JP2005157183A - 光重合性組成物、それを用いたパターン形成方法およびパターン - Google Patents

光重合性組成物、それを用いたパターン形成方法およびパターン Download PDF

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Abstract

【課題】
透明相と光拡散性相が高精細に配列したパターンを有するシートを容易に形成できる光重合性化合物、およびそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】
平均一次粒子径が1〜100nmの微粒子、溶媒、および該微粒子とは屈折率の異なる光重合性化合物を含み、かつ100μmの厚みにしたときの濁度が20%以下である実質的に透明な光重合性組成物であって、該溶媒を乾燥除去すると微粒子が凝集して濁度が40%以上増加することを特徴とする光重合性組成物である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光重合性組成物、特に所望のパターンを有するシートを形成することが可能な光重合性組成物に関するものであり、具体的に、表示媒体などの視認材料や光学素子など各種分野に適用することが可能な光重合性組成物、およびそれを用いたパターン形成方法とそのパターンに関するものである。
近年、物理的に光線を制御する光学素子が数多く提案されている。例えば、サーモクロミック、エレクトロクロミックおよびフォトクロミックなどの方式により、物理化学的に光線の透過性を制御する光学素子などが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。これらの光学素子は、その特性を活かして調光窓や表示媒体などの視認材料等に応用されている。その他の光学素子として微細なパターンなども挙げられるが、電子部品の性能の高度化によりその必要性はますます高まっている。これら各種分野におけるパターン形成は、電子部品の高密度化などにより、ますます微細化する傾向にある。例えば、半導体集積回路の最小加工寸法は、年々微細化しており研究開発レベルでは1μm以下のレベルになるに至っている。これに伴い、フォトリソグラフィー工程においても、微細寸法を高精度で制御しなければならなくなっており、露光波長の短波長化の試み等が検討されている現状である。
これらのパターンについては、パターンの微細化だけではなく高度な構造制御をすることにより、新規高効率回折格子、光回路、光学素子および光制御材料など、各種分野への応用が期待されている。例えば、透明相と光拡散相の配列構造を高度に制御することで、拡散して広がった光を一方向に集光するという機能を有する光学機能性シートが開発されている(特許文献3及び特許文献4参照)。この構造を持つパターンの具現化は、様々な技術により試みられており、例えば、リソグラフィーや金型成型により一方の相を先に形成した後、相間の空隙に他の樹脂を注入する方法(特許文献3参照)や、透明樹脂と白濁樹脂の積層体の断面をスライスする方法(特許文献4および特許文献5)などが挙げられる。
特開平6−220453号公報(第4−11頁) 特開平11−24111号公報(第2−7頁) 特開2002−214411公報(第11−15頁) 特開2002−277613公報(第3−4頁) 特開2002−296408公報(第4−8頁)
しかしながら、これらのいずれの方法においても、原理上ピッチ数十μm以下の高精細なパターンの形成は現実的には不可能である。その上、リソグラフィーや金型成型を用いた方法では空隙間への樹脂の注入が困難であり、また、積層体のスライスを用いた方法では、形成できるパターン構造に限界があるうえに大面積化が困難である。さらに、上述の方法で形成されたパターンを有するシートは、外力による変形に弱いという問題もあった。 そこで本発明は、透明相と光拡散相が高精細に配列したパターンを有するシートを容易に形成できる材料である光重合性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、上記の光重合性組成物を用いて高精細なパターンを形成する方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明の光重合性組成物は、平均一次粒子径が1〜100nmの微粒子、溶媒、および該微粒子とは屈折率の異なる光重合性化合物を含み、かつ100μmの厚みにしたときの濁度が20%以下である実質的に透明な光重合性組成物であって、該溶媒を乾燥除去すると微粒子が凝集して濁度が40%以上増加することを特徴とする光重合性組成物である。
また、本発明の光重合性組成物は、以下の(1)〜(6)の特徴を具備するものである。(1)微粒子、光重合性化合物および溶媒を含む実質的に透明な光重合性組成物に電磁波照射することにより、透明状態を維持したまま硬化できること。
(2)溶媒を乾燥除去した光重合性組成物に電磁波照射することにより、濁度が増加した状態で硬化できること。
(3)硬化後の光重合性化合物と微粒子の屈折率が異なること。
(4)微粒子の含有量が、光重合性組成物100重量部に対し1〜50重量部であること。 また、本発明の光重合性組成物を用いたパターン形成方法は、上述の光重合性組成物を基材上に塗設し、所望のパターンに応じた電磁波照射を行い照射部位を硬化後、溶媒を乾燥除去することで照射部位の透明性を保持したまま未照射部位の濁度を増加させ、次いで全面に電磁波照射することにより全面硬化させることを特徴とするパターン形成方法である。
また、本発明のパターン形成方法によって得られるシートは、微粒子の分散状態の異なる相からなるパターンであり、そして、本発明のパターン形成方法によって得られるシートは、塗設膜面方向に、微粒子が均一に分散し実質的に透明な相と、微粒子が凝集して白濁した相が交互に配列してなることを特徴とするパターンである。
本発明によれば、透明相と光拡散相が高精細に配列したパターンを有するシートを容易に形成できる光重合性化合物が得られる。
また、本発明によれば、構造の制御されたパターンを容易なプロセスで形成することができ、さらに、得られたパターンは、各種分野、とりわけ光学機能素子分野に好適に使用することができる。
本発明の光重合性組成物は、平均一次粒子径が1〜100nmの微粒子、溶媒、および該微粒子とは屈折率の異なる光重合性化合物を含み、かつ100μmの厚みにしたときの濁度が20%以下である実質的に透明な光重合性組成物であって、該溶媒を乾燥除去すると微粒子が凝集して濁度が40%以上増加することを特徴とする光重合性組成物である。
(光重合性組成物)
本発明の光重合性組成物中の微粒子とは、粒状のもので、好適には、光重合性化合物中には分散しないもしくは分散性が低いが光重合性化合物と溶媒の混合物中では一次粒子に近い状態まで均一分散できるものである。また、微粒子としては、一次平均粒径が可視光の波長より小さいものが用いられ、具体的には、一次平均粒径が1nm〜100nmのものを用いる。より好ましくは1nm〜50nmである。一次平均粒子径をこの範囲とすることで、光重合性化合物と溶媒の混合物に分散したときに、可視光が微粒子を認識できず、実質的に光線が直進透過できるので、本発明の光重合性組成物は実質的に透明状態となる。なお、使用する微粒子の形状としては、球状、数珠状、板状または針状等、特に限定されない。また、一次粒子平均粒径とは単一粒子としたときのその径であり、球状のものについてはその直径を、それ以外のものについては平面投影時の長軸径、短軸径の算術平均値を示す。なお、これらは、電子顕微鏡により測定される値である。ただし、微粒子が均一に分散していなくても、その凝集径が上記範囲内であれば同様に透明状態となるので構わない。
また、微粒子の材質としては、例えば、無機微粒子や有機微粒子などが挙げられる。これらのうち無機微粒子としては、例えば、銀、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、ニッケル等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム 、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、その他タルクおよびカオリンなどを用いることができる。また、有機微粒子の場合には、溶媒によって溶解もしくは膨潤しないものが好ましく、架橋スチレンや架橋アクリルなどの架橋微粒子等が挙げられる。上記の無機微粒子と有機微粒子は、単独でも2種以上を併用しても構わない。また、微粒子は単一元素からなるものであっても、複数の元素からなるものであっても構わない。
光重合性組成物中の該微粒子量としては、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。微粒子量が多すぎる場合、微粒子を一次粒子に近い状態まで均一に分散させることが困難であり、また分散できたとしても増粘して取り扱いが困難となることがある。また、微粒子量が少なすぎる場合には、溶媒を除去しても凝集しなくなることがある。微粒子量をこの範囲にすることにより、微粒子の分散性と、組成物の適度な粘度、溶媒を除去時の微粒子の大きな凝集の両立を達成することができる。
本発明の光重合性組成物中の溶媒とは、常温で液体のものであり、微粒子を光重合性化合物中に均一分散させることのできるものが好適に用いられる。すなわち、溶媒を用いることにより、光重合性化合物には分散できなかった微粒子を均一分散することができるのである。
このような溶媒の具体例としては、水の他に、アルコール類として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、脂肪族及び芳香族炭化水素類として、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ハロゲン化炭化水素類、芳香族及び脂肪族カルボン酸エステル類として酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、、ケトン類として、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、(環状)エーテル類としてテトラヒドロフラン、エーテルエステル類として、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートおよび3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。勿論これらを混合したものを使用してもよい。
本発明の光重合性組成物中の該溶媒量は、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。溶媒量が多すぎる場合、電磁波を照射しても塗布した膜の硬化を阻害したり、また硬化しても硬化時に溶媒が液滴として分離して透明性が低下したり、乾燥工程における体積変化が大きくなり、形成した膜が収縮してカールしたりする傾向がある。また、溶媒量が少なすぎる場合には、溶媒を乾燥させても微粒子の凝集が少なくなる傾向がある。溶媒量をこの範囲にすることで、溶媒除去時の微粒子の大きな凝集と電磁波照射時の硬化性や膜としての形態維持の両立を好適に達成することができる。
また該溶媒は、パターンを形成後蒸発させて除去されるが、その工程において、該溶媒の沸点が高すぎる場合は溶媒の蒸発が困難となり、また、沸点が低すぎる場合は工程途中での揮発が顕著となり塗膜中の溶媒量を保持することが難しく安定した製造が困難となる。このため、好ましい溶媒の沸点は50〜180℃であり、さらに好ましくは60〜150℃である。ただし、高沸点の溶媒を用いた場合には、乾燥前に低沸点の溶媒に置換する方法も好ましく行われる。
本発明の光重合性組成物中に含まれている光重合性化合物とは、電磁波の作用により分子内または分子間で反応し架橋重合する化合物である。本発明の光重合性組成物において、光重合性化合物は、超微粒子の屈折率とは異なることを特徴とする。また、本発明の光重合性組成物において、光重合性化合物は、溶媒を含むときには微粒子が均一に分散することが可能であるとともに、電磁波照射によってその分散状態を固定することが可能で、かつ電磁波照射による架橋前に溶媒を除去すると微粒子を凝集させることができる。
本発明において、光重合性化合物を用いることにより、各相状態を固定可能となるとともに、従来の技術では達成できなかった数十μmピッチというような高精細なパターンを容易に形成可能とすることができる。ここでいう架橋性化合物としては、該化合物自体が電磁波を吸収し、その吸収したエネルギーにより分子間および分子内で架橋するもの、または、光重合開始剤の存在下で電磁波を照射することにより架橋するものの、どちらでも使用することができる。
前者の例としては、分子内に(アザ)スチルベン、ケイ皮酸、ナフタレン、アントラセン、クマリンおよびチミンのような光二量化反応性の構造を持つものなどが挙げられ、そして後者の例としては、分子内にビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、メタクリロイル基[以下、アクリロイル基とメタクリロイル基を併せて(メタ)アクリロイル基と称する。(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート等についても同様の表現とする。]およびマレイミド基等の構造を持つものなどが挙げられる。これらの中でも架橋速度が速いことから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく用いられる。かかる(メタ)アクリロイル基を有する架橋性化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
(1)単官能化合物;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メチルα−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチルα−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチルα−(ヒドロキシメチル)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸グリセリンモノメタクリレート等のヒドロキシル基を有するアクリレート類、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等、カルボン酸基を有するアクリレート類、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキル基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンおよびN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、その他1分子中に(メタ)アクリル基を1個有する化合物。
(2)二官能化合物;トリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌレートジアクリレート、3−アクリロイロキシグリセリンモノメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイロキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトリレンジイソシアネート、アジピン酸ジビニル等およびその他1分子中に(メタ)アクリル基を2個有する化合物。
(3)三官能化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアネートおよびその他1分子中に(メタ)アクリル基を3個有する化合物。
(4)四官能化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートおよびその他1分子中に(メタ)アクリル基を4個有する化合物。
(5)五官能化合物;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートおよびその他1分子中に(メタ)アクリル基を5個有する化合物。
(6)六官能化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびその他1分子中に(メタ)アクリル基を6個の有する化合物。
また、その他に、ビスフェノールA−ジエポキシ−(メタ)アクリル酸付加物の如きエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリル基を有するポリウレタン樹脂等、および樹脂を変性して分子中に(メタ)アクリロイル基等の架橋性置換基を導入した化合物も用いることができる。
本発明の光重合性組成物としては、溶媒を含有するときには微粒子が均一分散して透明状態であって、その状態を電磁波照射により固定でき、かつ電磁波照射前に溶媒を除去すると微粒子が凝集するように、成分を適宜組み合わせて用いる。
光重合性組成物中の該光重合性化合物量は、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%である。光重合性化合物量が多すぎる場合、光重合性組成物中の溶媒と微粒子の含量が少なくなり、溶媒を乾燥しても微粒子の分散状態が変化しなかったり、変化してもその変化が小さくなる傾向を示す。また、光重合性化合物量が少なすぎる場合には、電磁波照射による分散状態の固定化が不十分となり、固定化後に溶媒除去しても微粒子が凝集してしまったり、形成した膜の強度が劣ったりする傾向を示す。光重合性化合物量をこの範囲にすることで、溶媒を除去したときの微粒子の分散状態の大きな変化と電磁波照射時の硬化性や膜としての形態維持の両立を好適に達成することができる。
本発明で好ましく用いられる光重合開始剤としては、照射する電磁波の波長に合致するものであれば、特に制約はないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタールおよびヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類などが使用される。
本発明の光重合性組成物の粘度は、1000mPa・s〜20000mPa・sに調整することが好ましい。光重合性組成物の粘度が1000mPa・sより低い場合には、塗布後にレベリングするため膜厚を厚くするのが困難となり、また、20000mPa・sより高い場合には、塗布時にスジなどが入って、平滑な塗膜を作りにくくなったり、気泡を噛みやすくなったりすることがある。
また、本発明の光重合性組成物は、本発明の効果が失われない範囲内で、各種の添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、バインダー樹脂、分散剤、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、離型剤、増粘剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。本発明の光重合性組成物中、前記添加剤の合計は、好ましくは30(より好ましくは20、更に好ましくは10)重量%以下の比率を占める。前記数値範囲の上限値を上回ると、微粒子が凝集して透明性が低下したり、溶媒除去時の微粒子の凝集を阻害することがある。
(相変化)
本発明の光重合性組成物は、これら上記のものからなる組成物が、実質的に透明であるということを特徴とするものである。ここでいう透明とは、光源(好適には標準光源、JIS Z−8720参照)より入射光が試料を通る間に±2.5°範囲以内の実質的に真っ直ぐ透過することを表す。その程度は濁度で表され、濁度(ヘイズ)とは、光源(好適には標準光源、JIS Z−8720参照)より入射光が試料を通る間に、入射光束からはずれて散乱透過した光量の百分率(Ht)をいい、下記の関係式で得られる。
t=100×(Td/Tt)
ここで、Tdは拡散透過率、Ttは全光線透過率であり、直線透過率をTpとすると、下記の関係式で表される。
t=Td+Tp
なお、本発明においては特に断らない限り、濁度(ヘイズ)は測定試料厚さ100μmで測定した値を用いるものとする。
本発明の光重合性組成物が透明状態であるのは、微粒子が一次粒子に近い状態まで均一に分散して、可視光が認識できないためである。そのため、微粒子と光重合性化合物の屈折率が異なっているものの透明状態とすることができる。その光重合性組成物の透明状態では、照射する電磁波が実質的にまっすぐに透過することがよく、具体的には、濁度は、20%以下である。
微粒子が均一分散して透明な状態は、電磁波照射をすることで固定可能であり、電磁波照射による固定後に溶媒を除去しても、微粒子の分散状態は変化せず、透明状態を保つことができる。すなわち、光重合性組成物に電磁波を照射することにより、溶媒を乾燥させて除去しても、光重合性組成物の濁度変化を抑制可能であることを意味する。その抑制の度合、即ち当該電磁波照射後の微粒子の分散状態の変化による濁度変化は、好ましくは40(より好ましくは20、更に好ましくは10)%以下である。また、形成した膜の長期安定性の点から、固定化は非可逆的である方が好ましい
一方、電磁波照射せずに乾燥して溶媒を除去すると、微粒子は光重合性化合物中には分散しないか、もしくは分散性が低いため、微粒子の分散状態が不安定となり凝集する。微粒子が凝集すると、可視光が粒子を認識できる大きさまで大きくなり、また光重合性化合物と屈折率が異なるため、入射した可視光が散乱され濁度が上昇する。この溶媒の除去による微粒子の凝集は、均一分散状態と比べて比べて僅かでも凝集して白濁すればよいが、濁度変化としては40%以上変化することが好ましく、また濁度としては、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上となるのが、高コントラストのパターンを形成できる点で好ましい。
ここで、形成されたパターンを高コントラストとするためには、光重合性化合物と微粒子の屈折率差を確保することも好ましく行われる。光重合性化合物は、硬化前後で屈折率が変化するため、硬化した光重合性化合物と微粒子の屈折率差も制御することが重要であり、本発明においてはその値を0.01以上とすることが好ましい。屈折率差をこの範囲とすることにより、微粒子が凝集したときのマトリックス−粒子間での界面が明確となり、光拡散性の高いものとすることができる。
(工程)
上記の光重合性組成物を用いて、微粒子が微分散し実質的に透明状態の相と、微粒子が凝集して白濁した相(凝集相)の少なくとも2層が交互に配列したパターンを形成する好ましい方法としては、下記(1)〜(4)の工程を含む方法が挙げられる。
(1)少なくとも、光重合性化合物と溶媒からなる混合物に、微粒子が均一分散し実質的に透明な光重合性組成物を基材上に塗布する工程。
(2)透明な状態の塗膜に電磁波を照射して、透明相を固定する工程。
(3)微粒子が凝集した状態の塗膜に電磁波を照射して、凝集相を固定する工程。
(4)乾燥により溶媒を除去し、塗膜中の微粒子を凝集させる工程。
光重合性組成物の基材への塗設方法としては、マルチロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットダイコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、スプレコーティング、オフセットグラビアコーティングおよびスピンコーティング等の方法が挙げられる。
電磁波照射工程に関して、電磁波としては、例えば、電子線、γ線、X線、紫外線および可視光線などが挙げられる。これらのうち、装置及び取扱いの簡便さから紫外線を用いることが好ましい。また、所望のパターンに応じた電磁波照射(以後パターン照射という)を行う方法としては、フォトマスクを介した照射や、レーザー走査による書き込み等が挙げられる。中でも生産性の面からフォトマスクを介した一括照射の方が好ましい。ここで、酸素存在下では表面の重合阻害が懸念されるため、阻害の影響を排除するために、照射時には、例えば、窒素のような不活性気体雰囲気下で行うか、もしくは塗膜表面にカバーフィルムをラミネートした後に照射する等の方法を採用することが好ましい。
溶媒の乾燥工程に関しては、加熱や減圧乾燥や凍結乾燥のような工程により行われ、加熱乾燥の場合には、架橋体のガラス転移温度以下で処理することにより、形成したパターンを崩すことなく溶媒を除去することができる。
これらの一連の工程中で、溶媒の乾燥工程以外では、均一な品質を確保する上で溶媒の蒸発を避けることが好ましい。例えば、溶媒が水の場合は、塗膜からの水の蒸発を避けるためには工程中の温湿度管理により可能である。また、前述のカバーフィルムを塗膜面にラミネートする方法は、溶媒の蒸発も避けることができる面でも好ましい態様である。
また、電磁波照射中に電磁波により塗膜の温度が上昇することがある。塗膜の温度が上昇すると溶媒が蒸発するなどにより、電磁波照射による固定が完了する前に微粒子が凝集してしまうこともあるため、照射装置中の温度管理も重要である。そのため、光重合性組成物を一定温度になるように制御したり、光源に熱線カットフィルターなどが装着されていることが好ましい。
(原理)
ここで、本発明の光重合性組成物を用いたパターン形成の原理は次のとおりである。微粒子が均一分散して透明状態の塗膜にパターン照射後、溶媒を乾燥して除去すると、パターン照射部は硬化して透明状態を保持したままであるが、未照射部のみ微粒子が凝集し、濁度が上昇する。この状態を保ったまま電磁波照射すると、この凝集状態が固定されパターン化できる。
まず、透明状態の塗膜にパターン照射することで、透明相となる部分が形成される。透明相とは、光重合性化合物と溶剤からなる混合物に、微粒子が一次粒子に近い状態まで均一に分散した状態で固定された相であり、以後乾燥して溶剤を除去しても、そのままの状態で安定に存在できる。
一方、パターン未照射部は、乾燥して溶媒を除去することにより、微粒子の分散状態が不安定化するため、微粒子を凝集体として析出させることができるため濁度が上昇する。この状態を保ったまま全面に電磁波を照射すると、この構造を固定することができる。
凝集相の凝集径と密度の制御は、光重合性組成物中の各成分や混合割合などによって容易に変化させることが可能である。例えば、光重合性化合物として微粒子が分散できない光重合性化合物の割合が多い場合には、溶媒を除去したときに凝集が激しく起こり、凝集径が大きくなり、またその密度も高くなる。一方、光重合性化合物の微粒子の分散性の良い光重合性化合物の割合が多くなるにつれて、凝集径が小さくなり、またその密度も低くなる。そのため、光重合性組成物中の各成分の割合によって自由に凝集相の構造を変えることができる。また、その他に、塩や酸、塩基、その他添加剤の添加によっても制御することができる。
また、凝集径と密度の制御は、乾燥条件を変化させることでも制御可能である。乾燥条件の変化とは、乾燥温度と乾燥時間などである。即ち、乾燥条件を変化して、残存溶媒量を制御することによっても、凝集相の状態を制御可能である。例えば、乾燥温度を高くし乾燥時間を長くして、系内の溶媒の残存量を極力少なくすることで、系の環境変化が大きくなって、その結果凝集径が大きくなる。一方、乾燥温度を低くし、乾燥時間を短くして系内の溶媒残存量を多くすることによっても、凝集径を小さくすることができる。
また、光重合性組成物の組成とプロセス条件を適宜選ぶことにより、上述の透明相と凝集相が配列したパターンだけではなく、分散状態が異なるパターン、すなわち、低凝集相と高凝集相からなるパターンなど所望の断面構造を有するパターンを形成することも可能である。例えば、低凝集相と高凝集相からなるパターンを形成するためには、塗布後予め溶媒を一部除去しておき、ある程度凝集を起こさせておいて、その状態の塗膜にパターン照射した後、溶媒を乾燥して除去し、未照射部を更に凝集させて、全面に電磁波照射することにより得られる。
本発明で用いられる光重合性化合物により、膜面方向に少なくとも二種類の濁度の異なる相が配列したパターンを有するシートを形成することができる。その配列構造は、ストライプ状または蜂の巣状など規則的なもの、全く不規則なものなど構造に制限されることなく任意のパターンを膜中に形成することができる。フォトマスクを介した照射の場合は、そのデザインにより、またレーザー走査による書き込みの場合はその走査型式により、構造に制限されることなく任意のパターンを膜中に形成することができる。
(パターン)
本発明においてシートは、上記のような光重合性組成物を用いて作製されるものであり、その構造は、シート全体に微粒子を含有してかつ、微粒子が均一分散し実質的に透明な相と、微粒子が凝集して白濁した相(凝集相)の少なくとも2層が交互に配列したパターンを有するシートである。
図1(a)〜(g)は、本発明で得られるシートの横断面における凝集相1の形状を例示するための横断面図である。図1の横断面にて観察される凝集相1の形状としては、矩形(図1(a)、(f)、(g))、台形(図1(b))、三角形(図1(c))、これらが変形したもの(図1(d)、(e))、およびこれらの混在したもの等が好ましく用いられるが、これら以外の形状も用いることができる。すなわち、横断面が矩形の凝集相1が、ほぼシート面に対して垂直な図1(a)等の他にも、図1(b)〜(e)のような形態も含まれる。また、図1(f)や(g)に示すように、機能層の上面近傍部分および/または下面近傍部分には、凝集相1が存在せず、機能層の上面および/または下面は透明相2で覆われる場合も好ましく用いられる。
図2(a)と(b)は、本発明におけるシートの一部分を模式的に示す斜視図であり、図の上面がシートの表面に相当し、図の上下方向が機能層の厚み方向に相当する。機能層中における凝集相1の配置構造としては、例えば、図2(a)に示すように、凝集相1が面方向にストライプ状に延びる構造、図2(b)に示すように凝集相1が面方向に格子状に広がる構造等が用いられるが、これらに制限されるものではない。
また、図3(a)〜(d)のように透明相2の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円あるいは楕円から選ばれる形状を有していてもよい。この透明相2は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していてもよい。
また、本発明におけるシートにおいて、シート厚さ方向における透明相の長さLと、面方向任意断面における透明相の短軸長さpとの比率(L/p)は任意にとることができる。
ここで、透明相2の短軸長さpは、図1(a)や図2に図示したように、透明相の単位長さである。なお、図2のストライプ状パターンの場合は単位長さの短い方向で測定する。また、透明相が円形の場合は、その直径、楕円の場合はその短径、三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径を、透明相2の短軸長さpとすればよい。また、シート厚み方向における透明相の長さLは図2に示すように、透明相2の厚みを指す。
また、この配列層は、この配列層内のシート面方向断面において、透明相2の面積と凝集相1の面積比率は任意である。
ここで、透明相の長さ単位、凝集相の長さ単位は、図1(a)の場合、p、tの長さでもって表される。なお、図1(b)等のようにその長さ単位が位置により異なる場合はその平均値でもって表す。
本発明の光重合性組成物により形成されたシートは、単体で用いることもできるが、基材とともに積層構造の構造体として用いることも好ましく行われ、この場合、シート自体の機械的強度、耐熱性および取り扱いやすさ等をさらに補うことができる。単体で用いる場合でも、その製造において、好適には、一度基材上に塗布して形態を整えた後、基材と剥離して用いる。積層構造の構造体の場合、用いる基材の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等の有機フィルム基材、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼、チタン等の金属基材およびコンクリート等の無機基材などが適用可能である。また、かかる基材は、下地調整材や下塗り材などの処理が施されたものであっても良い。また、他の機能をもった基材との複合体としての構成も好ましい。
本発明の光重合性組成物により形成されたシートの厚さは、好ましくは5〜300μmの範囲である。
本発明で用いられる基材の厚さは、基材種類によって異なる。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルム基材を用いる場合、機械的強度等の面から20〜500μmであり、より好ましくは30〜300μmであり、さらに好ましくは50〜200μmである。
本発明の光重合性組成物を用いて作製されたパターンを有するシートは、各種用途に使用することが可能であるが、用途の一例としては、意匠部材、光回路、光コネクタ部材、およびディスプレイ用部材などが挙げられる。また、ルーバー状や格子状に凝集相を形成することによって利用できる用途の一例としては、液晶ディスプレイのバックライトユニットに組み込んだときに、輝度向上効果を示す光学シートや視野角制御シートなど、特に光学機能素子分野に好適に使用される。
[特性の評価方法]
A.濁度
透明相、凝集相を形成した膜厚100μmの塗膜を作製し、スガ試験機株式会社製、全自動直読ヘーズコンピューターHGM−2DPを用い、濁度を測定する。塗剤粘度が低く、厚さ100μmの塗膜状態を保てない場合は、厚さ100μmのセルに入れたときの濁度を測定する。
B.断面構造
フィルム断面を薄く切り出し、オリンパス光学工業(株)製光学顕微鏡BH−2および付属のカメラを用い100倍で写真(透過像)を撮影し、断面観察を行ない、その透明相、凝集相の幅、厚さを求めた。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
水系チタニアゾル(硝酸分散タイプ、TiO2含有量20.3%:古河機械金属株式会社製、平均粒子径4nm)100重量部とアクリルモノマー(”ライトアクリレート”(登録商標)9EG−A:共栄社化学株式会社製)50重量部、アクリルモノマー(”ブレンマー”(登録商標)AME−400:日本油脂株式会社製)50重量部、PEG−20000(ナカライテスク株式会社製)2重量部、及び光重合開始剤(”イルガキュア”(登録商標)2959:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)5重量部を加え混合した。この組成物は常温で透明状態であった。この組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 U42:東レ株式会社製)上にブレードコーターを用いて塗膜厚100μmで塗布後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 T60:東レ株式会社製)をカバーフィルムとして貼り合わせて樹脂シートを得た。得られた樹脂シートの濁度を測定したところ10.4%であった。また、この樹脂シートに超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2照射した。照射後、カバーフィルムを剥離し、80℃の熱風オーブンで塗膜を加熱乾燥しても透明状態のままで白濁せず、透明状態を固定することができた。一方、この組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に100μmに塗布した後、80℃の熱風オーブンで10分間加熱乾燥したところ、TiO2が凝集し白濁状態となった。白濁状態となったシートの濁度を測定したところ82.7%であった。その状態のシートに高圧水銀光を1000mJ/cm2照射した。これを水に10分間浸しても白濁状態のままで、白濁相を固定できた。
次に、150μm厚に塗布して形成した透明な状態の樹脂シートに、ピッチ125μm、幅75μmのストライプパターンのフォトマスクを重ね、超高圧水銀灯を50mJ/cm2照射した。照射後、カバーフィルムをはがして、80℃の熱風オーブンで5分間乾燥した後、1000mJ/cm2全面照射することでストライプパターンを形成した。得られたパターンを有するシートの断面を透過型光学顕微鏡で観察したところ、パターン露光部は幅75μmの透明相、パターン未露光部は幅50μmのチタニア凝集相が交互に配列したパターンを形成できていることを確認した。
(実施例2)
水系チタニアゾル(硝酸分散タイプ、TiO2含有量20.3%:古河機械金属株式会社製、平均粒子径4nm)100重量部とアクリルモノマー(”ライトアクリレート”(登録商標)9EG−A:共栄社化学株式会社製)40重量部、アクリルモノマー(”ブレンマー”(登録商標)AME−400:日本油脂株式会社製)40重量部、アクリルモノマー(”ライトアクリレート”(登録商標)TMP−6EO−3A:共栄社化学株式会社製)10重量部、PEG−20000(ナカライテスク株式会社製)2重量部、メタノール(和光純薬株式会社製)10重量部、及び光重合開始剤(”イルガキュア”(登録商標)2959:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)5重量部を加え混合した。この組成物は常温で透明状態であった。この組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 U42:東レ株式会社製)上にブレードコーターを用いて塗膜厚150μmで塗布後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 T60:東レ株式会社製)をカバーフィルムとして貼り合わせて樹脂シートを得た。この樹脂シートは、実施例1と同様の操作により透明相から凝集相へと変化した。各相の濁度はそれぞれ14.1%と91.7%であった。また透明相と凝集相を光固定も可能であった。
次に、パターン露光量を40mJ/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の操作でストライプパターンを形成した。得られたパターンを有するシートの断面を透過型光学顕微鏡で観察したところ、パターン露光部は幅75μmの透明相、パターン未露光部は幅50μmのチタニア凝集相が交互に配列したパターンを形成できていることを確認した。
(実施例3)
イソプロピルアルコール分散型TiO2ゾル(多木化学株式会社製、平均粒子径6nm、TiO2含有量20%)100重量部とアクリルモノマー(”KAYARAD”(登録商標)R−130:日本化薬株式会社製)25重量部、アクリルモノマー(”アロニックス”(登録商標)M−150:東亞合成株式会社製)25重量部、アクリルモノマー(”ネオマー”(登録商標)BA−641:三洋化成株式会社製)25重量部、及び光重合開始剤(”イルガキュア”(登録商標)651:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)5重量部を加え混合した。この組成物は常温で透明状態であった。この組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 U42:東レ株式会社製)上にブレードコーターを用いて塗膜厚150μmで塗布後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 T60:東レ株式会社製)をカバーフィルムとして貼り合わせて樹脂シートを得た。この樹脂シートは、乾燥方法を自然乾燥とした以外は実施例1と同様の操作により透明相から凝集相へと変化した。各相の濁度はそれぞれ8.1%と90.5%であった。また透明相と凝集相を光固定も可能であった。
次に、パターン露光量を30mJ/cm2、乾燥方法を自然乾燥としたこと以外は、実施例1と同様の操作でストライプパターンを形成した。得られたパターンを有するシートの断面を透過型光学顕微鏡で観察したところ、パターン露光部は幅75μmの透明相、パターン未露光部は幅50μmのチタニア凝集相が交互に配列したパターンを形成できていることを確認した。
(実施例4)
TiO2超微粒子(多木化学株式会社製、平均粒子径6nm、TiO2含有量20%イソプロピルアルコール分散体からイソプロピルアルコールを除去して使用した)40重量部とアクリルモノマー(”KAYARAD”(登録商標)R−130:日本化薬株式会社製)50重量部、アクリルモノマー(”アロニックス”(登録商標)M−150:東亞合成株式会社製)50重量部、トルエン(ナカライテスク株式会社製)30重量部、及び光重合開始剤(”イルガキュア”(登録商標)651:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)5重量部を加え混合した。この組成物は常温で透明状態であった。
この組成物を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 U42:東レ株式会社製)上にブレードコーターを用いて塗膜厚150μmで塗布後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)100 T60:東レ株式会社製)をカバーフィルムとして貼り合わせて樹脂シートを得た。この樹脂シートは、乾燥方法を自然乾燥とした以外は実施例1と同様の操作により透明相から凝集相へと変化した。各相の濁度はそれぞれ7.9%と92.4%であった。また透明相と凝集相を光固定も可能であった。
次に、パターン露光量を20mJ/cm2、乾燥方法を自然乾燥としたこと以外は、実施例1と同様の操作でストライプパターンを形成した。得られたパターンを有するシートの断面を透過型光学顕微鏡で観察したところ、パターン露光部は幅75μmの透明相、パターン未露光部は幅50μmのチタニア凝集相が交互に配列したパターンを形成できていることを確認した。
図1(a)〜(g)は、いずれも本発明のパターンを示す横断面図であり、横断面における凝集相1の形状を模式的に例示するものである。 図2(a)と(b)は、それぞれ本発明のパターンの一部分を模式的に示す斜視図である。 図3(a)〜(d)は、いずれも本発明のパターンのシート面と平行な断面における断面図であり、透明相2の形状を模式的に例示するものである。
符号の説明
1 凝集相
2 透明相
L 透明相の長さ
p 透明相の短軸長さ
t 凝集相の長さ

Claims (8)

  1. 平均一次粒子径が1〜100nmの微粒子、溶媒、および該微粒子とは屈折率の異なる光重合性化合物を含み、かつ100μmの厚みにしたときの濁度が20%以下である実質的に透明な光重合性組成物であって、該溶媒を乾燥除去すると微粒子が凝集して濁度が40%以上増加することを特徴とする光重合性組成物。
  2. 微粒子、光重合性化合物および溶媒を含む実質的に透明な光重合性組成物であって、該光重合性組成物に電磁波照射することにより、透明状態を維持したまま硬化することができることを特徴とする請求項1記載の光重合性組成物。
  3. 溶媒を乾燥除去した光重合性組成物に電磁波照射することにより、濁度が増加した状態で硬化することができることを特徴とする請求項1または2記載の光重合性組成物。
  4. 硬化後の光重合性化合物と微粒子の屈折率が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性組成物。
  5. 微粒子の含有量が、光重合性組成物100重量部に対し1〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光重合性組成物を基材上に塗設し、所望のパターンに応じた電磁波照射を行い照射部位を硬化後、溶媒を乾燥除去し、次いで全面に電磁波照射することを特徴とするパターン形成方法。
  7. 請求項6記載のパターン形成方法によって得られる微粒子の分散状態の異なる相からなるパターン。
  8. 請求項6記載のパターン形成方法によって得られるパターンであって、塗設膜面方向に、微粒子が均一に分散し実質的に透明な相と微粒子が凝集して白濁した相が交互に配列してなることを特徴とするパターン。
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