JP2005156630A - プラスチックレンズの染色方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、前記染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で前記染色用保持材を加熱処理し、もって前記プラスチックレンズを染色することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明の染色方法を適用するプラスチックレンズの素材は特に制限されない。適用可能な素材としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明のプラスチックレンズの染色方法は、染料として直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料、昇華性染料、カチオン染料等を用いることができる。特に昇華性染料は加熱により昇華し、レンズ内に容易に拡散するため、従来の浸漬法等で染色しにくい素材に対しても比較的容易に染色できるので好ましい。
本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させ、染色用保持材を加熱処理することによりプラスチックレンズを染色する。
プラスチックレンズを染色するための中間媒体として、染料を塗布した染色用保持材を作製する。染色用保持材の材料としては有機材料、金属材料及び無機材料のいずれでもよい。特に金属材料及び無機材料を用いると塗布時の色彩とレンズ染色後の色彩が異ならないため好ましい。金属材料からなる染色用保持材としてはアルミニウム、ステンレス鋼、銅、これらの合金等からなる板、シート等が挙げられる。無機材料からなる染色用保持材としてはガラス、石英、雲母等からなる板、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維等の無機高分子化合物からなる織布又は不織布等が挙げられる。染色用保持材を2種以上の材料を複合化した複合材料により形成してもよいし、複数の材料からなる多層構造体としてもよい。
染色用保持材を予め加熱することにより、染色用保持材に染料を塗布した際に塗布液が瞬時に乾燥する。これにより、塗布後に染色用保持材上を塗布液が流れ染料が局所的に凝集するのを防止することができる。染料を塗布する際の染色用保持材の温度は70〜180℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。70℃より低いと乾燥に時間がかかり、染料を染色用保持材に均一に固定することができない。180℃より高いと染料が昇華するおそれがある。染色用保持材の加熱方法は特に制限されず、例えばホットプレート上で加熱する方法やオーブンで加熱する方法を用いることができる。
染料の塗布液は、使用する染料、塗布方法等に応じて適宜調製してよい。例えば、染料として昇華染料を用いる場合は通常昇華性染料を水系媒体に分散させて調製する。塗布液には本発明の目的を損なわない範囲で有機溶媒、粘度調整剤、pH調整剤、界面活性剤、バインダー等を添加してもよい。
染料を塗布した染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で染色用保持材に加熱処理を施す。染色用保持材を加熱することにより染色用保持材に塗布された染料がプラスチックレンズの内部に拡散し、レンズを染色することができる。昇華性染料を用いる場合、染色用保持材とプラスチックレンズとの間に所定の間隔を設け、染色用保持材を加熱することにより染料が昇華し、プラスチックレンズ内に染料が拡散する。プラスチックレンズを染色する際の染色用保持材の加熱温度は所望する染色濃度等に依存するが、通常130〜250℃程度でよい。加熱温度が130℃より低いと十分な染色効果が得られず、また250℃より高いとプラスチックレンズの変色及び変形が起こる。好ましい加熱温度は150〜230℃である。染色用保持材の加熱時間は所望する染色濃度等に依存するが、通常5〜60分程度でよい。加熱時間が5分未満であると十分な染色効果が得られず、また加熱時間が60分を超えると染色濃度が濃くなり過ぎたり、プラスチックレンズの変色及び変形が起こる。
青板ガラス(染色用保持材)を100℃で1時間加熱し、100℃の青板ガラスにインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図1(a)に示すようにプラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面と青板ガラス(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1の中央部と青板ガラス(染色用保持材2)の間隔が3mmとなるようにプラスチックレンズ1及び青板ガラス(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3で青板ガラス(染色用保持材2)を200℃に加熱し、30分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズ1の染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
アルミニウム板(染色用保持材)を150℃で15分間加熱し、150℃のアルミニウム板にインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図1(b)に示すようにプラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面とアルミニウム板(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1の中央部とアルミニウム板(染色用保持材2)の間隔が5mmとなるようにプラスチックレンズ1及びアルミニウム板(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3によりアルミニウム板(染色用保持材2)を230℃に加熱し、15分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズ1の染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
プラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面に対してほぼ相補的な曲面(直径80 mm、レンズ面を重ね合わせたときの誤差が2mm以下)を有するアルミニウム板(染色用保持材2)を130℃で30分間加熱し、130℃のアルミニウム板の曲面にインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図2(b)に示すようにプラスチックレンズ1の被染色面にアルミニウム板(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1とアルミニウム板(染色用保持材2)の間隔が2mmとなるようにプラスチックレンズ1及びアルミニウム板(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3によりアルミニウム板(染色用保持材2)を210℃に加熱し、20分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズの染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
青板ガラス(染色用保持材)を加熱せずにパターンを印刷した以外、実施例1と同様にしてプラスチックレンズを染色した。加熱していない青板ガラスに印刷した染料は固定されず、青板ガラス上に流れているのが認められた。染色処理後のプラスチックレンズには染色ムラがあり、実施例1のレンズと比較して染色の度合いがかなり薄い部分があった。
アルミニウム板(染色用保持材)を加熱せずにパターンを印刷した以外、実施例3と同様にしてプラスチックレンズを染色した。加熱していないアルミニウム板に印刷した染料は固定されず、局所的に凝集していた。染色処理後のプラスチックレンズには染色ムラがあり、実施例3のレンズと比較してレンズ全体に染色ムラが認められた。
2・・・染色用保持材
3・・・加熱用部材
4・・・レンズ温調器
5・・・保持部材
10・・・昇華性染料
Claims (6)
- 加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、前記染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で前記染色用保持材を加熱処理し、もって前記プラスチックレンズを染色することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1に記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染料を塗布する際の前記染色用保持材の温度を70〜180℃とすることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染料として昇華性染料を用いることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材に前記染料をインクジェット法により塗布することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材の塗布面に前記プラスチックレンズの被染色面に対してほぼ相補的な曲面を有することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材が金属材料又は無機材料からなることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
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2003
- 2003-11-20 JP JP2003391188A patent/JP2005156630A/ja active Pending
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