aは隣接した第二のスピンナーホィール202 の周囲に注がれ、第一のスピンナーホィールのときと同様に一部は繊維化されてロックウールとなり、集綿機8(図3参照)上に堆積し、一部は弾かれて落ちる。第二のスピンナーホィール202 で弾かれて落ちた溶融材料2bは隣接した第三のスピンナーホィール203 の周囲に注がれ、第一のスピンナーホィールのときと同様に一部は繊維化されてロックウールとなり、集綿機8(図3参照)上に堆積し、一部は弾かれて落ちる。第三のスピンナーホィール203 で弾かれて落ちた溶融材料2cは隣接した第四のスピンナーホィール204 の周囲に注がれ、そのほとんどがそのスピンナーホィールの周囲に巻き付き、吹き飛ばされて繊維化されてロックウールとなり、集綿機8(図3参照)上に堆積する。このようにして集綿機8上に堆積したロックウール7は、その後、圧縮、硬化、切断などの処理が施され、ロックウール成形体が製造される。
以上のロックウール製造工程中において、図1に示すように、各スピンナーホィール20内には冷却水などの冷却液が循環して、スピンナーホィール20を冷却しており、外周面の摩耗を抑制している。ところが、スピンナーホィール20は高速回転しているため、冷却液中に存在するスケール等が遠心力により、スピンナーホィール20の周壁20cの内周面側に移動し、堆積しようとする。この際、スピンナーホィール20の内周面の一部にはテーパ面27が形成されているので、このテーパ面27上に到達したスケール等は更に移動して円筒面28上に堆積する。このため、テーパ面27にはスケール等がほとんど堆積せず、スケール等の堆積層による断熱作用が生じない。かくして、テーパ面27における冷却液と周壁20cとの間の熱伝達が阻害されることがなく、周壁20は冷却液によって良好に冷却され、特にテーパ面27の外側に位置する領域17が良好に冷却される。この領域17は、他のスピンナーホィールからのショットが多く衝突し、摩耗しやすい領域であるので、この領域17を良好に冷却できることにより、スピンナーホィール外周面に生じる摩耗を抑制できる。なお、円筒面28上にはスケール等の堆積層が形成され、断熱層として作用し、外周面の冷却効果が落ちるが、この部分では肉厚tが小さくなっていて熱が伝わりやすく且つ円筒面28の外側の外周面(領域16、18)は領域17に比べて摩耗は生じにくいので、さほど問題とはならない。かくして、長期間に渡ってスピンナーホィール20を使用でき、また、外周面に生じる摩耗によってロックウールの品質が低下するといったことを回避できる。ここで、周壁20cの内周面に形成するテーパ面27の勾配(中心軸線X−Xに対する傾斜角)は、スケール等の堆積を防止できれば小さい方が好ましく、5〜20°程度に選定することが好ましい。
なお、図2に示すように、4つのスピンナーホィール201 〜204 を用いてロックウールを製造する場合、溶融材料2は下側のスピンナーホィール(例えば、スピンナーホィール204 )に向かうにつれて冷えて繊維化しにくくなる。そのため、スピンナーホィール201 〜204 の直径Dは、溶解炉1側のスピンナーホィールで小さい方が望ましく、且つ、スピンナーホィール201 〜204 の回転数は、下側でより高速であることが好ましい。このように構成しておくことで、下側のスピンナーホィール(例えば、スピンナーホィール204 )の回転によって溶融材料が飛び散らされる力がより大きくなり、各スピンナーホィール201 〜204 で形成されるロックウールの繊維径を同じにすることができる。
(第2の実施形態)
図4は本実施形態に係るスピンナーホィール20Aの一部の概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Aは、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料2が注がれるべき領域16の両側に隣接する領域17、18(摩耗が多く生じる恐れのある領域)の内側の内周面に、内径dが、端壁20a、20bに近づくにつれて小さくなる形状のテーパ面27、29を形成し、その間の領域の内周面は内径が一定の円筒面28としている。その他の構成は図1の実施形態に係るスピンナーホィール20と同様である。
このスピンナーホィール20Aを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20A内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Aを冷却しているが、その際、テーパ面27、29にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面27、29を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、特に、ショットの衝突が多く、摩耗しがちな領域17、18が良好に冷却される。これにより、領域17のみならず領域18の摩耗も効果的に防止でき、スピンナーホィール20Aの使用時間を長くできる。
(第3の実施形態)
図5は本実施形態に係るスピンナーホィール20Bの一部の概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Bは、周壁20cの内周面のほぼ全域に、一端の端壁20aから他端の端壁20bに近づくにつれて内径dが小さくなる形態のテーパ面31を形成している。この他の構成は図1に示す実施形態のスピンナーホィール20と同様である。このスピンナーホィール20Bを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20B内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Bを冷却しているが、その際、テーパ面31にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面31を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、特に、ショットの衝突が多く摩耗しがちな領域17、18が良好に冷却される。これにより、スピンナーホィール20B外周面の摩耗を効果的に防止でき、スピンナーホィール20Bの使用時間を長くできる。
(第4の実施形態)
図6は本実施形態に係るスピンナーホィール20Cの、一部を断面で示す概略側面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Cは、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域16の全周に、円周方向に延びる複数の凸条を備えた起伏部33が形成されている。この他の構成は図1に示す実施形態のスピンナーホィール20と同様である。
このスピンナーホィール20Cを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様であるが、この実施形態のスピンナーホィール20Cでは、溶融材料2は起伏部33の上に注がれる。このように起伏部33の上に溶融材料2が注がれることから、起伏部を設けない場合に比べて、スピンナーホィール外周に巻き付けられる溶融材料の量が増加すると共に溶融材料が飛び散りやすく、繊維化されやすい。このため、同一径のスピンナーホィールを用いてロックウールの生産量を増加できる。なお、このスピンナーホィール20Cでも、内周面にテーパ面27を備えているので、冷却効果を確保できており、摩耗最多領域17での摩耗発生を良好に防止して、使用期間を長くできる。
(第5の実施形態)
図7(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Dの概略側面図、図7(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Dは、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域16の全周に、円周方向に延びる複数の凸条を備えた起伏部33を形成し、更に、その両側に隣接した摩耗を生じやすい領域17、18に、サーメットをプラズマ溶射法などの方法でらせん状に緊密に被覆してサーメット被覆層35を形成している。ここで用いられるサーメットは、金属化合物(炭化物、ホウ化物、酸化物)と金属の共焼体であれば、特に制限はないが、特に、ニッケル、クロム、モリブデンを主成分とする合金:炭化クロム(Cr3 2 )=70:30のものが、好ましく用いられる。らせん状に溶射被覆して行く際の被覆幅(帯状に形成される被覆層35aの幅)wは、5〜20mm程度、厚さは2mm程度として、その幅にあわせたピッチで被覆してゆけばよい。この場合、溶射法によりサーメットでスピンナーホィール外周面を被覆する際、外周面を1周する毎に溶射、形成された被覆層35aは、スピンナーホィールの幅方向(X−X方向)に幅w分だけずれている。そのため、外周面を1周した時に幅方向の同じ位置でサーメット同士が接触するということがない。これにより、サーメットの被覆開始部と被覆終了部が接触して熱間割れが生じるということがなく、割れなどの欠陥のない、高品質のサーメット被覆層35が形成される。周壁20cの内周面は全体が一定内径dの円筒面28となっている。その他の構成は図1に示す実施形態のスピンナーホィール20と同様であり、空洞21内には冷却液が循環するようになっている。
このスピンナーホィール20Dを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様に行われる。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20Dの外周面の領域17、18にはショットの衝突が多く、摩耗の恐れがあるが、この領域にはサーメット被覆層35が形成されているので、サーメット被覆層35による優れた耐熱、耐摩耗性により、領域17、18の摩耗を抑制でき、スピンナーホィール20Dの使用時間を長くできる。なお、この実施形態では、スピンナーホィール外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域16の全周に起伏部33が形成されているが、起伏部を省略し、単に平坦な面としてもよい。
(第6の実施形態)
図8(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Eの概略側面図、図8(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Eは、その外周面のほぼ全域に、サーメットをプラズマ溶射法などの方法でらせん状に緊密に被覆した構成のサーメット被覆層35が形成されている。その他の構成は図7に示すスピンナーホィール20Dと同様である。このスピンナーホィール20Eを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様に行われる。そしてロックウール製造中、溶融材料2はサーメット被覆層35の上に注がれるので、高温(約1400℃以上)の溶融材料がスピンナーホィールに接触しても周壁20cの昇温が抑制され、更にスピンナーホィール20Eの外周面の摩耗の発生しやすい領域17、18にもサーメット被覆層35が形成されているので、サーメット被覆層35による優れた耐熱、耐摩耗性により、領域17、18の摩耗を抑制でき、一層スピンナーホィール20Eの使用時間を長くできる。なお、図7、図8に示すスピンナーホィール20D、20Eにおいても、スピンナーホィール内に冷却液を供給して冷却しているが、必要なければ冷却を省略してもよい。
(第7の実施形態)
図9(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Fの概略側面図、図9(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Fは、周壁20cの内周面に、図1に示すスピンナーホィール20と同様に、テーパ面27と円筒面28を形成している。そしてその他の構成は、図7に示すスピンナーホィール20Dと同様である。このスピンナーホィール20Fを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20F内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Fを冷却しており、その際、テーパ面27にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面27を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、ショットの衝突が多く摩耗しがちな領域17が良好に冷却される。また、領域17、18にはサーメット被覆層35があって摩耗を防止している。かくして、スピンナーホィール20F外周面の領域17、18の摩耗をきわめて良好に防止でき、スピンナーホィール20Fの使用時間を一層長くできる。
(第8の実施形態)
図10(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Gの概略側面図、図10(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Gは、周壁20cの内周面に、図4に示すスピンナーホィール20Aと同様に、テーパ面27、29と円筒面28を形成している。そしてその他の構成は、図7に示すスピンナーホィール20Dと同様である。このスピンナーホィール20Gを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20G内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Gを冷却しており、その際、テーパ面27、29にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面27、29を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、ショットの衝突が多く摩耗しがちな領域17、18が良好に冷却される。また、スピンナーホィール20Gの外周面にはサーメット被覆層35があって摩耗を防止している。かくして、スピンナーホィール20G外周面の領域17、18の摩耗をきわめて良好に防止でき、スピンナーホィール20Gの使用時間を一層長くできる。
(第9の実施形態)
図11(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Hの概略側面図、図11(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Hは、周壁20cの内周面に、図1に示すスピンナーホィール20と同様に、テーパ面27と円筒面28を形成している。そしてその他の構成は、図8に示すスピンナーホィール20Eと同様である。このスピンナーホィール20Hを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20H内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Hを冷却しており、その際、テーパ面27にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面27を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、ショットの衝突が多く摩耗しがちな領域17が良好に冷却される。また、溶融材料2はサーメット被覆層35の上に注がれるので、高温(約1400℃以上)の溶融材料がスピンナーホィールに接触しても周壁20cの昇温が抑制され、更にスピンナーホィール20Hの外周面の摩耗の発生しやすい領域17、18にもサーメット被覆層35があって摩耗を防止している。かくして、スピンナーホィール20H外周面の領域17、18の摩耗をきわめて良好に防止でき、スピンナーホィール20Hの使用時間を一層長くできる。
(第10の実施形態)
図12(a)は本実施形態に係るスピンナーホィール20Iの概略側面図、図12(b)はその一部を示す概略断面図である。この実施形態のスピンナーホィール20Iは、周壁20cの内周面に、図4に示すスピンナーホィール20Aと同様に、テーパ面27、29と円筒面28を形成している。そしてその他の構成は、図8に示すスピンナーホィール20Eと同様である。このスピンナーホィール20Iを用いたロックウールの製造方法も第1の実施形態と同様である。そしてロックウール製造中、スピンナーホィール20I内には冷却液が循環してスピンナーホィール20Iを冷却しており、その際、テーパ面27、29にはスケール等の堆積がほとんどなく、テーパ面27、29を通した周壁20cの効果的な冷却が維持され、ショットの衝突が多く摩耗しがちな領域17、18が良好に冷却される。また、溶融材料2はサーメット被覆層35の上に注がれるので、高温(約1400℃以上)の溶融材料がスピンナーホィールに接触しても周壁20cの昇温が抑制され、更にスピンナーホィール20Iの外周面の摩耗の発生しやすい領域17、18にもサーメット被覆層35があって摩耗を防止している。かくして、スピンナーホィール20I外周面の領域17、18の摩耗をきわめて良好に防止でき、スピンナーホィール20Iの使用時間を一層長くできる。
なお、以上に説明した実施形態にかかるスピンナーホィールはいずれも、形状を円柱状としているが、例えば、円錐台状であってもよい。更に、ロックウール製造装置として、図2には4つのスピンナーホィール201 〜204 を用いたものを示したが、スピンナーホィールの個数はこれに限らず、2つ又は3つでも良く、更には、5つ以上としてもよい。
次に、実施例を参照して本発明の効果についてより具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す第一の実施形態に係るスピンナーホィール20を用いてロックウールを製造し、スピンナーホィール20の耐用時間を試験した。図13はこの実施例に用いたロックウール製造装置のスピンナーホィール配列を示す概略正面図であり、溶解炉1側から順に、スピンナーホィール51、52、20、53を配置した。
この装置に用いたスピンナーホィール20(図1参照)において、スピンナーホィール20の幅W1 は約155mm、テーパ面27の形成領域の幅W2 (厳密にはテーパ面27の一端から端壁20bの外面までの距離)は約70mm、溶融材料2が注がれる領域16の幅W3 は約40mm、テーパ面27の中心軸線X−Xに対する傾斜角は約10°とした。スピンナーホィール51、52、53は、内周面にテーパ面を形成していない従来の構造とした。各スピンナーホィールの外径、材質は表1に示す通りとした。
ロックウールの製造方法は、第1の実施形態において、図2、図3を参照して説明した製造方法と同様である。具体的には、溶解炉1からスピンナーホィール51、52、20、53に溶融材料2を、1時間当り5トン供給した。また、スピンナーホィール51、52、20、53の回転数は表1の通りとした。
Figure 2005162501
表1に示す条件で繊維径約4μmのロックウールを製造した。このロックウールの製造において、スピンナーホィール51、52、53の耐用時間はそれぞれ、約60時間であった。一方、スピンナーホィール20の耐用時間は約80時間であった。
(比較例1)
比較のために、図13に示すロックウール製造装置のスピンナーホィール20を、内周面にテーパ面の無い通常のスピンナーホィールに代えて試験を行った。内周面にテーパ面を形成していない点以外の条件は、実施例1と同様とした。その結果、スピンナーホィール20に代えて用いたスピンナーホィールの耐用時間は、約60時間であった。
実施例1の試験結果と比較例1の試験結果とを比較することにより、内周面にテーパ面27を形成したことにより、耐用時間が約60時間から約80時間と、20時間程度延びることが分かった。
(実施例2)
図8に示す第6の本実施形態に係るスピンナーホィール20Eを用いてロックウールを製造し、スピンナーホィール20Eの耐用時間を試験した。図14はこの実施例に用いたロックウール製造装置のスピンナーホィール配列を示す概略正面図であり、溶解炉1側から順に、スピンナーホィール51、52、20E、53を配置した。なお、スピンナーホィール51、52、53は実施例1で用いたものと同一である。
この装置に用いたスピンナーホィール20E(図8参照)において、スピンナーホィール20Aの幅W1 は約155mm、溶融材料2が注がれる領域16の幅W3 は約40mm、サーメット被覆層35の溶射に用いたサーメットは、株式会社クボタの「KNW−P30H」(商品名)、らせん状に溶射被覆して行く際の被覆幅(帯状に形成される被覆層35aの幅)wは、20mm程度、厚さは2mm程度とした。スピンナーホィール51、52、53は、外周面に被覆を施しておらず且つ内周面にテーパ面を形成していない従来の構造とした。各スピンナーホィールの外径、材質は表2に示す通りである。
ロックウールの製造方法は、第1の実施形態において、図2、図3を参照して説明した製造方法と同様である。具体的には、溶解炉1からスピンナーホィール51、52、20E、53に溶融材料2を、1時間当り5トン供給した。また、スピンナーホィール51、52、20E、53の回転数は表2の通りとした。
Figure 2005162501
表2に示す条件で繊維径約4μmのロックウールを製造した。このロックウールの製造において、スピンナーホィール51、52、53の耐用時間はそれぞれ、約60時間であった。一方、スピンナーホィール20Eの耐用時間は約300時間であった。
(実施例3)
次に、実施例2のスピンナーホィール20Eを、図11に示すスピンナーホィール20Hに代えて実施例2と同一条件で試験をした。この試験に用いたスピンナーホィール20H(図11参照)は、内周面にテーパ面27を有している。スピンナーホィール20Hの幅W1 は約155mm、テーパ面27の形成領域の幅W2 は約70mm、溶融材料2が注がれる領域16の幅W3 は約40mm、テーパ面27の中心軸線X−Xに対する傾斜角は約10°とした。外周面に形成しているサーメット被覆層35は、実施例2に用いたスピンナーホィール20Eのサーメット被覆層35と同一とした。この実施例におけるスピンナーホィール20Hの耐用時間は約350時間であった。
実施例2の試験結果と比較例1の試験結果とを比較することにより、スピンナーホィール外周面にサーメットをらせん状に溶射して形成したサーメット被覆層35を設けたことにより、耐用時間が約60時間から約300時間と、約5倍に延びることが分かった。更に、実施例2の試験結果と実施例3の試験結果とを比較することにより、スピンナーホィール内周面にテーパ面27を形成したことにより、耐用時間が約300時間から約350時間と、50時間程度延びることが分かった。また、冷却液を水とし、水量毎分60リットルで140時間スピンナーホィールを使用した後、スピンナーホィール内部を観察したところ、周壁内周面のテーパ面27にはスケール等の堆積は見られず、円筒面28に5mm程度の堆積が見られた。
以上のように、実施例1〜3及び比較例1の試験結果の比較により、スピンナーホィール内周面にテーパ面を形成することで耐用時間が長くなり、また、外周面にサーメット被覆をらせん状に施すことで、更に耐用時間が長くなり、更に両者を併用することで耐用時間が一層長くなることを確認できた。
以上に、実施形態及び実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態や実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で適宜変更してもよいことは言うまでもない。
本発明の実施形態に係るスピンナーホィールの概略部分断面側面図 ロックウール製造装置のスピンナーホィールの配列を示す概略正面図 図2の装置において、最上部に配置されたスピンナーホィール及びその周辺を示す概略部分断面側面図 本発明の他の実施形態に係るスピンナーホィールの一部の概略断面図 本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの一部の概略断面図 本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略部分断面側面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 (a)は本発明の更に他の実施形態に係るスピンナーホィールの概略側面図、(b)はその一部の概略断面図 実施例1に用いたロックウール製造装置のスピンナーホィールの配列を示す概略正面図 実施例2に用いたロックウール製造装置のスピンナーホィールの配列を示す概略正面図 従来のロックウール製造装置において、最上部に配置されたスピンナーホィール及びその周辺を示す概略部分断面側面図 従来のスピンナーホィールに生じる摩耗を説明するための概略部分断面側面図
符号の説明
1 溶解炉
2、2a、2b、2c 溶融材料
6 噴射口
7 ロックウール
8 集綿機
16 溶融材料が注がれるべき領域
17、18 領域16に隣接した領域
20、20A、20B、20C、20D、20E スピンナーホィール
20F、20G、20H、20I スピンナーホィール
20a、20b 端壁
20c 周壁
21 空洞
23 回転軸
24 冷却液供給管
25 排出通路
27、29 テーパ面
28 円筒面
31 テーパ面
33 起伏部
35 サーメット被覆層

Claims (12)

  1. ロックウールを製造するために用いられ、冷却液を循環させるための空洞を内部に有する円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールであって、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域の内側の内周面にテーパ面が形成されていることを特徴とするスピンナーホィール。
  2. ロックウールを製造するために用いられ、冷却液を循環させるための空洞を内部に有する円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールであって、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側にそれぞれ隣接する領域の内側の内周面にテーパ面が形成されていることを特徴とするスピンナーホィール。
  3. 前記外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の内側の内周面が円筒面であり、その円筒面に隣接して形成されたテーパ面が、その円筒面から離れるにつれて内径が小さくなる形状であることを特徴とする請求項1又は2記載のスピンナーホィール。
  4. 前記スピンナーホィールの内周面のほぼ全域に一端から他端に向かって内径が小さくなる形状のテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項2記載のスピンナーホィール。
  5. 前記外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のスピンナーホィール。
  6. 前記外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側にそれぞれ隣接する領域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のスピンナーホィール。
  7. 前記外周面のほぼ全域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のスピンナーホィール。
  8. ロックウールを製造するために用いられる円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールであって、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に隣接し且つロックウールが吹き飛ばされる側に位置する領域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とするスピンナーホィール。
  9. ロックウールを製造するために用いられる円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールであって、その外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域の両側にそれぞれ隣接する領域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とするスピンナーホィール。
  10. ロックウールを製造するために用いられる円柱状又は円錐台状のスピンナーホィールであって、その外周面のほぼ全域にサーメットがらせん状に被覆されていることを特徴とするスピンナーホィール。
  11. 前記外周面の、ロックウールとなるべき溶融材料が注がれるべき領域に、円周方向に延びる複数の凸条を備えた起伏部が形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のスピンナーホィール。
  12. 請求項1から11のいずれか1項記載のスピンナーホィールを回転させ、その外周面にロックウールとなるべき溶融材料を注いでロックウールを得ることを特徴とするロックウールの製造方法。
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