JP2005156630A - プラスチックレンズの染色方法 - Google Patents

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恒男 平出
Yukio Kubota
幸雄 久保田
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睦 小口
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Abstract

【課題】 均一にムラなく、かつ高濃度に染色することが可能なプラスチックレンズの染色方法を提供する。
【解決手段】 本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、前記染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で前記染色用保持材を加熱処理し、もって前記プラスチックレンズを染色することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、均一かつ高濃度に染色し得るプラスチックレンズの染色方法に関する。
近年、プラスチックレンズはガラスレンズの代わりに多方面で使用されているが、中でも視力矯正用に使用するコンタクトレンズや眼鏡用レンズはコスメティック効果等の目的からレンズを染色することが盛んに行われている。ガラスレンズがプラスチックレンズに置き換えられる理由として、プラスチックレンズの軽量性及び安全性の他に容易に染色できる易染性を挙げることができる。
プラスチックレンズの染色に関しては、これまで種々の方法が実施されている。例えばプラスチックレンズ、特に眼鏡用プラスチックレンズを均一に染色する方法としては、主として(i) 分散染料液に浸漬する方法、(ii) 分散染料を含有するコーティング剤又は染色可能なコーティング剤を塗布する方法、(iii) 分散染料の存在下でプラスチックレンズの原料モノマーを重合する方法、及び(iv) 昇華性染料を加熱して昇華させる方法が挙げられる。
第一の方法は、加熱した分散染料浴中にレンズを浸漬した後、レンズを加熱して染料を固定化する方法である。しかしながら、最近、高付加価値を求める市場ニーズに応えて、プラスチックレンズ素材の多様化が進んだ結果、このような分散染料を使用する方法では染色が困難な素材が増えてきている。
第二の方法として、プラスチックレンズ素材に直接染色するのではなく、分散染料を分散又は溶解した有機ハードコート液をプラスチックレンズに塗布した後、硬化処理することにより、染色されたハードコート薄膜をレンズ表面に形成する方法(特開平6-347606号)も提案されている。有機ハードコート液の塗布は、浸漬法、スプレー法、スピンコート法等により行われる。またプラスチックレンズに染料を含有する有機ハードコート液を塗布する代わりに、プラスチックレンズ表面に染色可能なハードコートを形成してから、分散染料浴中にプラスチックレンズを浸漬し、加熱することにより染色する方法(特開2000-266905号)も行われている。しかしながらこれらの方法も、ハードコート薄膜に多量の染料を含有させることが難しいため、到達濃度に限界があり、レンズを高濃度に染色することはできない。
第三の方法として、プラスチックレンズの原料モノマーに予め分散染料を溶解してから重合する方法(特開平7-018586号)が提案されている。しかし、この方法では形成されたレンズの着色濃度はレンズの厚さに依存するから、例えばレンズの中心部が周辺部よりも薄い凹レンズでは、中央部分の色が薄くなってレンズ全体で色の濃淡が生じる。左右の度数が異なる眼鏡レンズにおいては、左右で色の濃度が異なるという問題が生じる。また、重合時に染色を施すため商品の多様化により多種多様な在庫が必要になり、これを回避するため注文時に製造しようとすると迅速な対応が困難になる。以上からこの方法は実用的でない。
第四の方法としては、昇華性染料を加熱・昇華させて染色する方法が提案されている。この方法は、従来の浸漬法では染色が困難であったレンズを容易に染色できるという長所を有する。この昇華染色法として、例えば(イ) 固形昇華性染料を昇華させてプラスチックレンズを染色する方法(特開昭56-153321号、特開昭56-159376号等)、(ロ) 昇華性染料を含む溶液を塗布してなる基体をプラスチックレンズに非接触状態で対向させ、基体及びレンズを加熱することにより染色する方法(例えば、特開平1-277814号、特開2000-329901号、特許第3229291号(特許文献1〜3)等参照)、(ハ) 昇華性染料を含有する着色層と、粘着層とからなる転写層をプラスチックレンズに転写した後、加熱することにより染色する方法(例えば、特開2000-009905号(特許文献4)参照)が提案されている。
しかしながら、上記(イ)の方法では、固形昇華性染料をレンズに対して定量的に付着させることが困難な上、着色源の均一加熱及び染料濃度の調整が難しい。(ロ)の方法では、上記(イ)の方法より着色源の均一加熱が容易であるが、織布等の基体では基体に残留する染料が多く効率が悪い。一方、金属やガラス等の染料の保持量が少ない基体では、染色に必要な量の染料を基体に塗布しようとすると塗布液が流れてムラが生じやすく、プラスチックレンズの均染性及び染色濃度に限界がある。(ハ)の方法では、着色層とプラスチックレンズとの間に粘着剤層を介して染色を行うため、被染色レンズを高濃度に染色することができない。またこれらのプラスチックレンズの染色方法では、1度に1種類のパターンしか染色できないため、効率が悪いという問題がある。
上記の特許文献3はインクジェットプリンタにより昇華性染料を基体に印刷し、基体を加熱することにより昇華性染料を昇華させてプラスチックレンズを染色する方法を提案している。インクジェットプリンタにより印刷する場合は、所望のパターンを再現性よく印刷することができるという利点を有するが、乾燥するまでに隣同士の液滴が接触して印刷パターンが乱れやすくなるという問題がある。
特開平1-277814号公報 特開2000-329901号公報 特許第3229291号公報 特開2000-009905号公報
従って本発明の目的は、均一にムラなく、かつ高濃度に染色することが可能なプラスチックレンズの染色方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、加熱した染色用保持材に染料を塗布し、塗布液を瞬時に乾燥させることにより、染色用保持材上に染料を均一に固定できるとともに、高濃度に染色可能な量の染料を塗布できること、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で染色用保持材に加熱処理を施すことにより染料をレンズ内に拡散させ、プラスチックレンズを均一にムラなく、かつ高濃度に染色できることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、前記染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で前記染色用保持材を加熱処理し、もって前記プラスチックレンズを染色することを特徴とする。
染料を塗布する際の染色用保持材の温度を70〜180℃とするのが好ましい。これにより、染料を染色用保持材上に均一に固定することができる。また、加熱処理により染色用保持材を130〜250℃に加熱するのが好ましい。かかる温度範囲で加熱処理を施すことにより、染料をレンズ内部に速やかに拡散できるとともに、プラスチックレンズの変色及び変形を防止することができる。
染料としては特に昇華性染料を用いるのが好ましい。昇華性染料は加熱処理により昇華し容易にレンズ内部に拡散するため、染色濃度及び染色効率を高めることができる。染色用保持材に染料を塗布する方法としてはインクジェット法を用いるのが好ましい。インクジェット法を用いることによりプラスチックレンズ表面に所望のパターンを再現性よく塗布することができる。染色用保持材の塗布面にプラスチックレンズの被染色面に対してほぼ相補的な曲面を有してもよい。染色用保持材にこのような曲面を設けることにより所望のパターンを正確にレンズ表面に写すことができる。染色用保持材としては、金属材料又は無機材料からなる染色用保持材を用いるのが好ましい。
本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布するので、塗布した染料が瞬時に乾燥し、染料が流れて局所的に凝集することがない。そのため、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で染色用保持材を加熱することにより、プラスチックレンズを均一にムラなく、かつ高濃度に染色することが可能である。
[1] プラスチックレンズの素材
本発明の染色方法を適用するプラスチックレンズの素材は特に制限されない。適用可能な素材としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の染色方法を適用するプラスチックレンズの形状も特に制限はない。球面、回転対称非球面、多焦点レンズ、トーリック面等の非球面、凸面、凹面等の多様な曲面を有するプラスチックレンズに適用可能である。
[2] 染料
本発明のプラスチックレンズの染色方法は、染料として直接染料、反応染料、酸性染料、分散染料、昇華性染料、カチオン染料等を用いることができる。特に昇華性染料は加熱により昇華し、レンズ内に容易に拡散するため、従来の浸漬法等で染色しにくい素材に対しても比較的容易に染色できるので好ましい。
昇華性染料は加熱により昇華する性質を有するものであれば良く、特に制限はない。昇華性染料の例としては、カヤセットブルーN(日本化薬(株)製)、スミカロンイエローEG(住友化学工業(株)製)、カヤセットブルー906(日本化薬(株)製)、カヤセットブラウン939(日本化薬(株)製)、カヤセットレッド130(日本化薬(株)製)、デラシルブルー3RL(日本チバガイギー(株)製)、デラシルブラウン(日本チバガイギー(株)製)、PSイエローGG(三井化学(株)製)、Dianix Red TA-N(三菱化学(株)製)、Kayalon Microester Red C-LS conc(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Red AQ-LE(日本化薬(株)製)、Miketon Fast Red Z(三井化学(株)製)、Kayalon Microester Red DX-LS(日本化薬(株)製)、Dianix Blue UN-SE(三菱化学(株)製)、Disperse Fast Blue Z(三井化学(株)製)、Dianix/Samaron Navy Blue TA-N(三菱化学(株)製)、Kayalon Microester Blue C-LS conc(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Blue AQ-LE(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Blue DX-LS conc(日本化薬(株)製)、Dianix/Samaron Orange TA-N(三菱化学(株)製)、Dianix Yellow TA-N(三菱化学(株)製)、Kayalon Microester Yellow AQ-LE(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Yellow DX-LS conc(日本化薬(株)製)、Miketon Fast Yellow Z(三井化学(株)製)、Kayalon Microester Yellow C-LS(日本化薬(株)製)、ルラフィックスブルー660(BASF,JAPAN(株)製)、ルラフィックスレッド420(BASF,JAPAN(株)製)等が挙げられる。
[3] プラスチックレンズの染色方法
本発明のプラスチックレンズの染色方法は、加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させ、染色用保持材を加熱処理することによりプラスチックレンズを染色する。
(1) 染色用保持材の作製
プラスチックレンズを染色するための中間媒体として、染料を塗布した染色用保持材を作製する。染色用保持材の材料としては有機材料、金属材料及び無機材料のいずれでもよい。特に金属材料及び無機材料を用いると塗布時の色彩とレンズ染色後の色彩が異ならないため好ましい。金属材料からなる染色用保持材としてはアルミニウム、ステンレス鋼、銅、これらの合金等からなる板、シート等が挙げられる。無機材料からなる染色用保持材としてはガラス、石英、雲母等からなる板、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維等の無機高分子化合物からなる織布又は不織布等が挙げられる。染色用保持材を2種以上の材料を複合化した複合材料により形成してもよいし、複数の材料からなる多層構造体としてもよい。
染色用保持材は、プラスチックレンズと対向する側の面(塗布面)にプラスチックレンズの被染色面(曲面)に対してほぼ相補的な曲面を有していてもよい。染色用保持材の曲面に昇華性染料を塗布する場合、染色用保持材の曲面とプラスチックレンズの被染色面を対向させたときに、染色用保持材とプラスチックレンズの間隔がレンズの曲面全体でほぼ一定になり、昇華した染料がレンズ上に均一に拡散し、プラスチックレンズを均一にムラなく染色することができる。プラスチックレンズの被染色面に対してほぼ相補的な曲面とは、染色用保持材に設けた曲面にレンズ面を重ね合わせたときに、誤差が小さいことを意味する。具体的には、誤差が2mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましい。染色用保持材に設けられた曲面は、プラスチックレンズの大きさと同等以上の大きさであるのが好ましい。
(2) 染色用保持材の加熱
染色用保持材を予め加熱することにより、染色用保持材に染料を塗布した際に塗布液が瞬時に乾燥する。これにより、塗布後に染色用保持材上を塗布液が流れ染料が局所的に凝集するのを防止することができる。染料を塗布する際の染色用保持材の温度は70〜180℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。70℃より低いと乾燥に時間がかかり、染料を染色用保持材に均一に固定することができない。180℃より高いと染料が昇華するおそれがある。染色用保持材の加熱方法は特に制限されず、例えばホットプレート上で加熱する方法やオーブンで加熱する方法を用いることができる。
(3) 塗布
染料の塗布液は、使用する染料、塗布方法等に応じて適宜調製してよい。例えば、染料として昇華染料を用いる場合は通常昇華性染料を水系媒体に分散させて調製する。塗布液には本発明の目的を損なわない範囲で有機溶媒、粘度調整剤、pH調整剤、界面活性剤、バインダー等を添加してもよい。
塗布液がインクジェットプリンタ用インクである場合、例えばノズル詰まりを抑制し、インク吐出安定性を高めるためにインク媒体に保湿剤を添加してもよい。具体的には、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を添加することができる。その他必要に応じて多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール等)、含窒素複素環化合物類(N-メチル-2-ピロリドン等)等の水溶性有機化合物を添加してもよい。
加熱した染色用保持材に染料を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。例えばカーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、インクジェット法等を用いることができる。中でもインクジェット法及びスプレーコーティング法が好ましい。インクジェット法は、インクジェットノズルを配列した記録ヘッドをレンズ上に配置し、ノズルからインクを噴射することにより所望のパターンを再現性よく印刷することができるので特に好ましい。塗布されたインクは染色用保持材の熱により直ちに乾燥するため、印刷パターンが崩れることがなく、隣同士の液滴が接触してパターンが不鮮明になることもない。
インクジェット法により印刷する場合、市販のインクジェットプリンタを使用することができる。インクジェットプリンタ用のインクとしてはマゼンタ、イエロー、シアン等の複数色のインクを用いることができる。これらの複数色のインクの吐出量、吐出割合等を調整することにより多色印刷ができるように構成してもよい。また、インクの吐出量又は吐出割合を経時的に徐々に変化させることにより階調表現(グラデーション)が可能となるように構成してもよい。
インクジェットプリンタ用のインクはインク媒体中に染料を好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜15質量%含有する。染料は好ましくは昇華性染料であり、より好ましくは昇華性分散染料である。各インクをインクカートリッジに収納し、インクジェットプリンタに装着する。
インクジェットプリンタは制御部を備えているのが好ましい。制御部に印刷パターン、各インクの吐出量等の情報を予め入力しておき、入力された情報に基づいて制御部から記録ヘッドに印刷信号を送出する。印刷信号に基づいて記録ヘッドからのインク吐出量を調節し、染色用保持材に所望のパターンを印刷する。
染色用保持材への染料の塗布量は、所望するレンズの染色濃度等に応じて適宜設定することができる。本発明では塗布された塗布液が熱により直ちに乾燥するため、比較的多量の塗布液を塗布しても流れることなく瞬時に固定することができる。このため、高濃度に染色できる量の染料を塗布することができる。
染色用保持材に昇華性染料を塗布する場合、昇華性染料を塗布した部分の大きさは、プラスチックレンズの被染色面の大きさと同等以上であるのが好ましい。プラスチックレンズの全面を染色する場合、昇華性染料を塗布した部分の直径はレンズの直径と同等以上であるのが好ましい。昇華性染料を塗布した部分の大きさをレンズの被染色面の大きさと同等以上にすることにより、プラスチックレンズの被染色面を均一に染色することができる。
(4) 加熱処理
染料を塗布した染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で染色用保持材に加熱処理を施す。染色用保持材を加熱することにより染色用保持材に塗布された染料がプラスチックレンズの内部に拡散し、レンズを染色することができる。昇華性染料を用いる場合、染色用保持材とプラスチックレンズとの間に所定の間隔を設け、染色用保持材を加熱することにより染料が昇華し、プラスチックレンズ内に染料が拡散する。プラスチックレンズを染色する際の染色用保持材の加熱温度は所望する染色濃度等に依存するが、通常130〜250℃程度でよい。加熱温度が130℃より低いと十分な染色効果が得られず、また250℃より高いとプラスチックレンズの変色及び変形が起こる。好ましい加熱温度は150〜230℃である。染色用保持材の加熱時間は所望する染色濃度等に依存するが、通常5〜60分程度でよい。加熱時間が5分未満であると十分な染色効果が得られず、また加熱時間が60分を超えると染色濃度が濃くなり過ぎたり、プラスチックレンズの変色及び変形が起こる。
加熱処理の方法は特に限定されず、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で電気炉内で加熱してもよいし、染色用保持材を加熱用部材とプラスチックレンズとの間に配置し、染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させ、加熱用部材により染色用保持材を背後から加熱してもよい。図1は本発明のプラスチックレンズの染色方法の一例を示す。図1に示すように昇華性染料10を塗布した染色用保持材2の塗布面とプラスチックレンズ1の被染色面とを所定の間隔を設けて対向させ、加熱用部材3により染色用保持材2を加熱することにより昇華性染料10を昇華させ、プラスチックレンズ1を染色する。染色用保持材2をプラスチックレンズ1と所定の間隔を設けて設置することにより、昇華した染料が拡散してより均一にムラなく染色することができる。染色用保持材2とプラスチックレンズ1の中央部との間隔は、昇華性染料の種類、所望する染色濃度、染色時間等により適宜設定することができるが、通常1〜20 mmが好ましく、2〜10 mmがより好ましい。プラスチックレンズ1と染色用保持材2の間隔が1mm未満であると、レンズ温度が高くなりレンズが変形する可能性がある。プラスチックレンズ1と染色用保持材2の間隔が20 mm超では染色濃度が低く、またムラになりやすい。染色用保持材2は、図1(a)のように加熱用部材3に密着させてもよいし、図1(b)のように保持部材5を介して加熱用部材3に設置してもよい。
図2は本発明のプラスチックレンズの染色方法の別の例を示す。染色用保持材2としてプラスチックレンズ1の被染色面に対してほぼ相補的な曲面を有する染色用保持材を用いる。昇華性染料10を染色用保持材の上記曲面部分に塗布し、染色用保持材2の塗布面とプラスチックレンズ1の被染色面とを所定の間隔を設けて対向させ、加熱用部材3により染色用保持材2を加熱することにより昇華性染料10を昇華させ、プラスチックレンズ1を染色する。プラスチックレンズ1と染色用保持材2の間隔は、図1の場合と同様でよい。染色用保持材2は、図2(a)のように加熱用部材3に密着させてもよいし、図1(b)のように保持部材5を介して加熱用部材3に設置してもよい。
染色用保持材2を加熱処理する際にプラスチックレンズ1を所定の温度に加熱するのが好ましい。例えば、図1及び図2に示すようにプラスチックレンズ1をレンズ温調器4上に載置し、プラスチックレンズ1を加熱しながら染色するのが好ましい。プラスチックレンズ1を加熱することによりレンズを構成する分子鎖同士の目を緩め、レンズ内に昇華性染料10を浸透しやすくすることができる。プラスチックレンズ1の温度は昇華性染料の種類、レンズの材質、染色濃度等により適宜設定してよいが、通常50〜180℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。50℃より低いと染料がレンズ内部に十分に拡散せず、180℃より高いとプラスチックレンズが変色及び変形する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
青板ガラス(染色用保持材)を100℃で1時間加熱し、100℃の青板ガラスにインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図1(a)に示すようにプラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面と青板ガラス(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1の中央部と青板ガラス(染色用保持材2)の間隔が3mmとなるようにプラスチックレンズ1及び青板ガラス(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3で青板ガラス(染色用保持材2)を200℃に加熱し、30分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズ1の染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
実施例2
アルミニウム板(染色用保持材)を150℃で15分間加熱し、150℃のアルミニウム板にインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図1(b)に示すようにプラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面とアルミニウム板(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1の中央部とアルミニウム板(染色用保持材2)の間隔が5mmとなるようにプラスチックレンズ1及びアルミニウム板(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3によりアルミニウム板(染色用保持材2)を230℃に加熱し、15分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズ1の染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
実施例3
プラスチックレンズ(直径75 mm、MR-8、ポリチオウレタン系、三井化学(株)製)1の被染色面に対してほぼ相補的な曲面(直径80 mm、レンズ面を重ね合わせたときの誤差が2mm以下)を有するアルミニウム板(染色用保持材2)を130℃で30分間加熱し、130℃のアルミニウム板の曲面にインクジェットプリンタ(MMP-900RT、マスターマインド社製)及びそのインク(インクジェットプリンタ用昇華性分散染料(HANAE-II、(株)サンリュウ製)を含有する)を用いて直径80 mmのパターンを印刷した。図2(b)に示すようにプラスチックレンズ1の被染色面にアルミニウム板(染色用保持材2)の印刷面を対向させ、プラスチックレンズ1とアルミニウム板(染色用保持材2)の間隔が2mmとなるようにプラスチックレンズ1及びアルミニウム板(染色用保持材2)を配置した。ホットプレート(レンズ温調器4)でプラスチックレンズ1を100℃に加熱しながら加熱用部材3によりアルミニウム板(染色用保持材2)を210℃に加熱し、20分間染色処理を行った。染色処理後プラスチックレンズの染色の度合いを目視により観察したところ、レンズ全体に均一にムラなく、かつ高濃度に染色されていた。
比較例1
青板ガラス(染色用保持材)を加熱せずにパターンを印刷した以外、実施例1と同様にしてプラスチックレンズを染色した。加熱していない青板ガラスに印刷した染料は固定されず、青板ガラス上に流れているのが認められた。染色処理後のプラスチックレンズには染色ムラがあり、実施例1のレンズと比較して染色の度合いがかなり薄い部分があった。
比較例2
アルミニウム板(染色用保持材)を加熱せずにパターンを印刷した以外、実施例3と同様にしてプラスチックレンズを染色した。加熱していないアルミニウム板に印刷した染料は固定されず、局所的に凝集していた。染色処理後のプラスチックレンズには染色ムラがあり、実施例3のレンズと比較してレンズ全体に染色ムラが認められた。
本発明のプラスチックレンズの染色方法に用いる染色装置の一例を示す概略断面図であり、(a)は染色用保持材を加熱用部材に密着させた場合を示し、(b)は染色用保持材を保持部材を介して加熱用部材に設置した場合を示す。 本発明のプラスチックレンズの染色方法に用いる染色装置の別の例を示す概略断面図であり、(a)は染色用保持材を加熱用部材に密着させた場合を示し、(b)は染色用保持材を保持部材を介して加熱用部材に設置した場合を示す。
符号の説明
1・・・プラスチックレンズ
2・・・染色用保持材
3・・・加熱用部材
4・・・レンズ温調器
5・・・保持部材
10・・・昇華性染料

Claims (6)

  1. 加熱した染色用保持材に染料を塗布した後、前記染色用保持材の塗布面とプラスチックレンズの被染色面を対向させた状態で前記染色用保持材を加熱処理し、もって前記プラスチックレンズを染色することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
  2. 請求項1に記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染料を塗布する際の前記染色用保持材の温度を70〜180℃とすることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
  3. 請求項1又は2に記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染料として昇華性染料を用いることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材に前記染料をインクジェット法により塗布することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材の塗布面に前記プラスチックレンズの被染色面に対してほぼ相補的な曲面を有することを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズの染色方法において、前記染色用保持材が金属材料又は無機材料からなることを特徴とするプラスチックレンズの染色方法。
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