JP2005161151A - 破砕方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 板状体の効率的な破砕方法を提供する。
【解決手段】 板状体の破砕方法であって、板状体を準備する工程(S10)と、電極を配置する工程(S20)と、放電工程および圧力波を伝播させる工程を含む放電破砕工程(S40)とを備える。板状体は、表面およびこの表面と反対側に位置する裏面を有する。電極を配置する工程(S20)では、板状体の表面と対向するように電極を配置する。放電工程では、電極にエネルギーを供給することにより放電を発生させる。圧力波を伝播させる工程では、電極での放電により生じた圧力波を板状体の表面に入射させるとともに、板状体中において表面側から裏面側にその圧力波を伝播させる。放電工程において、板状体の表面に対する電極の位置と、放電を発生させるため電極に供給されるエネルギーの値とは、ホプキンソン効果によって板状体の主に裏面近傍において破断が生じるように決定されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 板状体の破砕方法であって、板状体を準備する工程(S10)と、電極を配置する工程(S20)と、放電工程および圧力波を伝播させる工程を含む放電破砕工程(S40)とを備える。板状体は、表面およびこの表面と反対側に位置する裏面を有する。電極を配置する工程(S20)では、板状体の表面と対向するように電極を配置する。放電工程では、電極にエネルギーを供給することにより放電を発生させる。圧力波を伝播させる工程では、電極での放電により生じた圧力波を板状体の表面に入射させるとともに、板状体中において表面側から裏面側にその圧力波を伝播させる。放電工程において、板状体の表面に対する電極の位置と、放電を発生させるため電極に供給されるエネルギーの値とは、ホプキンソン効果によって板状体の主に裏面近傍において破断が生じるように決定されている。
【選択図】 図2
Description
この発明は、破砕方法に関し、より特定的には、電極での放電により発生した圧力波を利用した、板状体の破砕方法に関する。
従来、放電を利用した岩石などの破砕方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、放電エネルギーにより生じた圧力波を、媒体を介して破砕対象物に到達させる破砕方法が開示されている。
特開2002−115483号公報
しかし、上述した従来の破砕方法を示す特許文献1は、板状体など比較的厚さの薄い破砕対象物を効率的に破砕する方法について特に触れてはいない。
この発明の目的は、板状体の効率的な破砕方法を提供することである。
この発明に従った破砕方法は、板状体の破砕方法であって、板状体を準備する工程と、電極を配置する工程と、放電工程と、圧力波を伝播させる工程とを備える。板状体は、表面およびこの表面と反対側に位置する裏面を有する。電極を配置する工程では、板状体の表面と対向するように電極を配置する。放電工程では、電極にエネルギーを供給することにより放電を発生させる。圧力波を伝播させる工程では、電極での放電により生じた圧力波を板状体の表面に入射させるとともに、板状体中において表面側から裏面側にその圧力波を伝播させる。板状体の表面から入力された圧力波(衝撃波)は、進行方向に圧縮波として進行する(進行方向と直角方向の成分は圧縮の場合と引張の場合とがある)。この圧縮波が反対側(裏面側)の自由面で反射すると、位相が反転するため引張波(反射波)となって反対方向(裏面から表面に向う方向)へ帰っていく。大気に接する自由面では圧力波の反射率がほぼ100%になるため、後続の圧縮波による圧縮応力と反射波による引張応力との合力は、引張応力(引張応力>圧縮応力)となる。その値が板状体の引張強度より大きい場合、板状体において引張破断が生じる。これをホプキンソン効果と呼んでいる。この発明に従った破砕方法では、放電工程において、板状体の表面に対する前記電極の位置と、放電を発生させるため電極に供給されるエネルギーの値とは、ホプキンソン効果によって板状体の主に裏面近傍において破断が生じるように(つまり、板状体の表面において破断が生じない一方で、板状体の裏面において破断が生じるように)決定されている。
このようにすれば、板状体の裏面側に伝播した圧力波により、板状体の裏面の最外周層が内側の層から引き剥がされる方向(圧力波の進行方向)に応力を受けることになる。つまり、板状体の裏面部分に引張応力が加えられることになる。そして、板状体の裏面の最外周層より外側に、この最外周層を支える補強部材などが配置されていなければ、上記裏面部分に加えられた引張応力を板状体の材料の引張強度より大きくすることにより、板状体の上記最外周層を内側の層から引き剥がす(引張破断を生じさせる)ことができる(つまり、板状体の裏面側を破砕することができる)。なお、上述した「主に裏面近傍において破断が生じる」とは、最も好ましくは裏面近傍においてのみ破断が生じること、すなわち電極を配置する側の板状体の表面は破断されずに裏面を破断させることであるが、実質的に裏面を破断させる効果が得られれば良く、表面などその他の部分に一切破断が生じないことまでも要求するものではない。
ここで、板状体を構成する材料としてコンクリートや岩などが用いられている場合を考える。コンクリートなどの材料は引張強度の値が圧縮強度に比べて大変小さい(コンクリートなどでは、引張強度は圧縮強度の約1/10である)。したがって、板状体を圧縮破壊する場合に比べて、放電を発生させるために電極に投入するエネルギーの値を小さくすることができる。つまり、効率的に板状体の破砕を行なうことができる。
上記破砕方法では、放電工程において、板状体の表面に対する電極の位置とエネルギーの値とを、板状体の表面における圧力波による応力が板状体を構成する材料の破壊強度の値より小さくなるように決定していてもよい。
この場合、板状体の表面側が圧力波の入射に伴って圧力波に起因する応力を受けても、板状体の表面側が破壊されることはない。つまり、板状体の表面側を破壊することなく、主として裏面側のみ破砕するように設定できる。
なお、投入圧力波(衝撃波)の強度を調整することにより、板状体の表面を破壊せずに、裏面のみを破壊することができる。この際、前述のように、板状体の構成材料としてコンクリートなどを考えると、引張強度/圧縮強度の比は1/10程度であるため、投入圧力波の強度の調整は極めて容易である。
上記破砕方法において、放電工程では、板状体の表面と電極との間に、板状体の表面の少なくとも一部を覆う媒体を配置した状態で放電を発生させてもよい。電極の先端部(放電を発生させる部分)と媒体とは接触していることが好ましい。
この場合、電極の放電により発生した圧力波を、媒体を介して板状体の表面に確実に伝えることができる。また、媒体と板状体の表面との接触面積や接触位置を変更することで、板状体の表面における圧力波の印加面の面積や配置を変更することができる。
上記破砕方法は、板状体の表面と電極との相対的な位置を、板状体の表面の延びる方向とほぼ同じ方向に沿って変化させる工程を備えていてもよい。
この場合、電極を板状体の表面に沿って動かして、順次放電工程を実施することにより、板状体の裏面の広い面積の部分を破砕することができる。
本発明によれば、板状体の表面側から圧力波を入射することにより、板状体の裏面側を効率的に破砕することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1は、本発明による破砕方法の実施の形態において用いる破砕装置を説明するための模式図である。図2は、図1に示した破砕装置を用いた破砕方法を説明するためのフローチャートを示す図である。図3は、図2に示したフローチャートの部分を説明するためのフローチャートを示す図である。図4は、図1に示した破砕装置を用いた破砕方法によって破砕対象物の裏面側の表面層が剥離する状態を説明するための模式図である。図1〜図4を参照して、本発明による破砕方法の実施の形態を説明する。
図1に示すように、本発明による破砕方法において用いる破砕装置は、同軸電極1とパルスパワー源6と電源9と同軸ケーブル5とを備える。パルスパワー源6はコンデンサ8、スイッチ7などを含む回路からなる。パルスパワー源6には電源9が接続されている。また、パルスパワー源6の回路は接地されている。同軸電極1はパルスパワー源6と同軸ケーブル5により電気的に接続されている。
同軸電極1は、その中心軸に沿って延在するように配置された中心電極と、この中心電極の外周面上に絶縁体を介して中心電極を囲むように配置された外周電極とからなる。同軸電極1の先端部では、中心電極と外周電極との間のギャップにおいて、同軸電極1に電流を供給することにより放電が発生する。この放電が発生する同軸電極1の先端部を放電点4とする。
次に、図1に示した破砕装置を用いた本発明による破砕方法の実施の形態を説明する。図2に示すように、本発明による破砕方法では、まず破砕対象物である板状体を準備する工程(S10)を実施する。板状体2(図1参照)は、表面と、この表面と反対側に位置する裏面とを有する。なお、実際に破砕対象となる板状体2(図1参照)としては、薄板状の物質、たとえば鉄筋の入った建造物の床や壁、あるいは板状のコンクリートや岩などが考えられる。このような場合、上記板状体を準備する工程(S10)は、板状体2としての壁などの近傍の所定の位置に破砕装置のパルスパワー源6(図1参照)など必要な機器を移動、準備する工程が対応する。
次に、板状体2の表面上に、電極を配置する工程(S20)を実施する。電極としての同軸電極1(図1参照)は、図1に示すように板状体2の表面と対向するように配置される。同軸電極1の先端部(放電点4)と板状体2の表面との間は、図1に示すように距離aだけ離れている。
次に、媒体を配置する工程(S30)として、板状の破砕対象物である板状体2(図1参照)の表面の一部分を覆うように媒体としてのゼリー状物質3(図1参照)を配置する。ここでゼリー状物質とは半固形状の物質を意味する。なお、先に媒体を配置する工程(S30)を実施して、板状体2の表面にゼリー状物質3を配置した後、このゼリー状物質3の内部に、その先端部が埋設されるように同軸電極1を配置してもよい(媒体を配置する工程(S30)の後に電極を配置する工程(S20)を実施してもよい)。このように媒体としてのゼリー状物質3を配置することで、同軸電極1での放電により発生した圧力波を、このゼリー状物質3を介して板状体2の表面12に確実に伝えることができる。また、ゼリー状物質3と板状体2の表面12との接触面積や接触位置を変更することで、板状体2の表面12における圧力波の印加面の面積や配置を変更することができる。
ゼリー状物質3としては、水などに粘性を高めるためのゼラチンなどを混入したものなどを用いることができる。なお、上述したゼリー状物質3の状態を示すために、ゼリー状物質3として用いることが可能であると考えられるものを例示すれば、豆腐やプリンのようなものから、ガム、生コンクリート、粘土さらには石鹸のような粘性の高いものまでをもゼリー状物質は包含する。
また、ゼリー状物質3に代えて、水などの液状体を媒体として用いてもよい。この場合、液状体を保持するための枠体を板状体2の表面上に配置し、この枠体の内部に液状体を配置する。そして、当該液状体の内部に、その先端部が浸漬されるように同軸電極1を配置してもよい。
次に、放電破砕工程(S40)を実施する。この放電破砕工程(S40)は、具体的には図3に示した放電工程(S41)と、圧力波を板状体の裏面側へ伝播させる工程(S42)とを含む。以下、放電工程(S41)と圧力波を板状体の裏面側へ伝播させる工程(S42)とを説明する。
放電工程(S41)では、まず、パルスパワー源6(図1参照)のコンデンサ8(図1参照)に、電源9(図1参照)から供給される電荷を蓄積する。コンデンサ8に十分な電荷が蓄積された後、ギャップスイッチなどを用いたスイッチ7(図1参照)を閉状態とすることにより、同軸ケーブル5(図1参照)を介してパルスパワー源6から同軸電極1(図1参照)に電流が流れる。この結果、同軸電極1の先端部の放電点4(図1参照)において放電が起きる。このとき、板状体2と同軸電極1との間には媒体としてのゼリー状物質3が配置された状態になっている。この放電により、急激なジュール加熱によってゼリー状物質3(図1参照)の一部がガス化、プラズマ化する。そして、ゼリー状物質3の一部がガス化等することによって膨張するため、ゼリー状物質3の中において圧力波が発生する。
この圧力波は、図4に示すように、ゼリー状物質3を媒体として板状体2の表面12へと入射する。この圧力波は、圧力波の進行方向において圧縮波となっている。そして、板状体2に入射した圧力波は板状体2の内部を表面12側から裏面17側へと伝播する。このようにして、圧力波を板状体の裏面側へ伝播させる工程(S42)(図3参照)が実施される。
さらに、裏面17側に圧力波が到達し、自由面である裏面17で当該圧力波が反射する。このとき、反射した圧力波の位相は反射前の圧力波の位相に対して反転するため、反射した圧力波(反射波)は引張波となる。このため、板状体2の裏面側の最外周層である被剥離層10は反射した圧力波によって引張応力を受ける。
なお、上記放電工程(S41)において同軸電極1に流れる電流の値(同軸電極1に供給されるエネルギー量)と、同軸電極1の板状体2に対する位置(同軸電極1の放電点4と板状体2の表面との間の距離a)とは、被剥離層10が圧力波によって受ける引張応力(圧力波の圧力)が板状体2を構成する材料の破壊強度より大きくなるように決定されている。
この結果、この圧力波により板状体2の被剥離層10の一部である剥離部11が板状体2の裏面から引き剥がされることになる。
ここで、破砕対象物である板状体2を構成する材料としてコンクリートや岩などが用いられている場合を考える。コンクリートや岩などの引張強度は、当該コンクリートや岩などの圧縮強度の10分の1程度となることが知られている。たとえば、圧縮強度が30MPaのコンクリートであれば、そのコンクリートの引張強度は3MPa程度である。
そして、このコンクリートからなる板状体2の表面層のうち、0.3メートル(m)四方のコンクリート片をその表面から引き剥がすことを考える。この場合、引き剥がされるコンクリート片の面積は約0.1平方メートルとなる。また、コンクリートは、破壊に至るまでクラックを入れてから約0.2mm程度動かさないと破壊することができないと言われている。そのため、面積が0.1平方メートルの剥離片を引き剥がすために、0.1平方メートルのコンクリート片に3MPaの圧力をかけて、当該コンクリート片を0.2mm動かす仕事が必要であると仮定する。この場合、3×106×0.1×2×10-4という式から、上記仕事を行なうために必要なエネルギーは約60ジュール(J)と算出できる。すなわち、上述したコンクリート片をコンクリート製の板状体の表面から引き剥がすために要するエネルギーは、僅か60ジュール(J)で足りることになる。
また、実際にはコンクリートにクラックが入って動き始めると、当該部分の引張強度の値は3MPaから急激に低下すると考えられる。このため、コンクリート片を剥離するために必要なエネルギーは上述した60ジュール(J)よりもさらに少なくなると考えられる。つまり、板状体を構成する材料(たとえばコンクリート)の圧縮応力から考えるととても小さいエネルギーで、板状体から表面層の一部を剥離することができる(板状体2を効率的に破砕することができる)。
また、図4に示すように、同軸電極1の先端部における放電に伴って圧力波が入射する板状体2の表面12側では、この圧力波によって板状体2が圧縮応力を受ける。そして、圧力波が板状体2の内部を伝播して裏面17側へと到達した後、その圧力波が板状体2の自由面である裏面17で反射すると、すでに述べたように板状体2の裏面の被剥離層10は反射した圧力波(引張波)によって引張応力を受ける。板状体2を構成する材料としてコンクリートや岩などを用いた場合、上述のように引張強度は圧縮強度の10分の1程度である。そのため、板状体2に入射した圧力波によって板状体2の表面12近傍が受ける圧縮応力の大きさを板状体2の材料の圧縮強度よりも小さくする一方で、圧力波によって板状体2の裏面17側の部分である被剥離層10が受ける引張応力の値を、板状体2を構成する材料の引張強度よりも大きくなるように、同軸電極1に供給する電流の値(エネルギーの値)や同軸電極1と板状体2の表面12との間の距離a(図1参照)などを調整することができる。このようにすれば、圧力波を入射した表面12側は圧力波によって破壊されることなく、一方、裏面17側の被剥離層10のみを放電に伴って発生した圧力波によって板状体2から剥離することができる。
このように、板状体2の表面12側を壊さずに裏面17側のみを剥離することができるので、破砕対象物を破壊した際にその破片などが外部環境へ飛び散ることが好ましくないような場合に、本発明による破砕方法は特に有効である。たとえば、ダイオキシンなどの有害物質を吸着した煙突や炉、あるいは原子力発電所の建屋の放射化した壁などを破砕解体する場合に、本発明による破砕方法を適用することが考えられる。
具体的には、破砕対象物が煙突や建物の壁などであるような場合には、その破砕対象となった煙突や建物などの内周側空間と外部との接続部(たとえば煙突の上部開口部など)を封止しておく。そして、その状態で有害物質が吸着していない破砕対象物(壁)の表面側から本発明による破砕装置を用いて圧力波を破砕対象である壁に入射させる。この結果、有害物質が吸着した裏面(建物の内部に面した壁の表面)の被剥離層だけを剥離させることができる。
このようにすれば、建物などの壁の外側表面は全く壊さずに、建物の内部に面した壁の表面(内周側の表面)の被汚染部分のみを、壁から剥ぎ取ることができる。なお、このように剥ぎ取られた剥離片は、別途まとめて建物などの外部へと搬出するといった対応が可能であると思われる。このように、破砕対象物から汚染物質が吸着した内周面(裏面)を剥ぎ取ることができる。一方で、既に述べたように、壁の表面は破砕されず、かつ、建物などの内周側空間と環境との接続部は封止されているため、破砕作業を実施する際に、汚染部の剥離に伴って剥離片の粉塵や微粒子などが環境へと放出される危険性を低減できる。
なお、裏面17だけではなく、板状体2の表面12側も破砕したい場合には、圧力波を引続き板状体2に入射し続ければよい。このようにすれば、板状体2の裏面17側の剥離が進み、結果的に剥離部が板状体2の表面12側にまで到達する。このようにして、表面12側も破砕することができる。
また、板状体2(図4参照)の裏面17(図4参照)側の広い範囲を剥離させる場合、図5に示すような破砕方法を用いてもよい。図5は、図1〜図4に示した本発明による破砕方法の実施の形態の変形例を説明するためのフローチャートを示す図である。図5を参照して、本発明による破砕方法の実施の形態の変形例を説明する。
図5に示した破砕方法は、基本的に図2および図3に示した破砕方法と同様の工程を備えるが、所定範囲の破砕が完了したかどうかを判断する判断工程(S50)および電極の位置を変更する工程(S60)を備える点が異なる。具体的には、図5に示した破砕方法では、図2および図3に示した破砕方法と同様に、板状体を準備する工程(S10)、電極を配置する工程(S20)、媒体を配置する工程(S30)および放電破砕工程(S40)を実施する。その後、破砕対象とした領域の全部が放電破砕工程(S40)により破砕されたかどうかを判断する判断工程(S50)を実施する。なお、この判断工程(S50)の手段としては、破砕された板状体2(図4参照)の裏面17を目視で確認する方法や、同軸電極1の位置から間接的に破砕された領域の範囲を判断する方法を用いることができる。
この判断工程(S50)において、破砕対象領域の全部について破砕が完了していないと判断された場合、電極の位置を変更する工程(S60)を実施する。具体的には、板状体2の表面12の延びる方向に沿って、同軸電極1を平行移動させる。このようにすれば、板状体2の表面12と同軸電極1との相対的な位置を、板状体2の表面12の延びる方向とほぼ同じ方向に沿って変化させることができる。
そして、この電極の位置を変更する工程(S60)を実施した後、再度媒体を配置する工程(S30)、放電破砕工程(S40)および判断工程(S50)を繰返す。そして、判断工程(S50)において、破砕対象領域の破砕が完了したと判断された場合、破砕作業は終了する(S70)。
このようにして、板状体2の裏面の比較的広い範囲について破砕(剥離)を行なうことができる。
なお、上述した破砕方法では、電極を配置する工程(S20)あるいは電極の位置を変更する工程(S60)の後に媒体を配置する工程(S30)を実施しているが、あらかじめ電極を移動させる範囲内の板状体の表面を覆うように媒体としてのゼリー状物質を配置しておいてもよい(先に媒体を配置する工程(S30)を実施してもよい)。
また、上述した破砕方法では、電極として同軸電極1を用いたが、放電を発生させることができれば、他の形状の電極を用いてもよい。たとえば、中心電極と、この中心電極の外周面上に配置された絶縁体と、絶縁体の外周面上に配置された外周電極とを備え、この外周電極は、中心電極の延びる方向に間隙を隔てて配置された複数の外周電極部分を含むような電極、つまり複数のギャップを備えた電極を用いてもよい。
また、上述した破砕方法では、電極における放電を利用して圧力波を発生させたが、上述した方法以外の方法であって、板状体2の表面12に圧力波を入射することが可能な圧力波発生方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
本発明による破砕方法により、板状体の裏面を破砕できることを確認するため、以下のような実験を行なった。
破砕対象物である板状体として、厚みが160mm、直径が13mmの鉄筋が板の厚み方向で2ヶ所に入っているコンクリート板(鉄筋コンクリート板)を用いた。鉄筋のピッチは250mmである。このコンクリート板の相対的に広い面積を有する表面(主表面)を上に向けて、主表面と反対側に位置する裏面と地面との間に間隔が空くように、コンクリート板を配置した。具体的には、コンクリート板の四方の端部の下になる場所にそれぞれ台座(たとえば立方体状のコンクリート塊など)を配置し、この台座の上にコンクリート板を配置した。
このコンクリート板の主表面上に、媒体としての水を保持するため、円筒状のパイプを配置した。このパイプの一方の開口部には、ビニール袋を被せて固定した。そして、ビニール袋が固定された側の開口部をコンクリート板の主表面に向けて、当該パイプをコンクリート板の主表面上に載せた。このパイプの内部に、媒体としての水を入れた。なお、パイプは特に固定していない。
そして、パイプの内部の水にその先端部が浸漬するように、電極を配置した。電極としては、外周部分において互いに間隔を隔てて配置された複数の外周電極部分を有する電極(複数のギャップを備えた電極)を用いた。具体的には、直径が8mmの中心電極、厚みが5mmの絶縁体、および厚みが3.5mmの外周電極部分を絶縁体の外周面上に5mmの間隔(ピッチ)で4個配置した電極を用いた。
電極の先端部とパイプの底におけるコンクリート板表面との間の距離は10〜15cmとした。なお、複数のギャップが全て水に浸漬された状態となるように、電極は配置された。
実験に用いたパルスパワー源6(図1参照)のコンデンサ8(図1参照)の静電容量は2mFであり、パルスパワー源6と電極とを接続するケーブル5の長さは17mとした。そして、コンデンサ8に印加する電圧を14kVとした。その後、スイッチ7を閉じることにより、コンデンサ8に蓄積された電荷を電極へ供給した結果、電極のギャップにおいて放電が発生した。なお、この条件においてコンデンサに蓄積されたエネルギーの計算値は196kJである。
そして、電極での放電によって、水の一部がガス化、プラズマ化することにより水の中において圧力波が発生した。このような電極での放電を1回発生させた後、コンクリート板の裏面を確認すると、コンクリート板の裏面の一部が剥離して破壊されていた(スポーリング破壊が起きていた)。一方、コンクリート板においてパイプを載せた表面(電極と対向する表面)では、特に大きな破損は確認されなかった。このように、電極における放電により形成された圧力波を利用して、板状体としてのコンクリート板の表面側を破壊することなく、コンクリート板の裏面を破砕できた。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 同軸電極、2 板状体、3 ゼリー状物質、4 放電点、5 同軸ケーブル、6 パルスパワー源、7 スイッチ、8 コンデンサ、9 電源、10 被剥離層、11 剥離部、12 表面、13 圧力波印加面、17 裏面。
Claims (4)
- 表面および前記表面と反対側に位置する裏面を有する板状体を準備する工程と、
前記板状体の前記表面と対向するように電極を配置する工程と、
前記電極にエネルギーを供給することにより放電を発生させる放電工程と、
前記電極での放電により生じた圧力波を前記板状体の前記表面に入射させるとともに、前記板状体中において前記表面側から前記裏面側に前記圧力波を伝播させる工程とを備え、
前記放電工程において、前記板状体の表面に対する前記電極の位置と、前記エネルギーの値とは、ホプキンソン効果によって前記板状体の主に裏面近傍において破断が生じるように決定されている、破砕方法。 - 前記放電工程において、前記板状体の表面に対する前記電極の位置と、前記エネルギーの値とは、前記板状体の前記表面における前記圧力波による応力が、前記板状体を構成する材料の破壊強度の値より小さくなるように決定されている、請求項1に記載の破砕方法。
- 前記放電工程では、前記板状体の前記表面と前記電極との間に、前記板状体の前記表面の少なくとも一部を覆う媒体を配置した状態で放電を発生させる、請求項1または2に記載の破砕方法。
- 前記板状体の前記表面と前記電極との相対的な位置を、前記板状体の前記表面の延びる方向とほぼ同じ方向に沿って変化させる工程を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の破砕方法。
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2003
- 2003-12-01 JP JP2003401484A patent/JP2005161151A/ja not_active Withdrawn
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