JP2005153785A - タイヤ状態推定装置及び車両用タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両用タイヤの摩耗異常をタイヤ毎に検知する。
【解決手段】 車両用タイヤ10の接地部11の摩耗によって路面との相互関係が変化する磁性材12を接地部11に埋め込む。車体側には、前記磁性材12の相互関係の変化を感知する電磁ピックアップセンサ14を備える。ECU16は、前記電磁ピックアップセンサ14により感知された情報に基づいて前記接地部11の摩耗を判定する。車両用タイヤ10の接地部11に埋め込まれた磁性材12が磨耗と共に削られていくことで、車両用タイヤ10の回転により電磁ピックアップセンサ14に誘導される誘導起電力の大きさが次第に減少していくので、車両用タイヤ10の磨耗を的確に判定することができる。磁性材12は、例えば金属片や、磁性粉末が混入されたゴムである。
【選択図】 図1
【解決手段】 車両用タイヤ10の接地部11の摩耗によって路面との相互関係が変化する磁性材12を接地部11に埋め込む。車体側には、前記磁性材12の相互関係の変化を感知する電磁ピックアップセンサ14を備える。ECU16は、前記電磁ピックアップセンサ14により感知された情報に基づいて前記接地部11の摩耗を判定する。車両用タイヤ10の接地部11に埋め込まれた磁性材12が磨耗と共に削られていくことで、車両用タイヤ10の回転により電磁ピックアップセンサ14に誘導される誘導起電力の大きさが次第に減少していくので、車両用タイヤ10の磨耗を的確に判定することができる。磁性材12は、例えば金属片や、磁性粉末が混入されたゴムである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、タイヤの摩耗状態を推定する装置及び摩耗状態を推定可能な車両用タイヤに関する。
車両を安全に走行させるためには、タイヤが摩耗したときにそれを速やかに検知し、必要であれば摩耗したタイヤを交換する必要がある。一般にタイヤの摩耗は、ユーザが乗車前にタイヤの接地面を目視して溝の深さをみるか、または接地面とサイドウォールの接合部付近に設けられた摩耗インジケータで確認する。しかし、溝の深さの判定は一般のユーザには必ずしも容易ではなく、また摩耗インジケータは視認性が高いとはいえない。
そこで、従来からタイヤの摩耗を検出する技術が知られていた。例えば、特許文献1には、車両の走行時にタイヤの振動周波数成分を含む信号を出力する出力手段と、前記信号から共振周波数成分の信号を抽出する抽出手段を含み、抽出した共振周波数とタイヤ回転数との関係に基づいてタイヤ外周の摩耗量を算出する技術が開示されている。
特開平5−332762号公報
特開2001−215175号公報
特開平11−78442号公報
実開平6−807号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載された技術では、例えば四輪すべてのタイヤが同程度に摩耗した場合の判定や、タイヤの空気圧が低下した場合との区別に改善の余地がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤの摩耗状態を的確に判定する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、タイヤ状態推定装置を提供する。このタイヤ状態推定装置は、車両用タイヤの接地部に埋め込まれ、接地部の摩耗により路面との相互関係が変化する状態変化部と、前記状態変化部の相互関係の変化を感知する感知部と、前記感知部により感知された情報に基づいて前記接地部の摩耗を判定する判定部と、を備える。
ここで、「路面との相互関係が変化する状態変化部」とは、摩耗により使用初期状態とは異なる関係を路面に対して発生する構造のことをいう。例えば、後述するような磁性材、接地部と異なる摩擦係数を有する部材または電磁波を発生する電磁波発生体が含まれる。磁性材の場合には、接地部の摩耗と共に磁性材が削られることにより磁性材と路面との相互関係が変化する。接地部と異なる摩擦係数を有する部材の場合には、この部材が接地部の路面と接触する面に露出することで路面との相互関係が変化する。電磁波発生体の場合には、電磁波発生体が露出して路面との接触により電磁波を発生する形で相互関係が変化する。
この態様によれば、接地部の摩耗による前記状態変化部の路面との相互関係の変化を感知部によって感知することによって、タイヤの摩耗を的確に判定することが可能となる。
前記状態変化部は一例では磁性材である。この場合、タイヤ状態推定装置において、当該磁性材は前記接地部の摩耗に伴って摩耗する位置に埋め込まれ、前記感知部は前記車両用タイヤに近接して設けられ、前記車両用タイヤの回転により前記磁性材が感知部付近を通過することにより誘導される誘導起電力を感知し、前記判定部は前記感知部により感知された誘導起電力の大きさに基づいて前記接地部の摩耗を判定する。磁性材は、例えば金属片や、磁性粉末が混入されたゴムである。感知部は、例えば電磁ピックアップセンサである。
この態様によれば、車両用タイヤの接地部に埋め込まれた磁性材が摩耗と共に削られていくことで、車両用タイヤの回転により感知部に誘導される誘導起電力の大きさが次第に減少していくので、車両用タイヤの摩耗を的確に判定することができる。
前記状態変化部は車両用タイヤの接地部とは異なる摩擦係数を有する部材であってもよい。この場合、タイヤ状態推定装置において、当該部材は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出しない位置に埋め込まれており、前記感知部は前記車両用タイヤの摩擦係数の変化を感知し、前記判定部は前記感知部により感知された摩擦係数の変化に応じて前記接地部の摩耗を判定するように構成される。
ここで、「車両用タイヤの接地部とは異なる摩擦係数を有する部材」とは、当該部材自体の摩擦係数が車両用タイヤの接地部と異なるものであってもよいし、または路面との接地面積を変化させることで使用初期時とは摩擦係数が異なるものであってもよい。前者の場合、摩擦係数は使用初期の接地部より大きくなることが好ましい。また、前記感知部は前記車両用タイヤの車輪速度を検出することによって摩擦係数の変化を感知するように構成することができる。
この態様によれば、車両用タイヤの接地部の摩耗が進行すると摩擦係数の異なる部材が路面と接触して路面との摩擦抵抗が増加するので、摩擦係数の変化を感知することで車両用タイヤの摩耗を的確に判定することができる。
前記状態変化部は路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体であってもよい。この場合、タイヤ状態推定装置において、当該電磁波発生体は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出しない位置に埋め込まれており、前記感知部は前記電磁波発生体より発生した電磁波を感知し、前記判定部は前記感知部により電磁波が感知されたことに応じて前記接地部の摩耗を判定するように構成される。ここで、「電磁波発生体」には、単独の金属片または通電されている金属片が含まれる。
この態様によれば、車両用タイヤの接地部の摩耗が進行すると電磁波発生体が露出して路面との接触により電磁波が発生するので、この電磁波を感知することで車両用タイヤの摩耗を的確に判定することができる。
本発明の別の態様では、タイヤ状態を推定可能な車両用タイヤを提供する。第1の例は、車両用タイヤの接地部に磁性材が埋め込まれている車両用タイヤであって、記磁性材は前記接地部の摩耗に伴って摩耗するように配置されていることを特徴とする、車両用タイヤである。
第2の例は、車両用タイヤの接地部の内部に当該接地部と異なる摩擦係数を有する部材が埋め込まれている車両用タイヤであって、前記部材は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出せず、前記車両用タイヤの摩耗による交換必要時に前記接地部の路面と接触する面に露出する位置に配置されることを特徴とする車両用タイヤである。
第3の例は、車両用タイヤの接地部の内部に路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体が埋め込まれている車両用タイヤであって、前記電磁波発生体は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出せず、前記車両用タイヤの摩耗による交換必要時に前記接地部の路面と接触する面に露出する位置に配置されることを特徴とする車両用タイヤである。
本発明のタイヤ状態推定装置によると、車両用タイヤの摩耗状態をタイヤ毎に的確に判定することができる。また、本発明の車両用タイヤによると、摩耗状態が推定可能なタイヤを別個に提供することができる。
(第1の実施形態)
この実施形態では、車両用タイヤの接地部に磁性材を埋め込み、車体側に取り付けた電磁ピックアップセンサにより誘導起電力の大きさを検知することでタイヤの摩耗状態を判定する。
この実施形態では、車両用タイヤの接地部に磁性材を埋め込み、車体側に取り付けた電磁ピックアップセンサにより誘導起電力の大きさを検知することでタイヤの摩耗状態を判定する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ状態推定装置100の構成を示す。車両用タイヤ10は、その断面を模式的に示している。車両用タイヤ10の接地部11には、状態変化部として金属片等の磁性材12が設けられる。磁性材12は、接地部11の周上の少なくとも一カ所に埋め込まれる。磁性材12の付近の車体(図示せず)には、感知部として電磁ピックアップセンサ14が設けられる。電磁ピックアップセンサ14は、永久磁石と、磁性材12の状態変化を感知するためのコイルが備えられる。永久磁石を使用することで、電磁ピックアップセンサ自体の電源は不要となっている。また、電磁ピックアップセンサ14の設置場所は、磁性材12がその下方を通過して電磁ピックアップセンサのコイルに検知可能なほどに十分な磁束変化を及ぼしうる場所であれば、車体のどこでもよい。
車体にはさらに、電磁ピックアップセンサ14からの信号が入力される電子制御装置(以下、「ECU」と表記する)16と、車両用タイヤ10の摩耗状態をユーザに知らせるための警報装置18が設けられる。ECU16には、電磁ピックアップセンサ14以外にも車体の各所に設けられたセンサから種々の情報が入力されて、車両を統括的に制御するように構成されている。
ECU16は、電磁ピックアップセンサ14からの信号を受け取り、摩耗が生じているか否かを判定する。そして、所定限度以上の摩耗が生じていると判定した場合には、警報装置18によりユーザに警報を発する。警報装置18は、例えばブザーや警告ランプである。ECU16は、図示しないナビゲーションシステムの表示部などに警告を表示してもよい。ECU16は、摩耗が生じたと判定した場合には、車速を低下させるなどの他の制御を行うこともできる。また、ECU16は、摩耗が生じたタイヤの位置、つまり、FR、FL、RR及びRL、およびその日時などの情報を記憶しておくこともできる。これによって、ユーザが修理業者などに修理を依頼したときに、修理業者はダイアローグツールなどにより瞬時に摩耗が生じたタイヤを特定することができる。
次に図2(a)、図2(b)を参照して、車両用タイヤ10の摩耗を検出する原理について説明する。図2(a)は、使用初期時の接地部11、磁性材12と電磁ピックアップセンサ14の関係を示す。このときの磁性材12と電磁ピックアップセンサ14のギャップが「A」で示されている。車体の走行時にタイヤが一回転する毎に、接地部11に埋め込まれた磁性材12も共に一回転し、電磁ピックアップセンサ14の付近を通過する。これによって、電磁ピックアップセンサ14のコイル内を通過する磁束が変化して、コイルに誘導起電力が生じる。この誘導起電力がECU16内の判定部(図示せず)に伝えられる。
図2(b)は、タイヤの摩耗時の様子を示す。タイヤが摩耗するにつれ、磁性材12も削れていき、電磁ピックアップセンサ14とのギャップ「B」が元のギャップ「A」よりも大きくなる。このため、電磁ピックアップセンサ14のコイルに誘導される誘導起電力は摩耗が進行するほど小さくなる。この誘導起電力の大きさをECU16内の判定部においてしきい値と比較することで、磁性材12の摩耗量すなわちタイヤの摩耗量を検出することが可能となる。また、磁性材と電磁ピックアップセンサ間の距離と誘導起電力の大きさの関係を表すテーブルを予め準備しておくことで、タイヤ接地部の摩耗量も算出することができる。
なお、タイヤの空気圧が低下した場合にも磁性材12と電磁ピックアップセンサ14とのギャップが変わるが、タイヤの摩耗によるギャップの変化は空気圧低下によるギャップの変化に比べて10倍程度大きいので、本実施形態による摩耗判定にはほとんど影響を及ぼさないと考えられる。
図3は、本実施形態における車両用タイヤの摩耗判定のフローチャートである。まず、車輪速度センサなどから得られる車速が、所定の範囲、例えば、時速40〜50kmであるか否かを判定する(S20)。車速が所定の範囲になければ(S20のNO)、このルーチンを終了する。S20の判定は、以下のような理由で行われる。すなわち、電磁ピックアップセンサ14のコイルに誘導される起電力は磁束密度変化に比例するため、実際には誘導起電力は車輪の角速度(または車速)に応じて変化する。そこで、誘導起電力を車速に応じて補正する必要があるが、S20の判定をすることで、起電力の補正を行う必要がほとんどなくなるからである。代替的に、予め実験などにより準備した車速に比例するテーブル等を用いて起電力の補正を実行する場合は、S20の判定は実行しなくてもよい。
S20において車速が所定の範囲内にあれば(S20のYES)、次に、電磁ピックアップセンサ14の出力が所定値以下であるか否かを判定する(S22)。所定値より上であれば(S22のNO)、磁性材12と電磁ピックアップセンサ14とのギャップが小さい、すなわち摩耗量が少ないので、このルーチンを終了する。出力が所定値以下であれば(S22のYES)、所定限度以上の摩耗が生じているので警報装置18によりユーザにタイヤ寿命を警報する(S24)。
なお、タイヤの摩耗は必ずしも刻一刻とユーザに知らせる必要はないので、図3に示す摩耗判定は常時行う必要はなく、例えば、一日に一回実行したり、または走行距離が所定値に達する毎に実行したりすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、タイヤの摩耗状態を的確に判定することができる。この実施形態は例示であり、以下その変形例をいくつか列挙する。
図1では、磁性材12はタイヤの接地部内部に完全に埋め込まれるように示されているが、タイヤ寿命が近づいた時点に磁性材がタイヤの表面に現れるようにすることもできる。この場合、路面と磁性材との接触により音を発生させ、タイヤ寿命を告知することも可能である。または、使用初期から磁性材が表面に露出するように埋め込んでおくことで、タイヤの摩耗量を使用初期から継続的にモニターすることも可能である。この場合、摩耗初期時と末期時のように、ユーザへの警報を段階的に行うこともできる。
別の実施形態では、車両用タイヤの内側と外側にそれぞれ磁性材を埋め込んでおいてもよい。この場合、各磁性材に対応する位置に電磁ピックアップセンサを設ける。これによって、タイヤの偏摩耗を判定することができる。
さらに別の実施形態では、車両用タイヤのサイドウォール部に磁性材を埋め込んでおいてもよい。これにより、磁性材と電磁ピックアップセンサとのギャップが小さくなったことを感知することで、サイドウォールの膨れやコブの検知が可能となり、カーカスの破断などのタイヤ内部の異常をも検出可能となる。
また、図1では、磁性材12が当初からタイヤの接地部に埋め込まれているように図示されているが、市販の通常構造のタイヤに後から磁性材を埋め込むことによって本発明を適用することもできる。
また、磁性材をタイヤ外周の複数箇所に設けることで、車輪の回転を電磁ピックアップセンサで感知できるようにして車輪速度センサを省くこともできる。
さらには、タイヤの接地部に磁性粉末を混入させ、接地部自体を磁性材として、MR(Magneto Resistive)素子またはホール素子を使って摩耗を判定するようにしてもよい。この場合、接地面全体を磁化してもよいし、またはパターンブロックの一部のみを磁化してもよい。後者の場合であれば、タイヤの外側と内側のパターンブロックのみを磁化することで、上述のようにして偏摩耗を判定することも可能である。
(第2の実施形態)
この実施形態では、車両用タイヤの接地部の内部に通常の接地部とは摩擦係数が異なる部材を配置して、車両用タイヤの路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量の一つである路面μ勾配を推定することでタイヤの摩耗を判定する。本実施形態におけるECU及び警報装置の構成は、図1に示した第1の実施形態のECU16及び警報装置18の構成と同様である。従って、以下では第1の実施形態と異なる点について説明する。
(第2の実施形態)
この実施形態では、車両用タイヤの接地部の内部に通常の接地部とは摩擦係数が異なる部材を配置して、車両用タイヤの路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量の一つである路面μ勾配を推定することでタイヤの摩耗を判定する。本実施形態におけるECU及び警報装置の構成は、図1に示した第1の実施形態のECU16及び警報装置18の構成と同様である。従って、以下では第1の実施形態と異なる点について説明する。
図4は、本実施形態に係るタイヤ状態推定装置300の構成を示す。車両用タイヤ30は、その断面を模式的に示している。車両用タイヤ30の接地部31の下層には、使用初期状態における接地部の摩擦係数とは異なる摩擦係数を持つ部材(以下、摩耗表示層32という)が配置されている。摩耗表示層32は、摩耗が進行して、タイヤを交換すべきときに路面と接触する面に表れるような深さに設けられる。代替的に、摩擦係数が異なる部材を段階的に配置することもできる。例えば、交換時期が近づいたときと、交換しなければならない時期に相当する深さに配置する。
この摩耗表示層32の摩擦係数は、通常の接地部よりも摩擦係数が高くなる、つまり滑りにくくなるようにすることが好ましく、例えば、レーシングタイヤに用いるようなグリップ力の高いゴムを使用する。摩耗表示層32は、接地部31の全周に設けてもまたは一部分にのみ設けてもよい。
車体にはさらに、車両用タイヤ30に対向する位置に、電磁ピッチを検出してタイヤの回転角速度を検出する車輪速度センサ34が設けられている。車輪速度センサ34の出力はECU36へ伝えられる。ECU36内の路面μ推定部(図示せず)は、車輪速度センサ34からの車輪速度信号に基づいて、路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量である路面μ勾配を推定する。
ECU36は、推定した路面μ勾配に基づいて所定限度以上の摩耗が生じていると判定した場合には、警報装置38によりユーザに警報を発する。
次に図5(a)、図5(b)を参照して、車両用タイヤ30の摩耗を検出する原理について説明する。図5(a)は、使用初期時の車両用タイヤ30の接地部31と摩耗表示層32の形状を示す。この状態では、接地部31が路面に接している。図5(b)は、接地部31が摩耗して下層の摩耗表示層32が車両用タイヤ30の路面と接触する面に出ている様子を示す。このとき、車両用タイヤ30の摩擦係数が変化する。ECU36内の路面μ推定部(図示せず)は、車輪速度センサ34からの車輪速度信号の振幅を演算し、さらに振幅の減衰率を演算する。この減衰率が大きい場合、すなわち振動が速やかに減衰する場合は、路面と車輪とが滑り易い、すなわち路面μ勾配が小さいと推定される。減衰率が小さい場合、すなわち振動が長く継続する場合は、路面と車輪とが滑りにくい、すなわち路面μ勾配が大きいと推定される。従って、ECU36は、路面μ勾配が所定値以上であるとき、車両用タイヤ30の摩耗により摩擦係数が大となっていることを判定することができる。路面μ勾配の推定方法については、例えば、特開2000−108863号公報、特開2000−313327号公報に詳細に説明されている。
図6は、本実施形態における車両用タイヤの摩耗判定のフローチャートである。まず、車輪速度センサ34により車輪速度を検出する(S40)。次に、ECU36内の路面μ推定部(図示せず)は、車輪速度センサ34からの車輪速度信号の振幅を演算し、さらに振幅の減衰率を演算し、演算された減衰率に基づいて路面μ勾配を推定する(S42)。そして、ECU36は、路面μ勾配が所定値以上か否かを判定し(S44)、所定値を下回っていれば(S44のNO)このルーチンを終了する。所定値以上であれば(S44のYES)、摩耗が進行することで摩擦係数の異なる摩耗表示層32が露出していると考えられるので、警報装置38によりユーザにタイヤ寿命を警報する(S46)。
以上説明したように、本実施形態によればタイヤの摩耗状態を的確に判定することができる。なお、接地部の内部に摩擦係数の異なる摩耗表示層を配置する代わりに、タイヤのトレッドパターンの断面を断面方向に台形状にして、摩耗の進行と共に接地面積が増加するようにしたタイヤを用いても、同様の手法で本発明を適用することができる。または、摩耗の進行と共に接地面積が減少するように構成することもできる。
(第3の実施形態)
この実施形態では、車両用タイヤの接地部の内部に路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体を配置して、路面との接触により発生する電磁波を検出することでタイヤの摩耗を判定する。本実施形態におけるECU及び警報装置の構成は、図1に示した第1の実施形態のECU16及び警報装置18の構成と同様である。従って、以下では第1の実施形態と異なる点について説明する。
(第3の実施形態)
この実施形態では、車両用タイヤの接地部の内部に路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体を配置して、路面との接触により発生する電磁波を検出することでタイヤの摩耗を判定する。本実施形態におけるECU及び警報装置の構成は、図1に示した第1の実施形態のECU16及び警報装置18の構成と同様である。従って、以下では第1の実施形態と異なる点について説明する。
図7は、本実施形態に係るタイヤ状態推定装置500の構成を示す。車両用タイヤ50は、その断面を模式的に示している。車両用タイヤ50の接地部51の内部には、路面と接触することで電磁波を発生するチップ状の電磁波発生体52a、52bが設けられている。「電磁波発生体」とは、例えば単独の金属片または通電されている金属片である。車体側(図示せず)には、電磁波を検出するための受信機54が設けられている。受信機54は、車体側に一カ所でもまたは車輪毎に車輪の付近に設けてもよいが、電磁波を確実に受信するには後者の方が望ましい。
電磁波発生体52の数は、接地部外周の一カ所のみでも、複数箇所にあってもよい。また、タイヤの外側、中央、内側のいずれかまたは複数に埋め込んでもよい。さらに、電磁波発生体52を埋め込む深さを変えて、摩耗初期時と末期時が解るようにしてもよい。電磁波発生体52の形状は、接地部51の周方向に沿った長い形状や、接地部全周にわたるドーナツ状であってもよい。
車体にはさらに、受信機54からの信号を受け取り摩耗が生じているか否かを判定するECU56と、警報装置58が設けられる。
次に図8(a)、図8(b)を参照して、車両用タイヤ50の摩耗を判定する原理について説明する。なお、図8(a)、図8(b)は路面が上側に来るように上下を反転させて描いている。図8(a)は、使用初期時の車両用タイヤの接地部51及び電磁波発生体52と路面との接触の様子を示す。接地部の摩耗が進行することで、図8(b)に示すように、電磁波発生体が52a、bが車両用タイヤの路面と接触する面に露出する。電磁波発生体52a、bは、路面との通電により電磁波を発生する。受信機54はこの電磁波を検出して、その旨をECU56に通知する。ECU56は、警報装置58に対して、ユーザにタイヤ摩耗を警報するように信号を送る。このとき、電磁波を受信したセンサの位置に基づいて、摩耗が生じたタイヤの位置、つまり、FR、FL、RR及びRLをユーザに知らせるようにしてもよい。
図9は、本実施形態における車両用タイヤの摩耗判定のフローチャートである。まず、車輪速度センサなどから得られる車速が、所定の範囲、例えば、時速40〜50kmであるか否かを判定する(S60)。この判定は、単位時間あたりの受信強度が大きくなりすぎないようにするために実行される。S60において車速が所定の範囲になければ(S60のNO)、このルーチンを終了する。車速が所定の範囲内にあれば(S60のYES)、次に、受信機54が電磁波を受信したか否かを判定する(S62)。電磁波を受信していなければ(S62のNO)このルーチンを終了する。電磁波を受信している場合は(S62のYES)、摩耗が進行して電磁波発生体52が路面と接触する面に露出していると考えられるので、警報装置58によりユーザにタイヤ寿命を警報する(S66)。
以上、本発明の種々の実施形態について説明した。ここで、本発明のすべての実施形態に共通する利点を述べる。この発明によると、車両用タイヤ側に電池等の電源を設けることなく、タイヤの摩耗を判定することができる。従って、摩耗の判定を行うことができる期間をかなりの長期間とすることができる。また、上述の特許文献1のように、各タイヤ間での摩耗程度の相違を必要とせず、タイヤ毎に摩耗を判定できるので、全輪が同程度に摩耗した場合でも摩耗を判定することができる。さらに、タイヤ側に識別番号等を付与する必要がなく、車体側に備えられた感知部に応じたタイヤを準備すればよいので、タイヤローテーションや摩耗したタイヤの交換も容易に実行することができる。
10 車両用タイヤ、 11 接地部、 12 磁性材、 14 電磁ピックアップセンサ、 16 ECU、 18 警報装置、 30 車両用タイヤ、 31 接地部、 34 車輪速度センサ、 36 ECU、 38 警報装置、 50 車両用タイヤ、 51 接地部、 52a、52b 電磁波発生体、 54 受信機、 56 ECU、 58 警報装置、 100、300、500 タイヤ状態推定装置。
Claims (8)
- 車両用タイヤの接地部に埋め込まれ、接地部の摩耗により路面との相互関係が変化する状態変化部と、
前記状態変化部の相互関係の変化を感知する感知部と、
前記感知部により感知された情報に基づいて前記接地部の摩耗を判定する判定部と、
を備えるタイヤ状態推定装置。 - 前記状態変化部は磁性材であり、当該磁性材は前記接地部の摩耗に伴って摩耗する位置に埋め込まれ、
前記感知部は前記車両用タイヤに近接して設けられ、前記車両用タイヤの回転により前記磁性材が感知部付近を通過することにより誘導される誘導起電力を感知し、
前記判定部は前記感知部により感知された誘導起電力の大きさに基づいて前記接地部の摩耗を判定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態推定装置。 - 前記状態変化部は前記接地部と異なる摩擦係数を有する部材であり、当該部材は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出しない位置に埋め込まれており、
前記感知部は前記車両用タイヤの摩擦係数の変化を感知し、
前記判定部は前記感知部により感知された摩擦係数の変化に応じて前記接地部の摩耗を判定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態推定装置。 - 前記感知部は前記車両用タイヤの車輪速度を検出することによって摩擦係数の変化を感知することを特徴とする請求項3に記載のタイヤ状態推定装置。
- 前記状態変化部は路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体であり、当該電磁波発生体は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出しない位置に埋め込まれており、
前記感知部は前記電磁波発生体より発生した電磁波を感知し、
前記判定部は前記感知部により電磁波が感知されたことに応じて前記接地部の摩耗を判定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ状態推定装置。 - 車両用タイヤの接地部に磁性材が埋め込まれている車両用タイヤであって、前記磁性材は前記接地部の摩耗に伴って摩耗するように配置されていることを特徴とする車両用タイヤ。
- 車両用タイヤの接地部の内部に当該接地部と異なる摩擦係数を有する部材が埋め込まれている車両用タイヤであって、
前記部材は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出せず、前記車両用タイヤの摩耗による交換必要時に前記接地部の路面と接触する面に露出する位置に配置されることを特徴とする車両用タイヤ。 - 車両用タイヤの接地部の内部に路面と接触することで電磁波を発生する電磁波発生体が埋め込まれている車両用タイヤであって、
前記電磁波発生体は前記車両用タイヤの使用初期時には前記接地部の路面と接触する面に露出せず、前記車両用タイヤの摩耗による交換必要時に前記接地部の路面と接触する面に露出する位置に配置されることを特徴とする車両用タイヤ。
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